説明

電気コネクタ

【課題】予め回路基板側に半田を供給する方法では対応できない、基板接続部間の狭ピッチ化を可能にするとともに、基板接続部間のピッチを狭ピッチ化し基板接続部の幅を狭くしても接続に必要な半田量を確保できる電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ1における電気端子20の基板接続部21は、回路基板50と対向する面22を有する。この面22上には、半田構造体30が設けられる。半田構造体30は、回路基板50と対向する面22の回路基板50側から見て楕円形状を有する立体形状に形成されると共に、楕円形状の長径方向が基板接続部21の長手方向に配され、かつ楕円形状の短径方向が基板接続部21の幅方向に配され、半田構造体30の楕円形状の長径が基板接続部21の幅よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に表面実装される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気コネクタを回路基板上に実装する技術として、ソルダーペースト印刷法が用いられている。このソルダーペースト印刷法は、回路基板上に形成された複数の導電パッドと同一ピッチの複数の開口部を備えたメタルマスクを用いる。ソルダーペースト印刷法においては、メタルマスクの開口部を回路基板上の導電パッドに位置合わせしてメタルマスクを回路基板上に載せ、クリーム半田をメタルマスク上から塗布する。これにより、開口部を介してクリーム半田が回路基板上の導電パッドに印刷される。そして、電気コネクタの実装に際し、メタルマスクを回路基板から除去し、電気コネクタの電気端子の基板接続部を印刷されたクリーム半田上に載せ、リフロー半田付けによって当該基板接続部を導電パッドに半田接続する。
【0003】
ところで、近年においては、電子機器の小型化に伴い、電気コネクタも小型化、高密度化の要請があり、複数の電気端子における基板接続部間の狭ピッチ化の要請がある。
しかしながら、前述したソルダーペースト印刷法を用いて電気コネクタを回路基板上に実装するやり方では、基板接続部間の狭ピッチ化には限界があった。例えば、基板接続部間のピッチが0.35mmより小さくなると、回路基板上に形成された複数の導電パッド上にクリーム半田を適切に印刷することができなかった。この理由は、基板接続部間が狭ピッチになると、クリーム半田が印刷される導電パッドのピッチが狭ピッチになるとともに、導電パッドの幅も小さくなる。これに対応して、メタルマスクの開口部のピッチ及び幅も小さくなる。すると、クリーム半田をメタルマスク上から塗布した後、メタルマスクを回路基板から除去する際、クリーム半田がメタルマスクの開口部に付着してしまい、導電パッド上に半田クリームが適切に印刷されないことがあるからである。
【0004】
一方、電気コネクタにおける電気端子の基板接続部を回路基板上の導電パッドに半田接続する際に、予め電気端子側に半田を取り付けておく方法がある。この方法によれば、基板接続部間の狭ピッチ化に対応することも可能になる。
従来のこの種の予め電気端子側に半田を取り付けておく方法として、例えば、図7に記載された技術が知られている(特許文献1参照)。図7は、従来例の電気端子の基板接続部に半田ボールを取り付けた状態の電気コネクタの模式図である。
【0005】
図7に示すように、電気コネクタ101において、ハウジング110に取り付けられた電気端子120の基板接続部121には、半田ボール130が取り付けられている。半田ボール130は、基板接続部121の幅よりも大きい直径を有する球状体で形成されている。半田ボール130の基板接続部121への取付けに際しては、最初に基板接続部121の下面を上にして固体の半田ボール130をその下面上に置く。次に、半田ボール130をリフロー半田付けにより一度溶融させた後、固化させることによって基板接続部121の下面に固着させる。このリフロー半田付けの際に、球状体の半田ボール130は、ハウジング110に形成された凹部111内に位置され、その位置が保持されている。このようにしないと、球状体の半田ボール130は、基板接続部121の下面上から転げ落ちてしまうからである。
そして、半田ボール130は、図示しない回路基板上に設けられた導電パッドにリフロー半田付けにより半田接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−300365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この図7に示した電気コネクタ101にあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1においては、電気端子120の基板接続部121間のピッチを狭ピッチ化した場合において、半田ボール130の形状等をどのようにするかについて全く考察されていない。
【0008】
