説明

電気コネクタ、電気コネクタ組立体、電気コネクタ形成基板および電気コネクタの製造方法

【課題】電気コネクタの製造時における部品点数を削減し、製造の効率化または容易化を図り、また、電気コネクタにおける信号の高速伝送特性の劣化を抑制する。
【解決手段】電気コネクタ1のうち導電材料により形成された部分、すなわち、内側端子3、外側端子4、附属端子5、リード6、7、8、特性インピーダンス調整部9を、1枚の電気コネクタ形成基板を折り曲げることにより形成する。これにより、電気コネクタ1のうち導電材料により形成された部分を単一の部品に集約することができ、製造時において部品点数を削減することができる。また、特性インピーダンス調整部9を設けることにより、電気コネクタ1における特性インピーダンスを適切に調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ、電気コネクタがキャリアから切り離される前の電気コネクタ組立体、電気コネクタのうち導電性を有する部分が展開された電気コネクタ形成基板、および電気コネクタ形成基板を用いた電気コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば回路基板に同軸ケーブルを接続するための同軸型の電気コネクタは、一般に、ハウジングと、同軸ケーブルの内部導体と回路基板の信号ラインとの間を電気的に接続するための内側端子と、同軸ケーブルの外部導体とグランドとの間を電気的に接続するための外側端子とを備えている。ハウジング内において、外側端子は内側端子の外周側に配置され、両端子は、両者間の絶縁状態が確保された状態で位置決め固定されている。このような構造上、同軸型の電気コネクタは、通常、少なくともハウジング、内側端子および外側端子の、それぞれ分離した3つの部品から構成される。
【0003】
ところで、電気コネクタにおいては、その製造の容易化・効率化、製造工数の削減、部品点数の削減等が要請される。
【0004】
例えば、下記の特許文献1に記載された同軸型の電気コネクタは、ハウジングと、内側端子に相当する内導体端子と、外側端子に相当する外導体端子と、ハウジング内において内導体端子と外導体端子とを両者間が絶縁された状態で位置決め固定する筒状の誘電体とを備えており、当該電気コネクタの製造は、筒状の誘電体の内部に内導体端子を圧入する工程と、このようにして組み合わされた内導体端子および誘電体を外導体端子内に挿入する工程と、およびこのようにして組み合わされた内導体端子、誘電体および外導体端子をハウジングに組み付ける工程とを要する。このように、特許文献1に記載された電気コネクタは、その製造において、圧入・挿入により2つ以上の部品を互いに組み付ける工程が多いため、製造の容易化・効率化を高めることが困難であり、製造工数または部品点数の削減も容易でない。
【0005】
一方、下記の特許文献2に記載された同軸型の電気コネクタは、アウターハウジングと、内側端子に相当するインナー端子と、外側端子に相当するアウター端子と、インナー端子とアウター端子との間に介在するインナーハウジングとを備えている。そして、当該電気コネクタは、キャリアから未分離の状態のインナー端子と、キャリアから未分離の状態のアウター端子とを互いに所定の位置関係となるように配置し、その状態で、インナー端子とアウター端子とを金型内に設置し、この金型内に合成樹脂を注入してフープ成形を行い、最後に、インナー端子およびアウター端子とそれぞれのキャリアとの間を切断することにより製造される。このように、特許文献2に記載された電気コネクタは、圧入・挿入により2つ以上の部品を互いに組み付ける工程がない点で、特許文献1に記載された電気コネクタと比較して、製造の効率性が高いといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−59761号公報
【特許文献2】特開2011−100660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された電気コネクタも、特許文献2に記載された電気コネクタも、その製造時において、内側端子に相当する端子と、外側端子に相当する端子とが相互に分離した別々の部品として供給され、これら2つの部品を組み合わせることにより製造される。このため、上述したいずれの電気コネクタにおいても、製造時において取り扱う部品の点数が多いという問題があり、また、内側端子に相当する端子と外側端子に相当する端子とを組み合わせる工程が必要となるため製造工数の削減もしくは製造の効率化・容易化が困難であるという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献2に記載された電気コネクタにおいては、圧入・挿入により2つ以上の部品を互いに組み付ける工程を排除するためか、インナー端子がアウター端子により十分に覆われておらず、この結果、信号の高速伝送特性が劣化してしまうおそれがあるという問題がある。
【0009】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、製造時における部品点数を削減することができ、製造の効率化または容易化を図ることができる電気コネクタ、電気コネクタ組立体、電気コネクタ形成基板および電気コネクタの製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の課題は、製造時における部品点数を削減しつつも、信号の高速伝送特性の劣化を抑制することができる電気コネクタ、電気コネクタ組立体、電気コネクタ形成基板および電気コネクタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の電気コネクタは、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードとを備え、前記内側端子および前記第1のリードは1枚の第1の導電板により一体形成され、前記内側端子は前記第1の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、前記内側端子の径寸法が前記第1の導電板の厚さおよび前記間隙の大きさにより所定の寸法に設定され、前記外側端子および前記第2のリードは前記第1の導電板と同一の厚さを有する1枚の第2の導電板により一体形成され、前記外側端子は前記第2の導電板の一部を前記略筒状に折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の電気コネクタによれば、電気コネクタのうち、導電材料により形成される部分、すなわち、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを、導電材料からなる1枚の基板を折り曲げるだけで形成することができる。
【0013】
具体的に説明すると、まず、展開された内側端子および第1のリードがプレス加工等により成形された第1の導電板と、展開された外側端子および第2のリードがプレス加工等により成形された第2の導電板との双方がキャリア部に連結された電気コネクタ形成基板を用意する。ここで、上記電気コネクタにおいて第1の導電板と第2の導電板とは同一の厚さを有するので、これらを1枚の基板を用いて形成することができる。すなわち、展開された内側端子および第1のリードが形取られた第1の導電板と、展開された外側端子および第2のリードが形取られた第2の導電板とがキャリア部を介して連結された電気コネクタ形成基板を、1枚の基板にプレス加工を施すことにより形成することができる。
【0014】
次に、電気コネクタ形成基板を折り曲げることにより、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを形成する。この折り曲げ作業は、第1の導電板と第2の導電板がキャリア部に連結された状態のままで行う。
【0015】
この折り曲げ作業において、まず、電気コネクタ形成基板の第1の導電板の一部を折り曲げることにより、略棒状の内側端子を形成する。具体的には、第1の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより内側端子を形成する。ここで、内側端子について、一方向における径寸法をM1とし、当該一方向に直交する他方向における径寸法をM2とし、内側端子の長さ寸法をM3とすると、径寸法M2および長さ寸法M3はプレス加工された第1の導電板の形状により定まる。一方、径寸法M1は、第1の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより設定される。例えば、第1の導電板の一部を間隙を介して2つ折りにした場合には、径寸法M1は、第1の導電板(電気コネクタ形成基板)の厚さ寸法の2倍に間隙の寸法を加えた値となる。
【0016】
次に、電気コネクタ形成基板の第2の導電板の一部を折り曲げることにより、周部の一部が離間した略筒状の外側端子を形成する。
【0017】
