電気光学装置および電子機器
【課題】右眼用画像と左眼用画像との混在が利用者に知覚されることを抑制しながら表示画像の明度を向上させる。
【解決手段】複数の画素回路PIXは、複数の走査線32および複数の信号線34の各交差に対応して配置され、走査線32の選択時における信号線34の階調信号X[n]に応じた階調を表示する液晶素子CLを含む。駆動回路40は、右眼用期間PRの第1書込期間W1にて複数の走査線32を選択単位として順次に選択し、選択単位内の特定走査線32に対応する右眼用画像GRの指定階調に応じた階調信号X[n]を各画素回路PIXに供給し、第2書込期間W2では、特定走査線32以外の走査線32を順次に選択して当該走査線32に対応する指定階調に応じた階調信号X[n]を各画素回路PIXに供給する。
【解決手段】複数の画素回路PIXは、複数の走査線32および複数の信号線34の各交差に対応して配置され、走査線32の選択時における信号線34の階調信号X[n]に応じた階調を表示する液晶素子CLを含む。駆動回路40は、右眼用期間PRの第1書込期間W1にて複数の走査線32を選択単位として順次に選択し、選択単位内の特定走査線32に対応する右眼用画像GRの指定階調に応じた階調信号X[n]を各画素回路PIXに供給し、第2書込期間W2では、特定走査線32以外の走査線32を順次に選択して当該走査線32に対応する指定階調に応じた階調信号X[n]を各画素回路PIXに供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者が立体感を知覚するように相互に視差が付与された右眼用画像と左眼用画像とを表示する技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
右眼用画像と左眼用画像とを時分割で交互に表示するフレームシーケンシャル方式の立体視方法が従来から提案されている。右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間では右眼用画像と左眼用画像とが混在するから、観察者が画像を視認すると明確な立体感を認識することが困難となる(クロストーク)。以上の問題を解決するために、例えば特許文献1には、右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間(すなわち右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間)において立体視用眼鏡の右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態として観察者に画像を視認させない技術が開示されている。
【0003】
具体的には、図10に示すように、右眼用画像に対応する右眼用期間と左眼用画像に対応する左眼用期間とが交互に設定される。右眼用期間の前半期間では表示画像が左眼用画像から右眼用画像に更新されるとともに後半期間では右眼用画像が表示され、左眼用期間の前半期間では表示画像が右眼用画像から左眼用画像に更新されるとともに後半期間では左眼用画像が表示される。右眼用期間および左眼用期間の各々の前半期間では、右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方が閉状態に制御される。したがって、右眼用画像と左眼用画像との混在(クロストーク)は観察者に知覚されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術のもとでは、利用者が実際に画像を視認できる期間が、右眼用期間および左眼用期間の各々における後半期間(すなわち約半分)に制限される。したがって、表示画像の明度を充分に確保することが困難であるという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、右眼用画像と左眼用画像との混在が利用者に知覚されることを抑制しながら表示画像の明度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、相互に交差する複数の走査線および複数の信号線と、交互に設定される右眼用期間および左眼用期間の各々に含まれる複数の単位期間の各々の第1書込期間において複数の走査線を選択単位として選択期間毎に順次に選択し、右眼用期間および左眼用期間の各々の各単位期間のうち第1書込期間の経過後の第2書込期間において、直前の第1書込期間での各選択単位のうち特定走査線以外の走査線を選択期間毎に順次に選択する走査線駆動回路と、右眼用期間の各第1書込期間内の選択期間毎に、右眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給し、右眼用期間の各第2書込期間内の選択期間毎に、右眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給する一方、左眼用期間の各第1書込期間内の選択期間毎に、左眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給し、左眼用期間の各第2書込期間内の選択期間毎に、左眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給する信号線駆動回路とを具備する。
【0007】
以上の構成においては、右眼用期間および左眼用期間の各々の第1書込期間では走査線を複数本(選択単位)ずつ順次に選択して各画素回路に階調信号を供給するから、右眼用期間および左眼用期間の最初に走査線を1本単位で順次に選択して各画素回路に階調信号を供給する構成と比較して、右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間が短縮される。したがって、右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間内で立体視用眼鏡の右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態に制御することで右眼用画像と左眼用画像との混在が利用者に知覚されることを抑制する場合でも表示画像の明度を向上させることが可能である。また、第1書込期間では表示画像の解像度が低下するが、直後の第2書込期間では特定走査線以外の走査線に対応する各画素回路に階調信号が供給されるから、表示画像の解像度の低下を観察者に知覚され難くすることが可能である。
【0008】
本発明の好適な態様は、右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、右眼用期間において左眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該右眼用期間のうち最初の第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、左眼用期間において右眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該左眼用期間のうち最初の第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる眼鏡制御回路を具備する。以上の態様においては、右眼用期間および左眼用期間の各々における最初の第1書込期間の始点から所定の時間が経過するまでの期間において、右眼用画像と左眼用画像との混在が利用者に知覚されることを防止できる。右眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、左眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる構成によれば、右眼用画像と左眼用画像との混在を利用者に知覚され難くするという効果は格別に顕著となる。
【0009】
本発明の好適な態様において、信号線駆動回路は、右眼用期間および左眼用期間の各々において、相前後する各単位期間で電気光学素子の印加電圧が逆極性となるように、各信号線に階調信号を供給する。以上の態様においては、電気光学素子の印加電圧が反転されるから、直流成分の印加に起因した電気光学素子(典型的には液晶素子)の特性劣化を防止できるという利点がある。以上の構成では特に、右眼用期間および左眼用期間の各々における単位期間毎に電気光学素子の印加電圧が反転されるから、例えば右眼用期間と左眼用期間とで電気光学素子の印加電圧を逆極性とする構成と比較して、電気光学素子に対する直流成分の印加を有効に防止できるという利点がある。右眼用期間および左眼用期間の各々が偶数個の単位期間を含む構成によれば、右眼用期間および左眼用期間の各々において電気光学素子に正極性電圧を印加する時間長と負極性電圧を印加する時間長とが均等化されるから、電気光学素子に対する直流成分の印加を防止できるという前述の効果は格別に顕著である。
【0010】
本発明の好適な態様において、走査線駆動回路は、右眼用期間および左眼用期間の各々の第1書込期間にて選択単位として選択する複数の走査線の組合せを各単位期間内の第1書込期間毎に変化させる。以上の態様においては、第1書込期間にて階調信号が供給されて第2書込期間では階調信号が供給されない画素回路と第1書込期間および第2書込期間の双方で階調信号が供給される画素回路とが第1書込期間毎に変更されるから、階調信号の供給回数や供給間隔の相違に起因した表示斑が低減されるという利点がある。例えば、走査線駆動回路は、右眼用期間および左眼用期間の各々において、一の単位期間の第1書込期間にて選択単位として選択する複数の走査線の組合せと、他の単位期間の第1書込期間にて選択単位として選択する複数の走査線の組合せとが走査線の1行分だけずれた関係となるように各第1書込期間での選択単位を選定する。
【0011】
以上の各態様に係る電気光学装置は表示体として各種の電子機器に採用される。例えば、以上の各態様に係る電気光学装置と、眼鏡制御回路が制御する立体視用眼鏡とを具備する立体視表示装置が、本発明の電子機器として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置のブロック図である。
【図2】画素回路の回路図である。
【図3】立体視表示装置の動作の説明図である。
【図4】走査線駆動回路の動作の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態における走査線駆動回路の動作の説明図である。
【図6】第2実施形態に係る立体視表示装置の動作の説明図である。
【図7】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図8】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図9】電子機器(投射型表示装置)の斜視図である。
【図10】従来の技術における立体視動動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置100のブロック図である。立体視表示装置100は、観察者に立体感を知覚させる立体視画像をアクティブシャッター方式で表示する電子機器であり、電気光学装置10と立体視用眼鏡20とを具備する。電気光学装置10は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとを時分割で交互に表示する。
【0014】
立体視用眼鏡20は、電気光学装置10が表示する立体視画像の視認時に観察者が装着する眼鏡型の器具であり、観察者の右眼の前方に位置する右眼用シャッター22と左眼の前方に位置する左眼用シャッター24とを具備する。右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々は、照射光を透過させる開状態(透過状態)と照射光を遮断する閉状態(遮光状態)とに制御される。例えば印加電圧に応じて液晶の配向方向を変化させることで開状態および閉状態の一方から他方に変化する液晶シャッターが右眼用シャッター22および左眼用シャッター24として採用され得る。
【0015】
図1の電気光学装置10は、電気光学パネル12と制御回路14とを具備する。電気光学パネル12は、複数の画素回路(画素)PIXが配列された画素部30と、各画素回路PIXを駆動する駆動回路40とを含む。画素部30には、x方向に延在するM本の走査線32と、x方向に交差するy方向に延在するN本の信号線34とが形成される(MおよびNは自然数)。画素部30内の複数の画素回路PIXは、走査線32と信号線34との各交差に対応して縦M行×横N列の行列状に配列される。すなわち、x方向に配列するN個の画素回路PIXの集合(以下「画素回路群」という)BのM行分がy方向に並列に設置される。
