電気機器収納用箱
【課題】電気機器収納用箱を床面に設置する際には安全かつ効率的に作業が行え、設置後においては、景観がよく、接触しても怪我をすることのない基台を備えた電気機器収納用箱を提供する。
【解決手段】内部に表示装置や電気機器を収納する筐体1と、該筐体1を載置する基台2と、該基台2を床面に固定するアンカーの取付部を形成したアンカー取付部材4とを有する電気機器収納用箱であって、該基台2の筐体搭載面22は、筐体1が載置される筐体載置部22Aよりも大きい面積をもって形成され、該基台2は、基台2の裏面に配置されたアンカー取付部41を露出させる位置で、基台2の隅部を切欠いて形成した切欠部21と、該切欠部21を、脱着自在に覆うカバー部材3を備える。
【解決手段】内部に表示装置や電気機器を収納する筐体1と、該筐体1を載置する基台2と、該基台2を床面に固定するアンカーの取付部を形成したアンカー取付部材4とを有する電気機器収納用箱であって、該基台2の筐体搭載面22は、筐体1が載置される筐体載置部22Aよりも大きい面積をもって形成され、該基台2は、基台2の裏面に配置されたアンカー取付部41を露出させる位置で、基台2の隅部を切欠いて形成した切欠部21と、該切欠部21を、脱着自在に覆うカバー部材3を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台を備え、特に表示装置を収納するのに適した電気機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分電盤や配電盤などに使用される電気機器収納用箱は、主として電気機器を内蔵する筐体と筐体を搭載する基台とから構成され、多くは床面に設置される。当該箱の設置方法の一つとして、当該基台をアンカーボルトで床面に固定する方法が採られているが、これらの電気機器収納用箱は、基台の幅が筐体とほぼ同寸であるため、基台の内側からアンカーボルトを挿入して基台を固定しなければならず(特許文献1)、作業性が悪いという問題があった。
【0003】
また、電気機器収納用箱のなかには、筐体内に製品を取り付けた状態で床面に設置するものもあり、こうした場合には筐体内を通じて基台の固定作業を行うことになり、作業効率が著しく低下する。また、ボルト取付の際に、製品自体に工具が当接してしまうという問題も生じる。
【0004】
一方、基台の幅を筐体の幅よりも大きくすれば、基台上面(外側)からアンカーボルトで固定することができるので作業効率は改善するが、ボルトがむき出し状態となり、安全面や美感上に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-332772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記問題を解決し、電気機器収納用箱を床面に設置する際には安全かつ効率的に作業が行え、設置後においては、景観がよく、接触しても怪我をすることのない基台を備えた電気機器収納用箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明は、内部に電気機器を収納する筐体と、該筐体を載置する基台と、該基台を床面に固定するアンカーの取付部を形成したアンカー取付部材とを有する電気機器収納用箱であって、該基台の筐体搭載面は、筐体が載置される筐体載置部よりも大きい面積をもって形成され、該基台は、基台の裏面に配置されたアンカー取付部を露出させる位置で、基台の隅部を切欠いて形成した切欠部と、該切欠部を、脱着自在に覆うカバー部材とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、該基台は、筐体搭載面と、該筐体搭載面の全端部を垂直下向きに折り曲げて形成した折曲辺部からなり、該折曲辺部の側方端部に切欠部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電気機器収納用箱は、基台の筐体搭載面を筐体が載置される筐体載置部よりも大きく形成している。これにより、基台の隅部に切欠部を設けることができる。また、基台の隅部に切欠部を設けることで、切欠部の下側に位置するアンカー取付部に、基台の外側からアンカーボルトを打ち込んで基台を固定することができる。そのため、従前のように基台の内側から作業を行う場合に比べて、格段に作業効率がよい。
