説明

電気加熱調理器

【課題】遮熱板を最下部にした誤使用を目視で確認可能にするとともに、同時に感熱棒の挿入を阻止するホットプレートの安全構造を提供すること。
【解決手段】ケース本体と、前記ケース本体内に着脱自在に設けられ、複数の脚を有する遮熱板と、前記遮熱板の上方に着脱自在に設けられるプレートと、前記遮熱板と前記プレートとの間に設けられる加熱手段と、感熱棒を有する温度調節器と、を有する電気加熱調理器であって、前記遮熱板は、遮蔽部材を有し、前記遮蔽部材は、前記感熱棒の進入を阻止する機能と、前記複数の脚のうちの一部の脚を上下動する機能とを有する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気加熱調理器の一例としてホットプレートがある。ホットプレートは、外郭を構成し底部に脚を有するケース本体と、ケース本体の内側に収納され、ヒーターからの熱がケース本体に伝わるのを遮断するためのほぼ皿形状の遮熱板と、その遮熱板の内側に配置されるヒーターと、そのヒーターの上方にセットされる調理物を調理するためのプレートと、温度調節器を着脱自在に支持する受けカバーとを有し、温度調節器を受けカバーに挿着することによりヒーターに通電し、プレート上の肉等の調理物を加熱調理するものである。
【0002】
ところで、従来のホットプレートは、その多くがケース本体と、遮熱板と、プレートが着脱自在にされており、調理後にそれぞれを外して清掃等ができるようになっている。
【0003】
このような3部材が分離可能なホットプレートは、清掃等が容易になる利点を有する反面、例えば、遮熱板をケースにセットしない状態で使用される可能性等が生じ、仮にそのようなことが行われると、加熱調理器を置いたテーブル等が熱により変色或いは変質する等の問題が生じる。
【0004】
そのような弊害を防止する一例として図11に示すものが知られている。このホットプレートは、外郭を構成し底部に脚を有するケース本体1と、ケース本体1の内側に収納され、熱がケース本体1に伝わるのを遮断するためのほぼ皿形状の遮熱板2と、その遮熱板2の上方にセットされ調理物を調理するためのプレート3と、プレート3の底部等に取り付けられるヒータ4を有する。
【0005】
また、本体ケース1の側面には、図示しない温度調節器が挿着される受けカバー5が設けられるとともに、受けカバー5には、温度調節器に設けられる感熱棒8が通るための挿通孔5aが設けられてなる。
【0006】
そして、本体ケース1の底面には、遮蔽部材6が配設される。この遮蔽部材6は、開孔6cを有する板状の遮蔽部6aと、下方が開放し、内部にスプリング7が挿入される筒状部6bとを有している。
【0007】
遮蔽部材6は、ケース本体1のみでは図に示すように、スプリング7により上方に押し上げられ、開孔6cは、感熱棒8が通るための挿通孔5aより上方に位置している。そのため、この状態で感熱棒8を挿入しようとしても遮蔽部6aが感熱棒8を阻止することになる。
【0008】
本体ケース1内に、通常通り破線で示す遮熱板2がセットされると、遮熱板2の底部が筒状部6bの上面に載置されるため、その重みで遮蔽部材6は矢印で示すように下方へ押し下げられる。すると、開孔6cが挿通孔5aと一致する位置になり、感熱棒8は挿入可能となる。このような機構により、ユーザーによるホットプレートの誤使用を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
ところで、遮熱板2は、ケース本体1内に収納する際、ケース本体1の底面との間に空間を形成するように、図にも示すような4本の断熱機能を有する脚2a(実際には1本のみを示す。)が設けられている。そのため、遮熱板2を最下部に置き、その上にケース本体1を置き、その上にプレート3を置くことができることになり、実際にそのような配置で用いられた事例が生じた。
【0010】
勿論、図11のような安全装置を有していれば、その段階で多くのユーザーは誤使用に気付くが、その時点で誤使用に気付かない一部ユーザーは、例えば、遮蔽部材6を指で押し下げて感熱棒8を押し込んだり、或いは無理矢理感熱棒8を押し込んだりして使用された。
【0011】