【0016】
駆動回路40は、走査線駆動回路42と信号線駆動回路44とを具備する。走査線駆動回路42は、各走査線32に対応する走査信号Y[1]〜Y[M]の供給で各走査線32(各画素回路群B)を順次に選択する。走査信号Y[m](m=1〜M)が選択電位に設定されることで第m行の走査線32が選択される。信号線駆動回路44は、走査線駆動回路42による走査線32の選択に同期してN本の信号線34の各々に階調信号X[1]〜X[N]を供給する。階調信号X[n](n=1〜N)は、外部回路から供給される画像信号での指定階調(表示画像の各画素値)に応じて電位VGが可変に設定される電圧信号であり、所定の基準電位に対する極性が周期的に反転する。
【0017】
図2は、各画素回路PIXの回路図である。図2に示すように、各画素回路PIXは、液晶素子CLと選択スイッチSWとを含む。液晶素子CLは、相対向する画素電極62および共通電極64と両電極間の液晶66とで構成された電気光学素子である。画素電極62と共通電極64との間の印加電圧に応じて液晶66の透過率(表示階調)が変化する。選択スイッチSWは、走査線32にゲートが接続されたNチャネル型の薄膜トランジスターで構成され、液晶素子CLと信号線34との間に介在して両者の電気的な接続(導通/絶縁)を制御する。走査信号Y[m]が選択電位に設定されることで第m行の各画素回路PIXにおける選択スイッチSWが同時にオン状態に遷移する。各画素回路PIX(液晶素子CL)は、選択スイッチSWがオン状態に制御されたとき(すなわち走査線32の選択時)の階調信号X[n]の電位VGに応じた階調を表示する。なお、液晶素子CLに並列に補助容量を接続した構成も採用され得る。
【0018】
図1の制御回路14は、電気光学パネル12を制御する表示制御回路142と、立体視用眼鏡20を制御する眼鏡制御回路144を具備する。なお、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを単体の集積回路に搭載した構成や、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを別体の集積回路に分散した構成が採用され得る。表示制御回路142は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとが時分割で画素部30に表示されるように駆動回路40を制御する。具体的には、表示制御回路142は、駆動回路40が以下の動作を実行するように駆動回路40を制御する。
【0019】
図3は、電気光学装置10の動作の説明図である。電気光学装置10の動作期間は、右眼用画像GRを表示するための右眼用期間PRと左眼用画像GLを表示するための左眼用期間PLとに区分される。各右眼用期間PRと各左眼用期間PLとは時間軸上に交互に配置される。右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々は複数(偶数個)の単位期間Uを含む。第1実施形態では右眼用期間PRと左眼用期間PLの各々が2個の単位期間U(U1,U2)を含む場合を想定する。各単位期間Uは、第1書込期間W1と第2書込期間W2とに区分される。第2書込期間W2は第1書込期間W1に後続する。図3に示すように、第1書込期間W1および第2書込期間W2の各々は、表示制御回路142から走査線駆動回路42および信号線駆動回路44に供給される垂直同期信号VSYNCの1周期として規定される。
【0020】
図4は、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における各単位期間U(U1,U2)での走査線駆動回路42の動作の説明図である。図4に示すように、走査線駆動回路42は、各単位期間Uの第1書込期間W1において、相互に隣合う2本の走査線32(画素回路群Bの2行分)を選択単位として選択期間H[1]〜H[K]にて順次に選択する。すなわち、各第1書込期間W1の第k番目(k=1〜K)の選択期間H[k]では、奇数行の走査信号Y[2k-1]と偶数行の走査信号Y[2k]とが同時に選択電位に設定されることで、第(2k-1)行の走査線32(奇数行の画素回路群B)と第2k行の走査線32(偶数行の画素回路群B)とが同時に選択される。例えば選択期間H[1]では第1行の走査線32と第2行の走査線32とが同時に選択され、選択期間H[2]では第3行の走査線32と第4行の走査線32とが同時に選択される。したがって、第1書込期間W1内の選択期間H[k]の総数Kは、走査線32の総数(画素回路群Bの行数)Mの半分に相当する(K=M/2)。各選択期間H[k]で同時に選択される選択単位(2本の走査線32)のうち1本の走査線32(第1実施形態では第(2k-1)行の走査線32)を以下では「特定走査線32」と表記する。
【0021】
他方、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における各単位期間Uの第2書込期間W2において、走査線駆動回路42は、直前の第1書込期間W1で選択した各選択単位のうち特定走査線32以外の複数(M/2本)の走査線32を選択期間H[1]〜H[K]にて1本ずつ順次に選択する。すなわち、第2書込期間W2内の第k番目の選択期間H[k]では、走査信号Y[2k]が選択電位に設定されることで第2k行の1本の走査線32(第2k行の画素回路群B)が選択される。例えば選択期間H[1]では第2行の走査線32が選択され、選択期間H[2]では第4行の走査線32が選択される。したがって、各第2書込期間W2には第1書込期間W1と同様にK個(M/2個)の選択期間H[1]〜H[K]が含まれる。
【0022】
図3に示すように、信号線駆動回路44は、右眼用画像GRの各画素の指定階調(画素値)に応じた電位VGの階調信号X[1]〜X[N]を右眼用期間PR内の選択期間H[k]毎に各信号線34に供給し、左眼用画像GLの各画素の指定階調に応じた電位VGの階調信号X[1]〜X[N]を左眼用期間PL内の選択期間H[k]毎に各信号線34に供給する。図3に示すように、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々において、各画素回路PIXの液晶素子CLの印加電圧が前後の単位期間Uで逆極性となるように、各階調信号X[n]の電位VGの極性が単位期間U毎に順次に反転される。具体的には、階調信号X[n]の電位VGは、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の単位期間U1では基準電位(例えば共通電極64の電位)に対して正極性(+)に設定され、単位期間U2では基準電位に対して負極性(-)に設定される。
【0023】
右眼用期間PRの各単位期間U(U1,U2)の第1書込期間W1のうち第(2k-1)行の走査線32と第2k行の走査線32とが同時に選択される選択期間H[k]において、信号線駆動回路44は、右眼用画像GRのうち特定走査線32(すなわち第(2k-1)行の走査線32)に対応する各画素の指定階調に応じた電位VGの階調信号X[n]を各信号線34に供給する。すなわち、図3に符号(A)で示すように、第1書込期間W1の選択期間H[k]では、第(2k-1)行および第2k行の各画素回路PIXに対して、右眼用画像GRのうち第(2k-1)行の各画素の指定階調GR[2k-1]に応じた電位VGが供給される。例えば、選択期間H[1]では、右眼用画像GRのうち第1行の各画素の指定階調GR[1]に応じた電位VGが第1行および第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、右眼用画像GRのうち第3行の各画素の指定階調GR[3]に応じた電位VGが第3行および第4行の各画素回路PIXに供給される。以上の通り、Y方向に相互に隣合う各画素回路PIXには相等しい電位VGが供給されるから、第1書込期間W1が終了する時点では、Y方向の解像度を半分に低下させた右眼用画像GRが画素部30に表示される。
【0024】
左眼用期間PLの各単位期間Uの第1書込期間W1でも同様に、図3に符号(C)で示すように、左眼用画像GLのうち第(2k-1)行の各画素の指定階調GL[2k-1]に応じた電位VGの階調信号X[n]が、第(2k-1)行および第2k行の各画素回路PIXに供給される。すなわち、例えば選択期間H[1]では、左眼用画像GLのうち第1行の各画素の指定階調GL[1]に応じた電位VGが第1行および第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、左眼用画像GLのうち第3行の各画素の指定階調GL[3]に応じた電位VGが第3行および第4行の各画素回路PIXに供給される。以上に説明した通り、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の第1書込期間W1では、各画素回路PIXに対する電位VGの供給(書込)が選択期間H[k]毎に画素回路群Bの2行ずつ(すなわち選択単位毎に)順次に実行される。
【0025】
他方、右眼用期間PRの各単位期間U(U1,U2)の第2書込期間W2のうち第2k行の走査線32が選択される選択期間H[k]において、信号線駆動回路44は、図3に符号(B)で示すように、右眼用画像GRのうち当該走査線32(すなわち選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32)に対応する第2k行の各画素の指定階調GR[2k]に応じた電位VGの階調信号X[n]を各信号線34に供給する。具体的には、選択期間[1]では、右眼用画像GRのうち第2行の各画素の指定階調GR[2]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、右眼用画像GRのうち第4行の各画素の指定階調GR[4]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第4行の各画素回路PIXに供給される。他方、奇数行(すなわち各選択単位での特定走査線32)に対応する各画素回路PIXの液晶素子CLの印加電圧は、直前の第1書込期間W1での印加電圧に保持される。したがって、第1書込期間W1の終点ではY方向に半分の解像度で表示されていた右眼用画像GRが、第2書込期間W2の終点では所期の解像度(M行×N列)の右眼用画像GRに更新される。
【0026】
左眼用期間PLの各単位期間Uの第2書込期間W2でも同様に、図3に符号(D)で示すように、第2k行の走査線32が選択される選択期間H[k]において、左眼用画像GLのうち当該走査線32に対応する第2k行の各画素の指定階調GL[2k]に応じた電位VGの階調信号X[n]を各信号線34に供給する。例えば選択期間[1]では、左眼用画像GLのうち第2行の各画素の指定階調GL[2]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、左眼用画像GLのうち第4行の各画素の指定階調GL[4]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第4行の各画素回路PIXに供給される。以上に説明した通り、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の第2書込期間W2では、第1書込期間W1での各選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIX(すなわち1行おきに選択された各画素回路PIX)について電位VGの供給(書込)が選択期間H[k]毎に順次に実行される。
【0027】
右眼用期間PR内の最初の第1書込期間W1では、直前の左眼用期間PL(単位期間U2内の第2書込期間W2)で表示された左眼用画像GLが各選択期間H[k]にて2行毎に右眼用画像GRに変更され、左眼用期間PL内の最初の第1書込期間W1では、直前の右眼用期間PRで表示された右眼用画像GRが各選択期間H[k]にて2行毎に左眼用画像GLに変更される。すなわち、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の最初の第1書込期間W1では右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する。
【0028】
