電気化学的バイオセンサー
【課題】血液のヘマトクリット値差による依存性向を試料の流動性情報により大幅に減少させ、非正常的に流動性が低いかまたは高い血液試料を区分することにより使用者が間違った情報を得る可能性を大幅に減らす一方、センサーの使用可能年限に近づくことによる血液注入速度の変化を感知してストリップ製造の品質管理の便利性を提供し、血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入してヒトから採血された少量の試料から数秒以内に血糖の測定結果を正確に速く応答できる利点を有する電気化学的バイオセンサーを利用した血糖測定方法の提供。
【解決手段】一枚の平面絶縁板上の作動電極、注入試料の流動性を感知する流動感知電極、補助電極、微細流路が形成された試料導入部、及び電子伝達媒介体と酸化酵素を含んだ反応試薬層等からなる対面形の薄層電気化学セル(ストリップセンサー)を具備した電気化学的バイオセンサー、及びセンサーを利用した血糖測定方法。
【解決手段】一枚の平面絶縁板上の作動電極、注入試料の流動性を感知する流動感知電極、補助電極、微細流路が形成された試料導入部、及び電子伝達媒介体と酸化酵素を含んだ反応試薬層等からなる対面形の薄層電気化学セル(ストリップセンサー)を具備した電気化学的バイオセンサー、及びセンサーを利用した血糖測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的バイオセンサーを利用して血糖を測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、糖尿病の診断および予防のために、血液内のブドウ糖(血糖: blood glucose)の量を周期的に測定する必要性が増大している。このような血糖値測定は、手に持つことができる携帯用計測器を利用して手軽に測定でき、例えば各自がストリップ形状のバイオセンサーを使用して手軽に測定できる。このような血糖値測定のためのバイオセンサーの動作原理は、比色分析方法または電気化学的方法に基づいている。
【0003】
この中で、電気化学的方法は下記のスキーム1により説明され、最も大きな特徴は電子伝達媒介体を使用することである。前記電子伝達媒介体としては、フェロセン(ferrocene)、フェロセン誘導体、キノン(quinones)、キノン誘導体、遷移金属含有有機物及び無機物(ヘキサアミンルテニウム、オスミウム含有高分子、フェリシアン化カリウム)及び有機伝導性塩(organic conducting salt)、ビオロゲン(viologen)のような電子伝達有機物等を使用する。
【0004】
(スキーム1)
(1) ブドウ糖 + GOx-FAD →グルコン酸 + GOx-FADH2
(2) GOx-FADH2 + 電子伝達媒介体(酸化状態) →GOx-FAD + 電子伝達媒介体(還元状態)
【0005】
(式中、GOxはグルコ−スオキシダーゼ(Glucose oxidase)を示し、GOX-FAD及びGOX-FADH2は各々グルコ−スオキシダーゼの活性部位であるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の酸化状態及び還元状態を示す)
【0006】
前記スキーム1で示したように、(1)まず、血液内のブドウ糖は、グルコ−スオキシダーゼの触媒作用によりグルコン酸に酸化される。この時、グルコ−スオキシダーゼの活性部位であるFADが還元されFADH2になる。(2)その後、還元されたFADH2は、電子伝達媒介体との酸化還元反応を通じてFADH2はFADに酸化され、電子伝達媒介体は還元される。このように形成された還元状態の電子伝達媒介体は、電極表面まで到達する。ここで、作動電極表面で還元状態の電子伝達媒介体の酸化電位を印加して生成される電流を測定して血糖の濃度(血糖値)を測定する。
【0007】
前記のような電気化学的方法を動作原理とするバイオセンサーを電気化学的バイオセンサーという。このような電気化学的バイオセンサーは、従来の比色分析方法によるバイオセンサーとは異なり酸素による影響を減らすことができ、試料が混濁した場合であっても試料を別途の前処理なしに使用できる長所を有する。
【0008】
このような電気化学的バイオセンサーは、血糖値の監視および制御に一般的に便利に使用されるが、センサーの正確性は血液試料に存在する酸化されやすいアスコルビン酸(ascorbic acid)、アセトアミノフェン(acetaminophene)及び尿酸(uric acid)等、多様な妨害種により大きく影響を受ける。
【0009】
その他の深刻な誤差は、ヘマトクリット値(血液内の赤血球容積率の比の量)により誘発される。使い捨てバイオストリップセンサーを使用してそれらの血糖水準を規則的に測定する使用者等において、ヘマトクリット値に大きく影響を受けるバイオセンサーは、その測定結果において誤った判断をもたらすことになり、甚だしい場合は使用者の生命に対する危険を招来し得る。
【0010】
従来、バイオセンサーでこのようなヘマトクリット値から影響を低減させる方法としては、追加的に赤血球を分離したり;試薬層上に赤血球を除去する層を塗布する方法(特許文献1〜3);シリカフィラー(silica filler)を含んでスクリーン印刷が可能な試薬と血球分離一体形機能を有する感応膜を使用する方法(特許文献4)、及び適用電位を二回印加して(the double excitation potentials)得た結果をケモメトリックス(chemometric method)により処理校正する方法(特許文献5)等いくつかの方法が提案されてきた。
【0011】
しかし、前記方法は、その製造過程で追加の工程が必要であったり、あるいはその試薬階層を印刷する際に、試薬に大きな損失をもたらし得るため、作動電極上に試薬混合物を簡単に塗布することが困難であった。
【0012】
また、バイオセンサーを使用する際に、少量の試料で正確に速い応答時間を得ることが使用者の便利を極大化するにおいて非常に重要な問題である。特に、1μl以下の少量の試料、好ましくは0.5μl以下の試料、さらに好ましくは0.3μl以下の試料を使用すると、腕のような代替部位から血液を採取して測定が可能であるため、患者が血糖値を測定する際に伴う苦痛を最小化できる。
【0013】
測定結果に対する応答を得る時間は、10秒以内が好ましく、可能なら5秒以内が好ましく、さらに減らせるのなら3秒程度の時間が最も好ましい。現在まで報告された技術ではこのような目的を達成すことが、ほとんど不可能だった。
【特許文献1】特開平11−034461号公報
【特許文献2】特開2000−338076号公報
【特許文献3】米国特許第5658444号公報
【特許文献4】米国特許第6241862号公報
【特許文献5】国際公開第01/57510号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記の問題点を克服するためのものであり、血液のヘマトクリット値の差による依存性向を試料の流動性情報によって大幅に減少させることができ、非正常的に流動性が低いかまたは高い血液試料を区分することにより、使用者が間違った情報を得る可能性を大幅に減らす一方、バイオストリップセンサーの使用可能年限に近づくことによる血液注入速度の変化を感知してストリップ製造の品質管理の便利性を提供するところにその目的があり、また、血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入して、ヒトから採血された少量の試料から数秒以内に血糖の測定結果を正確に速く応答するバイオセンサーを利用した血糖値測定方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するために本発明は、一枚の平面絶縁板にコーティングされた作動電極104と該作動電極104と同じ平面または異なる一枚の平面絶縁板で一定間隔離隔している注入試料の流動性を感知する流動感知電極107と前記作動電極104と対向する異なる一枚の平面絶縁板上にコーティングされた補助電極105(基準電極)と微細流路が形成された試料導入部100を具備し、前記作動電極104と前記補助電極105を一定間隔隔離させて圧着させる粘着性隔離板と;導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極105と差等的(電位差式)に連結される部位が形成され前記作動電極104と補助電極105を連結させる電極連結部106、及び電子伝達媒介体と酸化酵素を含んだ反応試薬層からなる対面形の薄層電気化学セル(ストリップセンサー)を具備した電気化学的バイオセンサーを使用して、(1)ストリップセンサー509が挿入された測定器500に採取した血液試料を投入する工程(2)作動電極104と補助電極105間及び流動感知電極107と補助電極105間に一定の電位差を与える工程(3)前記試料の流入が作動電極104と補助電極105間に1次電気的変化を誘発して前記電極間の電圧を同じに調整する工程(4)流動感知電極107が前記試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして前記補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整することにより作動電極104で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供する工程(5)血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間に所定の電圧が印加され、対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値をよむ工程、及び、(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を測定する工程からなることを特徴とする、電気化学的バイオセンサーを利用して血糖を測定する方法を提供する。
【0016】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、工程1の血液試料は0.1 〜0.7μlの少量試料が前処理過程なしにストリップセンサー509に導入されることを特徴とする。
【0017】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、工程1の電位差は作動電極と補助電極、流動感知電極と補助電極間に直流、低周波または高周波交流、高インピーダンスまたは多様な形態のパルスの印加により誘発されることを特徴とする。
【0018】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記の電気的変化は電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの変化によるものであることを特徴とする。
【0019】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、工程3の電極間の電圧を同じに調整することにより、前記試料と反応試薬層間の酸化還元反応を数秒間抑制することを特徴とする。
【0020】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記バイオセンサーの試料導入部100には、幅 0.5〜2mm高さ50〜250μmを有する流路が形成され、試料の導入を容易にしたことを特徴とする。
【0021】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記バイオセンサー内 酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層は、作動電極104及び補助電極105中いずれか一方の電極にだけ形成して反応が速く起きるようにしたことを特徴とする。
【0022】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記バイオセンサー内の感応膜組成物は、作動電極104及び流動感知電極107のいずれか一方の電極または前記両方の電極に形成され、前記電極間の間隔は正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節され反応が速く起きるように配列することを特徴とする。
【0023】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、反応試薬層内の電子伝達媒介体は、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)であることにより電子伝達を容易にした。前記反応試薬層は、酵素及び電子伝達媒介体の他に脂肪酸及び4級アンモニウム塩を付加的に包んでヘマトクリット値差による依存性向を大幅に減少させたことを特徴とする。
【0024】
本発明の測定方法によると、血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入してヒトから採血された少量の試料から数秒、好ましくは5秒以内に血糖の測定結果を正確に速く応答できる利点を得られる。
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
血糖を測定するためのバイオセンサーは次のような構成を有する。
【0026】
本発明による血糖を測定するために使用されるバイオセンサーは、電極構成において二枚の平面絶縁板に作動電極104と補助電極105がそれぞれ別に形成されていて、作動電極104がある板には補助電極105と連結が可能な連結導線が形成されていて、その連結導線の一部には導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極105と3次元的に連結される部位が形成されていて、二枚の平面絶縁板に形成されている作動電極104と補助電極105は50〜250μm厚さの圧力粘着性隔離板で対称または非対称的にお互いに向い合う位置で隔離され、薄層電気化学セル(thin layer electrochemical cell)を構成する。(対面形電極参考文献E. K. Bauman等, Analytical Chemistry, 1965年,第37巻, 1378頁;K. B. Oldham in "Microelectrodes: Theory and Applications," Kluwer Academic Publishers, 1991年)。
【0027】
薄層隔離板は、作動電極104と補助電極105で形成された測定空間に生体試料を注入して保有できる全体体積がマイクロリッター単位の微細流路が形成されいる。電極形成において薄層隔離板内流動感知電極107は作動電極104(または補助電極105)と適切な距離に離れていて、好ましくは血球の量が40%でありフッ素処理された血液が、幅0.5〜2mm以内で高さ50〜250μmの前記の微細流路にしたがって約600ms以内に到達できる距離に位置し、さらに好ましくはフッ素処理されていない試料に対して300ms以内に、さらに200ms以内に到達できる距離に位置することが好ましい。
【0028】
一枚の基板上に形成された作動電極104(または補助電極105)及び流動感知電極107は、基準電極兼補助電極105(または作動電極104)とお互いに向かい合った形態(対面形)に構成されている。
【0029】
感応膜組成物は、作動電極104または補助電極105どちらか一方だけを覆っているように構成されているが、好ましくは感応膜組成物は作動電極104または作動電極104と流動感知電極107に覆っている構造を有することを特徴とするバイオセンサーである。
【0030】
そして、一枚の基板上に作動電極104または作動電極104及び流動感知電極にだけコーティングされた感応膜組成物と導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極と3次元的に連結される部位が形成される電極連結部106が形成された下部基板と試料導入通路部101と通気部102が交差形成され、試料導入通路部101と通気部102が出会う地点に余裕空間部103が形成された構造を有する試料導入部100が具備された中間基板(薄層隔離板)及び下板の流動感知電極107上の向かい合う位置に順次積層される基準電極兼補助電極105と電極連結部106が一つの基板下に形成された上部基板300が順次積層された構造を有することを特徴とするバイオセンサーであり、好ましくは反応試薬層が作動電極104にのみ形成されているかまたは作動電極104と流動感知電極上にのみ形成されることを特徴とするバイオセンサーである。
【0031】
特に、酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層は、作動電極104または補助電極105どちらか一方にだけ形成されていて、電極間間隔は好ましくは、"正常電流時間常数"(電子伝達媒介体の拡散係数と正常電流になる時間の積を電極間間隔の二乗で割った比率)が0.05以上8.0を越えないように配列される。前記反応試薬層には脂肪酸と4級アンモニウム塩が付加的に含まれ得る。
【0032】
測定器との電気的連結は、作動電極104がある絶縁板に形成された作動電極104と補助電極105連結線を通じて同じ平面をなすように設計されている。また、作動電極104がある絶縁板または補助電極105がある絶縁板中の一方に試料の流動性を測定できる機能の流動感知電極107が、作動電極104または補助電極105と適切に離れた距離に形成されている。
【0033】
また、前記作動電極104と補助電極105を隔離させる薄層隔離膜の前端部に常に一定量の試料を使用できる流路及び試料導入部100が形成されている。詳細には、試料導入通路部101と通気部102が交差形成され、試料導入通路部101と通気部102が出会う地点に余裕空間部103が形成された構造を有する試料導入部100を具備する。L字型形態の試料導入部100は、バイオストリップセンサー前端部からの速くて正確かつ便利に血液試料の導入を可能にする。このような試料導入部100は、試料導入通路部101、通気部102そして試料導入通路部101と通気部102が交差形成して、試料導入通路部101と通気部102が出会う地点に余裕空間部103が形成された構造を有する。本明細書で"交差形成されている"というのは、試料導入通路部101と通気部102が一直線に配列されていることではなく一点で交差する構造になていることを意味する。測定する間、前記余裕空間部103は一定で正確な試料量が通路内に充満するように製造され、通気部102を通じて過量の試料を放出する時にも役に立つ。即ち、前記余裕空間部103は、試料導入通路部101が折れ曲がる角の部位(または交叉点部位)で発生し得る気泡形成を最小化する役割をする。前記部位に気泡が形成されると正確な測定が難しいという問題点がある。さらに、前記の気泡で充ちない正確な試料の量を保障するために余裕空間部103を含む試料導入通路部101は、親水性処理が要求される。
