説明

電気化学電池のための液体電解質、電気化学電池及び移植可能な医学装置

アルカリ金属材料を含む電気化学電池における使用のための液体電解質が提供される。当該液体電解質は、互変体;式R−OHを有するアルコールであって、式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を有する未飽和の炭素鎖、少なくとも1つの炭素原子を有する飽和した炭素鎖、及び芳香性炭素鎖からなる群から選択されるものであり;糖;及び硝酸、硫酸及び上記アルカリ金属物質のイオンにより一部置換された硫酸からなる群から選択される酸からなる群から選択される少なくとも1つから形成される付加物を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、一般的には電気化学電池、より特定すれば、電気化学電池のための液体電解質、電気化学電池及びアルカリ金属電気化学電池を有する移植可能な医学装置に関する。
移植可能な医学装置(IMDs)は、ヒト及び動物に対する様々な処置を提供することでよく知られている。例えば、移植可能な心臓の除細動器は、患者の心臓の電気活性を監視し、心室の細動を検出し、そしてその検出に応じて適切なショックを送達することにより正常な心臓のリズムを取り戻すために使用される。移植可能な神経刺激装置は、慢性の痛みの治療及び末梢血管性の疾患の治療を含む、様々な治療のために脊髄及び脳を刺激するのに使用されてきた。移植可能なペースメーカーは、心臓の萎縮のタイミングを制御するために、心臓の組織へパルスの形態の電気刺激を生じさせて適用する。
【0002】
上記のIMDs、及び他の刺激装置は、内部の出力源、又は電気化学電池を利用して、所望の適用のために要求される出力を提供する。特定の適用に依存して、出力源は、例えばペースメーカーに関しては0.1ジュールほど又はそれ未満から、移植可能な心臓の除細動器の場合には40ジュールほど又はそれれより高いエネルギーを提供することが要求されるかもしれない。十分なエネルギーを提供することに加えて、出力源は、有益な生活を有するために低い自己放電を持つことが好ましく、信頼性が高くあるべきである。
【0003】
IMDsにおいて使用される一つのクラスの電気化学電池は、アノード、カソード及び液体電解質を含む。液体電解質中の成分はアノードの表面上に保護フィルムを形成できることはよく知られている。アルカリ金属のアノードに関しては、アルカリ金属の低い還元能力及び有機電解質に対するそれらの高い反応性のために、そのようなフィルムは一般的に避けることができない。保護フィルムはアノードを自己放電から保護するかもしれないが、典型的には、電気化学電池の内部抵抗を増加させ、即ち、電気化学電池の出力能力を減じて、そのライフスパンを短縮させる。従って、アノード上に電導性フィルムの形成を許容する液体電解質を提供し、そのフィルムが電気化学電池の電気特性を改善し、そしてまたアノードを自己放電から保護することが望まれる。
【0004】
この目的は、請求項1の電気化学電池における使用のための液体電解質、請求項8の電気化学電池及び請求項11の移植可能な医学装置により達成される。発明の有利な態様は、サブクレームに特定される。発明の電気化学電池は、電池のアノード上の不所望な保護フィルムの減少又は排除のために、低下した内部抵抗を有利に呈する。
【0005】
発明の例示的態様によると、アルカリ金属アノードを有する電気化学電池における使用のための液体電解質が提供される。当該液体電解質は、互変体;式R−OHを有するアルコールであって、式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を有する未飽和の炭素鎖、少なくとも1つの炭素原子を有する飽和した炭素鎖、及び芳香性炭素鎖からなる群から選択されるものであり;糖;及び硝酸、硫酸及び上記アルカリ金属物質のイオンにより一部置換された硫酸からなる群から選択される酸からなる群から選択される少なくとも1つから形成される付加物を含む。
【0006】
発明の別の例示的な態様によれば、アルカリ金属物質から形成されるアノード、カソード、及びアノード及びカソードに機能上結合した(operatively associated with)液体電解質を含む電気化学電池が提供される。当該液体電解質は、互変体;式R−OHを有するアルコールであって、式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を有する未飽和の炭素鎖、少なくとも1つの炭素原子を有する飽和した炭素鎖、及び芳香性炭素鎖からなる群から選択されるものであり;糖;及び硝酸、硫酸及び上記アルカリ金属物質のイオンにより一部置換された硫酸からなる群から選択される酸からなる群から選択される少なくとも1つから形成される付加物を含む。
