説明

電気光学装置の駆動装置及び方法、並びに電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置等の駆動装置において、表示画像の焼き付きを防ぎつつ、表示画像にムラが発生することを防ぎ、表示画像の高品位化を図る。
【解決手段】電気光学装置の駆動装置は、走査線、データ線、走査線及びデータ線の交差に対応して配列された画素部、走査線を介して走査信号を供給する走査信号供給手段と、データ線を介して、画像信号に対応し、所定の電位に対する極性がフレーム毎に反転する駆動電圧を前記複数の画素部に印加すると共に、所定の極性を有するパルス状の補正電圧(V)を、少なくとも前記画像信号に先行するタイミングでデータ線に印加する電圧印加手段(3、5、6)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置の駆動装置及び駆動方法、並びに、当該駆動装置を備える電気光学装置、更に該電気光学装置を備えて構成される例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置では、一対の電極間に画像信号に対応する駆動電圧を印加することによって、電極間に挟持された電気光学物質(例えば、液晶等)を配向制御し、画像表示を行う。駆動電圧は表示画像の焼き付きを防止する或いはフリッカを防止するべく、極性反転しながら印加される。ここで特に、画素の階調を規定する画像信号が供給されるデータ線と、データ線に接続された画素列との間には、寄生容量が発生する。この寄生容量の存在によって、表示画像にデータ線に沿った方向に表示ムラが発生することがある。
【0003】
特許文献1では、データ線に画像信号を供給する順番を変更することによって、この表示ムラを軽減し、表示画像の画質を向上させる技術が開示されている。また、特許文献2では、画像信号に対応する駆動電圧に重畳するように、駆動電圧の極性に応じて極性反転する補正電圧を駆動電圧に重ねて印加することにより、画素の書き込み速度を向上させ、表示ムラを抑制する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−45967号公報
【特許文献2】特開2005−43418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の背景技術によると、ある程度表示ムラを改善できる可能性があるものの、依然として少なからず表示ムラが残存し、更なる画質の改善が求められる。また、例えば液晶プロジェクタのような機器に組み込まれる電気光学装置では、例えば画素電極に駆動電圧を印加するタイミングをスイッチング制御する薄膜トランジスタが、強力な光に曝されることによりリーク電流を生じてしまう。即ち、光リーク電流の発生によって画素電極に電位が降下し、表示画像へのムラの発生を助長してしまうという技術的な問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、表示画像の焼き付きを防ぎつつ或いはフリッカを低減しつつ、高品位な画像表示が可能な電気光学装置の駆動装置及び方法、並びに当該駆動装置を備える電気光学装置、更にそのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置の駆動装置は上記課題を解決するために、画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応するように配列された複数の画素部を有する電気光学装置の駆動装置であって、前記複数の走査線を介して走査信号を供給する走査信号供給手段と、前記複数のデータ線を介して、画像信号に対応し、所定の電位に対する極性がフレーム毎に反転する駆動電圧を前記複数の画素部に印加すると共に、所定の極性を有するパルス状の補正電圧を、少なくとも前記画像信号に先行するタイミングで前記複数のデータ線に印加する電圧印加手段とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置の駆動装置によれば、その動作時には、例えば電源信号、データ信号、制御信号等の各種信号が入出力されると、本発明における「走査信号供給手段」の一例である走査信号駆動回路等によって、走査信号が複数の走査線に対して順次供給される。これと並行して本発明における「電圧印加手段」の一例であるデータ線駆動回路等によって、画像信号が複数のデータ線に対して、同時に又は逐次に供給される。その結果、走査線及びデータ線の交差に対応して配列された画素部に画像信号に対応した駆動電圧を印加される。そして、画素部に含まれる、例えば電気光学物質の配向状態を変え、各画素部における光透過率を制御することによって液晶表示等の電気光学動作が行われる。尚、画像信号に対応する駆動電圧は、基板間に挟持された電気光学物質に作用して表示画像に焼き付き等が発生しないように、フレーム反転駆動で極性反転しながら印加される。
【0009】
本発明では特に、電圧印加手段は、前記複数のデータ線を介して、画像信号に対応し、所定の電位に対する極性がフレーム毎に反転する駆動電圧を前記複数の画素部に印加すると共に、所定の極性を有するパルス状の補正電圧を、少なくとも前記フレーム毎に前記画像信号に先行するタイミングで印加する。即ち、画像信号に対応する駆動電圧に先行して補正電圧が印加される。ここに「パルス状の」とは、駆動電圧の極性が反転する反転周期より短い、即ち、時間軸上で、駆動電圧の一反転周期分に対して局所的に存在するという意味である。従って、液晶の応答時間と比べると、十分に短いパルス状となる。また、補正電圧は、フレーム毎に極性が反転する駆動電圧と異なり、駆動装置の動作中、正負のどちらか一方に固定された極性を有している。
【0010】
本願発明者の研究によると、このような補正電圧を、少なくとも画像信号に先行するタイミングで、複数のデータ線に印加することによって、フレーム反転駆動で駆動される電気光学装置の駆動装置において、表示画像のムラを低減できることが実験的に判明している。ここに「少なくとも画像信号に先行するタイミング」とは、画像信号に係る垂直走査の帰線期間或いは水平走査の帰線期間内における一タイミングを意味する。例えば「少なくとも」とは、フレーム毎に1回の画像信号に先行する1回のタイミングだけでも足りるが、1フレーム内の複数の水平期間(即ち、水平走査期間)の各々において画像信号に先行するタイミングであっても、即ちフレーム毎に複数回のタイミングであってもよい趣旨である。また、複数のフレームを一つの時間単位とみなした場合に、当該時間単位内で印加される画像信号に先行するタイミングであってもよい。また画像信号の場合とは異なり、補正電圧については複数のデータ線に対して、典型的には、一斉に供給される。
【0011】
尚、補正信号は、例えば、各画素部に設けられたオフ状態にあるスイッチング素子等の存在により、画像信号(即ち、それに対応する駆動電圧)のように画素電極及び対向電極間に印加されることはなく、主にデータ線における電位を従前の画像信号(すなわち、それに対応する駆動電圧)の値から、補正電圧の値へと変化させる或いは近付けるように、電気的な仕事を行えば足りる。或いは、補正信号は、各画素に設けられたオン状態にあるスイッチング素子等の存在により、画像信号(即ち、それに対応する駆動電圧)のように画素電極及び対向電極間に印加されてもよく、この場合には、画像信号に対応する電圧が画素電極に保持されている期間が多少犠牲とされ得るが、データ線及び画素電極における電位を従前の画像信号(すなわち、それに対応する駆動電圧)の値から、補正電圧の値へと変化させる或いは近付けるように、電気的な仕事を行うことが可能と成る。
