説明

電極材乾燥装置及び電極材乾燥方法

【課題】電極材と集電体との結着力を低下させることなく、電極材を乾燥させることができる電極材乾燥装置を提供する。
【解決手段】副集電体52を搬送する搬送部35と、搬送中の副集電体52に溶媒を含む電極材20を塗布する塗布部40と、副集電体52に塗布された電極材20を加熱する中間加熱部50と、中間加熱部50の飽和蒸気圧を検知する飽和蒸気圧検出手段53と、中間加熱部50により加熱した電極材20を副集電体52から主集電体10に転写する転写部36と、を備え、中間加熱部50は副集電体52に塗布された電極材20を飽和蒸気気圧が100mmHg以上500mmHg以下となる温度に加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用電極に用いられる電極材の乾燥装置及び乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に使用されるリチウムイオン二次電池(以下「リチウムイオン電池」という)は、正極集電体の両面に正極活物質等を有する正極と、負極集電体の両面に負極活物質を有する負極と、正極と負極の間に配置され電解液を含浸した電解質層と、から構成される。これらリチウムイオン電池の正極及び負極は、活物質粉末、結着剤及び導電剤等を溶媒に分散または溶解させて得られる電極材を、集電体となる金属箔上に塗布し、塗布された電極材を乾燥させた後、圧延等することで形成される。
【0003】
電極材を乾燥させる方法として、特許文献1では誘導加熱が用いられている。誘導加熱によれば電極材の温度をより高めることができるので、乾燥に要する時間を短縮することができ、その結果、生産コストや設備コストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−327203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように乾燥時間を短縮するために誘導加熱によって電極材を高温で乾燥させると、結着剤が電極材の表面側に偏析し、その結果、集電体と電極材との結着力が低下してしまうという問題がある。
【0006】
この偏析が生じる理由は、一般的には、電極材の温度を高めると活物質層内で対流現象が顕著になって、結着剤を含んだ溶媒が電極材表面に運ばれ易くなり、表面側での結着剤濃度が高い状態で固定化されるためと説明されている。そして、このような結着剤の偏析は乾燥させる際の電極材の温度(乾燥温度)に依存し、乾燥温度が100℃以下では問題にならないが、140℃を超えると顕著に発生することがわかっている。
【0007】
そこで、本発明では集電体と電極材との結着力の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電極材乾燥装置は、副集電体を搬送する搬送部と、搬送中の副集電体に溶媒を含む電極材を塗布する塗布部と、塗布された電極材を加熱する中間加熱部と、飽和蒸気圧検出手段と、中間加熱部により加熱した電極材を副集電体から主集電体に転写する転写部とを備える。そして、中間加熱部は、副集電体に塗布された電極材を飽和蒸気気圧が100mmHg以上500mmHg以下となる温度に加熱する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、中間加熱部での加熱によって、副集電体に塗布された電極材の表面側に結着剤が偏析する。そして、中間加熱部を通過後に、転写部にて電極材を副集電体から主集電体に転写するので、電極材は結着剤が表面側に偏析した面で主集電体と結着することとなり、その結果、結着力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)はリチウムイオン電池の斜視図、(B)はリチウムイオン電池の断面図である。
【図2】電極材乾燥装置を示す概略構成図である。
【図3】第1乾燥炉の概略構成図である。
【図4】飽和蒸気圧と溶媒温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1(A)及び図1(B)を参照して、リチウムイオン電池1の構成について説明する。図1(A)はリチウムイオン電池1の斜視図であり、図1(B)はリチウムイオン電池1の断面図である。
【0013】
図1(A)及び図1(B)に示すリチウムイオン電池1は、発電要素2と、発電要素2を収容する外装ケース3とを備える。
