説明

電気式脱イオン水製造装置

【課題】規定された電極間距離を安定して得ることができるとともに、脱塩室に充填されるイオン交換体を容易に交換することが可能な電気式脱イオン水製造装置を提供する。
【解決手段】電極間にイオン交換体が充填される脱塩室10が形成される電気式脱イオン水製造装置7である。
そして、本体11の両端が開放されるとともに電極間の距離を規定する連結部12が形成された脱塩室用容器1と、本体の内空部11aの形状に合わせて成形されたモノリスイオン交換体3と、連結部と所定の位置で連結される電極側連結部22が形成された電極室用キャップ2A,2Bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純水などの脱イオン水を製造する電気式脱イオン水製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工業、製薬工業、食品工業などの各種工業、研究室又は燃料電池などで純水又は超純水などの脱イオン水が使用されており、その製造装置の一つとして電気式脱イオン水製造装置が知られている(特許文献1,2など参照)。
【0003】
これらの特許文献1,2に開示された電気式脱イオン水製造装置は、陽極と陰極の電極間に、両側面にイオン交換膜が張設された平板状の枠体が配置され、この枠体内に充填された粒状のイオン交換樹脂に被処理水を通過させることで、被処理水が脱イオン水として排出される構造となっている。
【0004】
そして、この平板状の枠体には取付用の穴が設けられており、その穴に挿入されたボルトを締結することによって電極間に枠体が固定される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3009221号公報
【特許文献2】特開平11−192491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のボルトを締結する構造では、ボルトを締結する力の大きさによって電極間の距離が変化して電気抵抗が変動するため、装置毎の消費電力などの性能に個体差が生じるおそれがある。
【0007】
また、枠体に粒状のイオン交換樹脂を充填する作業は熟練作業者による慎重な作業を要するうえに、さらにイオン交換膜を張設し、ボルトを挿入して締結をおこなう、というように製作工程も多い。また、その製作工程も不安定な状態でおこなわれることからも上述した個体差が生じることが懸念される。
【0008】
さらに、ボルトの締結する力が大きく入りすぎると損傷してしまうことが懸念されるため、慎重な作業が求められることになり、作業効率を上げ難いという問題もある。
【0009】
一方、電気式脱イオン水製造装置の使用を開始した後に、イオン交換樹脂が劣化して交換しなければならなくなる場合がある。例えば、燃料電池の冷却水などの循環水を浄化するために電気式脱イオン水製造装置を使用した場合、40〜50℃の高温の被処理水が脱塩室に流れ込み、熱に弱いアニオン交換樹脂が劣化することが考えられる。また、カチオン交換樹脂においても、残留塩素などの酸化性物質により、不可逆的に劣化することがある。
【0010】
また、腐植質(フミン酸、フルボン酸など)、界面活性剤、油脂類、工場排水や下水中に存在する有機物などが被処理水に含まれていた場合、イオン交換樹脂に吸着されて有機物汚染が生じる。そして、有機物汚染が起きたイオン交換樹脂は、通常の再生処理では再生されないため、交換を余儀なくされる。
【0011】
このように脱塩室に充填されるイオン交換樹脂が劣化した場合、イオン交換樹脂のみを容易に交換できるようにしておかなければ、電気式脱イオン水製造装置ごと交換しなければならなくなり、不経済である。
【0012】
そこで、本発明は、規定された電極間距離を安定して得ることができるとともに、脱塩室に充填されるイオン交換体の少なくとも一部を容易に交換することが可能な電気式脱イオン水製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の電気式脱イオン水製造装置は、電極間にイオン交換体が充填される脱塩室が形成される電気式脱イオン水製造装置であって、本体の両端が開放されるとともに前記電極間の距離を規定する連結部が形成された脱塩室用容器と、前記本体の内空部の少なくとも一部の形状に合わせて成形されたモノリス状有機多孔質イオン交換体と、前記連結部と所定の位置で連結される電極側連結部が形成された電極室用キャップとを備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで、前記連結部には、対となる連結機構の一方が形成されるとともに、前記連結機構は所定の位置で前記本体の軸方向の嵌入が停止する構造であってもよい。例えば、前記対となる連結機構は、ツイストネジとすることができる。
【0015】
このように、連結部が対となる連結機構の一方であれば、他方の連結機構を備えた部材を停止するまで嵌め込むだけで、容易に組み立てをおこなうことができる。特に、連結機構がツイストネジであれば、モノリス状有機多孔質イオン交換体を脱塩室用容器に挿入して電極室用キャップをねじ込むだけで、組み立てを完了させることができる。
【0016】
また、脱塩室用容器の内空部に充填されるモノリス状有機多孔質イオン交換体は、骨格を有する連続細孔構造であり、所望する形状に容易に成形することができる。このため、脱塩室の内空部の形状に合わせて成形されたモノリス状有機多孔質イオン交換体を使用することによって、脱塩室へのイオン交換体の充填及び交換を容易におこなうことができる。