【0012】
本発明に係る駆動装置が組み込まれた電気光学装置においては、画像表示領域のうち互いに異なる領域に配置された画素部同士は、駆動電圧が伝達される距離に応じて互いに異なる大きさの寄生容量を有している。そのため、仮にこれらの画素が同一のデータ線に接続されていたとしても、実際に画素部に印加される駆動電圧値は異なってしまう。また、液晶プロジェクタ等の強力な光が照射される電気光学装置に組み込まれた駆動装置では、例えば画素電極をスイッチング制御するために内部に組み込まれた薄膜トランジスタに光が照射されることによって、リーク電流が発生しやすいので、上述の画素部間における駆動電圧に差が発生することを助長してしまう。そこで、本発明に係る駆動装置は、少なくともこの駆動電圧値の差に起因する画像信号の供給後の複数のデータ線間における電位差を補うように、或いはこの駆動電圧値の差を補うように、補正電圧をフレーム毎に画像信号に先行するタイミングで、複数のデータ線に対して印加する。これによって、次にデータ線を介して供給或いは印加される画素に生じる駆動電圧の差を軽減することが可能となり、よって表示画像にムラが発生することを抑制することができる。
【0013】
特に本発明における補正電圧は所定の極性を有している。ここで「所定の極性」とは、正負どちらか一方の極性を意味する。つまり、補正電圧は、フレーム毎に極性反転する画像信号に対応する駆動電圧の極性に関わらず、常に正又は負のどちらか一方の極性を有する。この点において、本発明における補正電圧は、背景技術2に挙げたような、駆動電圧の極性に応じて極性反転しながら印加する所謂プリチャージ電圧とは異なる性質を有する電圧である。即ち本発明に係る「補正電圧」は、画像信号に先行するタイミングで印加或いは供給されることから、タイミングとしては、プリチャージ信号の一種として捉えることも可能である。しかしながら、補正電圧は、既存のプリチャージ信号の場合と大きく異なり、所定の極性を有する(即ち、常時負極性であるか又は常時正極性である)。既存のプリチャージ信号の場合には、画像信号の書き込み負担を軽減する基本的な目的から、所定の極性では不適当である或いは根本原理に反する。プリチャージ信号の場合には、次に書き込もうとする画像信号の電圧の極性と同一極性で先行して書き込むことが必須である。
【0014】
尚、補正電圧の具体的な極性及び大きさは、リーク電流の発生による画素部の電圧低下を補填するように適宜調整することによって設定するとよい。
【0015】
以上のように、画素の駆動電圧の印加に先行して、本願発明に独自の補正電圧をデータ線に対して印加することによって、表示画像の焼き付き或いはフリッカの発生を防ぎつつ、表示画像にムラが発生することを防ぎ、表示画像の高品位化を図ることが可能な電気光学装置の駆動装置を実現することができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の駆動装置の一態様では、前記電圧印加手段は、前記補正電圧を、前記フレームの各々内における前記画像信号に係る水平期間毎に、前記画像信号に先行するタイミングで、前記複数のデータ線に対して、印加する。
【0017】
この態様によれば、一本の走査線に走査信号を供給することにより、当該一本の走査線上にある画素を書き込み可能な状態にし、画像信号を書き込む水平期間毎に、補正電圧がデータ線に印加される。上述のように、補正電圧を一旦印加すると、駆動電圧値の差を軽減することができるが、当該差は時間の経過とともに再び拡大してしまう。そこで、本態様のようにフレーム期間より短い水平期間毎に、比較的頻繁に補正電圧を適当な時間的間隔で印加することで、駆動電圧の差が拡大してしまうことを抑制することができる。
【0018】
本発明の電気光学装置の駆動装置の他の態様では、前記電圧印加手段は、前記補正電圧を、前記複数のデータ線に対して一斉に印加する。
【0019】
この態様によれば、補正電圧は、少なくともフレーム毎に画像信号に先行するタイミングにおいて、全データ線に同時に印加される。この先行するタイミングは、上述の通り、画像信号に係る垂直走査の帰線期間或いは水平走査の帰線期間内における一タイミングを意味するので、水平走査期間等に比べて短い期間である。そのため、このような短い期間内に全データ線に対して駆動電圧の差を迅速に軽減するために、全データ線に一斉に補正電圧を印加するとよい。
【0020】
本発明の電気光学装置の駆動装置の他の態様では、前記所定の極性は、負極性である。
【0021】
この態様によれば、画素の駆動電圧に重畳的に印加される補正電圧は、駆動電圧の極性の正負に関わらず、駆動装置の動作中、常に負極性を有するように印加される。このように補正電圧の極性を負になるように設定することで、画像信号に先行するタイミングで補正電圧を加えることにより、表示画像の焼き付き或いはフリッカの発生を防ぎつつ、表示画像にムラが発生することを防ぎ、表示画像の高品位化を図ることが可能な電気光学装置の駆動装置を実現することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の駆動装置の他の態様では、前記補正電圧は、前記駆動電圧が正極性を有するフレームに対して印加される第1の補正電圧と、前記駆動電圧が負極性を有するフレームに対して印加される第2の補正電圧とを含んでなる。
【0023】
この態様によれば、画素の駆動電圧に重畳的に印加される補正電圧は、第1及び第2補正電圧を含んでなり、夫々、フレーム毎に極性が反転される駆動電圧が正極性及び負極性であるときに、電圧印加手段によって印加される。つまり、補正電圧の極性は、駆動電圧の極性反転に関わらず一定であるが、第1及び第2の補正電圧の振幅や時間幅等は互いに異なっていてもよい。尚、第1及び第2補正電圧の具体的な振幅及び時間幅等は、リーク電流の発生による画素電極の電圧低下を補填するように適宜調整することによって設定するとよい。
【0024】
本発明の電気光学装置の駆動装置の他の態様では、
前記電圧印加手段は、前記複数のデータ線が分割された複数のブロックの夫々において、1水平期間内に所定の選択順で選択されたデータ線に前記駆動電圧を印加し、
前記所定の選択順を時間軸上で変更する選択順制御手段を更に備える。
【0025】
この態様によれば、各ブロックでは、ブロックに含まれる複数のデータ線が1水平期間内(即ち、水平走査期間内)に順番に選択される。つまり、1水平期間内にブロックに含まれる全てのデータ線が選択されることとなる。ここで、「所定の選択順」とは、特定のブロックに含まれるデータ線を順番に選択する選択順であってもよいし、ブロック内のデータ線を順不同に選択する選択順であってもよく、1水平期間内にブロック内の全てのデータ線が選択されるような選択順を広く含む意味である。ここで、ブロック内に含まれるデータ線が選択される順番(即ち、「所定の選択順」)は、選択順制御手段によって変更することができる。例えば、フレーム毎に選択順を変更してもよいし、1水平期間毎に変更してもよい。
【0026】
本願発明者の研究によると、上述のように補正電圧を画像信号に先行するタイミングで印加してもなお、画像表示領域においてスジ上のムラが残存する場合、本態様のように、ある期間毎にデータ線を選択する順番を変更することによって軽減、或いは解消することができることが実験的に確認されている。従って、本態様によれば、表示画像の焼き付きの防止或いはフリッカの発生の防止を達成しつつ、より一層高品位な画像を表示することが可能な電気光学装置の駆動装置を実現することができる。