制御回路14の眼鏡制御回路144は、立体視用眼鏡20の右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々の状態(開状態/閉状態)を電気光学パネル12の動作に同期して制御する。すなわち、眼鏡制御回路144は、図3に示すように、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間が経過した時点で右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させ、左眼用期間PLの始点にて右眼用シャッター22を開状態から閉状態に変化させたうえで左眼用期間PLの全体で閉状態に維持する。具体的には、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の終点で右眼用シャッター22は閉状態から開状態に遷移する。同様に、眼鏡制御回路144は、左眼用期間PLの最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間が経過した時点で左眼用シャッター24を閉状態から開状態に変化させ、右眼用期間PRの始点にて左眼用シャッター24を開状態から閉状態に変化させたうえで右眼用期間PRの全体で閉状態に維持する。具体的には、左眼用期間PLの最初の第1書込期間W1の終点で左眼用シャッター24は閉状態から開状態に遷移する。
【0029】
したがって、右眼用期間PRのうち単位期間U1内の第2書込期間W2と直後の単位期間U2とで表示される右眼用画像GRは右眼用シャッター22を透過して観察者の右眼に到達するとともに左眼用シャッター24で遮断される。他方、左眼用期間PLのうち単位期間U1内の第2書込期間W2と直後の単位期間U2とで表示される左眼用画像GLは左眼用シャッター24を透過して観察者の左眼に到達するとともに右眼用シャッター22で遮断される。右眼用シャッター22を透過した右眼用画像GRを右眼で視認するとともに左眼用シャッター24を透過した左眼用画像GLを左眼で視認することで、観察者は表示画像に立体感を知覚する。
【0030】
図3に示すように、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの最初の第1書込期間W1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される。前述のように最初の第1書込期間W1では表示画像が右眼用画像GRおよび左眼用画像GLの一方から他方に2行毎に変化するが、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に維持されるから、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)は観察者に知覚されない。すなわち、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが確実に右眼および左眼に分離されるから、観察者に明確な立体感を知覚させることが可能である。
【0031】
以上の形態においては、各第1書込期間W1では画素回路群Bを2行単位で選択して各画素回路PIXに階調信号X[n](電位VG)を供給する。したがって、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの最初に画素回路群Bを1行単位で順次に選択して階調信号X[n]を供給する構成と比較すると、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間(すなわち右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方を閉状態に維持すべき期間)の時間長が短縮される。すなわち、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の一方を開状態に維持する時間長が充分に確保される。したがって、観察者が認識する表示画像の明るさを向上することが可能である。なお、第1書込期間W1では表示画像のY方向の解像度が低下するが、直後の第2書込期間W2では特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXに階調信号X[n]が供給されるから、表示画像の解像度の低下は観察者に殆ど認識されない。
【0032】
また、第1実施形態では、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が複数の単位期間Uを含み、相前後する各単位期間Uで液晶素子CLの印加電圧の極性が反転される。すなわち、例えば右眼用期間PRと左眼用期間PLとで液晶素子CLの印加電圧の極性を反転させる場合と比較して液晶素子CLの印加電圧の極性反転の周期が短縮されるから、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化を有効に防止できるという利点がある。
【0033】
なお、右眼用画像GRと左眼用画像GLとでは各画素の指定階調が相違するから、右眼用期間PRと左眼用期間PLとで液晶素子CLの印加電圧の極性を反転させる構成では、例えば右眼用期間PRにて液晶素子CLに印加される正極性電圧と左眼用期間PLにて液晶素子CLに印加される負極性電圧との差異が顕著となり、液晶素子CLに対する直流成分の印加を抑制することが困難となる。他方、第1実施形態では、右眼用画像GRが表示される右眼用期間PR内の単位期間U毎に液晶素子CLの印加電圧の極性が反転され、かつ、左眼用画像GLが表示される左眼用期間PL内の単位期間U毎に液晶素子CLの印加電圧の極性が反転される。したがって、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの相違に関わらず、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏向(直流成分の残留)を有効に抑制できるという利点がある。以上の例示では特に、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が偶数個の単位期間Uを含むから、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々において、各画素回路PIXの液晶素子CLに正極性電圧が印加される時間長と負極性電圧が印加される時間長とが均等化される。したがって、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏向を抑制できるという効果は格別に顕著である。
【0034】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0035】
図5は、第2実施形態における走査線駆動回路42の動作の説明図である。第1実施形態では、第1書込期間W1の各選択期間H[k]で同時に選択する複数の走査線32(選択単位)の組合せを単位期間U1と単位期間U2とで共通させた。第2実施形態では、第1書込期間W1にて選択単位として選択する走査線32の組合せを単位期間U1と単位期間U2とで相違させる。
【0036】
具体的には、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における単位期間U1の第1書込期間W1では、走査線駆動回路42は、第1実施形態と同様に、第(2k-1)行の走査線32と第2k行の走査線32との組合せを選択単位として選択期間H[k]毎に順次に選択する。すなわち、図6に符号(A)で示すように、例えば選択期間H[1]では第1行の走査線32と第2行の走査線32とが同時に選択され、選択期間H[2]では第3行の走査線32と第4行の走査線32とが同時に選択される。そして、第1書込期間W1内の各選択期間H[k]では、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち第(2k-1)行の走査線32(特定走査線32)に対応する各画素の指定階調(GR[2k-1],GL[2k-1])に応じた電位VGが選択単位の各画素回路PIXに供給される。また、図6に符号(B)で示すように、直後の第2書込期間W2では選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXに電位VGの階調信号X[n]が供給される。
【0037】
他方、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における単位期間U2の第1書込期間W1では、図6に符号(C)で示すように、走査線駆動回路42は、第2k行の走査線32と第(2k+1)行の走査線32との組合せを選択単位として選択期間H[k]毎に順次に選択する。具体的には、図5に示すように、第1書込期間W1内の第k番目の選択期間H[k]では、偶数行の走査信号Y[2k]と奇数行の走査信号Y[2k+1]とが同時に選択電位に設定される。すなわち、例えば選択期間H[1]では第2行の走査線32と第3行の走査線32とが同時に選択され、選択期間H[2]では第4行の走査線32と第5行の走査線32とが同時に選択される。単位期間U2内の第1書込期間W1の各選択期間H[k]では第2k行の走査線32が特定走査線32として選定される。すなわち、各選択期間H[k]では、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち第2k行の走査線32(特定走査線32)に対応する各画素の指定階調(GR[2k],GL[2k])に応じた電位VGが選択単位(2行分)の各画素回路PIXに供給される。
【0038】
以上の説明から理解されるように、第1書込期間W1にて各選択単位を構成する2本の走査線32の組合せ(すなわち電位VGの供給対象となる画素回路群Bの組合せ)は単位期間U1と単位期間U2とで1行分だけずれた関係となる。ただし、各画素回路PIXに対する電位VGの供給(書込)が画素回路群Bの2行ずつ選択期間H[k]毎に順次に実行されるという動作は単位期間U1と単位期間U2とで同様である。
【0039】
単位期間U2内の第2書込期間W2では、各選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXに電位VGが供給される。すなわち、図6に符号(D)で示すように、第(2k-1)行(第1行,第3行,第5行,……)の各走査線32が順次に選択されるとともに右眼用画像GRおよび左眼用画像GLのうち当該走査線32に対応する各画素の指定階調(GR[2k-1],GL[2k-1])に応じた電位VGの階調信号X[n]が各信号線34に供給される。すなわち、第2書込期間W2にて選択される走査線32(電位VGの供給対象となる画素回路群B)は単位期間U1と単位期間U2とで相違する。
【0040】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。ところで、M本の走査線32のうち特定走査線32に対応する各画素回路PIXについては各単位期間U内で1回だけ電位VGの供給が実行され、特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXには単位期間U内で2回の電位VGの供給が実行されるという相違がある。そして、特定走査線32の各画素回路PIXとそれ以外の走査線32の各画素回路PIXとでは、各々に供給される電位VGが仮に相等しい場合(すなわち同等の階調が指定された場合)でも、電位VGの供給回数(あるいは供給間隔)の差異に起因して表示階調に相違が発生し得る。第1実施形態では、奇数行の各走査線32が固定的に特定走査線32とされるから、画素部30内の全部の画素回路PIXに同等の電位VGを供給した場合でも、各画素回路PIXの表示階調が奇数行と偶数行とで相違する(すなわち行単位の表示斑が発生する)可能性がある。他方、第2実施形態では、単位期間U1にて奇数行の各走査線32が特定走査線32とされ、単位期間U2内では偶数行の各走査線32が特定走査線32とされる。したがって、奇数行の各画素回路PIXの表示階調と偶数行の各画素回路PIXの表示階調との相違(表示斑)が観察者に知覚され難くなるという利点がある。
【0041】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
【0042】
(1)変形例1