【0034】
前記試料導入通路部101と通気部102の幅の比は、試料の素早い導入を可能にするために1/2以下、最も好ましくは1/5〜1/2の範囲で調節することが好ましい。1/2以下に調整することにより正確な試料の量を保障できるだけではなく試料が速い速度で通気部102へ移動できるようになる。
【0035】
前記試料導入通路部101と通気部102がなす角度(φ)は、図1aに図示したように90°をなすことが好ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、45〜135°、好ましくは60〜120°、最も好ましくは75〜105°の範囲内で適切に調節できる。
【0036】
試料導入部100が試料を収容できる全体容積は、0.1〜3.0μlに調節することが好ましい。より好ましくは0.1〜1.0μl、さらに好ましくは0.3〜0.7μlの範囲内で調節する。前記の容積が0.1μlより小さい場合にはセンサーの誤差範囲によって影響を受けて正確な測定が保証されず、前記の容積が3.0μlを超過する場合には過度な血液採取による問題点があり好ましくない。また、試料導入通路部101は、流動感知電極107を配置する場所としても利用される。
【0037】
特に、前記試料導入部100及び流路は、流動感知電極107を使用して全血試料の流動性を測定するには有利である。全血でヘマトクリット値は、全血の流動性と電気伝導性を変化させることにより、本発明で提示したL字型の毛細管通路を通じて血液が流れる時間は、血液内のヘマトクリット値に比例して変化する。このような血液試料の流動性変化は、流動感知電極107を使用して感知することにより、実際血液内の血糖値測定でヘマトクリット値による誤差を訂正するのに使用される。また、使用可能年限が近づいたストリップ電極の場合または作動電極104を覆った試薬層の組成が不適切な場合に血液の流れ速度が大きく影響を受ける。ゆえに、流動感知電極107で測定した試料の流れ速度は、バイオセンサーの保管年限に対する推定や製作工程上の誤謬を校正するのに使用できる。
【0038】
薄層電気化学セルの入口から試料は、作動電極104と流動感知電極107または流動感知電極107と作動電極104を順次過ぎて、電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの電気的変化を2回惹起して試料がセルの流路を過ぎる時間に対する情報を提供する。前記バイオセンサーは、試料が薄層電気化学セルの微細流路内で流れる速度から試料に含まれた基質の量を精密に決定したり、バイオセンサーの製作または保管状態を決定するのにも向上した機能を提供する。
【0039】
さらに、バイオセンサー中、上部基板300には下部基板400の流動性感知電極が一定部分見えるように試料確認窓301を具備できる。前記試料確認窓(viewing window)301から試料の充満可否を視覚的に確認する。
【0040】
上述したように電極構造は、生体から抽出した試料内に含まれた基質の酵素と電子伝達媒介体により生成された連続した酸化/還元反応の循環(cycling)効果により数秒以内に電流値が正常状態(steady state)に到達し、特徴的には2秒程度の時間に正常状態に到達する。この場合、速い反応が起きるために作動電極または補助電極の片方だけを覆った試薬層は、試料注入口を通じて注入された試料により容易に溶解が可能でなければなならない。
【0041】
本発明で提示した適切な濃度の塩化ヘキサアミンルテニウム(III)は、Fe系列の電子伝達媒介体より数十倍速い電子伝達が可能である。塩化ヘキサアミンルテニウム(III)と適切な濃度の脂肪酸及び4級アンモニウム塩、そして補助的な酵素分散剤は血液と混ぜる時、速く溶解して血液のヘマトクリット値差による依存性向を大幅に減少させられる反応試薬組成物を形成する。
【0042】
したがって、前記のバイオセンサーは、ヘマトクリットの量による測定誤差を減少させられる感応膜組成物を備えている。より詳細には、前記感応膜組成物は、酵素、電子伝達媒介体、水溶性高分子、脂肪酸及び4級アンモニウム塩を含む。
【0043】
前記感応膜組成物は、アスコルビン酸、アセトアミノフェン及び尿酸等のような血液内妨害物質による信号の大きさ変化の影響を減少させ、またヘマトクリット値効果を大幅に減少させる。
【0044】
前記酵素は、前記スキーム1に示したように、測定しようとする多様な代謝物質と反応して還元される。以後、還元された酵素と電子伝達媒介体と反応して代謝物質を定量する。
【0045】
本発明は、血糖値測定バイオセンサーを実施例に説明したが、血糖検査の適用と同様に特定酵素にふさわしい電子伝達媒介体を導入することにより多様な代謝物質、例えばコレステロール、乳酸、クレアチニン、タンパク質、過酸化水素、アルコール、アミノ酸、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミラーゼ(GPT)、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミラーゼ(GOT)等、酵素等の生体試料、環境試料、農業工業試料または食品試料中の多様な有機物または無機物濃度も同様な方法で定量できる。
【0046】
したがって、本発明は、感応膜組成物に含まれる酵素の種類を変えることにより、多様な代謝物質の定量に利用できるものと理解されなければならない。例えば、血糖酸化酵素、乳酸酸化酵素、コレステロール酸化酵素、グルタミン酸酸化酵素、西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、アルコール酸化酵素等を使用して、コレステロール、乳酸、グルタミン酸、過酸化水素及びアルコールの定量を行なえる。好ましくは、グルコ−スオキシダーゼ(glucose oxidase; GOx)、糖脱水素酵素(glucose dehydrogenase; GDH)、コレステロール酸化酵素、コレステロールエステル化酵素、乳酸酸化酵素、アスコルビン酸酸化酵素(ascorbic acid oxidase)、アルコール酸化酵素、アルコール脱水素酵素、ビリルビン酸化酵素(bilirubin oxidase)及び糖脱水素化酵素からなる群から選択される酸化酵素を使用する。本発明の実施例では、血糖値測定バイオセンサーで使用される酵素としてグルコ−スオキシダーゼまたは糖脱水素化酵素を使用した。
【0047】
電子伝達媒介体は、代謝物質と反応して還元された酵素と酸化還元反応して還元される。前記還元状態の電子伝達媒介体は、電極表面まで拡散されることにより電極表面に酸化電位を印加させて電流を発生させる役割を果たす。
【0048】
従来に使用されたフェロセン(ferrocene)、フェロセン誘導体、キノン(quinones)、キノン誘導体、有機伝導性塩(organic conducting salt)、またはビオロゲン(viologen)を排除するのではなく、好ましくは塩化ヘキサアミンルテニウム(III)(hexaammineruthenium(III)chloride)、フェリシアン化カリウム(potassium ferricyanide)、フェロシアン化カリウム(potassium ferrocyanide)、ジメチルフェロセン(dimethylferrocene)、フェリシニウム(ferricinium)、フェロセンモノカルボン酸(ferocene monocarboxylic acid(FCOOH))、7,7,8,8,-テトラシアノキノジメタン(7,7,8,8-tetracyanoquino-dimethane(TCNQ))、テトラチアフルバレン(tetrathia fulvalene(TTF))、ニッケロセン(nickelocene(Nc))、N-メチルアシジニウム(N-methyl acidinium(NMA+))、テトラチアテトラセン(tetrathiatetracene(TTT))、N-メチルフェナジニウム(N-methylphenazinium (NMP+))、ヒドロキノン(hydroquinone)、3-ジメチルアミノ安息香酸(3-dimethylaminobenzoic acid(MBTHDMAB))、3-メチル-2-ベンゾチオゾリノンヒドラゾン(3-methyl-2-benzothiozolinone hydrazone)、2-メトキシ-4-アリールフェノール(2-methoxy-4-allylphenol)、4-アミノアンチピリン(4-aminoantipyrin(AAP))、ジメチルアニリン(dimethylaniline)、4-アミノアンチピレン(4-aminoantipyrene)、4-メトキシナフトール(4-methoxynaphthol)、3,3',5,5'-テトラメチルベンチジン(3,3',5,5'-tetramethyl benzidine(TMB))、2,2-アジノ-ジ-[3-エチル-ベンゾチアゾリンスルホン酸](2,2-azino- di-[3-ethyl-benzthiazoline sulfonate])、o-ジアニシジン(o-dianisidine)、o-トルイジン(o-toluidine)、2,4-ジクロロフェノール(2,4-dichlorophenol)、4-アミノフェナゾン(4-amino phenazone)、ベンチジン(benzidine)及びプルシアンブルー(prussian blue)からなる混合電子価化合物中から選択されたものを使用する。
【0049】
本発明で好ましい電子伝達媒介体としては、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)であるもので、これは形式電位が充分に低く、血液内のアスコルビン酸(ascorbic acid)、アセトアミノフェン(acetaminophene)及び尿酸(uric acid)のような多様な妨害種による影響を最小化できる特性を有する。
【0050】
使用する酵素の特性がさらに良く発現されるために固体状態の感応膜組成物に対して ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone; PVP)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol; PVA)、ポリフルオロスルホナート(perfluoro sulfonate)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose; HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose; HPC)、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose; CMC)、酢酸セルロース(cellulose acetate)またはポリアミド(polyamide)等のような高分子中から選択された一つ以上の物質を0.1〜10重量%含有するように使用することが好ましく、PVPとHPCを使用することがより好ましい。
【0051】
また、本発明の感応膜組成物は、ヘマトクリット(hematocrit)の量による測定誤差を大幅に減少させられる物質として、脂肪酸及び4級のアンモニウム塩を含有する。
【0052】
脂肪酸は、感応膜組成物に添加されることによりヘマトクリット値水準依存性向を減少させる役割を果たす。また、高濃度領域でバイオセンサーの線形動的領域(linear dynamic range)を減らす傾向を示す。
【0053】
前記脂肪酸は、水または水溶液に溶解してから組成物に添加し、固体状態の組成物に対して0.1〜20重量%を添加する。本発明で脂肪酸は、C4〜C20の炭素鎖を有する脂肪酸またはその脂肪酸塩を使用し、好ましくはC6〜C12からなるアルキル炭素鎖を有する脂肪酸またはその脂肪酸塩を使用する。前記の脂肪酸としては、飽和脂肪酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸及びアラキジン酸を含む。
【0054】
また、前記の脂肪酸と共に4級のアンモニウム塩を感応膜組成物に添加することにより、ヘマトクリット値依存性向をさらに減らすことができる。
【0055】
好ましくは、ドデシルトリメチルアンモニウム、エシルトリメチルアンモニウム(ecyltrimethylammonium)、ミリスチルトリメチルアンモニウム(myristyltrimethylammonium)、セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrimethylammonium)、オクタデシルトリメチルアンモニウム(octadecyltrimethylammonium)及びテトラヘキシルアンモニウム(tetrahexylammonium)等のハロゲン化化合物のような4級アンモニウム塩(quaternary ammonium salt)を使用する。本発明では、その効果を考慮して固体状態の感応膜組成物に対して、0.1〜30重量%添加する。
【0056】
本発明による組成物で調製された感応膜は、作動電極104上に分注器で簡単に塗布して形成させられる。ここで、感応膜組成物の量は、300〜500nlが好ましく、200nl以下を使用することがさらに好ましい。
【0057】
下記には、前記の構成を有するバイオセンサーを利用して血糖を測定する方法に対して記述する。前記の測定方法はストリップセンサー509を血糖値測定器500に装着後、バイオセンサーを作動させ、下記の工程で測定を進行できる。バイオセンサーの作動概念を図4bの回路図で簡略に示した。
【0058】
工程1は、ストリップセンサー(薄層電気化学セル)509が挿入された測定器500に患者の腕から採取した血液試料を投入するものある。
【0059】
ここで、患者から血液試料を採取する時の苦痛を最小化しながら採血するための試料の好ましい量は、0.1〜0.7μlであり、これら試料が前処理過程なしに導入される。本発明の測定方法に使用されるバイオセンサーを使用すると、前記少量の血液試料から正確に速く血糖を測定できる。これは、前記バイオセンサーの試料導入部100には、幅0.5〜2mmで高さ50〜250μmを有する流路が形成されていて、血液試料の導入を容易にするためである。
【0060】
工程2は、作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間に一定電位差をあたえる。
【0061】
ストリップを測定器に挿入すると(工程1)、それをバイオセンサーが感知して作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間に、前もって予定された一定な電位がかけられる。ここで、作動電極104と流動感知電極107に加えられた電位は独立的であり、全体回路は開放回路(open circuit)を形成する。試料注入による電気的変化が開放回路状態で電位差として現れ、前記電位差信号をバイオセンサーの測定過程の開始信号に使用する。
【0062】
酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層は、作動電極104または補助電極105 中いずれか一方の電極にだけ形成されていて、前記電極間間隔は正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節されるように配列されることが好ましい。ここで、前記酵素としては、好ましくは上述した酵素中、グルコ−スオキシダーゼ(glucose oxidase; GOx)、または糖脱水素化酵素(glucose dehydrogenase; GDH)を使用する。また、前記電子伝達媒介体として好ましくは、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)を使用する。さらに、上述したように、前記反応試薬層には脂肪酸と4級アンモニウム塩を付加的に含むことができる。
【0063】
また、感応膜組成物は、作動電極104または作動電極104及び流動感知電極107に形成されていて、これら電極間の間隔もまた正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節されるよう配列されることが好ましい。
【0064】
工程3は、前記血液試料の流入が作動電極104と補助電極105間に1次電気的変化を誘発して前記電極間の電圧を同じに調整する。前記電圧を同一にするために電流が流れ、前記試料と反応試薬層間の酸化還元反応を数秒間抑制する。本発明による酸化還元反応の抑制時間は、0.001乃至3秒の範囲内で調節することを特徴とする。
【0065】
ストリップを測定器に挿入したとしても全体回路が連結されるのではない。即ち、試料導入部100を通じて血液試料が導入されると、1次瞬間電流の流れが感知され流動時間測定が開始される。ストリップの流路入口に注入された試料は、電解質を包んでいてスイッチの役割をして作動電極104と補助電極105間の電極連結部106を通じて電流が流れるようになり、この時流れる電流は作動電極104と補助電極105間の電圧を同一にして試料が反応試薬層と混ざる数秒間、好ましくは3秒、さらに好ましくは2秒以下の時間、これらの酸化還元反応を抑制する。前記過程の間の回路は閉回路(closed circuit)を維持する。
【0066】
工程4は、血液試料が流動感知電極107に達すると流動感知電極107が前記血液試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして再び前記補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整することにより、作動電極104で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供する。
【0067】
