説明

電気接続箱のバスバー端部構造

【課題】電気接続箱内でのバスバーの端部エッジと電線との干渉を防止すると共に、電気接続箱内へのバスバーの挿入作業性を高める。
【解決手段】電気接続箱1の接続ブロック本体6にバスバー収容溝20を設けると共に、バスバー収容溝に連通してバスバー厚み方向に空間26,30を設け、バスバー収容溝にバスバー7を挿入し、空間の開口26c,30b側においてバスバーの端部7dから突出片22をバスバー厚み方向に突出して設け、接続ブロック本体から導出した電線32を突出片で受け止めて、バスバーの端部エッジとの干渉を防止した。突出片22は、バスバー7をバスバー収容溝20に挿入する際の押圧操作部を兼ねている。空間はナット装着用の縦溝26とボルト締付用の作業空間30とで成り、突出片22を縦溝の開口26cに配置して、開口内への電線の進入を阻止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される電気接続箱内のバスバーの端部エッジと電線との干渉を防いだ電気接続箱のバスバー端部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載される電気接続箱の内側に導電金属板のバスバーを取り付けるために、種々の電気接続箱のバスバー取付構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図8にその従来例を示す如く、ヒューズボックス(電気接続箱)61の絶縁樹脂製のボックス本体(接続箱本体)62にバスバー収容部63と端子収容部64とを平行に設け、バスバー収容部63は、外側壁63aと内側壁63bと両壁部の内面側に突出したガタ押さえ部63cとで成り、バスバー収容部63に横長のバスバー65を上から下向きに挿入し、端子収容部64に不図示の電線付き端子を上から下向きに挿入し、バスバー65の端子部と電線付き端子とに下方からヒューズの各端子を接続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−320627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電気接続箱61のバスバー取付構造にあっては、バスバー65の幅方向(長手直交方向)の端部65aがボックス本体(接続箱本体)62の端部と同じ高さに配置されているために、端子収容部64から導出された電線やボックス本体62内の導出電線がバスバー65の端部65aに接触して傷付きを生じ兼ねないという懸念があった。
【0006】
この懸念は、特にバスバー収容部62を成す前後の壁部63a,63bの間隔が大きい程生じやすく、例えばバスバー65にボルトとナットで電源側等の電線付き端子を締め付け接続する場合に、ナットの収容空間としてバスバー65と壁部63a,63bとの間を広く設定した際に生じ得るものである。
【0007】
また、バスバー65をバスバー収容部63内に挿入する際に、バスバー65の端部65aを作業者が手で押圧する場合は、バスバー65とバスバー収容部63の内面との摺動摩擦抵抗や、バスバー65をバスバー収容部63内の係止アーム等に係止させる関係で、かなりの挿入力を要して、バスバー65の挿入作業性が悪いという懸念もあった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、電気接続箱内におけるバスバーの端部エッジと電線との干渉とそれによる電線の傷付きを防ぐことができ、特に、バスバーと対向する壁部との間隔を広く設定した場合において上記課題を解消することができ、それに加えて、電気接続箱内へのバスバーの組付作業性を高めることができる電気接続箱のバスバー端部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電気接続箱のバスバー端部構造は、電気接続箱の接続ブロック本体にバスバー収容溝が設けられると共に、該バスバー収容溝に連通してバスバー厚み方向に空間が設けられ、該バスバー収容溝にバスバーが挿入され、該空間の開口側において該バスバーの端部から突出片がバスバー厚み方向に突出して設けられ、該接続ブロック本体から導出された電線が該突出片で受け止められて、該バスバーの端部エッジとの干渉を防止されたことを特徴とする。
【0010】
上記構成により、電気接続箱内において接続ブロック本体のバスバー収容溝内のバスバーがバスバー厚み方向(バスバー収容溝と交差する方向)の空間内に露出され、空間内に電線が入り込んで、露出されたバスバー部分の端部に干渉しようとするが、露出されたバスバー部分における突出片が電線を受け止めて(突出片に電線が当接して)、バスバーの端部と電線との干渉が阻止される。これにより、電線の傷付きが防止される。
【0011】
請求項2に係る電気接続箱のバスバー端部構造は、請求項1記載の電気接続箱のバスバー端部構造において、前記突出片が、前記バスバーを前記バスバー収容溝に挿入する際の押圧操作部を兼ねることを特徴とする。