図7に示す電気コネクタ101のように、基板接続部の幅よりも大きい直径を有する球状体で半田ボールを形成する場合、基板接続部へのリフロー半田付けに際し、ハウジング等の構造体に形成された凹部で半田ボールの位置を保持することが必要である。このようにしないと、球状体の半田ボールは、基板接続部の接続面から転げ落ちてしまうからである。しかし、このように、ハウジング等の構造体に形成された凹部で半田ボールを保持するようにすると、基板接続部を回路基板に半田接続した後において半田付け部をハウジングの外部から検査できないという欠点がある。
従って、ハウジングの外部から半田付け部を検査可能とするために、リフロー半田付け時に半田ボールの保持が不要なように球状体の直径を基板接続部の幅よりも小さくして基板接続部の接続面上に載せ、リフロー半田付けして固着することが考えられる。
【0009】
しかしながら、このように球状体の直径を基板接続部の幅よりも小さくすると、基板接続部間のピッチを狭ピッチ化した場合には、基板接続部の幅がそれにつれて狭くなる。このため、基板接続部に固着される球状体の半田ボールの直径も小さくなる。半田ボールの直径が小さくなると、半田ボールの体積が小さくなって、接続に必要な半田量に対して、半田量が不足してしまうという問題がある。
従って、本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め回路基板側に半田を供給する方法では対応できない、基板接続部間の狭ピッチ化を可能にするとともに、基板接続部間のピッチを狭ピッチ化し基板接続部の幅を狭くしても接続に必要な半田量を確保できる電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る電気コネクタは、ハウジングと、該ハウジングに取り付けられた電気端子とを備え、回路基板上に表面実装される電気コネクタであって、前記電気端子は、前記回路基板に半田接続される基板接続部を有し、該基板接続部が、長手方向及び幅方向に延びる長方形板状に形成されるとともに、前記回路基板と対向する面を有し、該面上には、半田構造体が設けられるとともに、前記半田構造体がリフロー半田付けによって前記回路基板に半田接合される電気コネクタにおいて、前記半田構造体は、前記回路基板と対向する面の回路基板側から見て楕円形状を有する立体形状に形成されると共に、前記楕円形状の長径方向が前記基板接続部の長手方向に配され、かつ前記楕円形状の短径方向が前記基板接続部の幅方向に配され、前記半田構造体の楕円形状の長径が前記基板接続部の幅よりも大きいことを特徴としている。
【0011】
また、本発明のうち請求項2に係る電気コネクタは、ハウジングと、該ハウジングに取り付けられた電気端子とを備え、回路基板上に表面実装される電気コネクタであって、前記電気端子は、前記回路基板に半田接続される基板接続部を有し、該基板接続部が、長手方向及び幅方向に延びる長方形板状に形成されるとともに、前記回路基板と対向する面を有し、該面上には、半田構造体が設けられるとともに、前記半田構造体がリフロー半田付けによって前記回路基板に半田接合される電気コネクタにおいて、前記半田構造体は複数設けられ、該複数の半田構造体が、前記基板接続部の長手方向に沿って配されていることを特徴としている。
【0012】
更に、本発明のうち請求項3に係る電気コネクタは、請求項1又は2記載の電気コネクタにおいて、前記半田構造体は、前記基板接続部の前記回路基板と対向する面上に親和的に固着して半田濡れが成立していることを特徴としている。
加えて、本発明のうち請求項4に係る電気コネクタは、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の電気コネクタにおいて、前記基板接続部の前記半田構造体が設けられた部分が、前記ハウジングの平面側から見て前記ハウジングから外方に突出していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電気コネクタによれば、基板接続部が、長手方向及び幅方向に延びる長方形板状に形成されるとともに、回路基板と対向する面を有する。そして、この面上には、半田構造体が設けられるとともに、半田構造体がリフロー半田付けによって回路基板に半田接合される。このため、半田構造が、予め電気コネクタ側の基板接続部の回路基板と対向する面上に設けられるため、予め回路基板側に半田を供給する方法では対応できない、基板接続部間の狭ピッチ化を可能にすることができる。
【0014】
そして、半田構造体は、回路基板と対向する面の回路基板側から見て楕円形状を有する立体形状に形成される。同時に、楕円形状の長径方向が基板接続部の長手方向に配され、かつ楕円形状の短径方向が基板接続部の幅方向に配され、半田構造体の楕円形状の長径が基板接続部の幅よりも大きい。このため、半田構造体の体積は、直径が基板接続部の幅と同一である場合の半球状体の半田ボールの体積よりも大きく、半田構造体による半田量を直径が基板接続部の幅と同一である場合の半球状体の半田ボールによる半田量より多くすることができる。従って、基板接続部間のピッチを狭ピッチ化し基板接続部の幅を狭くしても、その幅に対して半球状体と比較して十分な量の半田を供給でき、接続に必要な半田量を確保できる。