次に、外側端子が内側端子の外周側に配置されるように、第1の導電板および第2の導電板の双方または一方を折り曲げる。ここで、外側端子を内側端子の外周側に配置させるためには、内側端子を略筒状の外側端子の内部に入り込ませる必要がある。外側端子の形状は略筒状であるものの、その周部が一部離間している。したがって、外側端子の周部の離間した部分を内側端子が通過するように第1の導電板または第2の導電板を折り曲げることにより、内側端子を外側端子の内部に入り込ませることができる。
【0018】
なお、折り曲げ作業が完了した後は、内側端子、第1のリードの一部、外側端子および第2のリードの一部の周囲に、射出成形等により樹脂製のハウジングを形成し、その後、キャリア部を取り除く。これにより、電気コネクタが完成する。
【0019】
このように、本発明の第1の電気コネクタによれば、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを、1枚の電気コネクタ形成基板を折り曲げるだけで形成することができるので、製造時において、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリード、すなわち電気コネクタのうち導電材料により形成される部分を1枚の基板、すなわち単一の部品に集約することができる。したがって、製造時において取り扱う部品の点数を削減することができる。また、折り曲げ作業のみで内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを形成することができるので、製造工数を削減することができ、製造の効率化・容易化を図ることができる。
【0020】
また、本発明の第1の電気コネクタにおいて、内側端子は第1の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、内側端子の径寸法M1が第1の導電板(電気コネクタ形成基板)の厚さおよび間隙の大きさにより所定の寸法に設定されている。これにより、第1の導電板の一部を間隔を介して折り曲げて内側端子を形成する際に、その間隔の大きさをどのように設定するかにより、内側端子の径寸法M1を任意に設定することができる。また、上述したように、内側端子の径寸法M2および長さ寸法M3はプレス加工された第1の導電板をどのような形状にするかにより任意に設定することができる。したがって、本発明の第1の電気コネクタによれば、電気コネクタにおいて導電材料により形成される部分を1枚の電気コネクタ形成基板により形成することとしても、内側端子の径寸法、特に径寸法M1を、当該電気コネクタ形成基板の厚さ寸法に拘束されずに任意に設定することができる。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の第2の電気コネクタは、上述した本発明の第1の電気コネクタにおいて、前記内側端子は、細長板状に形成された第1の内側端子片と、細長板状に形成され、前記第1の内側端子片と間隙を介して向かい合う第2の内側端子片と、前記第1の内側端子片と前記第2の内側端子片との間の間隙を保持するために、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの少なくとも一方に形成され、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に向けて突出し、その突出端部が前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に接触する間隙保持部とを備えていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第2の電気コネクタによれば、内側端子の径寸法M1を間隔保持部により高精度に設定することができる。また、間隙保持部を第1の内側端子片と第2の内側端子片との間の適切な位置に配置することにより、間隙保持部が配置された部分においては第1の内側端子片と第2の内側端子片との間の間隔を一定に保持することができ、間隙保持部が配置されていない部分においては、第1の内側端子片および第2の内側端子片の撓みにより第1の内側端子片と第2の内側端子片との間の間隔が縮小することを許すことができる。これにより、内側端子の径寸法が部分的に縮小するように内側端子を弾性変形させることができる。したがって、電気コネクタが相手方コネクタと接続される際に、電気コネクタの内側端子を、これに対応する相手方コネクタの端子に圧入状態で装着させることができ、両端子の接続の確実性を高めることができる。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の第3の電気コネクタは、上述した本発明の第1または第2の電気コネクタにおいて、当該電気コネクタにおける特性インピーダンスを調整するために、一側が前記第1のリードと前記第2のリードとの間に配置され、他側が前記第1のリードおよび前記第2のリードのうちのいずれか一方に接続された特性インピーダンス調整部を備え、前記特性インピーダンス調整部は、当該特性インピーダンス調整部が前記第1のリードに接続されている場合には前記第1の導電板を折り曲げることにより形成され、当該特性インピーダンス調整部が前記第2のリードに接続されている場合には前記第2の導電板を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の第3の電気コネクタによれば、特性インピーダンス調整部により、電気コネクタの特性インピーダンスを調整し、高周波信号の高速伝送特性の劣化を抑制することができる。しかも、特性インピーダンス調整部は第1の導電板または第2の導電板を折り曲げることにより形成されるので、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードと共に1枚の電気コネクタ形成基板の一部として特性インピーダンス調整部を形成することができ、それゆえ、製造時における部品点数を削減することができる。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の第4の電気コネクタは、上述した本発明の第1ないし第3のいずれかの電気コネクタにおいて、前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された附属端子と、一端側が前記ハウジング内において前記附属端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第3のリードとを備え、前記附属端子および前記第3のリードは前記第1の導電板と同一の厚さを有する1枚の第3の導電板により一体形成され、前記附属端子は前記第3の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、前記附属端子の径寸法が前記第3の導電板の厚さおよび前記間隙の大きさにより所定の寸法に設定されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の第4の電気コネクタにおいて、第3の導電板が第1の導電板の厚さおよび第2の導電板の厚さと同じ厚さを有するので、第1、第2および第3の導電板を1枚の基板を用いて形成することができる。これにより、内側端子、第1のリード、外側端子、第2のリード、附属端子および第3のリードを1枚の基板を折り曲げるだけで形成することができる。
【0027】
また、附属端子のある方向の径寸法をN1とすると、附属端子は第3の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、附属端子の径寸法N1が第3の導電板の厚さおよび間隙の大きさにより所定の寸法に設定されている。これにより、第3の導電板の一部を間隙を介して折り曲げて附属端子を形成する際に、その間隙の大きさをどのように設定するかにより、附属端子の径寸法N1を任意に設定することができる。したがって、内側端子と附属端子とが単一の基板を折り曲げることにより形成されているにも拘わらず、内側端子の径寸法M1と附属端子の径寸法N1とを互いに異ならせることができる。
【0028】
これにより、例えば、内側端子が信号端子であり、附属端子が電源端子であり、信号端子と電源端子とで径寸法が互いに異なる構成を有する電源端子付き電気コネクタを実現することができ、しかも、このような電源端子付き電気コネクタの製造時における部品点数を削減でき、製造の効率性・容易性を高めることができる。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の電気コネクタ組立体は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードと、前記第1のリードの他端側および前記第2のリードの他端側が接続されたキャリア部とを備え、前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリード、前記第2のリードおよび前記キャリア部は1枚の導電板により一体形成され、前記内側端子は前記導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、前記内側端子の径寸法が前記導電板の厚さおよび前記間隙の大きさにより所定の寸法に設定され、前記外側端子は前記導電板の一部を前記略筒状に折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明の電気コネクタ組立体において、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを、1枚の導電板を折り曲げるだけで形成することができる。そして、電気コネクタ組立体からキャリア部を切り離すことで、電気コネクタが完成する。
