電気機器
【課題】ラベルの貼付作業に際して気泡の入り込みを生じ難くした電気機器を提供する。
【解決手段】充電可能な複数の二次電池39と、前記二次電池39を収納するケーシング31と、前記ケーシングの表面に貼付されるラベル7とを備える電気機器であって、前記ケーシングの表面に、前記ラベル7を貼付するラベル貼付領域8を設けると共に、前記ラベル貼付領域8は、略平坦面とし、かつ該平坦面に、複数の溝部9を、該平坦面の全体にわたってほぼ均一に、かつ少なくとも一部が交差するように形成することができる。これにより、ラベル貼付領域のほぼ全面にわたって、平坦面でもって接着力を維持すると共に、ほぼ均一に形成された溝部に空気を逃がすことで、気泡によるラベルの膨れや皺の発生を低減できる。
【解決手段】充電可能な複数の二次電池39と、前記二次電池39を収納するケーシング31と、前記ケーシングの表面に貼付されるラベル7とを備える電気機器であって、前記ケーシングの表面に、前記ラベル7を貼付するラベル貼付領域8を設けると共に、前記ラベル貼付領域8は、略平坦面とし、かつ該平坦面に、複数の溝部9を、該平坦面の全体にわたってほぼ均一に、かつ少なくとも一部が交差するように形成することができる。これにより、ラベル貼付領域のほぼ全面にわたって、平坦面でもって接着力を維持すると共に、ほぼ均一に形成された溝部に空気を逃がすことで、気泡によるラベルの膨れや皺の発生を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具等の電気機器に脱着自在に装着されて電力を供給する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電気機器は、充電可能な二次電池を内蔵している電池パックを電気機器本体に脱着自在に装着することで、コードレス方式として建築現場等において便利に使用できる。また、電気機器本体から電池パックを取り外し式とすることで、取り外した電池パックを充電器にセットして、充電して繰り返し使用できる。
【0003】
このような電池パックには、電池パックの定格や注意事項などの情報を記載したラベル7が貼付されている。ラベルはシール状に構成し、裏面に塗布された糊で電池パックのケーシング表面に設けられたラベル貼付領域に貼付されている。ラベルを綺麗に貼付するため、ラベル貼付領域は平坦面とする。ラベルを貼付する際に、気泡が入り込むとラベルが皺になり、ラベルに記載された文字が読み難くなったり、見栄えが悪くなったり、破れやすくなるといった問題がある。このため、この作業時には気泡が入らないように細心の注意を払う必要があり、また気泡が入り込んだ場合は貼り直し作業が必要となるなど、手間のかかる作業であった。一方で、ラベル貼付時に気泡が入らなくとも、あるいは入り込んだ気泡が目立たないほどに小さいものであっても、この電池パックを高温多湿の環境に放置した際は、ケーシングを構成する樹脂から発生した気体によってラベルが膨らむという問題もある。特に電池ケースの輸送時に高温環境に置かれた際、このような問題が発生することがあった。
【0004】
気泡の発生を排除するため、ラベル貼付領域の表面をシボ加工や梨地処理することも考えられるが、ラベル貼付領域の表面に凹凸が多数形成されることで、ラベルと接触する表面積が小さくなって接着力が弱まってしまう。
【0005】
このような問題を解消するため、特許文献1に示す樹脂成形品が提案されている。この樹脂成形品は、図13に示すように、ラベル被着面90の範囲内で、ラベル被着面90の外周は平滑な外周平滑面91、その内側の中央領域は細かい凹凸をもった中央凹凸面92とし、外周平滑面91でラベル97との強力な接着力を確保し、中央凹凸面92の凹凸でラベル97の接着力低減と樹脂から発生するガス吸収の働きをさせる構成を採用している。しかしながらこの構成でも、貼付面がラベル97の周囲に限定されるため、中央部分が浮きやすくなり、却って気泡が溜まりやすくなるという問題があった。
【0006】