【0015】
また、本発明に係る電気コネクタによれば、半田構造体が複数設けられ、複数の半田構造体が、基板接続部の長手方向に沿って配されていることにより、基板接続部間のピッチを狭ピッチ化し基板接続部の幅を狭くしても、その幅に対して十分な量の半田を供給でき、接続に必要な半田量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る電気コネクタの第1実施形態の主要部を示し、(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
【図2】図1に示す電気コネクタに用いられる電気端子の基板接続部を半田構造体とともに示す部分斜視図である。
【図3】電気コネクタの変形例の主要部を示し、(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
【図4】図1に示す電気コネクタの回路基板への実装方法の一例を説明するための説明図である。
【図5】図1に示す電気コネクタの回路基板への実装方法の別の例を説明するもので、(A)は半田構造体の表面にフラックスを転写する方法の説明図、(B)は半田構造体の表面にフラックスが転写された電気コネクタの回路基板への実装方法の説明図である。
【図6】本発明に係る電気コネクタの第2実施形態の主要部の左側面図である。
【図7】従来例の電気端子の基板接続部に半田ボールを取り付けた状態の電気コネクタの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電気コネクタの第1実施形態を図1乃至図5を参照して説明する。
図1に示す電気コネクタ1は、回路基板50(図4参照)に表面実装されるものであり、ハウジング10と、複数(図1(A)、(B)、(C)では1つのみ図示)の電気端子20とを備えている。
ここで、ハウジング10は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成されるものであり、略矩形形状を有している。
【0018】
複数の電気端子20は、図5に示すように、ハウジング10の長手方向に沿って一列状に所定ピッチ(例えば、0.3mmのピッチ)で取り付けられる。各電気端子20は、ハウジング10に固定された固定部20aと、固定部20aから延びる基板接続部21を備えている。各電気端子20は、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。各電気端子20の固定部20aは、図1(A)に示すように、ハウジング10の内部から下方に延びてハウジング10の底面から下方に突出する。また、各基板接続部21は、固定部20aの下端からハウジング10の長手方向と直交する方向に略90°折り曲げられる。各基板接続部21は、ハウジング10の平面側(図1(A)における上面側)から見てハウジング10の端壁11より外方(図1(A)における右側)に突出する。各基板接続部21は、回路基板50上に形成された導電パッド51(図4参照)に半田接続される。
【0019】
ここで、各基板接続部21は、図1(C)において矢印X−Xで示す端子の長手方向(前述したハウジング10の長手方向と直交する方向)及びこの長手方向と直交する矢印Y−Yで示す端子の幅方向(ハウジング10の長手方向)に延びる長方形板状に形成される。各基板接続部21は、図1(A)、(B)に示すように、下面22及び上面23を有する。各基板接続部21の下面22は、図4に示すように、回路基板50と対向し、請求項1及び2に規定する「回路基板と対向する面」を構成する。
【0020】
また、基板接続部21の下面22上には、図1(A)、(B)、(C)及び図2に示すように、半田構造体30が設けられている。半田構造体30は、後に述べるように、リフロー半田付けによって回路基板50上の導電パッド51に半田接合される。この半田構造体30は、下面22の回路基板50側、即ち下側から見て図1(C)に示すように楕円形状を有する立体形状に形成される。ここで、「楕円形状」とは、正規の楕円形状の他に、部分的に直線部を有するいわゆる繭形をも含むものとする。また、半田構造体30は、楕円形状の長径方向が基板接続部21の矢印X−Xで示す長手方向に配され、かつ楕円形状の短径方向が基板接続部21の矢印Y−Yで示す幅方向に配されている。そして、半田構造体30の楕円形状の長径は、基板接続部21の幅よりも大きくなっている。また、半田構造体30の楕円形状の短径は、基板接続部21の幅とほぼ同一となっている。更に、半田構造体30は、基板接続部21の下面22上に親和的に固着して半田濡れが成立し、フィレット31が形成されている。
