説明

電気接続箱

【課題】本発明は、内部が局所的に高温になることが抑制された電気接続箱を提供する。
【解決手段】第1リレーモジュール14が載置される載置台34の上面には側壁40に接近するに従って下降傾斜したケース側傾斜面35が形成されており、ケース側傾斜面35にはネジ36が螺入されるネジ孔37が上下方向に形成されており、モールド部24には載置台34に取り付けられる取り付け部33が形成されており、取り付け部33の下面にはケース側傾斜面35と整合するモジュール側傾斜面39が形成されており、取り付け部33には、載置台34に取り付け部33が載置された状態でネジ孔37に対応する位置にネジ36が挿通される挿通部38が取り付け部33を貫通して形成されており、載置台34に取り付け部33が載置された状態で、挿通部38に挿通されたネジ36がネジ孔37に螺合されることにより、モールド部24がケース12の側壁40に密着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースと、このケース内に収容されてバスバーに接続されたスイッチング素子を合成樹脂からなるモールド部で包囲してなるリレーモジュールと、を備えた電気接続箱として、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−218554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成に係る電気接続箱においては、リレーモジュールはケースに密着された状態で収容されていないため、リレーモジュールとケースとの間に隙間が形成される場合がある。この隙間には空気層が形成されている。この空気層は比較的に熱伝導率が低いので、通電時にスイッチング素子で発生した熱が、上記の隙間にこもってしまい、電気接続箱の内部が局所的に高温になってしまうことが懸念される。すると、電気接続箱内に収容された電子部品に不具合が生じることが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、内部が局所的に高温になることが抑制された電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上方に開口する開口部を有するケースと、前記ケースの前記開口部を塞ぐカバーと、前記ケース内に収容されると共にバスバーに接続されたスイッチング素子を合成樹脂からなるモールド部で包囲してなるリレーモジュールと、を備えた電気接続箱であって、前記ケースの一の側壁の近傍には、前記リレーモジュールが載置される載置台が形成されており、前記載置台の上面には前記一の側壁に接近するに従って下降傾斜したケース側傾斜面が形成されており、前記ケース側傾斜面にはネジが螺入されるネジ孔が上下方向に形成されており、前記モールド部には前記載置台に取り付けられる取り付け部が形成されており、前記取り付け部の下面には前記ケース側傾斜面と整合するモジュール側傾斜面が形成されており、前記取り付け部には、前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で前記ネジ孔に対応する位置に前記ネジが挿通される挿通部が前記取り付け部を貫通して形成されており、前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で、前記挿通部に挿通された前記ネジが前記ネジ孔に螺合されることにより、前記モールド部が前記一の側壁に密着される。
【0007】
本発明によれば、ネジがネジ孔に螺合されることにより、リレーモジュールは、ケースの一の側壁に押圧される、この結果、リレーモジュールのモールド部はケース一の側壁に確実に密着するようになっている。これにより、通電時にスイッチング素子で発生した熱はスイッチング素子からモールド部に伝達された後、更にケースへと確実に伝達される。これにより、電気接続箱の内部が局所的に高温になることを抑制できる。
【0008】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記ケース内には、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部を備えた制御基板が、前記リレーモジュールに対して垂直な姿勢で収容されていることが好ましい。
【0009】
上記の態様によれば、制御基板はリレーモジュールに対して垂直に配されている。この結果、制御回路の表面にはリレーモジュールに覆われる領域が形成されないので、制御基板に重ねてリレーモジュールを配する場合と比べて、制御基板の配線密度を向上できる。この結果、電気接続箱を小型化できる。
【0010】
前記リレーモジュールには前記モールド部から前記制御基板に向かって突出すると共に前記制御基板に接続される基板接続端子が形成されており、前記基板接続端子には屈曲して形成された応力緩和部が形成されていることが好ましい。
【0011】