【0010】
また、当該切欠部に脱着自在なカバー部材を被せられる構造にすることで、アンカー取付作業時にはカバー部材を外し、設置後や不使用時には切欠部にカバー部材を取り付けておくことができる。カバー部材で切欠部を覆えば、基台とカバー部材を一体に見せることができるので、見栄えもよくなる。また、万が一基台に接触した場合にも怪我をすることがない。
【0011】
更に、該基台の筐体搭載面の全端部を垂直下向きに折り曲げて形成し、該折曲辺部の側方端部に切欠部を形成すれば、該折曲辺部の側方端部どうしを溶接する作業が不要となり作業工程が削減できるうえ、溶接不良による錆の発生を防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の電気機器収納用箱の背面斜視図である。
【図2】実施形態の電気機器収納用箱の前面斜視図である。
【図3】基台の切欠部に取り付けられるカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】切欠部を示す拡大斜視図である。
【図5】基台の分解斜視図である。
【図6】カバー部材の拡大斜視図である。
【図7】アンカー取付部材、キャスター、ストッパ、ストッパ固定用ナットを示す斜視図である。
【図8】カバー部材の変形例を示す拡大斜視図である。
【図9】変形例のカバー部材を別の角度より示した拡大斜視図である。
【図10】カバー部材の他の変形例を示す拡大斜視図である。
【図11】他の変形例のカバー部材を別の角度より示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本発明に係る電気機器収納用箱は、図1に示すように、表示装置を内蔵した筐体1と、筐体1を搭載する基台2と、からなる。
【0014】
図1及び図2に示すように、筐体1は、略長方形に形成された前面扉11と、前面扉11と同形の背面扉12と、前面扉11と背面扉12とを繋ぐ側面板13から構成される。前面扉11には、表示装置を視認可能にするための開口窓11Aが設けられており、背面扉12の中央には筐体を冷却するための冷却装置14が取り付けられている。また、筐体1の内部には、前面扉11の開放操作可能なロッド棒を備えたハンドル(図示せず)が取り付けられている。なお、筐体1の内部には、液晶テレビ、PDP(プラズマディスプレイパネル)などの表示装置や分電盤や配電盤などの電気機器が収納されており、その他に筐体内部の空気の循環を促すクロスフローファン、表示装置の内容を表示させるPCなどのハードが搭載されている。
【0015】
基台2は、図3及び図4、図5に示すように、略長方形をなし、筐体が載置される筐体載置部22Aよりも張り出した金属製材料で形成されている。また、この実施形態では、図5のように、基台2の筐体搭載面22の全端部を垂直下向きに折り曲げて折曲辺部23を形成しており、折曲辺部23は図4に示されるように、基台側面23A・基台下縁23Bを含むものである。また、折曲辺部23の側方端部を切欠いて切欠部21としている。そのため、筐体搭載面22の全端部を折り曲げた折曲辺部23の側方端部どうしを溶接する作業が不要となり、作業工程が削減できる。更に溶接がなくなることにより溶接不良による錆の発生を防ぐこともできる。
【0016】
また、基台2の隅部には、アンカー取付部材4に穿設されたアンカー取付部41が露出するように切欠部21を設けている。これにより、基台2の外側からアンカー取付部41にボルトを打ち込むことができるため、従前のように基台の内側から作業を行う場合に比べて、格段に作業効率が向上する。この実施形態では切欠部21を略正方形に切り欠いているが、筐体搭載面22は切り欠かず、折曲辺部23のみを切欠いて切欠部21としても良い。筐体搭載面22を切り欠いた場合では上部より工具を差し込んでボルト取付作業ができ、筐体搭載面22を切り欠かない場合でも折曲辺部23方向からレンチなどの工具を差し込みボルト取付作業を行うことが可能である。その場合、基台側面23Aの高さhを十分に確保することが望ましい。なお、基台2の筐体搭載面22中央には電気機器収納用箱の表示装置の配線などを通すための孔部24を設けてある。
