説明

電気光学装置および電子機器

【課題】右眼用画像と左眼用画像との混在が観察者に知覚されることを抑制しながら表示画像の明度を向上させる。
【解決手段】電気光学装置10は、右眼用画像GRと左眼用画像GLとを表示期間Pi毎に表示する。駆動回路40は、各表示期間Pi内の複数の単位期間Uの各々において当該単位期間Uに対応する画像データDAによる指定階調に応じた階調電位X[n]を各画素PIXに供給する回路であって、各表示期間Pi内の単位期間U1では、走査線32を複数行ずつ順次に選択するとともに選択状態の複数行のうち何れかの走査線32に対応する各画素PIXの指定階調に応じた階調電位X[n]を各信号線34に供給する。駆動制御部56は、各表示期間Pi内の単位期間U1を含む2個以上の単位期間Uの各々にて各画素PIXのオーバードライブを駆動回路40に実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者が立体感を知覚するように相互に視差が付与された右眼用画像と左眼
用画像とを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
右眼用画像と左眼用画像とを時分割で交互に表示するフレームシーケンシャル方式の立
体視方法が従来から提案されている。例えば特許文献1に開示された技術では、液晶素子
を含む複数の画素を利用して、図10に示すように右眼用画像と左眼用画像とが表示期間
P毎に交互に表示される。各表示期間Pは単位期間U1と単位期間U2とに区分される。
【0003】
右眼用画像の表示期間P内の単位期間U1では表示画像が左眼用画像から右眼用画像に
更新されるとともに直後の単位期間U2では右眼用画像が表示され、左眼用画像の表示期
間P内の単位期間U1では表示画像が右眼用画像から左眼用画像に更新されるとともに直
後の単位期間U2では左眼用画像が表示される。各表示期間Pの単位期間U1と単位期間U
2とでは液晶素子に対する印加電圧が逆極性に設定される。各表示期間Pの単位期間U1で
は、右眼用シャッターおよび左眼用シャッターの双方が閉状態に制御される。したがって
、右眼用画像と左眼用画像との混在(以下「クロストーク」という)は観察者に知覚され
ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−25436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術のもとでは、単位期間U1および単位期間U2の各々にて各画
素が1行毎に順次に選択されて指定階調に駆動されるから、右眼用シャッターおよび左眼
用シャッターの双方が閉状態に維持される単位期間U1の時間長が長い。したがって、表
示画像の明度を充分に確保することが困難であるという問題がある。以上の事情を考慮し
て、本発明は、右眼用画像と左眼用画像との混在が観察者に知覚されることを抑制しなが
ら表示画像の明度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の電気光学装置は、右眼用画像と左眼用画像とを
表示期間毎に表示する電気光学装置であって、複数の走査線と複数の信号線との各交差に
対応して配置された複数の画素と、各表示期間内の複数の単位期間の各々において当該単
位期間に対応する画像データによる指定階調に応じた階調電位を各画素に供給する回路で
あって、各表示期間内の第1番目の単位期間では、走査線を複数行ずつ順次に選択すると
ともに選択状態の複数行のうち何れかの走査線に対応する各画素の指定階調に応じた階調
電位を各信号線に供給する駆動回路と、各表示期間内で第1番目の単位期間を含む2以上
の単位期間の各々にて各画素のオーバードライブを駆動回路に実行させる駆動制御手段と
を具備する。以上の構成では、各表示期間内の第1番目の単位期間において走査線が複数
行ずつ順次に選択されて選択行の各画素に階調電位が供給されるから、例えば各表示期間
内の第1番目の単位期間にて走査線を1本ずつ選択して各画素に階調電位を供給する構成
と比較すると、右眼用画像と左眼用画像とが混在する期間の時間長が短縮される。したが
って、観察者が視認する表示画像の明度を向上することが可能である。しかも、表示期間
内の複数の単位期間にて各画素のオーバードライブが実行されるから、第1番目の単位期
間が短い構成にも関わらず各画素を充分に駆動できる(したがってクロストークが抑制さ
れる)という利点がある。
【0007】
本発明の好適な態様において、駆動制御手段は、各表示期間内の第1番目の単位期間に
おいて、当該単位期間の画像データと直前の表示期間内の最後の単位期間の画像データと
の差異に応じた補正量のオーバードライブを駆動回路に実行させる。なお、各表示期間内
の第2番目以降の単位期間におけるオーバードライブの適切な態様は任意である。例えば
、各表示期間内の第2番目の単位期間において、当該単位期間の画像データと直前の表示
期間内の最後の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量のオーバードライブを駆動
回路に実行させる構成(例えば後述の第2動作モード)や、当該単位期間の画像データと
当該表示期間内の第1番目の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量のオーバード
ライブを駆動回路に実行させる構成(例えば後述の第3動作モード)が採用され得る。ま
た、各表示期間内の複数の単位期間(例えば全部の単位期間)の各々において、当該単位
期間の画像データと直前の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量のオーバードラ
イブを駆動回路に実行させること(例えば後述の第4動作モード)も可能である。
【0008】
本発明の好適な態様において、駆動制御手段は、各表示期間内の第2番目の単位期間に
おいて、当該単位期間の画像データと直前の表示期間内の最後の単位期間の画像データと
の差異に応じた補正量のオーバードライブを駆動回路に実行させる動作モードと、各表示
期間内の第2番目の単位期間において、当該単位期間の画像データと当該表示期間内の第
1番目の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量のオーバードライブを駆動回路に