そして、このような誤使用で調理が行われると、全体が不安定になり、例えば、故障、火傷等の恐れが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−83831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明は、遮熱板を最下部にした誤使用を目視で確認可能にするとともに、同時に感熱棒の挿入を阻止するホットプレートの安全構造を提供することを目的にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0015】
請求項1に係る発明では、ケース本体と、前記ケース本体内に着脱自在に設けられ、複数の脚を有する遮熱板と、前記遮熱板の上方に着脱自在に設けられるプレートと、前記遮熱板と前記プレートとの間に設けられる加熱手段と、感熱棒を有する温度調節器と、を有する電気加熱調理器であって、前記遮熱板は、遮蔽部材を有し、前記遮蔽部材は、前記感熱棒の進入を阻止する機能と、前記複数の脚のうちの一部の脚を上下動する機能とを有する構成。
【0016】
請求項2に係る発明では、請求項1の構成に加え、前記遮蔽部材は、前記遮熱板単体では上動し、前記感熱棒の進入を阻止するとともに、前記一部の脚を他の脚より上方に引き上げ、前記遮熱板の上方に前記プレートが設けられると下動し、前記感熱棒の進入を許容するとともに、前記一部の脚を他の脚と同じ位置に下動する構成。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、遮熱板に、感熱棒の進入を阻止する機能と複数の脚のうちの一部の脚を上下動する機能とを有する遮蔽部材を設けることにより、遮熱板を最下部に置いた場合、遮熱板は傾いてグラグラする状態になるため、ユーザーは目視により誤使用をすぐに認識することができる。また、同時に遮蔽部材が感熱棒の進入を阻止するため、ユーザーに対し、誤使用に対する注意喚起をより強く印象づけることができるようになり、その結果、ホットプレートの信頼性をより高めることができる。
【0018】
請求項2に係る発明では、遮蔽部材を、遮熱板単体では上動して感熱棒の進入を阻止するとともに、一部の脚を他の脚より上方に引き上げ、遮熱板の上方にプレートが設けられると下動して感熱棒の進入を許容するとともに、一部の脚を他の脚と同じ位置に下動することにより、ユーザーに対し、誤使用に対する注意喚起をより強く印象づけることができる。また、本体ケースと遮熱板とプレートが適正にセットされた場合、遮熱板は全ての断熱機能を有する脚で本体ケース内にセットされることになり、その結果、ホットプレートによる適正な調理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明のホットプレートの全体斜視図
【図2】本願発明のヒーターのみを取り付けた遮熱板を上方から見た斜視図
【図3】本願発明の遮熱板に受けカバー及び取付板を取り付けた状態を下から見た斜視図
【図4】本願発明の遮熱板に受けカバー及び取付板を取り付ける状態を示す斜視図
【図5】本願発明の取付板をほぼ正面から見た斜視図
【図6】本願発明の遮熱板の上方にプレートをセットしない状態の概略断面図
【図7】本願発明の遮熱板の上方にプレートをセットした状態の概略断面図
【図8】本願発明のプレートの一部底面図
【図9】本願発明の他の遮熱板の一部斜視図
【図10】本願発明の更に他の遮熱板の一部斜視図
【図11】従来のホットプレートの一部断面図
【実施例】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の実施の形態について詳述する。
【0021】
図1に本願発明のホットプレートの全体斜視図を示し、図2にヒーター及び遮蔽部材を取り付けた遮熱板を上方から見た斜視図を示し、図3に遮熱板に受けカバー及び取付板を取り付けた状態、更には遮蔽部材の最下部の状態を下から見た斜視図を示し、図4に遮熱板に受けカバー及び取付板を取り付ける状態を示す斜視図を示し、図5に遮熱板に取付板を取り付けた状態を示す断面図を示し、図6、7に感熱棒と遮蔽部材との位置関係の断面図を示す。
【0022】
図1に示すように電気加熱調理器の一例であるホットプレートHは、外郭を構成するケース本体10と、遮熱板20と、その遮熱板20の上方に載置されるプレート30と、遮熱板20の内側に配置される加熱手段としてのヒーター32と、該ヒーター32への通電を制御するための温度調節器35と、ヒーター32に取り付けられる受けカバー40と、この受けカバー40を遮熱板20に取り付ける取付板50等を有する。
【0023】