【0014】
発電要素2は、正極4、電解質層としてのセパレータ5、及び負極6を順次積層した積層体として構成される。正極4は板状の正極集電体4Aの両面に正極活物質層4Bを有しており、負極6は板状の負極集電体6Aの両面に負極活物質層6Bを有している。なお、発電要素2の最外層に配置される正極4においては、正極集電体4Aの片面のみに正極活物質層4Bが形成される。
【0015】
隣接する正極4、セパレータ5、及び負極6が一つの単位電池7を構成しており、リチウムイオン電池1は積層された複数の単位電池7をそれぞれ電気的に並列接続して構成される。
【0016】
外装ケース3は、アルミニウム等の金属をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムのシート材からなる。外装ケース3は、発電要素2を収納した状態で、ケース外周部が熱融着によって接合される。この外装ケース3には、発電要素2からの電力を外部に取り出すため、外部端子としての正極タブ8及び負極タブ9が設けられる。
【0017】
正極タブ8の一端は外装ケース3の外側にあり、正極タブ8の他端は外装ケース3の内部で各正極集電体4Aの集合部に接続する。負極タブ9の一端は外装ケース3の外側にあり、負極タブ9の他端は外装ケース3の内部で各負極集電体6Aの集合部に接続する。
【0018】
図2を参照して、リチウムイオン電池1の正極4及び負極6の製造時に使用される電極材乾燥装置100について説明する。図2は、本実施形態の電極材乾燥装置100を示す概略構成図である。
【0019】
電極材乾燥装置100は、集電体としての主基材10に活物質や溶媒等を含む電極材20を塗布し、電極材20に含まれる溶媒を蒸発させて電極材20を乾燥させる装置である。
【0020】
より詳細には、まず中間基材52に電極材20を塗布し、これを第1乾燥炉50でゴム状になるまで乾燥させた後、製品となる主基材10に電極材20を転写し、第2乾燥炉51で乾燥させるものである。
【0021】
ゴム状の電極材20とは、数パーセントから数十パーセントの溶剤分が残っている状態であって、中間基材52から容易に剥離できる状態である。第1乾燥炉50で完全に乾燥させると中間基材52から主基材10への転写効率が低下し、転写できないことがあるが、ゴム状であれば、中間基材52から主基材10への転写が容易になる。なお、さらに転写し易くするために、中間基材52の表面にフッ素樹脂等のコーティングを施すことが望ましい。
【0022】
主基材10は、帯状の金属シートであって、正極集電体4A又は負極集電体6Aとなるものである。正極集電体4Aとしては例えばアルミニウム箔が用いられ、負極集電体6Aとしては例えば銅箔が用いられる。なお、集電体は、金属に限られるものではなく、シート状の導電性材料であればよい。中間基材52も同様に帯状の金属シートである。
【0023】
電極材20は、正極活物質又は負極活物質と、導電助剤と、結着剤とに溶媒を添加したものであって、所定の粘度に調製したスラリー状の材料である。
【0024】
本実施形態では、結着剤にPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、溶媒にNMP(n−メチルピロリジノン)を用いる場合について説明する。
【0025】
電極材乾燥装置100は、無端状の中間基材52が周回する中間部35と、中間基材52に電極材20を塗布する塗布部40と、塗布された電極材20をゴム状になるまで乾燥させる第1乾燥炉50と、主基材10を搬送する搬送部30と、中間基材52に塗布した電極材20を主基材10へ転写する転写部36と、主基材10に転写された電極材20を乾燥させる第2乾燥炉51と、を備える。
【0026】
中間部35は、無端状に形成された中間基材52が駆動ロール37とサポートロール39に掛け回されている。駆動ロール37は駆動モータ38によって回転駆動され、掛け回された中間基材52を周回させる。
【0027】
塗布部40は、電極材20を吐出するスリットダイ41と、スリットダイ41に電極材20を供給する電極材供給部42とを備える。スリットダイ41は、先端部に形成されたスリット41Aを介して電極材20を吐出し、搬送中の主基材10の表面に電極材20を塗布する(塗布工程)。電極材20は、主基材10の搬送方向に所定間隔をあけて、間欠的に塗布される。このように主基材10には電極材20の塗装部分と未塗装層部分とが交互に形成されるが、主基材10の未塗装部分は電極同士を電気的に接続するタブ等として用いられる。