実行させる動作モードとの何れかに設定される。以上の態様では、オーバードライブの態
様が相違する複数の動作モードの何れかで駆動制御手段が動作するから、例えば表示画像
の内容や画素の応答特性に応じた適切な動作モードを選択できるという利点がある。
【0009】
本発明の好適な態様において、駆動回路は、各表示期間内の第1番目の単位期間では、
走査線をQ行(Qは2以上の自然数)ずつ順次に選択するとともに選択状態のQ行のうち
第1走査線に対応する各画素の指定階調に応じた階調電位を各信号線に供給し、かつ、各
表示期間内の第2番目の単位期間では、Q行のうち第1走査線以外の第2走査線を順次に
選択するとともに選択状態の第2走査線に対応する各画素の指定階調に応じた階調電位を
各信号線に供給する。以上の態様では、第1番目の単位期間では複数の走査線の配列方向
における解像度を低下させた画像が表示されるが、第2番目の単位期間にて表示画像の解
像度を上昇させることが可能である。
【0010】
以上の各態様に係る電気光学装置は表示体として各種の電子機器に採用される。例えば
、以上の各態様に係る電気光学装置と、眼鏡制御回路が制御する立体視用眼鏡とを具備す
る立体視表示装置が、本発明の電子機器として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体視表示装置のブロック図である。
【図2】画素回路の回路図である。
【図3】第1実施形態の動作の説明図である。
【図4】走査線駆動回路の動作の説明図である。
【図5】処理回路のブロック図である。
【図6】動作モードの説明図である。
【図7】電子機器(投射型表示装置)の斜視図である。
【図8】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図9】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図10】対比例における立体視動動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明のひとつの実施形態に係る立体視表示装置100のブロック図である。
立体視表示装置100は、観察者に立体感を知覚させる立体視画像をアクティブシャッタ
ー方式で表示する電子機器であり、電気光学装置10と立体視用眼鏡20とを具備する。
電気光学装置10は、相互に視差が付与された右眼用画像GRと左眼用画像GLとを時分割
で交互に表示する。なお、以下の説明では、右眼用画像GRおよび左眼用画像GLを画像G
i(i=R,L)と包括的に表現する場合がある。
【0013】
立体視用眼鏡20は、電気光学装置10が表示する立体視画像の視認時に観察者が装着
する眼鏡型の器具であり、観察者の右眼の前方に位置する右眼用シャッター22と左眼の
前方に位置する左眼用シャッター24とを具備する。右眼用シャッター22および左眼用
シャッター24の各々は、照射光を透過させる開状態(透過状態)と照射光を遮断する閉
状態(遮光状態)とに制御される。例えば印加電圧に応じて液晶の配向方向を変化させる
ことで開状態および閉状態の一方から他方に変化する液晶シャッターが右眼用シャッター
22および左眼用シャッター24として採用され得る。
【0014】
図1の電気光学装置10は、電気光学パネル12と制御回路14とを具備する。電気光
学パネル12は、複数の画素(画素回路)PIXが配列された画素部30と、各画素PIXを
駆動する駆動回路40とを含む。画素部30には、x方向に延在するM本の走査線32と
、x方向に交差するy方向に延在するN本の信号線34とが形成される(MおよびNは自
然数)。画素部30内の複数の画素PIXは、走査線32と信号線34との各交差に対応し
て縦M行×横N列の行列状に配列される。
【0015】
図2は、各画素PIXの回路図である。図2に示すように、各画素PIXは、液晶素子CL
と選択スイッチSWとを含む。液晶素子CLは、相互に対向する画素電極62および共通電
極64と両電極間の液晶66とで構成された電気光学素子である。画素電極62と共通電
極64との間の印加電圧に応じて液晶66の透過率(表示階調)が変化する。選択スイッ
チSWは、走査線32にゲートが接続されたNチャネル型の薄膜トランジスターで構成さ
れ、液晶素子CLと信号線34との間に介在して両者の電気的な接続(導通/絶縁)を制
御する。なお、液晶素子CLに並列に補助容量を接続した構成も採用され得る。
【0016】
図1の制御回路14は、電気光学パネル12を制御する表示制御回路142と、立体視
用眼鏡20を制御する眼鏡制御回路144とを具備する。表示制御回路142は、右眼用
画像GRと左眼用画像GLとが時分割で交互に画素部30に表示されるように駆動回路40
を制御する。例えば表示制御回路142は、画素部30内の各画素PIXの階調を指定する
画像信号VIDを生成して駆動回路40に供給する。なお、表示制御回路142と眼鏡制御
回路144とを単体の集積回路に搭載した構成のほか、表示制御回路142と眼鏡制御回
路144とを別体の集積回路に分散した構成も採用され得る。
【0017】
図1の駆動回路40は、表示制御回路142から供給される画像信号VIDが各画素PIX
に指定する階調(以下「指定階調」という)に応じた電圧を各画素PIXの液晶素子CLに
印加する回路であり、走査線駆動回路42と信号線駆動回路44とを具備する。走査線駆
動回路42は、各走査線32に対応する走査信号Y[1]〜Y[M]の供給で各走査線32を順
次に選択する。走査信号Y[m](m=1〜M)が所定の選択電位に設定される(すなわち
第m行の走査線32が選択される)ことで、第m行の各画素PIXにおける選択スイッチS
Wが同時にオン状態に遷移する。信号線駆動回路44は、走査線駆動回路42による走査
線32の選択に同期してN本の信号線34の各々に階調電位X[1]〜X[N]を供給する。各
画素PIX(液晶素子CL)は、走査線32の選択時(選択スイッチSWがオン状態に制御さ
れたとき)における信号線34の階調電位X[n]に応じた階調を表示する。
【0018】
図3は、電気光学装置10の動作の説明図である。図3に示すように、電気光学装置1
0の動作期間は、複数の表示期間Pi(右眼用表示期間PRおよび左眼用表示期間PL)に
区分される。右眼用表示期間PRでは右眼用画像GRが画素部30に表示され、左眼用表示