【0012】
上記構成により、作業者がバスバーの突出片を手指で突出片厚み方向に押圧してバスバーを接続ブロック本体のバスバー収容溝に押し込む。
【0013】
請求項3に係る電気接続箱のバスバー端部構造は、請求項1又は2記載の電気接続箱のバスバー端部構造において、前記空間がナット装着用の縦溝とボルト締付用の作業空間とで成り、前記突出片が該縦溝の開口に位置して、該開口内への前記電線の進入を阻止したことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、電線がボルト締付用の作業空間とナット装着用の縦溝に沿って作業空間と縦溝の開口内に入り込もうとするが、縦溝の開口内の突出片が電線を受け止めて、縦溝と作業空間との間のバスバーの端部エッジとの干渉を阻止する。縦溝内にナットが圧入固定され、作業空間においてボルトが工具でナットに螺挿される。
【0015】
請求項4に係る電気接続箱のバスバー端部構造は、請求項3記載の電気接続箱のバスバー端部構造において、前記縦溝内に一対の区画リブが前記縦溝の開口まで延長形成され、該一対の区画リブの間に前記突出片が近接して配置されることを特徴とする。
【0016】
上記構成により、電線が突出片を外れて突出片の両側のバスバー部分の端部に干渉しようとしても、突出片の両側の区画リブの端面に当接して(区画リブの端面が電線を受け止めて)、電線とバスバーの端部エッジとの干渉が阻止される。
【0017】
請求項5に係る電気接続箱のバスバー端部構造は、請求項1〜4の何れかに記載の電気接続箱のバスバー端部構造において、前記バスバーの長手方向の一方に前記突出片が設けられ、前記バスバーの長手方向の他方に略U字状の折返し接続部が設けられ、該突出片と該折返し接続部とが、該バスバーを前記バスバー収容溝に挿入する際の押圧操作部を兼ねることを特徴とする。
【0018】
上記構成により、バスバー長手方向の突出片と折返し接続部との二箇所で長いバスバーが均一な押圧力で傾き等なくスムーズ且つ確実にバスバー収容溝に押し込まれる。突出片はバスバーの電気的接続には無関係な部分であり、折返し接続部はバスバーを突出片の突出方向に延長して電気的に接続させる部分である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、接続ブロック本体のバスバー収容溝に交差した空間内に電線が入り込もうとしても、バスバーの突出片が電線の入り込みを阻止して、バスバーの端部エッジと電線との干渉とそれによる電線の傷付きを防ぐから、電気接続箱の電気的接続の信頼性を高めることができる。また、接続ブロックのバスバー収容溝にバスバーを押し込んで組み付ける際に、バスバーの突出片を押すことで、バスバーの組付作業性を高めることができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、突出片を手指等で押してバスバーを接続ブロック本体のバスバー収容溝に押し込むことで、電気接続箱内へのバスバーの組付作業性を高めることができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、ナット装着用の縦溝とボルト締付作業用の空間とを合わせた広い空間内に電線が入り込んでバスバーの端部エッジに干渉するのをバスバーの突出片で確実に阻止することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、電線が突出片から外れて配置された場合でも、突出片の両側の区画リブに当接することで、電線とバスバーの端部エッジとの干渉を防ぐことができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、長いバスバーでも突出片と折返し接続部との二箇所で押圧することで、傾き等なくスムーズ且つ確実にバスバー収容溝に挿入することができ、電気接続箱内へのバスバーの組付作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明における電気接続箱の一実施形態を示す平面図(上面図)である。
【図2】電気接続箱のバスバー端部構造の一実施形態を示す平面図(上面図)である。
【図3】バスバーの一実施形態を示す下方視斜視図である。
【図4】電気接続箱のバスバー端部構造の一実施形態を示す下方視斜視図である。
【図5】電気接続箱内の電線をバスバーの突出片で受け止める状態を示す下方視斜視図である。
【図6】同じく電線をバスバーの突出片で受け止める状態を見る角度を変えて示す下方視斜視図である。
【図7】電線をバスバーの突出片で受け止める状態を示す縦断面図である。
【図8】従来の電気接続箱のバスバー取付構造の一形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜図7は、本発明に係る電気接続箱のバスバー端部構造の一実施形態を示すものである。バスバー端部構造は従来のようにバスバー取付構造と総称することも可能である。