【0028】
第1乾燥炉50は、中間基材52に塗布された電極材20をゴム状になるまで乾燥させるものである。第1乾燥炉50では、電極材20に含まれる結着剤を電極材20が表面側(中間基材52との接触面とは反対側)に偏析し、かつ溶剤が突沸しないような温度ということで、結着剤の結晶化温度より高く溶媒の沸点より低い温度(例えば100℃〜180℃)まで加熱する。ただし、偏析させるためには、より高い温度での乾燥が有効なので、突沸を防止できる範囲でできるだけ高い温度(例えば130℃〜170℃)に加熱することが望ましい。第1乾燥炉50の具体的な加熱方法については後述する。
【0029】
搬送部30は、ロールトゥロール方式により長尺状の主基材10を搬送する(搬送工程)。搬送部30は、主基材10を供給する供給ロール31と、主基材10を巻き取る巻取ロール32と、主基材10の下面を保持する複数のサポートロール33とから構成される。供給ロール31は、軸31Aに図示しない制動機構を備えており、主基材10に所定の張力を付与しつつ主基材10を送り出す。巻取ロール32は、駆動モータ34によって回転駆動され、供給ロール31から送り出された主基材10を巻き取る。
【0030】
転写部36は、第1乾燥炉50で乾燥させることでゴム状かつ表面側に結着剤が偏析した状態となった電極材20を、中間基材52から製品となる主基材10へ転写する部分である。
【0031】
具体的には、中間部35の駆動ロール37と搬送部30のサポートロール33とを、中間基材52に塗布された電極材20が主基材10に押圧されるよう近接させて配置する。転写部36では、中間基材52上の電極材20は結着剤が表面側に偏析している。つまり、中間基材52と電極材20の結着度は低下して剥離し易くなっている。したがって、電極材20は主基材10に押圧されると中間基材52から剥離して主基材10へと転写される。転写された電極材20は、主基材10側に結着剤が偏析した状態になっているので、主基材10との結着力を確保することができる。
【0032】
なお、より確実に転写させるために、転写部36のサポートロール33を加熱するようにしてもよい。
【0033】
第2乾燥炉51は、主基材10に転写された電極材20を乾燥させるものである。第2乾燥炉51で電極材20が加熱されて結着剤が軟化すると、電極材20が主基材10と結着し易くなる。
【0034】
第2乾燥炉51に搬送される電極材20は、第1乾燥炉50での乾燥によってある程度溶剤が揮発し、主基材10側への結着剤の偏析が十分に進んでいるので、溶剤が突沸しない温度であればよく、その他の制約は特にない。120〜140℃程度に設定すれば、効率的に乾燥させることができる。第2乾燥炉51の具体的な加熱方法については後述する。
【0035】
電極材乾燥装置100は、コントローラ70によって統括的に制御される。コントローラ70は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ70には、電極材20の塗装部分と未塗装部分とを検出するセンサ71等からの信号が入力する。コントローラ70は、これら信号に基づいて、塗布部40の電極材供給部42の動作や後述する加熱コイル60に電圧を印加する高周波電源の出力等を制御する。
【0036】
図3を参照して、第1乾燥炉50の具体的な加熱方法について説明する。図3は、第1乾燥炉50の概略構成図である。
【0037】
第1乾燥炉50は、誘導加熱により電極材20を乾燥させるものであり、電極材20が塗布される主基材10の塗布面に対して直交する方向に磁界を発生させる加熱コイル60を備える。加熱コイル60に交流電流を印加することで主基材10を誘導加熱し、主基材10からの熱伝導によって主基材10に塗布された電極材20を乾燥(電極材20の溶媒を蒸発)させる。
【0038】
第1乾燥炉50はその内部が外部から隔離されたチャンバ構造となっており、チャンバ内の蒸気圧を測定する蒸気圧センサ53を備える。そして、電極材20の加熱温度は飽和蒸気圧に基づいて制御する。具体的には、図4に示すような溶媒NMPの温度と飽和蒸気圧との関係を前提として、蒸気圧センサ53の検出値に基づいて電極材20の温度が上述したような温度(130℃〜180℃)になるよう、つまり飽和蒸気圧が100mmHg〜500mmHgとなるように制御する。なお、温度センサにより直接温度管理をしても構わない。
【0039】