【0031】
上記課題を解決するために、本発明の第1の電気コネクタ形成基板は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードとを備えた電気コネクタを形成するための電気コネクタ形成基板であって、導電材料からなる1枚の基板により形成され、前記基板には、一部を折り曲げることにより前記内側端子および前記第1のリードとなる第1の導電板部と、一部を折り曲げることにより前記外側端子および前記第2のリードとなる第2の導電板部と、前記第1の導電板部と前記第2の導電板部とを接続するキャリア部とが形成されていることを特徴とする。
【0032】
本発明の第1の電気コネクタ形成基板によれば、電気コネクタのうち導電材料により形成される部分、すなわち、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを、1枚の基板(導電板材)を折り曲げるだけで形成することが可能になる。したがって、電気コネクタにおいて導電材料により形成される部分を1枚の基板、すなわち単一の部品に集約することができる。よって、製造時において取り扱う部品の点数を削減することができる。
【0033】
上記課題を解決するために、本発明の第2の電気コネクタ形成基板は、上述した本発明の第1の電気コネクタ形成基板において、前記第1の導電板部は、前記内側端子となる内側端子形成部と、前記第1のリードとなる第1のリード形成部とを備え、前記内側端子形成部は前記第1のリード形成部を介して前記キャリア部に連結され、前記第2の導電板部は、前記外側端子となる外側端子形成部と、前記第2のリードとなる第2のリード形成部とを備え、前記外側端子形成部は前記第2のリード形成部を介して前記キャリア部に連結されていることを特徴とする。
【0034】
本発明の第2の電気コネクタ形成基板によれば、完成後の電気コネクタにおいて互いに電気的に分離されることとなる内側端子と外側端子とを、製造時において1つの部品に集約することができ、製造時における部品点数を減らすことができる。
【0035】
上記課題を解決するために、本発明の第3の電気コネクタ形成基板は、上述した本発明の第2の電気コネクタ形成基板において、前記内側端子は、細長板状に形成された第1の内側端子片と、細長板状に形成され、前記第1の内側端子片と間隙を介して向かい合う第2の内側端子片と、前記第1の内側端子片と前記第2の内側端子片との間の前記間隙を保持するために、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの少なくとも一方に形成され、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に向けて突出し、その先端部が前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に接触する間隙保持部とを備え、前記内側端子形成部には、前記第1の内側端子片となる第1の内側端子片形成部と、前記第2の内側端子片となる第2の内側端子片形成部と、前記間隙保持部となる間隙保持形成部とが形成されていることを特徴とする。
【0036】
本発明の第3の電気コネクタ形成基板によれば、製造時において、第1の内側端子片形成部と第2の内側端子片形成部とが互いに向かい合うように、内側端子形成部を折り曲げることにより内側端子を形成することができる。また、内側端子形成部を折り曲げたとき、第1の内側端子片形成部と第2の内側端子片形成部との間に間隙保持部が配置されるので、電気コネクタ完成後においては、間隙保持部により内側端子の径寸法M1を高精度に設定することができる。
【0037】
また、間隙保持部が第1の内側端子片と第2の内側端子片との間の適切な位置に配置されるように、電気コネクタ形成基板における関節保持形成部の位置を適切に設定すれば、完成後の電気コネクタにおいて、間隙保持部が配置された部分においては第1の内側端子片と第2の内側端子片との間の間隔を一定に保持することができ、間隙保持部が配置されていない部分においては、第1の内側端子片および第2の内側端子片の撓みにより第1の内側端子片と第2の内側端子片との間の間隔が縮小することを許すことができる。これにより、内側端子の径寸法が部分的に縮小するように内側端子を弾性変形させることができる。したがって、電気コネクタが相手方コネクタと接続される際に、電気コネクタの内側端子を、これに対応する相手方コネクタの端子に圧入状態で装着させることができ、両端子の接続の確実性を高めることができる。
【0038】
上記課題を解決するために、本発明の第4の電気コネクタ形成基板は、上述した本発明の第2または第3の電気コネクタ形成基板において、前記電気コネクタは、当該電気コネクタにおける特性インピーダンスを調整するために、一側が前記第1のリードと前記第2のリードとの間に配置され、他側が前記第1のリードおよび前記第2のリードのうちのいずれか一方に接続された特性インピーダンス調整部を備え、前記第1のリード形成部または第2のリード形成部には、前記特性インピーダンス調整部となる特性インピーダンス調整形成部が形成されていることを特徴とする。
【0039】
本発明の第4の電気コネクタ形成基板によれば、完成後の電気コネクタにおいて、特性インピーダンス調整部により、電気コネクタの特性インピーダンスを調整し、高周波信号の高速伝送特性の劣化を抑制することができる。また、製造時においては、特性インピーダンス調整形成部が内側端子形成部、第1のリード形成部、外側端子形成部および第2のリード形成部と共に1枚の電気コネクタ形成基板の一部として形成されているので、部品点数を削減することができる。
【0040】
上記課題を解決するために、本発明の第1の電気コネクタの製造方法は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードとを備えた電気コネクタの製造方法であって、前記内側端子および前記第1のリードとなる第1の導電板部と、前記外側端子および前記第2のリードとなる第2の導電板部と、前記第1の導電板部と前記第2の導電板部とを接続するキャリア部とが形成された導電材料からなる1枚の電気コネクタ形成基板を成形する基板成形工程と、前記電気コネクタ形成基板の前記第1の導電板部および前記第2の導電板部をそれぞれ折り曲げることにより、前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリードおよび前記第2のリードを形成する折り曲げ工程と、前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリードの一部、および前記第2のリードの一部の周囲に前記ハウジングを成形するハウジング成形工程と、前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリード、前記第2のリードおよび前記ハウジングを備えた構造体を前記キャリア部から分離する分離工程とを備えていることを特徴とする。
【0041】
本発明の第1の電気コネクタの製造方法によれば、1枚の電気コネクタ形成基板を折り曲げるだけで、内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを形成することができる。したがって、電気コネクタにおいて導電材料により形成される部分を単一の部品に集約することができ、製造時における部品点数を削減することができる。
【0042】
また、折り曲げ作業のみで内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードを形成し、また、折り曲げられた内側端子、第1のリード、外側端子および第2のリードの周囲にハウジングを成形するので、内側端子や外側端子など、2つ以上の部品を互いに圧入し、または挿入する工程が不要になる。したがって、電気コネクタの製造工数の削減、および製造の効率化・容易化を図ることができる。
【0043】