ケース本体10は、樹脂成形品であり、ホットプレートHの外郭を構成し、平面視略矩形状でその全体はほぼ皿状からなり、その底部には複数、例えば4本の脚11を各角部近傍に有する。
【0024】
またこのケース本体10の短辺側である左右の両側壁面には、プレート30の取手30aを掴みやすくするための凹嵌部12、12が設けられ、図示しないがその底面には空気の流通を促進等させるための大きな開口を有する。
【0025】
更にその角部側面には、後記の受けカバー40が嵌合されるための切欠孔14が設けられる。この切欠孔14の形状は、受けカバー40の外形より若干大きい矩形状であり、ケース本体10に遮熱板20が挿着される際、まず受けカバー40を切欠孔14に内側から挿入した後に遮熱板20全体が挿着される。装着後は、図1に示すように受けカバー40の略半分が切欠孔14から外方に突出する。
【0026】
前記遮熱板20は、金属性の薄板をプレス加工により一体形成するものであり、平面視略矩形状でその全体はほぼ皿状からなり、その底部の各角部近傍にに取り付けられる複数、例えば断熱機能を有する3個の固定脚21と、同じく断熱機能を有する1個の可動脚62を介してケース本体10内の所定箇所に載置される。
【0027】
また、その底部内面には、複数個のヒーター取付片22がビス22aによって取り付けられており、図2に示すようにその先端に形成されるU字溝内にヒーター32を狭持することにより該ヒーター32を一体的に支持する。
【0028】
遮熱板20の一角部27側面には、その中央に温度調節器35の感熱棒36が挿入される中央穴23が設けられ、その中央穴23の両側には、中央穴23とほぼ同径で且つヒーター端子32aが挿入される側部穴24、24が穿設される。更に側部穴24、24の両側には、後記取付板50の係止片55が係合する略ト字状の係止溝25が設けられる。該2個の係止溝25、25は同じ方向を向いた同じ形状の穴で、図2に示すように縦溝25aと該縦溝25aの略中央から水平に伸びる横溝25bとからなる。
【0029】
遮熱板20の前記一角部27側面近傍の底面には、取付板50を取り付けるための2個のビス穴26、26が設けられる。また、2個のビス穴26、26の間には、後記遮蔽部材60が上下動する2本の平行溝28、28が設けられ、更に2本の平行溝28、28間の中央には、後記可動脚62の支柱部62bが挿通する円形の支柱用開孔29が設けられる。なお、図2の丸で囲った部分の係止溝25の拡大図を、矢印で示すようにその右側に示す。
【0030】
前記プレート30は、厚いアルミダイカスト製の部材であり、ケース本体10と同様の平面視略矩形状でその全体はほぼ皿状からなり、その短辺側の両側面には取手30a、30aが設けられる。そして、該プレート30をケース本体10に載置した際には、取手30a、30aは、ケース本体10の凹嵌部12、12上に載置し、且つその底部は遮熱板20内に固定されるヒーター32の上方に位置し、プレート30でヒーター32による加熱調理が行われる。
【0031】
また、プレート30の底部には、後記遮蔽部材60を押圧するとともに、温度調節器35の感熱棒36を案内するリブ30bが設けられる。その状態を図8に示す。図8(A)は、この実施例のリブ30bを示し、図8(B)は、この実施例の変形例のリブ75、76、77を示す。
【0032】
図8(A)のリブ30bは、遮熱板20の角部27の位置に対向する位置に角部30cから中央に向かって設けられており、その全体は、2本のリブ30b、30bからなり、角部30cに近い箇所はラッパ状或いはテーパー状に開き、中央側は平行にされている。
【0033】
そして、図8(A)で破線で示すように感熱棒36が挿入される。この場合、角部30cに近い箇所はラッパ状或いはテーパー状に開いているため、感熱棒36はリブ30b、30b内に容易に進入する。また、このリブ30b、30bの下端面で図7で破線で示すように後記遮蔽部材60を下方へ押圧することになる。
【0034】
前記ヒーター32は、平面視略ハート状或いはY字状からなるシーズヒーターであり、金属パイプの中にコイル状の電熱線を通し、パイプと電熱線間の接触を防ぐためマグネシアなどの耐熱性の無機質絶縁粉末を詰め、金属パイプの両端を密封した構造からなるもので通常インコロイヒーターとも呼ばれるものである。シーズヒーターはこのような構造を有するため金属パイプは絶縁されておりたとえ金属パイプに触れたとしても感電することはない。