第1書込期間W1にて同時に選択する走査線32の本数(選択単位を構成する走査線32の本数)は、以上に例示した2本に限定されない。選択単位を構成する走査線32の本数をH本と一般化した場合、各単位期間UがH個の書込期間W1〜WHに区分される。そして、各単位期間Uのうち最初の書込期間W1では選択単位(H本の走査線32)がK個(K=M/H)の選択期間H[1]〜H[K]の各々で順次に同時に選択され、かつ、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち特定走査線32に対応する各画素の指定階調に応じた電位VGが選択単位内の各画素回路PIXに供給される。また、単位期間U内の第2番目以降の各書込期間Wh(h=2〜H)では、選択単位内の第h番目の1本の走査線32が選択され、かつ、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち当該走査線32に対応する各画素の指定階調に応じた電位VGが供給される。選択単位を構成する走査線32の組合せを単位期間U毎に相違させる第2実施形態の構成も同様に採用される。
【0043】
(2)変形例2
以上の各形態では、右眼用期間PRのうち最初の第1書込期間W1の終点にて右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させたが、右眼用シャッター22を開状態に変化させる時期は適宜に変更される。例えば、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の終点以前に右眼用シャッター22を開状態に変更する構成では、第1書込期間W1内での右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に若干は知覚されるが、表示画像の明度を向上させることが可能である。他方、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の終点以降の時点で右眼用シャッター22を開状態に変更する構成では、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚されることを確実に防止することが可能である。すなわち、右眼用シャッター22を開状態に変化させる時期は、右眼用期間PRのうち最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間(すなわち右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が利用者に知覚されることを防止する必要がある期間)が経過した時点として包括され、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在を利用者に知覚されることの防止と表示画像の明度の確保との優先度(バランス)に応じて適宜に選定される。左眼用期間PL内で左眼用シャッター24を閉状態から開状態に変化させる時期も同様であり、左眼用期間PLのうち最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間が経過した任意の時点が、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が利用者に知覚されることの防止と表示画像の明度の確保との優先度に応じて適宜に選定される。また、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が利用者に知覚され難い開閉の時期は、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の応答特性と電気光学パネル12(液晶素子CL)の応答特性との関係に応じて変化する。したがって、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々を開状態および閉状態の一方から他方に変化させる時期を、立体視用眼鏡20の応答特性と電気光学パネル12の応答特性との関係に応じて選定した構成も好適である。
【0044】
同様に、右眼用シャッター22を開状態から閉状態に変化させる時期は、右眼用期間PRの終点(左眼用期間PLの始点)に限定されない。例えば、右眼用期間PRの終点を含む所定の期間内(終点の到来前または経過後)に右眼用シャッター22を閉状態に変化させることも可能である。また、左眼用シャッター24を開状態から閉状態に変化させる時期も任意であり、例えば、左眼用期間PLの終点(右眼用期間PRの始点)を含む所定の期間内に左眼用シャッター24を閉状態に変化させる構成も採用され得る。
【0045】
(3)変形例3
液晶素子CLの印加電圧の極性を反転させる周期は本発明において任意である。例えば、右眼用期間PRと左眼用期間PLとで印加電圧の極性を反転させる構成や、右眼用期間PRと左眼用期間PLとの対を1周期として印加電圧の極性を反転させる構成が採用され得る。
【0046】
(4)変形例4
右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々に含まれる単位期間Uの個数は任意である。例えば右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が3個以上の単位期間Uを含む構成も採用され得る。もっとも、液晶素子CLの印加電圧の極性を単位期間U毎に反転させる構成のもとで液晶素子CLに対する直流成分の印加を有効に防止するという観点からすると、前述のように右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が偶数個の単位期間Uを含む構成が格別に好適である。
【0047】
(5)変形例5
電気光学素子は液晶素子CLに限定されない。例えば、電気泳動素子を電気光学素子として利用することも可能である。すなわち、電位光学素子は、電気的な作用(例えば電圧の印加)に応じて光学的な特性(例えば透過率)が変化する表示素子として包括される。
【0048】
<D:応用例>
以上の各形態に例示した電気光学装置10は、各種の電子機器に利用され得る。図7から図9には、電気光学装置10を採用した電子機器の具体的な形態が例示されている。
【0049】
図7は、電気光学装置10を採用した可搬型のパーソナルコンピューターの斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置10と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0050】
図8は、電気光学装置10を適用した携帯電話機の斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置10とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0051】
図9は、電気光学装置10を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクター)4000の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)に対応する3個の電気光学装置10(10R,10G,10B)を含んで構成される。照明光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置10Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置10Gに供給し、青色成分bを電気光学装置10Bに供給する。各電気光学装置10は、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置10からの出射光を合成して投射面4004に投射する。観察者は、投射面4004に投射された立体視画像を立体視用眼鏡20で視認する。
【0052】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図7から図9に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレーヤー,タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0053】
100……立体視表示装置、10……電気光学装置、12……電気光学パネル、14……制御回路、142……表示制御回路、144……眼鏡制御回路、20……立体視用眼鏡、22……右眼用シャッター、24……左眼用シャッター、30……画素部、PIX……画素回路、CL……液晶素子、SW……選択スイッチ、32……走査線、34……信号線、40……駆動回路、42……走査線駆動回路、44……信号線駆動回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者が立体感を知覚するように相互に視差が付与された右眼用画像と左眼用画像とを表示する技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
右眼用画像と左眼用画像とを時分割で交互に表示するフレームシーケンシャル方式の立体視方法が従来から提案されている。右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間では右眼用画像と左眼用画像とが混在するから、観察者が画像を視認すると明確な立体感を認識することが困難となる(クロストーク)。以上の問題を解決するために、例えば特許文献1には、右眼用画像および左眼用画像の一方が他方に変化する期間(すなわち右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間)において立体視用眼鏡の右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態として観察者に画像を視認させない技術が開示されている。
【0003】
具体的には、図10に示すように、右眼用画像に対応する右眼用期間と左眼用画像に対応する左眼用期間とが交互に設定される。右眼用期間の前半期間では表示画像が左眼用画像から右眼用画像に更新されるとともに後半期間では右眼用画像が表示され、左眼用期間の前半期間では表示画像が右眼用画像から左眼用画像に更新されるとともに後半期間では左眼用画像が表示される。右眼用期間および左眼用期間の各々の前半期間では、右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方が閉状態に制御される。したがって、右眼用画像と左眼用画像との混在(クロストーク)は観察者に知覚されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術のもとでは、利用者が実際に画像を視認できる期間が、右眼用期間および左眼用期間の各々における後半期間(すなわち約半分)に制限される。したがって、表示画像の明度を充分に確保することが困難であるという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、右眼用画像と左眼用画像との混在が利用者に知覚されることを抑制しながら表示画像の明度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、相互に交差する複数の走査線および複数の信号線と、交互に設定される右眼用期間および左眼用期間の各々に含まれる複数の単位期間の各々の第1書込期間において複数の走査線を選択単位として選択期間毎に順次に選択し、右眼用期間および左眼用期間の各々の各単位期間のうち第1書込期間の経過後の第2書込期間において、直前の第1書込期間での各選択単位のうち特定走査線以外の走査線を選択期間毎に順次に選択する走査線駆動回路と、右眼用期間の各第1書込期間内の選択期間毎に、右眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給し、右眼用期間の各第2書込期間内の選択期間毎に、右眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給する一方、左眼用期間の各第1書込期間内の選択期間毎に、左眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給し、左眼用期間の各第2書込期間内の選択期間毎に、左眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を各信号線に供給する信号線駆動回路とを具備する。
【0007】
以上の構成においては、右眼用期間および左眼用期間の各々の第1書込期間では走査線を複数本(選択単位)ずつ順次に選択して各画素回路に階調信号を供給するから、右眼用期間および左眼用期間の最初に走査線を1本単位で順次に選択して各画素回路に階調信号を供給する構成と比較して、右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間が短縮される。したがって、右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間内で立体視用眼鏡の右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方を閉状態に制御することで右眼用画像と左眼用画像との混在が利用者に知覚されることを抑制する場合でも表示画像の明度を向上させることが可能である。また、第1書込期間では表示画像の解像度が低下するが、直後の第2書込期間では特定走査線以外の走査線に対応する各画素回路に階調信号が供給されるから、表示画像の解像度の低下を観察者に知覚され難くすることが可能である。