【0027】
上述のデータ線の選択順を変更可能な態様では、前記選択順制御手段は、少なくともフレーム毎に前記所定の選択順を変更してもよい。
【0028】
この態様によれば、データ線の選択順をフレーム毎に頻繁に変更することによって、よりスジ上のムラを軽減、或いは解消することができる。
【0029】
また、上述のデータ線の選択順を変更可能な態様では、前記選択順制御手段は、水平期間毎に前記選択順を変更してもよい。
【0030】
この態様によれば、データ線の選択順を1水平期間毎に頻繁に変更することによって、よりスジ上のムラを軽減、或いは解消することができる。即ち、フレーム毎に選択順を変更する場合に比べて、更に頻繁に選択順を変更することによって、より一層、スジ上のムラを軽減、或いは解消することができる。
【0031】
本発明の電気光学装置の駆動方法は上記課題を解決するために、画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応するように配列された複数の画素部を有する電気光学装置の駆動方法であって、前記複数の走査線を介して走査信号を供給する工程と、前記複数のデータ線を介して、画像信号に対応し、所定の電位に対する極性がフレーム毎に反転する駆動電圧を前記複数の画素部に印加する工程と、所定の極性を有するパルス状の補正電圧を、少なくとも前記フレーム毎に前記画像信号に先行するタイミングで印加する工程とを備える。
【0032】
本発明の駆動方法によれば、上述した本発明の駆動装置の場合と同様に、応答特性変化を補償可能な電気光学装置の駆動を実現することができる。
【0033】
尚、本発明の駆動方法においても、上述した本発明の駆動装置と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0034】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置の駆動回路(但し、その各種態様を含む)と、一対の基板と、該一対の基板に挟持された電気光学物質と、前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の交差に対応して配列された画素電極とを備える。
【0035】
本発明の電気光学装置によれば、上述した本発明の駆動装置を具備しているので、各画素部における応答特性変化によらずに、高品位の画像表示が可能となる。
【0036】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記一対の基板の一方に前記画素部毎に設けられると共に、前記走査線から供給される前記走査信号に応じてオンすることで、前記データ線から供給される前記画像信号を、前記画素電極に供給するスイッチング素子を更に備え、前記電圧印加手段は、前記スイッチング素子がオン状態になる直前の期間に、前記補正電圧を印加する。
【0037】
この態様によれば、電気光学装置は画素電極をスイッチング制御するための素子、例えば薄膜トランジスタを画素部毎に有している。特に本態様では、上述の補正電圧はスイッチング状態がオン状態になる直前、即ち、当該素子がオフ状態の間に印加されるため、補正電圧が画素電極に印加されることはない。従って、補正電圧によって基板間に挟持された電気光学物質の配向状態を乱してしまうことはない。
【0038】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記補正電圧は、前記電気光学物質の応答時間に比べて短い時間幅を有する。
【0039】
このように補正電圧を印加すれば、補正電圧が印加されることによって電気光学物質の配向状態が影響を受け、表示画像が乱れてしまうことはない。即ち、補正電圧は画像の階調表示に寄与しない。
【0040】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一対の基板の一方に前記画素部毎に設けられると共に、前記走査線から供給される前記走査信号に応じてオンすることで、前記データ線から供給される前記画像信号を、前記画素電極に供給するスイッチング素子を更に備え、前記電圧印加手段は、前記スイッチング素子がオン状態になっている期間に、前記補正電圧を印加する。
【0041】
この態様によれば、例えばスイッチング素子として薄膜トランジスタを更に備えることによって、画素電極に電圧を印加するタイミングを調整することができる。特に、当該TFTがオン状態のときに補正電圧が印加され、データ線だけでなく画素電極にまで補正電圧が印加されるような場合であっても、補正電圧は電気光学物質の配向状態に影響を与えることはない。
【0042】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備してなる。
【0043】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る液晶装置を具備してなるので、高品位の表示が可能な、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明に係る電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することが可能である。
【0044】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0046】
<液晶装置>
まず、図1及び図2を参照して、本発明に係る電気光学装置の駆動装置を組み込んだ電気光学装置の一例である薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を用いた液晶装置の構成について説明する。図1は、液晶装置の電気的な構成をブロック毎に示したブロック図である。図2は、図1における表示部1、信号切り替え部3、データ供給線7及びドライバIC5の具体的な回路構成を示すブロック図である。
【0047】
表示部1は、n行m列(n及びmは整数)の画素を含むマトリックス表示部であり、マトリックス配線のX方向にm個、Y方向にn個の画素を配列することで、m×nの解像度を有する画素マトリックスを形成している。表示部1には信号切り替え部3を介してデータ供給線7が接続されており、ドライバIC5から画像信号が供給されることにより、当該画像信号に対応する画像が表示部1に表示されるように構成されている。
【0048】
図2に示すように、表示部1には、各画素に画像信号を供給するためのm本のデータ線X(X1、X2、X3、・・・、Xm)が配置されており、夫々、3本ずつのk個のブロックに分割されている。そして、データ線Xの各ブロックには、ドライバIC5からデータ供給線7によって画像信号が供給される。即ち、1水平ライン(即ち、図1及び図2においてX方向)に並んだm画素分の画像信号を、ICドライバ5において、データ線Xの各ブロックに対応したk個のドライブ回路に適した形式に変換し、更にICドライバ5から出力された信号を、信号切り替え部3によって個々のデータ線に振り分けることによって、画像信号を全データ線Xに供給できるように構成されている。このように、本実施形態に係る液晶装置では、全データ線Xを複数のブロックに分け、各ブロック内で点順次による駆動(以下、ブロック内点順次駆動という)を行うことによって画像表示を実現する。
【0049】
