説明

電気接触子の製造方法及び電気接触子の製造装置

【課題】接点と台金との接合時間が短く、接点に打痕や圧痕等が生じるのを抑制できる、電気接触子の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】治具によって接点及び台金を重ね合わせて支持し、台金の、接点に当接していない面に、所定速度で回転しかつ治具に対して進退動作する回転ツールを、回転させながら所定速度で押し込んで、回転ツールと台金との摩擦熱により、接点と台金とを固相拡散接合させた後、回転ツールを台金から後退させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電磁開閉器や電磁接触器、回路遮断器に用いられる、電気接触子の製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電磁開閉器や電磁接触器等の電気接触子は、可動側接点と固定側接点とが接離して、電気回路が開閉することにより、電気的接続のON,OFF動作がなされるようになっている。これらの各接点は、所定形状をなした可動側台金及び固定側台金にそれぞれ接合されて、支持されている。
【0003】
従来、台金と接点とを接合させる方法としては、機械的な接合方法と溶接とが用いられている。機械的な接合方法としては、例えば、かしめ方法や、クラッド方法などが用いられる。しかし、機械的な接合方法は、電流容量が小さいものに限られる傾向があり、電流容量が大きくなるにつれて、接点と台金の接合面積を十分確保できる溶接による方法が必要となってくる。溶接による方法としては、例えば、超音波溶接、抵抗加熱ろう付、抵抗スポットろう付、抵抗スポット溶接、炉中ろう付、高周波加熱ろう付などが挙げられる。
【0004】
また、溶接において、比較的小型の接点(例えば、幅4.6mm×高さ4.6mmの面積)の接合では、超音波溶接による方法や抵抗ろう付、抵抗スポットろう付による方法が一般に用いられている。溶接の場合における接点の材料としては、AgCdO/AgCd系及びAgCdO/Ag系等に代表されるCd系や、AgSnO−InSnO/Ag系等のCdフリー系などが用いられている。前者のCd系の接点では、量産性の観点から超音波溶接が多用されている。
【0005】
ところで近年では環境的配慮から、Cdを用いないCdフリー化が進んでおり、AgSnO−InSnO/Ag系等のCdフリー系の材料が主流を占めるようになっている。しかしながら、このようなCdフリー系の材料を小型の接点に用いて、超音波溶接を行った場合、Cd系材料を用いた接点に比べて、接合強度がばらつくという問題点があった。また、超音波溶接の場合、接点及び台金の材質の組み合わせによっては、接点と台金との接合性が変わって、接合強度のばらつきが生じてしまうことがあった。このような接点と台金との接合強度のばらつきが発生した場合、接点の電気的開閉寿命に影響を及ぼすことになり、超音波溶接の量産適用化が難しくなることがあった。
【0006】
そこで、接点及び台金の材質の組合せによって、接合性に影響を及ぼしにくい抵抗ろう付方法、抵抗スポットろう付方法が用いられている。しかしながら、この場合はろう材を使用しなければならず、材料費の増大や、ろう材箔を接点と台金に挟み込むための工数が必要となる等、製造コストが増加してしまうという問題が生じる。更に、ろう材が溶ける温度まで加熱するため、台金が軟化してしまうので、台金に何らかの対策を施さなければならないという問題も生じる。
【0007】
一方、金属部材どうしを接合するための接合方法として、近年、摩擦攪拌接合という接合技術が用いられつつある。これは、先端にピンを突設したツールを回転させながら、接合すべき部材どうしの接合部に押し込んでいき、前記ピンの回転により接合部に摩擦熱を発生させ、それにより接合部を軟化させつつ攪拌して塑性流動を生じさせ、この塑性流動を介して部材どうしを接合させるものである。
【0008】
Katsuyuki Yoshikawa, 「マイクロスポット摩擦接合」(11th Symposium MATE 2005, Japan Welding Society, 2005, pp.421-424)には、上記摩擦攪拌接合の概略原理として、重ね合わせた2枚の薄板に、ツール(工具)を回転させながら押し込むことにより、材料の塑性変形と摩擦熱を利用して(すなわち、塑性流動を利用して)、両者を摩擦攪拌接合させることが開示されている。前記塑性流動は、重ね合わせた2枚の薄板の両方に至っていて、これにより両者が接合されることが記載されている。
【0009】
特開2006−21217号公報には、複数の被接合部材によって構成される被接合物に、回転する接合ツールを没入させて各被接合部材をスポット接合する摩擦撹拌接合装置であって、予め定める回転軸線を有し、回転軸線と同軸に接合ツールを保持するツール保持部と、ツール保持部を回転軸線まわりに回転駆動する回転駆動手段と、ツール保持部を回転軸線に沿って変位駆動する直進駆動手段と、ツール保持部を支持する基体と、集光したレーザ光を照射するレーザ光発生手段と、回転駆動手段、直進駆動手段およびレーザ光発生手段を制御して、被接合物に形成される被接合部分に接合ツールを没入させる前に、被接合部分にレーザ光を照射させて、被接合部分を被接合物の融点温度未満でかつ接合ツールに対して被接合部分が相対的に軟化する軟化温度に達するまで加熱させる制御手段とを備えるスポット接合用摩擦撹拌接合装置が開示されている。
