説明

電気機器

【課題】電池パックを被覆する保護部材に、該保護部材を破らない旨の注意書きを表す印字や模様等を施すことにより、一般ユーザが保護部材を破ってしまうことを防止する電気機器を得る。
【解決手段】電気機器の一例である火災警報器に搭載される電池パック7は、一つのリチウム電池から構成される筒型の電池本体7a、その電池本体7aの長手方向の両端に配置された2つの電極7b、電池本体7aと電極7bとを被覆する透明フィルムからなる保護部材7c、2つの電極7bに溶着された2本の出力リード線7d及びその2本の出力リード線の他端が接続されたコネクタ7eとから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機機器に関し、特に保護部材に被覆された電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気機器の一例である警報器において、電源部としてリチウムバッテリーパックを搭載した火災警報器がある(例えば、特許文献1参照)。このようなバッテリーパックは、リチウム電池本体の電極に接続された出力リード線の部分を絶縁する目的で、通常、リチウム電池本体はフィルム状の保護部材で被覆されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−362537号公報(第10頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般ユーザが、市販の複数本組のアルカリ電池の保護フィルム等と勘違いして、リチウム電池本体を被覆した保護部材を破ってしまうということがあり、感電等の可能性もあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、一般ユーザが保護部材を破ってしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気機器は、電気機器本体と、該電気機器本体に設けられた電池収納部に装着される電池パックと、を備え、前記電池パックは、電池本体と、該電池本体を被覆する保護部材と、を有し、前記保護部材は、該保護部材を破らない旨の注意書きを表す印字、図形又は模様が施されていることを特徴とする。
【0007】
また、前記注意書きを表す印字、図形又は模様は、前記保護部材の略全面に亘って施されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記電池パックは、二本の出力リード線を備え、該二本の出力リード線は、それぞれの一端が前記電池本体の電極に接続されており、互いにより合わされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電気機器においては、電池パックを被覆する保護部材に、該保護部材を破らない旨の注意書きを表す印字や模様等が施されることによって、一般ユーザが、市販の複数本組のアルカリ電池等の保護フィルムと勘違いして、電池パックを被覆する保護部材を破ってしまうことを防止することができる。
【0010】
また、その保護部材の注意書きを表す印字、図形又は模様は、保護部材の略全面に亘って施されているので、一般ユーザは、その注意書きを表す印字や模様を見落とすことがない。
【0011】
そして、電池パックが備える二本の出力リード線同士が互いにより合わされて、より線となっていることによって、より合わされていない場合と比較して、不要な箇所に引っ掛かりにくくなる。また、仮に引っ掛かったとしても、より合わされることによって生じる伸縮性によって、切れにくくなり、電池パックの電極の溶着部分にかかる負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る警報器の分解斜視図である。
ここで、本発明の実施の形態における電気機器は、警報器であり、またその警報器は火災警報器であるものとする。本発明の実施の形態に係る火災警報器は、警報器本体1(電気機器本体の一例)と、天井面や壁面等に固定されて警報器本体1が着脱可能に装着される取付ベース21とから構成されており、警報器本体1は、本体部2と、その本体部2に複数のねじ10(後述の図3参照)によって一体に結合された保護カバー11と、その保護カバー11に設置された回路基板15とから構成されている。
【0013】
本体部2は、円板状の基板3とその背面側(取付ベース21側)の外周縁に立設された周壁4とからなり、周壁4には対向して一対の刃部5が設けられている。この刃部5は、周壁4の先端部から内側に向かって延設された平板状の係合片5aと、この係合片5aの一方の側縁と基板3とを一体に連結した補強リブ5bとから構成されている。また、基板3には、刃部5のアンダーカット部を形成するための穴6が設けられ、そして、電池パック7が、その一部を基板3に埋没する状態で設置されている。また、基板3に形成されているスピーカ受け部8は、保護カバー11に搭載されたスピーカ17の受け部である。そして、本体部2と保護カバー11とを一体に結合させるねじ10を挿通するためのねじ挿通穴9が、基板3に設けられている。さらに、後述する電池用コネクタ受け部15a及び移報用コネクタ受け部15bをそれぞれ挿通させるための電池用コネクタ開口部31及び移報用コネクタ開口部32が、基板3に設けられている。