試料が余裕空間部103に接触すると同時に2次瞬間電流が感知され、1次及び2次瞬間電流間の時間間隔が記録される。即ち、薄層電気化学セルの入口に注入された試料は、作動電極104と流動感知電極107または流動感知電極107と作動電極104を順次過ぎて、電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの電気的変化を2回惹起して試料がセルの流路を流れる時間に対する情報を提供する。
【0068】
流動感知電極107は、作動電極104と適切な距離離れている。好ましくは血球の量が40%でありフッ素処理された血液が幅0.5〜2mm以内、高さ50〜250μmの流路にしたがって約 600ms以内に到達できる距離に位置することが好ましい。フッ素処理されていない試料に対しては300ms以内に、より好ましくは200ms以内に到達できる距離に位置する。
【0069】
本発明のバイオセンサーの試料導入部100及び流路は、流動感知電極107を使用して全血試料の流動性を測定するのに有利である。試料の流動性は、余裕空間部103または通気部102いずれか一方に位置させて、流動性感知電極と試料導入口から初めて出会う地点の電極間で試料が満たされる速度として決定される。
【0070】
電気化学セル内50〜250μm厚みの薄層隔離板に形成された流路は、一定量の試料を導入できる直線構造の試料導入通路部101と毛細管作用を助ける通気部102を備えた構造を有する。全血でヘマトクリット値は、全血の流動性と電気伝導性を変化させるため、本発明のバイオセンサー中、中間隔離板で提示したL字型の毛細管通路にそって血液が流れる時間は、血液内のヘマトクリット値に比例して変化する。このような血液試料の流動性変化は流動感知電極107を使用して感知することにより、実際血液内の血糖値測定でヘマトクリット値による誤差を訂正するのに使用できる。また、使用可能年限が近づいたストリップ電極の場合または作動電極104を覆った試薬層の組成が適切な場合にも、血液の流れ速度が大きく影響を受けるため流動感知電極107で測定した試料の流れ速度は、バイオセンサーの保管年限に対する推定や製作の工程上の誤謬を校正するのに使用できる。試料充満時間(X)とヘマトクリット値間の関係式(fitting eguation)を下記の数式1に示す。
【0071】
[数式1]
Y = -72.23 + 0.58691X - 0.00084073 X2 - 1.1211x10-6 X3 + 5.7521x10-9 X4 - 9.1172x10-12 X5
【0072】
流動感知電極107は、血液試料の非正常的な流動性を区別する。これは試料のヘマトクリット値が低すぎたり高い水準を有したり空気泡形成による血液試料の間違った導入等により発生し得る。この場合、測定装置でプログラムによる警告メッセージや誤謬コードが現れる。
【0073】
工程5は、血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105に所定の電圧が印加され、前記電極間に電位差が発生するようにして対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値をよむのである。ここで、数秒以内、好ましくは2秒〜10秒以内に正常状態に到達する。本発明の対面形電極は従来の平面形電極に比べて試料に対する速い応答速度と高い平衡状態電流(steady-state current)を得ることができる。対面形電極は、使用した電子伝達媒介体の反応速度及び電子伝達速度が適切なら、速く正常電流を提供する。
【0074】
工程6は、工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を決定するものである。本発明による血糖値測定に所要される全体時間が5秒以内、好ましくは4秒以内、より好ましくは3秒以内に起きるように遂行される特徴を有している。
【0075】
本発明の血糖値測定は、生体から抽出した試料内に包まれた基質が酵素と電子伝達媒介体により連続的に酸化/還元反応するように製作し、その反応過程で移動する電子の量を測定して基質の量を定量することにより達成できる。さらに、試料が薄層電気化学セルの微細流路内で流れる速度から試料に含まれた基質の量をより精密に決定したりバイオセンサーの製作または保管状態を決定するのに役立つ。
【0076】
前記工程1乃至6の過程は下記に示す過程でも進行できる。
(1)ストリップが挿入された測定器に血液試料が流入する(工程1)。
【0077】
(2)作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間に一定な高い周波数の交流電圧をかける。ここで、作動電極104と流動感知電極107に加える電圧は独立的であり、全体回路は開放回路(open circuit)を形成する(工程2)、作動電極104と補助電極105には流動感知電極107と補助電極105に交流電圧を加えた状態で試料注入による電気的変化がキャパシタンスで現れ、前記変化をバイオセンサーの測定過程の開始信号として使用する。
【0078】
(3)ストリップの流路入口に注入された試料は、作動電極104と補助電極105間の1次キャパシタンスを変化させ、ここでキャパシタンス変化は作動電極104と補助電極105間に同一な電圧をかけるようになり試料が反応試薬層と混ざる数秒間、好ましくは3秒、さらに好ましくは2秒以下の時間、酸化還元反応を抑制する。この過程中、回路は閉回路(closed circuit)を維持するようにする(工程3)。
【0079】
(4)試料が流動感知電極107に到達すると、2次キャパシタンス変化が起きる。この変化は再び補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整し、始めに作動電極104で感知された変化との時間差の情報を提供する(工程4)。
【0080】
(5)血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間の電圧差を一定水準以上にして、対面形薄層電気化学セルの特徴的な循環反応(cycling reaction)が起きるようにして数秒以内、好ましくは2秒以内に到達した正常電流値を読む(工程5)。
【0081】
(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流の値を使用して試料内に存在する基質の量を決定する。全体測定時間は5秒以内、好ましくは4秒以内、さらに好ましくは3秒以内に起きるようにする。
【0082】
また、他の方法としては、(1)ストリップが挿入された測定器に血液試料が流入すると、作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間の高インピーダンス入力(high impedance input)回路の測定器が活性化される(工程1)。
【0083】
(2)ストリップの流路入口に注入された試料は、電解質を包み電極と試料間の界面で1次的な電位差を形成する(工程2)。
【0084】
(3)この変化を読み、作動電極104と補助電極105間に同一な電圧がかかるようにして試料が反応試薬層と混ざる数秒間、好ましくは3秒、さらに好ましくは2秒以下の時間、酸化還元反応を抑制する。この過程中の回路は閉回路(closed circuit)を維持するようにする(工程3)。
【0085】
(4)試料が流動感知電極107に達すると2次電圧変化が起きる。この変化は再び補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整し、始めに作動電極104で感知された変化との時間差の情報を提供する(工程4)。
【0086】
(5)血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間の電圧差を一定水準以上にして、対面形薄層電気化学セルの特徴的な循環反応(cycling reaction)が起きるようにして数秒以内、好ましくは2秒以内に到達した正常電流値を読む。
【0087】
(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流の値を使用して試料内に存在する基質の量を決定する。全体測定時間は5秒以内、好ましくは4秒以内、さらに好ましくは3秒以内に起きるようにする。
【0088】
上に提示した方法以外にも、作動電極104と補助電極105、流動性感知電極と補助電極105間に直流、低周波または高周波交流、高インピーダンスまたは多様な形態のパルス、好ましくは矩形波、三角波、半正弦波、ガウス波等を使用して全体測定過程を調節できる。但し、ここで試料注入時に発生する電気的変化による試料注入時間決定は、作業電極と基準電極兼補助電極105間にかかる過程及び電流を測定する過程とは無関係に進行され、測定が終わった後、試料が作動流動性感知電極間を移動する時間に対する情報を化学反応で測定された電気化学的変化を校正するのに使用し、これはすでに入力された情報を処理するソフトウエアーで行なう。
【発明の効果】
【0089】
本発明の測定方法によると、血液のヘマトクリット値差による依存性向を試料の流動性 情報により大幅に減少させることができ、非正常的に流動性が低いかまたは高い血液試料を区分することにより、使用者が間違った情報を得る可能性を大幅に減らす一方、バイオストリップセンサーの使用可能年限に近づくことによる血液注入速度の変化を感知してストリップ製造の品質管理の便利性を提供できる。また、本発明の測定方法は、血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入して、ヒトから採血された少量の試料から5秒以内に血糖の測定結果を正確に速く応答できる利点を提供する。
【0090】
また、上述した試料導入部100が具備されたバイオセンサーは、下記に示す様々な利点を提供する。(1)血液試料を毛細管現象で速く吸い込む時、交叉点部位に余裕空間部103を作り若干の余裕空間をおくことにより、試料導入通路部101が曲がる隅の部位で発生し得る気泡形成現象を最小化することができ、(2)試料導入部100が細い入口と通気部102により良く取り囲まれていて、全体試料通路の上部分が上部基板300(またはカバー)で覆われているのでセンサーを測定する器具に装着したり脱着時に導入された試料が漏出して手につくことが減り、衛生的であり測定中の試料蒸発による濃度の変化を最小化して分析的再現性を向上させられる。そして、(3)試料通路部と通気部102が概略的に垂直な形態をなしている試料導入部100を有するバイオセンサーは、予定された量の血液試料の速い導入が可能で、バイオセンサーの正確性と信頼度及び再現性を向上させられる。(4)最後に、試料導入部100はセンサーの端部分から試料を導入できるように考案されたもので、採血部位で測定する血液と容易に接触できるので試料導入が非常に便利であるという長所を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するためだけのものであり、本発明の範囲が下記の実施例により限定されたり制限されたりすることはない。ゆえに、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者なら、本発明の技術的思想を外れない範囲内で本発明を自由に変形及び変更することができ、それはまた、本発明の範囲に属することは自明である。
[実施例]
【0092】
実施例1:脂肪酸を使用しない感応膜試薬の準備
塩化ヘキサアミンルテニウム(III)30mg(41.6重量%)とカルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose)1mg(1.4重量%)、トリトンX-100(1.4重量%)1mg、そしてグルコ−スオキシダーゼ40mg(55.6重量%)を含んだ混合物を、pH6.4の1mlPBS緩衝溶液に溶解して、溶液内に残っている微粒子は濾して除去した。前記得られた試薬溶液を空気圧縮分注器(EFD XL100)の注射器内に保管した。
【0093】
実施例2:脂肪酸を使用した感応膜試薬の準備
塩化ヘキサアミンルテニウム(III)30mg(23.6重量%)とカルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose)1mg(0.8重量%)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone; PVP)5mg(4重量%)、トリトンX-100 1mg(0.8重量%)、ラウリン酸(lauric acid)20mg(15.7重量%)、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム(myristyltrimethylammonium bromide)30mg(23.6重量%)、そしてグルコ−スオキシダーゼ40mg(31.5重量%)を含んだ混合物をpH6.4 の1mlPBS緩衝溶液に溶解して、溶液内に残っている微粒子は濾して除去した。前記得られた試薬溶液を空気圧縮分注器(EFD XL100)の注射器内に保管した。
【0094】
実施例3:本実施例は、血糖値測定方法を記述する。
図2乃至図3a、図3bの補助電極105を薄層電気化学セル形バイオセンサーの基準電極に使用した。血糖値測定用薄層電気化学セルは次のように製造する。
【0095】
図2乃至図3a、図3bのような形態の作動電極104と導体物質を厚く積層構造で印刷し、補助電極と3次元的に連結される部位が形成される電極連結部106を炭素ペーストでスクリーンプリントした後、140℃で5分間熱処理した。その後、電極連結部106の端部分に銀ペーストを中間基板200電極の厚みになるようにスクリーンプリントして回路連結部を完成した。上部基板300電極上に炭素ペーストで基準電極兼補助電極105をスクリーンプリントし、下部基板400電極製作時と同一条件で熱処理した。基準電極兼補助電極105の端部分を銀ペーストで回路連結部を形成させて、対面形バイオセンサーの上部基板電極を製作した。
【0096】
ポリエステル材質の両面テープに図2乃至3図に図示された模様の試料導入通路部101、通気部102及び余裕空間部103と流動感知電極107の端部分が前記余裕空間部103に位置するように中間基板200をプレス金型で製作した。試料導入通路部101と通気部102の幅の比は2:1になるように調節した。前記のように形成された試料導入部100が試料を収容できる全体容積は0.5μlになるように製作した。
【0097】
図2乃至3a、3bに示されたように、バイオセンサーを完成するために電極が印刷された下部基板400上に中間基板200を圧着して組み立てた。続いて、露出された試料通路部位の作動電極104上に前記実施例1または2による感応膜試薬溶液を塗布した後、45℃で30分間乾燥させた。酵素混合物が乾燥された後、中間基板200の上面を上部基板300電極に回路連結部がよく連結するように圧着して対面形バイオセンサーを製作した。ここで、図3aの場合は流動感知電極が下板に具備された対面形電極を、図3bの場合は流動感知電極が上板に具備された対面形バイオセンサー電極を製作した。
【0098】
前記製作されたセンサーで血糖濃度を測定するために、患者の腕から血液試料0.5μlをストリップに採血した。前記ストリップが測定器のストリップ挿入口内に挿入されると測定器が作動し開める。前記ストリップが測定器に挿入されると、セル内200mVの電位差が作動電極104と補助電極105(基準電極)間に印加される。
【0099】
詳細には、ストリップが挿入された測定器の動作順序を下記に示す。
ストリップセンサー509が挿入された測定器500に採取した血液試料を投入すると(工程1)、作動電極104と補助電極105間及び流動感知電極107と補助電極105間に一定な電位差が与えられ(工程2)、ストリップの試料導入部を通じて流入された前記試料が作動電極104と補助電極105間に1次電気的変化を誘発し、前記電極間の電圧を同じに調整するようになり(工程3)、流動感知電極107が前記試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして前記補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整することにより作動電極104で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供し(工程4)、血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間に200mVの電圧が印加され対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値を読んだ後(工程5)、工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を測定することにより(工程6)血糖を測定した。
【0100】
即ち、このような一連の過程を通じて本発明のバイオセンサーは血液内の血糖の量を容易く速く正確に測定できる。
【0101】
実験例1:対面形グルコースセンサーの走査速度による循環電圧電流度(cyclic voltammogram)
実施例3によって製作された対面形電極を使用してお互いに異なる走査速度による循環電圧電流度を調べてみた。
【0102】
実験条件は、0.05mM[Fe(CN)6/[Fe(CN))6]4-溶液が含まれた1M KCl溶液下で実行した。その結果、3mV/s以下の走査速度で本発明による電極は微小電極の平衡状態電流性格を持つS曲線を示した。詳細には、限界条件下で二電極表面の濃度がゼロになり、電流は電位と独立的で限界電流は電位と独立的になる。走査速度が大きくなるにつれ、可逆と非可逆間のヒステリシス(hysteresis)は大きくなる。Vが20mV/sより大きいか等しくなる時のCVは、本発明に使用した対面形電極でS信号ではない平面形電極の信号と同じ形状を示す。その結果を図5に示した。CVでピーク分離(peak separation)は、約55mVであり、このような値は電極と[Fe(CN)6]3-/4-間の高い可逆的な電子伝達過程を示したものである。
【0103】