【0007】
発明のさらに別の例示的な態様によれば、電気化学電池を含む移植可能な医学用装置が提供される。当該電気化学電池は、アルカリ金属物質から形成されるアノード、カソード、及びアノード及びカソードに機能上結合した(operatively associated with)液体電解質を含む電気化学電池が提供される。当該液体電解質は、互変体;式R−OHを有するアルコールであって、式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を有する未飽和の炭素鎖、少なくとも1つの炭素原子を有する飽和した炭素鎖、及び芳香性炭素鎖からなる群から選択されるものであり;糖;及び硝酸、硫酸及び上記アルカリ金属物質のイオンにより一部置換された硫酸からなる群から選択される酸からなる群から選択される少なくとも1つから形成される付加物を含む。
【0008】
以下の記載は、本質の例示(exemplary in nature)であり、如何なる意味においても発明の範囲、応用性、又は構成を限定することを意図しない。むしろ、以下の記載は、発明の例示の態様を実行するための便利な例示を提供する。発明の範囲を逸脱することなしに本明細書に記載された要素の機能及び配置の中で、記載された態様に対する様々な変化がなされてよい。さらに、発明の先行するバックグラウンドに提示された如何なる理論又は以下の発明の詳細な説明に拘束される意図はない。
【0009】
図1は、本発明の例示の態様による、移植可能な医学用装置(「IMD」)の例示の単純化された模式図である。IMD 10は、ヒトの心臓との関連におけるペースメーカー/電気除細動器/細動除去器(PCD)として、図1に示される。しかしながら、IMD 10は、広いバラエティの形態を想定してよい。例えば、IMD 10は、移植可能な心臓細動除去器(当業界ではICDとして知られる)であってよい。あるいは、又はさらに、IMD 10は、移植可能な心臓ペースメーカー、例えば、Bennettらに対する米国特許第5,158,078号に開示されたもの;又はSheltonらに対する米国特許第5,312,453号に開示されたもの;又はOlsonに対する米国特許第5,144,949号に開示されたものであり、その各々全体は引用により本明細書に取り込まれる。またさらに、IMD 10は、移植可能な神経刺激装置、例えば、Mulletに対する米国特許第5,342,409号に記載されたもの;又は移植可能な薬剤ポンプ;心筋刺激装置;バイオセンサー;等であってよい。IMD 10は、特定の応用のために適した如何なる数のリードを含んでもよい。リード14、16及び18は、マルチポートコネクターブロック20によりIMD 10につながれており、3つのリード14、16及び18の各々に関して別々のポートを含む。リード14は、皮下電極30につながれており、左の胸部の領域に皮下マウントされることが意図される。あるいは、活性な「カン」を用いることができる。リード16は、冠状静脈洞に位置して心臓12の大静脈領域に付与される伸長されたコイル電極を用いる冠状静脈洞のリードである。電極の位置は32において破線フォーマットにて描かれ、心臓の周囲を、冠状静脈洞の開口部内のポイントから左心房付属器の近傍のポイントに伸びる。
【0010】
リード18は、伸長した電極コイル28特定の共に提供され、心臓12の右心室内に位置する。リード18は、螺旋状刺激電極34も含み、右心室の心筋組織内にねじ込まれた前進可能な(advanceable)螺旋状コイルの形態を採る。リード18は、近位及び遠位フィールドのエレクトログラム感作のための一つ又は複数の追加の電極を含んでもよい。
【0011】