【0010】
Kinya AOTA, 「Al / Cuのスポット摩擦攪拌接合」(Whole Country Meeting of Japan Welding Society Lecture Abstract, September 2004)では、Al板と Cu板の接合に関して、Al板と Cu板を重ねた部分の上に接合ツールを押込んだ後の接合界面について言及している。しかし、押込み深さの制御には言及していない。
【0011】
特開昭60−250891号公報では、所定のピッチをもった一群の溝を台金の表面に形成し、この一群の溝の上に接点片を載置し、両者を超音波溶接機のホーンとアンビルとの間に加圧しながら挟持し、上記一群の溝の筋目の方向にホーンヘッドを超音波振動させて接点片と台金とを接合するようにした電気接触子の製造方法を開示している。
【0012】
特開昭55−006746号公報では、接点台と接点を2個の電極で加圧しながら挟み、前記電極間の通電により加熱した後、急冷して、前記接点台と前記接点とを接合するようにした電気接触子の製造方法を開示している。
【0013】
特開平10−269883号公報では、溶解材質で作られた接点の外径より小さい凹部を台金に設け、前記凹部の上に前記接点を載置し、この載置された前記接点を溶接機により溶接かつ加圧成形し、前記台金へ前記接点を所定の形状に溶着させるようにした接点材の製造方法を開示している。
【0014】
特開昭58−186115号公報では、2種の接点材料を組合せてなる複合電気接点の製造法であって、抵抗溶接機で前記2種の複合接点材を抵抗電極間に装入し、少なくとも接点材間の空気を置換するに足る量の有機溶剤を注入し、しかるのち加圧通電することを特徴とする銀−酸化物系複合電気接点の製造方法が開示されている。
【0015】
特開昭61−017394号公報では、2種の異なる成分を積層し、加熱溶融後に所望の成分比の合金になるように前記各成分の厚さを調整するという接合材料の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Katsuyuki Yoshikawa,「マイクロスポット摩擦接合」(11th Symposium MATE 2005, Japan Welding Society, 2005, pp.421-424)
【非特許文献2】Kinya AOTA, 「Al / Cuのスポット摩擦攪拌接合」(Whole Country Meeting of Japan Welding Society Lecture Abstract, September 2004)
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−21217号公報
【特許文献2】特開昭60−250891号公報
【特許文献3】特開昭55−006746号公報
【特許文献4】特開平10−269883号公報
【特許文献5】特開昭58−186115号公報
【特許文献6】特開昭61−017394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記の非特許文献1及び特許文献1の摩擦攪拌接合の場合、ツールの回転で部材が摩擦攪拌されることより生じる塑性流動により、部材どうしを接合している。しかしながら、塑性流動により両部材を接合するには、ツールをある程度深く押し込む必要があるので、接合時間が長くなって生産性に問題が生じると共に、ツールによる打痕や圧痕が目立ってしまって、品質に問題が生じることがあった。
【0019】
したがって、本発明の目的は、接点と台金との接合時間が短く、接点に打痕や圧痕等が生じるのを抑制できる、電気接触子の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の電気接触子の製造方法は、以下の手順でなされることを特徴とするものである。まず、治具によって接点及び台金を重ね合わせて支持し、台金の接点に当接していない面の、接点に対応する位置に、回転ツールを回転させながら所定速度で押し込む。そして、回転ツールと台金との摩擦熱により、接点と台金とを固相拡散接合させた後、回転ツールを台金から後退させることによりなされるものである。
【0021】
上記発明によれば、回転ツールを回転させながら台金に押し込むことにより、回転ツールの摩擦熱が台金と接点との接触面に伝達されて、接触面において固相拡散接合がなされる。そして、回転ツールを台金から後退させることにより、台金と接点との接合が完了する。
【0022】
すなわち、摩擦攪拌接合のように部材どうしを塑性流動により接合させるものではなく、また、接合すべき部材どうしを溶融させて拡散接合させるものでもなく、回転ツールの摩擦熱及び押し込み圧力により、台金と接点とを固相拡散接合させて接合するようにしたので、接合に要する時間を短縮して生産性を高めることができる。また、回転ツールの押し込み深さを必要最低限にできるので、寸法安定性を高め、接点に打痕、圧痕、接触痕、変色等が発生することを抑制することができる。更に、回転ツールの押し込み深さを制御することにより、品質のばらつきのない電気接触子を安定して生産することができる。
【0023】
