説明

電気化学電池

複数の電解質・電極ユニット(3)と、各々少なくとも1つの電解質・電極ユニット(3)を冷却するための複数の冷却カード(4)と、電解質・電極ユニット(3)への媒体供給と無関係に圧力を加えられる圧力室(6)であってこの圧力室(6)に隣接する電気化学電池の部品間に押圧力を発生するための圧力室(6)とを備えた電気化学電池(1)、特に燃料電池又は電解セル電池において、少なくとも1つの圧力室(6)が少なくとも1つの冷却カード(4)に隣接され、少なくとも部分的にその冷却カード(4)で境界づけられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電解質・電極ユニットと、各々少なくとも1つの電解質・電極ユニットを冷却するための複数の冷却カードと、電解質・電極ユニットへの媒体供給と無関係に圧力を加えられる圧力室であって、該圧力室に隣接する電気化学電池の部品間に押圧力を生ずるための圧力室とを備えた電気化学電池、特に燃料電池又は電解セル電池に関する。この種電気化学電池は、例えば欧州特許第0591800号明細書で公知である。
【0002】
欧州特許第0591800号明細書は、各々陽極と重合体・電解質膜(PEM)と陰極とから成り互いに平行に配置された2つの電解質・電極ユニット間に、互いに平行に配置されかつ結合された2つのプレートを有し、該プレート間に中空室を形成した燃料電池を開示する。隣接する2つの電解質・電極ユニットのプレートと電極の間に、水素や酸素等の運転媒体を電解質・電極ユニットに供給する気体室又は流体室が形成されている。
【0003】
互いに平行に配置された両プレート間の中空室は、一方で、冷却媒体の給排に利用される。両プレートは、両電解質・電極ユニットを冷却するための冷却カードを形成する。中空室は、冷却媒体の給排用ではなく、圧力クッション形成用の圧力供給可能な圧力室としても利用できる。該クッションは、隣接する部品に圧力を加え、例えば両部品間の良好な電流流れを保証すべく、両部品間に押圧力を発生する。この圧力クッションは、他方で隣接する部品の寸法の公差を補償する要素として利用される。但し、冷却カードを圧力クッションとして利用する場合には、燃料電池ブロックの冷却力が低下する。
【0004】
独国特許第2729640号明細書で公知の複数の電気化学セル、特に燃料要素から成る電池は、互いに平行に配置された電解質・電極ユニットを有し、該ユニット間に、各々電流を受けるための金属接触体が配置されている。該接触体は加圧媒体を導入するための中空室を有し、この結果装置全体を圧縮する圧力クッションを形成している。これに伴い隣接する部品間に一様な押圧力が生じ、例えば部品間の電流の流れが改善される。但し、ここでは電解質・電極ユニットの冷却は考慮していない。
【0005】
冷却カードは、例えば国際公開第02/50953号パンフレットによっても公知である。ここに開示された冷却カードは、2つのシートを備えた複合導体板として形成され、両シート間に中空室が形成されている。中空室は供給通路および排出通路を有し、燃料電池の運転中、冷却水或いは温水が貫流する。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の電気化学電池を、単純でコンパクトな構造において、電解質・電極ユニットの良好な冷却並びに隣接する部品間の良好な押圧力の点で優れているように改良することにある。
【0007】
この課題は、本発明に基づき請求項1記載の特徴を有する電気化学電池によって解決される。本発明の有利な実施態様を従属請求項に示す。
【0008】
ここで電気化学電池とは、電解セルから成る電池のような燃料電池を意味する。
【0009】
本発明に基づき、少なくとも1つの圧力室に少なくとも1つの冷却カードが隣接し、少なくとも部分的に冷却カードで境界づけられる。ここで冷却カードとは、溶接或いは他の方式で形成され、冷却媒体用の中空室を形成する各種プレートを意味する。それは、例えば互いに接触しカードに沿って気密接合された二重プレートである。冷却カードは、冷却媒体を給排するための開口を有する。冷却カードは、それに接する部品との接触抵抗を減少すべく、その表面に追加的に、接触板および/又は接触薄膜を備える。