例示されたシステムにおいては、心臓拍動(cardiac pacing)パルスを螺旋電極24と伸長された電極28の間に送達する。電極28と34は、心室の収縮の指標である電気シグナルを感作するためにも使用される。例示されたとおり、右心室の電極28は連続的及び同時的パルス複数電極除細動養生法の間、共通の電極として機能すると予測される。例えば、同時的パルス除細動養生法の間、パルスは同時に電極28と電極30の間と電極28と電極32の間に送達される。連続的パルス除細動の間、パルスは連続的に皮下電極30と電極28の間と、冠状静脈洞32と右心室電極28の間に送達されるはずであると想像される。単一のパルスは、2つの電極の除細動パルス養生法も提供してよく、典型的には電極28と冠状静脈洞32の間である。あるいは、単一のパルスを電極28と30の間に送達してよい。電極のIMD 10への特別な相互連結は、特定の単一電極対の除細動パルス養生法が用いられる可能性がより高いと信じられることに幾分は依存する。
【0012】
前に記載されたとおり、IMD 10は当業界において知られているとおり広いバラエティの形態を想像し得る。IMD 10の様々な成分の一例を図2に示す。IMD 10は、ケース50(その右手サイドを図2に示す)、エレクトロニクスモジュール5、バッテリー又は電気化学電池54を含む。IMD 10の各成分は、特定の最終用途の適用のために構成されることが好ましい。即ち、エレクトロニクスモジュール52は一つ又は複数の感作及び/又は刺激プロセスを実行するために構成される。電気化学電池54は、その周囲に配置された絶縁体58を含む。電気化学電池54は、コンデンサー56を充電及び再充電するための電気エネルギーを提供し、そしてエレクトロニクスモジュール52に動力も供給する。
【0013】
電気化学電池54は、当業界において様々なバラエティの形態を想像してよい。本発明の例示の態様の態様によれば、電気化学電池54は、アノード、カソード及びアノードとカソードに機能上結合した(operatively associated with)液体電解質を含む。当該電解質は、電池の電気化学反応の間のアノードとカソードの間のイオンの移動のための媒質として機能する。電気化学電池54の一例を図3及び4に示す。電気化学電池54は、ケース70、アノード72、分離機74、カソード76、液体電解質78及びフィードスルーターミナル80を含む。ケース70は、様々な成分を含む。その中のカソード76は、複数の回転にて巻かれ、アノード72はカソードの巻きの回転の間に挿入される。分離機74は、アノード72をカソード76の巻きから分離する。カソード76は液体電解質78も含み、詳細は以下に記載される。結果として、電気連絡がアノード72に提供されて、電気連絡がカソード76に提供される。
【0014】
電気化学電池54は、例えば、「高信頼性電気化学電池及びそのための電極アッセンブリー」に関してのHowardらに対する米国特許第5,439,760号及び「電気化学電池のための単離された連絡」に関してのBerkowitzらに対する米国特許第5,434,017号の高容量、高速、螺旋回転のバッテリーであってよく、両者はそれらの全体を引用により本明細書に取り込む。
【0015】
電気化学電池54は、螺旋回転の、積み重ねられたプレート、又は「電気化学電池のための内部電極及びアッセンブリー方法」に関するMuffulettoらに対する米国特許第5,312,458号及び第5,250,373号;「プリズム状の電極を作成する方法」に関するTakeuchiらに対する米国特許第5,549,717号;「非水性リチウムバッテリー」に関するKiesterらに対する米国特許第4,964,877号;「改善された有効な曲がりくねった電極」に関するPostらに対する米国特許第5,147,737号;及び「高又は低表面エリアデザインの電池における標準均一電極成分の使用」に関するPyszczekらに対する米国特許第5,468,569号に開示されたタイプの曲がりくねった電極を有するバッテリーであってもよく、それらの開示はそれらの各々の全体を本明細書に引用により取り込む。あるいは、電気化学電池54は、例えば、その全体を引用により本明細書に取り込む、「電気化学電池」に関してのSunderlandらに対する米国特許第5,716,729号に開示されたとおりの、単一のカソード電極を含むことができる。
【0016】
電気化学電池54のアノード、例えばアノード72は、元素の周期表のIA,IIA又はIIIBの族から選択される材料から形成され、リチウム、ナトリウム、カリウム等を含み、それらの合金及び金属間化合物、例えばLi−Si,Li−B及びLi−Si−B合金及び金属間化合物を含む。好ましくは、アノードはアルカリ金属を含み、より好ましくは、再充電の応用のための金属形態又はイオン形態の何れかの、リチウムを含む。
【0017】