また別の方法として、ラベルの裏面に塗布する糊を格子状のパターンとすることで、部分的にラベルを浮かせて気泡を排出する方法も考えられるが、この方法では、糊の格子状パターンがラベルの表面側に転写されてしまい、見栄えが悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−69566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ラベルの貼付作業に際して気泡の入り込みを生じ難くした電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電気機器によれば、電子部品を収納するケーシング31と、前記ケーシングの表面に貼付されるラベル7と、を備える電気機器であって、前記ケーシングの表面に、前記ラベル7を貼付するラベル貼付領域8を設けると共に、前記ラベル貼付領域8は、略平坦面とし、かつ該平坦面に、複数の溝部9を、該平坦面の全体にわたってほぼ均一に、かつ少なくとも一部が交差するように形成することができる。これにより、ラベル貼付領域のほぼ全面にわたって、平坦面でもって接着力を維持すると共に、ほぼ均一に形成された溝部に空気を逃がすことで、気泡によるラベルの膨れや皺の発生を低減できる。
【0010】
また、第2の側面に係る電気機器によれば、前記複数の溝部9が、碁盤目状に、前記平坦面上に形成することができる。これにより、平坦面に溝部を容易に、均一に形成でき、全体にわたって均一な接着力を維持しつつ、気泡の発生を回避できる。
【0011】
さらに、第3の側面に係る電気機器によれば、前記複数の溝部9の少なくとも一部が、前記ラベル7の貼付位置から外部に表出させることができる。これにより、溝部をラベルで完全に埋めるのでなく、溝部の一部がラベルに重ならず外に張り出すこととなって、この表出した部分から気泡を排出でき、皺などの発生を効果的に阻止できる。
【0012】
さらにまた、第4の側面に係る電気機器によれば、前記ケーシングが、上ケーシングと下ケーシングに分割されており、前記上ケーシングと下ケーシングとを連結構造10により連結することで、前記ケーシングが構成されており、さらに前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとを連結する連結構造10を挿入するための連結穴11を開口してなると共に、前記連結穴11を閉塞する閉塞部材12を、該連結穴11に挿入可能にしており、前記閉塞部材12が、略円筒状の筒状本体16と、前記筒状本体16の側面から突出すると共に、該筒状本体16の中心軸に沿う方向に延長された複数条の第一圧入部13と、前記筒状本体16の側面から突出すると共に、該筒状本体16の円周方向に沿って前記第一圧入部13と交差するように形成された第二圧入部14と、を備えてなり、前記閉塞部材12を、前記連結穴11に挿入する際に、前記第一圧入部13及び前記第二圧入部14が、該連結穴11の内面に当接するよう構成できる。これにより、筋状の第一圧入部と、円環状の第二圧入部とで連結穴の内面を押圧する結果、閉塞部材が連結穴内部で傾くことが阻止され、一旦連結穴に挿入された閉塞部材をユーザが容易に抜き取ることが困難となり、電気機器の改竄防止に役立つ。
【0013】
さらにまた、第5の側面に係る電気機器によれば、前記第一圧入部13が、前記第二圧入部14の側面から連続的に延長させることができる。これにより、第一圧入部と第二圧入部の高さを少なくとも一部で揃えることができ、連結穴の内面を交差する方向から押圧できるため、抵抗力を高めて閉塞部材内面でのずれや傾きを抑制できる。
【0014】
さらにまた、第6の側面に係る電気機器によれば、前記筒状本体16が、前記連結穴11に挿入する先端側が細くなるようテーパ状とすることができる。
【0015】
さらにまた、第7の側面に係る電気機器によれば、前記筒状本体16が、前記第一圧入部13を設けた部位の内面において中空とすることができる。これにより、閉塞部材を樹脂成型する際のひけを抑制すると共に、連結穴に圧入し易くできる。
【0016】
さらにまた、第8の側面に係る電気機器によれば、前記電気機器に電池パックを利用できる。
【0017】
さらにまた、第9の側面に係る電気機器によれば、前記電気機器に充電器を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電池パックを示す斜視図である。