ネジをネジ孔に螺合してリレーモジュールが一の側壁に密着されると、リレーモジュールが一の側壁に近づく方向に移動する場合がある。すると、制御基板に対して、リレーモジュールから突出する基板接続端子を介して力が加わることが懸念される。そこで、本態様においては、基板接続端子に応力緩和部が形成されている。この結果、リレーモジュールが一の側壁に近づく方向に移動する場合でも、応力緩和部によって制御基板に加えられる力が緩和されるので、制御基板に力が加わることが抑制される。これにより、制御基板の破損等が抑制される。
【0012】
前記バスバーは前記モールド部内において前記一の側壁と平行な姿勢で配されており、前記スイッチング素子は前記バスバーのうち前記一の側壁側の面に接続されていることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、通電時にスイッチング素子で発生した熱は、モールド部に伝達され、このモールド部からケースの一の側壁へと一層速やかに伝達される。これにより、電気接続箱の内部が局所的に高温になることを更に抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電気接続箱の内部が局所的に高温になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る電気接続箱を示す分解斜視図
【図2】電気接続箱を示す側面図
【図3】電気接続箱を示す底面図
【図4】電気接続箱を示す上面図
【図5】ケースを示す上面図
【図6】第1リレーモジュールを示す斜視図
【図7】第1リレーモジュールを示す背面図
【図8】第1リレーモジュールを示す正面図
【図9】第1リレーモジュールにおけるバスバーとスイッチング素子との接続構造を示す正面図
【図10】図8におけるX−X線断面図
【図11】図4におけるXI−XI線断面図
【図12】図4におけるXII−XII線断面図
【図13】第2リレーモジュールを示す斜視図
【図14】第2リレーモジュールを示す背面図
【図15】第2リレーモジュールを示す正面図
【図16】第2リレーモジュールにおけるバスバーとスイッチング素子との接続構造を示す正面図
【図17】図15におけるXVII−XVII線断面図
【図18】図4におけるXVIII−XVIII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
本発明を車両用の電気接続箱10に適用した一実施形態を、図1ないし図18を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電気接続箱10は、電源(図示せず)と、ランプ、モータ等の電装品の間に配されて、電装品への通電及び断電を実行する。この電気接続箱10は、上方に開口する開口部11を有するケース12と、このケース12に取り付けられて開口部11を塞ぐカバー13と、ケース12内に収容される第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15と、を備える。以下の説明においては、図1における上方を上方とし、下方を下方とする。
【0017】
(ケース12及びカバー13)
ケース12は、合成樹脂製であって、上方から見て概ね長方形状をなしている。図3に示すように、ケース12の下側には、下方に開口するコネクタハウジング16が形成されている。このコネクタハウジング16には図示しない相手側コネクタが嵌合される。相手側コネクタは図示しないワイヤー26ハーネスを介して電源、電装品等と電気的に接続されている。
【0018】
図1に示すように、ケース12の側面には外方に突出するロック突部17が形成されている。ケース12の開口部11がカバー13で塞がれた状態において、カバー13の側壁には、ロック突部17と対応する位置に、ロック突部17と弾性的に係合するロック受け部18が形成されている。ロック突部17とロック受け部18とが弾性的に係合することにより、カバー13がケース12に一体に組み付けられる。
【0019】
図5に示すように、ケース12の内部には、第1リレーモジュール14が収容される第1収容部19と、第2リレーモジュール15が収容される第2収容部20とが、下方に陥没して形成されている。第1収容部19及び第2収容部20の底壁には第1収容部19及び第2収容部20と、コネクタハウジング16とを連通する端子挿通孔21が形成されている。第1収容部19及び第2収容部20は、それぞれ、ケース12の異なる側壁40,140の近傍の位置に、それぞれの側壁40,140に沿って形成されている。第1収容部19は、ケース12の長辺を構成する一方の側壁40の近傍に形成されている。また、第2収容部20は、ケース12の長辺を構成する他方の側壁140の近傍に形成されている。
【0020】
上方から見た第1収容部19の形状は、上方から見た第1リレーモジュール14の形状に倣って形成されている。同様に、上方からみた第2収容部20の形状は、上方から見た第2リレーモジュール15の形状に倣って形成されている。
【0021】
(第1リレーモジュール14)