誘導加熱によって直接加熱するのは主基材10のみなので、熱風を用いる熱風乾燥炉に比べて電極材20の突沸が発生しにくい。このため、熱風乾燥炉の場合には突沸防止等のために150℃程度までしか上げられない設定温度を、例えば180℃程度にすることができ、その結果、結着剤を偏析させ易くなる。
【0040】
また、誘導加熱によれば、電極材20は主基材10側から加熱されるので、電極材20内で対流が生じやすくなり、その結果、結着剤が電極材20の表面側へ偏析しやすくなる。
【0041】
さらに、熱風乾燥炉の場合には、電極材20の急激な乾燥を防ぐために、乾燥開始から所定期間は乾燥温度を120℃以下に制限する等の対策が必要となり、その結果、乾燥時間が長時間化し、生産速度が低下する等といった問題がある。これに対して、誘導加熱の場合には上述したようにより高い温度で乾燥させることができるので、乾燥時間を短縮することができる。また、乾燥時間が短くなれば乾燥のために必要な工程長さも短くなるので、第1乾燥炉50を熱風乾燥炉に比べて小さな設置面積で構成することができる。
【0042】
なお、図3においては、サポートロール61を駆動ロール37とサポートロール39とで三角形を形成するように第1乾燥炉50内に配置し、サポートロール61を挟むように2つの加熱コイル60を配置することで、より小さな設置面積で乾燥工程長さを確保している。ただし、これはあくまでも一例であり、加熱コイル60の配置等についてはこれに限られるわけではない。
【0043】
なお、上述した誘導加熱に代えて、例えば特開2004−71472号公報等に記載されている赤外線加熱等の既知の加熱手段を用いてもよい。また、上記説明では乾燥時間の長期化等といった熱風乾燥炉の問題点について述べたが、これは第1乾燥炉50として熱風乾燥炉を使用することを妨げるものでもない。
【0044】
一方、第2乾燥炉51は熱風乾燥炉である。これは、上述したように第2乾燥炉51では120〜140℃に加熱すれば十分であること、及び過加熱を防止する観点からは熱風乾燥炉が有効であることによる。
【0045】
なお、第1乾燥炉50及び第2乾燥炉51のいずれについても、水系溶媒の場合には上述した温度より低い温度でも同様の効果を得る事ができる。
【0046】
ここで、上述したような構成の電極材乾燥装置100による電極材20の乾燥についてまとめる。
【0047】
まず、塗布部40において中間基材52に電極材20を塗布し、塗布した電極材20を中間基材52の周回路中に設けた第1乾燥炉50にて、より高い温度でゴム状になるまで乾燥させる。これにより、中間基材52上の電極材20の表面側に結着剤を偏析させる。
【0048】
そして、転写部36にて主基材10に電極材20を押圧して、電極材20を中間基材52から主基材10へ転写する。中間基材52から転写された電極材20は、主基材10側に結着剤が偏析した状態となる。つまり、電極材20が主基材10に結着し易い状態となる。
【0049】
その後、転写した電極材20を第2乾燥炉51で乾燥させて電極材20と主基材10との結着力を高め、巻取ロール32に巻き取る。
【0050】
なお、結着剤にPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、溶媒にNMP(n−メチルピロリジノン)を用いる場合について説明したが、他の結着剤及び溶媒を用いることもできる。例えば、結着剤としてSBR(スチレンブタジエンゴム)、溶媒として水を用いることができる。この場合、図4に示すように、飽和水蒸気圧が100mmHg〜500mmHgとなる温度は50℃〜88℃である。この温度範囲であれば、溶媒としての水の蒸発速度が高まり、結着剤としてのSBRの移動量が増加するので、結着剤が表面に偏析しやすくなる。
【0051】
以上により本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
【0052】
(1)電極材乾燥装置100は、周回中の中間基材52に溶媒を含む電極材20を塗布する塗布部40と、中間基材52に塗布された電極材20を加熱する第1乾燥炉50と、第1乾燥炉50により加熱した電極材20を中間基材52から主基材10に転写する転写部36を備える。そして、第1乾燥炉50では飽和蒸気圧が100mmHg以上500mmHg以下の場合における温度まで電極材20を加熱する。このため、主基材10は電極材20の第1乾燥炉50での乾燥により結着剤が偏析した面と結着することとなり、より高い結着力が得られる。