期間PLでは左眼用画像GLが画素部30に表示される。右眼用表示期間PRと左眼用表示
期間PLとは時間軸上に交互に配列する。各表示期間Pi(PR,PL)は、相等しい時間長
の4個の単位期間U(U1〜U4)に区分される。単位期間U2は単位期間U1に後続し、単
位期間U3は単位期間U2に後続し、単位期間U4は単位期間U3に後続する。例えば各表示
期間Piの時間長は約1/120秒に設定され、各単位期間Uの時間長は約1/480秒に
設定される。
【0019】
駆動回路40は、各画素PIXの液晶素子CLに対する印加電圧の極性を周期的に反転さ
せる。液晶素子CLに対する印加電圧の極性(例えば所定電位に対する階調電位X[n]の極
性)を単位期間Uの2個毎に反転させる構成が図3では例示されている。すなわち、液晶
素子CLの印加電圧の極性は、各表示期間Pi内の単位期間U1および単位期間U2にて正極
性(例えば画素電極62の電位が共通電極64の電位を上回る状態)に設定され、各表示
期間Pi内の単位期間U3および単位期間U4にて負極性(例えば画素電極62の電位が共
通電極64の電位を下回る状態)に設定される。
【0020】
図4は、各表示期間Pi(PR,PL)での走査線駆動回路42の動作の説明図である。
以下では図3および図4を参照して、各表示期間Pi(PR,PL)内の単位期間U1〜U4
の各々における駆動回路40の動作を説明する。
【0021】
(1)単位期間U1
図4に示すように、各表示期間Pi内の単位期間U1において、走査線駆動回路42は、
M本の走査線32を相互に隣合う2行毎に区分した複数の組(以下「第1組」という)の
各々を選択期間H毎に順次に選択する。第1組は、偶数行(第2k行)の1本の走査線32
と、その走査線32に対してy方向の負側に隣合う奇数行(第(2k-1)行)の1本の走査線
32とで構成される。走査線駆動回路42は、単位期間U1内の1個の選択期間Hにて走
査信号Y[2k-1]および走査信号Y[2k]を選択電位に設定することで第1組の2本の走査線
32を同時に選択する。例えば、単位期間U1内の第1番目の選択期間Hでは第1行およ
び第2行の2本の走査線32が同時に選択され、単位期間U1内の第2番目の選択期間H
では第3行および第4行の2本の走査線32が同時に選択される。
【0022】
図3に示すように、各表示期間Pi(PR,PL)内の単位期間U1のうち第1組を構成す
る第(2k-1)行および第2k行の2本の走査線32が選択される選択期間Hにおいて、信号線
駆動回路44は、画像Giのうち第(2k-1)行の各画素PIXの指定階調Gi[2k-1]に応じた階
調電位X[n]を各信号線34に供給する。例えば、右眼用表示期間PR内の単位期間U1の
うち第1番目の選択期間Hでは、右眼用画像GRのうち第1行の各画素PIXの指定階調GR
[1]に応じた階調電位X[n]が各信号線34に供給され、第2番目の選択期間Hでは、右眼
用画像GRのうち第3行の各画素PIXの指定階調GR[3]に応じた階調電位X[n]が各信号線
34に供給される。
【0023】
したがって、各表示期間Pi内の第k番目の選択期間Hでは、画像Giのうち第(2k-1)行
の指定階調Gi[2k-1]に応じた階調電位X[n]が第(2k-1)行および第2k行の各画素PIXに共
通に供給される。すなわち、単位期間U1が終了する時点では、y方向の解像度を半分に
低下させた画像Giが画素部30に表示される。
【0024】
(2)単位期間U2
図4に示すように、各表示期間Pi内の単位期間U2において、走査線駆動回路42は、
偶数行の各走査線32を選択期間H毎に順次に選択する。すなわち、M本の走査線32が
1本おきに選択される。具体的には、走査線駆動回路42は、単位期間U2内の第k番目
の選択期間Hにて走査信号Y[2k]を選択電位に設定することで第2k行の1本の走査線32
を選択する。例えば、単位期間U2内の第1番目の選択期間Hでは第2行の走査線32が
選択され、第2番目の選択期間Hでは第4行の走査線32が選択される。奇数行の走査線
32は単位期間U2では選択されない。
【0025】
図3に示すように、各表示期間Pi(PR,PL)内の単位期間U2のうち第2k行の1本の
走査線32が選択される選択期間Hにおいて、信号線駆動回路44は、画像Giのうち第2
k行の各画素PIXの指定階調Gi[2k]に応じた階調電位X[n]を各信号線34に供給する。
例えば、右眼用表示期間PR内の単位期間U2のうち第1番目の選択期間Hでは、右眼用画
像GRのうち第2行の各画素PIXの指定階調GR[2]に応じた階調電位X[n]が各信号線34
に供給され、第2番目の選択期間Hでは、右眼用画像GRのうち第4行の各画素PIXの指
定階調GR[4]に応じた階調電位X[n]が各信号線34に供給される。
【0026】
したがって、各表示期間Pi内の第k番目の選択期間Hでは、画像Giのうち第2k行の指
定階調Gi[2k]に応じた階調電位X[n]が第2k行の各画素PIXに供給される。他方、奇数行
の各画素PIXにおける液晶素子CLの印加電圧は直前の単位期間U1での設定電圧に維持さ
れる。以上の動作の結果、単位期間U1の終点ではy方向に半分の解像度で表示されてい
た画像Giが、単位期間U2の終点では所期の解像度(縦M行×横N列)の画像Giに更新
される。
【0027】
(3)単位期間U3
図4に示すように、各表示期間Pi(PR,PL)内の単位期間U3において、走査線駆動
回路42は、第1組とは相違する組合せでM本の走査線32を相互に隣合う2行毎に区分
した複数の組(以下「第2組」という)の各々を選択期間H毎に順次に選択する。第2組
は、偶数行(第2k行)の1本の走査線32と、その走査線32に対してy方向の正側に隣
合う奇数行(第(2k+1)行)の1本の走査線32とで構成される。すなわち、第1組と第2
組とは、走査線32の1本分だけy方向にずれた関係にある。走査線駆動回路42は、単
位期間U3内の1個の選択期間Hにて走査信号Y[2k]および走査信号Y[2k+1]を選択電位
に設定することで第2組の2本の走査線32を同時に選択する。例えば、単位期間U3内
の第1番目の選択期間Hでは第2行および第3行の2本の走査線32が同時に選択され、
単位期間U3内の第2番目の選択期間Hでは第4行および第5行の2本の走査線32が同
時に選択される。
【0028】
図3に示すように、各表示期間Pi(PR,PL)内の単位期間U3のうち第2組を構成す