図6に示すように、第1収容部19に収容される第1リレーモジュール14は、バスバー22に接続されたスイッチング素子23を合成樹脂からなるモールド部24で包囲されている。第1リレーモジュール14は全体として細長い扁平な板状をなしている。
【0022】
上記のスイッチング素子23は半導体リレーである。また、図9に示すように、バスバー22は、電源に電気的に接続されると共にスイッチング素子23の底面に形成された入力パッド(図示せず)と接続される入力バスバー22Aと、スイッチング素子23の出力パッド25とワイヤー26を介して接続される出力バスバー22Bと、スイッチング素子23の制御パッド27とワイヤー26を介して接続される制御バスバー22Cとからなる。出力パッド25又は制御パッド27と、各バスバー22とは、ワイヤーボンディングにより接続されている。
【0023】
入力バスバー22Aは、図9における左右方向に細長く延びて形成されている。入力バスバー22Aには、図9における左右方向の略中央付近から下方に延びて、入力端子28が形成されている。入力端子28は端子挿通孔21に挿通されてコネクタハウジング16内に配されるようになっている。また、入力バスバー22Aには、図9における左端部に、上方に延びる基板接続端子29が形成されている。この基板接続端子29は、後述する制御基板30に接続されるようになっている。
【0024】
入力バスバー22Aの下方の位置には、複数の出力バスバー22Bが、図9における左右方向に並んで配されている。出力バスバー22Bには、下方に延びる出力端子31が形成されている。出力端子31は、端子挿通孔21に挿通されてコネクタハウジング16内に配されるようになっている。また、出力バスバー22Bのうち、図9における左右両端部に位置する出力バスバー22Bには、上方に延びる基板接続端子29が形成されている。
【0025】
また、入力バスバー22Aの上方の位置には、複数の制御バスバー22Cが図9における左右方向に並んで配されている。制御バスバー22Cには、上方に延びる基板接続端子29が形成されている。
【0026】
基板接続部は、モールド部24の上縁から上方に突出している。基板接続端子29は直角に二回曲げされてクランク状に屈曲している。この屈曲した部分が応力緩和部32とされる。また、モールド部24の下縁からは、下方に、出力端子31及び入力端子28が突出している。
【0027】
図11に示すように、第1リレーモジュール14のモールド部24には、第1収容部19内に収容された状態で、ケース12の側壁40と反対側に突出する取り付け部33が形成されている。この取り付け部33は、第1収容部19内意第1リレーモジュール14が収容された状態で、第1収容部19内に形成された載置台34の上に載置されるようになっている。図7に示すように、第1収容部19には、3つの載置台34が形成されている。これに対応して、第1リレーモジュール14には、3つの取り付け部33が形成されている。一方、図8に示すように、第1リレーモジュール14のモールド部24のうち、取り付け部33が形成された面と反対側の面は、平坦面とされている。
【0028】
図11に示すように、載置台34の上面には、ケース12の側壁40に接近するに従って下降傾斜するケース側傾斜面35が形成されている。ケース側傾斜面35には、ネジ36が螺入されるネジ孔37が上下方向に形成されている。
【0029】
第1リレーモジュール14の取り付け部33には、ネジ36が挿通される挿通部38が取り付け部33を貫通して形成されている。本実施形態においては、挿通部38は取り付け部33の突出端部を切り欠いて形成されている。これにより、挿通部38は上方から見てU字形状をなしている。
【0030】
取り付け部33の下面には、ケース側傾斜面35と整合するモジュール側傾斜面39が形成されている。モジュール側傾斜面39は、ケース12の側壁40に接近するに従って下降傾斜するようになっている。取り付け部33の上面は略水平に形成されており、ネジ36の頭部が上方から当接するようになっている。
【0031】
載置台34に取り付け部33が載置された状態で、挿通部38に挿通されたネジ36がネジ孔37に螺合されることにより、第1リレーモジュール14のモールド部24がケース12の側壁40の内面に密着された状態で、第1リレーモジュール14がケース12に取り付けられるようになっている。
【0032】
図12に示すように、モールド部24の内部に配されたバスバー22は、ケース12の側壁40と平行に配されている。バスバー22の板面のうち、モールド部24が密着するケース12の側壁40側の板面には、スイッチング素子23が接続されている。
【0033】
(第2リレーモジュール15)
一方、図13に示すように、第2収容部20に収容される第2リレーモジュール15は、バスバー122に接続されたスイッチング素子123を合成樹脂からなるモールド部124で包囲されている。第2リレーモジュール15は全体として扁平な板状をなしている。第2リレーモジュール15は、第1リレーモジュール14に比べて小型に形成されている。
【0034】