上記課題を解決するために、本発明の第2の電気コネクタの製造方法は、上述した本発明の第1の電気コネクタの製造方法において、前記電気コネクタ形成基板において、前記第1の導電板部は、前記内側端子となる内側端子形成部と、前記第1のリードとなる第1のリード形成部とを備え、前記内側端子形成部は前記第1のリード形成部を介して前記キャリア部に連結され、前記第2の導電板部は、前記外側端子となる外側端子形成部と、前記第2のリードとなる第2のリード形成部とを備え、前記外側端子形成部は前記第2のリード形成部を介して前記キャリア部に連結され、前記電気コネクタ形成基板の表面を基準平面とすると、前記第1の導電板部および前記第2の導電板部は前記基準平面内において互いに隣り合う位置となるように前記キャリア部にそれぞれ連結され、前記折り曲げ工程は、前記外側端子形成部を、周部の一部が離間した略筒状となるように折り曲げる第1の曲げ加工工程と、前記内側端子形成部、および前記第1の曲げ加工工程において折り曲げられた前記外側端子形成部が同一の方向に向くように、前記第1の導電板部および第2の導電板部を前記基準平面に対してそれぞれ折り曲げる第2の曲げ加工工程とを備え、前記第2の曲げ加工工程において、前記内側端子形成部が前記外側端子形成部の周部の離間した部分を通過して前記外側端子形成部の内側に入り込み、この結果、前記内側端子形成部と前記外側端子形成部との位置関係が、前記内側端子形成部の外周側に前記外側端子形成部が配置されるといった位置関係になることを特徴とする。
【0044】
本発明の第2の電気コネクタの製造方法によれば、内側端子の外周側に外側端子が配置されるといった同軸構造を、1枚の電気コネクタ形成基板を折り曲げるだけで形成することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、電気コネクタの製造時における部品点数を削減することができ、製造の効率化または容易化を図ることができる。また、製造時における部品点数を削減しつつも、電気コネクタにおける信号の高速伝送特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態による電気コネクタを示す正面図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向から見た電気コネクタの断面図である。
【図3】図1中の電気コネクタを示す背面図である。
【図4】ハウジングが形成される前の状態の本発明の実施形態による電気コネクタを示す正面図である。
【図5】本発明の実施形態による電気コネクタにおける内側端子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態による電気コネクタにおける附属端子を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態による電気コネクタ形成基板を示す正面図である。
【図8】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において、図7中の矢示VIII−VIII方向から見た内側端子形成部が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において、図7中の矢示IX−IX方向から見た特性インピーダンス調整形成部が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において、図7中の矢示X−X方向から見た附属端子形成部が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において内側端子形成工程、特性インピーダンス調整部形成工程および附属端子形成工程を経た後の電気コネクタ形成基板を示す正面図である。
【図12】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において、図11中の矢示XII−XII方向から見た外側端子形成部が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において外側端子形成工程を経た後の電気コネクタ形成基板を示す正面図である。
【図14】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において外側端子位置設定工程を経た後の電気コネクタ形成基板を示す正面図である。
【図15】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において内側端子位置設定工程を経た後の電気コネクタ形成基板を示す正面図である。
【図16】本発明の実施形態による電気コネクタの製造方法において附属端子位置設定工程を経た後の電気コネクタ形成基板を示す正面図である。
【図17】図16中の電気コネクタ形成基板を示す平面図である。
【図18】本発明の実施形態による電気コネクタ組立体を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0048】
(電気コネクタ)
図1ないし図3は本発明の実施形態による電気コネクタを示している。図4は図1中の電気コネクタにおいてハウジングが形成される前の状態を示している。なお、説明の便宜上、X軸、X軸と直交するY軸、X軸およびY軸と直交するZ軸からなる3次元空間を想定し、X軸に平行な方向をX方向、Y軸に平行な方向をY方向、Z軸に平行な方向をZ方向という。
【0049】
図1において、本発明の実施形態による電気コネクタ1は、内部導体および外部導体を有する同軸ケーブルと電源ケーブルとが一体的に束ねられた複合ケーブルを回路基板に着脱可能に接続するためのコネクタである。説明の便宜上、表面がX−Z平面と平行となるように置かれた回路基板上に電気コネクタ1が載置されるものとする。電気コネクタ1は、ハウジング2、内側端子3、外側端子4、附属端子5、3本のリード6、7、8、および特性インピーダンス調整部9を備えている。
【0050】
ハウジング2は樹脂等の絶縁材料により形成されている。ハウジング2には、上記複合ケーブルの端部に固定されたコネクタ(以下、これを「相手方コネクタ」という。)と嵌合する凹状の嵌合部11が形成されている。嵌合部11はZ方向に開口している。また、ハウジング2には、当該電気コネクタ1を回路基板上に位置決めするための2つのボス12が形成されている。各ボス12はY方向に伸長している。
【0051】
内側端子3は導電材料により略棒状またはピン状に形成されている。内側端子3は、ハウジング2の嵌合部11内に配置され、図2に示すようにZ方向に伸長している。相手方コネクタが嵌合部11に装着されたとき、内側端子3は、上記複合ケーブルの内部導体と電気的に接続される。なお、内側端子3は、例えば高周波信号を伝送するための信号端子として利用される。
【0052】
外側端子4は導電材料により略筒状、具体的には横断面が略四角形の略角状に形成されている。外側端子4は、ハウジング2の嵌合部11内において内側端子3の外周側に配置され、図2に示すように、内側端子3に対して平行な方向、すなわちZ方向に伸長している。また、外側端子4と内側端子3は図1に示すように同軸に配置されている。また、外側端子4は、図4に示すように、完全な筒状ではなく、その周部の一部が離間している。以下、外側端子4の周部の離間した部分を「離間部15」という。相手方コネクタが嵌合部11に装着されたとき、外側端子4は、上記複合ケーブルの外部導体と電気的に接続される。なお、外側端子4は例えばグランド端子またはシールド端子として利用される。
【0053】
附属端子5は導電材料により略棒状またはピン状に形成されている。附属端子5は、ハウジング2の嵌合部11内に配置されている。また、附属端子5は、図1に示すように、外側端子4の外側であって内側端子3および外側端子4と例えばX方向に離れた位置に配置されている。また、附属端子5は、図2に示すように、内側端子3に対して平行な方向、すなわちZ方向に伸長している。附属端子5は、例えば電源端子として利用される。相手方コネクタが嵌合部11に装着されたとき、附属端子5は、上記複合ケーブルにおける電源ケーブルの導体部と電気的に接続される。
【0054】
リード6は、その一端側がハウジング2内において内側端子3に接続され、他端側は図3に示すようにY方向に伸長し、ハウジング2外に露出している。リード6の他端側は例えば回路基板の信号ラインに接続される。リード7は、その一端側がハウジング2内において外側端子4に接続され、他端側はY方向に伸長し、ハウジング2外に露出している。リード7の他端側は例えば回路基板のグランドラインに接続される。リード8は、その一端側がハウジング2内において附属端子5に接続され、他端側はY方向に伸長し、ハウジング2外に露出している。リード8の他端側は例えば回路基板の電源ラインに接続される。また、内側端子3とリード6は両者の伸長方向が互いに直交しており、外側端子4とリード7は両者の伸長方向が互いに直交しており、附属端子5とリード8は両者の伸長方向が互いに直交している。
【0055】