【0008】
本発明の好適な態様は、右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、右眼用期間において左眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該右眼用期間のうち最初の第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、左眼用期間において右眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該左眼用期間のうち最初の第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる眼鏡制御回路を具備する。以上の態様においては、右眼用期間および左眼用期間の各々における最初の第1書込期間の始点から所定の時間が経過するまでの期間において、右眼用画像と左眼用画像との混在が利用者に知覚されることを防止できる。右眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、左眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる構成によれば、右眼用画像と左眼用画像との混在を利用者に知覚され難くするという効果は格別に顕著となる。
【0009】
本発明の好適な態様において、信号線駆動回路は、右眼用期間および左眼用期間の各々において、相前後する各単位期間で電気光学素子の印加電圧が逆極性となるように、各信号線に階調信号を供給する。以上の態様においては、電気光学素子の印加電圧が反転されるから、直流成分の印加に起因した電気光学素子(典型的には液晶素子)の特性劣化を防止できるという利点がある。以上の構成では特に、右眼用期間および左眼用期間の各々における単位期間毎に電気光学素子の印加電圧が反転されるから、例えば右眼用期間と左眼用期間とで電気光学素子の印加電圧を逆極性とする構成と比較して、電気光学素子に対する直流成分の印加を有効に防止できるという利点がある。右眼用期間および左眼用期間の各々が偶数個の単位期間を含む構成によれば、右眼用期間および左眼用期間の各々において電気光学素子に正極性電圧を印加する時間長と負極性電圧を印加する時間長とが均等化されるから、電気光学素子に対する直流成分の印加を防止できるという前述の効果は格別に顕著である。
【0010】
本発明の好適な態様において、走査線駆動回路は、右眼用期間および左眼用期間の各々の第1書込期間にて選択単位として選択する複数の走査線の組合せを各単位期間内の第1書込期間毎に変化させる。以上の態様においては、第1書込期間にて階調信号が供給されて第2書込期間では階調信号が供給されない画素回路と第1書込期間および第2書込期間の双方で階調信号が供給される画素回路とが第1書込期間毎に変更されるから、階調信号の供給回数や供給間隔の相違に起因した表示斑が低減されるという利点がある。例えば、走査線駆動回路は、右眼用期間および左眼用期間の各々において、一の単位期間の第1書込期間にて選択単位として選択する複数の走査線の組合せと、他の単位期間の第1書込期間にて選択単位として選択する複数の走査線の組合せとが走査線の1行分だけずれた関係となるように各第1書込期間での選択単位を選定する。
【0011】
以上の各態様に係る電気光学装置は表示体として各種の電子機器に採用される。例えば、以上の各態様に係る電気光学装置と、眼鏡制御回路が制御する立体視用眼鏡とを具備する立体視表示装置が、本発明の電子機器として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置のブロック図である。
【図2】画素回路の回路図である。
【図3】立体視表示装置の動作の説明図である。
【図4】走査線駆動回路の動作の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態における走査線駆動回路の動作の説明図である。
【図6】第2実施形態に係る立体視表示装置の動作の説明図である。
【図7】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図8】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図9】電子機器(投射型表示装置)の斜視図である。
【図10】従来の技術における立体視動動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置100のブロック図である。立体視表示装置100は、観察者に立体感を知覚させる立体視画像をアクティブシャッター方式で表示する電子機器であり、電気光学装置10と立体視用眼鏡20とを具備する。電気光学装置10は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとを時分割で交互に表示する。
【0014】
立体視用眼鏡20は、電気光学装置10が表示する立体視画像の視認時に観察者が装着する眼鏡型の器具であり、観察者の右眼の前方に位置する右眼用シャッター22と左眼の前方に位置する左眼用シャッター24とを具備する。右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々は、照射光を透過させる開状態(透過状態)と照射光を遮断する閉状態(遮光状態)とに制御される。例えば印加電圧に応じて液晶の配向方向を変化させることで開状態および閉状態の一方から他方に変化する液晶シャッターが右眼用シャッター22および左眼用シャッター24として採用され得る。
【0015】
図1の電気光学装置10は、電気光学パネル12と制御回路14とを具備する。電気光学パネル12は、複数の画素回路(画素)PIXが配列された画素部30と、各画素回路PIXを駆動する駆動回路40とを含む。画素部30には、x方向に延在するM本の走査線32と、x方向に交差するy方向に延在するN本の信号線34とが形成される(MおよびNは自然数)。画素部30内の複数の画素回路PIXは、走査線32と信号線34との各交差に対応して縦M行×横N列の行列状に配列される。すなわち、x方向に配列するN個の画素回路PIXの集合(以下「画素回路群」という)BのM行分がy方向に並列に設置される。
【0016】
駆動回路40は、走査線駆動回路42と信号線駆動回路44とを具備する。走査線駆動回路42は、各走査線32に対応する走査信号Y[1]〜Y[M]の供給で各走査線32(各画素回路群B)を順次に選択する。走査信号Y[m](m=1〜M)が選択電位に設定されることで第m行の走査線32が選択される。信号線駆動回路44は、走査線駆動回路42による走査線32の選択に同期してN本の信号線34の各々に階調信号X[1]〜X[N]を供給する。階調信号X[n](n=1〜N)は、外部回路から供給される画像信号での指定階調(表示画像の各画素値)に応じて電位VGが可変に設定される電圧信号であり、所定の基準電位に対する極性が周期的に反転する。
【0017】
図2は、各画素回路PIXの回路図である。図2に示すように、各画素回路PIXは、液晶素子CLと選択スイッチSWとを含む。液晶素子CLは、相対向する画素電極62および共通電極64と両電極間の液晶66とで構成された電気光学素子である。画素電極62と共通電極64との間の印加電圧に応じて液晶66の透過率(表示階調)が変化する。選択スイッチSWは、走査線32にゲートが接続されたNチャネル型の薄膜トランジスターで構成され、液晶素子CLと信号線34との間に介在して両者の電気的な接続(導通/絶縁)を制御する。走査信号Y[m]が選択電位に設定されることで第m行の各画素回路PIXにおける選択スイッチSWが同時にオン状態に遷移する。各画素回路PIX(液晶素子CL)は、選択スイッチSWがオン状態に制御されたとき(すなわち走査線32の選択時)の階調信号X[n]の電位VGに応じた階調を表示する。なお、液晶素子CLに並列に補助容量を接続した構成も採用され得る。
【0018】
図1の制御回路14は、電気光学パネル12を制御する表示制御回路142と、立体視用眼鏡20を制御する眼鏡制御回路144を具備する。なお、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを単体の集積回路に搭載した構成や、表示制御回路142と眼鏡制御回路144とを別体の集積回路に分散した構成が採用され得る。表示制御回路142は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとが時分割で画素部30に表示されるように駆動回路40を制御する。具体的には、表示制御回路142は、駆動回路40が以下の動作を実行するように駆動回路40を制御する。
【0019】
図3は、電気光学装置10の動作の説明図である。電気光学装置10の動作期間は、右眼用画像GRを表示するための右眼用期間PRと左眼用画像GLを表示するための左眼用期間PLとに区分される。各右眼用期間PRと各左眼用期間PLとは時間軸上に交互に配置される。右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々は複数(偶数個)の単位期間Uを含む。第1実施形態では右眼用期間PRと左眼用期間PLの各々が2個の単位期間U(U1,U2)を含む場合を想定する。各単位期間Uは、第1書込期間W1と第2書込期間W2とに区分される。第2書込期間W2は第1書込期間W1に後続する。図3に示すように、第1書込期間W1および第2書込期間W2の各々は、表示制御回路142から走査線駆動回路42および信号線駆動回路44に供給される垂直同期信号VSYNCの1周期として規定される。
【0020】
図4は、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における各単位期間U(U1,U2)での走査線駆動回路42の動作の説明図である。図4に示すように、走査線駆動回路42は、各単位期間Uの第1書込期間W1において、相互に隣合う2本の走査線32(画素回路群Bの2行分)を選択単位として選択期間H[1]〜H[K]にて順次に選択する。すなわち、各第1書込期間W1の第k番目(k=1〜K)の選択期間H[k]では、奇数行の走査信号Y[2k-1]と偶数行の走査信号Y[2k]とが同時に選択電位に設定されることで、第(2k-1)行の走査線32(奇数行の画素回路群B)と第2k行の走査線32(偶数行の画素回路群B)とが同時に選択される。例えば選択期間H[1]では第1行の走査線32と第2行の走査線32とが同時に選択され、選択期間H[2]では第3行の走査線32と第4行の走査線32とが同時に選択される。したがって、第1書込期間W1内の選択期間H[k]の総数Kは、走査線32の総数(画素回路群Bの行数)Mの半分に相当する(K=M/2)。各選択期間H[k]で同時に選択される選択単位(2本の走査線32)のうち1本の走査線32(第1実施形態では第(2k-1)行の走査線32)を以下では「特定走査線32」と表記する。
【0021】
他方、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における各単位期間Uの第2書込期間W2において、走査線駆動回路42は、直前の第1書込期間W1で選択した各選択単位のうち特定走査線32以外の複数(M/2本)の走査線32を選択期間H[1]〜H[K]にて1本ずつ順次に選択する。すなわち、第2書込期間W2内の第k番目の選択期間H[k]では、走査信号Y[2k]が選択電位に設定されることで第2k行の1本の走査線32(第2k行の画素回路群B)が選択される。例えば選択期間H[1]では第2行の走査線32が選択され、選択期間H[2]では第4行の走査線32が選択される。したがって、各第2書込期間W2には第1書込期間W1と同様にK個(M/2個)の選択期間H[1]〜H[K]が含まれる。
【0022】
