説明

電気光学装置およびその製造方法

【課題】 偏光板の吸湿による脱色を防止し、電気光学装置の耐湿性を向上する。
【解決手段】 電気光学装置(1)は、電気光学材料を挟持した基板(2a、2b)と、前記基板の面上に貼付された偏光板(11a、11b)と、前記偏光板の周囲に形成された樹脂モールド(32)と、を備える。基板上に貼付された偏光板の周囲に樹脂モールドが形成されているので、偏光板の周囲から偏光板内部へ湿気が浸入することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置の技術分野に属し、特に偏光板の耐久性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置では、電極が形成された2枚のガラス基板間に液晶材料を封入してできた液晶パネルの外面に偏光板が貼り付けられる。典型的な偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)のフィルムにヨウ素などの色素物質を吸収させた後、そのフィルムを一軸延伸してヨウ素などの分子を一定方向に配向することにより製作される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、1枚の大判の偏光板原板から複数の偏光板を切断するので、個々の偏光板の周縁部は露出している。液晶表示装置を利用した電子機器などが高温多湿下で使用される場合、偏光板が結露すると、偏光板の周縁部(切断面)から湿気が偏光板内へ浸入する。また、湿気は、切断面からの浸入ほど多くはないが、表示面からも浸入することがある。これにより、内部のヨウ素が脱色してしまい、偏光板としての機能を果たさなくなるという問題がある。
【0004】本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、偏光板の吸湿による脱色を防止し、電気光学装置の耐湿性を向上することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、電気光学材料を挟持した基板と、前記基板の面上に配置された偏光板と、前記偏光板の周縁部に配置された樹脂モールドと、を備える。
【0006】上記のように構成された電気光学装置によれば、基板上に配置された偏光板の周縁部に樹脂モールドが配置されているので、偏光板の周囲から偏光板内部へ湿気が浸入することが防止される。
【0007】上記電気光学装置の一態様では、前記樹脂モールドは、前記偏光板の端面を覆うように配置されている。
【0008】この態様によれば、樹脂モールドは偏光板の端面を覆っているので、偏光板の端面からの湿気の浸入を防止することができる。通常、偏光板は大型の偏光板を切断することにより製作されるので、偏光板の端面は切断面となっており、湿気が内部に浸入しやすい構造となっている。よって、樹脂モールドで偏光板の端面を覆うことにより、湿気の浸入を効果的に防止することができる。
【0009】上記電気光学装置の他の一態様では、前記樹脂モールドは、前記基板の前記面上、前記偏光板の前記端面上及び前記偏光板の面上を連続的に覆っている。
【0010】この態様によれば、偏光板の端面に加えて、偏光板の面上から基板の面上までを樹脂モールドで連続的に覆うので、偏光板の周縁部からの湿気の浸入をより完全に抑止することができる。
【0011】上記電気光学装置のさらに他の一態様では、前記樹脂モールドは、電気光学装置の画像表示領域よりも外側に配置される。
【0012】この態様によれば、樹脂モールドの配置により、電気光学装置の表示に影響が及ぶことが防止される。
【0013】上記電気光学装置のさらに他の一態様は、前記偏光板上に配置される要素をさらに備え、前記要素は前記樹脂モールドを収容する凹部を有する。
【0014】この態様によれば、樹脂モールドの形成により偏光板の周縁部に隆起ができた場合でも、それはその上に形成される要素に設けられた凹部に収容されるので、偏光板上への要素の積層に影響が及ぶことがない。
【0015】上記電気光学装置のさらに他の一態様は、前記樹脂モールドの内側において前記偏光板表面を覆うコーティング層をさらに備える。
【0016】この態様によれば、偏光板の表面からの湿気の浸入をコーティングにより防止することができる。よって、樹脂モールドにより偏光板の周縁部からの湿気の浸入を防止するとともに、偏光板の表面からの湿気の浸入をコーティングにより防止するので、より完全に湿気の浸入を防止することができる。
【0017】上記電気光学装置のさらに他の一態様では、前記樹脂モールドは、シリコン樹脂及び紫外線硬化性樹脂のいずれかにより配置することができる。
【0018】本発明の電子機器は、上記の電気光学装置と、前記電気光学装置を収容する筐体と、を備えることができる。