また、摩擦攪拌接合においては、これまで、同種の金属どうし(例えば、両者ともアルミニウム)の接合が中心で、例えば、銀系材料よりなる接点と銅合金材料からなる台金との接合のように、異種金属どうしを接合させることについて実績がなく、その接合性の良否については不明であった。これに対して、本発明においては、接点と台金とを固相拡散接合させるようにしたので、例えば、接点が銀系材料で、台金が銅合金材料といった、異種金属どうしであっても、品質よく接合することができる。
【0024】
本発明の電気接触子の製造法において、回転ツールの加圧力又は回転ツールを回転させるモータトルクを検出し、この加圧力又はモータトルクが所定値を超えた押し込み位置を密着開始点とし、回転ツールを密着開始点から更に所定深さ押し込むことが好ましい。これによれば、加圧力又はモータトルクが所定値を超えた押し込み位置を密着開始点とし、ここから回転ツールを所定深さ押し込むようにしたので、回転ツールの押し込み深さを把握しやすくなり、必要最低限の押し込み深さで、台金と接点とを無駄なく接合させることができる。
【0025】
本発明の電気接触子の製造法において、回転ツールを密着開始点から更に所定深さ押し込み、その位置で所定時間保持した後、前記台金から後退させることが好ましい。これによれば、回転ツールを所定の押し込み深さから所定時間保持することにより、接合面における固相拡散接合に必要な熱エネルギーを確実に伝達させることできる。
【0026】
本発明の電気接触子の製造法において、回転ツールの密着開始点からの押し込み深さは、台金の厚さの1/20以上とすることが好ましい。これによれば、回転ツールを台金の厚さの1/20以上押し込むことにより、台金と接点とを確実に固相拡散接合させることができる。
【0027】
本発明の電気接触子の製造法において、台金の接点と接触する面には、所定深さの溝が設けられていることが好ましい。これによれば、固相拡散接合時に、接点側の接触面が塑性変形して台金の溝に入り込んで接合されるため、せん断方向の力に対してアンカー効果が働き、せん断強度を高めることができる。
【0028】
本発明の電気接触子の製造法において、台金の少なくとも接点との接触面に、接点に対して固相拡散しやすい金属からなるめっきが施されていることが好ましい。これによれば、回転ツールの摩擦熱によって加熱したとき、台金のめっき層が固相拡散して接点と接合しやすくすることができる。
【0029】
本発明の電気接触子の製造法において、回転ツールの直径が3〜9mmであり、回転ツールの回転数が3000〜10000rpmであり、前記台金の厚さが1〜2.5mmであることが好ましい。これによれば、回転ツールによる摩擦熱が、台金と接点の接触面に効果的に伝達されるので、固相拡散接合を容易に行うことができる。
【0030】
一方、本発明の電気接触子の製造装置は、以下の構成要件を備えることを特徴とするものである。
【0031】
すなわち、接点及び台金を重ね合わせて支持する治具と、
所定速度で回転しかつ前記治具に対して進退動作し、台金の、接点に当接していない面の接点に対応する位置に、所定速度で押し込まれる回転ツールと、
回転ツールの加圧力検出手段又は回転ツールのモータトルク検出手段と、
加圧力検出手段又はモータトルク検出手段による信号に基づいて、回転ツールの昇降動作を制御する制御手段とを備えている。
【0032】
そして、前記制御手段は、回転ツールを回転させながら所定速度で押し込んでいくとき、加圧力検出手段又は前記モータトルク検出手段で検出された加圧力又はモータトルクが所定値を超えた位置を密着開始点と判断し、回転ツールを密着開始点から更に所定深さ押し込み、次いで台金から後退させるように駆動させるように構成されている。
【0033】
上記発明によれば、制御装置により、密着開始点から所定深さまで回転ツールを押し込んだ後、台金から後退させることができるので、接点と台金の接触面の固相拡散接合に必要な加熱を、正確かつばらつきなく、必要最小限の時間で行うことができる。このため、接合強度、寸法安定性、外観等の品質を一定にすることができると共に、生産効率を高めることができる。
【0034】
本発明の電気接触子の製造装置において、前記制御手段は、回転ツールを密着開始点から更に所定深さ押し込み、その位置で所定時間保持した後、台金から後退させるように駆動させることが好ましい。これによれば、回転ツールが所定の押し込み深さから所定時間保持されるので、接合面における固相拡散接合に必要な熱エネルギーを確実に伝達させることできる。
【0035】
本発明の電気接触子の製造装置において、前記治具は、セラミックス又はステンレスで形成されていることが好ましい。これによれば、回転ツールと台金との摩擦によって発生する熱が、治具に伝熱されにくくなり、台金と接点との接触面に効率良く伝熱させることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、回転ツールを回転させながら台金に押し込むことにより、回転ツールの摩擦熱が台金と接点との接触面に伝達されて、接触面において固相拡散接合がなされる。そして、回転ツールを台金から後退させることにより、台金と接点との接合が完了する。このように、回転ツールの摩擦熱及び押し込みにより、台金と接点とを固相拡散接合させて接合するようにしたので、接合に要する時間を短縮して生産性を高めることができる。また、回転ツールの押し込み深さを必要最低限とし、塑性流動の領域を小さくできるので、寸法安定性を高め、接点に打痕、圧痕、接触痕、変色等を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の電気接触子の製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】同製造装置の制御手段のブロック図である。