る第2k行および第(2k+1)行の2本の走査線32が選択される選択期間Hにおいて、信号線
駆動回路44は、画像Giのうち第2k行の各画素PIXの指定階調Gi[2k]に応じた階調電位
X[n]を各信号線34に供給する。したがって、各表示期間Pi内の第k番目の選択期間H
では、画像Giのうち第2k行の指定階調Gi[2k]に応じた階調電位X[n]が第2k行および第(
2k+1)行の各画素PIXに共通に供給される。すなわち、単位期間U3が終了する時点では、
y方向の解像度を半分に低下させた画像Giが画素部30に表示される。なお、図3では
、単位期間U3にて第1行の各画素PIXに階調電位X[n]を供給しない場合を便宜的に例示
したが、第1行の各画素PIXに当該行の指定階調Gi[1]に応じた階調電位X[n]や所定の
階調(例えば黒階調や中間調)に応じた階調電位X[n]を供給することも可能である。
【0029】
(4)単位期間U4
図4に示すように、各表示期間Pi内の単位期間U4において、走査線駆動回路42は、
走査信号Y[2k-1]を選択電位に設定することで奇数行の各走査線32を選択期間H毎に順
次に選択する。例えば、単位期間U4内の第1番目の選択期間Hでは第1行の走査線32
が選択され、第2番目の選択期間Hでは第3行の走査線32が選択される。偶数行の走査
線32は単位期間U2では選択されない。
【0030】
図3に示すように、各表示期間Pi(PR,PL)内の単位期間U4のうち第(2k-1)行の1
本の走査線32が選択される選択期間Hにおいて、信号線駆動回路44は、画像Giのう
ち第(2k-1)行の各画素PIXの指定階調Gi[2k-1]に応じた階調電位X[n]を各信号線34に
供給する。したがって、単位期間U4の第k番目の選択期間Hでは、画像Giのうち第(2k-
1)行の各画素PIXの指定階調Gi[2k-1]に応じた階調電位X[n]が第(2k-1)行の各画素PIX
に供給される。以上の動作の結果、単位期間U3の終点ではy方向に半分の解像度で表示
されていた画像Giが、単位期間U4の終点では所期の解像度(縦M行×横N列)の画像G
iに更新される。以上が各単位期間Uにおける駆動回路40の動作である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態における制御回路14の表示制御回路142は、指定階
調に応じた目標電圧を上回る過電圧を各画素PIXの液晶素子CLに印加することで液晶6
6の応答遅延を補償するオーバードライブ(過電圧駆動)を駆動回路40に実行させる処
理回路50を具備する。図5は、処理回路50のブロック図である。図5に示すように、
右眼用画像GRまたは左眼用画像GLの階調を画素PIX毎に指定する画像データDAが各表
示期間Pの単位期間U毎に外部回路(図示略)から処理回路50に順次に供給される。な
お、表示制御回路142内の他の回路による処理後の画像データDAを処理回路50に供
給することも可能である。
【0032】
前述の駆動回路40の動作から理解されるように、表示期間Pi内の各単位期間Uでは
画像Giの奇数行および偶数行の一方の指定階調に応じた階調電位X[n]が各画素PIXに供
給される。したがって、縦(M/2)行×横N列分の各画素PIXの指定階調を規定する画像
データDAが各単位期間Uにて処理回路50に供給される。
【0033】
具体的には、各表示期間Pi内の単位期間U1については、画像Giの奇数行の階調Gi[2
k-1](Gi[1],Gi[3],Gi[5],……)を指定する画像データDAが処理回路50に供給
され、各表示期間Pi内の単位期間U2については、画像Giの偶数行の階調Gi[2k](Gi[
2],Gi[4],Gi[6],……)を指定する画像データDAが処理回路50に供給される。ま
た、各表示期間Pi内の単位期間U3については画像Giの偶数行の階調Gi[2k]を指定する
画像データDAが処理回路50に供給され、各表示期間Pi内の単位期間U4については画
像Giの奇数行の階調Gi[2k-1]を指定する画像データDAが処理回路50に供給される。
【0034】
本実施形態の処理回路50は、駆動回路40に実行させるオーバードライブの態様が相
違する複数の動作モード(第1動作モードないし第4動作モード)で動作可能である。処
理回路50の動作モードは、例えば外部回路(例えばCPU)から供給される動作モード
信号に応じて選択される。図6は、各動作モードの説明図である。
【0035】
第1動作モードは、図6の部分(A)に示すように、各表示期間Pi内の単位期間U1のみ
で駆動回路40にオーバードライブ(OD)を実行させる動作モードである。具体的には
、処理回路50は、各表示期間Pi内の単位期間U1に対応する画像データDAと直前の表
示期間Piの最後の単位期間U4に対応する画像データDAとの差異に応じて画素PIX毎の
補正量(液晶素子CLに対する印加電圧の増加分)が設定されたオーバードライブを駆動
回路40に実行させる。各表示期間Pi内の単位期間U2から単位期間U4では各画素PIX
のオーバードライブは実行されない。
【0036】
第2動作モードは、図6の部分(B)に示すように、各表示期間Pi内の単位期間U1およ
び単位期間U2にて駆動回路40にオーバードライブを実行させる動作モードである。具
体的には、処理回路50は、各表示期間Pi内の単位期間U1の画像データDAと直前の表
示期間Piの最後の単位期間U4の画像データDAとの差異に応じた補正量のオーバードラ
イブ(すなわち第1動作モードと同様のオーバードライブ)を単位期間U1にて駆動回路
40に実行させる。また、処理回路50は、各表示期間Pi内の単位期間U2の画像データ
DAと直前の表示期間Piの最後の単位期間U4の画像データDAとの差異に応じた補正量の
オーバードライブを単位期間U2にて駆動回路40に実行させる。すなわち、第2動作モ
ードでは、単位期間U1および単位期間U2の双方の画像データDAが、直前の表示期間Pi
の単位期間U4の画像データDAと比較される。各表示期間Pi内の単位期間U3および単位
期間U4では各画素PIXのオーバードライブは実行されない。
【0037】
第3動作モードは、図6の部分(C)に示すように、各表示期間Pi内の単位期間U1およ
び単位期間U2にて駆動回路40にオーバードライブを実行させる動作モードである。具
体的には、処理回路50は、各表示期間Pi内の単位期間U1の画像データDAと直前の表