【0026】
図1の如く、この電気接続箱1は、絶縁樹脂製の接続箱本体である有底のロアカバー2と、不図示のトレイに載せた状態でロアカバー2の上部開口3からロアカバー2内に装着される接続ブロック4と、ロアカバー2の上部開口3を覆ってロアカバー2の左右のヒンジ5に固定される不図示のアッパカバーとを備えるものである。
【0027】
接続ブロック4は、絶縁樹脂製の接続ブロック本体6と、導電金属板で形成され、ブロック本体6内に収容された少なくとも三つのバスバー7〜9(図2)と、各バスバー7〜9の端末の端子板部7a〜9aにボルトとナットで締付接続される電源用の太い電線10付きの端子11と、ブロック本体6の上部に装着されて、各バスバー7〜9や分配用の不図示の細い電線付きの端子等に接続されるヒュージブルリンク12,13やヒューズ14やリレー15といった各電気部品とを備えたものである。
【0028】
図2の如く、第一のバスバー7は、接続ブロック本体6の前後方向中央寄りに配置され、端末の水平な端子板部7aがブロック本体6の左端寄りに位置し、垂直で横長なバスバー本体7bがブロック本体6の下端寄りに位置する。第二のバスバー8と第三のバスバー9は左右並列に位置し、各バスバー本体8b,9bがブロック本体6の上端寄りにおいて第一のバスバー本体7bと平行に位置する。第一のバスバー本体7bは図2の右端側まで延長されている。図2で、符号16,17はヒュージブルリンク装着部、18はヒューズ装着部、19はリレー装着部をそれぞれ示している。
【0029】
図3に示す如く(図3以降は図1,図2とは上下反転して示しており、図1,図2の「上」は図3以降で「下」となる)、第一のバスバー7は、ブロック本体6(図2)の上面に露出されて左端の電源用端子11(図1)にねじ締め接続される端末の孔あきの水平な端子板部7aと、ブロック本体6内の垂直なバスバー収容溝20(図4)に挿入される垂直で横長なバスバー本体7bと、バスバー本体7bの上端7cから上向きに突出した複数の並列なタブ状の端子部21と、バスバー本体7bの下端7dからバスバー本体7bの厚み方向に鉤状(L字状)に屈曲して突出した電線干渉防止兼バスバー押圧操作用の二つの突出片22と、各突出片22の上側でバスバー本体7bに設けられたボルト挿通用の孔部23とを有するものである。特に第一のバスバー7の二つの突出片22が本実施形態の特徴部分である。
【0030】
バスバー本体7bは左端側で直角に折り曲げられ、折り曲げ板24の上端から端子板部7aが左方に突出し、各突出片22は、バスバー本体7bの下端7dから垂直に短く延長された支持部22aと、支持部22aの下端から折り曲げ板24の折り曲げ方向(前方)に水平に長く突出した主体部22bとで構成されている。
【0031】
各突出片22の上側で各孔部23に対向して(孔部23の周縁に接触して)各ナット25が図4のブロック本体6の縦溝(空間)26内に圧入固定されている。図3で孔部23と突出片22との間でバスバー本体7bに左右一つの電線ガイド片27が突出片22の突出方向とは反対方向に突設されている。バスバー7はバスバー本体7bの小孔28等にブロック本体6側の不図示の係止アームや係止突起が係合することで係止される。
【0032】
ナット25は矩形状の周り止め用の鍔部25a(図2)と、主体の円柱部25b(図2)とで成り、図4の如く、縦溝26の中央に左右一対の区画リブ29が設けられ、ナット25の鍔部25aが区画リブ29の前側の前半の縦溝26a内に位置し、ナット25の円柱部25bが区画リブを29通過して後半の縦溝26b内に位置してバスバー本体7bに接触する。後半の縦溝26bは、左右方向にスリット状に延びるバスバー収容溝20に連通し、バスバー収容溝20の後方にドライバ等のねじ締め工具を後方から前方に向けて挿入する作業空間30が連通し、作業空間30は左右の壁部31で囲まれ、後部と下部にそれぞれ開口30a,30bを有している。
【0033】
後部の開口30aから水平にねじ締め工具をバスバー本体7bに向けて空間30内に挿入する関係で、接続ブロック本体6の後端側にサブ接続ブロック本体6’(図1)が係止アーム31等の係止手段で係止され、サブ接続ブロック6’を含めて接続ブロック4(図1)を構成するようになっている。
【0034】
作業空間30の下部開口30bとバスバー収容溝20の下部開口20aとナット圧入用の縦溝(空間)26の下部開口26cとが前後方向に比較的長く連通している。このため、図5,図6の如く、例えば後方の電線32や左右の電線33が各空間26,30の下部開口26c,30b内に入り込みやすく、下部開口26c,30b内おいてバスバー7の下端部(端部)7dの前後のエッジに干渉しやすい傾向にある。これらの電線32,33は下側の合成樹脂製のトレイ(トレイを用いない場合はロアカバー2の底壁)で上向きに押さえ付けられた場合に、バスバー7の下端部7dに押し付けられやすい。