【図3】台金及び接点を支持する治具を示しており、(a)は(b)のA−A矢示線における断面図、(b)は平面図である。
【図4】治具の他形状を示しており、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図5】本発明の電気接触子による接合工程を示すフローチャートである。
【図6】接合時における、経過時間と加圧力との関係を示す図である。
【図7】接合時における概略工程を示しており、(a)は第1工程の斜視図、(b)は第2工程の説明図、(c)は第3工程の説明図である。
【図8】回転ツールと接点との関係を示しており、(a)は回転ツールよりも接点が大きい場合の説明図、(b)は接点よりも回転ツールが大きい場合の説明図である。
【図9】台金の裏面に溝が形成されている状態を示しており、(a)はその正面図、(b)は第1形態の説明図、(c)は第2形態の説明図、(d)は第3形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の電気接触子の製造装置の一実施形態について説明する。この電気接触子の製造装置は、台金1と接点3とを接合させて電気接触子を得ることを目的としたものである。この実施形態における台金1は、図3(a),(b)に示すように、略帯状に所定長さで伸びていると共に、その両側部1a,1aが中間部1bに対して外方に折り曲げられた形状をなしている。この台金1の両側部1a,1aの下面側に、四角形状をなした接点3,3が接合されるようになっている。
【0039】
図1には、この実施形態における電気接触子の製造装置10(以下、「製造装置10」という)の概略構成図が示されている。この図に示すように、製造装置10は、台金1及び接点3を重ね合わせて支持する治具50が固定される固定盤12と、該固定盤12から垂設した柱部14と、該柱部14に昇降手段16を介して昇降可能に支持されたツール支持筒18と、該ツール支持筒18の下方に固定チャック20を介して固定された回転ツール22とを有している。前記ツール支持筒18の上方には、回転手段24が配置されており、その回転軸が前記回転ツール22に連結されている。
【0040】
したがって、回転ツール22は、昇降手段16により、治具50に対して進退可能に昇降動作すると共に、回転手段24により所定速度で回転動作するように構成されている。また、この回転ツール22は、先端に向かって次第に縮径した円柱状をなし、その先端面が平坦な円形状となっている。そして、回転ツール22は、台金1の接点3に当接していない面の、接点3に対応する位置で回転することにより、台金1の上面と回転ツール22の先端面との間に摩擦熱を生じさせつつ、台金1内に押し込まれるようになっている。
【0041】
また、前記固定盤12には、回転ツール22に整合する位置に、加圧力測定センサ26が配置されており、これが加圧力波形検知制御部27を介して、NC制御装置等の制御手段35に接続されている。前記加圧力波形検知制御部27は、加圧力測定センサ26で検知された回転ツール22の加圧力を、図6に示す所定時間経過したときの加圧力の変動を示す波形(時間と加圧力との相関関係を示す)にするためのものである。この加圧力測定センサ26及び加圧力波形検知制御部27が、本発明における加圧力検出手段25を構成している。また、制御手段35は、昇降手段16近傍に配置された位置算出手段29に接続され、更に、固定チャック20近傍に配置された回転速度検出手段31及びモータトルク検出手段33にもそれぞれ接続されている。
【0042】
加圧力検出手段25は、昇降手段16により台金1に押し付けられる回転ツール22の、台金1に対する加圧力を検出するためのものである。また、位置算出手段29は、昇降手段16により上下に進退動作する回転ツール22の位置、すなわち、台金1からの距離を、昇降手段16の駆動信号に基づいて算出するためのものである。更に、回転速度検出手段31及びモータトルク検出手段33は、回転ツール22の回転速度及びトルクをそれぞれ検出するためのものである。
【0043】
図2に示すように、この制御手段35は、加圧力検出手段25及び位置算出手段29から出力された信号に基づいて、回転ツール22の進退動作を制御すると共に、回転速度検出手段31及びモータトルク検出手段33から出力された信号に基づいて、回転ツール22の回転動作を制御するようになっている。
【0044】
次に、接点3及び台金1を重ね合わせて支持する治具50について説明する。図3(a),(b)に示すように、この治具50は、基台部51と、該基台部51の上方に着脱可能に装着され、台金1を治具50に押え付ける押え部55とを有している。前記基台部51は、接点3が嵌め込まれる凹部53を有すると共に、その上面が台金1に沿った形状をなしている。また、前記押え部55は、台金1の両側部1a,1aの各端面に当接する一対の側部押え55a,55aと、同台金1の中間部1bの両側辺に当接する一対の中間押え55b,55bとを有している。
【0045】