ここで、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る液晶装置の表示部1付近の構成について具体的に説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の表示部1付近の構成を示す平面図であり、図4は、図1のH−H´線断面図である。
【0050】
図3及び図4において、本実施形態に係る液晶装置は、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置することにほって構成されている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板や、シリコン基板等である。対向基板20は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されている。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0051】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0052】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0053】
外部接続端子102には、画像表示領域10aに表示する画像に対応した画像信号を供給されるための外部回路が接続される。外部接続端子102に入力された画像信号は、図1に示すコントローラ6、ドライバIC5及び信号切り替え部3等が形成されたデータ線駆動回路101にて処理される。
【0054】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0055】
図4において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFT30や走査線、データ線等の配線が作りこまれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線の上層に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9上には、配向膜(図4において省略)が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、ブラックマトリクス23が形成されている。ブラックマトリクス23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状、ストライプ状等にパターニングされている。遮光膜23上には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向して、対向基板20の全面に亘って(例えばベタ状に)形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。
【0056】
このように構成され、画素電極9と対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。
【0057】
尚、図3及び図4に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101の他に、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0058】
再び図1に戻って、コントローラ6は、ドライバIC5に対して、画像信号DATA、ラッチタイミング信号LP、シフトレジスタのスタート信号ST、データクロック信号CLX、並びに選択信号であるセレクト信号S1、S2及びS3を供給する。また、コントローラ6は、走査線駆動回路4に対して、走査線駆動回路4のスタート信号DY及び走査クロック信号CLYを供給する。尚、図1では、後述する図2に示すシフトレジスタ部11、第1及び第2のラッチ回路12、13、セレクタ部14及びドライバ15が、ドライバIC5に含まれているが、これらの全てあるいは一部を、表示部1と一体的に形成していてもよい。また、コントローラとドライバICを一つにまとめたり、コントローラ機能の一部をドライバICに組み込んでもよい。
【0059】
続いて図2に示すように、ドライバIC5は、シフトレジスタ部11、第1のラッチ回路12、第2のラッチ回路13、セレクタ部14及びドライバ部15を含んで構成されている。ドライバIC5のうちドライバ部15は、各ブロック用に変換された画像信号を伝達するデータ供給線7を介して、信号切り替え部3に接続されている。
【0060】
シフトレジスタ部11には、データクロック信号CLX及びスタート信号STが入力される。スタート信号STは、データクロック信号CLXに同期してシフトレジスタ部11内を順番にシフトしていく。シフトレジスタ部11の各単位レジスタからの出力信号は、第1のラッチ回路12を構成する複数の単位ラッチ回路に夫々入力される。一方、画像信号である画像信号DATAは、第1のラッチ回路12の全ての単位ラッチ回路に同時に供給される。単位レジスタからの出力信号が入力されると、画像信号DATAは、第1のラッチ回路12の各単位ラッチ回路に順番に蓄積されていく。こうして、1ライン分、即ち、1水平走査線分のm個の画像信号DATAが第1のラッチ回路12に蓄積される。尚、画像信号DATAは、例えば、6ビットのディジタル信号である。
【0061】
第2のラッチ回路13は、ラッチタイミング信号LPに従って第1のラッチ回路12の画像信号DATAをそのままラッチする回路である。従って、第2のラッチ回路13には、1ライン分のデータであるm個のデータが同時にラッチされる。なお、第2のラッチ回路13の各ラッチ回路13(1)、13(2)、・・・13(m)は、夫々後述するデータ線X1、X2、・・・Xmに対応した画像信号をラッチする。
【0062】
セレクタ部14は、複数のセレクト回路14(1)、14(2)、・・、14(k)からなる。1ライン分の画像信号DATAを、1ライン分のデータの先頭或いは終端から、連続した3つずつの画素に対応したデータに区切って分割することによって、複数の組(ブロック)を形成し、各組の3つのデータは、対応する各セレクト回路14(k)に入力される。具体的には、セレクト回路14(1)には、画像信号DATAの1、2、3が入力され、セレクト回路14(2)には、画像信号DATAの4、5、6が入力され、セレクト回路14(k)には、画像信号DATAのm−2、m−1、mが入力される。セレクタ部14には、セレクト信号S1、S2、S3が供給され、各セレクト回路14(k)は、セレクト信号S1、S2、S3に応じて、3つの入力画像データの中から予め決められた1つの画像データを選択して出力信号として、ドライバ部15の対応するドライブ回路へ供給する。
【0063】
ドライバ部15は、複数のドライブ回路15(1)、15(2)、・・、15(k)からなる。例えば、セレクト信号S1が供給されたときは、セレクト回路14(1)からは、画像信号DATA1がドライブ回路15(1)へ出力され、セレクト回路14(2)からは、画像信号DATA4がドライブ回路15(2)へ出力され、セレクト回路14(k)からは、画像信号DATAm−2がドライブ回路15(k)へ出力される。尚、各ドライブ回路15は、例えばディジタルアナログ変換器、増幅回路等を含む回路である。
【0064】