特性インピーダンス調整部9は、電気コネクタ1における特性インピーダンスを調整する機能を有する。特性インピーダンス調整部9は、図4に示すように、リード6と同一の導電材料により形成され、その一側がリード6とリード7との間に配置され、他側がリード6に接続されている。具体的には、特性インピーダンス調整部9は、リード6の一部を、リード7側に接近するように拡張させることにより形成されている。なお、特性インピーダンス調整部9は、図1ないし図3に示すように、ハウジング2の内部に位置している。特性インピーダンス調整部9の形状、寸法または折り曲げ方をどのように設定するかにより、リード6(内側端子3)とリード7(外側端子4)との間の距離Kを調整することができ、電気コネクタ1の特性インピーダンスを調整することができる。これにより、電気コネクタ1における高周波信号の高速伝送特性の劣化を抑制することができる。
【0056】
(内側端子)
図5は内側端子3を示している。図5(1)または(2)に示すように、内側端子3は、細長板状に形成された内側端子片21と、細長板状に形成され、内側端子片21と間隙23を介して向かい合う内側端子片22と、これら内側端子片21、22の基端側を互いに連結する連結部24と、内側端子片21、22間の間隙23を保持する間隙保持部25、26、27、28、29とから構成されている。内側端子3は、後述するように、内側端子片21、22、連結部24、および間隙保持部25、26、27、28、29に相当する部分を導電材料からなる1枚の基板にそれぞれ成形し、当該基板において連結部24に相当する部分を、内側端子片21、22が間隙23を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成される。
【0057】
内側端子3において、X方向における径寸法Mx、Y方向における径寸法My、および長さ寸法Mzのうち、X方向における径寸法Mxは、内側端子片21、22、連結部24、および間隙保持部25、26、27、28、29に相当する部分が成形された上記基板の厚さおよび間隙23の大きさにより所定の寸法に設定されている。すなわち、図5(2)に示すように、上記基板の厚さをDとし、間隙23の大きさをEとすると、内側端子3の径寸法Mxは2D+Eである。したがって、内側端子3の径寸法Mxは、間隙Eの大きさを調整することにより任意に設定することができる。そして、間隙Eの大きさは、上記基板における折り曲げ位置をどのように設定するかにより調整することができる。なお、径寸法Myおよび長さ寸法Mzは、上記基板において内側端子片21、22に相当する部分の形状をどのような形状にするかにより任意に設定することができる。
【0058】
また、内側端子3の基端側において、間隙保持部25は内側端子片21形成され、内側端子片22に向けて突出し、その突出端部が内側端子片22に接触している。また、内側端子3の基端側において、間隙保持部26、27は内側端子片22に形成され、内側端子片21に向けて突出し、その突出端部が内側端子片21に接触している。
【0059】
また、内側端子3の先端側において、間隙保持部28は内側端子片21形成され、内側端子片22に向けて突出し、その突出端部が内側端子片22(間隙保持部29の突出端部)に接触している。また、内側端子3の先端側において、間隙保持部29は内側端子片22形成され、内側端子片21に向けて突出し、その突出端部が内側端子片21(間隙保持部28の突出端部)に接触している。
【0060】
間隙保持部25、26、27、28、29により、内側端子3の径寸法Mxを高精度に設定することができる。また、間隙保持部25、26、27を内側端子片21、22の基端側に配置し、間隙保持部28、29を内側端子片21、22の先端側に配置することにより、間隙保持部25、26、27、28、29が配置された部分においては内側端子片21、22間の間隔を一定に保持することができ、間隙保持部25、26、27、28、29が配置されていない部分においては、内側端子片21、22の撓みにより内側端子片21、22間の間隔が縮小することを許すことができる。これにより、内側端子3の径寸法Mxが部分的に縮小するように内側端子3を弾性変形させることができる。したがって、電気コネクタ1が相手方コネクタと接続される際に、電気コネクタ1の内側端子を、これに対応する相手方コネクタの端子に圧入状態で装着させることができ、両端子の接続の確実性を高めることができる。
【0061】
また、内側端子3の基端側に配置された間隙保持部25、26、27は、ハウジング2を成形する際に、ハウジング2の材料である樹脂が間隙23に入り込むのを抑制する機能を有する。これにより、ハウジング2の成形後も間隙23が空隙として維持されるので、内側端子片21、22の撓みによる内側端子3の径方向における弾性変形を確実に実現することができる。
【0062】
(附属端子)
図6は附属端子5を示している。図6(1)または(2)に示すように、附属端子5は、細長板状に形成された附属端子片31と、細長板状に形成され、附属端子片31と間隙33を介して向かい合う附属端子片32と、これら附属端子片31、32の基端側を互いに連結する連結部34と、附属端子片31、32間の間隙33を保持する間隙保持部35、36、37、38とから構成されている。附属端子5は、後述するように、附属端子片31、32、連結部34、および間隙保持部35、36、37、38に相当する部分を導電材料からなる1枚の基板にそれぞれ成形し、当該基板において連結部34に相当する部分を、附属端子片31、32が間隙33を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成される。
【0063】
附属端子5において、X方向における径寸法Nx、Y方向における径寸法Ny、および長さ寸法Nzのうち、Y方向における径寸法Nyは、附属端子片31、32、連結部34、および間隙保持部35、36、37、38に相当する部分が成形された上記基板の厚さおよび間隙33の大きさにより所定の寸法に設定されている。すなわち、図6(2)に示すように、上記基板の厚さをDとし、間隙33の大きさFとすると、附属端子5のY方向における径寸法Myは2D+Fである。したがって、附属端子5の径寸法Nyは、間隙Fの大きさを調整することにより任意に設定することができる。そして、間隙Fの大きさは、上記基板における折り曲げ位置をどのように設定するかにより調整することができる。なお、径寸法Nxおよび長さ寸法Nzは、上記基板において附属端子片31、32に相当する部分の形状をどのような形状にするかにより任意に設定することができる。
【0064】
また、附属端子5の基端側において、間隙保持部35は附属端子片31に形成され、附属端子片32に向けて突出し、その突出端部が附属端子片32(間隙保持部36の突出端部)に接触している。また、附属端子5の基端側において、間隙保持部36は附属端子片32に形成され、附属端子片31に向けて突出し、その突出端部が附属端子片31(間隙保持部35の突出端部)に接触している。
【0065】
また、附属端子5の先端側において、間隙保持部37は附属端子片31に形成され、附属端子片32に向けて突出し、その突出端部が附属端子片32(間隙保持部38の突出端部)に接触している。また、附属端子5の先端側において、間隙保持部38は附属端子片32に形成され、附属端子片31に向けて突出し、その突出端部が附属端子片31(間隙保持部37の突出端部)に接触している。
【0066】
間隙保持部35、36、37、38により、附属端子5の径寸法Nyを高精度に設定することができる。また、間隙保持部35、36を附属端子片31、32の基端側に配置し、間隙保持部37、38を内側端子片31、32の先端側に配置することにより、附属端子5の径寸法Nyが部分的に縮小するように附属端子5を弾性変形させることができる。したがって、附属端子5を、これに対応する相手方コネクタの端子に圧入状態で装着させることができ、両端子の接続の確実性を高めることができる。
【0067】
また、附属端子5の基端側に配置された間隙保持部35、36により、ハウジング2の成形時に、ハウジング2の材料である樹脂が間隙33に入り込むのを抑制することができ、これにより、ハウジング2の成形後においても隙間33を空隙として維持し、附属端子片31、32の撓みによる附属端子5の径方向における弾性変形を確実に実現することができる。
【0068】
また、図4に示すように、電気コネクタ1において、附属端子5とリード8とが接続された部分が、Z方向に伸長する軸を基準に90度折り曲げられている。これにより、Z方向に伸長する軸を基準とする周方向において、内側端子3と附属端子5とで向きが互いに90度異なっている。この結果、内側端子3においては、間隙23の大きさEを調整することにより任意に設定することができる内側端子3の径寸法が、X方向における径寸法Mxであるのに対し、附属端子5においては、間隙33の大きさFを調整することにより任意に設定することができる附属端子5の径寸法が、Y方向における径寸法Nyである。この構成によれば、内側端子3の横断面形状と附属端子5の横断面形状とを互いに大きく異ならせることができる。したがって、例えば、規格その他の取り決めにより、信号端子の横断面形状と電源端子の横断面形状とが大きく異なる場合でも、それに適合した電気コネクタ1を実現することができる。
【0069】
(電気コネクタ形成基板)