図3に示すように、信号線駆動回路44は、右眼用画像GRの各画素の指定階調(画素値)に応じた電位VGの階調信号X[1]〜X[N]を右眼用期間PR内の選択期間H[k]毎に各信号線34に供給し、左眼用画像GLの各画素の指定階調に応じた電位VGの階調信号X[1]〜X[N]を左眼用期間PL内の選択期間H[k]毎に各信号線34に供給する。図3に示すように、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々において、各画素回路PIXの液晶素子CLの印加電圧が前後の単位期間Uで逆極性となるように、各階調信号X[n]の電位VGの極性が単位期間U毎に順次に反転される。具体的には、階調信号X[n]の電位VGは、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の単位期間U1では基準電位(例えば共通電極64の電位)に対して正極性(+)に設定され、単位期間U2では基準電位に対して負極性(-)に設定される。
【0023】
右眼用期間PRの各単位期間U(U1,U2)の第1書込期間W1のうち第(2k-1)行の走査線32と第2k行の走査線32とが同時に選択される選択期間H[k]において、信号線駆動回路44は、右眼用画像GRのうち特定走査線32(すなわち第(2k-1)行の走査線32)に対応する各画素の指定階調に応じた電位VGの階調信号X[n]を各信号線34に供給する。すなわち、図3に符号(A)で示すように、第1書込期間W1の選択期間H[k]では、第(2k-1)行および第2k行の各画素回路PIXに対して、右眼用画像GRのうち第(2k-1)行の各画素の指定階調GR[2k-1]に応じた電位VGが供給される。例えば、選択期間H[1]では、右眼用画像GRのうち第1行の各画素の指定階調GR[1]に応じた電位VGが第1行および第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、右眼用画像GRのうち第3行の各画素の指定階調GR[3]に応じた電位VGが第3行および第4行の各画素回路PIXに供給される。以上の通り、Y方向に相互に隣合う各画素回路PIXには相等しい電位VGが供給されるから、第1書込期間W1が終了する時点では、Y方向の解像度を半分に低下させた右眼用画像GRが画素部30に表示される。
【0024】
左眼用期間PLの各単位期間Uの第1書込期間W1でも同様に、図3に符号(C)で示すように、左眼用画像GLのうち第(2k-1)行の各画素の指定階調GL[2k-1]に応じた電位VGの階調信号X[n]が、第(2k-1)行および第2k行の各画素回路PIXに供給される。すなわち、例えば選択期間H[1]では、左眼用画像GLのうち第1行の各画素の指定階調GL[1]に応じた電位VGが第1行および第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、左眼用画像GLのうち第3行の各画素の指定階調GL[3]に応じた電位VGが第3行および第4行の各画素回路PIXに供給される。以上に説明した通り、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の第1書込期間W1では、各画素回路PIXに対する電位VGの供給(書込)が選択期間H[k]毎に画素回路群Bの2行ずつ(すなわち選択単位毎に)順次に実行される。
【0025】
他方、右眼用期間PRの各単位期間U(U1,U2)の第2書込期間W2のうち第2k行の走査線32が選択される選択期間H[k]において、信号線駆動回路44は、図3に符号(B)で示すように、右眼用画像GRのうち当該走査線32(すなわち選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32)に対応する第2k行の各画素の指定階調GR[2k]に応じた電位VGの階調信号X[n]を各信号線34に供給する。具体的には、選択期間[1]では、右眼用画像GRのうち第2行の各画素の指定階調GR[2]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、右眼用画像GRのうち第4行の各画素の指定階調GR[4]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第4行の各画素回路PIXに供給される。他方、奇数行(すなわち各選択単位での特定走査線32)に対応する各画素回路PIXの液晶素子CLの印加電圧は、直前の第1書込期間W1での印加電圧に保持される。したがって、第1書込期間W1の終点ではY方向に半分の解像度で表示されていた右眼用画像GRが、第2書込期間W2の終点では所期の解像度(M行×N列)の右眼用画像GRに更新される。
【0026】
左眼用期間PLの各単位期間Uの第2書込期間W2でも同様に、図3に符号(D)で示すように、第2k行の走査線32が選択される選択期間H[k]において、左眼用画像GLのうち当該走査線32に対応する第2k行の各画素の指定階調GL[2k]に応じた電位VGの階調信号X[n]を各信号線34に供給する。例えば選択期間[1]では、左眼用画像GLのうち第2行の各画素の指定階調GL[2]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第2行の各画素回路PIXに供給され、選択期間H[2]では、左眼用画像GLのうち第4行の各画素の指定階調GL[4]に応じた電位VGの階調信号X[n]が第4行の各画素回路PIXに供給される。以上に説明した通り、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の第2書込期間W2では、第1書込期間W1での各選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIX(すなわち1行おきに選択された各画素回路PIX)について電位VGの供給(書込)が選択期間H[k]毎に順次に実行される。
【0027】
右眼用期間PR内の最初の第1書込期間W1では、直前の左眼用期間PL(単位期間U2内の第2書込期間W2)で表示された左眼用画像GLが各選択期間H[k]にて2行毎に右眼用画像GRに変更され、左眼用期間PL内の最初の第1書込期間W1では、直前の右眼用期間PRで表示された右眼用画像GRが各選択期間H[k]にて2行毎に左眼用画像GLに変更される。すなわち、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々の最初の第1書込期間W1では右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する。
【0028】
制御回路14の眼鏡制御回路144は、立体視用眼鏡20の右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々の状態(開状態/閉状態)を電気光学パネル12の動作に同期して制御する。すなわち、眼鏡制御回路144は、図3に示すように、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間が経過した時点で右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させ、左眼用期間PLの始点にて右眼用シャッター22を開状態から閉状態に変化させたうえで左眼用期間PLの全体で閉状態に維持する。具体的には、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の終点で右眼用シャッター22は閉状態から開状態に遷移する。同様に、眼鏡制御回路144は、左眼用期間PLの最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間が経過した時点で左眼用シャッター24を閉状態から開状態に変化させ、右眼用期間PRの始点にて左眼用シャッター24を開状態から閉状態に変化させたうえで右眼用期間PRの全体で閉状態に維持する。具体的には、左眼用期間PLの最初の第1書込期間W1の終点で左眼用シャッター24は閉状態から開状態に遷移する。
【0029】
したがって、右眼用期間PRのうち単位期間U1内の第2書込期間W2と直後の単位期間U2とで表示される右眼用画像GRは右眼用シャッター22を透過して観察者の右眼に到達するとともに左眼用シャッター24で遮断される。他方、左眼用期間PLのうち単位期間U1内の第2書込期間W2と直後の単位期間U2とで表示される左眼用画像GLは左眼用シャッター24を透過して観察者の左眼に到達するとともに右眼用シャッター22で遮断される。右眼用シャッター22を透過した右眼用画像GRを右眼で視認するとともに左眼用シャッター24を透過した左眼用画像GLを左眼で視認することで、観察者は表示画像に立体感を知覚する。
【0030】
図3に示すように、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの最初の第1書込期間W1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される。前述のように最初の第1書込期間W1では表示画像が右眼用画像GRおよび左眼用画像GLの一方から他方に2行毎に変化するが、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に維持されるから、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)は観察者に知覚されない。すなわち、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが確実に右眼および左眼に分離されるから、観察者に明確な立体感を知覚させることが可能である。
【0031】
以上の形態においては、各第1書込期間W1では画素回路群Bを2行単位で選択して各画素回路PIXに階調信号X[n](電位VG)を供給する。したがって、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの最初に画素回路群Bを1行単位で順次に選択して階調信号X[n]を供給する構成と比較すると、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する期間(すなわち右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方を閉状態に維持すべき期間)の時間長が短縮される。すなわち、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の一方を開状態に維持する時間長が充分に確保される。したがって、観察者が認識する表示画像の明るさを向上することが可能である。なお、第1書込期間W1では表示画像のY方向の解像度が低下するが、直後の第2書込期間W2では特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXに階調信号X[n]が供給されるから、表示画像の解像度の低下は観察者に殆ど認識されない。
【0032】
また、第1実施形態では、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が複数の単位期間Uを含み、相前後する各単位期間Uで液晶素子CLの印加電圧の極性が反転される。すなわち、例えば右眼用期間PRと左眼用期間PLとで液晶素子CLの印加電圧の極性を反転させる場合と比較して液晶素子CLの印加電圧の極性反転の周期が短縮されるから、直流成分の印加に起因した液晶素子CLの特性劣化を有効に防止できるという利点がある。
【0033】
なお、右眼用画像GRと左眼用画像GLとでは各画素の指定階調が相違するから、右眼用期間PRと左眼用期間PLとで液晶素子CLの印加電圧の極性を反転させる構成では、例えば右眼用期間PRにて液晶素子CLに印加される正極性電圧と左眼用期間PLにて液晶素子CLに印加される負極性電圧との差異が顕著となり、液晶素子CLに対する直流成分の印加を抑制することが困難となる。他方、第1実施形態では、右眼用画像GRが表示される右眼用期間PR内の単位期間U毎に液晶素子CLの印加電圧の極性が反転され、かつ、左眼用画像GLが表示される左眼用期間PL内の単位期間U毎に液晶素子CLの印加電圧の極性が反転される。したがって、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの相違に関わらず、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏向(直流成分の残留)を有効に抑制できるという利点がある。以上の例示では特に、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が偶数個の単位期間Uを含むから、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々において、各画素回路PIXの液晶素子CLに正極性電圧が印加される時間長と負極性電圧が印加される時間長とが均等化される。したがって、液晶素子CLの印加電圧の極性の偏向を抑制できるという効果は格別に顕著である。