【0017】
前記基台2の切欠部21には、切欠部21を覆うための取付自在なカバー部材3が取り付けられている。このカバー部材3は、図1及び図6に示すように、上方から見た場合略扇形状をなし、基台側面23Aと同等の高さhに形成されている。当該カバー部材3の外縁には、ねじ孔部31及び係止部32が設けられており、ねじ孔部31は、基台2の切欠部21周縁に穿設されたねじ孔部25と、係止部32は基台2の切欠部21周縁に穿設された係止孔26と、それぞれ対応する。切欠部21にカバー部材3を上部から嵌めると、切欠部21周縁の係止孔26にカバー部材3の係止部32が係止し、その後、切欠部21周縁のねじ孔部25とカバー部材3のねじ孔部31をねじ止めすれば、カバー部材3により切欠部21やアンカーボルトが覆われ、また、カバー部材3は樹脂部材または弾力性のある部材で構成されているので、万が一基台2に接触した場合にも怪我をすることがなく、さらに基台2とカバー部材3が一体に見えて景観もよくなる。なお、筐体搭載面22は切り欠かず、折曲辺部23のみを切欠部21とした場合においてはL字状のカバー部材を形成して切欠部21を覆うものである。
【0018】
また、図8、図9のようなカバー部材の構造としても良い。図8は要部を拡大した斜視図を示したものである。図8(a)はカバー部材7取付前の状態、図8(b)はカバー部材7取付後の状態、図8(c)はカバー部材7を切欠部21に取り付けた状態の斜視図を示したものである。なお、図8(a)及び図8(b)では筐体搭載面22を省略している。図9は図8の別の角度から見た図であり、図9(a)は取付前の斜視図、図9(b)は取付後の断面斜視図を示した図である。カバー部材7は筐体搭載面22と水平に形成し筐体搭載面22の切欠を覆う水平面76と、折曲辺部23の切欠を覆う垂下面77からなり、上方から見た場合扇形状をなしている。水平面76の内側には挟止部材74が形成してあり、挟止部材74は筐体搭載面22の切欠端面を挟み込むことが可能に形成してある。挟止部材74には案内部74Aが形成されており、筐体搭載面22の端面を案内可能に形成している。また、垂下面77の内側下方には折曲辺部23の切欠端面を挟み込む挟止部材73を形成している。挟止部材73は帯状の形状でカバー部材7に一体に形成しており、カバー部材7の一方の折曲辺部23と一方の折曲辺部23の左右方向に位置する折曲辺部23を挟み込むことが可能に形成している。挟止部材73の両端部にはねじ孔部71が形成されており、カバー部材7を取り付けた後、折曲辺部23に形成したねじ孔部25にねじ100で係止することができる。挟止部材73にも折曲辺部23に向かうにつれて開口を幅広にした案内部73Aが形成されており、折曲辺部23の端面を案内可能に形成している。カバー部材7は樹脂部材または弾力性のある部材で形成しているため、取り付けとしては図8に示すように垂下面77の挟止部材73で折曲辺部23を挟んでから水平面76の挟止部材74で筐体搭載面22の端面を挟み込む方法、水平面76の挟止部材74で筐体搭載面22の端面を挟んでから垂下面77の挟止部材73で折曲辺部23を挟み込む方法のどちらでも取付可能に形成しているものである。このようにカバー部材7で基台2の筐体搭載面22及び折曲辺部23の切欠端面を挟み込むことにより強固に保持することができる。図6の構造と同じようにカバー部材7にはねじ孔部71、係止部72が設けられ基台2にカバー部材7をねじ100および係止部72で取り付けるものである。ただし、折曲辺部23のねじ孔部25に対応する位置のカバー部材7は他の部分と比べて薄く形成した薄肉部75で形成されており、ねじ止めする場合はカバー部材7の薄肉部75を捲ってねじ100を取り付けるものである。そのため、ねじ100が表面上に表れず景観が良くなるものである。また、図示していないが、垂下部77に形成した係止部72の周縁は薄肉で形成している。周縁を薄肉で形成することにより、係止部72の取り付けや取り外しを行いやすくなるものである。
【0019】