【0010】
本発明は、冷却カードの中空室に圧力を供給することで圧力クッションを形成する従来方式とは異なる。むしろ、冷却カードを、外側に存在する圧力室を形成すべく利用する。従って冷却カードに更に冷却媒体を供給し、電解質・電極ユニットの冷却を可能とし、他方で圧力室により隣接する部品間に押圧力を発生する。圧力室を形成すべく冷却カードを利用することで、電池部品の種類数が少なく、構造が単純かつ小形である特徴を示す。
【0011】
冷却カードが電解質・電極ユニットに直に接し、これと電気的に接触しているなら、冷却カードを冷却用の他に、電解質・電極ユニットとの電気的接続にも使える。電解質・電極ユニットに接する集電要素、ここでは冷却カードの平面接触の他に、更に電解質・電極ユニットと集電要素の間の接触抵抗が重要である。一般に接触抵抗は、押圧力の増大に伴い低下する。電解質・電極ユニットの表面での押圧力が一様でないと、高い接触抵抗部から低い接触抵抗部への横電流が生ずる。カーボン紙、触媒層、炭素・樹脂複合材等の不良導体材料や不良導体シートを経て流れる横電流で電圧降下が生じ、効率が低下する。冷却カード全体に圧力室により一様な圧力を加え、冷却カードと電解質・電極ユニットの間に一様な押圧力を加えることで、電解質・電極ユニットの表面での横電流を防止できる。
【0012】
本発明の有利な実施態様では、圧力室を2つの冷却カード間に配置し、少なくとも部分的にこれら2つの冷却カードで境界づける。この結果、電気化学電池の電解質・電極ユニットと冷却板を互い違いに配置したスタック装置において、該装置の2つの冷却カード間に配置する電解質・電極ユニットを除き、この結果生じた空き室を圧力室として利用することで、圧力室を簡単に形成できる。
【0013】
本発明の他の有利な実施態様では、圧力室を冷却カードと極板との間に配置し、少なくとも部分的に冷却カードおよび極板で境界づける。ここで極板とは、集電に用いるセルスタックの端子板を意味する。従ってここでも、電池に既に存在する部品を圧力室の形成に利用し、もって電池の単純な構造を保証する。
【0014】
圧力室を通る電流の流れを可能にすべく、圧力室の内部に、少なくとも1つの冷却カードに続く電流伝達部品を配置するとよい。圧力室内に内圧を発生すべく用いる媒体が、電解質・電極ユニットの運転媒体と異なるとき、2つの冷却カード相互間を、又は冷却カードを極板に接続すべく圧力室内に配置した導電性要素の腐食は原理上防止できる。
【0015】
圧力供給時、圧力室の両側境界面間の間隔が変化する故、電流伝達部品で間隔の変化を補償せねばならない。これは電流伝達部品をばね要素として形成することで可能である。
【0016】
電池の形に積層されたセルブロックの内部を、正常時、電流は全体として個々の通常はプレート状をしたセルに対し垂直に流れる。この場合、セルからセルに継続して導かれる電流は、損失電力を低く抑えるべく、できるだけ短い経路を流れるようにすべきである。従ってばね要素が、金属板平面から切り起こしたばね舌片を備える少なくとも1つの金属板を有するとよい。電流はばね舌片を経て、圧力室を少なくとも部分的に境界づける両側の冷却板間、又は圧力室を境界づける冷却板と極板の間を、比較的短い経路で流れる。
【0017】
ばね舌片は、それが接する冷却カードと鋭角を成すとよく、この結果電池における電解質・電極ユニットの平面的部品の厚さに比べて広い領域の内部における間隔変化の補償を可能とし、且つ隣接する電解質・電極ユニット間から電解質・電極ユニットと極板との間における多数の電流経路に分割された電気接続を可能とする。
【0018】
少なくとも1つの冷却カードが、圧力室の側の面に、電流伝達部品との接触抵抗を減少するために接触板を有するとよい。
【0019】
他の有利な実施態様では、接触板が基礎層上に設けた導体層を有し、該層の導電率は基礎層の導電率を上回る。冷却カードの表面で受けられ他の冷却カードや極板に導かれる電流は、典型的には平面的でなく、冷却カードの個々の点或いは個々の部分だけで受けられる。冷却カード上の導体層によって、不良導体材料による横電流は最小となり、良導体材料、即ち導体層に集電され、この結果僅かな損失電力しか生じない。
【0020】