【0019】本発明の電気光学装置の製造方法は、電気光学材料を挟持した基板の面上に偏光板を貼付する工程と、前記偏光板の周縁部に樹脂モールドを形成する工程と、を含む。
【0020】上記のように構成された電気光学装置の製造方法によれば、基板上に貼付された偏光板の周囲に樹脂モールドが形成されているので、偏光板の周囲から偏光板内部へ湿気が浸入することが防止される。
【0021】上記電気光学装置の製造方法の一態様では、前記樹脂モールドを形成する工程は、前記偏光板の端面を覆うように樹脂モールドを形成する。
【0022】この態様によれば、樹脂モールドは偏光板の端面を覆っているので、偏光板の端面からの湿気の浸入を防止することができる。
【0023】上記電気光学装置の製造方法の他の一態様では、前記樹脂モールドを形成する工程は、前記基板面上、前記偏光板の端面上及び前記偏光板の面上を連続的に覆うように樹脂モールドを形成する。
【0024】この態様によれば、偏光板の端面に加えて、偏光板の面上から基板の面上までを樹脂モールドで連続的に覆うので、偏光板の周縁部からの湿気の浸入をより完全に抑止することができる。
【0025】上記電気光学装置の製造方法のさらに他の一態様では、前記樹脂モールドを形成する工程は、スクリーン印刷により偏光板の周縁部に樹脂材料を塗布することにより樹脂モールドを形成することができる。
【0026】また、上記電気光学装置の製造方法のさらに他の一態様では、前記樹脂モールドを形成する工程は、ディスペンサーにより偏光板の周縁部に樹脂材料を塗布することにより樹脂モールドを形成することができる。
【0027】上記電気光学装置の製造方法のさらに他の一態様では、前記樹脂モールドの内側における前記偏光板の面上にコーティングを施す工程をさらに含むことができる。
【0028】この態様によれば、偏光板の表面からの湿気の浸入をコーティングにより防止することができる。よって、樹脂モールドにより偏光板の周縁部からの湿気の浸入を防止するとともに、偏光板の表面からの湿気の浸入をコーティングにより防止するので、より完全に湿気の浸入を防止することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0030】[液晶表示装置]図1に、本発明の実施形態にかかる電気光学装置の一例である液晶表示装置1を示す。図1(a)は液晶表示装置の平面図であり、図1(b)は偏光板の周辺部に樹脂モールドを施した状態を示す側面図である。
【0031】図1(a)及び(b)において、液晶表示装置1は、2枚のガラス基板2aおよび2b間に液晶材料を封入して構成された液晶パネル2と、その液晶パネル2の両面上に貼着された偏光板11a及び11bと、を有する(以下、2枚の偏光板11a及び11bを特に区別する必要がない場合は、単に「偏光板11」と記す)。液晶パネル2は、大きさの異なる2枚のガラス基板2aと2bとを対向配置して構成され、大きい方のガラス基板2a上には駆動回路などを形成するための張り出し領域2cがある。張り出し領域2c上には、液晶パネルを構成するガラス基板上に形成された電極からの接続線や液晶パネルを駆動するための回路を構成する駆動IC16などが設けられる。
【0032】偏光板11a及び11bは、それぞれ液晶パネル2を構成するガラス基板2a及び2bより小さい矩形形状を有する。図1(b)に示されるように、偏光板11a及び11bの端部は、基板2の端部より内側に位置する。本発明では、液晶パネル2上の、偏光板11a及び11bの周辺部に樹脂モールド32を形成し、偏光板11a及び11bの内部への湿度の浸入を防止する。
【0033】図1(b)に示すように、樹脂モールド32は液晶パネル2上から偏光板11上へと偏光板11の側面を覆うように形成される。図1(b)の例では、例えば偏光板11上における樹脂モールド32の幅x1を約0.5mm、樹脂モールド32の液晶パネル2の面上の幅x2を約0.5mm、偏光板11上における樹脂モールド32の厚さyを約0.15〜0.20mmとすることができる。なお、樹脂モールド32の幅は上記の例には限定されないが、偏光板11上の樹脂モールド32の領域は、図1(a)の点線30で示す画像表示領域の内側には至らないことが条件となる。
【0034】図1(b)において、下側の偏光板11aの下方には、要素37が示されている。要素37は、例えばライトガイドなど、偏光板11aに対して貼り付けられるべきフィルム、基板などであるが、その構成や役割は液晶表示装置1が使用される電子機器の種類などにより異なる。要素37には、液晶パネル2の図1(b)における下面側に形成された樹脂モールド32を収容するための溝38が形成されている。よって、要素37を液晶パネル2に貼着したときに、樹脂モールド32が溝38内に収容されるので、要素37は偏光板11aと隙間無く密着することができる。