電気化学電池54のカソード、例えばカソード76のための材料は、もっとも好ましくは固形であり、その活性成分として金属酸化物、例えば酸化バナジウム、酸化バナジウム銀(SVO)又は二酸化マンガンを含む。あるいは、カソードは、1フッ化炭素(carbon monofluoride)及びそれらのハイブリッド(例えば、CF+MnO)又は組み合わせたあらゆる他の活性電解質成分を含んでもよい。注目すべきことに、「固形」カソードは、当業界公知のとおり、圧縮された孔性固形カソードに関する。そのようなカソードは、典型的には、一つ又は複数の活性成分を、結合剤としてのポリ(テトラフルオロエチレン)及び電導性増強剤としての炭素と混ぜ、そしてそれらの成分を圧縮することにより孔性固形構造を形成するようにして作成される。カソードは、米国特許第5,221,453号、第5,439,760号及び第5,306,581号に開示された「混合酸化バナジウム銀(combination silver vanadium oxide)」又は「CSVO」から形成されてもよい。認識されるべきは、しかしながら、如何なるタイプの適切なSVOも電気化学電池においてカソード内で用いてよく、米国特許第5,472,810号においてTakeuchiらにより開示され、そして米国特許第5,695,892号においてLeisingらにより開示された代替のSVO,米国特許第4,310,609号及び米国特許第4,391,729号においてLiangらにより開示された分解方法により作成されたSVO、米国特許第5,498,494号においてTakeuchiらにより開示された非晶質SVO、米国特許第5,558,680号においてTakeuchiらにより開示されたゾル−ゲル方法により製造されたSVO、及びハイドロサーマル法により製造されたSVOを含む。Sのカソードを形成するための他の適切な方法は、Crespiらにより、米国特許第6,130,005号、第6,093,506号、第5,955,218号及び第5,895,733号において開示される。上記の特許全てはそれらの全体を引用により本明細書に取り込む。
【0018】
認識されるべきことは、上で明確に記載された以外の電気化学システムも、本発明との関連において用いてよく、限定ではないが、カソード/アノードシステム、例えば:酸化銀/リチウム;酸化マンガン/リチウム;V/リチウム;銅銀酸化バナジウム(copper silver vanadium oxide)/リチウム;酸化銅/リチウム;及び酸化鉛/リチウム;1フッ化炭素/リチウム;ビスマス含有酸化物/リチウム;硫酸銅/リチウム;上記掲載の様々なカソード材料の混合物、例えば銀酸化バナジウムと1フッ化炭素;及びリチウムイオン再充電可能バッテリーを含むが、ごく少数の例である。
【0019】
電気化学電池の液体電解質、例えば電解質78は、イオン化溶液と組み合わせて有機溶媒を含んでよい。有機溶媒は、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、3−メチル−2−オキサゾリドン、スルフォレン、テトラヒドロフラン、メチル−置換されたテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソレン、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、エチレングリコールスルファイト、ジメチルスルファイト、ジメチルスルフォキシド、ジメトキシエタン、ジメチルイソキサゾル、ジオキサン、エチルメチルカーボネート、メチルフォルメート、ジグリム又は等など、又はそれらの混合物を含む。イオン化溶液は、単一か又は可溶性の塩又はそれらの混合物、例えば、LiBF,LiAsF,LiPF,LiClO,LiN(SOCF,又はLiC(SOCFであり得て、一つ又は複数の溶媒中で溶解されたときに、イオン上電導性の溶液を生じることになる。
【0020】
本発明の例示の態様によれば、電気化学電池54の液体電解質は、アニオンを容易に形成する付加物を含む。付加物のアニオン状態は、アルカリ金属アノードにより塩を形成し、即ち、アノード上にイオン上電導性のフィルムを形成する。付加物の不在下では、電気化学電池は、アプリケーション速度の放電とオープン回路の蓄電の両方において、大きな内部抵抗を経験するはずである。付加物は、プロトンを遊離させることによりアニオンを形成させる材料を含む。典型的には、付加物は、約0.001から約0.4Mの範囲内で液体電解質中に存在する。
【0021】