導体層は、めっき被覆或いは薄膜の形で基礎層上に設けるとよい。いずれの場合も、導体層と少なくとも僅かな可撓性を有する基礎層との間の良好な電気的接触が生ずる。
【0021】
導体層の厚さは、特にそれをめっき被覆として形成する場合、基礎層より小さな厚さにするとよい。その場合、導体層の高い導電率に基づき、絶対導電率は基礎層の絶対導電率より高い。いずれの場合も、特に基礎層と導体層との組み合わせの形をした接触板は、続く冷却カードよりかなり高い導電性を示す。
【0022】
電池のセルスタックの内部に、個々のセルの部分間或いは電解質・電極ユニット間に圧力室又は2つの冷却カードとその両冷却カード間に配置された圧力室から成る圧力クッションを配置するだけで足りる。代表的には、電池の内部における電解質・電極ユニットの数は圧力クッションの数の少なくとも2倍であり、例えば10倍である。従って、電池の寸法は圧力クッションによって殆ど高められない。
【0023】
本発明の利点は、特に圧力クッションを電気化学電池のセルスタックの内部に形成し、このクッションを幾何学的補償要素並びに冷却要素として使うことにある。防食圧力室内に配置したばね要素によって、隣接する電解質・電極ユニット間から電解質・電極ユニットと極板との間での無損失の電流案内が可能となる。
【0024】
以下図を参照し、本発明の実施例を詳細に説明する。なお各図において同一部分には同一符号を付している。
【0025】
図1は、単に燃料電池セルや燃料電池ブロックと呼ばれる燃料電池又は燃料電池ブロックの形態の電気化学電池1を部分横断面図で略示する。該電池1は第1極板2と、この第1極板2と間隔を隔てた第2極板(図示せず)と、該両極板間に配置された多数の電解質・電極ユニット3とからなる。電解質・電極ユニット3は膜・電極ユニット(ME)とも呼ばれ、燃料電池1のカーボン紙、触媒層および膜からなる。2つの電解質・電極ユニット3間と、外側位置の電解質・電極ユニット3とそれに隣接する極板2との間に、各々冷却カード4が配置されている。双極板としても利用される冷却カード4は、その材料厚さと幾何学構造に伴い容易に変形可能な薄いシートで形成され、隣接する部品、即ち気体室(図示せず)又は極板2を含む膜・電極ユニット3の高低差に容易に適合する。
【0026】
図1に示す電池1の部分図において、1つの電解質・電極ユニット3がスタックから除去され、その箇所に中空室が形成されている。この中空室に任意の媒体で圧力を加えることで、圧力クッション5が形成される。このクッション5は、圧力室6の他に、これに隣接する両側の冷却カード4を有している。圧力室6内の圧力は隣接する気体室および冷却水室の圧力より大きく、従って圧力室6は押し広げられ、隣接する室は押し狭められる。唯一の冷却カード4を有するか、さもなければ同じ構造を持つ圧力クッション5が極板2に直接隣接している。圧力室6と冷却カード4との境界面は、少なくとも僅かな可撓性を有する接触板7で形成されている。圧力クッション5の圧力室6内での媒体圧力は、隣接する部品、特にセルとも呼ばれる電解質・電極ユニットに面圧を発生する。該面圧は、たとえ部品が例えば製造公差のために局所的に異なった厚さを有していても、部品の面にわたり一定である。このため、特に電解質・電極ユニットと冷却カード4との間の接触抵抗はその全面にわたり一様な分布となる。更に、圧力室6での加圧力の大きさを機械的製造結果と無関係に選択することで、接触抵抗を全体として小さくできる。個々の圧力室6の媒体は、電解質・電極ユニット3の運転に利用される媒体とは異なる。
【0027】
従って、圧力クッション5の両側に位置する冷却カード4の接触板7は、その間隔が変化し、該変化は、2つの圧力クッション5間に配置された部品の公差と、部品が圧力により変形できるなら、該部品のばね特性と、圧力クッション内の媒体が与える圧力の高さとに左右される。冷却カード4は、電解質・電極ユニット3から電流を平面的に受ける。
【0028】