結論的に、前記の結果は線形スイープ形電気量計(linear sweep voltammeter)上の平面拡散側の半球形(hemispherical)拡散変化効果による不規則に形成された微小電極(random assembled microelectrode)の研究結果と類似な結果を示す。これは本発明に使用する炭素電極が不規則なサイズの炭素微粒子が集まって一つの電極を構成する微小電極と類似な性質を有していることを提示している。
【0104】
実験例2:対面形グルコースセンサーと平面形センサーの対時間電流法的(Chronoamperometric)感応時間比較
実施例3により製作された対面形電極と電極が一枚の絶縁体上に形成された平面形電極の対時間電流法的感応比較結果を下記に示す。
【0105】
対面形電極は、平面形電極に比べて試料に対する速い応答速度と高い平衡状態電流(steady-state current)を得ることができた。結果を図6に示した。対面形電極は使用した電子伝達媒介体の反応速度及び電子伝達速度が適切なら速く正常電流を提供する。ここで、電極の配列と反応試薬層の組み合わせにより変化する正常電流の条件を判断するために正常電流時間常数(t* = Dt/d2)を使用する。
【0106】
本発明の一実施例として製作したバイオセンサーの感応曲線は、正常電流に至る時間が約2秒程度であり、電子伝達媒介体塩化ヘキサアミンルテニウム(III)の拡散係数は、1.8x10-5 cm2/s、電極間間隔は約100μmであり、t* = 0.36になることがが分かる。
【0107】
既存の研究結果(J. F. Cassidy等, Analyst, 1993年,第118巻, 415頁)によると、t*>0.01の条件を満足する時、正常電流に達することができる。本発明で提示するバイオセンサーのt*は、0.05以上8.0以下の条件を満足する。
【0108】
図7はグルコース濃度が2.77から33.3mMまでで、2.77mM増加による対面形電極の対時間電流法的感応結果を示す。このような反応時間は、グルコース濃度が濃くなるほど増加した。しかし、図7から分かるように、決定範囲内で2秒以内の速い平衡状態電流(steady-state current)を得ることができた。このようにさらに速く完全な平衡電流状態応答は迅速なデータ処理と共にセンサーの分析的履行の向上を可能にする。
【0109】
実験例3:対面形グルコースセンサーでの妨害物質による影響検証
実施例3により製作された平均値0.5μl試料導入部100を有する対面形グルコースセンサーでのグルコース、アスコルビン酸、アセトアミノフェン及び尿酸等の妨害物質及び緩衝溶液に対する影響を測定した。
【0110】
詳細には、(a)グルコース177mg/dLをPBS緩衝溶液(PBS Buffer pH7.4)に溶解した溶液、妨害物質である(b)グルコース177mg/dL + アセトアミノフェン660μM、(c)グルコース177mg/dL + アスコルビン酸570μM、(d)グルコース177mg/dL + 尿酸916μMを含む各々の溶液に対する感応電流を測定した。
【0111】
ここで、全体感応電流は、基準電極対比印加電位+0.2V電位を作動電極104にかけて5秒後に対時間電流法の感応を読んで測定した。結果を図8に示した。
【0112】
図8から分かるように、グルコース177mg/dLをPBS緩衝溶液(PBS Buffer pH7.4)に溶解した溶液に対する測定結果(a直線)と妨害物質に対する影響を調べるために各々グルコース177mg/dLにアセトアミノフェン660μM(b直線)、アスコルビン酸570μM(c直線)、尿酸916μM(d直線)を含む溶液に対する測定結果は大差が無かった。このような結果から、基準電極(Ag/AgCl)対比印加電位0.2Vでは電気化学的バイオセンサーに対する妨害物質の作用が微微であることが分かる。
【0113】
実験例4:対面形グルコースセンサーのグルコース標準溶液に対する検定
実施例3により製作された対面形グルコースセンサーを利用してグルコース標準溶液に対する検定テストを行なった。
【0114】
詳細には、各々のグルコース濃度が、0、50、150、300、450及び600mg/dLの標準溶液で、各濃度当たり10回ずつ基準電極対比印加電位0.2Vで電流値を測定した。ここで、センサー導入部に適用された試料の量は、0.5μlであり、試料が導入部を満たすのにかかる時間は約200ms以内だった。測定は、試料が試料導入部100を満たした後、2秒の反応時間を与え、次に0.2Vの電圧を3秒間加えて5秒後の電流値を測定した。結果を図10に示した。
【0115】
図10は、クロノアンペロメトリー法測定の動的感応曲線であり、各々の曲線はグルコース0 mg/dL(a曲線)、50mg/dL(b曲線)、150mg/dL(c曲線)、300mg/dL(d曲線)、450mg/dL(e曲線)及び600mg/dL(f曲線)を示したものである。
【0116】
図10に見られるように、本発明のバイオセンサーは短い時間に正常電流(steady state current)に到達して測定に対する結果が迅速で正確であることを示している。
【0117】
また、本発明のバイオセンサーで得られる感応傾きは、0.093[μA/(mg/dL)]であり、相関係数は0.997で、本発明のバイオセンサーが卓越した直線性感応を示した(図9参照)。
【0118】
実験例5:血液流動性測定とヘマトクリット値の影響補正
実施例3により製作された流動感知電極が具備した対面形グルコースセンサーを利用して血液流動性測定とヘマトクリット値の影響補正テストを行なった。
【0119】
詳細には、200mVの電位を作動電極104と流動感知電極107に印加した。試料導入部100を通じて血液試料が導入されると1次瞬間電流の流れが検知され、流動時間測定が開始される。試料が余裕空間部103に接触すると同時に、2次瞬間電流が感知され、第1及び第2の瞬間電流間の時間間隔が記録される。このような試料導入時間とヘマトクリット値間の相関関係を図11に示した。実験は、180mg/dL血糖と多様な量のヘマトクリット値の水準を含むフッ化ナトリウム(sodium fluoride)で処理された全血を使用して実施した。
【0120】
実験結果、下記数式1の関係式(fitting equation)を得ることができた。
【0121】
(数式1)
Y = -72.23 + 0.58691X - 0.00084073 X2 - 1.1211x10-6 X3 + 5.7521x10-9 X4 - 9.1172x10-12 X5
【0122】
(式中、Yは流動性感知電極を使用して測定された試料充填時間Xから得た推定されるヘマトクリット値である)
【0123】
下記表1は、試料充満時間の速度から推定されるヘマトクリット値を示す。
【0124】
【表1】
【0125】
独立的な実験で補正曲線は、多様なヘマトクリット値で全血を使用して得られた。そして、ヘマトクリット値と感応傾きの相関関係は表2に公式化された。
【0126】
【表2】
【0127】
このような方式で誘導された補正常数は、40%ヘマトクリット値を有する全血に対して測定された血糖水準を再補正するのに利用され、結果的にこのような補正を経たバイオセンサーは、ヘマトクリット値に影響を受けずに血糖濃度の測定をできる。即ち、測定器は最初に試料導入速度を読み、血液試料内のヘマトクリット値を決定する。そして、表から一致する補正曲線を捜して測定された電流値から補正された血糖値を決定する。
【0128】
表3はこのような方式で実行した実験の結果を示す。
【0129】
【表3】
【0130】
試料導入速度は、流動感知電極107で測定し、全血の血糖値を計算するために表 2の補正曲線を利用した。
【0131】
流動感知電極107はまた、血液試料の非正常的な流動性を区別することができた。このような現象は、低すぎたりあるいは高いヘマトクリット値を有する試料や空気泡形成による血液試料の間違った導入等から発生し得る。測定時このような場合は、測定装置でプログラムにより警告メッセージや誤謬コードが出るようにする。
【0132】
実験例6:試薬層に含まれた脂肪酸により減少したヘマトクリット値の妨害作用
実施例3によりバイオストリップセンサーを製作した。ヘパリン(heparin;血液凝固防止剤)で処理した全血試料は血漿とヘマトクリットに遠心分離機を利用して分離して、20、40、60%の三種類の異なるヘマトクリット値の血液試料を得るために再び混合した。
【0133】
血糖値測定におけるヘマトクリット値の影響は、実施例1と2で準備した試薬層を使用したバイオセンサーを使用して、三種の異なる血糖濃度で評価した。結果を表4及び表5に示した。
【0134】
【表4】
【0135】
ヘマトクリット値40%の結果と比べて外れている程度 = [(本発明バイオセンサーによる血糖値/YSI装備による血糖値)/( ヘマトクリット値40%での本発明バイオセンサーによる血糖値/ヘマトクリット値40%でのYSI装備による血糖値)-1]× 100
【0136】
【表5】
【0137】
実験結果、実施例2により準備された試薬を使用したバイオセンサーは実質的にヘマトクリット値による影響が明白に減少し、臨床学的許容範囲内にあるヘマトクリット値40%に対する相対誤差を示すことが明確に分かった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
前記の構成を有する本発明の測定方法によれば、血液のヘマトクリット値による依存性向を試料の流動性情報により大幅に減少させられ、非正常的に流動性が低いかまたは高い血液試料を区分することにより、使用者が間違った情報を得る可能性を大幅に減らす一方、バイオストリップセンサーの使用可能年限に近づくことによる血液注入速度の変化を感知してストリップ製造の品質管理の便利性を提供できる。また、本発明の測定方法は血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入してヒトから採血された少量の試料から数秒以内、好ましくは5秒以内に血糖値の測定結果を正確に速く応答できる利点を提供する。
【0139】
また、前記の測定過程を導入したバイオセンサーは、前処理過程なしに速く一定に導入できる試料導入部100を具備し、さらに全血試料の流動性を測定できる流動感知電極107を具備したもので、構造が単純であり製造が容易で、0.1〜0.7μlの少量試料を前処理過程の必要なしに一定に導入でき、電極間の再現性が優れ、電極形成において作動電極104と補助電極105がお互いに対称または非対称に向かい合う対面形形態で二電極の間隔は数百μm以内の薄層電気化学セル(thin layer electrochemical cell)構造からなる、生体から抽出した試料内に含まれた基質である酵素と電子伝達媒介体により生成され連続した酸化/還元反応の循環(cycling)効果により2秒以内に電流が正常状態(steady state)に到達する。この場合、速い反応が起きるために作動電極104または補助電極105の一方にのみを覆った試薬層は、試料注入口を通じて注入された試料により容易に溶解が可能でなければならない。本発明は、ルテニウムを電子伝達媒介体に使用することにより、Fe系列より10倍速い電子伝達が可能であり、容易に溶解される長所がある。そして、前記バイオセンサーに使用される反応試薬においては、ヘマトクリット値による測定誤差を大幅に減少させた感応膜組成物を使用することにより血液内妨害物質と血液内の電極活性物質、またヘマトクリット値による信号の大きさ変化の影響を大幅に減少させる利点を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明による好ましい一例の薄層電気化学セルを図示した分解斜視図である。
【図2】本発明による好ましい一例の対面形バイオセンサーの分解斜視図である。
【図3a】本発明による好ましい一例の試料導入部100が導入され試料の流動性感知電極が上板に具備された対面形バイオセンサーの分解斜視図である。
【図3b】本発明による好ましい一例の試料導入部100が導入され試料の流動性 感知電極が下板に具備された対面形バイオセンサーの分解斜視図である。
【図4a】上端に測定ストリップが挿入されている状態を図示した両方向血糖値測定器の平面図である。
【図4b】本発明による好ましい一例のバイオセンサーの作動順序に対する内部回路構成図である。
【図5】本発明による好ましい一例の対面形バイオセンサー電極の循環電圧電流図(cyclic voltammogram)である。
【図6】本発明による好ましい一例の対面形電極と平面形電極を比較した、対時間電流法的(chronoamperometric) 感応結果を示したグラフである。
【0141】
【図7】本発明による一例の対面形電極のグルコース濃度による対時間電流法的(chronoamperometric) 感応結果を示したグラフである。
【図8】本発明による一例の対面形バイオセンサーの妨害物質による影響測定図である。
【図9】本発明で対面形バイオセンサーのブドウ糖標準溶液に対する検定曲線グラフである。
【図10】本発明で対面形バイオセンサーのブドウ糖標準溶液に対する定圧電流法動的 感応曲線グラフである。
【図11】本発明の対面形バイオセンサーで試料流動性とヘマトクリット値間の関係を図示した曲線グラフである。
【符号の説明】
【0142】
100:試料導入部 101:試料導入通路部
102:通気部 103:余裕空間部
104:作動電極 105:補助電極または基準電極
106:電極連結部 107:流動感知電極
108:バイオセンサー確認電極 200:中間基板
300:上部基板 301:試料確認窓
400:下部基板 500:血糖値測定器
501:測定器本体 503:液晶表示パネル
505:電源スイッチ 507:操作スイッチ
509:上向ストリップ 511:ストリップ挿入口
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的バイオセンサーを利用して血糖を測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、糖尿病の診断および予防のために、血液内のブドウ糖(血糖: blood glucose)の量を周期的に測定する必要性が増大している。このような血糖値測定は、手に持つことができる携帯用計測器を利用して手軽に測定でき、例えば各自がストリップ形状のバイオセンサーを使用して手軽に測定できる。このような血糖値測定のためのバイオセンサーの動作原理は、比色分析方法または電気化学的方法に基づいている。
【0003】
この中で、電気化学的方法は下記のスキーム1により説明され、最も大きな特徴は電子伝達媒介体を使用することである。前記電子伝達媒介体としては、フェロセン(ferrocene)、フェロセン誘導体、キノン(quinones)、キノン誘導体、遷移金属含有有機物及び無機物(ヘキサアミンルテニウム、オスミウム含有高分子、フェリシアン化カリウム)及び有機伝導性塩(organic conducting salt)、ビオロゲン(viologen)のような電子伝達有機物等を使用する。
【0004】
(スキーム1)
(1) ブドウ糖 + GOx-FAD →グルコン酸 + GOx-FADH2
(2) GOx-FADH2 + 電子伝達媒介体(酸化状態) →GOx-FAD + 電子伝達媒介体(還元状態)
【0005】
(式中、GOxはグルコ−スオキシダーゼ(Glucose oxidase)を示し、GOX-FAD及びGOX-FADH2は各々グルコ−スオキシダーゼの活性部位であるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の酸化状態及び還元状態を示す)
【0006】
前記スキーム1で示したように、(1)まず、血液内のブドウ糖は、グルコ−スオキシダーゼの触媒作用によりグルコン酸に酸化される。この時、グルコ−スオキシダーゼの活性部位であるFADが還元されFADH2になる。(2)その後、還元されたFADH2は、電子伝達媒介体との酸化還元反応を通じてFADH2はFADに酸化され、電子伝達媒介体は還元される。このように形成された還元状態の電子伝達媒介体は、電極表面まで到達する。ここで、作動電極表面で還元状態の電子伝達媒介体の酸化電位を印加して生成される電流を測定して血糖の濃度(血糖値)を測定する。
【0007】
前記のような電気化学的方法を動作原理とするバイオセンサーを電気化学的バイオセンサーという。このような電気化学的バイオセンサーは、従来の比色分析方法によるバイオセンサーとは異なり酸素による影響を減らすことができ、試料が混濁した場合であっても試料を別途の前処理なしに使用できる長所を有する。
【0008】
このような電気化学的バイオセンサーは、血糖値の監視および制御に一般的に便利に使用されるが、センサーの正確性は血液試料に存在する酸化されやすいアスコルビン酸(ascorbic acid)、アセトアミノフェン(acetaminophene)及び尿酸(uric acid)等、多様な妨害種により大きく影響を受ける。
【0009】
その他の深刻な誤差は、ヘマトクリット値(血液内の赤血球容積率の比の量)により誘発される。使い捨てバイオストリップセンサーを使用してそれらの血糖水準を規則的に測定する使用者等において、ヘマトクリット値に大きく影響を受けるバイオセンサーは、その測定結果において誤った判断をもたらすことになり、甚だしい場合は使用者の生命に対する危険を招来し得る。
【0010】
従来、バイオセンサーでこのようなヘマトクリット値から影響を低減させる方法としては、追加的に赤血球を分離したり;試薬層上に赤血球を除去する層を塗布する方法(特許文献1〜3);シリカフィラー(silica filler)を含んでスクリーン印刷が可能な試薬と血球分離一体形機能を有する感応膜を使用する方法(特許文献4)、及び適用電位を二回印加して(the double excitation potentials)得た結果をケモメトリックス(chemometric method)により処理校正する方法(特許文献5)等いくつかの方法が提案されてきた。
【0011】
しかし、前記方法は、その製造過程で追加の工程が必要であったり、あるいはその試薬階層を印刷する際に、試薬に大きな損失をもたらし得るため、作動電極上に試薬混合物を簡単に塗布することが困難であった。
【0012】
また、バイオセンサーを使用する際に、少量の試料で正確に速い応答時間を得ることが使用者の便利を極大化するにおいて非常に重要な問題である。特に、1μl以下の少量の試料、好ましくは0.5μl以下の試料、さらに好ましくは0.3μl以下の試料を使用すると、腕のような代替部位から血液を採取して測定が可能であるため、患者が血糖値を測定する際に伴う苦痛を最小化できる。