【図2】図1の電池パックを背面から見た斜視図である。
【図3】図1の電池パックの正面図である。
【図4】図1の電池パックの平面図である。
【図5】図1の電池パックを背面から見た斜視図である。
【図6】図5の電池パックのラベル貼付領域を示す分解斜視図である。
【図7】図1の電池パックの分解斜視図である。
【図8】図7の電池パックを背面から見た分解斜視図である。
【図9】図6のラベル貼付領域のIX−IX線における断面を示す斜視図及び拡大図である。
【図10】図5のラベル貼付領域のX−X線における断面を示す斜視図及び拡大図である。
【図11】図7の閉塞部材を示す斜視図である。
【図12】図11の閉塞部材を連結穴に挿入した状態を示す断面図である。
【図13】従来のラベルの貼付構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電気機器を例示するものであって、本発明は電気機器を以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0020】
図1〜図23に、本発明の一実施の形態に係る電気機器の一例として、電池パックを示す。これらの図において、図1は電池パック30を示す斜視図、図2は図1の電池パック30を背面から見た斜視図、図3は図1の電池パック30の正面図、図4は図1の電池パック30の平面図、図5は図1の電池パック30を背面から見た斜視図、図6は図5の電池パック30のラベル貼付領域8を示す分解斜視図、図7は図1の電池パック30の分解斜視図、図8は図7の電池パック30を背面から見た分解斜視図、図9は図6のラベル貼付領域8のIX−IX線における断面を示す斜視図及び拡大図、図10は図5のラベル貼付領域のX−X線における断面を示す斜視図及び拡大図、図11は図7の閉塞部材12を示す斜視図、図12は図11の閉塞部材12を連結穴11に挿入した状態を示す断面図を、それぞれ示している。この例では、電池パック30を装着する電気機器として、電動工具に適用した例を説明する。
【0021】
これらの図に示す電池パック30は、充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、電池ホルダ70を収納するケーシング31と、二次電池39と接続されると共に、ケーシング31の外部に表出される外部接続端子33と、ケーシング31の表面から突出され、電池パック用充電器に電池パック30を装着した状態で保持するための係止フック37bとを備える。
(ケーシング31)
【0022】
ケーシング31は、図1〜図4に示すように、外観を箱状に形成されており、隅部を面取りすると共に、表面に電気機器である電動工具や、電池パック用充電器の接続端子3と接続するための外部接続端子33を、縦溝38から表出させている。また電池パック30を電動工具や電池パック用充電器に装着する際に、装着状態を保持するための保持凸部37を備える。このケーシング31は、絶縁性と強度に優れた樹脂等により成型される。
(ラベル7)
【0023】
またケーシング31の裏面には、図5〜図8に示すようにラベル7が貼付される。ラベル7の表面には、電池パックの定格や注意事項などの情報を記載する。またラベル7の裏面には、ラベル7を貼付するための糊などの接着材が塗布される。一方ケーシング31の表面には、ラベル7を貼付するためのラベル貼付領域8が形成される。図6の例では、下ケーシング31Bの底面に、ラベル貼付領域8を設けている。
(ラベル貼付領域8)
【0024】
ラベル貼付領域8は、平面視4角形(矩形)であり、全体をほぼ平坦面としながら、この平坦面に複数の溝部9を形成している。溝部9は、平坦面に凹状に窪ませたスリット状で、少なくとも交差するように形成する。また溝部9は、平坦面の全体にほぼ均一に形成することが好ましい。図6の例では、溝部9を縦横に等間隔に形成することで、全体を碁盤目状に構成している。このように、ラベル貼付領域8に溝部9を細溝状に多数設けることで、ラベル7の貼付時に気泡などを噛み込んだとしても、空気が溝部9に入り込んで吸収され、ラベル7が盛り上がったり皺になったりすることを低減できる。また、図9の断面図に示すように、溝部9を細溝状とすることで、ラベル貼付領域8は殆どを平坦面とできるので、ラベル7とラベル貼付領域8との接触面積を広く確保でき、接着力を維持できる。また特許文献1のように、ラベルの周囲のみを接着する形態と異なり、ほぼ全面で均一に接着できるので、接着の信頼性も高く、ラベル中央部分での浮き上がりもなく、仕上がりも綺麗となる。