幾何学的に可変の圧力室6を経て電流を伝達すべく、図2に示す電池1に適した圧力クッション5の第1実施例におけるばね要素8を電流伝達部品として利用している。該部品は複数のばね舌片9を備えた金属板9aを有し、それらばね舌片9は接触板7に接触し、該接触板7と可変の鋭角αを成している。ばね舌片9と接触板7との電気接続は、横断面略点状の接触箇所10に形成している。平面的な電解質・電極ユニット3において一様に生ずる電流は、この結果接触箇所10で集合される。電解質・電極ユニット3から冷却カード4を経て接触箇所10に流れる電流の流れを、破線の電流経路11で示す。対向して位置する2つの電解質・電極ユニット3の電極12間で、全体として電圧損UVが生ずる。この電圧損UVは、主にカーボン紙等の不良導体材料および黒鉛、黒鉛・樹脂複合材、特殊鋼および他の金属材料等の冷却カード4の材料により生ずる。電圧損UVに伴う損失熱は、燃料電池1の効率と最大発生出力を低下させる。良導性ばね舌片9は電圧損UVに僅かしか寄与しない。またばね舌片9を通る電流経路11に基づき、全く又は少なくとも専ら圧力クッション5の周縁にわたる配線を必要とせず、このため個々の電解質・電極ユニット3間を非常に短い経路で電流が流れる故、電圧損UVが減少する。ばね舌片90付きばね要素8を、燃料電池1の腐食性運転媒体に曝されない圧力室6内に配置したので、個々の電解質・電極ユニット3間の部品の電気抵抗は長期にわたり変化しない。
【0029】
接触板7は、全体を例えば金等の高導電性材料で作るとよい。安価な方式では、図3に示す如く、接触板7を一部だけ高導電性材料で作る。この場合、各接触板7は基礎層13と、該層13上に設けた高い導電率で高い絶対導電率を持つ導体層14を備える。該導体層14はめっき被覆、薄膜或いは冷却カード4に接する可撓性シートの形に形成する。接触板7が冷却カード4に固く結合するなら、接触板7の冷却カード4とは反対側のみに設ける。他の場合には、接触板7の両側に導体層14を設ける。導体層14は、全ての運転状態で冷却カード4の形に追従し、この結果冷却カード4から導体層14への平面的な電流伝達が生ずる。電流は電解質・電極ユニット3の膜15から非常に短い経路で電解質・電極ユニット3の広がりに対し垂直に、電極12および冷却カード4を経て導体層14に流れ、そこで初めて良導性材料内を電解質・電極ユニット3に対し平行に分布し、この結果、全体として図2の実施例の場合よりも小さな電気抵抗となる。導体層14は、冷却カード4の表面にテクスチュアが施されている場合でも、導電性が比較的悪い部品内での電流回路11を短くすべく、その表面経過に適合する。極板2に隣接する圧力クッション5の場合、導体層14は同様に、接触板7の圧力室6に隣接する側に配置する。
【0030】
図3の配置に適する冷却カード4の3つの実施例と、該冷却カード4と協働する接触板7を、図4a〜4cに概略的に示す。図4aと4bの実施例では接触板7を各々冷却カード4に固く結合し、図4cの実施例では接触板7を別個の部品として設けている。
【0031】
図4aに示す冷却カード4は、接触板7の銅から成る基礎層13をめっきしたシート状の基礎材料を備える。この層13上に、更に金から成る導体層14を同様にめっきや、例えばスパッタリング、接着、圧接、摩擦接続等によって設けている。
【0032】
図4bの実施例では、冷却カード4は基礎材料として炭素化合物を備える。このため接触板7の銅から成る基礎層13は、例えば圧着や接着により固く結合されている。導体層14は、図4aの実施例の場合と同様に、被覆、特に金被覆としてめっきされ或いは例えばスパッタリング、接着、圧接又は摩擦接続により基礎層13上に設けられている。
【0033】
図4cに示す実施例では、図4aの実施例と異なり、特に金から成る被覆の形態で導体層14がめっきにて、或いは例えばスパッタリング、接着、圧接或いは摩擦接続にて設けられたシートから成る冷却カード4を基礎材料として備えている。冷却カード4に結合されていない部品として、接触板7は両側に、銅から成る基礎層13上に設けられた、好適には同様に金から成る導体層14を有している。全ての実施例において、図示しない形態で、ばね舌片9も金で被覆するとよい。この結果、冷却カード4と接触板7との間並びに接触板7とばね要素8との間に僅かな接触抵抗しか生じない。
【0034】