示期間Piの最後の単位期間U4の画像データDAとの差異に応じて補正量が設定された第
1動作モードと同様のオーバードライブを単位期間U1にて駆動回路40に実行させるほ
か、各表示期間Pi内の単位期間U2の画像データDAとその表示期間Pi内の直前の単位期
間U1の画像データDAとの差異に応じた補正量のオーバードライブを単位期間U2にて駆
動回路40に実行させる。第2動作モードと同様に、各表示期間Pi内の単位期間U3およ
び単位期間U4では各画素PIXのオーバードライブは実行されない。以上の説明から理解
されるように、各表示期間Pi内でオーバードライブを実行する単位期間U(U1,U2)
は第2動作モードと第3動作モードとで共通するが、単位期間U2に対応する画像データ
DAの比較の対象が第2動作モード(直前の表示期間Piの単位期間U4の画像データDA)
と第3動作モード(直前の単位期間U1の画像データDA)とでは相違する。
【0038】
第4動作モードは、図6の部分(D)に示すように、各表示期間Pi内の4個の単位期間U
1〜U4の各々で駆動回路40にオーバードライブを実行させる動作モードである。具体的
には、処理回路50は、各単位期間Uの画像データDAと直前の単位期間Uの画像データ
DAとの差異に応じた補正量のオーバードライブを各単位期間Uにて駆動回路40に実行
させる。具体的には、各表示期間Pi内の単位期間U1では、単位期間U1の画像データDA
と直前の表示期間Pi内の単位期間U4の画像データDAとに応じた補正量のオーバードラ
イブが実行される。また、各表示期間Pi内の単位期間U2では、その単位期間U2の画像
データDAと直前の単位期間U1の画像データDAとに応じた補正量のオーバードライブが
実行される。同様に、単位期間U2と単位期間U3との画像データDAの差異に応じた補正
量のオーバードライブが単位期間U3にて実行され、単位期間U3と単位期間U4との画像
データDAの差異に応じた補正量のオーバードライブが単位期間U4にて実行される。
【0039】
図5に示すように、処理回路50は、記憶部52と書込制御部54と駆動制御部56と
D/A変換部58とを具備する。記憶部52は、処理回路50に供給された過去に画像デ
ータDA(縦(M/2)行×横N列分の指定階調)を、処理回路50に供給された最新の画像
データDAとの比較のために記憶するメモリである。図6を参照して説明した通り、最新
の画像データDAと比較される画像データDAは動作モードに応じて相違するから、書込制
御部54は、比較用の画像データDAの書込を動作モードに応じて制御する。
【0040】
具体的には、図6の部分(A)の第1動作モードおよび部分(B)の第2動作モードでは、書
込制御部54は、各表示期間Pi内の単位期間U4の画像データDAを記憶部52に格納す
る。他方、各表示期間Pi内の単位期間U1から単位期間U3の画像データDAは、第1動作
モードおよび第2動作モードでは記憶部52に格納されない。したがって、各表示期間P
i内の単位期間U1および単位期間U2の画像データDAが処理回路50に供給される期間で
は、直前の表示期間Piの単位期間U4の画像データDAが記憶部52に保持されている。
【0041】
他方、図6の部分(C)の第3動作モードでは、書込制御部54は、各表示期間Pi内の単
位期間U1および単位期間U4の画像データDAを記憶部52に格納する。したがって、各
表示期間Pi内の単位期間U1の画像データDAが処理回路50に供給される時点では、直
前の表示期間Piの単位期間U4の画像データDAが記憶部52に保持され、各表示期間Pi
内の単位期間U2の画像データDAが処理回路50に供給される時点では、直前の単位期間
U1の画像データDAが記憶部52に保持されている。また、図6の部分(D)の第4動作モ
ードでは、書込制御部54は、各表示期間Pi内の単位期間U1〜U4の各々の画像データ
DAを順次に記憶部52に格納する。したがって、各単位期間Uの画像データDAが処理回
路50に供給される時点では、直前の単位期間Uの画像データDAが記憶部52に保持さ
れている。
【0042】
図5の駆動制御部56は、外部回路から供給される最新の処理対象の画像データDAと
記憶部52に記憶された比較用の画像データDAとの差異に応じた補正量(液晶素子CLに
対する印加電圧の増加分)のオーバードライブを駆動回路40に実行させる画像データD
Bを生成する。具体的には、駆動制御部56は、処理対象の画像データDAを画像データD
Bに変換する補正処理を実行可能である。補正処理は、処理対象の画像データDAの各指定
階調と記憶部52内の比較用の画像データDAの各指定階調との相違に応じた補正量だけ
液晶素子CLに対する印加電圧が増加するように処理対象の画像データDAの画素PIX毎の
指定階調を調整した画像データDBを生成する処理である。各画素PIXのオーバードライ
ブの補正量(液晶素子CLに対する印加電圧の増加分)は、処理対象の画像データDAの指
定階調と比較用の画像データDAの指定階調との相違が大きい(表示階調の変化が大きい
)ほど増加するように画素PIX毎に設定され、両者間で指定階調が一致する場合にはゼロ
(オーバードライブなし)に設定される。処理対象の画像データDAと比較用の画像デー
タDAとの差分値を画像データDBでの指定階調に対応させたルックアップテーブルが駆動
制御部56として好適に採用される。
【0043】
各表示期間Pi内で駆動回路40にオーバードライブを実行させる単位期間Uは動作モ
ードに応じて相違するから、図5の駆動制御部56は、各表示期間Piのうち動作モード
に応じた単位期間U(すなわち、オーバードライブの対象となる単位期間U)にて選択的
に変換処理を実行する。具体的には、図6の部分(A)の第1動作モードでは各表示期間Pi
内の単位期間U1にて変換処理が実行され、図6の部分(B)の第2動作モードおよび部分(C
)の第3動作モードでは各表示期間Pi内の単位期間U1および単位期間U2にて変換処理が
実行され、図6の部分(D)の第4動作モードでは各表示期間Pi内の単位期間U1〜U4の各
々で変換処理が実行される。各表示期間Piのうちオーバードライブが実行されない単位
期間Uでは、駆動制御部56は、変換処理を実行することなく処理対象の画像データDA
を画像データDBとして出力する。
【0044】
図5のD/A変換部58は、駆動制御部56が順次に生成する各画素PIXの画像データ