本発明の一つの例示の態様によれば、付加物は、互変体、即ち、互変を通してプロトンを遊離する材料を含む。そのような材料の例は、限定ではないが、ニトロメタン、尿素、ケトン類、及び以下を含む:
カルボニル、カルボキシル酸、カルボキシル二塩基酸、及びカルボキシル酸と二塩基酸の塩、例えば、式:
OOOOO
‖‖‖‖‖
R−C−O−H,H−O−C−R−C−O,H−O−C−R−C−O−H,及び
OO
‖‖
−O−C−R−C−Oを有するものであって、
式中、Rは、あらゆる炭素含有モイエティ、

ニトリル、例えば、式:−C=C−C≡N,−C−C≡N、及び
│││
HHH
−C=C=N−H

を有するもの、
││
イミン、例えば、式:−N=C−C−を有するもの及び


エナミン、例えば、式:−N−C=C−を有するもの,
│││

OH
‖│
ニトロソ官能基、例えば、式:N−C−を有するもの及び

オキシム官能基、例えば、式:H−O−N=C−を有するもの、

ニトロ官能基、例えば、式:O=N−C−及び

OH
酸−ニトロ官能基、例えば、式H−O−N=C−、


ケト−アルコール及びヘミケタル、ケト酸及びラクトールである。
【0022】
本発明の別の例示の態様によれば、付加物は、式R−O−Hを有するアルコールを含んでよく、式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を有する未飽和の炭素鎖、又は少なくとも1つの炭素原子を有する飽和した炭素鎖、又は芳香性炭素鎖である。さらに、アルコールは、式H−O−R−O−Hを有するポリオールを含むのが好ましいかもしれない。本発明の液体電解質中における使用のための適切なアルコールの例は、限定ではないが、レゾレイノール(resoreinol)、フェノール、キシリトール、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールを含む。
【0023】
本発明のさらなる例示の態様によれば、付加物は、糖、例えば、グルコース、シュークロース、フルクトース等を含んでよい。本発明のまた別の例示の態様によれば、付加物は、硝酸(HNO)、硫酸(HSO)又はアルカリ金属物質のイオンにより一部が置換された硫酸を含んでよい。例えば、リチウムのアノードに関しては、付加物はLiHSOを含んでよい。
【0024】
本発明の液体電解質は、よく知られるとおりの方法を用いて生産してよく、上記の付加物を有機溶媒及びイオン化溶液に何れかの適切な順序で加え、方法、例えば撹拌(stirring)、振動(agitation)等を用いる。所望の付加物を伴う液体電解質を、適切な温度処理に供することにより、上記成分の化合をさらに促進してもよい。
【0025】
即ち、発明により、電気化学電池における使用のための液体電解質が提供された。当該液体電解質は、プロトンを遊離することにより、電気化学電池のアノード上にイオン上電導性のフィルムを形成することができる付加物を含む。発明の様々な態様が記載されたその特定の態様に関連して例示されてきたが、そのような例示の態様に発明を限定することを意図しない。例えば、移植可能な医学装置IMD 10を心臓に関連して図1に示すが、IMD 10はヒト又は動物の体内の何れかの一部の監視又は治療のために使用することができ、よって、所望の応用のためのあらゆる適切な構成を有してよい。さらに、本発明の液体電解質は、アルカリ金属一次電池(primary)(再充電不可能)又はアルカリ金属又はアルカリイオン二次(再充電可能)電気化学電池のために使用してよいことが認識される。当業者は、そのような態様の多くの変更及び修飾が、発明の精神を離れることなしに可能であることを認識する。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るものとして、そのような修飾及び変更の全てを発明に包含することを意図する。
【0026】
利益、他の利点、及び問題の解決は、特定の態様に関して記載される。しかしながら、利益、利点、問題の解決、及びあらゆる利益、利点、又は解決が生じるか又はより断言されるようになることを導くかもしれないあらゆる要素が、全ての特許請求の範囲の、決定的であるか、要求されるか又は本質的な特徴又は要素として解釈されるべきではない。本明細書にて使用される、用語「comprises」、「comprising」又はそれらのあらゆるバリエーションは、非限定的包含をカバーすることを意図し、要素のリストを含むプロセス、方法、物品又は装置は、そのような要素のみを含むのではなく、表現上は掲載されなかった他の要素又はそのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の他の要素を含んでよい。