【0035】
そしてヒーター32の両端部であるヒーター端子32a、32aは、温度調節器35の感熱棒36の両側に穿設される端子穴35a、35a(図1参照)に挿入されることにより通電される。なお、ヒーター32は、特にシーズヒーターである必要はなく他のヒーターを用いてもよい。
【0036】
前記温度調節器35は、ヒーター32への通電量を制御する機能を有する器具であり、その一側面には電線37が接続され、また他の側面には、遮熱板20の中央穴23に挿入される感熱棒36を有する。
【0037】
また、感熱棒36の両側には、ヒーター端子32a、32aが挿入される端子穴35a、35aが設けられ、その上面には温度調節用つまみ38が設けられており、該温度調節用つまみ38を回動することにより好みの温度を選択することができる。
【0038】
なお、ホットプレートHがセットされ、温度調節器35が受けカバー40に挿入されると感熱棒36は、遮熱板20の中央穴23より進入し、遮熱板20の上方にプレート30がセットされている状態の場合、プレート30の底部に設けられるリブ30bに案内されて遮熱板20内のヒーター32近傍にまで入り込み、プレート30の温度を検知する。
【0039】
前記受けカバー40は、中空状で樹脂製の箱状部材であり、図4に示すように、その正面側には開口部41が形成され、開口部41と反対側の背面は閉鎖面42とされ、その閉鎖面42には略同径のカバー中央孔43とその両側部のカバー側部孔44、44が設けられる。また、閉鎖面42は両側外方に張り出してなる鍔部45、45を有し、その鍔部45、45には、それぞれビス46が螺合されるビス孔が設けられる。そして、閉鎖面42の裏側には、取付板50が取り付けられる。
【0040】
前記取付板50は、受けカバー40を遮熱板20に取り付けるためのステンレス製の部材であり、平板をプレス成形で作製される。図5に示すように取付板50は、水平部51、垂直部52及び側壁部53を有する。水平部51は、その上面が遮熱板20の底面に当接され、且つビス止めされる水平で略コ字状の部分で、その中央には遮熱板20の可動脚62及び2本の平行溝28、28を避けるための切欠開口51aが設けられ、更にその先端近傍にはビス孔51bが設けられる。
【0041】
垂直部52は、その背面が受けカバー40の閉鎖面42に当接され、且つビス止めされる垂直で方形の部分で、その中央には板中央孔52aが設けられ、該板中央孔52aの両側には、板中央孔52aと同径の板側部孔52b、52bが穿設され、更に、板側部孔52b、52bの板中央孔52aとは反対側には、ビス孔52c、52cが穿設される。
【0042】
側壁部53は、垂直部52の両端部より水平部51方向に直角に折り曲げられた部分であり、矩形状部54を有する。そして、係止片55が矩形状部54より外方に張り出す形態で延設される。
【0043】
受けカバー40と取付板50との取り付けは次のように行われる。受けカバー40の閉鎖面42の背面に取付板50の垂直部52の背面を当接し、受けカバー40のカバー中央孔43、カバー側部孔44、44及び鍔部45のビス孔を、取付板50の板中央孔52a、板側部孔52b、52b及びビス孔52c、52cに一致させ、図4に示すようにビス46、46を取付板50のビス孔52c、52cに螺合して受けカバー40と取付板50とを一体に固定し、受けカバー取付板ユニットYを形成する。
【0044】
次いで、受けカバー取付板ユニットYを遮熱板20に取り付ける。その取り付けは次のように行われる。即ち、図4に示すように、遮熱板20の角部27に設けられる2つの係止溝25、25の縦溝25a、25aに、取付板50の2つの係止片55、55が対向するように受けカバー取付板ユニットYを位置させ、矢印(1)の方向に受けカバー取付板ユニットYを押し込む。
【0045】
次いで、矢印(2)の方向に受けカバー取付板ユニットYを水平にスライドさせる。その結果、係止片55は、遮熱板20の横溝25bに挿入され支持される。その状態になると、遮熱板20の底面の2つのビス穴26、26と取付板50の水平部51の2つのビス孔51b、51bとが一致するため、ビスを遮熱板20内から螺合することにより両部材を固定する。
【0046】
受けカバー取付板ユニットYを遮熱板20に固定すると、遮熱板20の中央穴23と 取付板50の板中央孔52aと受けカバー40のカバー中央孔43とが一致し、遮熱板20の側部穴24、24と取付板50の板側部孔52b、52bと受けカバー40のカバー側部孔44、44とが一致する。