その他にカバー部材構造としては図10、図11の構造としても良い。図10は要部を拡大した斜視図を示したものである。図10(a)、(b)はカバー部材8を切欠部21に取り付けた状態の斜視図及び断面斜視図を示したものである。なお、図10(a)では筐体搭載面22を省略している。図11は図10の別の角度から見た図であり、図11はカバー部材8取付後の断面斜視図を示した図である。図8のカバー部材7は基台2の筐体搭載面22と折曲辺部23を共に挟込む形状としていたため強固に取付けできる反面取付が非常に困難であるため、図10のカバー部材8の構造は筐体搭載面22の端面を挟み込む挟止部材84はそのままに、折曲辺部の固定は垂下面87に形成した係止部82のみで係止する構造としている。本実施形態においては係止部82が2つ形成されているものであるが、係止部82の数はこの構造に限定されるものではない。図11に示すようにカバー部材8の水平面86を捲ることにより、筐体搭載面22に形成したねじ孔部27が露出されるのでねじ100で固定することが可能である。そのため、ねじ100が表面上に表れず景観が良くなるものである。また、水平面86のねじ孔部27の周縁には引掛部材88が形成されており、ねじ100に引掛けるようにするものである。これは、何度も水平面を捲っていると撓みにより変形してしまうため、ねじ100に引掛部材88を引っ掛けておくことにより水平面の撓みを防止するものである。また、図10と同じように図示していないが、垂下部87に形成した係止部82の周縁は薄肉で形成している。周縁を薄肉で形成することにより、係止部82の取り付けや取り外しを行いやすくなるものである。
【0020】
基台2の裏面の左右には、図4及び図5に示すように、基台2を床面に固定するための一対のアンカー取付部材4が取り付けられている。当該アンカー取付部材4は、レール状に形成され、かつ基台2の基台側面23A及び基台下縁23Bに覆われるように取り付けられているので、基台2の基台下縁23Bを補強する補強部材としての役割も兼ねている。また、アンカー取付部材4の両端部には、アンカーボルトを打ち込むためのアンカー取付部41が穿設されている。このアンカー取付部41は基台2の切欠部21から露出する位置に設けられているため、基台2の外側からアンカーボルトを打ち込むことによって基台2を床面に固定することができる。
【0021】
なお、アンカー取付部材4には、アンカーによる据え置き以外の様々な用途にも対応し得るよう、図7のように、電気機器収納用箱を移動自在にさせるためのキャスター5や所定の場所に保持可能にするストッパ6を取り付けるための各取付部51、61も形成してある。
【0022】
以上に説明した本発明の電気機器収納用箱は、基台2の隅部に切欠部21を設ける構成としたので、基台2の外側からアンカーボルトを打ち込むことができ、作業性に優れる。また、当該切欠部21に着脱自在なカバー部材3を取り付けることにより、万が一基台2に接触してもアンカーボルトや切欠部21によって怪我をすることを防止できる。さらに、基台2とカバー部材3が一体に見えることで景観もよくなるなど、多くの利点を備えたものである。
【符号の説明】
【0023】
1 筐体
11 前面扉
11A 開口窓
12 背面扉
13 側面板
14 冷却装置
2 基台
21 切欠部
22 筐体搭載面
22A 筐体載置部
23 折曲辺部
23A 基台側面
23B 基台下縁
24 孔部
25 ねじ孔部
26 係止孔
27 ねじ孔部
3 カバー部材
31 ねじ孔部
32 係止部
4 アンカー取付部材
41 アンカー取付部
5 キャスター
51 キャスター取付部
6 ストッパ
61 ストッパ取付部
7 カバー部材
71 ねじ孔部
72 係止部
73 挟止部材
73A 案内部
74 挟止部材
74A 案内部
75 薄肉部
76 水平面
77 垂下面
8 カバー部材
82 係止部
84 挟止部材
86 水平面
87 垂下面
88 引掛部材
100 ねじ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台を備え、特に表示装置を収納するのに適した電気機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分電盤や配電盤などに使用される電気機器収納用箱は、主として電気機器を内蔵する筐体と筐体を搭載する基台とから構成され、多くは床面に設置される。当該箱の設置方法の一つとして、当該基台をアンカーボルトで床面に固定する方法が採られているが、これらの電気機器収納用箱は、基台の幅が筐体とほぼ同寸であるため、基台の内側からアンカーボルトを挿入して基台を固定しなければならず(特許文献1)、作業性が悪いという問題があった。