各ドライブ回路15からアナログ変換された画像信号DATAは、k本のデータ供給線7を介して、信号切替え部3に供給される。信号切替え部3は、複数の信号切替え回路3(1)、3(2)、・・、3(k)からなる。各信号切替え回路は、3つのスイッチ回路SW1、SW2、SW3を有する。各ドライブ回路からの供給された画像信号DATAは、対応する信号切替え回路の3つのスイッチ回路SW1、SW2、SW3の一端へ供給される。出力となる、各スイッチ回路の他端は、画素部2のX方向のデータ線群の対応するデータ線X1,X2,…,Xmに接続される。信号切替え部3には、各スイッチ回路をオン・オフするセレクト信号S1、S2、S3が供給される。信号切替え部3の各スイッチ回路SW1、SW2、SW3は、セレクト信号S1、S2、S3に応じて、選択的に順次オンとなり、対応するドライブ回路からの画像信号DATAを対応するデータ線に供給する。
【0065】
例えば、スイッチ回路SW1をオンにするセレクト信号S1が供給されたときは、信号切替え回路3(1)のスイッチ回路SW1がオンとなって、画像信号DATA1に対応する画像信号が、データ線X1へ出力される。同様に、信号切替え回路3(2)のスイッチ回路SW1もオンとなって、画像信号DATA4に対応する画像信号が、データ線X4へ出力される。同様に、信号切替え回路3(k)のスイッチ回路SW1もオンとなって、画像信号DATAm−2に対応する画像信号が、データ線Xm−2へ出力される。
【0066】
また、例えば、スイッチ回路SW2をオンにするセレクト信号S2が供給されたときは、信号切替え回路3(1)のスイッチ回路SW2がオンとなって、画像信号DATA2に対応する画像信号が、データ線X2へ出力される。同様に、信号切替え回路3(2)のスイッチ回路SW2もオンとなって、画像信号DATA5に対応する画像信号が、データ線X5へ出力される。同様に、信号切替え回路3(k)のスイッチ回路SW2もオンとなって、画像信号DATAm−1に対応する画像信号が、データ線Xm−1へ出力される。
【0067】
さらに、スイッチ回路SW3をオンにするセレクト信号S3が供給されたときは、信号切替え回路3(1)のスイッチ回路SW3がオンとなって、画像信号DATA3に対応する画像信号が、データ線X3へ出力される。同様に、信号切替え回路3(2)のスイッチ回路SW3もオンとなって、画像信号DATA6に対応する画像信号が、データ線X6へ出力される。同様に、信号切替え回路3(k)のスイッチ回路SW3もオンとなって、画像信号DATAmに対応する画像信号が、データ線Xmへ出力される。
【0068】
以上のように、各信号切替え回路は、セレクト信号S1、S2及びS3に応じて予め決められたスイッチ回路SW1、SW2及びSW3をオンするように切替えることによって、各ドライブ回路15からの画像信号を順次選択して対応するデータ線へ出力する。各スイッチ回路SW1、SW2、SW3は1水平期間内(即ち、水平走査期間内)に順次オンとなり、全ブロックでは1水平期間内に全てのデータ線に画像信号が供給される。このように、3つのデータ線で構成されたブロック毎に、点順次での駆動が行われる。
【0069】
本実施形態では特に、コントローラ6からセレクト信号S1〜S3を出力するタイミングを調整することによって、スイッチ回路SW1、SW2、SW3のオンにする順番を、時間軸上、例えばライン毎に切換えるように構成されている。
【0070】
例えば、ある1水平期間において、セレクト信号S1〜S3によって、スイッチ回路SW1、SW2、SW3がこの順に順次オンになって、先ずデータ線X1、X4、X7、・・・に画像信号が供給され、次に、データ線X2、X5、X8、・・・に画像信号が供給され、最後にデータ線X3、X6、X9、・・・に画像信号が供給されるものとする。続いて、次の水平期間では、コントローラ6からセレクト信号S1〜S3を出力するタイミングを調整することによって、スイッチ回路SW1、SW2、SW3を例えばスイッチ回路SW2、SW1、SW3の順に順次オンにすると、先ずデータ線X2、X5、X8、・・・に画像信号を供給し、次にデータ線X1、X4、X7、・・・に画像信号を供給し、最後にデータ線X3、X6、X9、・・・に画像信号を供給することができる。
【0071】
本実施形態では特に、スイッチ回路SW1、SW2、SW3をオンにする順番を水平期間毎に変更するように構成されている。具体的には、コントローラ6によって、図5に示すように、連続する3つのフレーム期間において、夫々、水平期間毎に第1パターン(S1、S2、S3)、第2パターン(S2、S3、S1)及び第3パターン(S3、S1、S2)が交互に切り替わるように構成されている。
【0072】
ここで、図6は、上述した回路構成における各信号の入出力のタイミングを示すタイミングチャートである。図6は、図2の回路構成における、スタートパルスST、データクロック信号CLX、ラッチタイミング信号LP、セレクト信号S1、S2、S3、及び走査側スタート信号DY及び走査側シフト信号CLYのタイミングチャートを表している。
【0073】
表示部1における各画素に対応した画像信号DATA1、2、・・、mは、データクロックCLXに対応した転送レートで第1のラッチ回路12に供給される。スタートパルスSTは、データクロックCLXに応じてシフトレジスタ部11を順次シフトして、第1のラッチ回路12の各単位ラッチにラッチパルスを供給する。これにより、各単位ラッチは、画素部2の水平方向の各画素に対応した画像信号DATA1、2、・・、mを順次ラッチする。
【0074】
第1のラッチ回路12に保持された1ライン分の画像信号DATA1、2、・・、mは、ラッチタイミング信号LPのタイミングで、第2のラッチ回路13にラッチされて出力される。第2のラッチ回路13から出力された1ライン分の画像データが、ゲート信号によってオンとなった走査線(走査線)の各画素電極に1水平期間内に書き込まれる。
【0075】
n行の内、L−1行目の走査線が選択される期間、即ち、第(L−1)水平期間において、図6に示すような信号波形の走査信号Y(L−1)が対応する走査線に出力される。第(L−1)水平期間において画像信号DATAがデータ線に印加されている間、走査信号Y(L−1)はハイレベル(以下、HIGHという)に設定されている。特に、後に詳述する負極性を有するパルス状の補正電圧が入力された直後に、走査信号Y(L−1)をハイレベルにしている。このようなタイミングで走査信号Yをハイレベルにすることで、画素電極に直接補正電圧が印加されることによって表示画像が乱れることを防止している。尚、負極性を有するパルス状の補正電圧が、基板間に挟持された液晶50の配向状態に影響を与えない場合、例えば、パルス幅が短く印加時間が小さい補正電圧の場合等には、画素電極に補正電圧が印加されたとしても表示画像が乱れることはないため、補正電圧が入力される前から走査信号Yをハイレベルに設定してもよい。
【0076】
第2のラッチ回路13からの1ライン分の画像データは、隣接した3画素ずつのk個のブロックに分割され、各ブロックのうちの1画素の画像データがセレクト回路14(1)、14(2)、・・、14(k)によって選択される。この選択はセレクト信号S1,S2,S3に基づいて行われる。セレクト信号S1,S2,S3は、図4に示すように、いずれも1水平期間の約1/3の期間だけHIGHとなる信号である。セレクト回路14(1)、14(2)、・・、14(k)は、セレクト信号S1,S2,S3のHIGHによって、各組の1画素の画像データを選択する。
【0077】
即ち、セレクト回路14(1)、14(2)、・・・、14(k)は、セレクト信号S1のHIGHによって、画素(1)、(4)、(7)、・・・の画像信号DATA1、4、7、・・・を選択して出力し、セレクト信号S2のHIGHによって、画素(2)、(5)、(8)の画像信号DATA2、5、8、・・・を選択して出力し、セレクト信号S3のHIGHによって、画素(3)、(6)、(9)の画像信号DATA3、6、9、・・・を選択して出力する。