図7は電気コネクタ形成基板を示している。図7において、電気コネクタ形成基板41は、電気コネクタ1のうち導電材料により形成されている部分、すなわち、内側端子3、外側端子4、附属端子5、リード6、7、8、および特性インピーダンス調整部9を形成するために、所定の形状に成形された1枚の基板である。電気コネクタ1のうち導電材料により形成されたこれらの部分は、1枚の電気コネクタ形成基板41を折り曲げることにより形成される。
【0070】
電気コネクタ形成基板41は、所定の一定の厚さD(図5、図6参照)を有する導電材料からなる1枚の基板により形成されている。説明の便宜上、電気コネクタ形成基板41は、その表面がX−Y平面と平行となるように置かれているものとする。電気コネクタ形成基板41には、導電板部51(図7において二点鎖線Aで囲まれた部分)と、導電板部52(図7において二点鎖線Bで囲まれた部分)と、導電板部53(図7において二点鎖線Cで囲まれた部分)と、導電板部51、52、53を接続するキャリア部54とが形成されている。導電板部51、52はX−Y平面(基準平面)内において互いに隣り合う位置となるようにキャリア部54にそれぞれ接続され、導電板部51、53はX−Y平面内において互いに隣り合う位置となるようにキャリア部54にそれぞれ接続されている。
【0071】
導電板部51は、内側端子3となる内側端子形成部61と、リード6となるリード形成部62と、特性インピーダンス調整部9となる特性インピーダンス調整形成部63とを備えている。内側端子形成部61は、内側端子3を展開した形状を有している。すなわち、内側端子形成部61は、内側端子片21、22となる内側端子片形成部71、72と、連結部24となる連結形成部74とを有している。また、内側端子形成部61には間隙保持部25、26、27、28、29となる間隙保持形成部75、76、77、78、79が形成されている。内側端子形成部61は全体的に見てX方向に伸長している。リード形成部62はリード6の形状を有している。リード形成部62はY方向に伸長し、その一端側が内側端子形成部61に接続され、他端側がキャリア部54に接続されている。これにより、リード形成部62を介して内側端子形成部61はキャリア部54に連結されている。特性インピーダンス調整形成部63は、特性インピーダンス調整部9を展開した形状を有しており、リード形成部62に接続されている。
【0072】
導電板部52は、外側端子4となる外側端子形成部81と、リード7となるリード形成部82とを備えている。外側端子形成部81は、外側端子4を展開した形状を有しており、全体的に見て長方形である。リード形成部82はY方向に伸長し、その一端側が外側端子形成部81に接続され、他端側がキャリア部54に接続されている。これにより、リード形成部82を介して外側端子形成部81はキャリア部54に連結されている。
【0073】
導電板部53は、附属端子5となる附属端子形成部91と、リード8となるリード形成部92とを備えている。附属端子形成部91は、附属端子5を展開した形状を有している。すなわち、附属端子形成部91は、附属端子片31、32となる附属端子片形成部101、102と、連結部34となる連結形成部104とを有している。また、附属端子形成部91には間隙保持部35、36、37、38となる間隙保持形成部105、106、107、108が形成されている。附属端子形成部91は全体的に見てX方向に伸長している。リード形成部92はリード8の形状を有している。リード形成部92はY方向に伸長し、その一端側が附属端子形成部91に接続され、他端側がキャリア部54に接続されている。これにより、リード形成部92を介して附属端子形成部91はキャリア部54に連結されている。
【0074】
電気コネクタ形成基板41は、導電板部51における間隙保持形成部75ないし79、および導電板部53における間隙保持形成部105ないし108を除き、一定の厚さDを有する1枚の平板である。一方、導電板部51における間隙保持形成部75ないし79、および導電板部53における間隙保持形成部105ないし108は、プレス加工により、Z方向(図7において紙面奥側)に例えば数十マイクロメートル程度出っ張っている。
【0075】
(電気コネクタの製造方法)
図8ないし図18は電気コネクタ1の製造方法を示している。電気コネクタ1の製造方法において、まず、製造者は、図7に示す電気コネクタ形成基板41を成形する(基板成形工程)。すなわち、製造者は、内側端子形成部61(内側端子片形成部71、72、連結形成部74、間隙保持形成部75ないし79)、リード形成部62、特性インピーダンス調整形成部63、外側端子形成部81、リード形成部82、附属端子形成部91(附属端子片形成部101、102、連結形成部104、間隙保持形成部105ないし108)、リード形成部92等が形取られた金型を用いて、導電材料からなる1枚の基板(平板)にプレス加工を施し、電気コネクタ形成基板41を成形する。なお、電気コネクタ1の量産時には、導電材料からなる長尺な平板帯状の基板に、電気コネクタ形成基板41がX方向に一列に並ぶように複数成形される。
【0076】
続いて、製造者は、内側端子3を形成するために、電気コネクタ形成基板41における導電板部51の一部を、曲げプレス加工等の手段を用いて折り曲げる(内側端子形成工程)。すなわち、製造者は、導電板部51において、連結部形成部74を、図7中の破線gに沿うように、図7において紙面の奥側に向けて180度折り曲げ、図8に示すように、内側端子片形成部71、72を、間隙を介して互いに向かい合わせる。このとき、製造者は、間隙保持形成部75を内側端子片形成部72に接触させ、間隙保持形成部76、77を内側端子片形成部71に接触させ、間隙保持形成部78、79を互いに接触させる。
【0077】
続いて、製造者は、特性インピーダンス調整部9を形成するために、導電板部51の一部を折り曲げる(特性インピーダンス調整部形成工程)。すなわち、製造者は、導電板部51において、特性インピーダンス調整形成部63を、図7中の破線h、iに沿うように、図7において紙面の手前側に向けて折り曲げ、図9に示すように、特性インピーダンス調整形成部63の形状を略コ字状にする。
【0078】
続いて、製造者は、附属端子5を形成するために、導電板部53の一部を折り曲げる(附属端子形成工程)。すなわち、製造者は、導電板部53において、連結部形成部104を、図7中の破線jに沿うように、図7において紙面の奥側に向けて180度折り曲げ、図10に示すように、附属端子片形成部101、102を、間隙を介して互いに向かい合わせる。このとき、製造者は、間隙保持形成部105、106を互いに接触させ、間隙保持形成部107、108を互いに接触させる。その後、製造者は、附属端子片形成部101、102、連結形成部104等からなる附属端子形成部91全体を図7中の破線pに沿うように、図7において紙面の奥側に向けて90度折り曲げる。
【0079】
以上の内側端子形成工程、特性インピーダンス調整部形成工程および附属端子形成工程を経ると、電気コネクタ形成基板41は、図11に示す形状となる。
【0080】
続いて、製造者は、外側端子4を形成するために、導電板部52の一部を折り曲げる(外側端子形成工程)。すなわち、製造者は、導電板部52において、外側端子形成部81を、図11中の破線q、r、sに沿うように、図11において紙面の奥側に向けて90度ずつ折り曲げ、図12に示すように、外側端子形成部81の形状を、周部の一部が離間した略角筒状にする。ここで、外側端子形成部81の周部の離間した部分を「離間部93」という。この離間部93は、完成した電気コネクタ1における外側端子4の離間部15に対応する。外側端子形成工程を経ると、電気コネクタ形成基板41は、図13に示す形状となる。なお、外側端子形成工程は第1の曲げ加工工程の具体例である。
【0081】
続いて、製造者は、外側端子4の位置を設定するために、導電板部52の一部を折り曲げる(外側端子位置設定工程)。すなわち、製造者は、導電板部52において、リード形成部82を、図13中の破線tに沿うように、図13における紙面の奥側に向けて90度折り曲げる。これにより、略筒状に折り曲げられた外側端子形成部81が、リード部形成部82と共に、図13における紙面の奥側に向けて90度移動する。この結果、電気コネクタ形成基板41は、図14に示す形状となる。
【0082】
続いて、製造者は、内側端子3の位置を設定するために、導電板部51の一部を折り曲げる(内側端子位置設定工程)。すなわち、製造者は、導電板部51において、リード形成部62を、図14中の破線uに沿うように、図14における紙面の奥側に向けて90度折り曲げる。これにより、内側端子形成部61が、リード部形成部62と共に、図14における紙面の奥側に向けて90度移動する。この内側端子位置設定工程において、内側端子形成部61は外側端子形成部81の離間部93を通過して外側端子形成部81の内側に入り込み、この結果、図15に示すように、内側端子形成部61と外側端子形成部81との位置関係が、内側端子形成部61の外周側に外側端子形成部81が配置され、かつ両者の伸長方向が互いに平行であるといった位置関係、すなわち同軸の位置関係になる。また、このとき、特性インピーダンス調整形成部63もリード形成部62と共に90度移動する。なお、外側端子位置設定工程および内側端子位置設定工程は第2の曲げ加工工程の具体例である。