【0003】
また、電気機器収納用箱のなかには、筐体内に製品を取り付けた状態で床面に設置するものもあり、こうした場合には筐体内を通じて基台の固定作業を行うことになり、作業効率が著しく低下する。また、ボルト取付の際に、製品自体に工具が当接してしまうという問題も生じる。
【0004】
一方、基台の幅を筐体の幅よりも大きくすれば、基台上面(外側)からアンカーボルトで固定することができるので作業効率は改善するが、ボルトがむき出し状態となり、安全面や美感上に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-332772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記問題を解決し、電気機器収納用箱を床面に設置する際には安全かつ効率的に作業が行え、設置後においては、景観がよく、接触しても怪我をすることのない基台を備えた電気機器収納用箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明は、内部に電気機器を収納する筐体と、該筐体を載置する基台と、該基台を床面に固定するアンカーの取付部を形成したアンカー取付部材とを有する電気機器収納用箱であって、該基台の筐体搭載面は、筐体が載置される筐体載置部よりも大きい面積をもって形成され、該基台は、基台の裏面に配置されたアンカー取付部を露出させる位置で、基台の隅部を切欠いて形成した切欠部と、該切欠部を、脱着自在に覆うカバー部材とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、該基台は、筐体搭載面と、該筐体搭載面の全端部を垂直下向きに折り曲げて形成した折曲辺部からなり、該折曲辺部の側方端部に切欠部を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電気機器収納用箱は、基台の筐体搭載面を筐体が載置される筐体載置部よりも大きく形成している。これにより、基台の隅部に切欠部を設けることができる。また、基台の隅部に切欠部を設けることで、切欠部の下側に位置するアンカー取付部に、基台の外側からアンカーボルトを打ち込んで基台を固定することができる。そのため、従前のように基台の内側から作業を行う場合に比べて、格段に作業効率がよい。
【0010】
また、当該切欠部に脱着自在なカバー部材を被せられる構造にすることで、アンカー取付作業時にはカバー部材を外し、設置後や不使用時には切欠部にカバー部材を取り付けておくことができる。カバー部材で切欠部を覆えば、基台とカバー部材を一体に見せることができるので、見栄えもよくなる。また、万が一基台に接触した場合にも怪我をすることがない。
【0011】
更に、該基台の筐体搭載面の全端部を垂直下向きに折り曲げて形成し、該折曲辺部の側方端部に切欠部を形成すれば、該折曲辺部の側方端部どうしを溶接する作業が不要となり作業工程が削減できるうえ、溶接不良による錆の発生を防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の電気機器収納用箱の背面斜視図である。
【図2】実施形態の電気機器収納用箱の前面斜視図である。
【図3】基台の切欠部に取り付けられるカバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】切欠部を示す拡大斜視図である。
【図5】基台の分解斜視図である。
【図6】カバー部材の拡大斜視図である。
【図7】アンカー取付部材、キャスター、ストッパ、ストッパ固定用ナットを示す斜視図である。
【図8】カバー部材の変形例を示す拡大斜視図である。
【図9】変形例のカバー部材を別の角度より示した拡大斜視図である。
【図10】カバー部材の他の変形例を示す拡大斜視図である。