DBをアナログの画像信号VIDに変換して駆動回路40(信号線駆動回路44)に供給す
る。処理回路50(書込制御部54および駆動制御部56)が動作モードに応じて以上の
ように動作する結果、第1動作モードから第4動作モードの何れかに対応するオーバード
ライブが駆動回路40により実行される。
【0045】
図1の制御回路14の眼鏡制御回路144は、立体視用眼鏡20の右眼用シャッター2
2および左眼用シャッター24の各々の状態(開状態/閉状態)を電気光学パネル12の
動作に同期して制御する。具体的には、眼鏡制御回路144は、図3に示すように、各表
示期間P(PR,PL)内の単位期間U1にて右眼用シャッター22および左眼用シャッタ
ー24の双方を閉状態に維持する。また、眼鏡制御回路144は、右眼用表示期間PR内
の単位期間U1以外の期間(単位期間U2の始点から単位期間U4の終点まで)にて右眼用
シャッター22を開状態に維持するとともに左眼用シャッター24を閉状態に維持し、左
眼用表示期間PL内の単位期間U1以外の期間にて左眼用シャッター24を開状態に維持す
るとともに右眼用シャッター22を閉状態に維持する。
【0046】
したがって、右眼用表示期間PR内の単位期間U2から単位期間U4で画素部30に表示
される右眼用画像GRは右眼用シャッター22を透過して観察者の右眼に到達するととも
に左眼用シャッター24で遮断される。他方、左眼用表示期間PL内の単位期間U2から単
位期間U4で画素部30に表示される左眼用画像GLは左眼用シャッター24を透過して観
察者の左眼に到達するとともに右眼用シャッター22で遮断される。右眼用シャッター2
2を透過した右眼用画像GRを右眼で視認するとともに左眼用シャッター24を透過した
左眼用画像GLを左眼で視認することで、観察者は表示画像に立体感を知覚する。
【0047】
右眼用表示期間PR内の単位期間U1では、直前の左眼用表示期間PL(単位期間U4)で
表示された左眼用画像GLが2行毎に順次に右眼用画像GRに更新され、左眼用表示期間P
Lの単位期間U1では、直前の右眼用表示期間PR(単位期間U4)で表示された右眼用画像
GRが2行毎に順次に左眼用画像GLに更新される。すなわち、各表示期間P内の単位期間
U1では右眼用画像GRと左眼用画像GLとが混在する。本実施形態では、各表示期間Pの
単位期間U1では右眼用シャッター22および左眼用シャッター24の双方が閉状態に維
持されるから、右眼用画像GRと左眼用画像GLとの混在(クロストーク)は観察者に知覚
されない。すなわち、右眼用画像GRと左眼用画像GLとが確実に右眼および左眼に分離さ
れるから、観察者に明確な立体感を知覚させることが可能である。
【0048】
以上に説明した実施形態では、各表示期間Pi内の単位期間U1にてM本の走査線32を
2本ずつ選択して各画素PIXに階調電位X[n]を供給する。したがって、各表示期間Piの
単位期間U1にてM本の走査線32を1本ずつ選択する構成と比較すると、右眼用画像GR
と左眼用画像GLとが混在する期間(クロストークの防止のために右眼用シャッター22
および左眼用シャッター24の双方を閉状態に維持する単位期間U1)の時間長が短縮さ
れる。すなわち、表示期間Piのうち右眼用シャッター22または左眼用シャッター24
を開状態に維持できる時間長が充分に確保される。したがって、観察者が認識する表示画
像の明度を向上することが可能である。
【0049】
ところで、以上のように単位期間U1を短い時間に設定した場合、第1動作モードのよ
うに単位期間U1のみでオーバードライブを実行する構成では、液晶素子CLに過電圧を印
加する時間が不足し、単位期間U1の終点にて液晶66を所期の状態に充分に変化させる
ことが困難となる可能性がある。階調電位X[n]を高めることで液晶66を所期の状態に
応答させるのに充分な過電圧を液晶素子CLに印加することも可能であるが、駆動回路4
0の耐圧性能等の事情により階調電位X[n]は実際には制限される。本実施形態の第2動
作モードから第4動作モードでは、各表示期間Pi内の複数の単位期間Uにわたりオーバ
ードライブが実行される。したがって、各単位期間Uでの過電圧を抑制した場合でも、複
数の単位期間Uにわたるオーバードライブで液晶素子CLの液晶66を確実に駆動できる
。すなわち、単位期間U1のみでオーバードライブを実行する構成と比較して、オーバー
ドライブによる過電圧を低減しながらクロストークを知覚され難くすることが可能である
。以上の効果は、単位期間U毎にオーバードライブを実行する第4動作モードにて格別に
顕著となる。
【0050】
なお、オーバードライブの補正量を設定するために駆動制御部56が処理対象の画像デ
ータDAと比較すべき画像データDAは表示画像の内容等に応じて相違し得る。すなわち、
各表示期間Pi内の単位期間U2の画像データDAを直前の表示期間Pi内の単位期間U4の
画像データDAと比較する第2動作モードが適切な場合もあれば、各表示期間Pi内の単位
期間U2の画像データDAを直前の単位期間U1の画像データDAと比較する第3動作モード
が適切な場合もある。本実施形態では、処理対象の画像データDAとの比較用の画像デー
タDAが相違する複数の動作モード(第2動作モード,第3動作モード)の何れかが選択
されるから、表示画像の内容に応じて適切なオーバードライブを実現できるという利点が
ある。
【0051】
<変形例>
以上の形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示
から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
【0052】
(1)前述の形態では、複数の動作モードを選択可能な構成を例示したが、前述の各動作
モードの何れかで処理回路50を固定的に動作させることも可能である。例えば、処理回
路50が第2動作モードのみで動作する構成や第3動作モードのみで動作する構成も採用
され得る。
【0053】
(2)前述の形態では、奇数行の指定階調Gi[2k-1]に応じた階調電位X[n]を単位期間U
1にて第1組の各画素PIXに供給するとともに偶数行の指定階調Gi[2k]に応じた階調電位
X[n]を単位期間U2にて偶数行の各画素PIXに供給し、偶数行の指定階調Gi[2k]に応じ
た階調電位X[n]を単位期間U3にて第2組の各画素PIXに供給するとともに奇数行の指定