図16に示すように、第2リレーモジュール15のバスバー122は、電源に電気的に接続されると共にスイッチング素子123の底面に形成された入力パッド(図示せず)と接続される入力バスバー122Aと、スイッチング素子123の出力パッド125とワイヤー126を介して接続される出力バスバー122Bと、スイッチング素子123の制御パッド127とワイヤー126を介して接続される制御バスバー122Cとからなる。
【0035】
入力バスバー122Aは、図16における左右方向に延びて形成されている。入力バスバー122Aには図16における左端部に、下方に延びる入力端子128が形成されている。入力端子128は端子挿通孔21に挿通されてコネクタハウジング16内に配されるようになっている。また、入力バスバー122Aには、図16における左端部に、上方に延びる基板接続端子129が形成されている。
【0036】
入力バスバー122Aの下方の位置には、複数の出力バスバー122Bが、図16における左右方向に並んで配されている。出力バスバー122Bには、下方に延びる出力端子131が形成されている。出力端子131は、端子挿通孔21に挿通されてコネクタハウジング16内に配されるようになっている。
【0037】
また、入力バスバー122Aの上方の位置には、複数の制御バスバー122Cが図16における左右方向に並んで配されている。制御バスバー122Cには、上方に延びる基板接続端子129が形成されている。
【0038】
基板接続端子129は、モールド部124の上縁から上方に突出している。基板接続端子129は直角に二回曲げされてクランク状に屈曲している。この屈曲した部分が応力緩和部132とされる。また、モールド部124の下縁からは、下方に、出力端子131及び入力端子128が突出している。
【0039】
図12に示すように、第2リレーモジュール15のモールド部124には、第2収容部20内に収容された状態で、ケース12の側壁140と反対側に突出する取り付け部133が形成されている。この取り付け部133は、第2収容部20内に第2リレーモジュール15が収容された状態で、第2収容部20内に形成された載置台134の上に載置されるようになっている。図14に示すように、第2収容部20には、1つの載置台134が形成されている。これに対応して、第2リレーモジュール15には、1つの取り付け部133が形成されている。一方、図15に示すように、第2リレーモジュール15のモールド部124のうち、取り付け部133が形成された面と反対側の面は、平面とされている。
【0040】
図12に示すように、載置台134の上面には、ケース12の側壁140に接近するに従って下降傾斜するケース側傾斜面135が形成されている。ケース側傾斜面135には、ネジ136が螺入されるネジ孔137が上下方向に形成されている。
【0041】
第2リレーモジュール15の取り付け部133には、ネジ136が挿通される挿通部138が取り付け部133を貫通して形成されている。本実施形態においては、挿通部138は取り付け部133の突出端部を切り欠いて形成されている。これにより、挿通部138は上方から見てU字形状をなしている。
【0042】
取り付け部133の下面には、ケース側傾斜面135と整合するモジュール側傾斜面139が形成されている。モジュール側傾斜面139は、ケース12の側壁140に接近するに従って下降傾斜するようになっている。取り付け部133の上面は略水平に形成されており、ネジ136の頭部が上方から当接するようになっている。
【0043】
載置台134に取り付け部133が載置された状態で、挿通部138に挿通されたネジ136がネジ孔137に螺合されることにより、第2リレーモジュール15のモールド部124がケース12の側壁140の内面に密着された状態で、第2リレーモジュール15がケース12に取り付けられるようになっている。
【0044】
モールド部124の内部に配されたバスバー122は、ケース12の側壁140と平行に配されている。バスバー22の板面のうち、モールド部124が密着するケース12の側壁140側の板面には、スイッチング素子123が接続されている。
【0045】
(制御基板30)
図12に示すように、ケース12内には、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15の上方の位置に、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15に配されたスイッチング素子23のオンオフを制御するマイコン41(特許請求の範囲に記載の制御部に相当)が実装された制御基板30が、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15に対して垂直な姿勢で収容されている。マイコン41は、制御基板30の下面に実装されている。
【0046】
図1に示すように、制御基板30は上方から見て長方形状をなしている。この制御基板30は、絶縁基板の表面及び裏面の双方にプリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されてなる。導電路には、電子部品42が実装されている。ケース12には上方に突出する位置決めピン43が形成されており、制御基板30には、この位置決めピン43が挿通されるピン挿通孔44が形成されている。