【0017】
さらに、前記電極室用キャップに形成された凹部に粒状のイオン交換体が充填されるとともに、この充填されたイオン交換体よりも前記凹部の開放側に張設されるイオン交換膜が前記電極室用キャップの内面に固着される構成であってもよい。
【0018】
すなわち、電極室用キャップの凹部に粒状のイオン交換体を充填し、それよりも凹部の開放側にイオン交換膜を張設する際に、イオン交換膜を電極室用キャップの内面に両面テープや接着剤などによって固着しておく。
【0019】
このように電極室用キャップ側をモジュール化しておくことで、電極室用キャップを脱塩室用容器から取り外しても粒状のイオン交換体が凹部から流出することがなく、脱塩室のモノリス状有機多孔質イオン交換体を交換して電極室用キャップを装着するだけで、電気式脱イオン水製造装置を再生させることができる。
【0020】
また、前記本体の内空部には、前記モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状のイオン交換体とが充填される構成であってもよい。このように脱塩室に充填されるイオン交換体の一部でもモノリス状有機多孔質イオン交換体となっていれば、その部分だけを容易に交換することができる。
【0021】
また、前記脱塩室用容器を複数接続し、その両側に前記電極室用キャップをそれぞれ装着することもできる。
【0022】
このように複数の脱塩室用容器を電極間に配置する構成であれば、所望する処理水量に合わせた電気式脱イオン水製造装置を、接続する脱塩室用容器の数を調節するだけで容易に製作することができる。
【発明の効果】
【0023】
このように構成された本発明の電気式脱イオン水製造装置は、脱塩室用容器の本体に電極との距離を規定する連結部が設けられているとともに、電極室用キャップには、連結部と所定の位置で連結される電極側連結部が設けられているため、連結部と電極側連結部とを連結することで電極を配置すると、必ず規定された電極間距離の電気式脱イオン水製造装置が製作されるので、電気抵抗が一定である安定した性能の製品を効率よく製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態の電気式脱イオン水製造装置の構成を説明する斜視図である。
【図2】脱塩室用容器の両端に電極室用キャップを装着した構成を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の電気式脱イオン水製造装置の構成を説明する断面図である。
【図4】電気式脱イオン水製造装置の配管を説明する説明図である。
【図5】実施例2の電気式脱イオン水製造装置の構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、本実施の形態で説明する電気式脱イオン水製造装置7の構成について、図1−図3を参照しながら説明する。ここで、図1は、電気式脱イオン水製造装置7の外殻となる脱塩室用容器1及び電極室用キャップ2A,2Bと、脱塩室用容器1に充填するモノリス状有機多孔質イオン交換体としてのモノリスイオン交換体3の外形とを示した図である。
【0026】
また、図2は、イオン交換体及びイオン交換膜を配置せずに、脱塩室用容器1の両側に電極室用キャップ2A,2Bを装着した状態を示した断面図である。さらに、図3は、モノリスイオン交換体3、イオン交換体31A,31B及びイオン交換膜4,4を配置した状態の電気式脱イオン水製造装置7の断面図である。
【0027】
この電気式脱イオン水製造装置7は、半導体製造工業、製薬工業、食品工業若しくは発電所などの各種工業、糖液、ジュース若しくはワイン等の製造、研究室又は燃料電池などにおいて使用する、純水又は超純水などの脱イオン水を製造する装置である。
【0028】
本実施の形態で説明する電気式脱イオン水製造装置7は、図3に示すように電極としての陰極51と陽極52との間に、電極室20,20と脱塩室10が、イオン交換膜4,4によって区画されることで形成されている。
【0029】
また、電極室20,20には、それぞれ粒状のイオン交換体31A,31Bが充填されている。このイオン交換体31A,31Bとしては、アニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を混合したものなどが利用できる。
【0030】
さらに、脱塩室10には、モノリスイオン交換体3が充填される。このモノリスイオン交換体3は、骨格を有する連続細孔構造であり、所望する固形に容易に成形することができる。例えば、図1に示すように脱塩室10の内空部11aが円筒形であれば、モノリスイオン交換体3を内空部11aの内径及び軸方向長さに合わせた円柱状に成形することができる。
【0031】
このモノリスイオン交換体3は、アニオン交換体又はカチオン交換体のいずれであっても使用できる。また、モノリスイオン交換体3には様々な構造のものがあるが、例えば、連続気泡構造のもの(特開2002−306976号公報等を参照)、粒子凝集構造のもの(特開2009−7550号公報等を参照)、共連続構造のもの(特開2009−62512号公報、特開2009−67982号公報、特開2009−108294号公報、特開2009−191148号公報等を参照)などが使用できる。
【0032】