【0014】
保護カバー11は、煙や熱等を検出する略山形状の火災検出部12(検出部の一例)と、その外周縁に設けた周壁13とから構成されている。また、保護カバー11には、本体部2と保護カバー11を結合するため、本体部2のねじ挿通穴9に通したねじ10を螺入するためのねじ穴14が、設けられている。そして、回路基板15に接続されるスピーカ17と、そのスピーカ17が発する警報音を停止させる等の操作を行うボタンスイッチ18が設けられている。なお、図1においては、保護カバー11とボタンスイッチ18とが分解された状態を示す。
【0015】
回路基板15には、回路に電力を供給する電池パック7のコネクタ7e(後述の図2参照)が接続される電池用コネクタ受け部15a、移報用の機器を接続するための移報用コネクタ受け部15b、火災検出部12の構成要素の一例として熱を検出するサーミスタ(図示せず)及びその他電子部品が搭載されている。
【0016】
取付ベース21は、円板状の基板22、その基板22の外周縁の本体部2側に設けられた周壁23、及びその周壁23と同心円状に設けられた内壁(図示せず)とを有し、その内壁の上縁部の本体部2に設けられた刃部5に対応する位置には、周壁23側に延設された刃受け部25が設けられている。また、基板22には、取付ベース21を天井面等にねじ固定するために、ねじ挿通穴26が設けられている。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る警報器に搭載される電池パック7の外観図である。
本発明の実施の形態に係る火災警報器に搭載される電池パック7は、一つのリチウム電池から構成される筒型の電池本体7a、その電池本体7aの長手方向の両端に配置された2つの電極7b、電池本体7aと電極7bとを被覆する透明フィルムからなる保護部材7c、2つの電極7bに溶着(例えば、半田付け)された2本の出力リード線7d及びその2本の出力リード線の他端が接続されたコネクタ7eとから構成されている。
【0018】
2本の出力リード線7dのそれぞれの一端が溶着されている2つの電極7bは、保護部材7cによって被覆されていることによって、外部と絶縁されている。また、保護部材7cは、その保護部材7cを破ってはならない旨の注意書きを示す印字が施されている。この印字は、保護部材7cの略全面に亘って施されており、筒型の電池本体7aの側面の位置にその長手方向に二列になるように施されている。なお、保護部材7cは、電池本体7aの円筒状の側面における上下側面と、2つの電極7bとに亘って被覆する形態であるが、これに限定するものではなく、電池本体7aの円筒状の側面全体を被服する形態としてもよい。
【0019】
図3は、電池パック7が本体部2に収納された状態を示す本体部2の上面図である。
本体部2と保護カバー11とを一体に結合させるために、本体部2の基板3に設けられたねじ挿通穴9にねじ10が挿通されている。また、基板3には、電池パック7を収納させるために陥没形成された電池収納部33が設けられている。そして、その電池収納部33の長手方向の片側の中央部に、基板3から上方(取付ベース21側)に延出する形で設けられた略L字状の係止部材34は、電池パック7の表面を係止することによって、電池パック7を電池収納部33内に装着固定する。また、電池パック7の出力リード線7dの他端が接続されているコネクタ7eは、電池用コネクタ受け部15aに接続されている。
【0020】
次に、上記のように構成された火災警報器の天井面等への取り付け作業の手順の一例について説明する。
まず、梱包から、警報器本体1、取付ベース21及び電池パック7等を取り出す。そして、電池収納部33に電池パック7を収納し、本体部2の電池用コネクタ開口部31に収納された電池用コネクタ受け部15aに、電池パック7のコネクタ7eを接続する。このとき、一般ユーザは、電池パック7の保護部材7cに印字された注意書きによって、保護部材7を破ってしまうことなく、電池収納部33に電池パック7を収納することができる。次に、ねじ挿通穴26を介して天井面等にねじ固定された取付ベース21に、本体部2の刃部5を刃受け部25から周方向にずらせた状態で嵌合し、ついで、警報器本体1を周方向に回動して刃部5の係合片5aを刃受け部25に係止させて装着する。なお、警報器本体1を取付ベース21から取り外すときは、警報器本体1を反対方向に回動して刃部5の係合片5aを刃受け部25から離脱させればよい。
【0021】
以上の構成のように、電池パック7の保護部材7cに、破ってはならない旨の注意書きを示す印字が施されていることによって、一般ユーザが、市販の複数本組のアルカリ電池等の保護フィルムと勘違いして、保護部材7cを破ってしまうことを防止することができる。
また、この印字が、保護部材7cの略全面に亘って施されており、筒型の電池本体7aの側面の位置にその長手方向に二列になるように施されているので、電池収納部33の長手方向の中央部に設けられた係止部材34によって遮蔽される部分を避けることができる。それによって、電池パック7が電池収納部33に収納された状態でも、一般ユーザは、保護部材7cに施された印字を見落とすことがなく良好に確認することができる。このような構成は、例えば、電池収納部33に電池パック7を収納した状態で梱包して出荷する場合に好適である。