【0047】
図18に示すように、ケース12には、制御基板30の裏面に実装された電子部品42を逃がす逃がし空間45が形成されている。これにより、電気接続箱10が低背化されるようになっている。
【0048】
また、制御基板30にはネジ36が挿通されるネジ挿通孔46が形成されている。ケース12には、ネジ挿通孔46に挿通されたネジ50が螺合されるネジ孔51が形成されている。ネジ50がネジ孔51に螺合されることにより、制御基板30がケース12に取り付けられるようになっている。
【0049】
図1に示すように、制御基板30には複数のスルーホール47が形成されている。このスルーホール47内に、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15から制御基板30に向かって突出して形成されたの基板接続端子29,129が挿通され、公知のフロー半田付けにより制御基板30の導電路と接続されている。
【0050】
また、制御基板30のスルーホール47には、棒状をなす複数の雄タブ48の、一方の端部が挿入されて、フロー半田付けされている。雄タブ48は台座49に貫通された状態で台座49に固定されている。雄タブ48の他方の端部はコネクタハウジング16内に配されている。
【0051】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。まず、ケース12の第1収容部19に、上方から、第1リレーモジュール14を挿入する。上方から見た第1収容部19の形状は、上方から見た第1リレーモジュール14の形状に倣って形成されているので、第1リレーモジュール14を第1収容部19内に容易に挿入することができる。
【0052】
第1リレーモジュール14が第1収容部19内に収容されると、第1リレーモジュール14の下端から下方に突出する出力端子31、及び入力端子28は、端子挿通孔21に挿通されて、コネクタハウジング16内に突出される。
【0053】
第1リレーモジュール14の取り付け部33は、第1収容部19の載置台34の上面に載置される。第1リレーモジュール14のモジュール側傾斜面39と、第1収容部19のケース側傾斜面35とは、整合した状態で上下方向から当接している。
【0054】
ネジ36を、第1リレーモジュール14の取り付け部33に形成された挿通部38に上方から挿通する。その後、ネジ36を載置台34のケース側傾斜面35に形成されたネジ孔37に螺合する。
【0055】
すると、第1リレーモジュール14の取り付け部33は、上方から、載置台34に押圧される。これにより、第1リレーモジュール14は、載置台34のケース側傾斜面35に沿って、ケース12の側壁40に接近するようにして摺動する。このとき、取り付け部33の挿通部38は、ケース12の側壁40とは反対側を切欠いた略U字形状をなしているので、ネジ36と挿通部38とが干渉することが抑制される。これにより、第1リレーモジュール14がケース12の側壁40に接近することができるようになっている。
【0056】
第1リレーモジュール14がケース12の側壁40に接近するように摺動することにより、第1リレーモジュール14のモールド部24は、ケース12の側壁40の内面に押圧される。これにより、モールド部24はケース12の側壁40に密着するようになっている。上記のようにして、第1リレーモジュール14はケース12の第1収容部19に固定される。
【0057】
上記と同様にして、ケース12の第2収容部20内に第2リレーモジュール15を挿入し、第2リレーモジュール15を第2収容部20の載置台134にネジ止めする。これにより、第2リレーモジュール15のモールド部124は、ケース12の側壁140の内面に密着した状態で、ケース12に固定される。なお、第1リレーモジュール14の取り付け工程と重複する説明については省略する。
【0058】
続いて、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15の上方から、制御基板30をケース12内に収容する。第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15の上縁から上方に突出する基板接続端子29,129と、制御基板30に形成されたスルーホール47とを整合させながら、制御基板30を下方に移動させる。また、制御基板30のピン挿通孔44内に、ケース12の位置決めピン43を挿通させつつ、制御基板30を下方に移動させる。
【0059】
制御基板30はケース12内の所定の位置に配された後、制御基板30のネジ挿通孔46内にネジ50を挿通させ、ケース12のネジ孔51に螺合させる。これにより、制御基板30がケース12に固定される。その後、基板接続端子29と、スルーホール47とをフロー半田付けする。このとき制御基板30の下面にマイコン41が接続されているので、マイコン41がフロー半田付け工程の熱から保護することができる。