連続気泡構造のモノリスイオン交換体3は、例えば、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤を混合して油中水滴型エマルジョンを調製し、これを重合させて得られた連続気泡構造のモノリス状有機多孔質体に、イオン交換基を導入することによって製造される。また、特開2002−306976号公報に記載のモノリス状有機多孔質体は、互いに繋がっているマクロポアとマクロポアの壁内に、平均径が1〜1000μm(好ましくは10〜100μm)のメソポアを有する連続気泡構造であって、全細孔容積が1〜50ml/gとなっている。そして、このモノリス状有機多孔質体にイオン交換基が均一に分布された連続気泡構造のモノリスイオン交換体3は、イオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥多孔質体以上(好ましくは2.0mg当量/g乾燥多孔質体以上)となっている。
【0033】
また、粒子凝集構造は、例えば、架橋構造単位を有する直径が1〜50μm(好ましくは1〜30μm)の有機ポリマー粒子が凝集して三次元的に連続した骨格部分を形成し、その骨格間に空孔径が20〜100μm(好ましくは20〜90μm)の三次元的に連続した空孔を有し、全細孔容積が1〜5ml/gとなっている。そして、特開2009−7550号公報に記載のイオン交換基が導入された粒子凝集構造のモノリスイオン交換体3は、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.3mg当量/ml以上(好ましくは0.5〜5.0mg当量/ml)となっている。
【0034】
また、共連続構造のモノリスイオン交換体3は、例えば、有機多孔質体の構造として、三次元的に連続した骨格相と、その骨格相間に三次元的に連続した空孔相とが絡み合って、それぞれが共に三次元的に連続する構造に形成されている。
【0035】
さらに、特開2009−62512号公報に記載の共連続構造は、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が共通のメソポアとなる連続マクロポア構造であって、メソポアの平均径が20〜200μm(好ましくは20〜100μm)、全細孔容積が0.5〜5ml/g(好ましくは0.8〜4ml/g)となっている。また、この共連続構造にイオン交換基が導入されたモノリスイオン交換体3は、メソポアの平均径が30〜300μm(好ましくは35〜150μm)となり、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.4mg当量/ml以上(好ましくは0.4〜1.8mg当量/ml)となっている。
【0036】
また、特開2009−67982号公報に記載の共連続構造は、骨格の太さが0.8〜40μm(好ましくは1〜30μm)、骨格間に直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔が配置され、全細孔容積が0.5〜5ml/gとなっている。また、この共連続構造にイオン交換基が導入されたモノリスイオン交換体3は、骨格の太さが1〜60μm(好ましくは3〜58μm)、空孔の直径が10〜100μm(好ましくは20〜80μm)となり、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.3mg当量/ml以上(好ましくは0.4〜1.8mg当量/ml)となっている。
【0037】
さらに、特開2009−108294号公報に記載の共連続構造は、有機多孔質体の骨格表面に多数の粒子体を固着させたり、突起体を形成させたりした複合構造となっている。また、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分のメソポアの平均径が20〜200μm(好ましくは20〜100μm)、骨格の太さが0.8〜40μm(好ましくは1〜30μm)、骨格間に直径が8〜80μmの三次元的に連続した空孔が配置された連続マクロポア構造となっている。また、骨格表面の粒子体の直径(又は突起体の最大径)は、2〜20μm(好ましくは3〜10μm)となっている。そして、全細孔容積は、0.5〜5ml/g(好ましくは0.8〜4ml/g)となっている。また、この共連続構造にイオン交換基が導入されると、空孔の平均径が10〜150μm(好ましくは10〜120μm)となり、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.2mg当量/ml以上(好ましくは0.3〜1.8mg当量/ml)となっている。
【0038】
また、特開2009−191148号公報に記載の共連続構造は、有機多孔質体の骨格の表層部に蜂の巣状の多孔構造を有するものである。さらに、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分のメソポアの平均径が20〜200μm(好ましくは20〜100μm)となっている。また、多孔構造は、直径が0.1〜20μm(好ましくは0.1〜10μm)の細孔が無数に存在する構造となる。このように多孔構造を骨格の表層部に有する共連続構造は、比表面積が20〜70m2/gと格段に大きくなる。また、全細孔容積は、0.5〜5ml/g(好ましくは0.8〜4ml/g)となっている。さらに、この共連続構造にイオン交換基が導入されると、メソポアの平均径が30〜300μm(好ましくは35〜150μm)、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.4mg当量/ml以上(好ましくは0.4〜1.8mg当量/ml)となっている。
