説明

電気コネクタ

【課題】製造コストを抑制できるようにしながら、相手側コネクタに対して所定姿勢で確実に接続することができる電気コネクタを提供する。
【解決手段】相手側コネクタに電気的に接続可能なコンタクト8と、コンタクト8を保持する樹脂製のボディ1と、ボディ1を覆う板金製のカバーとを備え、カバーとは別の金属製の軸部材13を、コンタクト8と平行にボディ1に嵌入してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手側コネクタに電気的に接続可能なコンタクトと、前記コンタクトを保持する樹脂製のボディと、前記ボディを覆う板金製のカバーとを備えている電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気コネクタは、コンタクトを保持するボディが絶縁性を確保できるように、金属に比べて変形し易い樹脂で形成されているので、相手側コネクタに対して所定姿勢で確実に接続することができるように、板金製のカバーでボディを補強してある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3147998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、ボディとカバーとの間にボディの変形を許容するような隙間が生じ易く、相手側コネクタに対して所定姿勢で接続することができないおそれがある。
この問題を解決するために、ボディやカバーを高い精度で製作することが考えられるが、電気コネクタの製造コストが高くなるおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、製造コストを抑制できるようにしながら、相手側コネクタに対して所定姿勢で確実に接続することができる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による電気コネクタの第1特徴構成は、相手側コネクタに電気的に接続可能なコンタクトと、前記コンタクトを保持する樹脂製のボディと、前記ボディを覆う板金製のカバーとを備え、前記カバーとは別の金属製の軸部材を、前記コンタクトと平行に前記ボディに嵌入してある点にある。
【0006】
本構成の電気コネクタは、カバーとは別の金属製の軸部材を、コンタクトと平行にボディに嵌入してある。
このため、ボディやカバーを特に高い精度で製作することなく、ボディの曲げ強度を効率良く高めて、ボディの変形を防止することができる。
また、軸部材をボディに嵌入してあるので、カバーの外形を相手側コネクタに適合する形状に製作し易い。
したがって、本構成の電気コネクタであれば、製造コストを抑制できるようにしながら、相手側コネクタに対して所定姿勢で確実に接続することができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、複数の前記コンタクトを互いに平行に並べて前記ボディに保持してあり、前記軸部材を、コンタクト並設方向の両側に配置して前記ボディに嵌入してある点にある。
【0008】
複数のコンタクトを互いに平行に並べて保持してあるボディは、コンタクト並設方向の幅が厚さに比べて広い板状に形成され、コンタクト並設方向に沿って曲げ変形し易い。
本構成の電気コネクタは、軸部材を、コンタクト並設方向の両側に配置してボディに嵌入してあるので、複数のコンタクトを互いに平行に並べて保持してある幅が広いボディでも、コンタクト並設方向に沿う曲げ変形を全幅に亘って防止し易い。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記軸部材を帯板材で構成して、その板面がコンタクト並設方向に対して直交する姿勢で前記ボディに嵌入してある点にある。
【0010】
本構成であれば、コンタクト並設方向に沿うボディの曲げ変形を帯板材で構成した軸部材で効果的に防止しながら、軸部材をボディに嵌入することによるボディの幅広化を抑制することができる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記相手側コネクタに対する一対のラッチ部材をコンタクト並設方向の両側に配置して前記ボディに保持してあり、前記軸部材を、前記コンタクトと前記ラッチ部材との間に配置して前記ボディに嵌入してある点にある。
【0012】
本構成であれば、カバーの外形を相手側コネクタに適合する形状に製作しながら、ラッチ部材も相手側コネクタに適合する位置に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電気コネクタの斜視図である。
【図2】オーバーモールド樹脂部分を除いた電気コネクタの斜視図である。
【図3】電気コネクタの内部を示す分解斜視図である。
【図4】ボディの内部を示す分解斜視図である。
【図5】図3におけるボディのV−V線断面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本発明による電気コネクタとしてのマイクロUSBコネクタ規格準拠のマイクロUSBコネクタを示し、具体的には、例えば携帯電話などの携帯端末,デジタルカメラ,携帯音楽プレーヤなどに設けられるABタイプのレセプタクル(相手方コネクタ)に接続するAタイプのマイクロUSBプラグ(ケーブルハーネス用)である。
【0015】
マイクロUSBプラグは、図1〜図3に示すように、プラグ本体Aとプラグ本体Aに接続してあるケーブルBとを有し、オーバーモールド加工(インサート成形)により、プラグ本体Aの把持部とケーブルBの接続端部とをオーバーモールド樹脂Cで覆ってある。
【0016】