【0078】
セレクト回路14(1)、14(2)、・・、14(k)からの画像データは、夫々ドライブ回路15(1)、15(2)、・・、15(k)によってアナログ信号に変換されて増幅された後、信号切替え回路3(1)、3(2)、・・、3(k)に供給される。信号切替え回路3(1)、3(2)、・・、3(k)は、夫々、入力された画像データをデータ線X1、X2、・・・に分岐させる。
【0079】
信号切替え回路3(1)、3(2)、・・、3(k)もセレクト信号S1、S2、S3によって制御され、1入力を3出力のうち1つに出力する。即ち、信号切替え回路3(1)、3(2)、・・、3(k)は、セレクト信号S1のHIGHで、3出力のうちの1番目の出力に画像データを出力し、セレクト信号S2のHIGHで、3出力のうちの2番目の出力に画像データを出力し、セレクト信号S3のHIGHで、3出力のうちの3番目の出力に画像データを出力する。
【0080】
即ち、セレクト信号S1がHIGHの期間には、セレクト回路14(1)、14(2)、・・・14(k)によって選択された画像データは、データ線X1、X4、X7、・・・に供給され、セレクト信号S2がHIGHの期間には、セレクト回路14(1)、14(2)、・・、14(k)によって選択された画像データは、データ線X2、X5、X8、・・・に供給され、セレクト信号S3がHIGHの期間には、セレクト回路14(1)、14(2)、・・、14(k)によって選択された画像データは、データ線X3、X6、X9、・・・に供給される。
【0081】
以上のように、図6の第(L−1)水平期間における最初の約1/3の期間には、セレクト信号S1のHIGHによって、画像信号DATA1、4、7、・・・が、データ線X1、X4、X7、・・・に供給される。第(L−1)水平期間には、走査信号YL−1がHIGHになっており、走査線L−1の1、4、7、・・・番目の各TFT16には、データ線X1、X4、X7、・・・を介して画像信号DATA1、4、7、・・・が供給され、以後第(L−1)水平期間の終了まで画素電極への書込みが行われる。
【0082】
第(L−1)水平期間における次の約1/3の期間には、セレクト信号S2のHIGHによって、走査線L−1の2、5、8、・・・番目の各TFT16には、データ線X2、X5、X8、・・・を介して画像信号DATA2、5、8、・・・が供給され、以後第(L−1)水平期間の終了まで画素電極への書込みが行われる。更に、第(L−1)水平期間における最後の約1/3の期間には、セレクト信号S3のHIGHによって、走査線L−1の3、6、9、・・・番目の各TFT16には、データ線X3、X6、X9、・・・を介して画像信号DATA3、6、9、・・・が供給され、以後第(L−1)水平期間の終了まで画素電極への書込みが行われる。
【0083】
このように、走査線L−1の各TFT16には、データ線を介して画像データが入力されたタイミング以降、走査信号Yがローレベル(以下、LOWという)となるまでの間、画像データが供給されて画素電極への書込みが行われる。従って、データ線X1、X4、X7、・・・を介した画素電極への書き込み時間は約1H(水平)期間であり、データ線X2、X5、X8、・・・を介した画素電極への書き込み時間は約(2/3)H期間であり、データ線X3、X6、X9、・・・を介した画素電極への書き込み時間は約(1/3)H期間である。
【0084】
以後、同様の動作によって、セレクト信号S1、S2、S3に基づいて選択された画像データは、対応するデータ線に供給され、オンとなったTFT16を介して画素電極に書き込まれる。
【0085】
本実施形態においては、次の第L水平期間においては、画像データの書き込みを行うデータ線の順番が、第(L−1)水平期間とは異なる順番になるように設定されている。即ち、図6の2列目に示すように、ゲート信号YLがHIGHとなる第L水平期間においては、1水平期間の最初の約1/3の期間にセレクト信号S3がHIGHとなり、次の約1/3の期間にセレクト信号S1がHIGHとなり、最後の約1/3の期間にセレクト信号S2がHIGHとなる。
【0086】
従って、データ線X3、X6、X9、・・・を介した画素電極への書き込みは第L水平期間の最初から約1H期間行われ、データ線X1、X4、X7、・・・を介した画素電極への書き込みは、第L水平期間の途中から約(2/3)H期間行われ、データ線X2、X5、X8、・・・を介した画素電極への書き込みは、第L水平期間の最後の約(1/3)H期間行われる。
【0087】
第(L+1)水平期間においては、1水平期間の最初の約1/3の期間にセレクト信号S2がHIGHとなり、次の約1/3の期間にセレクト信号S3がHIGHとなり、最後の約1/3の期間にセレクト信号S1がHIGHとなる。
【0088】
この場合には、データ線X2、X5、X8、・・・を介した画素電極への書き込みは第(L+1)水平期間の最初から約1H期間行われ、データ線X3、X6、X9、・・・を介した画素電極への書き込みは、第(L+1)水平期間の途中から約(2/3)H期間行われ、データ線X1、X4、X7、・・・を介した画素電極への書き込みは、第(L+1)水平期間の最後の約(1/3)H期間行われる。以後同様の動作によって、ディスプレイ装置におけるn行m列(n、mは整数)のマトリックス表示が行われる。
【0089】
結局、第(L−1)〜(L+1)水平期間の3水平期間においては、データ線X1、X4、X7、・・・を介した画素電極への書き込みは計約2H期間行われ、データ線X2、X5、X8、・・・を介した画素電極への書き込みも計約2H期間行われ、データ線X3、X6、X9、・・・を介した画素電極への書き込みも計約2H期間行われる。
【0090】
以後、セレクト信号S1、S2、S3は、3水平期間周期で、同様のパターンを繰返す。即ち、所定の連続した3水平期間、つまり、連続した3ラインで見れば、各画素電極への書き込み時間はいずれのデータ線において等しい。これにより、各ラインで発生している輝度むらは、3ライン毎に平均化され、全体として輝度むらのない画像を表示することが可能となる。
【0091】
このように、本実施の形態においては、ブロック内点順次駆動に際して、ブロック内の各データ線に画像データを供給するタイミングを、1ライン毎に切換え、複数ラインで各データ線による画素電極の書き込み時間を均一にするようになっている。こうして、書込み時間による画面内の輝度の変化は、同一輝度の画素同士が分散されることにより、複数ラインで平均化され、表示ムラは見えにくくなる。
【0092】
なお、上記実施の形態においては、セレクト信号S1,S2,S3の全てのタイミングを変更して、セレクト信号S1,S2,S3の発生パターンを3水平期間で元に戻す設定にすることにより、画素電極に対する書き込み時間を3水平期間で均一化した。しかし、書き込み時間を均一化する時間周期は3水平期間でなくてもよい。また、セレクト信号の発生パターンは図5に示したパターンに限られず、当然に種々の変形が可能である。
【0093】
また、セレクト信号S1,S2,S3の全てのタイミングを変更するのではなく、任意の1つ又は2つのセレクト信号のタイミングを変更しても、少なからず同様の効果を得ることができる。例えば、セレクト信号S2の発生パターンは変更せず、セレクト信号S1,S3の発生パターンを1水平期間周期で相互に切換えるようにしてもよい。この場合には、2水平期間で、全画素の書き込み時間を均一にすることができる。即ち、セレクト信号S1,S2,S3の発生パターンを時間軸上で変更しさえすれば、画素への書き込み時間を多少なりとも均一化することができる。尚、ドライブ回路の駆動能力が高い場合のように、セレクト信号のHIGH期間を、1水平期間の1/3の時間よりも短い時間に設定することができる場合には、セレクト信号S1,S2,S3のいずれか1つの発生タイミングを変更するだけでも、多少の効果を得ることができる。