【0039】
このようなモノリスイオン交換体3が充填された脱塩室10に流入口13から流入した被処理水WA中のイオンは、モノリスイオン交換体3により捕捉されて、脱イオン水WBが流出口14から排出される。
【0040】
また、モノリスイオン交換体3に捕捉されたイオンは、陰極51と陽極52の間の電位勾配によりイオン交換膜4を通過して電極室20に移動し、電極水流出口25から排出される。
【0041】
なお、イオン交換膜4には、アニオン交換膜、カチオン交換膜などがあり、脱塩室10から電極室20に向けて移動させたいイオンの種類に応じて設定すればよい。
【0042】
そして、この電気式脱イオン水製造装置7では、このようなイオンが移動してくる濃縮室の機能を電極室20が兼ね備えており、脱塩室10から移動してきたイオンは、一室として形成された電極室20に集まることになる。
【0043】
また、このように構成された電気式脱イオン水製造装置7は、電極間距離(陰極51と陽極52との距離、より詳細には、陰極板51aと陽極板52aとの間の距離)が変化すると、それに伴って電極間の電気抵抗も変動して装置の消費電力が変動することになる。
【0044】
そこで、規定された電極間距離を安定して得ることが可能な本実施の形態の脱塩室用容器1と、その両側に装着される電極室用キャップ2A,2Bの構成の詳細について図1,2を参照しながら説明する。
【0045】
この脱塩室用容器1は、円筒形状の本体11と、電極室用キャップ2A(2B)と連結する手段となる連結部12と、被処理水WAを取り込む流入口13と、脱イオン水WBを排出する流出口14とを備えている。
【0046】
この脱塩室用容器1は、合成樹脂などの絶縁材料によって成形された部材で、本体11の内側には円柱状の内空部11aが形成され、その軸方向の両端は開放されている。
【0047】
また、本体11の外面11b側には、円筒状の流入口13が突出されており、流入口13と内空部11aは、図2の破線で模式的に示したように本体11に形成される流入経路13aによって接続されている。
【0048】
さらに、本体11の外面11b側には、円筒状の流出口14が突出されており、内空部11aと流出口14は、図2の破線で模式的に示したように本体11に形成される流出経路14aによって接続されている。
【0049】
また、本体11の両端付近の外面11bに形成される連結部12は、対となる連結機構の一方であり、ここでは連結機構としてツイストネジについて説明する。
【0050】
この連結部12は、図1に示すように、本体11の端面から軸方向の中央側に離隔した位置でその端面と平行となるように周方向に延設される突条12aと、その突条12aの端から略直角に本体11軸方向の中央側に延出されるストッパ12bとによって、平面視略L字形に形成されている。また、略L字形の連結部12の内角側には、ストッパ12bから周方向にずれた位置に、電極室用キャップ2A(2B)の逆転を防止するための突起12cが本体11軸方向に延出されている。
【0051】
そして、本実施の形態では、このような連結部12は、本体11の外面11b上のそれぞれの端部付近において、内空部11aを挟んで対峙するように2つずつ形成される。また、このように本体11の周方向に2つ配置される連結部12,12は、一周方向で見て同じ向きになるように取り付けられる。
【0052】
他方、電極室用キャップ2A(2B)は、凹部21aが形成された外殻21と、電極(陰極51又は陽極52)を取り付けるための電極取付口23と、連結部12と所定の位置で連結される電極側連結部22と、電極水WCを取り込む電極水流入口24と、電極水WDを排出する電極水流出口25とを備えている。
【0053】
この電極室用キャップ2A(2B)は、合成樹脂などの絶縁材料によって成形された部材で、外殻21の内側には凹部21aが形成され、脱塩室用容器1に装着する側は開放されている。
【0054】
この凹部21aは、図2に示すように、脱塩室用容器1の軸方向の端部を収容する第1空間211と、その第1空間211よりも軸直交方向となる幅が狭くなった底面側の第2空間212とが階段状に形成されている。また、この凹部21aの底面には貫通穴が電極取付口23として形成されている。
【0055】
さらに、凹部21aの開放側の内周面に形成される電極側連結部22は、脱塩室用容器1に形成される連結部12と対となる連結機構である。
【0056】
この電極側連結部22は、外殻21の開放側端面に隣接した位置で周方向に延設される突条22aと、本体11側の連結部12の突条12aの幅より僅かに広い幅の溝部22bと、溝部22bの一側面を形成する段差部22cとによって形成されている。また、突条22aの内周面には、脱塩室用容器1の突起12cに噛み合う止め溝22dが形成されている。
【0057】
この突条22aは、本体11の端部付近に周方向に間隔を置いて設けられた連結部12,12間の隙間に挿入可能な長さに形成されている。また、溝部22bは、電極室用キャップ2A(2B)を回転させると、突条22aに沿って突条12aが相対的に移動可能な幅に形成されている。
【0058】