【0021】
ここで、半田構造体30は、下面22の回路基板50側から見て楕円形状を有する立体形状いわばドーム形に形成され、半田構造体30の楕円形状の長径は、基板接続部21の幅よりも大きくなっている。このため、図1(A)、(B)、(C)に示すように、直径が基板接続部21の幅と同一である場合の半球状体の半田ボール40(図1(A)、(B)、(C)において破線で示す)よりも矢印aで示す分だけ体積が大きい。従って、半田構造体30を上記のような楕円形状を有する立体形状とすることにより、直径が基板接続部21の幅と同一である場合の半球状体の半田ボール40とする場合よりも半田量を多くすることができる。
【0022】
なお、半田構造体30の楕円形状の短径は、図3(A)、(B)、(C)に示される変形例のように、基板接続部21の幅よりも大きくても良い。また、半田構造体30の楕円形状の短径は、半田構造体30の体積が、直径が基板接続部21の幅と同一である場合の半球状体の半田ボール40の体積よりも大きければ、基板接続部21の幅よりも小さくてもよい。
また、図1(A)に示すように、基板接続部21の半田構造体30が設けられた部分は、ハウジング10の平面側から見てハウジング10から外方に突出している。そして、半田構造体30の周囲には、半田構造体30を基板接続部21上に固着する途中で半田構造体30を保持する構造体が存在しない。
【0023】
次に、半田構造体30を基板接続部21の下面22上に固着する方法について説明する。
先ず、直径が基板接続部21の幅よりも大きい固体の球状体の半田ボールを用意し、この半田ボールを基板接続部21の下面22上に向かって放出する。次いで、半田ボールが基板接続部21の下面22上に着弾する前に、レーザー光等のエネルギー照射によって半田ボールを溶融させ、溶融させた半田ボールを当該下面22上に着弾させる。これにより、溶融された半田ボールが固化して下面22に対して親和的に固着し、半田構造体30が下面22上に固着される。
【0024】
なお、半田構造体30を基板接続部21の下面22上に固着する方法は、この方法に限らない。例えば、溶融した半田を、直径が基板接続部21の幅よりも大きい球状液滴として基板接続部21の下面22から一定距離離れた位置から吐出し、当該下面22上に着弾させる方法であってもよい。また、基板接続部21の下面22上にクリーム半田を塗布した後、クリーム半田を一度溶融させた後固化させることによって当該下面22上に半田構造体30を固着させる方法であってもよい。
【0025】
次に、電気コネクタ1を回路基板50上に実装する方法について図4を参照して説明する。
先ず、回路基板50について説明すると、回路基板50上には、図4に示すように、電気コネクタ1における基板接続部21と同一のピッチで複数の導電パッド51が形成されている。
そして、電気コネクタ1を回路基板50上に実装するに際し、導電パッド51上にメタルマスク印刷法またはその他の方法によりフラックス32のみを印刷塗布する。この際に、導電パッド51上にフラックス32のみでなくフラックスを含有した半田ペーストを印刷塗布してもよい。この場合、半田ペーストのみでは、半田量が足りないので、基板接続部21の下面22上に半田構造体30を設けておくことは有効である。
【0026】
次いで、基板接続部21の下面22上に半田構造体30を固着した電気コネクタ1を、図4に示すように、半田構造体30がフラックス32上に位置するように回路基板50上に載置する。
そして、半田構造体30を、リフロー半田付けすることにより回路基板50上の導電パッド51に半田接合する。これにより、電気コネクタ1が回路基板50上に実装される。
電気コネクタ1の回路基板50上への実装方法としては、この方法に限らず、図5(A)、(B)に示す方法であってもよい。
【0027】
この方法では、図5(A)に示すように、内部に液状のフラックス32を備えた治具60を用意する。治具60は、フラックス32の液膜の厚さ(深さ)を正確に制御するためのものである。
電気コネクタ1を回路基板50上に実装するに際し、先ず、図5(A)に示すように、基板接続部21の下面22に固着された半田構造体30を治具60のフラックス32内に浸漬する。そして、半田構造体30とともに電気コネクタ1を引き上げる。これにより、半田構造体30の表面に適量のフラックス32を転写する。
【0028】
次いで、図5(B)に示すように、電気コネクタ1を、半田構造体30がフラックス32とともに導電パッド51上に位置するように回路基板50上に載置する。
そして、半田構造体30を、リフロー半田付けすることにより回路基板50上の導電パッド51に半田接合する。これにより、電気コネクタ1が回路基板50上に実装される。
【0029】