【0083】
続いて、製造者は、附属端子5の位置を設定するために、導電板部53の一部を折り曲げる(附属端子位置設定工程)。すなわち、製造者は、導電板部53において、リード形成部92を、図15中の破線vに沿うように、図15における紙面の奥側に向けて90度折り曲げる。これにより、附属端子形成部91が、リード部形成部92と共に、図15における紙面の奥側に向けて90度移動する。この結果、図16または図17に示すように、附属端子形成部91と内側端子形成部61(外側端子形成部81)との位置関係が、附属端子形成部91の伸長方向と内側端子形成部61(外側端子形成部81)と伸長方向が互いに平行であるといった位置関係になる。
【0084】
上記附属端子位置設定工程を経た後、電気コネクタ形成基板41は、図4に示すような形状となる。すなわち、この段階で、電気コネクタ形成基板41における内側端子形成部61(内側端子片形成部71、72、連結形成部74、間隙保持形成部75ないし79)、外側端子形成部81、附属端子形成部91(附属端子片形成部101、102、連結形成部104、間隙保持形成部105ないし108)、リード形成部62、82、92および特性インピーダンス調整形成部63が、内側端子3(内側端子片21、22、隙間23、連結部24、間隙保持部25ないし29)、外側端子4、附属端子5(内側端子片31、32、隙間33、連結部34、間隙保持部35ないし38)、リード6、7、8、および特性インピーダンス調整部9となる。
【0085】
続いて、製造者は、ハウジング2の成形用の金型を用い、射出成形により、内側端子3、外側端子4、附属端子5、リード6、7、8の一部、および特性インピーダンス調整部9の周囲にハウジング2を成形する(ハウジング成形工程)。ハウジング成形工程においては、内側端子3の基端側に配置された間隙保持部25、26、27により、ハウジング2の材料である樹脂が内側端子3の間隙23に入り込むことが抑制される。同様に、附属端子5の基端側に配置された間隙保持部35、36により、樹脂材料が附属端子5の間隙33に入り込むことが抑制される。ハウジング成形工程により、図18に示す電気コネクタ組立体121が形成される。
【0086】
電気コネクタ組立体121を形成した後、製造者は、切断工具を用いて、リード6、7、8とキャリア部54とを切り離す(分離工程)。キャリア部54が切り離されることにより、内側端子3、外側端子4および附属端子5が電気的に切断される。これにより、電気コネクタ1が完成する。
【0087】
以上、説明した通り、本発明の実施形態による電気コネクタ1によれば、電気コネクタ1のうち導電材料により形成された部分、すなわち、内側端子3、外側端子4、附属端子5、リード6、7、8を、1枚の電気コネクタ形成基板41を折り曲げるだけで形成することができる。これにより、電気コネクタ1の製造時において、電気コネクタ1のうち導電材料により形成される部分を単一の部品、すなわち1枚の電気コネクタ基板41に集約することができる。したがって、製造時において取り扱う部品の点数を削減することができ、また、製造工数を削減することができ、製造の効率化・容易化を図ることができる。
【0088】
また、本発明の実施形態による電気コネクタ1によれば、導電板部51の一部を間隙23を介して折り曲げることにより内側端子3を形成し、この間隙23の大きさを調整することにより内側端子3の径寸法Mxを任意に設定することができる。同様に、導電板部53の一部を間隙33を介して折り曲げることにより附属端子5を形成し、この間隙33の大きさを調整することにより附属端子5の径寸法Nyを任意に設定することができる。このように、内側端子3および附属端子5がいずれも一定の厚さDを有する1枚の電気コネクタ形成基板41により形成される場合であっても、内側端子3と附属端子5の径寸法または横断面形状を互いに異ならせることができる。
【0089】
また、本発明の実施形態による電気コネクタ1によれば、電気コネクタ1のうち導電材料により形成される部分を1枚の電気コネクタ形成基板41により形成する場合であっても、特性インピーダンス調整部9を設けることにより、電気コネクタ1の特性インピーダンスを適切に調整することができる。
【0090】
なお、上述した実施形態では、内側端子3、外側端子4および附属端子5を備えた電気コネクタ1を例にあげたが、本発明はこれに限らず、内側端子および外側端子のみを備えた同軸コネクタ、または内側端子、外側端子および2つ以上の附属端子を備えた電気コネクタにも適用することができる。さらに、本発明は、内側端子および外側端子からなる同軸端子組を2組以上備えた電気コネクタにも適用することができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、内側端子3、外側端子4および附属端子5を、信号端子、グラウド端子(またはシールド端子)および電源端子としてそれぞれ利用する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。各端子の用途は特に限定されない。また、本発明の電気コネクタは高周波信号用に限らない。
【0092】
また、上述した実施形態では、外側端子4の形状を略角筒状としたが、外側端子4の形状を略円筒状としもよい。
【0093】
また、上述した実施形態では、特性インピーダンス調整部9をリード6側に接続する場合を例にあげたが、特性インピーダンス調整部をリード7側に接続してもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、回路基板上に固定するタイプの電気コネクタ1を例にあげたが、本発明はこれに限らず、ケーブルの先端に固定するタイプの電気コネクタにも適用することができる。
【0095】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気コネクタ、電気コネクタ組立体、電気コネクタ形成基板および電気コネクタの製造方法もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 電気コネクタ
2 ハウジング
3 内側端子
4 外側端子
5 附属端子
6,7、8 リード
9 特性インピーダンス調整部
15 離間部
21、22 内側端子片
23 間隙
24 連結部
25、26、27、28、29 間隙保持部
31、32 附属端子片
33 間隙
34 連結部
35、36、37、38 間隙保持部
41 電気コネクタ形成基板
51、52、53 導電板部
54 キャリア部
61 内側端子形成部
62 リード形成部
63 特性インピーダンス調整形成部
71、72 内側端子片形成部
74 連結形成部
75、76、77、78、79 間隙保持形成部
81 外側端子形成部
82 リード形成部
91 附属端子形成部
92 リード形成部
93 離間部
101、102 附属端子片形成部
104 連結形成部
105、106、107、108 間隙保持形成部
121 電気コネクタ組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、
前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、
一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、
一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードとを備え、
前記内側端子および前記第1のリードは1枚の第1の導電板により一体形成され、前記内側端子は前記第1の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、前記内側端子の径寸法が前記第1の導電板の厚さおよび前記間隙の大きさにより所定の寸法に設定され、
前記外側端子および前記第2のリードは前記第1の導電板と同一の厚さを有する1枚の第2の導電板により一体形成され、前記外側端子は前記第2の導電板の一部を前記略筒状に折り曲げることにより形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記内側端子は、
細長板状に形成された第1の内側端子片と、
細長板状に形成され、前記第1の内側端子片と間隙を介して向かい合う第2の内側端子片と、
前記第1の内側端子片と前記第2の内側端子片との間の間隙を保持するために、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの少なくとも一方に形成され、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に向けて突出し、その突出端部が前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に接触する間隙保持部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