【0035】
しかしながら、図5〜図7の如く、ナット装着用の各縦溝26の下部開口26c内においてバスバー7に設けた各突出片22の主体部22bの水平な広い下面が電線32に接して(電線32を受け止めて)、突出片22よりも上側のバスバー7の下端部7dと電線32との干渉を阻止する。図5,図6における各電線32,33はサブ接続ブロック6’のリレーやヒューズやヒュージブルリンクに接続された端子付きの電線である。図5,図6においては後方のサブ接続ブロック部分6’の図示を省略している。
【0036】
また、左右一対の区画リブ29の間に突出片22が位置し、突出片22の幅方向両側に区画リブ29が位置したことで、突出片22を左右方向に外れた電線32は区画リブ29の下端面に当接して、突出片22の左右両側に続くバスバー本体7bの下端部7dへの電線32の干渉が防止される。区画リブ29の下端面は突出片22の下面よりも少し下方に突出している。
【0037】
図7は、電線32の例えば余長部分32aが略U字状に上向きに屈曲してバスバー7の突出片22の下面に当接する場合を示している。図7で、符号26はナット装着用の縦溝、29は左右の区画リブ、34は垂直な隔壁、35は、第二,第三のバスバー8,9に対するナット装着用の縦溝をそれぞれ示している。
【0038】
図5,図6の如く、各ナット25にボルト36締めで固定されつつバスバー7に接続された電源用等の端子付き電線37,38がバスバー7に沿って下向きに導出され、この電線38が細い場合に屈曲してバスバー7の下端部7dに干渉し兼ねないが、突出片22によってこの電線38との干渉も防止される。図5,図6で、符号39は圧着端子の絶縁被覆圧着片を示している。
【0039】
図6の如く、各突出片22の下面22bはナット装着用の縦溝26の下端26cよりも少し上側すなわち縦溝26の内側に位置している。少なくとも各突出片22の下面22bは縦溝26の下端26cと同一水平面ないしそれよりも上側に位置することが好ましい。
【0040】
図5,図6の如く、各突出片22の突出長さ(前端22cまでの長さ)は、縦溝26の前側の壁部(隔壁)34に突出片22の前端22cが接近して、前端22cと壁部34との間に電線32の外径以下の隙間を存する程度に長く設定されている。また、突出片22の左右方向の幅は、突出片22の左右端22dが縦溝26内の左右の区画リブ29に接近して、左右端22dと左右の区画リブ29との間に電線32の外径以下の隙間を存する程度に幅広に設定されている。
【0041】
バスバー7はブロック本体6の垂直なバスバー収容溝20に押し込まれて、バスバー7の下端部7dはバスバー収容溝20の下端20aよりも少し上側(バスバー収容溝20内)に位置している。但し、各突出片22によってバスバー7の下端部7dと電線32との干渉が防止されているので、バスバー収容溝20内にバスバー7を深く押し込む必要はなく、浅く押し込むだけで十分である。これにより、ブロック本体6へのバスバー7の組付作業が容易化している。
【0042】
また、図4に矢印Aで示すように、バスバー7をバスバー収容溝20内に押し込む際に、二つの突出片22を作業者が指で矢印A方向に押すことで、バスバー7の組付作業を簡単・確実に行うことができる。広い突出片22はバスバー組み付け時の押圧操作部としても作用する。
【0043】
図3,図4の如く、バスバー7の突出片22を含む左半部は、下端の傾斜辺部40を有する中間部を経て右半の略U字状に折り返された部分41(図4)に一体に続いている。傾斜辺部40はブロック本体6の前後の近接した壁部42の間のバスバー収容溝20の下端よりも少し上側に位置して電線32との干渉が防止されている。
【0044】
右半の略U字状の折返し部(折返し接続部)41は、前後の垂直な板部分41aと、各板部分41aに形成されたタブ状端子と、前後の板部分41aを連結する水平な底板部41bとで構成されている。底板部41bにブロック本体6の位置決めピン43に対する係合孔44が設けられている。バスバー7は底板部41bと突出片22とを手指等で同時に押すことで、バスバー収容溝20に浮き上がりや上下の傾き等なくスムーズ且つ確実に挿入される。
【0045】
略U字状の折返し部41の底板部41bはブロック本体6の下端側に露出しているが、電線32と干渉しても何ら問題はない。底板部41bは前後の板部分41aとそのタブ状端子を電気的に相互に導通連結させる部分であるのに対し、左半側の突出片22はナット装着用及びねじ締め用の空間26,30におけるバスバー7の下端部7dと電線32との干渉を防止する部分である点で両者は相違する。バスバー7の展開(打ち抜き)状態で各突片22は底板部41bと同じ方向に突出するので、材料の歩留まりも良い。
【0046】