【0013】
測定結果に対する応答を得る時間は、10秒以内が好ましく、可能なら5秒以内が好ましく、さらに減らせるのなら3秒程度の時間が最も好ましい。現在まで報告された技術ではこのような目的を達成すことが、ほとんど不可能だった。
【特許文献1】特開平11−034461号公報
【特許文献2】特開2000−338076号公報
【特許文献3】米国特許第5658444号公報
【特許文献4】米国特許第6241862号公報
【特許文献5】国際公開第01/57510号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記の問題点を克服するためのものであり、血液のヘマトクリット値の差による依存性向を試料の流動性情報によって大幅に減少させることができ、非正常的に流動性が低いかまたは高い血液試料を区分することにより、使用者が間違った情報を得る可能性を大幅に減らす一方、バイオストリップセンサーの使用可能年限に近づくことによる血液注入速度の変化を感知してストリップ製造の品質管理の便利性を提供するところにその目的があり、また、血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入して、ヒトから採血された少量の試料から数秒以内に血糖の測定結果を正確に速く応答するバイオセンサーを利用した血糖値測定方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するために本発明は、一枚の平面絶縁板にコーティングされた作動電極104と該作動電極104と同じ平面または異なる一枚の平面絶縁板で一定間隔離隔している注入試料の流動性を感知する流動感知電極107と前記作動電極104と対向する異なる一枚の平面絶縁板上にコーティングされた補助電極105(基準電極)と微細流路が形成された試料導入部100を具備し、前記作動電極104と前記補助電極105を一定間隔隔離させて圧着させる粘着性隔離板と;導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極105と差等的(電位差式)に連結される部位が形成され前記作動電極104と補助電極105を連結させる電極連結部106、及び電子伝達媒介体と酸化酵素を含んだ反応試薬層からなる対面形の薄層電気化学セル(ストリップセンサー)を具備した電気化学的バイオセンサーを使用して、(1)ストリップセンサー509が挿入された測定器500に採取した血液試料を投入する工程(2)作動電極104と補助電極105間及び流動感知電極107と補助電極105間に一定の電位差を与える工程(3)前記試料の流入が作動電極104と補助電極105間に1次電気的変化を誘発して前記電極間の電圧を同じに調整する工程(4)流動感知電極107が前記試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして前記補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整することにより作動電極104で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供する工程(5)血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間に所定の電圧が印加され、対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値をよむ工程、及び、(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を測定する工程からなることを特徴とする、電気化学的バイオセンサーを利用して血糖を測定する方法を提供する。
【0016】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、工程1の血液試料は0.1 〜0.7μlの少量試料が前処理過程なしにストリップセンサー509に導入されることを特徴とする。
【0017】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、工程1の電位差は作動電極と補助電極、流動感知電極と補助電極間に直流、低周波または高周波交流、高インピーダンスまたは多様な形態のパルスの印加により誘発されることを特徴とする。
【0018】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記の電気的変化は電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの変化によるものであることを特徴とする。
【0019】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、工程3の電極間の電圧を同じに調整することにより、前記試料と反応試薬層間の酸化還元反応を数秒間抑制することを特徴とする。
【0020】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記バイオセンサーの試料導入部100には、幅 0.5〜2mm高さ50〜250μmを有する流路が形成され、試料の導入を容易にしたことを特徴とする。
【0021】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記バイオセンサー内 酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層は、作動電極104及び補助電極105中いずれか一方の電極にだけ形成して反応が速く起きるようにしたことを特徴とする。
【0022】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、前記バイオセンサー内の感応膜組成物は、作動電極104及び流動感知電極107のいずれか一方の電極または前記両方の電極に形成され、前記電極間の間隔は正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節され反応が速く起きるように配列することを特徴とする。
【0023】
電気化学的バイオセンサーを利用した血糖値測定方法において、反応試薬層内の電子伝達媒介体は、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)であることにより電子伝達を容易にした。前記反応試薬層は、酵素及び電子伝達媒介体の他に脂肪酸及び4級アンモニウム塩を付加的に包んでヘマトクリット値差による依存性向を大幅に減少させたことを特徴とする。
【0024】
本発明の測定方法によると、血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入してヒトから採血された少量の試料から数秒、好ましくは5秒以内に血糖の測定結果を正確に速く応答できる利点を得られる。
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
血糖を測定するためのバイオセンサーは次のような構成を有する。
【0026】
本発明による血糖を測定するために使用されるバイオセンサーは、電極構成において二枚の平面絶縁板に作動電極104と補助電極105がそれぞれ別に形成されていて、作動電極104がある板には補助電極105と連結が可能な連結導線が形成されていて、その連結導線の一部には導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極105と3次元的に連結される部位が形成されていて、二枚の平面絶縁板に形成されている作動電極104と補助電極105は50〜250μm厚さの圧力粘着性隔離板で対称または非対称的にお互いに向い合う位置で隔離され、薄層電気化学セル(thin layer electrochemical cell)を構成する。(対面形電極参考文献E. K. Bauman等, Analytical Chemistry, 1965年,第37巻, 1378頁;K. B. Oldham in "Microelectrodes: Theory and Applications," Kluwer Academic Publishers, 1991年)。
【0027】
薄層隔離板は、作動電極104と補助電極105で形成された測定空間に生体試料を注入して保有できる全体体積がマイクロリッター単位の微細流路が形成されいる。電極形成において薄層隔離板内流動感知電極107は作動電極104(または補助電極105)と適切な距離に離れていて、好ましくは血球の量が40%でありフッ素処理された血液が、幅0.5〜2mm以内で高さ50〜250μmの前記の微細流路にしたがって約600ms以内に到達できる距離に位置し、さらに好ましくはフッ素処理されていない試料に対して300ms以内に、さらに200ms以内に到達できる距離に位置することが好ましい。
【0028】
一枚の基板上に形成された作動電極104(または補助電極105)及び流動感知電極107は、基準電極兼補助電極105(または作動電極104)とお互いに向かい合った形態(対面形)に構成されている。
【0029】
感応膜組成物は、作動電極104または補助電極105どちらか一方だけを覆っているように構成されているが、好ましくは感応膜組成物は作動電極104または作動電極104と流動感知電極107に覆っている構造を有することを特徴とするバイオセンサーである。
【0030】
そして、一枚の基板上に作動電極104または作動電極104及び流動感知電極にだけコーティングされた感応膜組成物と導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極と3次元的に連結される部位が形成される電極連結部106が形成された下部基板と試料導入通路部101と通気部102が交差形成され、試料導入通路部101と通気部102が出会う地点に余裕空間部103が形成された構造を有する試料導入部100が具備された中間基板(薄層隔離板)及び下板の流動感知電極107上の向かい合う位置に順次積層される基準電極兼補助電極105と電極連結部106が一つの基板下に形成された上部基板300が順次積層された構造を有することを特徴とするバイオセンサーであり、好ましくは反応試薬層が作動電極104にのみ形成されているかまたは作動電極104と流動感知電極上にのみ形成されることを特徴とするバイオセンサーである。
【0031】
特に、酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層は、作動電極104または補助電極105どちらか一方にだけ形成されていて、電極間間隔は好ましくは、"正常電流時間常数"(電子伝達媒介体の拡散係数と正常電流になる時間の積を電極間間隔の二乗で割った比率)が0.05以上8.0を越えないように配列される。前記反応試薬層には脂肪酸と4級アンモニウム塩が付加的に含まれ得る。
【0032】
測定器との電気的連結は、作動電極104がある絶縁板に形成された作動電極104と補助電極105連結線を通じて同じ平面をなすように設計されている。また、作動電極104がある絶縁板または補助電極105がある絶縁板中の一方に試料の流動性を測定できる機能の流動感知電極107が、作動電極104または補助電極105と適切に離れた距離に形成されている。
【0033】
また、前記作動電極104と補助電極105を隔離させる薄層隔離膜の前端部に常に一定量の試料を使用できる流路及び試料導入部100が形成されている。詳細には、試料導入通路部101と通気部102が交差形成され、試料導入通路部101と通気部102が出会う地点に余裕空間部103が形成された構造を有する試料導入部100を具備する。L字型形態の試料導入部100は、バイオストリップセンサー前端部からの速くて正確かつ便利に血液試料の導入を可能にする。このような試料導入部100は、試料導入通路部101、通気部102そして試料導入通路部101と通気部102が交差形成して、試料導入通路部101と通気部102が出会う地点に余裕空間部103が形成された構造を有する。本明細書で"交差形成されている"というのは、試料導入通路部101と通気部102が一直線に配列されていることではなく一点で交差する構造になていることを意味する。測定する間、前記余裕空間部103は一定で正確な試料量が通路内に充満するように製造され、通気部102を通じて過量の試料を放出する時にも役に立つ。即ち、前記余裕空間部103は、試料導入通路部101が折れ曲がる角の部位(または交叉点部位)で発生し得る気泡形成を最小化する役割をする。前記部位に気泡が形成されると正確な測定が難しいという問題点がある。さらに、前記の気泡で充ちない正確な試料の量を保障するために余裕空間部103を含む試料導入通路部101は、親水性処理が要求される。
【0034】
前記試料導入通路部101と通気部102の幅の比は、試料の素早い導入を可能にするために1/2以下、最も好ましくは1/5〜1/2の範囲で調節することが好ましい。1/2以下に調整することにより正確な試料の量を保障できるだけではなく試料が速い速度で通気部102へ移動できるようになる。
【0035】
前記試料導入通路部101と通気部102がなす角度(φ)は、図1aに図示したように90°をなすことが好ましいが、必ずしもこれに限定されることはなく、45〜135°、好ましくは60〜120°、最も好ましくは75〜105°の範囲内で適切に調節できる。
【0036】
試料導入部100が試料を収容できる全体容積は、0.1〜3.0μlに調節することが好ましい。より好ましくは0.1〜1.0μl、さらに好ましくは0.3〜0.7μlの範囲内で調節する。前記の容積が0.1μlより小さい場合にはセンサーの誤差範囲によって影響を受けて正確な測定が保証されず、前記の容積が3.0μlを超過する場合には過度な血液採取による問題点があり好ましくない。また、試料導入通路部101は、流動感知電極107を配置する場所としても利用される。
【0037】
特に、前記試料導入部100及び流路は、流動感知電極107を使用して全血試料の流動性を測定するには有利である。全血でヘマトクリット値は、全血の流動性と電気伝導性を変化させることにより、本発明で提示したL字型の毛細管通路を通じて血液が流れる時間は、血液内のヘマトクリット値に比例して変化する。このような血液試料の流動性変化は、流動感知電極107を使用して感知することにより、実際血液内の血糖値測定でヘマトクリット値による誤差を訂正するのに使用される。また、使用可能年限が近づいたストリップ電極の場合または作動電極104を覆った試薬層の組成が不適切な場合に血液の流れ速度が大きく影響を受ける。ゆえに、流動感知電極107で測定した試料の流れ速度は、バイオセンサーの保管年限に対する推定や製作工程上の誤謬を校正するのに使用できる。
【0038】
薄層電気化学セルの入口から試料は、作動電極104と流動感知電極107または流動感知電極107と作動電極104を順次過ぎて、電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの電気的変化を2回惹起して試料がセルの流路を過ぎる時間に対する情報を提供する。前記バイオセンサーは、試料が薄層電気化学セルの微細流路内で流れる速度から試料に含まれた基質の量を精密に決定したり、バイオセンサーの製作または保管状態を決定するのにも向上した機能を提供する。
【0039】
さらに、バイオセンサー中、上部基板300には下部基板400の流動性感知電極が一定部分見えるように試料確認窓301を具備できる。前記試料確認窓(viewing window)301から試料の充満可否を視覚的に確認する。
【0040】
上述したように電極構造は、生体から抽出した試料内に含まれた基質の酵素と電子伝達媒介体により生成された連続した酸化/還元反応の循環(cycling)効果により数秒以内に電流値が正常状態(steady state)に到達し、特徴的には2秒程度の時間に正常状態に到達する。この場合、速い反応が起きるために作動電極または補助電極の片方だけを覆った試薬層は、試料注入口を通じて注入された試料により容易に溶解が可能でなければなならない。
【0041】
本発明で提示した適切な濃度の塩化ヘキサアミンルテニウム(III)は、Fe系列の電子伝達媒介体より数十倍速い電子伝達が可能である。塩化ヘキサアミンルテニウム(III)と適切な濃度の脂肪酸及び4級アンモニウム塩、そして補助的な酵素分散剤は血液と混ぜる時、速く溶解して血液のヘマトクリット値差による依存性向を大幅に減少させられる反応試薬組成物を形成する。
【0042】
したがって、前記のバイオセンサーは、ヘマトクリットの量による測定誤差を減少させられる感応膜組成物を備えている。より詳細には、前記感応膜組成物は、酵素、電子伝達媒介体、水溶性高分子、脂肪酸及び4級アンモニウム塩を含む。
【0043】
前記感応膜組成物は、アスコルビン酸、アセトアミノフェン及び尿酸等のような血液内妨害物質による信号の大きさ変化の影響を減少させ、またヘマトクリット値効果を大幅に減少させる。
【0044】
前記酵素は、前記スキーム1に示したように、測定しようとする多様な代謝物質と反応して還元される。以後、還元された酵素と電子伝達媒介体と反応して代謝物質を定量する。
【0045】
本発明は、血糖値測定バイオセンサーを実施例に説明したが、血糖検査の適用と同様に特定酵素にふさわしい電子伝達媒介体を導入することにより多様な代謝物質、例えばコレステロール、乳酸、クレアチニン、タンパク質、過酸化水素、アルコール、アミノ酸、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミラーゼ(GPT)、グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミラーゼ(GOT)等、酵素等の生体試料、環境試料、農業工業試料または食品試料中の多様な有機物または無機物濃度も同様な方法で定量できる。
【0046】