プラグ本体Aは、図3に示すように、絶縁性を有する樹脂製のボディ1と、ボディ1を覆うシールド用の板金製のカバー2とを備えている。
ボディ1は、図3,図4に示すように、相手側コネクタ(図示せず)に対して挿抜する際に手で把持される直方体形状の把持部3と、相手側コネクタに挿入する嵌合部4とを一体に備えている。
カバー2は、把持部3の上面側と嵌合部4とを覆う板金製のシェル5と、把持部3の下面側を覆う板金製のシェルカバー6とからなる。
【0017】
嵌合部4は、把持部3の相手側コネクタに対する挿入方向の前方側に延設され、把持部3よりも厚さが薄く、かつ、把持部3と同じ幅の矩形板状に形成してある。
把持部3の上面と嵌合部4の上面との段差部分は、把持部3の側に向けて下向きに傾斜する傾斜面7に形成されている。
【0018】
ボディ1は、相手側コネクタ(図示せず)に電気的に接続可能な複数(5本)の長尺板状のコンタクト8と、相手側コネクタに対する一対の長尺板状のラッチ部材9とを保持している。
【0019】
コンタクト8の夫々は、板面が互いに平行になるように並べて、把持部3と嵌合部4とに亘って形成してあるコンタクト保持溝10に嵌合保持してあり、ケーブルBから引き出された複数のリード線(図示せず)の夫々が電気的に接続されている。
【0020】
ラッチ部材9は、コンタクト並設方向の両側に、板面がコンタクト8の板面と互いに平行になるように配置して、把持部3と嵌合部4とに亘って形成したラッチ保持溝11に嵌合保持してある。
【0021】
ボディ1には、把持部3の相手側コネクタに対する挿入方向の後方側に向けて開口する軸部材嵌入孔12(図5,図6参照)を形成してある。
軸部材嵌入孔12は、把持部3の側と嵌合部4の側とに亘って一連に形成してある。
軸部材嵌入孔12には、カバー2とは別のステンレス鋼などの硬質金属製の軸部材13を把持部3の側と嵌合部4の側とに跨るように嵌入してある
【0022】
軸部材13は帯板材で構成してあり、図5,図6に示すように、コンタクト並設方向の両側、つまり、コンタクト並設方向の端部に位置するコンタクト8とラッチ部材9との間に配置して、板面14がコンタクト8の板面と平行になる姿勢、つまり、板面14がコンタクト並設方向に対して直交する姿勢で軸部材嵌入孔12に嵌入してある。
【0023】
シェル5は、把持部3を上面側から覆う下向きコの字状に形成された第1シェル部分5aと、傾斜面7を覆う第2シェル部分5bと、嵌合部40bを全周に亘って覆う横長筒状に形成された第3シェル部分5cとを一体に備えている。
【0024】
第1シェル部分5aにはケーブル押え板15が延設されている。
第3シェル部分5cには、ラッチ部材9の爪9aが突出するラッチ孔16が形成されている。
【0025】
シェルカバー6は、把持部3を下面側から覆う上向きコの字状に形成されたシェルカバー部分6aと、上向きU字状に形成されたケーブル固定板6bとを一体に備えている。
【0026】
シェル5とシェルカバー6とでボディ1を覆った状態で、ケーブル固定板6bの内側にケーブルBを入り込ませ、ケーブルBとケーブル押え板15とを抱き込むようにケーブル固定板6bをカシメることにより、ケーブルBの端部がプラグ本体Aに固定されている。
【0027】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による電気コネクタは、単一のコンタクト8を備えるものであってもよい。
2.本発明による電気コネクタは、複数のコンタクト8を互いに平行に並べてあるコンタクト列の複数を、複数段に配置してボディ1に保持してあってもよい。
3.本発明による電気コネクタは、丸軸状や角軸状に形成された金属製の軸部材をボディ1に嵌入してあってもよい。
4.本発明による電気コネクタは、金属製の軸部材をインサート成形によってボディ1に嵌入してあってもよい。
5.本発明による電気コネクタは、マイクロUSBコネクタ以外の多極コネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ボディ
2 カバー
8 コンタクト
9 ラッチ部材
13 軸部材
14 板面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに電気的に接続可能なコンタクトと、
前記コンタクトを保持する樹脂製のボディと、
前記ボディを覆う板金製のカバーとを備え、
前記カバーとは別の金属製の軸部材を、前記コンタクトと平行に前記ボディに嵌入してある電気コネクタ。
【請求項2】
複数の前記コンタクトを互いに平行に並べて前記ボディに保持してあり、
前記軸部材を、コンタクト並設方向の両側に配置して前記ボディに嵌入してある請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記軸部材を帯板材で構成して、その板面がコンタクト並設方向に対して直交する姿勢で前記ボディに嵌入してある請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記相手側コネクタに対する一対のラッチ部材をコンタクト並設方向の両側に配置して前記ボディに保持してあり、
前記軸部材を、前記コンタクトと前記ラッチ部材との間に配置して前記ボディに嵌入してある請求項2又は3記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−80614(P2013−80614A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219929(P2011−219929)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】