【図11】他の変形例のカバー部材を別の角度より示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本発明に係る電気機器収納用箱は、図1に示すように、表示装置を内蔵した筐体1と、筐体1を搭載する基台2と、からなる。
【0014】
図1及び図2に示すように、筐体1は、略長方形に形成された前面扉11と、前面扉11と同形の背面扉12と、前面扉11と背面扉12とを繋ぐ側面板13から構成される。前面扉11には、表示装置を視認可能にするための開口窓11Aが設けられており、背面扉12の中央には筐体を冷却するための冷却装置14が取り付けられている。また、筐体1の内部には、前面扉11の開放操作可能なロッド棒を備えたハンドル(図示せず)が取り付けられている。なお、筐体1の内部には、液晶テレビ、PDP(プラズマディスプレイパネル)などの表示装置や分電盤や配電盤などの電気機器が収納されており、その他に筐体内部の空気の循環を促すクロスフローファン、表示装置の内容を表示させるPCなどのハードが搭載されている。
【0015】
基台2は、図3及び図4、図5に示すように、略長方形をなし、筐体が載置される筐体載置部22Aよりも張り出した金属製材料で形成されている。また、この実施形態では、図5のように、基台2の筐体搭載面22の全端部を垂直下向きに折り曲げて折曲辺部23を形成しており、折曲辺部23は図4に示されるように、基台側面23A・基台下縁23Bを含むものである。また、折曲辺部23の側方端部を切欠いて切欠部21としている。そのため、筐体搭載面22の全端部を折り曲げた折曲辺部23の側方端部どうしを溶接する作業が不要となり、作業工程が削減できる。更に溶接がなくなることにより溶接不良による錆の発生を防ぐこともできる。
【0016】
また、基台2の隅部には、アンカー取付部材4に穿設されたアンカー取付部41が露出するように切欠部21を設けている。これにより、基台2の外側からアンカー取付部41にボルトを打ち込むことができるため、従前のように基台の内側から作業を行う場合に比べて、格段に作業効率が向上する。この実施形態では切欠部21を略正方形に切り欠いているが、筐体搭載面22は切り欠かず、折曲辺部23のみを切欠いて切欠部21としても良い。筐体搭載面22を切り欠いた場合では上部より工具を差し込んでボルト取付作業ができ、筐体搭載面22を切り欠かない場合でも折曲辺部23方向からレンチなどの工具を差し込みボルト取付作業を行うことが可能である。その場合、基台側面23Aの高さhを十分に確保することが望ましい。なお、基台2の筐体搭載面22中央には電気機器収納用箱の表示装置の配線などを通すための孔部24を設けてある。
【0017】
前記基台2の切欠部21には、切欠部21を覆うための取付自在なカバー部材3が取り付けられている。このカバー部材3は、図1及び図6に示すように、上方から見た場合略扇形状をなし、基台側面23Aと同等の高さhに形成されている。当該カバー部材3の外縁には、ねじ孔部31及び係止部32が設けられており、ねじ孔部31は、基台2の切欠部21周縁に穿設されたねじ孔部25と、係止部32は基台2の切欠部21周縁に穿設された係止孔26と、それぞれ対応する。切欠部21にカバー部材3を上部から嵌めると、切欠部21周縁の係止孔26にカバー部材3の係止部32が係止し、その後、切欠部21周縁のねじ孔部25とカバー部材3のねじ孔部31をねじ止めすれば、カバー部材3により切欠部21やアンカーボルトが覆われ、また、カバー部材3は樹脂部材または弾力性のある部材で構成されているので、万が一基台2に接触した場合にも怪我をすることがなく、さらに基台2とカバー部材3が一体に見えて景観もよくなる。なお、筐体搭載面22は切り欠かず、折曲辺部23のみを切欠部21とした場合においてはL字状のカバー部材を形成して切欠部21を覆うものである。
【0018】