【0025】
なお本明細書において平坦面とは、溝部のような凹凸を有しないという意味であって、金型の鏡面仕上げのような、表面の完全な平滑化を意味するものでない。したがって、表面仕上げをしない程度のざらつきが残っている等、実用上ラベルの貼付に十分な程度の平坦さが得られておれば、本発明の目的を達成できる。このため平坦面とは、このような実用上問題のない程度の多少のざらつきを許容する意味で使用する。
【0026】
一方で、上述の通りラベル貼付時に気泡を噛み込んだとしても、図10の断面図に示すように、ラベル7とラベル貼付領域8との間に、一定間隔で溝部9が設けられることから、溝部9に気泡を逃がし易くできる。特に溝部9を格子状に交差させることで、縦横に溝部9を均一に走らせることから、気泡の吸収が容易となる結果、気泡によるラベル7の膨れや皺の発生を低減でき、ラベル7を綺麗に貼付できる利点が得られ、ラベル貼付作業を容易に行える利点も得られる。このような気泡は、貼付時に発生するだけでなく、周囲温度が高温になったときにもラベル7下に存在する空気が膨張して気泡が発生し易くなる。本構造においては、図6、図9、図10に開示されるように、ラベル貼付領域8の外周において、外周平滑面領域8Bを備えている。ラベル7の外周が外周平滑面領域8Bに貼り付けられて空気、気泡が閉じ込められることになるが、縦横の溝部9に空気、気泡が逃げるので、ラベル7下の気泡、気泡にともなうラベル7の膨れ、皺の発生を低減することができる。
【0027】
また、樹脂成型される下ケーシングの、樹脂硬化時のひけを用いて、気泡を集める空間に利用することもできる。例えばラベル貼付領域のほぼ中央に、ひけを意図的に生じさせるよう凹部を設け、かつこの凹部に溝部を連通させることで、この部分に気泡を集めて、目立たなくできる。
【0028】
あるいは、溝部の一部をラベルからはみ出させることで、この部分から気泡をラベル貼付領域とラベルとの間の空間から排出することもできる。すなわち、ラベル貼付領域とラベルとの間は通常閉塞された空間となるが、溝部が一部分でもラベルと重ならないようにすることで、この閉塞空間を外部に連通して気泡を排出できる。例えば、ラベル貼付領域から溝部を延長したり、あるいはラベル貼付領域よりもラベルを小さくすることで、ラベルをラベル貼付領域に貼付した後も、すべての溝部を完全にラベルで覆うことなく、溝部の一部がラベルからはみ出るように、いいかえると溝部が部分的に外部に表出するようにできる。この結果、溝部を交差するように設けることで、すべての溝部が連通されていることから、溝部が表出した部分から外部に連通されることとなり、ここから気泡を外部に排出できるようになる。この構成であれば、気泡の噛み込みをさらに意識することなくラベルを貼付できるので、ラベルの貼付作業が一層容易となる。
【0029】
またケーシング31は、図7及び図8の分解斜視図に示すように上ケーシング31Aと下ケーシング31Bに二分割されている。ケーシング31の内部には収納空間を構成しており、ここに電池ホルダ70と保持凸部37を収納する。
(シート部材56)
【0030】
以上の電池ホルダ70は、図7の分解斜視図に示すように、ケーシング31内に収納される。電池ホルダ70と下ケーシング31Bとの間には、好ましくはシート部材56を介在させる。このシート部材56は、絶縁性と断熱性に優れた材質(例えばシリコーンなど)で形成される。またシート部材56にクッション性を持たせることで、外部からの衝撃を吸収、緩和できる効果も得られる。また電池ホルダとケーシング底面とのクリアランスの削減にも寄与できる。
(連結構造10)
【0031】