【0035】このように本発明の液晶表示装置では、ガラス基板に偏光板を貼付した後、偏光板の周縁部を覆うように樹脂モールドを形成し、偏光板の切断面からの湿気の浸入をブロックするので、液晶表示装置の耐湿性を向上させることができる。また、樹脂モールドがガラス基板の周辺部を覆うことになるので、これによりガラス基板自体の割れを防止する効果も得られる。さらに、偏光板上に基板などが積層される場合には、樹脂モールドがそれら基板間におけるクッションとして機能しうるという効果も得られる。
【0036】なお、偏光板の周縁部に形成する樹脂モールドに加えて、さらに偏光板上の画像表示領域に対応する領域に透明な表面コーティングを施すことにより、画像表示領域の傷つき防止及び湿気のブロックを行うことができる。このような表面コーティングは、液晶パネルへ偏光板を貼り付ける前に偏光板の面上に施すこともできるし、液晶パネルに偏光板を取り付けた後で偏光板の面上に施すこともできる。こうして、偏光板周辺の樹脂モールド及び偏光板の面上の表面コーティングを併用することにより、偏光板への湿気の浸入経路を完全にブロックし、高い耐湿性を得ることができる。
【0037】樹脂モールドとしては、例えばシリコン樹脂によるシリコンモールドやUV(紫外線)硬化性樹脂によるUVモールドが好適である。UVモールドは、特に吸湿性に優れるという特徴があるが、シリコンモールドと比較すると偏光板や液晶パネルのガラス基板に対する密着性でやや劣る面がある。一方、シリコンモールドは、UVモールドと比較して吸湿性ではやや劣る面があるが、偏光板やガラス基板に対する密着性に優れるという利点があり、形成する樹脂モールドを厚さを多少厚めに設計すれば、吸湿性を補って良好な耐湿特性を得ることができる。なお、本発明の樹脂モールドは上記の例に限定されず、例えばエポキシ樹脂などの他の種類の樹脂を利用することも可能である。
【0038】次に、樹脂モールドの形成方法について説明する。樹脂モールドの形成は、スクリーン印刷を利用する方法や、ディスペンサーを利用する方法を用いることができる。
【0039】スクリーン印刷を利用する方法は、図1(a)に示す樹脂モールド32の部分をくり抜いたマスクパターンを用意し、これを偏光板11の上に配置してシリコン樹脂を塗布し、マスクを除去し、常温で所定時間自然乾燥する。これにより、マスクパターンに従ってシリコンモールドが形成される。また、シリコン樹脂ではなくUV硬化性樹脂を使用する場合は、マスクパターンを配置し、UV硬化性樹脂を塗布した後、マスクパターンを除去し、UV光を照射する。これにより、UV硬化性樹脂が硬化して、樹脂モールドが形成される。
【0040】一方、ディスペンサーを使用する場合は、図1(a)に示す樹脂モールド32のパターンに従ってディスペンサーを移動させて、シリコン樹脂又はUV硬化性樹脂を偏光板の周囲に塗布する。シリコン樹脂の場合は所定時間の自然乾燥により樹脂を硬化させ、UV硬化性樹脂の場合は、UV光を照射して樹脂を硬化させる。こうして、樹脂モールド32が形成される。
【0041】[液晶表示装置の具体例]次に、上記の液晶表示装置の具体例について説明する。図2は本発明の実施形態に係るパッシブマトリクス駆動方式の液晶表示装置1の平面図である。また、図3は、図2に示す液晶表示装置1の切断面A−A’による断面図である。
【0042】液晶表示装置1は、互いに対向する一対の基板2a、2bを有し、それら基板はシール材3によって周囲が互いに接着されている。シール材3の内部には、図3に示すように導電材4が含まれている。また、シール材3の一部には、図2に示すように液晶注入口3aが形成されている。
【0043】図3において、第1基板2aは基板素材6aを有し、その基板素材6aの液晶側表面、即ち第2基板2bに対向する面には、複数の第1電極7aが所定のパターンに形成され、その上にオーバーコート層8aが形成され、さらにその上に配向膜9aが形成されている。なお、図2では便宜上、オーバーコート層8a及び配向膜9aの図示を省略してある。また、図3において、基板素材6aの外側表面には光学素子としての偏光板11aが例えば貼着によって装着される。また、偏光板11aの周縁部には上述の樹脂モールド32が形成されており、これにより偏光板11aの吸湿による機能低下が防止される。