階調Gi[2k-1]に応じた階調電位X[n]を単位期間U4にて奇数行の各画素PIXに供給した
が、単位期間U2および単位期間U4にて選択される画素PIXの奇数行/偶数行や、各単位
期間Uにて階調電位X[n]に反映される指定階調の奇数行/偶数行は以上の例示に限定さ
れない。
【0054】
例えば、偶数行の指定階調Gi[2k]に応じた階調電位X[n]を単位期間U1にて第1組の
各画素PIXに供給するとともに奇数行の指定階調Gi[2k-1]に応じた階調電位X[n]を単位
期間U2にて奇数行の各画素PIXに供給し、奇数行の指定階調Gi[2k-1]に応じた階調電位
X[n]を単位期間U3にて第2組の各画素PIXに供給するとともに偶数行の指定階調Gi[2k
]に応じた階調電位X[n]を単位期間U4にて偶数行の各画素PIXに供給することも可能で
ある。また、前述の形態では、第(2k-1)行および第2k行を第1組として第2k行および第(2
k+1)行を第2組としたが、M本の走査線32の区分の方法は適宜に変更される。例えば第
2k行および第(2k+1)行を第1組として第(2k-1)行および第2k行を第2組とした構成も採用
される。
【0055】
(3)各表示期間Piにて各画素PIXを駆動する方法は以上の例示に限定されない。例え
ば、前述の形態では各表示期間Piを4個の単位期間U1〜U4に区分したが、表示期間Pi
内の単位期間Uの個数は任意である。例えば、各表示期間Pを2個の単位期間U(U1,
U2)に区分した構成も採用され得る。単位期間U1および単位期間U2の各々では、例え
ば第1実施形態と同様の方法で各画素PIXが駆動される。以上の例示から理解されるよう
に、本発明の好適な態様に係る駆動回路40は、各表示期間Pi内の最初の単位期間U1に
て複数行毎に各画素PIXを選択して階調電位X[n]を供給する要素として包括される。
【0056】
(4)第2動作モードや第3動作モードにおいて、各表示期間Pi内でオーバードライブ
を駆動回路40に実行させる単位期間Uの個数は適宜に変更される。例えば、各表示期間
Piが4個の単位期間U1〜U4を含む前述の構成において、各表示期間Piの単位期間U1
から単位期間U3の各々において駆動回路40にオーバードライブを実行させることも可
能である。
【0057】
(5)前述の各形態では、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点にて右眼用シャッター
22を閉状態から開状態に変化させたが、右眼用シャッター22を閉状態から開状態に変
化させる時期は適宜に変更される。例えば、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以前
に右眼用シャッター22を開状態に変化させる構成では、単位期間U1内でのクロストー
クが観察者に若干は知覚されるが、表示画像の明度を向上させることが可能である。他方
、右眼用表示期間PRの単位期間U1の終点以降の時点で右眼用シャッター22を開状態に
変化させる構成では、表示画像の明度は低下するが、観察者にクロストークが知覚される
ことを有効に防止することが可能である。同様に、右眼用シャッター22を開状態から閉
状態に変化させる時期を、右眼用表示期間PRの単位期間U4の終点の前後に設定した構成
も採用され得る。なお、観察者にクロストークが知覚され難い開閉の時期は、右眼用シャ
ッター22および左眼用シャッター24の応答特性と電気光学パネル12(液晶素子CL
)の応答特性との関係にも依存する。したがって、右眼用シャッター22の開閉の時期は
、クロストークの防止と表示画像の明度の確保との優先度や、立体視用眼鏡20の応答特
性と電気光学パネル12の応答特性との関係といった種々の要因を考慮して選定される。
なお、以上の説明では右眼用シャッター22に言及したが、左眼用シャッター24の開閉
の時期についても同様である。
【0058】
以上の説明から理解されるように、右眼用シャッター22が開状態に維持される期間は
、右眼用表示期間PRのうち単位期間U1以外の期間(単位期間U2から単位期間U4)の少
なくとも一部を含む期間(直前の単位期間U1の末尾の一部を含むか否かは不問)として
包括される。同様に、左眼用シャッター24が開状態に維持される期間は、左眼用表示期
間PLのうち単位期間U1以外の期間の少なくとも一部を含む期間(直前の単位期間U1の
末尾の一部を含むか否かは不問)として包括される。また、右眼用シャッター22および
左眼用シャッター24の双方が閉状態に制御される期間は、各表示期間P(PR,PL)の
うち単位期間U1の少なくとも一部を含む期間(直後の単位期間U2の先頭の一部を含むか
否かは不問)として包括される。
【0059】
(6)単位期間U1や単位期間U3にて同時に選択される走査線32の本数は任意である。
すなわち、単位期間U1や単位期間U3での走査線駆動回路42の動作は、走査線32をQ
行(Qは2以上の自然数)ずつ順次に選択する動作として包括される。
【0060】
(7)電気光学素子(表示素子)は液晶素子CLに限定されない。例えば、電気泳動素子
を電気光学素子として利用することも可能である。すなわち、電位光学素子は、電気的な
作用(例えば電圧の印加)に応じて光学的な特性(例えば透過率)が変化する表示素子と
して包括される。
【0061】
<応用例>
以上の各形態に例示した電気光学装置10は、各種の電子機器に利用され得る。図7か
ら図9には、電気光学装置10を採用した電子機器の具体的な形態が例示されている。
【0062】
図7は、電気光学装置10を適用した投射型表示装置(3板式のプロジェクター)40
00の模式図である。投射型表示装置4000は、相異なる表示色(赤色,緑色,青色)
に対応する3個の電気光学装置10(10R,10G,10B)を含んで構成される。照明
光学系4001は、照明装置(光源)4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学
装置10Rに供給し、緑色成分gを電気光学装置10Gに供給し、青色成分bを電気光学装
置10Bに供給する。各電気光学装置10は、照明光学系4001から供給される各単色
光を表示画像に応じて変調する光変調器(ライトバルブ)として機能する。投射光学系4
003は、各電気光学装置10からの出射光を合成して投射面4004に投射する。観察