したがって、本発明は、感応膜組成物に含まれる酵素の種類を変えることにより、多様な代謝物質の定量に利用できるものと理解されなければならない。例えば、血糖酸化酵素、乳酸酸化酵素、コレステロール酸化酵素、グルタミン酸酸化酵素、西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、アルコール酸化酵素等を使用して、コレステロール、乳酸、グルタミン酸、過酸化水素及びアルコールの定量を行なえる。好ましくは、グルコ−スオキシダーゼ(glucose oxidase; GOx)、糖脱水素酵素(glucose dehydrogenase; GDH)、コレステロール酸化酵素、コレステロールエステル化酵素、乳酸酸化酵素、アスコルビン酸酸化酵素(ascorbic acid oxidase)、アルコール酸化酵素、アルコール脱水素酵素、ビリルビン酸化酵素(bilirubin oxidase)及び糖脱水素化酵素からなる群から選択される酸化酵素を使用する。本発明の実施例では、血糖値測定バイオセンサーで使用される酵素としてグルコ−スオキシダーゼまたは糖脱水素化酵素を使用した。
【0047】
電子伝達媒介体は、代謝物質と反応して還元された酵素と酸化還元反応して還元される。前記還元状態の電子伝達媒介体は、電極表面まで拡散されることにより電極表面に酸化電位を印加させて電流を発生させる役割を果たす。
【0048】
従来に使用されたフェロセン(ferrocene)、フェロセン誘導体、キノン(quinones)、キノン誘導体、有機伝導性塩(organic conducting salt)、またはビオロゲン(viologen)を排除するのではなく、好ましくは塩化ヘキサアミンルテニウム(III)(hexaammineruthenium(III)chloride)、フェリシアン化カリウム(potassium ferricyanide)、フェロシアン化カリウム(potassium ferrocyanide)、ジメチルフェロセン(dimethylferrocene)、フェリシニウム(ferricinium)、フェロセンモノカルボン酸(ferocene monocarboxylic acid(FCOOH))、7,7,8,8,-テトラシアノキノジメタン(7,7,8,8-tetracyanoquino-dimethane(TCNQ))、テトラチアフルバレン(tetrathia fulvalene(TTF))、ニッケロセン(nickelocene(Nc))、N-メチルアシジニウム(N-methyl acidinium(NMA+))、テトラチアテトラセン(tetrathiatetracene(TTT))、N-メチルフェナジニウム(N-methylphenazinium (NMP+))、ヒドロキノン(hydroquinone)、3-ジメチルアミノ安息香酸(3-dimethylaminobenzoic acid(MBTHDMAB))、3-メチル-2-ベンゾチオゾリノンヒドラゾン(3-methyl-2-benzothiozolinone hydrazone)、2-メトキシ-4-アリールフェノール(2-methoxy-4-allylphenol)、4-アミノアンチピリン(4-aminoantipyrin(AAP))、ジメチルアニリン(dimethylaniline)、4-アミノアンチピレン(4-aminoantipyrene)、4-メトキシナフトール(4-methoxynaphthol)、3,3',5,5'-テトラメチルベンチジン(3,3',5,5'-tetramethyl benzidine(TMB))、2,2-アジノ-ジ-[3-エチル-ベンゾチアゾリンスルホン酸](2,2-azino- di-[3-ethyl-benzthiazoline sulfonate])、o-ジアニシジン(o-dianisidine)、o-トルイジン(o-toluidine)、2,4-ジクロロフェノール(2,4-dichlorophenol)、4-アミノフェナゾン(4-amino phenazone)、ベンチジン(benzidine)及びプルシアンブルー(prussian blue)からなる混合電子価化合物中から選択されたものを使用する。
【0049】
本発明で好ましい電子伝達媒介体としては、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)であるもので、これは形式電位が充分に低く、血液内のアスコルビン酸(ascorbic acid)、アセトアミノフェン(acetaminophene)及び尿酸(uric acid)のような多様な妨害種による影響を最小化できる特性を有する。
【0050】
使用する酵素の特性がさらに良く発現されるために固体状態の感応膜組成物に対して ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone; PVP)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol; PVA)、ポリフルオロスルホナート(perfluoro sulfonate)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethyl cellulose; HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose; HPC)、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose; CMC)、酢酸セルロース(cellulose acetate)またはポリアミド(polyamide)等のような高分子中から選択された一つ以上の物質を0.1〜10重量%含有するように使用することが好ましく、PVPとHPCを使用することがより好ましい。
【0051】
また、本発明の感応膜組成物は、ヘマトクリット(hematocrit)の量による測定誤差を大幅に減少させられる物質として、脂肪酸及び4級のアンモニウム塩を含有する。
【0052】
脂肪酸は、感応膜組成物に添加されることによりヘマトクリット値水準依存性向を減少させる役割を果たす。また、高濃度領域でバイオセンサーの線形動的領域(linear dynamic range)を減らす傾向を示す。
【0053】
前記脂肪酸は、水または水溶液に溶解してから組成物に添加し、固体状態の組成物に対して0.1〜20重量%を添加する。本発明で脂肪酸は、C4〜C20の炭素鎖を有する脂肪酸またはその脂肪酸塩を使用し、好ましくはC6〜C12からなるアルキル炭素鎖を有する脂肪酸またはその脂肪酸塩を使用する。前記の脂肪酸としては、飽和脂肪酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸及びアラキジン酸を含む。
【0054】
また、前記の脂肪酸と共に4級のアンモニウム塩を感応膜組成物に添加することにより、ヘマトクリット値依存性向をさらに減らすことができる。
【0055】
好ましくは、ドデシルトリメチルアンモニウム、エシルトリメチルアンモニウム(ecyltrimethylammonium)、ミリスチルトリメチルアンモニウム(myristyltrimethylammonium)、セチルトリメチルアンモニウム(cetyltrimethylammonium)、オクタデシルトリメチルアンモニウム(octadecyltrimethylammonium)及びテトラヘキシルアンモニウム(tetrahexylammonium)等のハロゲン化化合物のような4級アンモニウム塩(quaternary ammonium salt)を使用する。本発明では、その効果を考慮して固体状態の感応膜組成物に対して、0.1〜30重量%添加する。
【0056】
本発明による組成物で調製された感応膜は、作動電極104上に分注器で簡単に塗布して形成させられる。ここで、感応膜組成物の量は、300〜500nlが好ましく、200nl以下を使用することがさらに好ましい。
【0057】
下記には、前記の構成を有するバイオセンサーを利用して血糖を測定する方法に対して記述する。前記の測定方法はストリップセンサー509を血糖値測定器500に装着後、バイオセンサーを作動させ、下記の工程で測定を進行できる。バイオセンサーの作動概念を図4bの回路図で簡略に示した。
【0058】
工程1は、ストリップセンサー(薄層電気化学セル)509が挿入された測定器500に患者の腕から採取した血液試料を投入するものある。
【0059】
ここで、患者から血液試料を採取する時の苦痛を最小化しながら採血するための試料の好ましい量は、0.1〜0.7μlであり、これら試料が前処理過程なしに導入される。本発明の測定方法に使用されるバイオセンサーを使用すると、前記少量の血液試料から正確に速く血糖を測定できる。これは、前記バイオセンサーの試料導入部100には、幅0.5〜2mmで高さ50〜250μmを有する流路が形成されていて、血液試料の導入を容易にするためである。
【0060】
工程2は、作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間に一定電位差をあたえる。
【0061】
ストリップを測定器に挿入すると(工程1)、それをバイオセンサーが感知して作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間に、前もって予定された一定な電位がかけられる。ここで、作動電極104と流動感知電極107に加えられた電位は独立的であり、全体回路は開放回路(open circuit)を形成する。試料注入による電気的変化が開放回路状態で電位差として現れ、前記電位差信号をバイオセンサーの測定過程の開始信号に使用する。
【0062】
酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層は、作動電極104または補助電極105 中いずれか一方の電極にだけ形成されていて、前記電極間間隔は正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節されるように配列されることが好ましい。ここで、前記酵素としては、好ましくは上述した酵素中、グルコ−スオキシダーゼ(glucose oxidase; GOx)、または糖脱水素化酵素(glucose dehydrogenase; GDH)を使用する。また、前記電子伝達媒介体として好ましくは、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)を使用する。さらに、上述したように、前記反応試薬層には脂肪酸と4級アンモニウム塩を付加的に含むことができる。
【0063】
また、感応膜組成物は、作動電極104または作動電極104及び流動感知電極107に形成されていて、これら電極間の間隔もまた正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節されるよう配列されることが好ましい。
【0064】
工程3は、前記血液試料の流入が作動電極104と補助電極105間に1次電気的変化を誘発して前記電極間の電圧を同じに調整する。前記電圧を同一にするために電流が流れ、前記試料と反応試薬層間の酸化還元反応を数秒間抑制する。本発明による酸化還元反応の抑制時間は、0.001乃至3秒の範囲内で調節することを特徴とする。
【0065】
ストリップを測定器に挿入したとしても全体回路が連結されるのではない。即ち、試料導入部100を通じて血液試料が導入されると、1次瞬間電流の流れが感知され流動時間測定が開始される。ストリップの流路入口に注入された試料は、電解質を包んでいてスイッチの役割をして作動電極104と補助電極105間の電極連結部106を通じて電流が流れるようになり、この時流れる電流は作動電極104と補助電極105間の電圧を同一にして試料が反応試薬層と混ざる数秒間、好ましくは3秒、さらに好ましくは2秒以下の時間、これらの酸化還元反応を抑制する。前記過程の間の回路は閉回路(closed circuit)を維持する。
【0066】
工程4は、血液試料が流動感知電極107に達すると流動感知電極107が前記血液試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして再び前記補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整することにより、作動電極104で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供する。
【0067】
試料が余裕空間部103に接触すると同時に2次瞬間電流が感知され、1次及び2次瞬間電流間の時間間隔が記録される。即ち、薄層電気化学セルの入口に注入された試料は、作動電極104と流動感知電極107または流動感知電極107と作動電極104を順次過ぎて、電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの電気的変化を2回惹起して試料がセルの流路を流れる時間に対する情報を提供する。
【0068】
流動感知電極107は、作動電極104と適切な距離離れている。好ましくは血球の量が40%でありフッ素処理された血液が幅0.5〜2mm以内、高さ50〜250μmの流路にしたがって約 600ms以内に到達できる距離に位置することが好ましい。フッ素処理されていない試料に対しては300ms以内に、より好ましくは200ms以内に到達できる距離に位置する。
【0069】
本発明のバイオセンサーの試料導入部100及び流路は、流動感知電極107を使用して全血試料の流動性を測定するのに有利である。試料の流動性は、余裕空間部103または通気部102いずれか一方に位置させて、流動性感知電極と試料導入口から初めて出会う地点の電極間で試料が満たされる速度として決定される。
【0070】
電気化学セル内50〜250μm厚みの薄層隔離板に形成された流路は、一定量の試料を導入できる直線構造の試料導入通路部101と毛細管作用を助ける通気部102を備えた構造を有する。全血でヘマトクリット値は、全血の流動性と電気伝導性を変化させるため、本発明のバイオセンサー中、中間隔離板で提示したL字型の毛細管通路にそって血液が流れる時間は、血液内のヘマトクリット値に比例して変化する。このような血液試料の流動性変化は流動感知電極107を使用して感知することにより、実際血液内の血糖値測定でヘマトクリット値による誤差を訂正するのに使用できる。また、使用可能年限が近づいたストリップ電極の場合または作動電極104を覆った試薬層の組成が適切な場合にも、血液の流れ速度が大きく影響を受けるため流動感知電極107で測定した試料の流れ速度は、バイオセンサーの保管年限に対する推定や製作の工程上の誤謬を校正するのに使用できる。試料充満時間(X)とヘマトクリット値間の関係式(fitting eguation)を下記の数式1に示す。
【0071】
[数式1]
Y = -72.23 + 0.58691X - 0.00084073 X2 - 1.1211x10-6 X3 + 5.7521x10-9 X4 - 9.1172x10-12 X5
【0072】
流動感知電極107は、血液試料の非正常的な流動性を区別する。これは試料のヘマトクリット値が低すぎたり高い水準を有したり空気泡形成による血液試料の間違った導入等により発生し得る。この場合、測定装置でプログラムによる警告メッセージや誤謬コードが現れる。
【0073】
工程5は、血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105に所定の電圧が印加され、前記電極間に電位差が発生するようにして対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値をよむのである。ここで、数秒以内、好ましくは2秒〜10秒以内に正常状態に到達する。本発明の対面形電極は従来の平面形電極に比べて試料に対する速い応答速度と高い平衡状態電流(steady-state current)を得ることができる。対面形電極は、使用した電子伝達媒介体の反応速度及び電子伝達速度が適切なら、速く正常電流を提供する。
【0074】
工程6は、工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を決定するものである。本発明による血糖値測定に所要される全体時間が5秒以内、好ましくは4秒以内、より好ましくは3秒以内に起きるように遂行される特徴を有している。
【0075】
本発明の血糖値測定は、生体から抽出した試料内に包まれた基質が酵素と電子伝達媒介体により連続的に酸化/還元反応するように製作し、その反応過程で移動する電子の量を測定して基質の量を定量することにより達成できる。さらに、試料が薄層電気化学セルの微細流路内で流れる速度から試料に含まれた基質の量をより精密に決定したりバイオセンサーの製作または保管状態を決定するのに役立つ。
【0076】
前記工程1乃至6の過程は下記に示す過程でも進行できる。
(1)ストリップが挿入された測定器に血液試料が流入する(工程1)。
【0077】
(2)作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間に一定な高い周波数の交流電圧をかける。ここで、作動電極104と流動感知電極107に加える電圧は独立的であり、全体回路は開放回路(open circuit)を形成する(工程2)、作動電極104と補助電極105には流動感知電極107と補助電極105に交流電圧を加えた状態で試料注入による電気的変化がキャパシタンスで現れ、前記変化をバイオセンサーの測定過程の開始信号として使用する。
【0078】
(3)ストリップの流路入口に注入された試料は、作動電極104と補助電極105間の1次キャパシタンスを変化させ、ここでキャパシタンス変化は作動電極104と補助電極105間に同一な電圧をかけるようになり試料が反応試薬層と混ざる数秒間、好ましくは3秒、さらに好ましくは2秒以下の時間、酸化還元反応を抑制する。この過程中、回路は閉回路(closed circuit)を維持するようにする(工程3)。
【0079】
(4)試料が流動感知電極107に到達すると、2次キャパシタンス変化が起きる。この変化は再び補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整し、始めに作動電極104で感知された変化との時間差の情報を提供する(工程4)。
【0080】
(5)血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間の電圧差を一定水準以上にして、対面形薄層電気化学セルの特徴的な循環反応(cycling reaction)が起きるようにして数秒以内、好ましくは2秒以内に到達した正常電流値を読む(工程5)。
【0081】
(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流の値を使用して試料内に存在する基質の量を決定する。全体測定時間は5秒以内、好ましくは4秒以内、さらに好ましくは3秒以内に起きるようにする。