また、図8、図9のようなカバー部材の構造としても良い。図8は要部を拡大した斜視図を示したものである。図8(a)はカバー部材7取付前の状態、図8(b)はカバー部材7取付後の状態、図8(c)はカバー部材7を切欠部21に取り付けた状態の斜視図を示したものである。なお、図8(a)及び図8(b)では筐体搭載面22を省略している。図9は図8の別の角度から見た図であり、図9(a)は取付前の斜視図、図9(b)は取付後の断面斜視図を示した図である。カバー部材7は筐体搭載面22と水平に形成し筐体搭載面22の切欠を覆う水平面76と、折曲辺部23の切欠を覆う垂下面77からなり、上方から見た場合扇形状をなしている。水平面76の内側には挟止部材74が形成してあり、挟止部材74は筐体搭載面22の切欠端面を挟み込むことが可能に形成してある。挟止部材74には案内部74Aが形成されており、筐体搭載面22の端面を案内可能に形成している。また、垂下面77の内側下方には折曲辺部23の切欠端面を挟み込む挟止部材73を形成している。挟止部材73は帯状の形状でカバー部材7に一体に形成しており、カバー部材7の一方の折曲辺部23と一方の折曲辺部23の左右方向に位置する折曲辺部23を挟み込むことが可能に形成している。挟止部材73の両端部にはねじ孔部71が形成されており、カバー部材7を取り付けた後、折曲辺部23に形成したねじ孔部25にねじ100で係止することができる。挟止部材73にも折曲辺部23に向かうにつれて開口を幅広にした案内部73Aが形成されており、折曲辺部23の端面を案内可能に形成している。カバー部材7は樹脂部材または弾力性のある部材で形成しているため、取り付けとしては図8に示すように垂下面77の挟止部材73で折曲辺部23を挟んでから水平面76の挟止部材74で筐体搭載面22の端面を挟み込む方法、水平面76の挟止部材74で筐体搭載面22の端面を挟んでから垂下面77の挟止部材73で折曲辺部23を挟み込む方法のどちらでも取付可能に形成しているものである。このようにカバー部材7で基台2の筐体搭載面22及び折曲辺部23の切欠端面を挟み込むことにより強固に保持することができる。図6の構造と同じようにカバー部材7にはねじ孔部71、係止部72が設けられ基台2にカバー部材7をねじ100および係止部72で取り付けるものである。ただし、折曲辺部23のねじ孔部25に対応する位置のカバー部材7は他の部分と比べて薄く形成した薄肉部75で形成されており、ねじ止めする場合はカバー部材7の薄肉部75を捲ってねじ100を取り付けるものである。そのため、ねじ100が表面上に表れず景観が良くなるものである。また、図示していないが、垂下部77に形成した係止部72の周縁は薄肉で形成している。周縁を薄肉で形成することにより、係止部72の取り付けや取り外しを行いやすくなるものである。
【0019】
その他にカバー部材構造としては図10、図11の構造としても良い。図10は要部を拡大した斜視図を示したものである。図10(a)、(b)はカバー部材8を切欠部21に取り付けた状態の斜視図及び断面斜視図を示したものである。なお、図10(a)では筐体搭載面22を省略している。図11は図10の別の角度から見た図であり、図11はカバー部材8取付後の断面斜視図を示した図である。図8のカバー部材7は基台2の筐体搭載面22と折曲辺部23を共に挟込む形状としていたため強固に取付けできる反面取付が非常に困難であるため、図10のカバー部材8の構造は筐体搭載面22の端面を挟み込む挟止部材84はそのままに、折曲辺部の固定は垂下面87に形成した係止部82のみで係止する構造としている。本実施形態においては係止部82が2つ形成されているものであるが、係止部82の数はこの構造に限定されるものではない。図11に示すようにカバー部材8の水平面86を捲ることにより、筐体搭載面22に形成したねじ孔部27が露出されるのでねじ100で固定することが可能である。そのため、ねじ100が表面上に表れず景観が良くなるものである。また、水平面86のねじ孔部27の周縁には引掛部材88が形成されており、ねじ100に引掛けるようにするものである。これは、何度も水平面を捲っていると撓みにより変形してしまうため、ねじ100に引掛部材88を引っ掛けておくことにより水平面の撓みを防止するものである。また、図10と同じように図示していないが、垂下部87に形成した係止部82の周縁は薄肉で形成している。周縁を薄肉で形成することにより、係止部82の取り付けや取り外しを行いやすくなるものである。
【0020】