そして、電池本体7aの2つの電極7bにそれぞれ溶着された2本の出力リード線が互いにより合わされて、より線となっていることによって、より線でない場合と比べて、不要な箇所に引っ掛かりにくくなる。また、仮に引っ掛かったとしても、より合わされることによって生じる伸縮性によって、切れにくくなり、電池パック7の電極7bの溶着部分にかかる負荷を軽減することができる。
【0022】
なお、上記の説明では、図示の火災警報器に本発明を実施した場合を示したが、これに限定するものではなく、他の構造の火災警報器にも本発明を適用することができる。さらに、検出部として、火災検出部12に限定するものでもなく、ガス検出センサを用いたガス漏れ警報器等、他の検出手段を用いた警報器にも本発明を適用することができる。また、さらに、火災警報器等の警報器に限定するものではなく、その他の電気機器にも本発明を適用することができる。
また、電池パック7を被覆する保護部材7cとして、透明フィルムで構成される絶縁部材が使用されているが、これに限定するものではなく、色のついたカラーフィルム等で構成される絶縁部材が使用されるものとしてもよい。
また、電池パック7の電池本体7aとして、筒型の一つのリチウム電池から構成される場合を示したが、これに限定するものではなく、複数本組となったリチウム電池で構成されてるものとしてもよい。あるいは、リチウム電池ではなく、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の他の種類の電池が、一つ又は複数本組として構成されるものとしてもよい。さらに、電池本体7aの形状についても、筒型に限定するものではなく、角型等の形状を有するものとしてもよい。
また、電池パック7の保護部材7cに施されている印字は、保護部材7cの略全面に亘って施されており、電池収納部33の長手方向の中央部に設けられた係止部材34によって遮蔽される部分を避けるために、筒型の電池本体7aの側面の位置にその長手方向に二列になるように施されている場合を示したが、これに限定するものではなく、電池収納部33の係止部材34の位置等その他の条件によって、一般ユーザがその印字を見落とさない範囲で、長手方向に三列以上に印字、又は、その他のレイアウトで印字するものとしてもよい。
さらに、電池パック7の保護部材7cに施されている注意書きの例として、図2において、破ってはいけない旨の注意書きを示す文字が印字されている例を示したが、これに限定するものではなく、注意を促すための図形又は模様が施されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る警報器の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る警報器に搭載される電池パック7の外観図である。
【図3】電池パック7が本体部2に収納された状態を示す本体部2の上面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 警報器本体、2 本体部、3 基板、4 周壁、5 刃部、5a 係合片、5b 補強リブ、6 穴、7 電池パック、7a 電池本体、7b 電極、7c 保護部材、7d 出力リード線、7e コネクタ、8 スピーカ受け部、9 ねじ挿通穴、10 ねじ、11 保護カバー、12 火災検出部、13 周壁、14 ねじ穴、15 回路基板、15a 電池用コネクタ受け部、15b 移報用コネクタ受け部、17 スピーカ、18 ボタンスイッチ、21 取付ベース、22 基板、23 周壁、25 刃受け部、26 ねじ挿通穴、31 電池用コネクタ開口部、32 移報用コネクタ開口部、33 電池収納部、34 係止部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器本体と、
該電気機器本体に設けられた電池収納部に装着される電池パックと、
を備え、
前記電池パックは、
電池本体と、
該電池本体を被覆する保護部材と、
を有し、
前記保護部材は、該保護部材を破らない旨の注意書きを表す印字、図形又は模様が施されている
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記注意書きを表す印字、図形又は模様は、前記保護部材の略全面に亘って施されている
ことを特徴とする請求項1記載の電気機器。
【請求項3】
前記電池パックは、二本の出力リード線を備え、
該二本の出力リード線は、
それぞれの一端が前記電池本体の電極に接続されており、
互いにより合わされている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−97806(P2010−97806A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267323(P2008−267323)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】