者は、投射面4004に投射された立体視画像を立体視用眼鏡20(図7では図示略)で
視認する。
【0063】
図8は、電気光学装置10を採用した可搬型のパーソナルコンピューターの斜視図であ
る。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置10と、
電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。
【0064】
図9は、電気光学装置10を適用した携帯電話機の斜視図である。携帯電話機3000
は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示す
る電気光学装置10とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電
気光学装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0065】
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図7から図9に例示
した機器のほか、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants),デジタルス
チルカメラ,テレビ,ビデオカメラ,カーナビゲーション装置,車載用の表示器(インパ
ネ),電子手帳,電子ペーパー,電卓,ワードプロセッサ,ワークステーション,テレビ
電話,POS端末,プリンター,スキャナー,複写機,ビデオプレーヤー,タッチパネル
を備えた機器等などが挙げられる。
【符号の説明】
【0066】
100……立体視表示装置、10……電気光学装置、12……電気光学パネル、14……
制御回路、142……表示制御回路、144……眼鏡制御回路、20……立体視用眼鏡、
22……右眼用シャッター、24……左眼用シャッター、30……画素部、PIX……画素
、CL……液晶素子、SW……選択スイッチ、32……走査線、34……信号線、40……
駆動回路、42……走査線駆動回路、44……信号線駆動回路、50……処理回路、52
……記憶部、54……書込制御部、56……駆動制御部、58……D/A変換部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼用画像と左眼用画像とを表示期間毎に表示する電気光学装置であって、
複数の走査線と複数の信号線との各交差に対応して配置された複数の画素と、
前記各表示期間内の複数の単位期間の各々において当該単位期間に対応する画像データ
による指定階調に応じた階調電位を各画素に供給する回路であって、前記各表示期間内の
第1番目の単位期間では、前記走査線を複数行ずつ順次に選択するとともに選択状態の複
数行のうち何れかの走査線に対応する各画素の指定階調に応じた階調電位を前記各信号線
に供給する駆動回路と、
前記各表示期間内で前記第1番目の単位期間を含む2以上の単位期間の各々にて各画素
のオーバードライブを前記駆動回路に実行させる駆動制御手段と
を具備する電気光学装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記各表示期間内の第1番目の単位期間において、当該単位期間
の画像データと直前の表示期間内の最後の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量
のオーバードライブを前記駆動回路に実行させる
請求項1の電気光学装置。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、前記各表示期間内の第2番目の単位期間において、当該単位期間
の画像データと直前の表示期間内の最後の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量
のオーバードライブを前記駆動回路に実行させる
請求項2の電気光学装置。
【請求項4】
前記駆動制御手段は、前記各表示期間内の第2番目の単位期間において、当該単位期間
の画像データと当該表示期間内の前記第1番目の単位期間の画像データとの差異に応じた
補正量のオーバードライブを前記駆動回路に実行させる
請求項2の電気光学装置。
【請求項5】
前記駆動制御手段は、前記各表示期間内の前記複数の単位期間の各々において、当該単
位期間の画像データと直前の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量のオーバード
ライブを前記駆動回路に実行させる
請求項2の電気光学装置。
【請求項6】
前記駆動制御手段は、
前記各表示期間内の第2番目の単位期間において、当該単位期間の画像データと直前の
表示期間内の最後の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量のオーバードライブを
前記駆動回路に実行させる動作モードと、
前記各表示期間内の第2番目の単位期間において、当該単位期間の画像データと当該表
示期間内の前記第1番目の単位期間の画像データとの差異に応じた補正量のオーバードラ
イブを前記駆動回路に実行させる動作モードとの何れかに設定される
請求項2の電気光学装置。
【請求項7】
前記駆動回路は、前記各表示期間内の第1番目の単位期間では、前記走査線をQ行(Q
は2以上の自然数)ずつ順次に選択するとともに選択状態の前記Q行のうち第1走査線に
対応する各画素の指定階調に応じた階調電位を前記各信号線に供給し、かつ、前記各表示
期間内の第2番目の単位期間では、前記Q行のうち前記第1走査線以外の第2走査線を順
次に選択するとともに選択状態の前記第2走査線に対応する各画素の指定階調に応じた階
調電位を前記各信号線に供給する
請求項1から請求項6の何れかの電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れかの電気光学装置を具備する電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−73036(P2013−73036A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212182(P2011−212182)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】