そして、基台部51の凹部53に接点3を嵌め込み、その上に台金1を重ね合わせた状態にして、基台部51上に押え部55を装着する。それにより、側部押え55a及び中間押え55bが、台金1の両側部1a,1a及び中間部1bにそれぞれ当接する。その結果、台金1が基台部51から浮かないように押え付けられ、台金1に接点3を密接させた状態にして、両者が重ね合わされた状態で支持される。この状態で、治具50は、製造装置10の加圧力測定センサ26上に配置されて、図示しない固定手段によって固定盤12に固定されて、図3(a)の想像線で示すように、台金1の接点3に当接していない面(台金1の上面)の、接点3に対応する位置に、回転ツール22の平坦面をなした先端が押し込まれるようになっている。
【0046】
この治具50の材料としては、例えば、セラミックス又はステンレスが好ましく用いられる。これらの材料は耐熱性が高く、熱伝導度が低いので、回転ツール22の先端面が台金1上を回転することにより生じる摩擦熱が、治具50に伝熱されにくくなる。その結果、摩擦熱を、台金1と接点3との接触面に効率良く伝熱させることができ、後述する台金1と接点3との接合を迅速に行うことが可能となる。
【0047】
上記治具50は図3に示す形状だけでなく、接点3と台金1との形状に応じて種々のものを用いることができる。図4(a),(b)には、その一例が示されている。この場合の台金1は、接点3が接合される一側部1cに、湾曲した中間部1bを介して、幅広の他側部1dが連結された形状をなしている。この台金1に合わせて、基台部51の一側部が隆起した形状をなし、それに台金1の幅広の他側部1dが載置され、ボルトBにより基台部51に締め付け固定されている。
【0048】
次に、この製造装置10による接点3及び台金1の接合工程について、図5〜7を参照して説明する。
【0049】
図6には、台金1の接点3に当接していない面に、回転ツール22を回転させつつ押し込んだときの、経過時間(横軸)と加圧力(縦軸)との関係が示されている。
【0050】
すなわち、回転ツール22を回転させつつ台金1に向けて進行させて行き、図7(a)に示すように、回転ツール22が台金1に接触すると、加圧力が増加し始める。ただし、加工寸法のばらつき等により台金1が若干撓んでいるときなど、台金1と接点3との間には若干の隙間が生じている場合がある。この場合には、回転ツール22からの加圧力が負荷されにくく、図6の符号aで示すように、加圧力は緩やかに増加する。
【0051】
台金1と接点3とが隙間なく密接するようになると、回転ツール22からの加圧力が急激に増加する。このとき回転ツール22と台金1とが接触した部分に、摩擦熱が急激に発生する。この加圧力が急激に増加する点を、密着開始点P1とする。
【0052】
すなわち、台金1と接点3との間に隙間があると、回転ツール22の真の押し込み深さが不明確となってしまうところ、上記のように加圧力が急上昇する位置を、密着開始点P1と定義することにより、回転ツール22の真の押し込み深さを確認することができるようになっている。
【0053】
更に回転ツール22が押し込まれると、加圧力が急激に上昇していく。それと共に、台金1の回転ツール22に接触した部分が摩擦熱で加熱され、この部分が回転ツール22で加圧回転されることにより、いわゆる塑性流動Sが生じ始める(図7(b)参照)。そして、加圧力は、ピークP2に達した後、図6の符号bで示すように、急に下がり始める。この加圧力変動は、図7(b)に示すように、前記の塑性流動Sが厚くなって、台金1が軟化するために生じる。
【0054】
上記状態から更に回転ツール22が押し込まれると、加圧力が次第に低下していき、所定深さに至るまで押し込まれたら、その押し込み深さで回転ツール22を停止する。このように回転ツール22の押し込みがなくなると、その加圧力の位置P3から、図6の符号cで示すように加圧力が更に低下していく。
【0055】
その後、回転ツール22が所定の押し込み深さで、所定時間保持されることにより、図6の符号dで示すように、加圧力はほぼ横ばいとなる。
【0056】
このように、回転ツール22を所定速度で回転させながら、台金1に押し込んで行くことにより、回転ツール22と台金1との間に発生する摩擦熱が、図7(b)の矢印で示すように、台金1と接点3との接触面にも伝達される。こうして台金1と接点3との接触面に高温の熱と加圧力が付与され、図7(c)に示すように、台金1と接点3との接合面において固相拡散接合がなされて、固相拡散接合部Rが生成され、この固相拡散接合部Rを介して、台金1と接点3とが互いに接合される。なお、固相拡散接合とは、原子の拡散を利用して接合する拡散接合の一つで、接合面間を溶融させずに、固相状態で接合する方法をいう。
【0057】
この製造装置10においては、回転ツール22を台金1に所定速度で押し込んで行くときの時間経過に対する回転ツール22の加圧力の変動を示す波形(図6参照)を、加圧力検出手段25で検出すると共に、その信号に基づいて、制御手段35によって回転ツール22の進退動作を制御して、台金1及び接点3を固相拡散接合させることができるようになっている。
【0058】
この台金1と接点3との固相拡散接合を達成するために、製造装置10における制御手段は、回転ツール22を回転させながら所定速度で押し込んでいくとき、加圧力検出手段25で検出される加圧力が所定値を超えた位置を密着開始点P1と判断し、位置算出手段29による位置情報に基づいて、密着開始点P1から所定深さまで回転ツール22を押し込んだ後、その深さで所定時間保持し、次いで上昇させるように、回転ツール22を駆動させるようになっている(図2参照)。