当該電気コネクタにおける特性インピーダンスを調整するために、一側が前記第1のリードと前記第2のリードとの間に配置され、他側が前記第1のリードおよび前記第2のリードのうちのいずれか一方に接続された特性インピーダンス調整部を備え、
前記特性インピーダンス調整部は、当該特性インピーダンス調整部が前記第1のリードに接続されている場合には前記第1の導電板を折り曲げることにより形成され、当該特性インピーダンス調整部が前記第2のリードに接続されている場合には前記第2の導電板を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された附属端子と、
一端側が前記ハウジング内において前記附属端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第3のリードとを備え、
前記附属端子および前記第3のリードは前記第1の導電板と同一の厚さを有する1枚の第3の導電板により一体形成され、前記附属端子は前記第3の導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、前記附属端子の径寸法が前記第3の導電板の厚さおよび前記間隙の大きさにより所定の寸法に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項5】
ハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、
前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、
一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、
一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードと、
前記第1のリードの他端側および前記第2のリードの他端側が接続されたキャリア部とを備え、
前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリード、前記第2のリードおよび前記キャリア部は1枚の導電板により一体形成され、
前記内側端子は前記導電板の一部を間隙を介して互いに向かい合うように折り曲げることにより形成され、前記内側端子の径寸法が前記導電板の厚さおよび前記間隙の大きさにより所定の寸法に設定され、
前記外側端子は前記導電板の一部を前記略筒状に折り曲げることにより形成されていることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項6】
ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードとを備えた電気コネクタを形成するための電気コネクタ形成基板であって、
導電材料からなる1枚の基板により形成され、前記基板には、一部を折り曲げることにより前記内側端子および前記第1のリードとなる第1の導電板部と、一部を折り曲げることにより前記外側端子および前記第2のリードとなる第2の導電板部と、前記第1の導電板部と前記第2の導電板部とを接続するキャリア部とが形成されていることを特徴とする電気コネクタ形成基板。
【請求項7】
前記第1の導電板部は、前記内側端子となる内側端子形成部と、前記第1のリードとなる第1のリード形成部とを備え、前記内側端子形成部は前記第1のリード形成部を介して前記キャリア部に連結され、
前記第2の導電板部は、前記外側端子となる外側端子形成部と、前記第2のリードとなる第2のリード形成部とを備え、前記外側端子形成部は前記第2のリード形成部を介して前記キャリア部に連結されていることを特徴とする請求項6に記載の電気コネクタ形成基板。
【請求項8】
前記内側端子は、細長板状に形成された第1の内側端子片と、細長板状に形成され、前記第1の内側端子片と間隙を介して向かい合う第2の内側端子片と、前記第1の内側端子片と前記第2の内側端子片との間の前記間隙を保持するために、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの少なくとも一方に形成され、前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に向けて突出し、その先端部が前記第1の内側端子片および前記第2の内側端子片のうちの他方に接触する間隙保持部とを備え、
前記内側端子形成部には、前記第1の内側端子片となる第1の内側端子片形成部と、前記第2の内側端子片となる第2の内側端子片形成部と、前記間隙保持部となる間隙保持形成部とが形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電気コネクタ形成基板。
【請求項9】
前記電気コネクタは、当該電気コネクタにおける特性インピーダンスを調整するために、一側が前記第1のリードと前記第2のリードとの間に配置され、他側が前記第1のリードおよび前記第2のリードのうちのいずれか一方に接続された特性インピーダンス調整部を備え、
前記第1のリード形成部または第2のリード形成部には、前記特性インピーダンス調整部となる特性インピーダンス調整形成部が形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の電気コネクタ形成基板。
【請求項10】
ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、略棒状に形成された内側端子と、前記ハウジング内において前記内側端子の外周側に設けられ、周部の一部が離間した略筒状に形成された外側端子と、一端側が前記ハウジング内において前記内側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第1のリードと、一端側が前記ハウジング内において前記外側端子に接続され、他端側が前記ハウジング外へ伸長した第2のリードとを備えた電気コネクタの製造方法であって、
前記内側端子および前記第1のリードとなる第1の導電板部と、前記外側端子および前記第2のリードとなる第2の導電板部と、前記第1の導電板部と前記第2の導電板部とを接続するキャリア部とが形成された導電材料からなる1枚の電気コネクタ形成基板を成形する基板成形工程と、
前記電気コネクタ形成基板の前記第1の導電板部および前記第2の導電板部をそれぞれ折り曲げることにより、前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリードおよび前記第2のリードを形成する折り曲げ工程と、
前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリードの一部、および前記第2のリードの一部の周囲に前記ハウジングを成形するハウジング成形工程と、
前記内側端子、前記外側端子、前記第1のリード、前記第2のリードおよび前記ハウジングを備えた構造体を前記キャリア部から分離する分離工程とを備えていることを特徴とする電気コネクタの製造方法。
【請求項11】
前記電気コネクタ形成基板において、前記第1の導電板部は、前記内側端子となる内側端子形成部と、前記第1のリードとなる第1のリード形成部とを備え、前記内側端子形成部は前記第1のリード形成部を介して前記キャリア部に連結され、前記第2の導電板部は、前記外側端子となる外側端子形成部と、前記第2のリードとなる第2のリード形成部とを備え、前記外側端子形成部は前記第2のリード形成部を介して前記キャリア部に連結され、前記電気コネクタ形成基板の表面を基準平面とすると、前記第1の導電板部および前記第2の導電板部は前記基準平面内において互いに隣り合う位置となるように前記キャリア部にそれぞれ連結され、
前記折り曲げ工程は、前記外側端子形成部を、周部の一部が離間した略筒状となるように折り曲げる第1の曲げ加工工程と、前記内側端子形成部、および前記第1の曲げ加工工程において折り曲げられた前記外側端子形成部が同一の方向に向くように、前記第1の導電板部および第2の導電板部を前記基準平面に対してそれぞれ折り曲げる第2の曲げ加工工程とを備え、
前記第2の曲げ加工工程において、前記内側端子形成部が前記外側端子形成部の周部の離間した部分を通過して前記外側端子形成部の内側に入り込み、この結果、前記内側端子形成部と前記外側端子形成部との位置関係が、前記内側端子形成部の外周側に前記外側端子形成部が配置されるといった位置関係になることを特徴とする請求項10に記載の電気コネクタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−77514(P2013−77514A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217931(P2011−217931)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】