【0044】第1基板2aに対向する第2基板2bは基板素材6bを有し、その基板素材6bの液晶側表面、すなわち第1基板6aに対向する面には、複数の第2電極7bが所定のパターンに形成され、その上にオーバーコート8bが形成され、さらにその上に配向膜9bが形成される。なお、図2では便宜上、オーバーコート8b及び配向膜9bの図示を省略してある。また、図3において、基板素材6bの外側表面には光学素子としての位相差板10が例えば貼着により装着され、さらにその上に光学素子としての偏光板11bが例えば貼着により装着される。また、偏光板11bの周縁部には、上述の樹脂モールド32が形成されており、これにより偏光板11bの吸湿による機能低下が防止される。
【0045】なお、第1基板2a及び第2基板2bの双方又は一方に設けられる光学素子としては、上記したもの以外に必要に応じて他の素子、例えば光拡散板などが考えられる。また、基板素材6a、6bの一方の内面には、必要に応じて、その他の光学素子、例えばカラーフィルタ等を設けることもできる。
【0046】図1において、第1基板2aは、第2基板2bの端縁から外側へ張り出す基板張出し部2cを有する。基板張出し部2c上には、ACF(Anistoropic Conductive Film:異方性導電膜)17によって駆動用IC16が直接に実装される。第1基板2a上の第1電極7aは、その基板張出し部2cへ直接に延び出て配線15となっている。また、第2基板2b上の電極7bはシール材3に含まれる導電材4(図3参照)を介して基板張出し部2c上の配線15につながっている。なお、符号20は、図示しない外部回路との間で電気的な接続をとるための外部接続端子を示している。
【0047】第1電極7aは、図2に示すように、複数の直線パターンを互いに平行に配列することによって、いわゆるストライプ状に形成される。一方、第2電極7bは上記第1電極7aに交差するように複数の直線パターンを互いに平行に配列することによって、やはりストライプ状に形成される。これらの電極7aと電極7bとが液晶層を挟んでドットマトリクス状に交差する複数の点が、像を表示するための画素を形成する。そして、それら複数の画素によって区画形成される領域が、文字などといった像を表示するための表示領域となる。
【0048】以上のようにして形成された第1基板2a及び第2基板2bのいずれか一方の液晶側表面には、図3R>3に示すように、複数のスペーサ13が分散され、さらにいずれか一方の基板の液晶側表面にシール材3が例えば印刷などによって図2に示すように枠状に設けられる。また、そのシール材3の適所に液晶注入口3aが形成される。
【0049】両基板2a及び2bの間には、スペーサ13によって保持される均一な寸法、例えば5μm程度の間隙、いわゆるセルギャップが形成され、液晶注入口3aを通してそのセルギャップ内に液晶14が注入され、その注入の完了後、液晶注入口3aが樹脂などによって封止される。以上のようにして、液晶表示装置が構成される。
【0050】[液晶表示装置の製造方法]次に、上記構成からなる液晶表示装置1を製造する方法について、図4R>4に示す工程図を参照して説明する。
【0051】まず、図1の第1基板2aの複数個分の大きさを有する大判の基板素材をガラス、プラスチックなどによって形成し、図4の工程A1において、その大判基板素材に対して第1電極形成工程を実施する。具体的には、ITOを材料として周知のパターン形成法、例えばフォトリソグラフィー法によって、図5(a)に示すように、大判基板素材6a’の方面に所定パターンの第1電極7a、配線15及び外部接続端子20を形成する。なお、図5(a)では、大判基板素材6a’のうち第1基板2aの1個分の領域だけを示している。
【0052】次に、オーバーコート層8a(図2参照)を図5(a)の大判基板素材6a’の表面に、例えば酸化珪素、酸化チタンを材料としてオフセット印刷によって形成する(工程A2)。そしてその上に、例えばポリイミド系樹脂を材料としてオフセット印刷によって配向膜9a(図3参照)を形成し(工程A3)、その配向膜に配向性を持たせるためにラビング処理を行う(工程A4)。
【0053】さらにその上に、例えばエポキシ樹脂を材料として例えばスクリーン印刷によってシール材3を枠形状に形成し(工程A5)、さらにスペーサ13(図3参照)を分散する(工程A6)。これにより、図5(a)に示すような大判の第1基板2a’が形成される。なお、図5(a)では便宜上オーバーコート層及び配向膜の図示を省略している。
【0054】他方、図2の第2基板2bの複数個分の大きさを有する大判の基板素材をガラス、プラスチックなどによって形成し、工程B1において、その大判基板素材に対して第2電極形成工程を実施する。具体的には、ITOを材料として周知のパターン形成法、例えばフォトリソグラフィー法によって、図5(b)に示すように、大判基板素材6b’の表面に所定パターンの第2電極7bを形成する。なお、図5(b)では、大判基板素材6b’のうち第2基板2bの1個分の領域だけを示している。