さらに、本体11側のストッパ12bは、電極室用キャップ2A(2B)が回転することで突条22aの周方向端面が衝突すると電極室用キャップ2A(2B)の回転を停止させることができる程度の大きさに形成されている。また、この停止位置では、脱塩室用容器1側の突起12cと突条22aの止め溝22dとが噛み合って電極室用キャップ2A(2B)の逆回転が防止される。
【0059】
この停止位置では、電極室用キャップ2A(2B)の周方向への回転が停止されるとともに、電極室用キャップ2A(2B)の脱塩室用容器1側への移動、換言すると本体11の軸方向への嵌入も停止される。すなわち、この停止位置では、本体11の突条12aは、電極室用キャップ2A(2B)の溝部22bにおいて突条22aと段差部22cとの間に挟持されるため、本体11軸方向の移動が制限される。そして、このような連結機構によって連結された脱塩室用容器1と電極室用キャップ2A(2B)とは、本体11軸方向の相対的な位置関係が常に一定になる。
【0060】
また、外殻21の外面21b側には、円筒状の電極水流入口24が突出されており、電極水流入口24と凹部21aは、図2の破線で模式的に示したように外殻21に形成される流入経路24aによって接続されている。
【0061】
さらに、外殻21の外面21b側には、円筒状の電極水流出口25が突出されており、凹部21aと電極水流出口25は、図2の破線で模式的に示したように外殻21に形成される流出経路25aによって接続されている。
【0062】
次に、本実施の形態の電気式脱イオン水製造装置7の製作工程及びモノリスイオン交換体3の交換工程を説明するとともに、その作用について説明する。
【0063】
まず、図3に示すように、脱塩室用容器1の内空部11aにモノリスイオン交換体3を充填する。ここで、モノリスイオン交換体3を充填する際には、流入経路13a及び流出経路14aの内空部11a側の開口に、スリットやメッシュなどの部材を必要に応じて取り付ける。
【0064】
このモノリスイオン交換体3は、内空部11aの内周形状より僅かに小さい外形の円柱状に成形されている。このため、図1に示すように、脱塩室用容器1の円筒形状の内空部11aに対して円柱状のモノリスイオン交換体3を差し込むだけで、充填作業を完了させることができる。例えば、体積比で0.9〜1.5の充填率となるようなモノリスイオン交換体3を使用する。
【0065】
このように脱塩室用容器1に固形(円柱状)のモノリスイオン交換体3を差し込む構成であれば、粒状のイオン交換体を充填する場合に比べて、所望する充填率を容易に確保することができる。すなわち、モノリスイオン交換体3を使用する場合は、充填率が充填作業の精度によって決まるのではなく、モノリスイオン交換体3の物性によって決まる。このため、所望する充填率を満たすモノリスイオン交換体3を製作しておけば、熟練技術者でなくても脱塩室10の充填率を容易に所望する値にすることができる。
【0066】
続いて、2つの電極室用キャップ2A,2Bを用意し、一方の電極室用キャップ2Aには陰極51を取り付け、他方の電極室用キャップ2Bには陽極52を取り付ける。
【0067】
この陰極51は、陰極板51aと、その中央に接続される陰極棒51bとによって構成されており、凹部21aの開放側から陰極棒51bを電極取付口23に差し込むことによって、陰極51を電極室用キャップ2Aに取り付けることができる。なお、図示していないが、陰極51は、陰極棒51bをナットで締結するなどして電極室用キャップ2Aに固定される。
【0068】
また、陽極52も、陽極板52aと陽極棒52bとによって構成されており、陰極51と同様にして電極室用キャップ2Bに取り付けて固定する。
【0069】
さらに、電極室用キャップ2A(2B)の凹部21aには、粒状のイオン交換体31A(31B)が充填される。この充填に際して、図示していないが、流入経路24a及び流出経路25aの凹部21a側の開口には、イオン交換体31A(31B)の流出を防止するスリットなどの部材を必要に応じて取り付ける。
【0070】
また、イオン交換体31A(31B)が充填された凹部21aの開放側は、イオン交換膜4を張設することによって遮蔽する。例えば、イオン交換膜4の周縁に両面テープ(図示省略)を貼り、その両面テープによってイオン交換膜4を電極室用キャップ2A(2B)の内面に固着する。なお、両面テープに代えて接着剤を使用することもできる。また、凹部21aの開放側の内周面にイオン交換膜4を固定する部材を配置する構成であってもよい。
【0071】
このように電極室用キャップ2A(2B)が、イオン交換膜4によって充填されたイオン交換体31A(31B)の流出が防止できる構造にモジュール化されていれば、電極室用キャップ2A(2B)の着脱を容易におこなうことができる。
【0072】
また、図示していないが、凹部21aの開放側の内周面には、水密性を高めるためのガスケットやOリングを必要に応じて配置する。
【0073】
そして、モノリスイオン交換体3が充填された脱塩室用容器1に対して、陰極51を取り付けた電極室用キャップ2Aの突条22a,22aが、本体11の外面11bの突条12aのない位置にくるように位置合わせをし、電極室用キャップ2Aを押し込む。すると、電極室用キャップ2Aの段差部22cが本体11の突条12aに当接し、電極室用キャップ2A側の突条22aと本体11側の突条12aとが平行になる。
【0074】
さらに、その電極室用キャップ2Aを図1で見て反時計回りに回すと、溝部22bに突条12aの先端が入り込み、突条12aに沿って相対的にスライドした突条22aの先端は、突起12cを乗り越え、ストッパ12bの側面に突き当たることで回転が停止する。