図5aと5bは、ばね要素として形成した電流伝達部品の好適な2つの実施例を示す。ばね要素は接触板ばね21として形成され、その金属板平面28から切り起こしたばね舌片23を持つ金属板22を有し、各2つのばね舌片23a、23bは、金属板平面28に対し垂直方向の、舌片先端25への力作用の下で、各ばね舌片により金属板平面28に発生した曲げモーメントMを少なくとも部分的に相殺すべく配置し、成形している。
【0035】
金属板平面28に生ずる曲げモーメントMの少なくとも部分的な相殺で、両ばね舌片23a、23b間の接続部材32のねじれを十分に防ぎ、従って該接続部材32を小形化できる。このため金属板平面に多数のばね舌片を配置すること、従って接触板ばねに多数の接点を設けること、それ故電池を経てできるだけ無損失で電流を案内すべく、短い電流経路にすることができる。その上、小さな接続部材は接触板ばねのばね特性を向上させる。
【0036】
同時に、曲げモーメントの減少に基づき、ばね舌片23a、23bの脚点27a、27bの曲げ応力が減少し、従って塑性変形および非可逆的変形を防止できる。この結果ばね舌片を切り起こす高さ、従って接触板ばね21のばね行程も増大できる。
【0037】
そのため、両ばね舌片23a、23bは、金属板平面28に対し垂直に延びる軸線24に関し軸対称的配置および/又は形状を備える。ばね舌片23a、23bは各々湾曲形状を有するとよい。図5aの実施例では、ばね舌片23a、23bは各々円弧形状を有し、その湾曲は円弧からの切片に従っている。図5bに示す実施例では、ばね舌片23a、23bは各々放物曲線形を持つ。
【0038】
接触板ばね21を2つの部品間に押し込めると、ばね舌片23a、23bの先端25はそれが接する部品の表面に沿って滑る。先端25が尖った角や接触すべき部品の表面構造のため、そこに引っ掛かるのを防止すべく、舌片先端25を丸めるとよい。
【0039】
電流伝達部品を枠で囲む、特に外側形状および/又は外側寸法が電池の電解質又は膜部品のそれと同じ枠で囲むとよい。この際、枠を、膜を密封するシール要素間の寸法比を同じ値にすべく利用できる。セルスタックの電解質・電極ユニットを枠で囲まれた、例えば接触板ばね21のような電流伝達部品で置換することで、圧力室を簡単に形成できる。そのため、枠を特に弾性材料で作るとよい。接触面に接する接触部品が弾性シール材料を有するなら、枠は硬くてもよい。枠は、例えば金属箔で形成する。
【0040】
ばね行程を増大すべく、ばね要素が金属板平面の両側にばね舌片を切り起こした金属板を有してもよい。或いは、ばね行程を増大すべく、2つの接触板ばねをその金属板面で重ね合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】電気化学電池としての燃料電池ブロック。
【図2】非被覆接触板付き冷却カードを備えた燃料電池ブロックの圧力クッション。
【図3】被覆接触板付き冷却カードを備えた圧力クッション。
【図4a−c】冷却カードおよび接触板の種々の実施例。
【図5a−b】ばね要素の特に有利な実施例。
【符号の説明】
【0042】
1 電気化学電池、2 極板、3 電解質・電極ユニット、4 冷却カード、6 圧力室、7 接触板、8、21 電流伝達部品、9、23a、23b ばね舌片、9a、22 金属板、13 基礎層、14 導体層、24 軸線、25 ばね舌片先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電解質・電極ユニット(3)と、各々少なくとも1つの電解質・電極ユニット(3)を冷却するための複数の冷却カード(4)と、電解質・電極ユニット(3)への媒体供給と無関係に圧力を加えられる圧力室(6)であって、該室(6)に隣接する電気化学電池の部品間に押圧力を発生するための圧力室(6)とを備えた電気化学電池(1)において、少なくとも1つの圧力室(6)が少なくとも1つの冷却カード(4)に隣接し、少なくとも部分的に該冷却カード(4)で境界づけられたことを特徴とする電気化学電池。
【請求項2】
圧力室が2つの冷却カード(4)間に配置され、少なくとも部分的にこれら2つの冷却カード(4)で境界づけられたことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項3】