【0059】
そのため、制御手段35には、図示しない記憶装置が設けられており、上記密着開始点P1を検出するための基準とする加圧力や、密着開始点P1から回転ツール22を押し込む深さや、その深さで回転ツール22を保持する時間などの条件を予め入力され、記憶されるようになっている。
【0060】
上記制御手段35における制御動作の一例を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。ただし、制御手段35における制御動作は、このフローチャートに示される動作に限定されるものではない。
【0061】
すなわち、回転ツール22が下降して台金1に接触し、加圧力検出手段25によって加圧力の上昇が検出されたら、ステップS1で、制御手段35に予め記憶された所定加圧力との比較が開始され、回転ツール22の加圧力が所定値を超えたときに、そのときの回転ツール22の位置を密着開始点P1と判断する。
【0062】
この間、位置算出手段29によって、回転ツール22の位置情報が制御手段35に送られ、加圧力が密着開始点P1を越えた位置から、更に回転ツールを下降させる。そして、ステップS2で、回転ツール22の位置情報に基づいて、回転ツール22の押し込み深さが、制御手段35に記憶された所定深さよりも下降したと判断された場合には、ステップS3に進んで、回転ツール22の下降が停止される。
【0063】
その後、ステップS4で回転ツール22の加圧力が横ばいと判断されたら、ステップS5へ進む。このステップS5で、加圧力が横ばいと判断されたときから、制御手段35に予め記憶された所定時間を超えた場合には、ステップS6で回転ツール22が上昇して、初期位置に復帰するようになっている。
【0064】
次に、上記構成からなる製造装置10を用いた、本発明による電気接触子の製造方法について説明する。
【0065】
すなわち、図7(a)に示すように、接点3に重ねあわされた状態で支持された台金1に対して、回転ツール22を回転させながら所定速度で押し込んでいく。
【0066】
そして、回転ツール22の加圧力が急上昇し、その加圧力が所定値を超えた接点3と台金1との密着開始点P1から、回転ツール22が所定深さまで押し込んで、その深さで所定時間保持する。この押し込み工程中に、図7(b)に示すように、台金1と接点3との接合面に摩擦熱が伝熱される。それにより、図7(c)に示すように、台金1と接点3との接合面において固相拡散接合がなされ、固相拡散接合部Rが生成されて、この固相拡散接合部Rを介して台金1と接点3とが接合される。
【0067】
こうして台金1と接点3との接合面において固相拡散接合がなされたら、回転ツール22を上昇させて元の位置に復帰させ、台金1と接点3との接合工程が終了する。
【0068】
このように、本発明による台金1と接点3との接合は、塑性流動Sを接合すべき両方の部材に至らせて、この塑性流動Sを介して両部材を接合させる、いわゆる摩擦攪拌接合を採用するものではなく、固相拡散接合によって台金1と接点3とを接合させるものである。それによって、台金1と接点3との接合に要する時間を短縮して生産性を高めることができる。また、回転ツール22の押し込み深さを必要最低限にすることができるので、寸法安定性を高め、接点3に打痕、圧痕、接触痕、変色等が発生することを抑制することができる。更に、回転ツール22の押し込み深さを制御することにより、品質のばらつきのない電気接触子を安定して生産することができる。
【0069】
なお、前記ステップS1で、密着開始点P1を検出するために、回転ツール22の加圧力と予め設定された所定値とを比較し、所定値を超えたかどうかを判断する際の上記所定値としては、5〜20kgの間で選択された値が好ましく採用される。例えば10kgを超えたときを密着開始点P1として、ここから一定の押込み深さとなるまで、NC制御等による制御手段35で押し込むように制御することより、押し込み深さがばらつくことなく、常に一定の押し込み深さを保持することができる。
【0070】
なお、回転ツール22の、密着開始点P1からの押し込み深さは、台金1の厚さの1/20以上であることが好ましく、1/20〜1/5であることがより好ましい。例えば台金1の厚さが2mmの場合には、上記押し込み深さを0.2mm程度にすることが最も好ましい。このように押し込み深さを設定することにより、台金1と接点3とを充分な接合強度で確実に固相拡散接合させることができる。なお、前記押し込み深さが、台金1の厚さの1/20よりも浅い場合には、台金1と接点3との間での微妙な片押し(片当たり)が発生したりして接合強度が不十分となることがあり、押し込み深さが、台金1の厚さ1/5を超える場合には、圧痕などが目立ったりして製品の品質精度面で好ましくなく、また作業性が低下する。
【0071】
また、前記実施形態では、回転ツール22を押し込んで行くとき、回転ツール22の加圧力がピークP2に達した後、下降する位置まで押し込むようにしているが、本発明は、そのような押し込み深さに限定されるものではなく、回転ツール22の加圧力がピークP2に達する前に、台金1と接点3との接触面で固相拡散接合がなされる場合には、その位置までの押し込み深さとしてもよい。ただし、図6に示すように、回転ツール22の押し込み深さを、少なくとも、加圧力がピークP2に達する深さとすることにより、台金1と接点3との接合面における固相拡散接合に必要な熱エネルギーを十分に発生させることができる。