【0075】
また、この停止位置で突起12cが止め溝22dに食い込むため、電極室用キャップ2Aの逆転も防止されて、脱塩室用容器1に電極室用キャップ2Aが固定されることになる。
【0076】
このように、連結部12と電極側連結部22とが対となってツイストネジを構成し、所定の位置で周方向の移動を停止させるストッパ12bと、本体11軸方向の嵌入を停止させる段差部22cとが設けられた脱塩室用容器1への電極室用キャップ2Aの装着であれば、ねじ込むだけで組み立てを完了させることができる。
【0077】
また、脱塩室用容器1側の周方向に延設される突条12aが、電極室用キャップ2Aの突条22aと段差部22cとによって挟持される連結構造となるため、本体11軸方向の連結力が強く、衝撃や内圧の上昇などに対してもずれが生じることがない。
【0078】
そして、陽極52を取り付けた電極室用キャップ2Bについても、上記と同様にして脱塩室用容器1の連結部12に連結することで装着をおこなう。
【0079】
このようにして脱塩室用容器1に電極室用キャップ2A,2Bを装着すると、脱塩室用容器1と電極室用キャップ2A,2Bとの本体11軸方向の相対的な位置関係が一定になるため、図3に示すような陰極板51aと陽極板52aとの間隔は常に規定した距離になる。
【0080】
このため、脱塩室用容器1と電極室用キャップ2A,2Bとを使用して組み立てられる電気式脱イオン水製造装置7の電極間距離は、常に規定された距離となって個体ごとに異なることがなく、一定の電気抵抗、すなわち一定の消費電力を示す装置を安定して製作することができる。
【0081】
さらに、脱塩室用容器1の両側に電極室用キャップ2A,2Bを装着した後には、図4に示すように配管をおこなう。
【0082】
まず、脱塩室用容器1の流入口13には、被処理水WAを搬送させる送水管61を接続する。そして、脱塩室10で処理された脱イオン水WBを排出させる流出口14には、供給管62を接続する。
【0083】
この供給管62は、脱イオン水WBを使用する機器まで延設されることになるが、その途中には分岐管63が接続され、分岐管63の端部は陰極51が取り付けられた電極室用キャップ2Aの電極水流入口24に接続される。
【0084】
また、この陰極51側の電極室用キャップ2Aの電極水流出口25と、陽極52側の電極室用キャップ2Bの電極水流入口24とは、連結管64によって連結される。
【0085】
さらに、陽極52が取り付けられた電極室用キャップ2Bの電極水流出口25には、濃縮室を兼用する電極室20を通過した電極水WD(濃縮水)を排出する排出管65を接続する。
【0086】
このような配管は、電気式脱イオン水製造装置7の外面側に突出された流入口13、流出口14、電極水流入口24,24及び電極水流出口25,25に対しておこなえばよいので、作業性がよく、容易に組み付けをおこなうことができる。
【0087】
また、配管の作業性を考慮して、流入口13、流出口14、電極水流入口24,24及び電極水流出口25,25の一部又は全部が同じ方向に突出するように構成することもできる。
【0088】
このように分岐管63によって生成された脱イオン水WBの一部を取り出し、陰極51側の電極室20及び陽極52側の電極室20を通過させることで、電極室20,20内に滞留するイオンとともに電極水WDを強制的に排出させることができる。
【0089】
特に、陽極52側の電極室20では、脱塩室10から移動してきた多くのイオンが滞留して濃縮水となっており、この濃縮水となる電極水WDを強制的に排出させる構造にすることで、電気式脱イオン水製造装置7の処理効率を向上させることができる。
【0090】
また、電気式脱イオン水製造装置7は、流入口13が上にあっても下にあっても機能するが、例えば流入口13を下にして被処理水WAが脱塩室10を打ち上がった後に上方の流出口14から排出される向きに設置すれば、除去率の高い高純度の脱イオン水WBを製造することができる。
【0091】
さらに、このようにして製作される電気式脱イオン水製造装置7は、例えば直径約70mm、長さ約80mm程度の小型のものにできるので、家庭用燃料電池に使用する純水製造装置や研究室用の純水製造装置などの小型化が要望される機器に適用することができる。
【0092】
例えば、上述したようにして製作された電気式脱イオン水製造装置7を家庭用燃料電池の冷却水などの循環水を浄化するために装着した場合、40〜50℃の高温の被処理水WAが脱塩室10に流入することになる。そして、燃料電池の循環水は、アニオン成分が多くなるため、脱塩室10にはアニオン交換体が充填されることになる。
【0093】
しかしながら、アニオン交換体は熱に弱いため、燃料電池を長時間使用した結果、脱塩室10に充填されたモノリスイオン交換体3が他の構成部品よりも先に劣化することが考えられる。
【0094】
そこで、使用時間又は使用期間などの所定の使用条件を経過した電気式脱イオン水製造装置7に対して、脱塩室10に充填されたモノリスイオン交換体3を交換する交換工程について説明する。
【0095】
まず、電気式脱イオン水製造装置7の使用を停止し、必要に応じて内部の水抜きをおこなう。そして、送水管61、供給管62、分岐管63、連結管64及び排出管65を、脱塩室用容器1及び電極室用キャップ2A,2Bから取り外す。
【0096】