【0060】
続いて、カバー13をケース12の上方から組み付ける。カバー13のロック受け部18が、ケース12のロック突部17と弾性的に係合することにより、カバー13とケース12とが一体に組み付けられる。これにより電気接続箱10が完成する。本実施形態においては、図1の上下方向を基準に電気接続箱10の構成を説明したが、電気接続箱10は、車両において任意の姿勢で配置可能となっている。
【0061】
本実施形態によれば、ネジ36がネジ孔37に螺合されることにより、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15は、それぞれケース12の側壁40,140に押圧される、この結果、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15のモールド部24,124はケース12の側壁40、140に確実に密着するようになっている。これにより、通電時にスイッチング素子23,123で発生した熱はスイッチング素子23,123からモールド部24,124に伝達された後、更にケース12へと確実に伝達される。これにより、電気接続箱10の内部が局所的に高温になることを抑制できる。
【0062】
また、本実施形態によれば、ケース12内には、スイッチング素子23、123のオンオフを制御するマイコン41を含む制御基板30が、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15に対して垂直な姿勢で収容されている。これにより、この結果、制御基板30の表面には第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15に覆われる領域が形成されないので、制御基板30に重ねて第1リレーモジュール14又は第2リレーモジュール15を配する場合と比べて、制御基板30の配線密度を向上できる。この結果、電気接続箱10を小型化できる。
【0063】
また、本実施形態によれば、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15にはモールド部24,124から制御基板30に向かって突出すると共に制御基板30に接続される基板接続端子29,129が形成されており、基板接続端子29,129には屈曲して形成された応力緩和部32,132が形成されている。これにより、ネジ36,136をネジ孔37,137に螺合してリ第1レーモジュール及び第2リレーモジュール15がケース12の側壁40,140に密着される際に、第1リレーモジュール14及び第2リレーモジュール15がケース12の側壁40,140に接近するように摺動しても、応力緩和部32,132によって制御基板30に加えられる力が緩和されるので、制御基板30に力が加わることが抑制される。これにより、制御基板30の破損等が抑制される。
【0064】
詳細に説明すると、基板接続端子29,129の先端は、制御基板30に形成されたスルーホール47内に挿入された状態でフロー半田付けされている。基板接続端子29,129に応力緩和部32,132が形成されていることにより、基板接続端子29,129と、制御基板30との半田付け部分に力が加わることを抑制できる。この結果、基板接続端子29,129と、制御基板30との間に形成されたはんだ付け部分の破損等が抑制されるので、基板接続端子29,129と、制御基板30との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0065】
更に、コネクタハウジング16内に相手側コネクタを嵌合させた場合、又は離脱させた場合において、入力端子28,128、及び出力端子31、131に対して相手側コネクタから力が加わる場合がある。この力が、第1モジュール14又は第2モジュール15を介して基板接続端子29,129に伝達されることが懸念される。このような場合であっても、上記の応力緩和部32,132により、基板接続端子29,129に伝達された力を緩和することができる。この結果、基板接続端子29,129と、制御基板30との半田付け部分に応力が加わることを抑制できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、バスバー22,122はモールド部24,124内においてケース12の側壁40,140と平行な姿勢で配されており、スイッチング素子23,123はバスバー22,122の板面のうち、モールド部24,124が密着するケース12の側壁40,140側の面に接続されている。これにより、通電時にスイッチング素子23,123で発生した熱は、モールド部24,124に伝達され、このモールド部24,124から、このモールド部24,124と密着するケース12の側壁40,140へと一層速やかに伝達される。これにより、電気接続箱10の内部が局所的に高温になることを更に抑制できる。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、挿通部38,138は、取り付け部33,133を切り欠いて形成される構成としたが、これに限られず、挿通部38,138は、側壁40,140に直交する方向に延びて形成された長孔でもよい。