基台2の裏面の左右には、図4及び図5に示すように、基台2を床面に固定するための一対のアンカー取付部材4が取り付けられている。当該アンカー取付部材4は、レール状に形成され、かつ基台2の基台側面23A及び基台下縁23Bに覆われるように取り付けられているので、基台2の基台下縁23Bを補強する補強部材としての役割も兼ねている。また、アンカー取付部材4の両端部には、アンカーボルトを打ち込むためのアンカー取付部41が穿設されている。このアンカー取付部41は基台2の切欠部21から露出する位置に設けられているため、基台2の外側からアンカーボルトを打ち込むことによって基台2を床面に固定することができる。
【0021】
なお、アンカー取付部材4には、アンカーによる据え置き以外の様々な用途にも対応し得るよう、図7のように、電気機器収納用箱を移動自在にさせるためのキャスター5や所定の場所に保持可能にするストッパ6を取り付けるための各取付部51、61も形成してある。
【0022】
以上に説明した本発明の電気機器収納用箱は、基台2の隅部に切欠部21を設ける構成としたので、基台2の外側からアンカーボルトを打ち込むことができ、作業性に優れる。また、当該切欠部21に着脱自在なカバー部材3を取り付けることにより、万が一基台2に接触してもアンカーボルトや切欠部21によって怪我をすることを防止できる。さらに、基台2とカバー部材3が一体に見えることで景観もよくなるなど、多くの利点を備えたものである。
【符号の説明】
【0023】
1 筐体
11 前面扉
11A 開口窓
12 背面扉
13 側面板
14 冷却装置
2 基台
21 切欠部
22 筐体搭載面
22A 筐体載置部
23 折曲辺部
23A 基台側面
23B 基台下縁
24 孔部
25 ねじ孔部
26 係止孔
27 ねじ孔部
3 カバー部材
31 ねじ孔部
32 係止部
4 アンカー取付部材
41 アンカー取付部
5 キャスター
51 キャスター取付部
6 ストッパ
61 ストッパ取付部
7 カバー部材
71 ねじ孔部
72 係止部
73 挟止部材
73A 案内部
74 挟止部材
74A 案内部
75 薄肉部
76 水平面
77 垂下面
8 カバー部材
82 係止部
84 挟止部材
86 水平面
87 垂下面
88 引掛部材
100 ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電気機器を収納する筐体と、
該筐体を載置する基台と、
該基台を床面に固定するアンカーの取付部を形成したアンカー取付部材とを有する電気機器収納用箱であって、
該基台の筐体搭載面は、筐体が載置される筐体載置部よりも大きい面積をもって形成され、
該基台は、基台の裏面に配置されたアンカー取付部を露出させる位置で、基台の隅部を切欠いて形成した切欠部と、
該切欠部を、脱着自在に覆うカバー部材を備えることを特徴とする電気機器収納用箱。
【請求項2】
該基台は、筐体搭載面と、該筐体搭載面の全端部を垂直下向きに折り曲げて形成した折曲辺部からなり、
該折曲辺部の側方端部に切欠部を形成したことを特徴とする請求項1記載の電気機器収納用箱。
【請求項1】
内部に電気機器を収納する筐体と、
該筐体を載置する基台と、
該基台を床面に固定するアンカーの取付部を形成したアンカー取付部材とを有する電気機器収納用箱であって、
該基台の筐体搭載面は、筐体が載置される筐体載置部よりも大きい面積をもって形成され、
該基台は、基台の裏面に配置されたアンカー取付部を露出させる位置で、基台の隅部を切欠いて形成した切欠部と、
該切欠部を、脱着自在に覆うカバー部材を備えることを特徴とする電気機器収納用箱。
【請求項2】
該基台は、筐体搭載面と、該筐体搭載面の全端部を垂直下向きに折り曲げて形成した折曲辺部からなり、
該折曲辺部の側方端部に切欠部を形成したことを特徴とする請求項1記載の電気機器収納用箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−138538(P2012−138538A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291514(P2010−291514)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】
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