続いて、電極室用キャップ2A,2Bをねじって脱塩室用容器1から電極室用キャップ2A,2Bを外す。なお、電極室用キャップ2A,2Bは、両方を外しても良いし、いずれか一方のみを外してもよい。
【0097】
また、電極室用キャップ2A,2Bには、粒状のイオン交換体31A,31Bが充填されているが、内面に固着されたイオン交換膜4によって凹部21aの開放側が塞がれているので、電極室用キャップ2A,2Bを外してもイオン交換体31A,31Bが漏れ出すことはない。
【0098】
そして、脱塩室用容器1の中から使用済みのモノリスイオン交換体3を取り出し、代わりに新しいモノリスイオン交換体3を内空部11aに挿入する。このモノリスイオン交換体3は、円柱状の固形であるため、内空部11aからの出し入れを容易におこなうことができる。
【0099】
また、モノリスイオン交換体3を入れ替えた脱塩室用容器1の両側に、モジュール化された電極室用キャップ2A,2Bを再び装着し、送水管61、供給管62、分岐管63、連結管64及び排出管65の配管をおこなう。
【0100】
このようにモノリスイオン交換体3を交換するだけで電気式脱イオン水製造装置7を再生できれば、定期点検時など維持管理の一環として点検者などが容易に実施することができる。
【実施例1】
【0101】
本実施の形態によって説明した電気式脱イオン水製造装置7と、従来の電極間に平板状の枠体をボルトで締結して固定する電気式脱イオン水製造装置(スタック&フレーム型)とをそれぞれ15台ずつ製作し、各装置の電極間の電気抵抗を測定した結果を表1に示す。
【0102】
【表1】

【0103】
この表1の結果からすれば、従来のスタック&フレーム型は、電気抵抗の標準偏差が平均値の3.3%の幅で広がっているのに対し、本実施の形態の電気式脱イオン水製造装置7は、1.3%の範囲で収まっており、従来構造に比べて安定した消費電力の製品を製作できることがわかる。
【実施例2】
【0104】
以下、前記した実施の形態とは別の形態の実施例2の電気式脱イオン水製造装置7Aについて、図5を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
この実施例2の電気式脱イオン水製造装置7Aは、図5に示すように、脱塩室用容器1の内空部11aに、モノリスイオン交換体3と粒状のイオン交換体32とが充填される。
【0105】
すなわち、図5に示した脱塩室10の左半分には、本体11の内空部11aの軸方向長さの半分程度の高さの円柱状のモノリスイオン交換体3が配置されている。また、図5に示した脱塩室10の右半分には、電極室20と同様に粒状のイオン交換体32が充填されている。
【0106】
ここで、脱塩室10に充填されるモノリスイオン交換体3及びイオン交換体32は、アニオン交換体、カチオン交換体のいずれであっても利用できる。
【0107】
また、脱塩室10に粒状のイオン交換体32を充填する実施例2では、製作工程及び交換工程において、図5の電極室用キャップ2Aが下になるように電気式脱イオン水製造装置7Aを立てた状態で作業をおこなう。
【0108】
すなわち、製作工程においては、電極室用キャップ2Aを凹部21aの開放側が上を向くように設置し、凹部21aに粒状のイオン交換体31Aを充填し、その上にイオン交換膜4を張設する。
【0109】
続いて、電極室用キャップ2Aに脱塩室用容器1を嵌め込み、本体11の内空部11aの下半分に粒状のイオン交換体32を充填する。さらに、その上から内空部11aの上半分の高さの円柱状に成形されたモノリスイオン交換体3を差し込む。そして、イオン交換体31B及びイオン交換膜4が配置された電極室用キャップ2Bを、脱塩室用容器1に嵌め込んで組み立てを完了させる。
【0110】
一方、モノリスイオン交換体3の交換工程においては、電極室用キャップ2Aが下になるように電気式脱イオン水製造装置7Aを立て、上側の電極室用キャップ2Bをねじって脱塩室用容器1から外す。
【0111】
続いて、脱塩室用容器1の中から使用済みのモノリスイオン交換体3を取り出し、代わりに新しいモノリスイオン交換体3を内空部11aに挿入する。このように脱塩室10の一部に充填されたモノリスイオン交換体3は、劣化しても容易に交換することができる。
【0112】
この実施例2では、脱塩室10にモノリスイオン交換体3とイオン交換体32とが半分ずつ充填される場合について説明したが、この比率は任意に設定することができる。但し、モノリスイオン交換体3の厚みが5mm以上になるように設定するのが好ましい。また、モノリスイオン交換体3が陰極51側に配置される構成であってもよい。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
【0113】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0114】
例えば、前記実施の形態では、主に熱によって劣化したモノリスイオン交換体3を交換する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、腐植質(フミン酸、フルボン酸など)、界面活性剤、油脂類、その他の有機物によって有機物汚染が生じた場合や、残留塩素などの酸化性物質による不可逆的な劣化が生じた場合にも、容易にモノリスイオン交換体3を交換することができる。
【0115】