【0053】
(2)飽和蒸気圧が100mmHg以上500mmHg以下の場合における温度は、電極材20に含まれる結着剤として用いるPVDFの結晶化温度より高く溶媒の沸点より低い温度なので、結着剤が偏析しやすく、より高い結着力が得られる。
【0054】
(3)第1乾燥炉50は交流印加によって中間基材52を誘導加熱し、中間基材52からの熱伝導により電極材20を加熱するので、電極材20は中間基材52側から加熱されることになり、対流が生じやすくなる。その結果、結着剤が電極材20の表面に偏析しやすくなる。
【0055】
(4)主基材10に転写した後の電極材20を加熱して乾燥させる乾燥部第2乾燥炉51を備えるので、主基材10に転写された電極材20の結着剤が軟化し、主基材10との結着力が高まる。
【0056】
(5)第2乾燥炉51での加熱温度は第1乾燥炉50での加熱温度より低いので、結着剤を偏析させた効果を維持できる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1 リチウムイオン電池
2 発電要素
3 外装ケース
4 正極
5 セパレータ
6 負極
7 単位電池
8 正極タブ
9 負極タブ
10 主基材(主集電体)
20 電極材
30 搬送部
31 供給ロール
32 巻取ロール
33 サポートロール
34 駆動モータ
35 中間部
36 転写部
37 駆動ロール
38 駆動モータ
39 サポートロール
40 塗布部
41 スリットダイ
42 電極材供給部
50 第1乾燥炉(中間加熱部)
51 第2乾燥炉(加熱部)
52 中間基材(副集電体)
60 加熱コイル
70 コントローラ
100 電極材乾燥装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副集電体を搬送する搬送部と、
搬送中の前記副集電体に溶媒を含む電極材を塗布する塗布部と、
前記副集電体に塗布された前記電極材を加熱する中間加熱部と、
前記中間加熱部により加熱した前記電極材を前記副集電体から主集電体に転写する転写部と、
を備え、
前記中間加熱部は前記副集電体に塗布された前記電極材を、飽和蒸気気圧が100mmHg以上500mmHg以下の場合における温度に加熱することを特徴とする電極材乾燥装置。
【請求項2】
前記飽和蒸気圧が100mmHg以上500mmHg以下となる温度は、前記電極材に含まれる結着剤の結晶化温度より高く溶媒の沸点より低い温度であることを特徴とする請求項1に記載の電極材乾燥装置。
【請求項3】
前記溶媒がn−メチルピロリジノンであり、前記結着剤がポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする請求項1または2に記載の電極材乾燥装置。
【請求項4】
前記溶媒が水であり、前記結着剤がスチレンブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の電極材乾燥装置。
【請求項5】
前記中間加熱部は、前記副集電体を誘導加熱し、前記副集電体からの熱伝達により前記電極材を加熱することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の電極材乾燥装置。
【請求項6】
前記主集電体に転写した後の前記電極材を加熱して乾燥させる乾燥部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の電極材乾燥装置。
【請求項7】
前記乾燥部での加熱温度は前記中間加熱部での加熱温度より低いことを特徴とする請求項6に記載の電極材乾燥装置。
【請求項8】
副集電体に溶媒を含む電極材を塗布する塗布工程と、
前記副集電体に塗布された前記電極材を飽和蒸気気圧が100mmHg以上500mmHg以下となる温度に加熱する中間加熱工程と、
前記中間加熱工程で乾燥させた前記電極材を前記副集電体から主集電体に転写する転写工程と、
を備えることを特徴とする電極材乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−216227(P2011−216227A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81014(P2010−81014)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】