【0082】
また、他の方法としては、(1)ストリップが挿入された測定器に血液試料が流入すると、作動電極104と補助電極105間と流動感知電極107と補助電極105間の高インピーダンス入力(high impedance input)回路の測定器が活性化される(工程1)。
【0083】
(2)ストリップの流路入口に注入された試料は、電解質を包み電極と試料間の界面で1次的な電位差を形成する(工程2)。
【0084】
(3)この変化を読み、作動電極104と補助電極105間に同一な電圧がかかるようにして試料が反応試薬層と混ざる数秒間、好ましくは3秒、さらに好ましくは2秒以下の時間、酸化還元反応を抑制する。この過程中の回路は閉回路(closed circuit)を維持するようにする(工程3)。
【0085】
(4)試料が流動感知電極107に達すると2次電圧変化が起きる。この変化は再び補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整し、始めに作動電極104で感知された変化との時間差の情報を提供する(工程4)。
【0086】
(5)血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間の電圧差を一定水準以上にして、対面形薄層電気化学セルの特徴的な循環反応(cycling reaction)が起きるようにして数秒以内、好ましくは2秒以内に到達した正常電流値を読む。
【0087】
(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流の値を使用して試料内に存在する基質の量を決定する。全体測定時間は5秒以内、好ましくは4秒以内、さらに好ましくは3秒以内に起きるようにする。
【0088】
上に提示した方法以外にも、作動電極104と補助電極105、流動性感知電極と補助電極105間に直流、低周波または高周波交流、高インピーダンスまたは多様な形態のパルス、好ましくは矩形波、三角波、半正弦波、ガウス波等を使用して全体測定過程を調節できる。但し、ここで試料注入時に発生する電気的変化による試料注入時間決定は、作業電極と基準電極兼補助電極105間にかかる過程及び電流を測定する過程とは無関係に進行され、測定が終わった後、試料が作動流動性感知電極間を移動する時間に対する情報を化学反応で測定された電気化学的変化を校正するのに使用し、これはすでに入力された情報を処理するソフトウエアーで行なう。
【発明の効果】
【0089】
本発明の測定方法によると、血液のヘマトクリット値差による依存性向を試料の流動性 情報により大幅に減少させることができ、非正常的に流動性が低いかまたは高い血液試料を区分することにより、使用者が間違った情報を得る可能性を大幅に減らす一方、バイオストリップセンサーの使用可能年限に近づくことによる血液注入速度の変化を感知してストリップ製造の品質管理の便利性を提供できる。また、本発明の測定方法は、血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入して、ヒトから採血された少量の試料から5秒以内に血糖の測定結果を正確に速く応答できる利点を提供する。
【0090】
また、上述した試料導入部100が具備されたバイオセンサーは、下記に示す様々な利点を提供する。(1)血液試料を毛細管現象で速く吸い込む時、交叉点部位に余裕空間部103を作り若干の余裕空間をおくことにより、試料導入通路部101が曲がる隅の部位で発生し得る気泡形成現象を最小化することができ、(2)試料導入部100が細い入口と通気部102により良く取り囲まれていて、全体試料通路の上部分が上部基板300(またはカバー)で覆われているのでセンサーを測定する器具に装着したり脱着時に導入された試料が漏出して手につくことが減り、衛生的であり測定中の試料蒸発による濃度の変化を最小化して分析的再現性を向上させられる。そして、(3)試料通路部と通気部102が概略的に垂直な形態をなしている試料導入部100を有するバイオセンサーは、予定された量の血液試料の速い導入が可能で、バイオセンサーの正確性と信頼度及び再現性を向上させられる。(4)最後に、試料導入部100はセンサーの端部分から試料を導入できるように考案されたもので、採血部位で測定する血液と容易に接触できるので試料導入が非常に便利であるという長所を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するためだけのものであり、本発明の範囲が下記の実施例により限定されたり制限されたりすることはない。ゆえに、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者なら、本発明の技術的思想を外れない範囲内で本発明を自由に変形及び変更することができ、それはまた、本発明の範囲に属することは自明である。
[実施例]
【0092】
実施例1:脂肪酸を使用しない感応膜試薬の準備
塩化ヘキサアミンルテニウム(III)30mg(41.6重量%)とカルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose)1mg(1.4重量%)、トリトンX-100(1.4重量%)1mg、そしてグルコ−スオキシダーゼ40mg(55.6重量%)を含んだ混合物を、pH6.4の1mlPBS緩衝溶液に溶解して、溶液内に残っている微粒子は濾して除去した。前記得られた試薬溶液を空気圧縮分注器(EFD XL100)の注射器内に保管した。
【0093】
実施例2:脂肪酸を使用した感応膜試薬の準備
塩化ヘキサアミンルテニウム(III)30mg(23.6重量%)とカルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose)1mg(0.8重量%)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone; PVP)5mg(4重量%)、トリトンX-100 1mg(0.8重量%)、ラウリン酸(lauric acid)20mg(15.7重量%)、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム(myristyltrimethylammonium bromide)30mg(23.6重量%)、そしてグルコ−スオキシダーゼ40mg(31.5重量%)を含んだ混合物をpH6.4 の1mlPBS緩衝溶液に溶解して、溶液内に残っている微粒子は濾して除去した。前記得られた試薬溶液を空気圧縮分注器(EFD XL100)の注射器内に保管した。
【0094】
実施例3:本実施例は、血糖値測定方法を記述する。
図2乃至図3a、図3bの補助電極105を薄層電気化学セル形バイオセンサーの基準電極に使用した。血糖値測定用薄層電気化学セルは次のように製造する。
【0095】
図2乃至図3a、図3bのような形態の作動電極104と導体物質を厚く積層構造で印刷し、補助電極と3次元的に連結される部位が形成される電極連結部106を炭素ペーストでスクリーンプリントした後、140℃で5分間熱処理した。その後、電極連結部106の端部分に銀ペーストを中間基板200電極の厚みになるようにスクリーンプリントして回路連結部を完成した。上部基板300電極上に炭素ペーストで基準電極兼補助電極105をスクリーンプリントし、下部基板400電極製作時と同一条件で熱処理した。基準電極兼補助電極105の端部分を銀ペーストで回路連結部を形成させて、対面形バイオセンサーの上部基板電極を製作した。
【0096】
ポリエステル材質の両面テープに図2乃至3図に図示された模様の試料導入通路部101、通気部102及び余裕空間部103と流動感知電極107の端部分が前記余裕空間部103に位置するように中間基板200をプレス金型で製作した。試料導入通路部101と通気部102の幅の比は2:1になるように調節した。前記のように形成された試料導入部100が試料を収容できる全体容積は0.5μlになるように製作した。
【0097】
図2乃至3a、3bに示されたように、バイオセンサーを完成するために電極が印刷された下部基板400上に中間基板200を圧着して組み立てた。続いて、露出された試料通路部位の作動電極104上に前記実施例1または2による感応膜試薬溶液を塗布した後、45℃で30分間乾燥させた。酵素混合物が乾燥された後、中間基板200の上面を上部基板300電極に回路連結部がよく連結するように圧着して対面形バイオセンサーを製作した。ここで、図3aの場合は流動感知電極が下板に具備された対面形電極を、図3bの場合は流動感知電極が上板に具備された対面形バイオセンサー電極を製作した。
【0098】
前記製作されたセンサーで血糖濃度を測定するために、患者の腕から血液試料0.5μlをストリップに採血した。前記ストリップが測定器のストリップ挿入口内に挿入されると測定器が作動し開める。前記ストリップが測定器に挿入されると、セル内200mVの電位差が作動電極104と補助電極105(基準電極)間に印加される。
【0099】
詳細には、ストリップが挿入された測定器の動作順序を下記に示す。
ストリップセンサー509が挿入された測定器500に採取した血液試料を投入すると(工程1)、作動電極104と補助電極105間及び流動感知電極107と補助電極105間に一定な電位差が与えられ(工程2)、ストリップの試料導入部を通じて流入された前記試料が作動電極104と補助電極105間に1次電気的変化を誘発し、前記電極間の電圧を同じに調整するようになり(工程3)、流動感知電極107が前記試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして前記補助電極105と流動感知電極107間の電圧を同じに調整することにより作動電極104で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供し(工程4)、血液試料と作動電極104に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極104と補助電極105間に200mVの電圧が印加され対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値を読んだ後(工程5)、工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を測定することにより(工程6)血糖を測定した。
【0100】
即ち、このような一連の過程を通じて本発明のバイオセンサーは血液内の血糖の量を容易く速く正確に測定できる。
【0101】
実験例1:対面形グルコースセンサーの走査速度による循環電圧電流度(cyclic voltammogram)
実施例3によって製作された対面形電極を使用してお互いに異なる走査速度による循環電圧電流度を調べてみた。
【0102】
実験条件は、0.05mM[Fe(CN)6/[Fe(CN))6]4-溶液が含まれた1M KCl溶液下で実行した。その結果、3mV/s以下の走査速度で本発明による電極は微小電極の平衡状態電流性格を持つS曲線を示した。詳細には、限界条件下で二電極表面の濃度がゼロになり、電流は電位と独立的で限界電流は電位と独立的になる。走査速度が大きくなるにつれ、可逆と非可逆間のヒステリシス(hysteresis)は大きくなる。Vが20mV/sより大きいか等しくなる時のCVは、本発明に使用した対面形電極でS信号ではない平面形電極の信号と同じ形状を示す。その結果を図5に示した。CVでピーク分離(peak separation)は、約55mVであり、このような値は電極と[Fe(CN)6]3-/4-間の高い可逆的な電子伝達過程を示したものである。
【0103】
結論的に、前記の結果は線形スイープ形電気量計(linear sweep voltammeter)上の平面拡散側の半球形(hemispherical)拡散変化効果による不規則に形成された微小電極(random assembled microelectrode)の研究結果と類似な結果を示す。これは本発明に使用する炭素電極が不規則なサイズの炭素微粒子が集まって一つの電極を構成する微小電極と類似な性質を有していることを提示している。
【0104】
実験例2:対面形グルコースセンサーと平面形センサーの対時間電流法的(Chronoamperometric)感応時間比較
実施例3により製作された対面形電極と電極が一枚の絶縁体上に形成された平面形電極の対時間電流法的感応比較結果を下記に示す。
【0105】
対面形電極は、平面形電極に比べて試料に対する速い応答速度と高い平衡状態電流(steady-state current)を得ることができた。結果を図6に示した。対面形電極は使用した電子伝達媒介体の反応速度及び電子伝達速度が適切なら速く正常電流を提供する。ここで、電極の配列と反応試薬層の組み合わせにより変化する正常電流の条件を判断するために正常電流時間常数(t* = Dt/d2)を使用する。
【0106】
本発明の一実施例として製作したバイオセンサーの感応曲線は、正常電流に至る時間が約2秒程度であり、電子伝達媒介体塩化ヘキサアミンルテニウム(III)の拡散係数は、1.8x10-5 cm2/s、電極間間隔は約100μmであり、t* = 0.36になることがが分かる。
【0107】
既存の研究結果(J. F. Cassidy等, Analyst, 1993年,第118巻, 415頁)によると、t*>0.01の条件を満足する時、正常電流に達することができる。本発明で提示するバイオセンサーのt*は、0.05以上8.0以下の条件を満足する。
【0108】
図7はグルコース濃度が2.77から33.3mMまでで、2.77mM増加による対面形電極の対時間電流法的感応結果を示す。このような反応時間は、グルコース濃度が濃くなるほど増加した。しかし、図7から分かるように、決定範囲内で2秒以内の速い平衡状態電流(steady-state current)を得ることができた。このようにさらに速く完全な平衡電流状態応答は迅速なデータ処理と共にセンサーの分析的履行の向上を可能にする。
【0109】
実験例3:対面形グルコースセンサーでの妨害物質による影響検証
実施例3により製作された平均値0.5μl試料導入部100を有する対面形グルコースセンサーでのグルコース、アスコルビン酸、アセトアミノフェン及び尿酸等の妨害物質及び緩衝溶液に対する影響を測定した。
【0110】
詳細には、(a)グルコース177mg/dLをPBS緩衝溶液(PBS Buffer pH7.4)に溶解した溶液、妨害物質である(b)グルコース177mg/dL + アセトアミノフェン660μM、(c)グルコース177mg/dL + アスコルビン酸570μM、(d)グルコース177mg/dL + 尿酸916μMを含む各々の溶液に対する感応電流を測定した。
【0111】
ここで、全体感応電流は、基準電極対比印加電位+0.2V電位を作動電極104にかけて5秒後に対時間電流法の感応を読んで測定した。結果を図8に示した。
【0112】
図8から分かるように、グルコース177mg/dLをPBS緩衝溶液(PBS Buffer pH7.4)に溶解した溶液に対する測定結果(a直線)と妨害物質に対する影響を調べるために各々グルコース177mg/dLにアセトアミノフェン660μM(b直線)、アスコルビン酸570μM(c直線)、尿酸916μM(d直線)を含む溶液に対する測定結果は大差が無かった。このような結果から、基準電極(Ag/AgCl)対比印加電位0.2Vでは電気化学的バイオセンサーに対する妨害物質の作用が微微であることが分かる。
【0113】
実験例4:対面形グルコースセンサーのグルコース標準溶液に対する検定
実施例3により製作された対面形グルコースセンサーを利用してグルコース標準溶液に対する検定テストを行なった。
【0114】
詳細には、各々のグルコース濃度が、0、50、150、300、450及び600mg/dLの標準溶液で、各濃度当たり10回ずつ基準電極対比印加電位0.2Vで電流値を測定した。ここで、センサー導入部に適用された試料の量は、0.5μlであり、試料が導入部を満たすのにかかる時間は約200ms以内だった。測定は、試料が試料導入部100を満たした後、2秒の反応時間を与え、次に0.2Vの電圧を3秒間加えて5秒後の電流値を測定した。結果を図10に示した。
【0115】
図10は、クロノアンペロメトリー法測定の動的感応曲線であり、各々の曲線はグルコース0 mg/dL(a曲線)、50mg/dL(b曲線)、150mg/dL(c曲線)、300mg/dL(d曲線)、450mg/dL(e曲線)及び600mg/dL(f曲線)を示したものである。
【0116】
図10に見られるように、本発明のバイオセンサーは短い時間に正常電流(steady state current)に到達して測定に対する結果が迅速で正確であることを示している。
【0117】
また、本発明のバイオセンサーで得られる感応傾きは、0.093[μA/(mg/dL)]であり、相関係数は0.997で、本発明のバイオセンサーが卓越した直線性感応を示した(図9参照)。
【0118】
実験例5:血液流動性測定とヘマトクリット値の影響補正
実施例3により製作された流動感知電極が具備した対面形グルコースセンサーを利用して血液流動性測定とヘマトクリット値の影響補正テストを行なった。
【0119】
詳細には、200mVの電位を作動電極104と流動感知電極107に印加した。試料導入部100を通じて血液試料が導入されると1次瞬間電流の流れが検知され、流動時間測定が開始される。試料が余裕空間部103に接触すると同時に、2次瞬間電流が感知され、第1及び第2の瞬間電流間の時間間隔が記録される。このような試料導入時間とヘマトクリット値間の相関関係を図11に示した。実験は、180mg/dL血糖と多様な量のヘマトクリット値の水準を含むフッ化ナトリウム(sodium fluoride)で処理された全血を使用して実施した。
【0120】
実験結果、下記数式1の関係式(fitting equation)を得ることができた。
【0121】
(数式1)
Y = -72.23 + 0.58691X - 0.00084073 X2 - 1.1211x10-6 X3 + 5.7521x10-9 X4 - 9.1172x10-12 X5
【0122】
(式中、Yは流動性感知電極を使用して測定された試料充填時間Xから得た推定されるヘマトクリット値である)
【0123】