また、前記実施の形態では、電極間距離を規定する連結機構として、周方向に回転する際には本体11軸方向へ移動しない本体11の端面と平行に形成されたツイストネジについて説明したが、これに限定されるものではなく、周方向に回転すると本体11軸方向の移動も生じる本体11の端面に対して斜めに形成されるツイストネジであってもよい。さらに、所定の位置でねじ込みを停止させるストッパなどが設けられた袋ナット、又は可撓性の爪を凹部に食い込ませる構造など、決められた位置で本体11軸方向の嵌入が停止することで電極間距離を規定できる連結機構であればよい。
【0116】
また、前記実施の形態で本体11に設けた連結部12を電極室用キャップ2A(2B)側に設け、凹部21aに設けた電極側連結部22を脱塩室用容器1側に設けるというように、対となる連結機構のいずれを脱塩室用容器1側に設けてもよい。
【0117】
さらに、前記実施の形態及び実施例2では、1体の脱塩室用容器1の両側にそれぞれ電極室用キャップ2A,2Bを装着する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、複数の脱塩室用容器1,・・・を上述したような電極間距離を規定する袋ナットなどで連結し、その脱塩室用容器1,・・・群の両側にそれぞれ電極室用キャップ2A,2Bを装着する構成であってもよい。このように脱塩室用容器1,・・・の数を調節することで、電気式脱イオン水製造装置の処理能力(処理水量)を容易に調節することができる。
【0118】
また、前記実施の形態及び実施例2では、本体11及び外殻21が円筒状のものについて説明したが、これに限定されるものではなく、四角筒などの断面視多角形や断面視楕円となる本体や外殻を備えたものであってもよい。さらに、脱塩室用容器1と電極室用キャップ2A(2B)の形態の組み合わせも、前記実施の形態に限定されるものではない。
【0119】
さらに、前記実施の形態及び実施例2では濃縮室を兼用する一室の電極室20を形成したが、これに限定されるものではなく、凹部21aの内部にイオン交換膜4に並行してもう一枚のイオン交換膜を追加することで、電極室20と脱塩室10との間に濃縮室を設けることもできる。
【0120】
また、前記実施の形態及び実施例2では、流入口13、流出口14、電極水流入口24及び電極水流出口25を本体11又は外殻21の外面側から突出させたが、これに限定されるものではなく、内空部11a又は凹部21aに連通する開口を外側面に設けただけの構造であってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 脱塩室用容器
10 脱塩室
11 本体
11a 内空部
11b 外面
12 連結部
12b ストッパ
13 流入口
14 流出口
2A,2B 電極室用キャップ
20 電極室
21 外殻
21a 凹部
21b 外面
22 電極側連結部
23 電極取付口
24 電極水流入口
25 電極水流出口
3 モノリスイオン交換体(モノリス状有機多孔質イオン交換体)
31A,31B イオン交換体
32 イオン交換体
4 イオン交換膜
51 陰極(電極)
52 陽極(電極)
64 連結管(配管)
7,7A 電気式脱イオン水製造装置
WA 被処理水
WB 脱イオン水
WC,WD 電極水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極間にイオン交換体が充填される脱塩室が形成される電気式脱イオン水製造装置であって、
本体の両端が開放されるとともに前記電極間の距離を規定する連結部が形成された脱塩室用容器と、
前記本体の内空部の少なくとも一部の形状に合わせて成形されたモノリス状有機多孔質イオン交換体と、
前記連結部と所定の位置で連結される電極側連結部が形成された電極室用キャップとを備えたことを特徴とする電気式脱イオン水製造装置。
【請求項2】
前記連結部には、対となる連結機構の一方が形成されるとともに、前記連結機構は所定の位置で前記本体の軸方向の嵌入が停止する構造であることを特徴とする請求項1に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項3】
前記対となる連結機構は、ツイストネジであることを特徴とする請求項2に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項4】
前記電極室用キャップに形成された凹部に粒状のイオン交換体が充填されるとともに、この充填されたイオン交換体よりも前記凹部の開放側に張設されるイオン交換膜が前記電極室用キャップの内面に固着されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項5】
前記本体の内空部には、前記モノリス状有機多孔質イオン交換体と粒状のイオン交換体とが充填されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
【請求項6】
前記脱塩室用容器を複数接続し、その両側に前記電極室用キャップをそれぞれ装着したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気式脱イオン水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−125823(P2011−125823A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288980(P2009−288980)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】