【0034】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0035】
図5は、第2実施形態における走査線駆動回路42の動作の説明図である。第1実施形態では、第1書込期間W1の各選択期間H[k]で同時に選択する複数の走査線32(選択単位)の組合せを単位期間U1と単位期間U2とで共通させた。第2実施形態では、第1書込期間W1にて選択単位として選択する走査線32の組合せを単位期間U1と単位期間U2とで相違させる。
【0036】
具体的には、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における単位期間U1の第1書込期間W1では、走査線駆動回路42は、第1実施形態と同様に、第(2k-1)行の走査線32と第2k行の走査線32との組合せを選択単位として選択期間H[k]毎に順次に選択する。すなわち、図6に符号(A)で示すように、例えば選択期間H[1]では第1行の走査線32と第2行の走査線32とが同時に選択され、選択期間H[2]では第3行の走査線32と第4行の走査線32とが同時に選択される。そして、第1書込期間W1内の各選択期間H[k]では、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち第(2k-1)行の走査線32(特定走査線32)に対応する各画素の指定階調(GR[2k-1],GL[2k-1])に応じた電位VGが選択単位の各画素回路PIXに供給される。また、図6に符号(B)で示すように、直後の第2書込期間W2では選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXに電位VGの階調信号X[n]が供給される。
【0037】
他方、右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々における単位期間U2の第1書込期間W1では、図6に符号(C)で示すように、走査線駆動回路42は、第2k行の走査線32と第(2k+1)行の走査線32との組合せを選択単位として選択期間H[k]毎に順次に選択する。具体的には、図5に示すように、第1書込期間W1内の第k番目の選択期間H[k]では、偶数行の走査信号Y[2k]と奇数行の走査信号Y[2k+1]とが同時に選択電位に設定される。すなわち、例えば選択期間H[1]では第2行の走査線32と第3行の走査線32とが同時に選択され、選択期間H[2]では第4行の走査線32と第5行の走査線32とが同時に選択される。単位期間U2内の第1書込期間W1の各選択期間H[k]では第2k行の走査線32が特定走査線32として選定される。すなわち、各選択期間H[k]では、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち第2k行の走査線32(特定走査線32)に対応する各画素の指定階調(GR[2k],GL[2k])に応じた電位VGが選択単位(2行分)の各画素回路PIXに供給される。
【0038】
以上の説明から理解されるように、第1書込期間W1にて各選択単位を構成する2本の走査線32の組合せ(すなわち電位VGの供給対象となる画素回路群Bの組合せ)は単位期間U1と単位期間U2とで1行分だけずれた関係となる。ただし、各画素回路PIXに対する電位VGの供給(書込)が画素回路群Bの2行ずつ選択期間H[k]毎に順次に実行されるという動作は単位期間U1と単位期間U2とで同様である。
【0039】
単位期間U2内の第2書込期間W2では、各選択単位のうち特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXに電位VGが供給される。すなわち、図6に符号(D)で示すように、第(2k-1)行(第1行,第3行,第5行,……)の各走査線32が順次に選択されるとともに右眼用画像GRおよび左眼用画像GLのうち当該走査線32に対応する各画素の指定階調(GR[2k-1],GL[2k-1])に応じた電位VGの階調信号X[n]が各信号線34に供給される。すなわち、第2書込期間W2にて選択される走査線32(電位VGの供給対象となる画素回路群B)は単位期間U1と単位期間U2とで相違する。
【0040】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。ところで、M本の走査線32のうち特定走査線32に対応する各画素回路PIXについては各単位期間U内で1回だけ電位VGの供給が実行され、特定走査線32以外の走査線32に対応する各画素回路PIXには単位期間U内で2回の電位VGの供給が実行されるという相違がある。そして、特定走査線32の各画素回路PIXとそれ以外の走査線32の各画素回路PIXとでは、各々に供給される電位VGが仮に相等しい場合(すなわち同等の階調が指定された場合)でも、電位VGの供給回数(あるいは供給間隔)の差異に起因して表示階調に相違が発生し得る。第1実施形態では、奇数行の各走査線32が固定的に特定走査線32とされるから、画素部30内の全部の画素回路PIXに同等の電位VGを供給した場合でも、各画素回路PIXの表示階調が奇数行と偶数行とで相違する(すなわち行単位の表示斑が発生する)可能性がある。他方、第2実施形態では、単位期間U1にて奇数行の各走査線32が特定走査線32とされ、単位期間U2内では偶数行の各走査線32が特定走査線32とされる。したがって、奇数行の各画素回路PIXの表示階調と偶数行の各画素回路PIXの表示階調との相違(表示斑)が観察者に知覚され難くなるという利点がある。
【0041】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
【0042】
(1)変形例1
第1書込期間W1にて同時に選択する走査線32の本数(選択単位を構成する走査線32の本数)は、以上に例示した2本に限定されない。選択単位を構成する走査線32の本数をH本と一般化した場合、各単位期間UがH個の書込期間W1〜WHに区分される。そして、各単位期間Uのうち最初の書込期間W1では選択単位(H本の走査線32)がK個(K=M/H)の選択期間H[1]〜H[K]の各々で順次に同時に選択され、かつ、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち特定走査線32に対応する各画素の指定階調に応じた電位VGが選択単位内の各画素回路PIXに供給される。また、単位期間U内の第2番目以降の各書込期間Wh(h=2〜H)では、選択単位内の第h番目の1本の走査線32が選択され、かつ、右眼用画像GRまたは左眼用画像GLのうち当該走査線32に対応する各画素の指定階調に応じた電位VGが供給される。選択単位を構成する走査線32の組合せを単位期間U毎に相違させる第2実施形態の構成も同様に採用される。
【0043】
(2)変形例2
以上の各形態では、右眼用期間PRのうち最初の第1書込期間W1の終点にて右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変化させたが、右眼用シャッター22を開状態に変化させる時期は適宜に変更される。例えば、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の終点以前に右眼用シャッター22を開状態に変更する構成では、第1書込期間W1内での右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に若干は知覚されるが、表示画像の明度を向上させることが可能である。他方、右眼用期間PRの最初の第1書込期間W1の終点以降の時点で右眼用シャッター22を開状態に変更する構成では、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が観察者に知覚されることを確実に防止することが可能である。すなわち、右眼用シャッター22を開状態に変化させる時期は、右眼用期間PRのうち最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間(すなわち右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が利用者に知覚されることを防止する必要がある期間)が経過した時点として包括され、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在を利用者に知覚されることの防止と表示画像の明度の確保との優先度(バランス)に応じて適宜に選定される。左眼用期間PL内で左眼用シャッター24を閉状態から開状態に変化させる時期も同様であり、左眼用期間PLのうち最初の第1書込期間W1の始点から所定の時間が経過した任意の時点が、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が利用者に知覚されることの防止と表示画像の明度の確保との優先度に応じて適宜に選定される。また、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在が利用者に知覚され難い開閉の時期は、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の応答特性と電気光学パネル12(液晶素子CL)の応答特性との関係に応じて変化する。したがって、右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の各々を開状態および閉状態の一方から他方に変化させる時期を、立体視用眼鏡20の応答特性と電気光学パネル12の応答特性との関係に応じて選定した構成も好適である。
【0044】
同様に、右眼用シャッター22を開状態から閉状態に変化させる時期は、右眼用期間PRの終点(左眼用期間PLの始点)に限定されない。例えば、右眼用期間PRの終点を含む所定の期間内(終点の到来前または経過後)に右眼用シャッター22を閉状態に変化させることも可能である。また、左眼用シャッター24を開状態から閉状態に変化させる時期も任意であり、例えば、左眼用期間PLの終点(右眼用期間PRの始点)を含む所定の期間内に左眼用シャッター24を閉状態に変化させる構成も採用され得る。
【0045】
(3)変形例3
液晶素子CLの印加電圧の極性を反転させる周期は本発明において任意である。例えば、右眼用期間PRと左眼用期間PLとで印加電圧の極性を反転させる構成や、右眼用期間PRと左眼用期間PLとの対を1周期として印加電圧の極性を反転させる構成が採用され得る。
【0046】
(4)変形例4
右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々に含まれる単位期間Uの個数は任意である。例えば右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が3個以上の単位期間Uを含む構成も採用され得る。もっとも、液晶素子CLの印加電圧の極性を単位期間U毎に反転させる構成のもとで液晶素子CLに対する直流成分の印加を有効に防止するという観点からすると、前述のように右眼用期間PRおよび左眼用期間PLの各々が偶数個の単位期間Uを含む構成が格別に好適である。
【0047】
(5)変形例5
電気光学素子は液晶素子CLに限定されない。例えば、電気泳動素子を電気光学素子として利用することも可能である。すなわち、電位光学素子は、電気的な作用(例えば電圧の印加)に応じて光学的な特性(例えば透過率)が変化する表示素子として包括される。
【0048】
<D:応用例>
以上の各形態に例示した電気光学装置10は、各種の電子機器に利用され得る。図7から図9には、電気光学装置10を採用した電子機器の具体的な形態が例示されている。
【0049】
図7は、電気光学装置10を採用した可搬型のパーソナルコンピューターの斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置10と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0050】
図8は、電気光学装置10を適用した携帯電話機の斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する電気光学装置10とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0051】