下記表1は、試料充満時間の速度から推定されるヘマトクリット値を示す。
【0124】
【表1】
【0125】
独立的な実験で補正曲線は、多様なヘマトクリット値で全血を使用して得られた。そして、ヘマトクリット値と感応傾きの相関関係は表2に公式化された。
【0126】
【表2】
【0127】
このような方式で誘導された補正常数は、40%ヘマトクリット値を有する全血に対して測定された血糖水準を再補正するのに利用され、結果的にこのような補正を経たバイオセンサーは、ヘマトクリット値に影響を受けずに血糖濃度の測定をできる。即ち、測定器は最初に試料導入速度を読み、血液試料内のヘマトクリット値を決定する。そして、表から一致する補正曲線を捜して測定された電流値から補正された血糖値を決定する。
【0128】
表3はこのような方式で実行した実験の結果を示す。
【0129】
【表3】
【0130】
試料導入速度は、流動感知電極107で測定し、全血の血糖値を計算するために表 2の補正曲線を利用した。
【0131】
流動感知電極107はまた、血液試料の非正常的な流動性を区別することができた。このような現象は、低すぎたりあるいは高いヘマトクリット値を有する試料や空気泡形成による血液試料の間違った導入等から発生し得る。測定時このような場合は、測定装置でプログラムにより警告メッセージや誤謬コードが出るようにする。
【0132】
実験例6:試薬層に含まれた脂肪酸により減少したヘマトクリット値の妨害作用
実施例3によりバイオストリップセンサーを製作した。ヘパリン(heparin;血液凝固防止剤)で処理した全血試料は血漿とヘマトクリットに遠心分離機を利用して分離して、20、40、60%の三種類の異なるヘマトクリット値の血液試料を得るために再び混合した。
【0133】
血糖値測定におけるヘマトクリット値の影響は、実施例1と2で準備した試薬層を使用したバイオセンサーを使用して、三種の異なる血糖濃度で評価した。結果を表4及び表5に示した。
【0134】
【表4】
【0135】
ヘマトクリット値40%の結果と比べて外れている程度 = [(本発明バイオセンサーによる血糖値/YSI装備による血糖値)/( ヘマトクリット値40%での本発明バイオセンサーによる血糖値/ヘマトクリット値40%でのYSI装備による血糖値)-1]× 100
【0136】
【表5】
【0137】
実験結果、実施例2により準備された試薬を使用したバイオセンサーは実質的にヘマトクリット値による影響が明白に減少し、臨床学的許容範囲内にあるヘマトクリット値40%に対する相対誤差を示すことが明確に分かった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
前記の構成を有する本発明の測定方法によれば、血液のヘマトクリット値による依存性向を試料の流動性情報により大幅に減少させられ、非正常的に流動性が低いかまたは高い血液試料を区分することにより、使用者が間違った情報を得る可能性を大幅に減らす一方、バイオストリップセンサーの使用可能年限に近づくことによる血液注入速度の変化を感知してストリップ製造の品質管理の便利性を提供できる。また、本発明の測定方法は血液試料を前処理過程なしに速く一定に導入してヒトから採血された少量の試料から数秒以内、好ましくは5秒以内に血糖値の測定結果を正確に速く応答できる利点を提供する。
【0139】
また、前記の測定過程を導入したバイオセンサーは、前処理過程なしに速く一定に導入できる試料導入部100を具備し、さらに全血試料の流動性を測定できる流動感知電極107を具備したもので、構造が単純であり製造が容易で、0.1〜0.7μlの少量試料を前処理過程の必要なしに一定に導入でき、電極間の再現性が優れ、電極形成において作動電極104と補助電極105がお互いに対称または非対称に向かい合う対面形形態で二電極の間隔は数百μm以内の薄層電気化学セル(thin layer electrochemical cell)構造からなる、生体から抽出した試料内に含まれた基質である酵素と電子伝達媒介体により生成され連続した酸化/還元反応の循環(cycling)効果により2秒以内に電流が正常状態(steady state)に到達する。この場合、速い反応が起きるために作動電極104または補助電極105の一方にのみを覆った試薬層は、試料注入口を通じて注入された試料により容易に溶解が可能でなければならない。本発明は、ルテニウムを電子伝達媒介体に使用することにより、Fe系列より10倍速い電子伝達が可能であり、容易に溶解される長所がある。そして、前記バイオセンサーに使用される反応試薬においては、ヘマトクリット値による測定誤差を大幅に減少させた感応膜組成物を使用することにより血液内妨害物質と血液内の電極活性物質、またヘマトクリット値による信号の大きさ変化の影響を大幅に減少させる利点を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明による好ましい一例の薄層電気化学セルを図示した分解斜視図である。
【図2】本発明による好ましい一例の対面形バイオセンサーの分解斜視図である。
【図3a】本発明による好ましい一例の試料導入部100が導入され試料の流動性感知電極が上板に具備された対面形バイオセンサーの分解斜視図である。
【図3b】本発明による好ましい一例の試料導入部100が導入され試料の流動性 感知電極が下板に具備された対面形バイオセンサーの分解斜視図である。
【図4a】上端に測定ストリップが挿入されている状態を図示した両方向血糖値測定器の平面図である。
【図4b】本発明による好ましい一例のバイオセンサーの作動順序に対する内部回路構成図である。
【図5】本発明による好ましい一例の対面形バイオセンサー電極の循環電圧電流図(cyclic voltammogram)である。
【図6】本発明による好ましい一例の対面形電極と平面形電極を比較した、対時間電流法的(chronoamperometric) 感応結果を示したグラフである。
【0141】
【図7】本発明による一例の対面形電極のグルコース濃度による対時間電流法的(chronoamperometric) 感応結果を示したグラフである。
【図8】本発明による一例の対面形バイオセンサーの妨害物質による影響測定図である。
【図9】本発明で対面形バイオセンサーのブドウ糖標準溶液に対する検定曲線グラフである。
【図10】本発明で対面形バイオセンサーのブドウ糖標準溶液に対する定圧電流法動的 感応曲線グラフである。
【図11】本発明の対面形バイオセンサーで試料流動性とヘマトクリット値間の関係を図示した曲線グラフである。
【符号の説明】
【0142】
100:試料導入部 101:試料導入通路部
102:通気部 103:余裕空間部
104:作動電極 105:補助電極または基準電極
106:電極連結部 107:流動感知電極
108:バイオセンサー確認電極 200:中間基板
300:上部基板 301:試料確認窓
400:下部基板 500:血糖値測定器
501:測定器本体 503:液晶表示パネル
505:電源スイッチ 507:操作スイッチ
509:上向ストリップ 511:ストリップ挿入口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の平面絶縁板にコーティングされた作動電極と;前記作動電極と同じ平面または異なる一枚の平面絶縁板で一定間隔離隔している注入試料の流動性を感知する流動感知電極と;前記作動電極と対向する異なる一枚の平面絶縁板上にコーティングされた補助電極と;微細流路が形成された試料導入部を具備し、前記作動電極と前記補助電極を一定間隔隔離させて圧着させる粘着性隔離板と;導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極と次元的に連結される部位が形成され前記作動電極と補助電極を連結させる電極連結部;及び電子伝達媒介体と酸化酵素を含んだ反応試薬層からなる対面形の薄層電気化学セルを具備した電気化学的バイオセンサーを使用して、(1)ストリップセンサーが挿入された測定器に採取した血液試料を投入する工程;(2)作動電極と補助電極間及び流動感知電極と補助電極間に一定な電位差を与える工程;(3)前記試料の流入が作動電極と補助電極間に1次電気的変化を誘発して前記電極間の電圧を同じに調整する工程;(4)流動感知電極が前記試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして前記補助電極と流動感知電極間の電圧を同じに調整することにより作動電極で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供する工程;(5)血液試料と作動電極に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極と補助電極間に所定の電圧が印加され、対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値をよむ工程;及び(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を測定する工程からなることを特徴とする、電気化学的バイオセンサーを利用して血糖を測定する方法。
【請求項2】
工程1の血液試料が、前処理過程なしに0.1〜0.7μlの少量試料がストリップセンサーに導入されることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
工程1の電位差が、作動電極と補助電極、流動感知電極と補助電極間に直流、低周波交流または高周波交流、高インピーダンスまたは矩形波、三角波、半正弦波及びガウス波の中から選択されたパルスの変化で誘発されることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項4】
前記電気的変化が、電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの変化によるものであることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項5】
前記バイオセンサー中の試料導入部には、幅0.5〜2mmで高さ50〜250μmを有する流路が形成され、試料の導入を容易にしたことを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項6】
工程3の電極間の電圧を同じに調整することにより、前記試料と反応試薬層間の酸化還元反応を数秒間抑制することを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項7】
前記バイオセンサー内酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層が、作動電極及び補助電極中のいずれか一方の電極にだけ形成して、速い反応が起きるようにしたことを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項8】
前記酵素が、グルコ−スオキシダーゼまたは糖脱水素化酵素であることを特徴とする、請求項7記載の測定方法。
【請求項9】
前記電子伝達媒介体が、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)で電子伝達を容易にしたことを特徴とする、請求項7記載の測定方法。
【請求項10】
前記反応試薬層が、脂肪酸及び4級アンモニウム塩を付加的に含んでヘマトクリット値差による依存性向をさらに減少させたことを特徴とする、請求項7記載の測定方法。
【請求項11】
前記脂肪酸が、C4〜C20の鎖を有する塩として、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸及びアラキジン酸からなる群から選択され、固体状態の組成物に対して、0.1〜20重量%含まれることを特徴とする、請求項10記載の測定方法。
【請求項12】
前記4級アンモニウム塩が、ドデシルトリメチルアンモニウム、エシルトリメチルアンモニウム、マイリスチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム及びテトラヘキシルアンモニウム等のハロゲン化合物からなる群から選択され、固体状態の組成物に対して0.1〜30重量%含むことを特徴とする、請求項10記載の測定方法。
【請求項13】
前記バイオセンサー内感応膜組成物が、作動電極及び流動感知電極中のいずれか一方の電極または前記すべての電極に形成され、前記電極間間隔が正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節され速い反応を助けるよう配列されることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項1】
一枚の平面絶縁板にコーティングされた作動電極と;前記作動電極と同じ平面または異なる一枚の平面絶縁板で一定間隔離隔している注入試料の流動性を感知する流動感知電極と;前記作動電極と対向する異なる一枚の平面絶縁板上にコーティングされた補助電極と;微細流路が形成された試料導入部を具備し、前記作動電極と前記補助電極を一定間隔隔離させて圧着させる粘着性隔離板と;導体物質を厚く積層構造で印刷して補助電極と次元的に連結される部位が形成され前記作動電極と補助電極を連結させる電極連結部;及び電子伝達媒介体と酸化酵素を含んだ反応試薬層からなる対面形の薄層電気化学セルを具備した電気化学的バイオセンサーを使用して、(1)ストリップセンサーが挿入された測定器に採取した血液試料を投入する工程;(2)作動電極と補助電極間及び流動感知電極と補助電極間に一定な電位差を与える工程;(3)前記試料の流入が作動電極と補助電極間に1次電気的変化を誘発して前記電極間の電圧を同じに調整する工程;(4)流動感知電極が前記試料の流動を感知して2次電気的変化を起こして前記補助電極と流動感知電極間の電圧を同じに調整することにより作動電極で1次感知された電気的変化との時間差の情報を提供する工程;(5)血液試料と作動電極に溶解した試薬が充分に混ざると再び作動電極と補助電極間に所定の電圧が印加され、対面形薄層電気化学セル内循環反応(cycling reaction)を起こした後、到達した正常電流値をよむ工程;及び(6)工程4で得た時間情報と工程5で得た正常電流値を利用して試料内に存在する基質の量を測定する工程からなることを特徴とする、電気化学的バイオセンサーを利用して血糖を測定する方法。
【請求項2】
工程1の血液試料が、前処理過程なしに0.1〜0.7μlの少量試料がストリップセンサーに導入されることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
工程1の電位差が、作動電極と補助電極、流動感知電極と補助電極間に直流、低周波交流または高周波交流、高インピーダンスまたは矩形波、三角波、半正弦波及びガウス波の中から選択されたパルスの変化で誘発されることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項4】
前記電気的変化が、電圧、電流、インピーダンスまたはキャパシタンスの変化によるものであることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項5】
前記バイオセンサー中の試料導入部には、幅0.5〜2mmで高さ50〜250μmを有する流路が形成され、試料の導入を容易にしたことを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項6】
工程3の電極間の電圧を同じに調整することにより、前記試料と反応試薬層間の酸化還元反応を数秒間抑制することを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項7】
前記バイオセンサー内酵素と電子伝達媒介体を含んだ反応試薬層が、作動電極及び補助電極中のいずれか一方の電極にだけ形成して、速い反応が起きるようにしたことを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【請求項8】
前記酵素が、グルコ−スオキシダーゼまたは糖脱水素化酵素であることを特徴とする、請求項7記載の測定方法。
【請求項9】
前記電子伝達媒介体が、塩化ヘキサアミンルテニウム(III)で電子伝達を容易にしたことを特徴とする、請求項7記載の測定方法。
【請求項10】
前記反応試薬層が、脂肪酸及び4級アンモニウム塩を付加的に含んでヘマトクリット値差による依存性向をさらに減少させたことを特徴とする、請求項7記載の測定方法。
【請求項11】
前記脂肪酸が、C4〜C20の鎖を有する塩として、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸及びアラキジン酸からなる群から選択され、固体状態の組成物に対して、0.1〜20重量%含まれることを特徴とする、請求項10記載の測定方法。
【請求項12】
前記4級アンモニウム塩が、ドデシルトリメチルアンモニウム、エシルトリメチルアンモニウム、マイリスチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム及びテトラヘキシルアンモニウム等のハロゲン化合物からなる群から選択され、固体状態の組成物に対して0.1〜30重量%含むことを特徴とする、請求項10記載の測定方法。
【請求項13】
前記バイオセンサー内感応膜組成物が、作動電極及び流動感知電極中のいずれか一方の電極または前記すべての電極に形成され、前記電極間間隔が正常電流時間常数が0.05乃至8.0の範囲で調節され速い反応を助けるよう配列されることを特徴とする、請求項1記載の測定方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−215034(P2006−215034A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27017(P2006−27017)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(504154791)アイ−センス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(504154791)アイ−センス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]