【0094】
ここで、図7は、連続する3フレーム期間(即ち、第(M−1)フレーム期間、第Mフレーム期間及び第(M+1)フレーム期間)に渡って、ラッチタイミング信号LP、セレクト信号S1、S2、S3、及び補正電圧を含めた画像信号DATAの出力タイミングを示したタイミングチャートである。図7では特に、補正電圧を含めた画像信号DATAを具体的な波形を例示して表している。尚、補正電圧は図7において矢印で指摘してあり、当該矢印で示した以外の波形は、表示画像に応じた画像信号DATAの波形を表している。
【0095】
図7において矢印で示したように、水平期間毎に画素1からmに対応する画像DATAを供給する前に、画像DATAの基準電位に対して負極性を有するパルス状の補正電圧が印加されている。つまり、画像信号に対応する駆動電圧に、パルス状の補正電圧が重畳的に印加されている。また、補正電圧の時間幅は、液晶装置における基板(典型的にはTFTアレイ基板及び対向基板)間に挟持されている液晶層を構成する液晶分子の電圧応答時間に比べて短くなるように設定されている。
【0096】
本実施形態に係る液晶装置では、表示部1に組み込まれた液晶層の焼き付きを防止するために、液晶層に印加する駆動電圧、即ち、表示画像に応じた画像信号DATAはフレーム期間毎に極性反転させながら印加されている。図7では、第(M−1)フレーム期間では画像信号DATAは、基準電圧(図7において点線で示したライン)に対して負極性で印加されている。そして、次の第Lフレーム期間では基準電圧に対して正極性に反転されており、更に次の第(M+1)フレーム期間では再び基準電圧に対して負極性に反転されている。
【0097】
一方、画像信号DATAに重畳的に印加されている補正電圧Vは、第(M−1)フレーム期間から第(M+1)フレーム期間に渡って、常に基準電位に対して負極性を有している。また、画像信号DATAが負極性を有している第(M−1)フレーム期間及び第(M+1)フレーム期間において印加されている補正電圧V(以下、第1の補正電圧V1という)は、振幅が同じである。一方、第Lフレーム期間において印加されている補正電圧V(以下、第2の補正電圧V2という)は、第1の補正電圧V1とは異なる振幅を有している。つまり、画像信号DATAの極性によって、重畳的に印加される補正電圧の大きさが異なるように設定されている。また、第1の補正電圧V1及び第2の補正電圧V2は共に、各フレーム期間において画像信号DATAが供給される前に、全データ線に一斉に印加される。即ち、図6及び図7に示すように、第1の補正電圧V1及び第2の補正電圧V2が供給されるタイミングに、コントローラ6によってセレクト信号S1、S2、S3がハイレベルになるように設定されている。
【0098】
本願発明者の研究によると、このように補正電圧Vを画像信号DATAに先行するタイミングで印加することによって、フレーム反転駆動で駆動される電気光学装置の駆動装置において、表示画像のムラを低減できることが実験的に判明している。駆動電圧を印加して背景に中間調で黒のウインドウパターンを表示しようとする場合、本来同じ輝度で表示されるべきA部及びB部は、仮に補正電圧を印加しないと図8に示すように、輝度に差が生じてしまい、表示ムラが発生してしまう。図8は、補正電圧を印加しない場合に表示画像に生じるムラを模式的に示す模式図である。尚、図8では図示を省略しているが、走査線及びデータ線は夫々、X方向及びY方向に沿って延在している。まず、駆動される走査線が(1)で示す点線上にあるとき、(a)の範囲にある画素に接続されたデータ線に対しては、画素を黒表示すべく特定の駆動電圧が印加されるが、(b)の範囲にある画素に接続されたデータ線は白表示すればよいので、当該範囲にあるデータ線に駆動電圧は印加されない、又は印加されたとしても少なくとも(a)の範囲に比べると格段に小さい駆動電圧が印加される。このとき、(2)で示す点線上にある画素は書き込み可能なように駆動されていないが、当該画素に接続されているデータ線には、(1)で示す点線上にある画素と同様に、(a)の範囲において(b)の範囲に比べて大きな駆動電圧が印加されている。即ち、A部におけるデータ線に印加される電圧と、B部のデータ線において印加される電圧とが異なることに起因して、図8に示すように表示ムラが生じてしまう。特に、液晶プロジェクタ等の強力な光が照射される電気光学装置に組み込まれた駆動装置では、例えば画素電極をスイッチング制御するために内部に組み込まれた薄膜トランジスタ30に光が照射されることによって、リーク電流が発生しやすく、上述のように表示ムラが発生しやすい。このように、各画素に印加される駆動電圧に差が生じると、表示画像に表示ムラ、即ち、クロストークが発生し、画質が著しく低下してしまう。
【0099】
本願発明者の研究によると、このような補正電圧Vを画像信号DATAに先行するタイミングで印加することによって、フレーム毎に画像データの極性を反転させながら駆動する液晶装置において、表示画像のムラを低減することができることが実験的に判明している。図9は、第1の補正電圧V1及び第2の補正電圧V2の振幅の変化に対する、表示画像におけるクロストークの大きさを測定した結果を示す表である。図9では、第1の補正電圧V1の振幅をー4Vに固定し、第2の補正電圧V2の振幅を変化させている。その結果、第2の補正電圧V2の極性を正にした場合に比べて、負にした場合の方が発生するクロストークの大きさが小さくなっている。つまり、画素に印加する画像データの極性に関わらず、負極性の補正電圧を印加することにより、クロストークを小さく抑えることができることが実験的に判明している。
【0100】
尚、前述で示した背景技術2においても、補正電圧Vは、極性反転する画像データの書き込み速度を補助することでクロストークを改善し、画質の向上を図っている。しかしながら、背景技術2における補正電圧は、所謂、プリチャージ電圧であり、その極性が反転する画像データの極性に応じて反転するものであることから、本発明における補正電圧Vとは根本的に性質が異なるものと考えられる。
【0101】
以上のように、補正電圧Vを画素信号DATAに先行するタイミングで印加することによって、表示画像の焼き付き及びフリッカの発生を防ぎつつ、表示画像にムラが発生することを防ぎ、表示画像の高品位化を図ることが可能な電気光学装置の駆動装置を実現することができる。
【0102】
尚、以上の実施形態では、複数の走査線を3本ずつ分割したブロック毎に信号切り替え回路を配置して切り替える場合について説明したが、複数の走査線を他の本数(例えば、4本、8本、12本及び16本・・・等)に分割したブロック毎に信号切り替え回路を配置した場合においても、本発明を同様に適用することで拡張可能である。
【0103】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図10は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0104】