【0047】
そして、遮熱板20の側部穴24、24から外方に突出しているヒーター端子32a、32aは、受けカバー40のカバー側部孔44、44から図1及び図4に示すように受けカバー40の開口部41内に突出する。その結果、カバー中央孔43、板中央孔52a及び遮熱板20の中央穴23より温度調節器35の感熱棒36を遮熱板20内に挿入することができるようになる。
【0048】
遮熱板20の前記一角部27近傍の底面に設けられる取付板50を取り付けるための2個のビス穴26、26間には、2本の平行溝28、28が感熱棒36が差し込まれる方向に直交する形態で設けられるとともに、この2本の平行溝28、28内に嵌入する形態で遮蔽部材60が設けられる。
【0049】
この遮蔽部材60は、対向する2個の平板状の側壁部60a、60aと、2個の側壁部60a、60aの上端部を連結する水平の平板状の頂壁部60bとを有する側面視コ字状の金属製の平板状部材である。そして、頂壁部60bの中央には、図2に示すように可動脚62を固定するビス63aが通るためのビス穴60b1(図2参照)が形成され、そのビス穴60b1の上部には、ビス63aを支持するためのビス用ワッシャ63が取り付けられる。
【0050】
2個の側壁部60a、60a間の長さは、2本の平行溝28、28間の長さと同じにされ、2個の側壁部60a、60aの左右方向の幅は、2本の平行溝28、28のそれぞれの長辺より短くされ、2個の側壁部60a、60aの上下方向の高さは、遮蔽部材60が最も上方に位置する状態で側壁部60aの側面で感熱棒36の進入を阻止するとともに、側壁部60aの下端部が2本の平行溝28、28から抜け出ない高さとされており、2個の側壁部60a、60aのそれぞれの下端部を、遮熱板20の2本の平行溝28、28のそれぞれに嵌入する形態で配置される。
【0051】
そして、遮蔽部材60内には、スプリング61と断熱機能を有する可動脚62が設けられる。可動脚62は、脚部62aと支柱部62bを有し、支柱部62bの先端には、ビス63aが螺合する図示しないビスネジ孔が形成されている。また、遮熱板20の角部27近傍の底部に設けられる支柱用開孔29がある遮熱板20の内底面には、スプリング受けとなるリング状ワッシャ64が取り付けられる。
【0052】
遮蔽部材60の取り付けは、次のように行われる。可動脚62の支柱部62bを遮熱板20の下方より支柱用開孔29内に嵌入し、嵌入した支柱部62bに上方からスプリング61を嵌め込む。
【0053】
次いで、スプリング61の上方より遮蔽部材60を被せ、被せた遮蔽部材60を上方からスプリング61の力に抗して押圧し、遮蔽部材60の側壁部60a、60aのそれぞれの下端部を、遮熱板20の2本の平行溝28、28のそれぞれに嵌入するとともに、支柱部62b先端の図示しないビスネジ孔と遮蔽部材60の頂壁部60b中央のビス穴60b1とを一致させる。
【0054】
そして、ビス用ワッシャ63の上方から頭部が平らな平ビス63aを螺合して、遮蔽部材60に可動脚62を固定する。その結果、スプリング61は、その上方を遮蔽部材60の頂壁部60bの内面に当接し、その下方をリング状ワッシャ64の上面に当接する形態で取付けらることになり、頂壁部60bの上方から力が加えられないと遮蔽部材60を上方へ押上げ、遮蔽部材60を図6に示すような状態にする。
【0055】
遮蔽部材60が図6に示すような状態を占めると、遮蔽部材60の頂壁部60bは、温度調節器35の感熱棒36の進入を阻止する。そのため、ユーザーが遮熱板20を最下部に置いて使用する場合、遮蔽部材60は、感熱棒36の進入を阻止してユーザーに誤使用である旨の注意喚起をする。
【0056】
また、遮蔽部材60が図6に示すような状態を占めると、遮熱板20の4本の脚のうちの1本が引っ込んだ状態になり、ユーザーが遮熱板20を最下部に置いて使用する場合、遮熱板20がグラグラしたり、或いは可動脚62の箇所が下方に下がった傾斜状態になる。そのため、ユーザーは、視認により誤使用であることを認識することができる。即ち、ユーザーに対してより強い注意喚起をすることができる。
【0057】
この場合、可動脚62は、重さのある受けカバー40及び取付板50の近傍に設けられるため、可動脚62が引っ込んだ状態の遮熱板20を床に置いた場合、遮熱板20は、より確実に傾斜状態になるため、ユーザーは正規の状態でないことを一目で視認することができる。