【0072】
更に、前記実施形態では、図6の加圧力波形に示すように、所定深さまで押し込んだ回転ツール22をその位置に停止させて所定時間保持するようにしているが、そのような保持時間は必ずしも必要ではなく、回転ツール22を所定深さまで押し込んだ後、直ちに上昇させてもよい。ただし、前述したように、回転ツール22の押し込みを停止して、加圧力が横ばいとなってから所定時間保持することにより、台金1と接点3との接合面における固相拡散接合に必要な熱エネルギーを確実に伝達させることができ、台金1と接点3との接合性を安定させることができる。
【0073】
この実施形態の場合、例えば、図6の符号cの状態における、回転ツール22の加圧力を、例えば65kgと設定しておき、この加圧力を下回ってから、例えば、0.5秒以上維持していれば、加圧力が横ばい状態となったとみなして、そこから所定時間保持するように制御することができる。
【0074】
なお、回転ツール22が台金1に接触して、加圧力が作用し始めると、摩擦力が増大するため、回転速度を一定に保つ場合には、モータトルクを変動させなければならない。そこで、回転ツール22の加圧力の変動に代えて、モータトルク検出手段33によりモータトルクの変動を検出して、その信号を制御手段35に送り、モータトルクの変動に基づいて回転ツール22の進退動作を制御してもよい。
【0075】
上記の製造方法に用いられる台金1及び接点3の材料は、特に限定されるものではないが、両者の接触面において固相拡散接合されやすい金属材料が好ましく用いられる。例えば、台金1としては、CuやCu系合金等が好ましく用いられる。
【0076】
また、台金1の、少なくとも接点3との接触面には、接点3に対して固相拡散しやすい金属からなるめっきが施されていてもよい。このめっきとしては、例えば、Snめっきや、Agめっき、Auめっき、Pbフリーめっき(Sn−Ag系等)、Znめっき等が挙げられる。そして、このようなめっきを施すことにより、回転ツール22の摩擦熱によって加熱したとき、台金1のめっき層が固相拡散して接点3とより接合しやすくすることができる。すなわち、回転ツール22の押し込み深さを少なくすることができると共に、回転ツール22の押し込み後の保持時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。例えば、台金1の厚さが1.2mmのときは、少なくとも0.07mm程度の押し込み深さでよく、その程度の押し込み深さであって、せん断強度を120N/mm以上得ることが可能となっている。
【0077】
一方、接点3の材料としては、下記表1に示す、CdフリーのAg系合金や、Cd系合金を用いることができる。
【0078】
【表1】

【0079】
このような材料からなる接点3は、本発明の製造方法を用いることにより、前記台金1と直接接合させることができる。但し、酸化物系接点の場合は、接合強度のばらつきなどが起こりやすい。そのため、予め接合し易い金属層をクラッドさせたり、或いは、適当な厚さのめっきを施したりした、酸化物系接点を用いることが好ましい。
【0080】
また、本発明において特に限定されるものではないが、回転ツール22の直径D(図8参照)は3〜9mmが好ましく、回転ツール22の回転数は3000〜10000rpmが好ましく、台金1の厚さは1〜2.5mmであることが好ましい。これによれば、回転ツール22による摩擦熱が、台金1と接点3の接触面に効果的に伝達されるので、固相拡散接合を容易に行うことができる。
【0081】
上記の各条件の具体的意味について説明すると、一般に回転ツール22から接合すべき材料に発生するエネルギーQは、次式(a)となることが知られている。
【0082】
【数1】

【0083】
ここで、Dは回転ツール22の先端直径(m)、Pは回転ツール22の加圧力(N/m)、Nは回転ツール22の回転数(rad/s)、μは摩擦係数である。
【0084】
上記(a)式から分かるように、エネルギーQは、回転ツール22のツール直径Dの3乗で大きく左右されるので、回転ツール22の先端直径Dは大きいほどエネルギーQは大きくなり、接点3と台金1とを接合しやすくなる。逆に、回転ツール22の先端直径Dが小さくなるほど、エネルギーQは急激に小さくなるので、接点3と台金1とが接合しにくくなる。
【0085】
この実施形態においては、回転ツール22の直径Dは3〜9mmと、一般的な摩擦攪拌接合に用いるツール直径16mm程度と比べてかなり小さく、したがってエネルギーQも小さい。しかしながら、この製造方法では、前述したように塑性流動Sによる接合ではなく、固相拡散接合によって、台金1と接点3とを接合している。そのため、塑性流動Sを接合面に至るほど深く生成させるための、高いエネルギーQが必要ではないので、上記の各条件を採用することにより、台金1と接点3とを十分に接合できるようになっている。
【0086】
図8には、回転ツール22の先端面形状と接点3の形状の具体例が示されている。すなわち、図8(a)に示す例では、回転ツール22の直径Dが、接点3に内接する大きさとされている。このため、回転ツール22によって生じる摩擦熱が、接点3に効率よく伝熱されるようになっている。また、図8(b)に示す例では、回転ツール22の直径Dが、接点3に外接する大きさとされている。この場合には、接点3の接合面全部が、回転ツール22の先端でカバーされることになるので、接点3の接合面全体に、回転ツール22による摩擦熱を確実に伝熱させることができる。