ここで、本実施形態に係る電気コネクタ1によれば、基板接続部21が、長手方向及び幅方向に延びる長方形板状に形成されるとともに、下面22、即ち回路基板50と対向する面を有する。そして、この下面22上には、半田構造体30が設けられるとともに、半田構造体30がリフロー半田付けによって回路基板に半田接合される。このため、半田構造体30が、予め電気コネクタ1側の基板接続部21の回路基板と対向する面22に設けられるため、予め回路基板側に半田を供給する方法では対応できない、基板接続部21間の狭ピッチ化を可能にすることができる。
【0030】
そして、半田構造体30は、下面22の回路基板50側から見て楕円形状を有する立体形状に形成され、楕円形状の長径方向が基板接続部21の長手方向に配され、かつ楕円形状の短径方向が基板接続部21の幅方向に配される。そして、半田構造体30の楕円形状の長径は、基板接続部21の幅よりも大きくなっている。このため、前述したように、半田構造体30の体積は、直径が基板接続部21の幅と同一である場合の半球状体の半田ボール40の体積よりも大きく、半田構造体30による半田量を直径が基板接続部21の幅と同一である場合の半球状体の半田ボール40による半田量よりを多くすることができる。従って、基板接続部21間のピッチを狭ピッチ化し基板接続部21の幅を狭くしても、その幅に対して半球状体と比較して十分な量の半田を供給でき、接続に必要な半田量を確保できる。
【0031】
また、本実施形態に係る電気コネクタ1によれば、半田構造体30は、基板接続部21の下面22、即ち回路基板50と対向する面上に親和的に固着して半田濡れが成立し、フィレット31が形成されている。このため、基板接続部21間のピッチを狭くして基板接続部21間の隙間が小さくなったとしても、隣接する基板接続部21間の半田ブリッジを抑制することができる。
更に、前述したように、隣接する基板接続部21間の半田ブリッジを抑制することができるので、導電パッド51間を狭ピッチ化しても当該導電パッド51間に半田ブリッジを抑制するための半田レジストを設ける必要はない。
【0032】
また、基板接続部21の半田構造体30が設けられた部分は、ハウジング10の平面側から見てハウジング10から外方に突出している。そして、半田構造体30の周囲には、半田構造体30を基板接続部21上に固着する途中で半田構造体30を保持する構造体が存在しない。これにより、電気コネクタ1を回路基板50上に実装した後において、半田付け部をハウジング10の外部から検査することができる。
【0033】
次に、本発明に係る電気コネクタの第2実施形態を図6を参照して説明する。図6において、図1に示す電気コネクタの構成部材と同一の部材については同一の符号を付し、説明を省略することがある。
図6に示す電気コネクタ1は、図1に示す電気コネクタ1と基本構成は同様であるが、基板接続部21の下面22上に設けられる半田構造体30の個数及び形状が異なっている。
【0034】
即ち、図6に示す電気コネクタ1において、直径が基板接続部21の幅とほぼ同じ半球状体の半田構造体30が複数(本実施形態にあっては2個)、基板接続部21の下面22上に設けられている。そして、複数の半田構造体30は、基板接続部21の長手方向に沿って配されている。半田構造体30は、半球状体ではなく球状体又は他の形状であってもよいし、直径が基板接続部21の幅より大きくても小さくても良い。
このように、半田構造体30が複数設けられ、複数の半田構造体30が、前記基板接続部の長手方向に沿って配されている。これにより、基板接続部21間のピッチを狭ピッチ化し基板接続部21の幅を狭くしても、その幅に対して十分な量の半田を供給でき、接続に必要な半田量を確保できる。
【0035】
また、図6に示す電気コネクタ1においても、基板接続部21が、長手方向及び幅方向に延びる長方形板状に形成されるとともに、下面22、即ち回路基板50と対向する面を有する。そして、この下面22上には、複数の半田構造体30が設けられるとともに、複数の半田構造体30がリフロー半田付けによって回路基板に半田接合される。このため、半田構造体30が、予め電気コネクタ1側の基板接続部21の回路基板と対向する面22に設けられるため、予め回路基板側に半田を供給する方法では対応できない、基板接続部21間の狭ピッチ化を可能にすることができる。
【0036】
また、図6に示す電気コネクタ1においても、半田構造体30は、基板接続部21の下面22、即ち回路基板50と対向する面上に親和的に固着して半田濡れが成立し、フィレット31が形成されている。このため、基板接続部21間のピッチを狭くして基板接続部21間の隙間が小さくなったとしても、隣接する基板接続部21間の半田ブリッジを抑制することができる。
更に、隣接する基板接続部21間の半田ブリッジを抑制することができるので、導電パッド51間を狭ピッチ化しても当該導電パッド51間に半田ブリッジを抑制するための半田レジストを設ける必要はない。
【0037】
また、基板接続部21の半田構造体30が設けられた部分は、ハウジング10の平面側から見てハウジング10から外方に突出している。そして、半田構造体30の周囲には、半田構造体30を基板接続部21上に固着する途中で半田構造体30を保持する構造体が存在しない。これにより、電気コネクタ1を回路基板50上に実装した後において、半田付け部をハウジング10の外部から検査することができる。