圧力室が冷却カード(4)と極板(2)との間に配置され、少なくとも部分的に冷却カード(4)および極板(2)で境界づけられたことを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項4】
圧力室(6)の内部に、少なくとも1つの冷却カード(4)に続く電流伝達部品(8)が配置されたことを特徴とする請求項1から3の1つに記載の電池。
【請求項5】
電流伝達部品がばね要素(8、21)として形成されたことを特徴とする請求項4記載の電池。
【請求項6】
ばね要素(8、21)が、金属板平面から切り起こしたばね舌片(9、23)を備えた少なくとも1つの金属板(9a、22)を有することを特徴とする請求項5記載の電池。
【請求項7】
ばね舌片(9)が冷却カード(4)と鋭角(α)を成すことを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項8】
少なくとも2つのばね舌片(23a、23b)が、金属板平面(28)に対して垂直な方向への舌片先端(25)への力作用の下で、各ばね舌片(23a、23b)により金属板平面(28)に発生した曲げモーメント(M)が少なくとも部分的に相殺されるよう配置および/又は成形されたことを特徴とする請求項6記載の電池。
【請求項9】
両ばね舌片(3a、23b)が、金属板平面(28)に対し垂直に延びる軸線(24)に関し軸対称的配置および/又は形状を有することを特徴とする請求項8記載の電池。
【請求項10】
ばね舌片(3a、23b)が、各々湾曲形状をなすことを特徴とする請求項9記載の電池。
【請求項11】
舌片先端(25)が丸められたことを特徴とする請求項8から10の1つに記載の電池。
【請求項12】
電流伝達部品(9、21)が枠で囲まれたことを特徴とする請求項4記載の電池。
【請求項13】
枠が弾性シール材料で作られたことを特徴とする請求項12記載の電池。
【請求項14】
枠が金属で作られたことを特徴とする請求項12記載の電池。
【請求項15】
枠の外側形状および/又は外側寸法が、電解質・電極ユニット(3)のそれと同じであることを特徴とする請求項12から14の1つに記載の電池。
【請求項16】
少なくとも1つの冷却カード(4)が、圧力室(6)の側の面に接触板(7)を有することを特徴とする請求項1から15の1つに記載の電池。
【請求項17】
接触板(7)が基礎層(13)上に設けられた導体層(14)を有し、該導体層の導電率が基礎層(13)の導電率を上回ることを特徴とする請求項16記載の電池。
【請求項18】
導体層(14)が基礎層(13)より薄いことを特徴とする請求項17記載の電池。
【請求項19】
接触板(7)の導電率が冷却カード(4)の導電率を上回ることを特徴とする請求項16から18の1つに記載の電池。
【請求項20】
導体層(14)が接触板(7)の圧力室(6)の側の面に配置されたことを特徴とする請求項17記載の電池。
【請求項21】
接触板(7)の圧力室(6)と反対側の面にもう1つの導体層(14)が配置されたことを特徴とする請求項20記載の電池。
【請求項22】
導体層(14)がめっき、又はスパッタリング、接着、圧接、摩擦接続により、基礎層(13)上に設けられたことを特徴とする請求項17から21の1つに記載の電池。
【請求項23】
導体層(14)が薄膜として基礎層(13)上に設けられたことを特徴とする請求項17から22の1つに記載の電池。
【請求項24】
電解質・電極ユニット(3)の数が圧力室(6)の数の少なくとも2倍であることを特徴とする請求項1から23の1つに記載の電池。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2007−504632(P2007−504632A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529579(P2006−529579)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000785
【国際公開番号】WO2004/109838
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】