【0055】次に、オーバーコート層8b(図3参照)を図5(b)の大判基板素材6b’の表面に、例えば酸化珪素、酸化チタンを材料としてオフセット印刷によって形成する(工程B2)。そして、その上に例えばポリイミド系樹脂を材料としてオフセット印刷によって配向膜9b(図3参照)を形成し(工程B3)、その配向膜に配向性を持たせるためにラビング処理を行う(工程B3)。これにより、図5(b)に示すような大判の第2基板2b’が形成される。なお、図5(b)では、便宜上オーバーコート層及び配向膜の図示を省略している。
【0056】以上により図5(a)の大判第1基板2a’及び図5(b)の大判第2基板2b’が製作された後、工程C1において、それらの大判第1基板2a’と大判第2基板2b’とをシール材3を挟んで互いに重ね合わせ、さらに圧着すること、すなわち加熱下で加圧することにより、両基板を互いに貼り合わせる。この貼り合わせにより、図2の液晶表示装置1の主たる部分である液晶パネル構造を複数個含む大きさの大判パネル構造(即ち、母基板)が形成される。
【0057】以上のようにして、母基板が製作された後、第1ブレイク工程を実施する(工程C2)。具体的には、母基板を構成する大判第1基板2a’に関して図5R>5(a)の第1切断線L1aに沿ってその大判基板2a’を切断し、大判第2基板2b’に関して図5(b)の第1切断線L1bに沿ってその大判基板2b’を切断する。
【0058】これにより、液晶注入口3が外部へ露出した状態の液晶パネル部分が複数個含まれる中判のパネル構造、いわゆる短冊状の中判パネル構造が複数個切り出される。そしてその後、各液晶注入口3aを通して各液晶パネル部分の内部に液晶14を注入し、注入完了後にその液晶注入口3aを樹脂によって封止する(工程C3)。
【0059】その後、工程C4において中判パネル構造に対して第2ブレイク工程を実施する。具体的には、図5R>5(a)の第2切断線L2a及び図5(b)の第2切断線L2bに沿って中判パネル構造を構成する第1基板及び第2基板を切断し、これにより図3に示す液晶表示装置1であって駆動用IC16、位相差板10、及び偏光板11a、11bが付設されていないものが1つずつ分断される。
【0060】その後、ACF17を用いて基板張出し部2cの表面に駆動用IC16が実装される(工程C5)。次に、駆動用IC16を実装した側の第1基板2aと対向する相手側基板、すなわち第2基板2bに対して位相差板10を装着する(工程C6)。続いて、第1基板2a及び第2基板2bに対して偏光板11a及び11bを装着する(工程C7)。
【0061】さらに、前述したスクリーン印刷を利用する方法、又は、ディスペンサーを利用する方法により、偏光板11a及び11bの周辺部に樹脂モールド32を形成する(工程C8)。最後に、第1基板2aに反射板12を貼付して(工程C9)、図1に示す液晶表示装置1を製作する。
【0062】[電子機器]次に、本発明に係る液晶表示装置を用いた電子機器について説明する。
【0063】まず、本発明に係る液晶表示装置を、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)の表示部に適用した例について説明する。図6(a)は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ41は、キーボード411を備えた本体部412と、本発明に係る液晶表示装置を適用した表示部413とを備えている。
【0064】続いて、本発明に係る液晶表示装置を、携帯電話機の表示部に適用した例について説明する。図6(b)は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機42は、複数の操作ボタン421のほか、受話口422、送話口423とともに、本発明に係る電気光学装置を適用した表示部424を備える。
【0065】なお、本発明に係る液晶表示装置を適用可能な電子機器としては、図6(a)に示したパーソナルコンピュータや図6(b)に示した携帯電話機の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどが挙げられる。
【0066】本発明は、TFD(Thin Film Diode)に代表される二端子型スイッチング素子及びTFT(Thin Film Transistor)に代表される三端子型スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置のいずれにも適用できる他、スイッチング素子を持たないパッシブマトリクス方式の液晶表示装置も適用することができる。