図3,図4の左右の各ナット25は図2のブロック本体6の左右の隣接する各ヒュージブルリンク装着部16の下側に配置され、図1の各ヒュージブルリンク12の端子がバスバー7のバスバー本体7bにボルト36(図5)とナット25でねじ締め接続される。図3のバスバー本体7bの右半側の上端の各タブ状端子部21は、図2の各ヒュージブルリンク装着部17に配置され、図1の各ヒュージブルリンク13の端子に中継端子を介して接続される。
【0047】
図2,図4の第二のバスバー8はブロック本体6の下端側からではなく上端側からバスバー収容溝44に挿入されている(第二のバスバー収容溝44はブロック本体6の上端側から切欠形成されている)。従って、第二のバスバー8の下端部8dはブロック本体6の下端部よりも上方に位置しているので、電線32に干渉する心配はない。これは第三のバスバー9についても同様である。図4で各バスバー収容溝を符号44,45で示している。
【0048】
図5の如く、第二,第三のバスバー8,9にもナットとボルトで図1の左右のヒュージブルリンク12の各他方の端子がねじ締め接続され、第一のバスバー7には同じく左右のヒュージブルリンク12の各一方の端子がねじ締め接続されている。第二,第三のバスバー8,9を第一のバスバー7と同様にブロック本体6の下端側から各バスバー収容溝(44,45)に挿入する場合は、各バスバー8,9に第一のバスバー7と同様な電線干渉防止用兼押圧組付用の突出片(22)を形成する。
【0049】
なお、上記実施形態においては、バスバー7を有する接続ブロック4をロアカバー2内に配置したが、例えばアッパカバーと中間の合成樹脂製のフレームとロアカバーとを含む不図示の電気接続箱においては、バスバー7を有する接続ブロック4をフレーム内に配置することもある。この場合は、ロアカバー内の電線(32)がバスバー7の下端部7dに干渉する心配があるが、上記実施形態の突出片22を適用することで、電線(32)との干渉を防止することができる。
【0050】
また、上記実施形態においては、前側のナット圧入用の縦溝26と後側の作業空間30との間にバスバー7を収容配置したが、例えば作業空間30がなく、作業空間30の垂直な後壁46(図4)がバスバー本体7bに近接して配置された場合には、縦溝26内に電線32が入り込もうとするが、突出片22が電線32を受け止めて電線32とバスバー本体7bの下端部7dとの干渉を阻止する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る電気接続箱のバスバー端部構造は、電気接続箱内におけるバスバーの端部エッジと電線との干渉を防止すると共に、電気接続箱内へのバスバーの挿入作業性を高めるために利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 電気接続箱
6 接続ブロック本体
7 バスバー
7d 下端部(端部)
20 バスバー収容溝
22 突出片
26 縦溝(空間)
26c,30b 開口
29 区画リブ
30 作業空間(空間)
32 電線
41 折返し接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続箱の接続ブロック本体にバスバー収容溝が設けられると共に、該バスバー収容溝に連通してバスバー厚み方向に空間が設けられ、該バスバー収容溝にバスバーが挿入され、該空間の開口側において該バスバーの端部から突出片がバスバー厚み方向に突出して設けられ、該接続ブロック本体から導出された電線が該突出片で受け止められて、該バスバーの端部エッジとの干渉を防止されたことを特徴とする電気接続箱のバスバー端部構造。
【請求項2】
前記突出片が、前記バスバーを前記バスバー収容溝に挿入する際の押圧操作部を兼ねることを特徴とする請求項1記載の電気接続箱のバスバー端部構造。
【請求項3】
前記空間がナット装着用の縦溝とボルト締付用の作業空間とで成り、前記突出片が該縦溝の開口に位置して、該開口内への前記電線の進入を阻止したことを特徴とする請求項1又は2記載の電気接続箱のバスバー端部構造。
【請求項4】
前記縦溝内に一対の区画リブが前記縦溝の開口まで延長形成され、該一対の区画リブの間に前記突出片が近接して配置されることを特徴とする請求項3記載の電気接続箱のバスバー端部構造。
【請求項5】
前記バスバーの長手方向の一方に前記突出片が設けられ、前記バスバーの長手方向の他方に略U字状の折返し接続部が設けられ、該突出片と該折返し接続部とが、該バスバーを前記バスバー収容溝に挿入する際の押圧操作部を兼ねることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電気接続箱のバスバー端部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−31279(P2013−31279A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165207(P2011−165207)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】