【0058】
また、遮熱板20が傾いた状態で、感熱棒36を差し込もうとしても、遮蔽部材60によりより確実に阻止される。仮にユーザーが強い力で感熱棒36を差し込もうとしても、受けカバー40が床面近くにあるため、感熱棒36の差し込み方向は上方から下方に向く方向になるため、遮蔽部材60の上面を乗り越えて感熱棒36を差し込むことはできなくなり、ユーザーは誤使用であることをより確認しやすくなる。このように、遮蔽部材60は、感熱棒36の進入を阻止する機能と、複数、例えば4本の脚のうちの一部の脚、例えば1本または2本の脚を上下動する機能とを有する。
【0059】
そして、ケース本体10に遮熱板20が収納され、遮熱板20の上方にプレート30が載置されると、図8(A)に示すようにプレート30の下面に設けられるリブ30b、30bの下端部が遮蔽部材60の上面を押圧する。
【0060】
遮蔽部材60が押圧されると、遮蔽部材60は下動し、可動脚62を他の3個の固定脚21の位置まで押し下げる。このように正規の状態でホットプレートHの各部材がセットされると、遮熱板20はケース本体10内で適正な状態でセットされることになる。
【0061】
なお、遮熱板20がケース本体10内にセットされた状態では、可動脚62は引っ込んだ状態であるが、遮熱板20に取り付けられる受けカバー40の底面が、ケース本体10の切欠孔14の下側の長辺の上端に載置されるため、ほぼ水平な状態が保たれる。そして、上記したように、遮熱板20の上方にプレート30が載置されると、可動脚62は他の3個の固定脚21の位置まで押し下げられ、遮熱板20は水平になり、受けカバー40の底面と切欠孔14の下側の長辺の上端との間に隙間ができるため、調理時に、遮熱板20の熱が直接受けカバー40に伝わる弊害は防止される。
【0062】
図9に変形例を示す。図9のものは、遮熱板20に取り付ける受けカバー40を、遮熱板20の短辺の中央に設けるものである。受けカバー40を、遮熱板20の短辺の中央に設けると、受けカバー40の近傍に遮熱板20の脚が存在しなくなるため、上述した図1等の遮蔽部材60を用いることができなくなる。
【0063】
図9のものは、受けカバー40の近傍と、一角部27の近傍の遮熱板20に、上述した遮蔽部材60と平行溝28からなる遮蔽機構とほぼ同様な形状の遮蔽部材70、71を配置し、2つの遮蔽部材70、71の頂壁部を平板状の連結部材73で連結したものである。なお、それ以外は図1等のものと同様であり、説明は省略する。
【0064】
即ち、受けカバー40近傍の遮熱板20に遮蔽部材60とほぼ同様な形状の遮蔽部材70を設け、角部27近傍の遮熱板20に遮蔽部材60と同様な形状の遮蔽部材71を設ける。そして、それぞれの遮蔽部材70、71の下端部が対向する遮熱板20の箇所に、それぞれ上述した平行溝28を設けてなる。
【0065】
そして、遮蔽部材70と遮蔽部材71との頂壁部は、連結部材73によって連結されており、遮蔽部材70と遮蔽部材71と連結部材73とは一体になって上下動する。この場合、遮蔽部材71は、遮蔽部材60と全く同じ構造、即ち、内部にスプリング61及び可動脚62を有するが、遮蔽部材70は、可動脚62はなくスプリング61のみが設けられている。
【0066】
この変形例の場合のプレート30の底部を図8(B)に示す。即ち、プレート30の底部には、P位置のリブ75と、Q位置のリブ76、76とが設けられることになり、遮蔽部材70と遮蔽部材71とは、リブ75と、リブ76、76とにより同時に押し下げられるため、遮蔽部材70と遮蔽部材71とが傾斜してスムーズに下動しなくなる弊害が防止される。
【0067】
図10に更なる変形例を示す。図10のものは、図9と同様に遮熱板20に取り付ける受けカバー40を、遮熱板20の短辺の中央に設けるものである。図9との相違は、短辺上にある2本の脚を可動脚にしたものである。
【0068】
図10のものは、受けカバー40の近傍と、短辺状の両角部27、27の近傍の遮熱板20に、上述した遮蔽部材60と平行溝28からなる遮蔽機構とほぼ同様な形状の遮蔽部材70、71、72を配置し、3つの遮蔽部材70、71、72の頂壁部を平板状の連結部材73で連結したものである。なお、それ以外は図1等のものと同様であり、説明は省略する。
【0069】