【0027】
本発明は、以後、以下の図面との関連において記載されることになり、同様な数字は同様な要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、電気化学電池を取り込んだ移植可能な医学用装置(IMD)の一つの態様の単純化された模式図である。
【図2】図2は、IMDの一つの態様のハウジング内に配置された、電気化学電池を含む様々な成分の分解組立て遠近画法図である。
【図3】図3は、電気化学電池の遠近画法図であり、一部カッタウエイ図である。
【図4】図4は、線4により表された図3の電池の一部の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属アノードを有する電気化学電池における使用のための液体電解質であって、
互変体;
式R−OHを有するアルコールであって、式中、Rは、少なくとも2つの炭素原子を有する未飽和の炭素鎖、少なくとも1つの炭素原子を有する飽和した炭素鎖、及び芳香性炭素鎖からなる群から選択されるものであり;
糖;及び
硝酸、硫酸及び上記アルカリ金属物質のイオンにより一部置換された硫酸からなる群から選択される酸
からなる群から選択される少なくとも1つから形成される付加物を含む、液体電解質。
【請求項2】
ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ブチレンカーボネート、3−メチル−2−オキサゾリドン、スルフォレン、テトラヒドロフラン、メチル−置換されたテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソレン、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、エチレングリコールスルファイト、ジメチルスルファイト、ジメチルスルフォキシド、ジメトキシエタン、ジメチルイソキサゾル、ジオキサン、エチルメチルカーボネート、及びメチルフォルメートからなる群から選択される少なくとも一つを好ましくは含む有機溶媒をさらに含む、請求項1記載の液体電解質。
【請求項3】
アルカリ金属塩をさらに含む、請求項1記載の液体電解質。
【請求項4】
互変体が、ニトロメタン、尿素、ケトン類、カルボニル、イミン、エナミン、ニトロソ官能基、オキシム官能基、ニトロ官能基、アシ−ニトロ官能基、ニトリル、ケト−アルコール、ヘミケタル、ケト酸及びラクトールからなる群から選択される、請求項1記載の液体電解質。
【請求項5】
互変体が、カルボキシル酸、カルボキシル二塩基酸、及びそれらの塩からなる群から選択されるカルボニルである、請求項6記載の液体電解質。
【請求項6】
糖が、グルコース、シュークロース、及びフルクトースからなる群から選択される一つを含む、請求項1記載の液体電解質。
【請求項7】
付加物が約0.001から約0.4Mの範囲内で液体電解質中に存在する、請求項1記載の液体電解質。
【請求項8】
アルカリ金属材料を含むアノード;カソード;及び請求項1乃至7の何れか1項記載の液体電解質を含む電気化学電池。
【請求項9】
アノードがリチウム、ナトリウム及びカリウムの1つを含む、請求項8記載の電気化学電池。
【請求項10】
カソードが、酸化銀、酸化マンガン、酸化バナジウム、銅銀酸化バナジウム、酸化銅、酸化鉛、1フッ化炭素、酸化クロム、ビスマス含有酸化物、及び硫酸銅からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項8記載の電気化学電池。
【請求項11】
請求項1乃至7の何れか1項記載の液体電解質を含む請求項8乃至10の何れか1項記載の電気化学電池を含む移植可能な医学装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2006−520519(P2006−520519A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503507(P2006−503507)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/004041
【国際公開番号】WO2004/075332
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】