【0067】また、上記実施形態では、電気光学物質として液晶を用いた液晶表示装置に本発明を適用した場合を例示したが、電気光学物質として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に代表されるEL素子などを用い、その電気光学効果によって表示を行う各種の装置にも本発明を適用可能である。また、同様にプラズマディスプレイパネル(PDP)にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による樹脂モールドの形成を説明する図である。
【図2】本発明を適用した液晶表示装置の平面図である。
【図3】本発明を適用した液晶表示装置の断面図である。
【図4】本発明による液晶表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の液晶表示装置を構成する基板を示す平面図である。
【図6】本発明を適用可能な電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
1 液晶表示装置
2a 第1基板
2b 第2基板
2c 基板張り出し部
3 シール材
16 駆動用IC
11a、11b 偏光板
30 画像表示領域
32 樹脂モールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気光学材料を挟持した基板と、前記基板の面上に配置された偏光板と、前記偏光板の周縁部に配置された樹脂モールドと、を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】 前記樹脂モールドは、前記偏光板の端面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】 前記樹脂モールドは、前記基板の前記面上、前記偏光板の前記端面及び前記偏光板の面上を連続的に覆っていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】 前記樹脂モールドは、電気光学装置の画像表示領域よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】 前記偏光板上に配置される要素をさらに備え、前記要素は前記樹脂モールドを収容する凹部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】 前記樹脂モールドの内側において前記偏光板表面を覆うコーティング層をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】 前記樹脂モールドは、シリコン樹脂及び紫外線硬化性樹脂のいずれかにより配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置と、前記電気光学装置を収容する筐体と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】 電気光学材料を挟持した基板の面上に偏光板を貼付する工程と、前記偏光板の周縁部に樹脂モールドを形成する工程と、を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】 前記樹脂モールドを形成する工程は、前記偏光板の端面を覆うように樹脂モールドを形成することを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項11】 前記樹脂モールドを形成する工程は、前記基板面上、前記偏光板の端面上及び前記偏光板の面上を連続的に覆うように樹脂モールドを形成することを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項12】 前記樹脂モールドを形成する工程は、スクリーン印刷により偏光板の周縁部に樹脂材料を塗布することにより樹脂モールドを形成することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項13】 前記樹脂モールドを形成する工程は、ディスペンサーにより偏光板の周縁部に樹脂材料を塗布することにより樹脂モールドを形成することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項14】 前記樹脂モールドの内側における前記偏光板の面上にコーティングを施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−43470(P2003−43470A)
【公開日】平成15年2月13日(2003.2.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−228454(P2001−228454)
【出願日】平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】