図9は、電気光学装置10を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクター)4000の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)に対応する3個の電気光学装置10(10R,10G,10B)を含んで構成される。照明光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置10Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置10Gに供給し、青色成分bを電気光学装置10Bに供給する。各電気光学装置10は、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置10からの出射光を合成して投射面4004に投射する。観察者は、投射面4004に投射された立体視画像を立体視用眼鏡20で視認する。
【0052】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図7から図9に例示した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),デジタルスチルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ電話,POS端末,プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレーヤー,タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0053】
100……立体視表示装置、10……電気光学装置、12……電気光学パネル、14……制御回路、142……表示制御回路、144……眼鏡制御回路、20……立体視用眼鏡、22……右眼用シャッター、24……左眼用シャッター、30……画素部、PIX……画素回路、CL……液晶素子、SW……選択スイッチ、32……走査線、34……信号線、40……駆動回路、42……走査線駆動回路、44……信号線駆動回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に視差が付与された右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
相互に交差する複数の走査線および複数の信号線と、
交互に設定される右眼用期間および左眼用期間の各々に含まれる複数の単位期間の各々の第1書込期間において複数の走査線を選択単位として選択期間毎に順次に選択し、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々の前記各単位期間のうち前記第1書込期間の経過後の第2書込期間において、直前の第1書込期間での前記各選択単位のうち特定走査線以外の走査線を選択期間毎に順次に選択する走査線駆動回路と、
前記右眼用期間の前記各第1書込期間内の前記選択期間毎に、右眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の前記特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給し、前記右眼用期間の前記各第2書込期間内の前記選択期間毎に、前記右眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給する一方、前記左眼用期間の前記各第1書込期間内の前記選択期間毎に、左眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の前記特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給し、前記左眼用期間の前記各第2書込期間内の前記選択期間毎に、前記左眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給する信号線駆動回路と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
前記右眼用期間において前記左眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該右眼用期間のうち最初の前記第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で前記右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、前記左眼用期間において前記右眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該左眼用期間のうち最初の前記第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる眼鏡制御回路
を具備する請求項1の電気光学装置。
【請求項3】
前記眼鏡制御回路は、前記右眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて前記右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、前記左眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて前記左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる
請求項2の電気光学装置。
【請求項4】
前記信号線駆動回路は、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々において、相前後する各単位期間で前記電気光学素子の印加電圧が逆極性となるように、前記各信号線に階調信号を供給する
請求項1から請求項3の何れかの電気光学装置。
【請求項5】
前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々は、偶数個の単位期間を含む
請求項4の電気光学装置。
【請求項6】
前記走査線駆動回路は、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々の前記第1書込期間にて前記選択単位として選択する複数の走査線の組合せを前記各単位期間内の前記第1書込期間毎に変化させる
請求項1から請求項5の何れかの電気光学装置。
【請求項7】
前記走査線駆動回路は、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々において、一の単位期間の第1書込期間にて前記選択単位として選択する複数の走査線の組合せと、他の単位期間の第1書込期間にて前記選択単位として選択する複数の走査線の組合せとが走査線の1行分だけずれた関係となるように各第1書込期間での選択単位を選定する
請求項6の電気光学装置。
【請求項8】
前記走査線駆動回路は、相互に隣合う2本の走査線の組合せを前記選択単位として順次に選択する
請求項1から請求項7の何れかの電気光学装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかの電気光学装置を具備する電子機器。
【請求項1】
相互に視差が付与された右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
相互に交差する複数の走査線および複数の信号線と、
交互に設定される右眼用期間および左眼用期間の各々に含まれる複数の単位期間の各々の第1書込期間において複数の走査線を選択単位として選択期間毎に順次に選択し、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々の前記各単位期間のうち前記第1書込期間の経過後の第2書込期間において、直前の第1書込期間での前記各選択単位のうち特定走査線以外の走査線を選択期間毎に順次に選択する走査線駆動回路と、
前記右眼用期間の前記各第1書込期間内の前記選択期間毎に、右眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の前記特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給し、前記右眼用期間の前記各第2書込期間内の前記選択期間毎に、前記右眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給する一方、前記左眼用期間の前記各第1書込期間内の前記選択期間毎に、左眼用画像のうち当該選択期間での選択単位内の前記特定走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給し、前記左眼用期間の前記各第2書込期間内の前記選択期間毎に、前記左眼用画像のうち当該選択期間で選択される走査線により選択される画素を指定階調とする階調信号を前記各信号線に供給する信号線駆動回路と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
右眼用シャッターと左眼用シャッターとを含む立体視用眼鏡で立体視される右眼用画像および左眼用画像を表示する電気光学装置であって、
前記右眼用期間において前記左眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該右眼用期間のうち最初の前記第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で前記右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、前記左眼用期間において前記右眼用シャッターを閉状態に制御するとともに当該左眼用期間のうち最初の前記第1書込期間の始点から所定の時間が経過した時点で左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる眼鏡制御回路
を具備する請求項1の電気光学装置。
【請求項3】
前記眼鏡制御回路は、前記右眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて前記右眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させ、前記左眼用期間のうち最初の第1期間の終点にて前記左眼用シャッターを閉状態から開状態に変化させる
請求項2の電気光学装置。
【請求項4】
前記信号線駆動回路は、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々において、相前後する各単位期間で前記電気光学素子の印加電圧が逆極性となるように、前記各信号線に階調信号を供給する
請求項1から請求項3の何れかの電気光学装置。
【請求項5】
前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々は、偶数個の単位期間を含む
請求項4の電気光学装置。
【請求項6】
前記走査線駆動回路は、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々の前記第1書込期間にて前記選択単位として選択する複数の走査線の組合せを前記各単位期間内の前記第1書込期間毎に変化させる
請求項1から請求項5の何れかの電気光学装置。
【請求項7】
前記走査線駆動回路は、前記右眼用期間および前記左眼用期間の各々において、一の単位期間の第1書込期間にて前記選択単位として選択する複数の走査線の組合せと、他の単位期間の第1書込期間にて前記選択単位として選択する複数の走査線の組合せとが走査線の1行分だけずれた関係となるように各第1書込期間での選択単位を選定する
請求項6の電気光学装置。
【請求項8】
前記走査線駆動回路は、相互に隣合う2本の走査線の組合せを前記選択単位として順次に選択する
請求項1から請求項7の何れかの電気光学装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかの電気光学装置を具備する電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−145695(P2012−145695A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3057(P2011−3057)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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