(2)本実施形態においては、1つのケース12内に2つのリレーモジュール14,15が収容される構成としたが、これに限られず、1つのケース12内に1つのリレーモジュールが収容される構成としてもよく、また、3つ以上のリレーモジュールが収容される構成としてもよい。
(3)基板接続部に形成された応力緩和部32,132は、省略してもよい。
(4)本実施形態においては、スイッチング素子23,123は、バスバー22,122の板面のうち、モールド部24,124が密着するケース12の側壁40,140側の板面に接続される構成としたが、スイッチング素子23,123は、バスバー22,122の板面のうち、モールド部24,124が密着するケース12の側壁40,140とは反対側の板面に接続される構成としてもよい。
(5)本実施形態においては、制御部としてマイコン41を用いる構成としたが、これに限られず、制御基板30に実装された電子部品42によって形成された制御回路によって制御部が構成されてもよい。
(6)本実施形態においては、基板接続端子29,129は制御基板30に対してフロー半田付けされる構成としたが、これに限られず、例えば制御基板30に形成されたスルーホール47内に圧入される構成としてもよいし、また、制御基板30に形成された導電路にリフロー半田付けされる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…電気接続箱
11…開口部
12…ケース
13…カバー
14…第1リレーモジュール(リレーモジュール)
15…第2リレーモジュール(リレーモジュール)
22…バスバー
23…スイッチング素子
24…モールド部
29…基板接続端子
30…制御基板
32…応力緩和部
33…取り付け部
34…載置台
35…ケース側傾斜面
36…ネジ
37…ネジ孔
38…挿通部
39…モジュール側傾斜面
40…側壁
41…マイコン(制御部)
122…バスバー
123…スイッチング素子
124…モールド部
129…基板接続端子
130…制御基板
132…応力緩和部
133…取り付け部
134…載置台
135…ケース側傾斜面
136…ネジ
137…ネジ孔
138…挿通部
139…モジュール側傾斜面
140…側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する開口部を有するケースと、前記ケースの前記開口部を塞ぐカバーと、前記ケース内に収容されると共にバスバーに接続されたスイッチング素子を合成樹脂からなるモールド部で包囲してなるリレーモジュールと、を備えた電気接続箱であって、
前記ケースの一の側壁の近傍には、前記リレーモジュールが載置される載置台が形成されており、前記載置台の上面には前記一の側壁に接近するに従って下降傾斜したケース側傾斜面が形成されており、前記ケース側傾斜面にはネジが螺入されるネジ孔が上下方向に形成されており、
前記モールド部には前記載置台に取り付けられる取り付け部が形成されており、前記取り付け部の下面には前記ケース側傾斜面と整合するモジュール側傾斜面が形成されており、前記取り付け部には、前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で前記ネジ孔に対応する位置に前記ネジが挿通される挿通部が前記取り付け部を貫通して形成されており、
前記載置台に前記取り付け部が載置された状態で、前記挿通部に挿通された前記ネジが前記ネジ孔に螺合されることにより、前記モールド部が前記一の側壁に密着される電気接続箱。
【請求項2】
前記ケース内には、前記スイッチング素子のオンオフを制御する制御部を備えた制御基板が、前記リレーモジュールに対して垂直な姿勢で収容されている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記リレーモジュールには前記モールド部から前記制御基板に向かって突出すると共に前記制御基板に接続される基板接続端子が形成されており、前記基板接続端子には屈曲して形成された応力緩和部が形成されている請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記バスバーは前記モールド部内において前記一の側壁と平行な姿勢で配されており、前記スイッチング素子は前記バスバーのうち前記一の側壁側の面に接続されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−139055(P2012−139055A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290569(P2010−290569)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】