図10に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0105】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0106】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0107】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0108】
尚、図10を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0109】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0110】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置用基板及び電気光学装置、並びに該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本実施形態に係る電気光学装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る電気光学装置における信号切り替え部及びドライバICにおける回路ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る電気光学装置の表示部付近の具体的な構成を示す模式図である。
【図4】図3におけるH−H´線断面図である。
【図5】本実施形態に係る電気光学装置の各フレームにおける駆動パターンを示す表である。
【図6】本実施形態に係る電気光学装置における画像表示に関する各種信号の入出力タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】本実施形態に係る電気光学装置の連続する複数フレームにおける駆動電圧及び補正電圧の波形を示すタイミングチャートである。
【図8】補正電圧を印加しない場合に表示画像に生じるムラを模式的に示す模式図である。
【図9】本実施形態に係る電気光学装置における補正電圧の振幅及び極性と、表示画像におけるクロストークの大きさとの関係を示す表である。
【図10】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0112】
1 表示部、 3 信号切り替え部、 4 走査線駆動回路、 5 ドライバIC、 6 コントローラ、 7 データ供給線、 11 シフトレジスタ部、 12 第1のラッチ回路、 13 第2のラッチ回路、 14 セレクタ部、 15 ドライバ部、 16 TFT、 V 補正電圧、 V1 第1の補正電圧、 V2 第2の補正電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応するように配列された複数の画素部を有する電気光学装置の駆動装置であって、
前記複数の走査線を介して走査信号を供給する走査信号供給手段と、
前記複数のデータ線を介して、画像信号に対応し、所定の電位に対する極性がフレーム毎に反転する駆動電圧を前記複数の画素部に印加すると共に、所定の極性を有するパルス状の補正電圧を、少なくとも前記画像信号に先行するタイミングで前記複数のデータ線に印加する電圧印加手段と
を備えることを特徴とする電気光学装置の駆動装置。
【請求項2】
前記電圧印加手段は、前記補正電圧を、前記フレームの各々内における前記画像信号に係る水平期間毎に、前記画像信号に先行するタイミングで、前記複数のデータ線に対して、印加することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項3】
前記電圧印加手段は、前記補正電圧を、前記複数のデータ線に対して一斉に、印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項4】
前記所定の極性は、負極性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項5】
前記補正電圧は、前記駆動電圧が正極性を有するフレームに対して印加される第1の補正電圧と、前記駆動電圧が負極性を有するフレームに対して印加される第2の補正電圧とを含んでなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項6】
前記電圧印加手段は、前記複数のデータ線が分割された複数のブロックの夫々において、1水平期間内に所定の選択順で選択されたデータ線に前記駆動電圧を印加し、
前記所定の選択順を時間軸上で変更する選択順制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項7】
前記選択順制御手段は、少なくともフレーム毎に前記所定の選択順を変更することを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項8】
前記選択順制御手段は、水平期間毎に前記選択順を変更することを特徴とする請求項6又は7に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項9】
画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応するように配列された複数の画素部を有する電気光学装置の駆動方法であって、
前記複数の走査線を介して走査信号を供給する工程と、
前記複数のデータ線を介して、画像信号に対応し、所定の電位に対する極性がフレーム毎に反転する駆動電圧を前記複数の画素部に印加する工程と、
所定の極性を有するパルス状の補正電圧を、少なくとも前記フレーム毎に前記画像信号に先行するタイミングで印加する工程と
を備えることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置と、
一対の基板と、
該一対の基板に挟持された電気光学物質と、
前記複数の走査線及び前記複数のデータ線の交差に対応して配列された画素電極と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
前記一対の基板の一方に前記画素部毎に設けられると共に、前記走査線から供給される前記走査信号に応じてオンすることで、前記データ線から供給される前記画像信号を、前記画素電極に供給するスイッチング素子を更に備え、
前記電圧印加手段は、前記スイッチング素子がオン状態になる直前の期間に、前記補正電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置。
【請求項12】
前記補正電圧は、前記電気光学物質の応答時間に比べて短い時間幅を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の電気光学装置。
【請求項13】
前記一対の基板の一方に前記画素部毎に設けられると共に、前記走査線から供給される前記走査信号に応じてオンすることで、前記データ線から供給される前記画像信号を、前記画素電極に供給するスイッチング素子を更に備え、
前記電圧印加手段は、前記スイッチング素子がオン状態になっている期間に、前記補正電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−127953(P2010−127953A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299152(P2008−299152)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】