【0087】
また、この製造方法においては、台金1の、接点3と接触する面には、所定深さの溝が設けられていることが好ましい。これについて図9を参照して説明する。すなわち、図9(a)に示すように、台金1の接点3側の面に、所定深さの溝2を形成することにより、台金1と接点3との固相拡散接合時に、接点側の接触面が塑性変形して、前記の固相拡散接合部Rの一部が、台金1の溝2に入り込んで接合されるため、せん断方向の力に対してアンカー効果が働き、せん断強度を高めることができる。
【0088】
上記溝2は、図9(b)に示す円形状や、図9(c)に示す四角形状、更には、一本の直線や、2本の直線、或いは、×印のような交差した直線でもよく、アンカー効果をもたらすことができる形状であればよい。また、この溝2は、プレスによる打痕により形成してもよく、先のとがった罫書き針のようなもので罫書いて形成してもよい。また、この溝2の深さは、例えば、0.1mm以下のような極めて浅いものであってもよい。
【0089】
更に、図9(d)には、接点3が円形状である場合が示されているが、この場合は、溝2も円形状であることが好ましい。このように、円形状の接点3の場合は、同じく円形状をなした回転ツール22の先端と相似形状となるので、接点3が四角形状の接点3と比べて、回転ツール22の先端で接点3の接合面を効率よくカバーできる。また、回転ツール22の直径Dを容易に設定でき、接合時において、回転ツール22の中心を、接点3の中心に整合させやすく、位置決めが容易となり、更には、接合部の均一性も確保しやすくなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治具によって接点及び台金を重ね合わせて支持し、
前記台金の前記接点に当接していない面の前記接点に対応する位置に、所定速度で回転しかつ治具に対して進退動作する回転ツールを回転させながら押し込んで、前記回転ツールと前記台金との摩擦熱により、前記接点と前記台金とを固相拡散接合させた後、
前記回転ツールを前記台金から後退させることを特徴とする電気接触子の製造方法。
【請求項2】
前記回転ツールの加圧力又は前記回転ツールを回転させるモータトルクを検出し、該加圧力又はモータトルクが所定値を超えた押し込み位置を密着開始点とし、前記回転ツールを前記密着開始点から更に所定深さ押し込む請求項1記載の電気接触子の製造方法。
【請求項3】
前記回転ツールを前記密着開始点から更に所定深さ押し込み、その位置で所定時間保持した後、前記台金から後退させる請求項2記載の電気接触子の製造方法。
【請求項4】
前記回転ツールの前記密着開始点からの押し込み深さは、前記台金の厚さの1/20以上とする請求項2又は3記載の電気接触子の製造方法。
【請求項5】
前記台金の前記接点と接触する面には、所定深さの溝が設けられている請求項1〜4のいずれか1つに記載の電気接触子の製造方法。
【請求項6】
前記台金の少なくとも前記接点との接触面に、前記接点に対して固相拡散しやすい金属からなるめっきが施されている請求項1〜5のいずれか1つに記載の電気接触子の製造方法。
【請求項7】
前記回転ツールの直径が3〜9mmであり、前記回転ツールの回転数が3000〜10000rpmであり、前記台金の厚さが1〜2.5mmである請求項1〜6のいずれか1つに記載の電気接触子の製造方法。
【請求項8】
接点及び台金を重ね合わせて支持する治具と、
所定速度で回転しかつ前記治具に対して進退動作し、前記台金の前記接点に当接していない面の前記接点に対応する位置に所定速度で押し込まれる回転ツールと、
前記回転ツールの加圧力検出手段又は前記回転ツールのモータトルク検出手段と、
前記加圧力検出手段又は前記モータトルク検出手段による信号に基づいて、前記回転ツールの昇降動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記回転ツールを回転させながら所定速度で押し込んでいくとき、前記加圧力検出手段又は前記モータトルク検出手段で検出された前記加圧力又は前記モータトルクが所定値を超えた位置を密着開始点と判断し、前記回転ツールを前記密着開始点から更に所定深さ押し込み、次いで前記台金から後退させるように駆動させることを特徴とする電気接触子の製造装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記回転ツールを前記密着開始点から更に所定深さ押し込み、その位置で所定時間保持した後、前記台金から後退させるように駆動させる請求項8記載の電気接触子の製造装置。
【請求項10】
前記治具は、セラミックス又はステンレスで形成されている請求項9記載の電気接触子の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−508945(P2011−508945A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540289(P2010−540289)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/JP2009/000142
【国際公開番号】WO2009/098836
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【Fターム(参考)】