即ち、受けカバー40近傍の遮熱板20に遮蔽部材60とほぼ同様な形状の遮蔽部材70を設け、両角部27、27近傍の遮熱板20に遮蔽部材60と同様な形状の遮蔽部材71、72を設ける。そして、それぞれの遮蔽部材70、71、72の下端部が対向する遮熱板20の箇所に、それぞれ上述した平行溝28を設けてなる。
【0070】
そして、遮蔽部材70と遮蔽部材71と遮蔽部材72との頂壁部は、連結部材73によって連結されており、遮蔽部材70と遮蔽部材71と遮蔽部材72と連結部材73とは一体になって上下動する。この場合、遮蔽部材71と遮蔽部材72とは、遮蔽部材60と全く同じ構造、即ち、内部にスプリング61及び可動脚62を有するが、遮蔽部材70は、可動脚62はなくスプリング61のみが設けられている。
【0071】
この更なる変形例の場合のプレート30の底部を図8(B)に示す。即ち、プレート30の底部には、P位置のリブ75と、Q位置のリブ76、76とR位置のリブ77が設けられることになり、遮蔽部材70と遮蔽部材71と遮蔽部材72とは、リブ75と、リブ76、76と、リブ77により同時に押し下げられるため、遮蔽部材70と遮蔽部材71と遮蔽部材72とが傾斜してスムーズに下動しなくなる弊害が防止される。なお、この例の場合、2本の脚が可動脚であるため、受けカバー40が設けられる遮熱板20の短辺側が確実に傾斜することになり、ユーザーに対してより強い注意喚起を与えることができる。
【0072】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。なお、ホットプレートをテーブルの上に置きその周りに人が座る場合、ホットプレートの4辺に対向する位置に座る場合が多く、受けカバー取付板ユニットYを遮熱板20の角部27に設けることにより、人に対して邪魔になることがない。
【符号の説明】
【0073】
H…ホットプレート Y…カバー取付板ユニット
10…ケース本体 11…脚
12…凹嵌部 14…切欠孔
20…遮熱板 21…固定脚
22…ヒーター取付片 22a…ビス
23…中央穴 24…側部穴
25…係止溝 25a…縦溝
25b…横溝 26…ビス穴
27…角部 28…平行溝
29…支柱用開口 30…プレート
30a…取手 30b…リブ
30c…角部 32…ヒータ
32a…ヒーター端子 35…温度調節器
35a…端子穴 36…感熱棒
37…電線 38…温度調節器用つまみ
40…受けカバー 41…開口部
42…閉鎖面 43…カバー中央孔
44…カバー側部孔 45…鍔部
46…ビス 50…取付板
51…水平部 51a…切欠開口
51b…ビス孔 52…垂直部
52a…板中央孔 52b…板側部孔
52c…ビス孔 53…側壁部
54…矩形状部 55…係止片
60…遮蔽部材 60a…側壁部
60b…頂壁部 60b1…ビス穴
61…スプリング 62…可動脚
62a…脚部 62b…支柱部
63…ビス用ワッシャ 63a…平ビス
64…リング状ワッシャ 70、71、72…遮蔽部材
73…連結部材 75、76、77…リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、前記ケース本体内に着脱自在に設けられ、複数の脚を有する遮熱板と、前記遮熱板の上方に着脱自在に設けられるプレートと、前記遮熱板と前記プレートとの間に設けられる加熱手段と、感熱棒を有する温度調節器と、を有する電気加熱調理器であって、
前記遮熱板は、遮蔽部材を有し、
前記遮蔽部材は、前記感熱棒の進入を阻止する機能と、前記複数の脚のうちの一部の脚を上下動する機能とを有することを特徴とする電気加熱調理器。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記遮熱板単体では上動し、前記感熱棒の進入を阻止するとともに、前記一部の脚を他の脚より上方に引き上げ、前記遮熱板の上方に前記プレートが設けられると下動し、前記感熱棒の進入を許容するとともに、前記一部の脚を他の脚と同じ位置に下動することを特徴とする請求項1記載の電気加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−217672(P2012−217672A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87078(P2011−87078)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】