【0038】
なお、複数の半田構造体30を基板接続部21の下面22上に固着する方法について述べると、例えば、最初に直径が基板接続部21の幅と同等もしくは基板接続部21の幅よりも小さい複数の固体半田ボールを基板接続部21の下面22に向かって放出する。次に、固体半田ボールが当該基板22に着弾する前に、レーザー光等のエネルギー照射によって固体半田ボールを溶融させ、溶融した半田ボールを当該下面22に着弾させる。この方法が好適である。また、直径が基板接続部21の幅と同等もしくは基板接続部21の幅よりも小さい複数の溶融した球状の半田液滴を、基板接続部21の下面22から一定距離離れた位置から吐出し、当該下面22に着弾させる方法であってもよい。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、半田構造体30は、基板接続部21の下面22、即ち回路基板50と対向する面上に設けられていれば、必ずしも、当該面上に親和的に固着して半田濡れが成立していなくてもよい。この場合、半田構造体30は凹凸形状等の機械的構造あるいは接着剤等によって基板接続部21に固着されることが好ましい。
【0040】
また、基板接続部21の半田構造体30が設けられた部分が、ハウジング10の平面側から見てハウジング10から外方に突出している必要は必ずしもない。
更に、基板接続部21の半田構造体30が設けられた部分を、ハウジング10の平面側から見てハウジング10から外方に突出させる場合、基板接続部21を、固定部20aの下端からハウジング10の長手方向と直交する方向に略90°折り曲げる必要は必ずしもない。
【符号の説明】
【0041】
1 電気コネクタ
10 ハウジング
20 電気端子
21 基板接続部
22 下面(回路基板と対向する面)
30 半田構造体
31 フィレット
50 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、該ハウジングに取り付けられた電気端子とを備え、回路基板上に表面実装される電気コネクタであって、前記電気端子は、前記回路基板に半田接続される基板接続部を有し、該基板接続部が、長手方向及び幅方向に延びる長方形板状に形成されるとともに、前記回路基板と対向する面を有し、該面上には、半田構造体が設けられるとともに、前記半田構造体がリフロー半田付けによって前記回路基板に半田接合される電気コネクタにおいて、
前記半田構造体は、前記回路基板と対向する面の回路基板側から見て楕円形状を有する立体形状に形成されると共に、前記楕円形状の長径方向が前記基板接続部の長手方向に配され、かつ前記楕円形状の短径方向が前記基板接続部の幅方向に配され、前記半田構造体の楕円形状の長径が前記基板接続部の幅よりも大きいことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
ハウジングと、該ハウジングに取り付けられた電気端子とを備え、回路基板上に表面実装される電気コネクタであって、前記電気端子は、前記回路基板に半田接続される基板接続部を有し、該基板接続部が、長手方向及び幅方向に延びる長方形板状に形成されるとともに、前記回路基板と対向する面を有し、該面上には、半田構造体が設けられるとともに、前記半田構造体がリフロー半田付けによって前記回路基板に半田接合される電気コネクタにおいて、
前記半田構造体は複数設けられ、該複数の半田構造体が、前記基板接続部の長手方向に沿って配されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項3】
前記半田構造体は、前記基板接続部の前記回路基板と対向する面上に親和的に固着して半田濡れが成立していることを特徴とする請求項1又は2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記基板接続部の前記半田構造体が設けられた部分が、前記ハウジングの平面側から見て前記ハウジングから外方に突出していることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の電気コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−80591(P2013−80591A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219289(P2011−219289)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000227995)タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 (340)
【Fターム(参考)】