上ケーシングと下ケーシングとは、連結構造10により連結される。連結構造10としては、ねじや嵌合などが利用できる。ここでは、ねじによる螺合を連結構造10として利用している。電池パック内部は、意図しない改竄による事故等を防止するため、容易に解体できない構造とすることが望ましい。または、分解されたことを認識できるようにすることで、改竄された可能性を把握することが可能となる。このため、連結構造10を配置する連結穴11を、閉塞部材12で閉塞することで、外部から連結構造10を視認させず、解体を困難とする。さらに、閉塞部材12は連結穴11に圧入式として、一旦連結穴11に圧入されると、容易にここから抜き取れないようにし、さらに無理矢理抜き取ろうとすると、閉塞部材12等が破損するようにして、分解が行われたことを把握できるようになる。
【0032】
このような観点から、本発明者らは、閉塞部材を抜き取りにくくする構造を鋭意研究した結果、一旦連結穴に圧入された閉塞部材を抜き取ろうとする際の動作が、閉塞部材を連結穴の内部で傾けて、閉塞部材と連結穴との間に隙間を設け、ここにマイナスドライバのような平坦な部材を挿入して、てこの原理で閉塞部材を押し上げようとする動作であることを突き止めた。よって、このような動作を阻害するには、圧入された閉塞部材が連結穴の内部で容易に傾かないようにすれば効果的であることを見出し、そのような構成を備える閉塞部材の構造を開発したものである。
(閉塞部材12)
【0033】
以下、閉塞部材12を図11、図12に基づいて説明する。この例では、連結構造10を螺合とし、連結穴11に挿入する閉塞部材12を、ねじ穴に螺合したねじのねじ頭を被覆するキャップ状としている。この閉塞部材12は、ほぼ円筒状の筒状本体16と、その側面から突出する複数条の第一圧入部13と、筒状本体16の端面を構成する第二圧入部14とを備える。
【0034】
また閉塞部材12を圧入する連結穴11は円筒状とし、これに応じて閉塞部材12もほぼ円柱状に形成される。また閉塞部材12を連結穴11に圧入後、容易に抜け落ちないように、連結穴11は底面に向かって断面積が小さくなるテーパ状に形成される。そして第二圧入部14は、閉塞部材12が連結穴11に圧入された後、連結穴11から表出する蓋を構成するため、第二圧入部14は円盤状に形成され、さらに円盤状の第二圧入部14の外径は、閉塞部材12の圧入位置における連結穴11の内径とほぼ等しく構成する。
【0035】
この第二圧入部14は、円周方向に沿って鍔状に突出しており、一方複数条の第一圧入部13は、筒状本体16の中心軸に沿う方向に延長されている。このため第二圧入部14と第一圧入部13とは、交差する姿勢となる。また内面がテーパ状の連結穴11に挿入するため、図12に示すように第一圧入部13の突出高さは、第二圧入部14の突出高さよりも低く形成する。また、筒状本体自体を、連結穴11に挿入する先端側が細くなるようテーパ状に形成することもできる。この閉塞部材12は、樹脂などの可撓性を有する部材で一体成型により形成される。
【0036】
第一圧入部13は、円筒状本体の側面に沿ってほぼ等間隔で複数条、突出されており、連結穴11の内面に当接される。この結果、連結穴11に圧入された閉塞部材12は、図12に示すようにその上端を第二圧入部14の周囲で円環状に当接し、その下端を第一圧入部13の突出した下端でそれぞれ、複数箇所により当接することとなる。このため閉塞部材12は、上下の端縁で、円周方向に沿って確実に保持されて、連結穴11の内部で強固に固定され、容易に傾くことがない。このため、ユーザが閉塞部材12を連結穴11内部で斜めに傾けて抜き取ることが極めて困難となる。ユーザが無理矢理に閉塞部材12を抜き取ろうとしても、閉塞部材12を破損することとなるため、傷跡が残ることから、いずれにしても、ユーザによるケーシングの分解行為を判別し易くなり、改竄の有無を判定し易くできる。
【0037】
また第一圧入部13を確実に筒状本体16の周囲にて突出させるため、図11の例では、筒状本体16の側面であって、第二圧入部14側が円周方向に厚くなるよう補強部15を形成しており、この補強部15によって、各第一圧入部13がより強固に、筒状本体16の周囲から突出姿勢で固定される。一方で筒状本体16の下端面は、開口端として中空状に形成することで、樹脂製の閉塞部材12のひけを防止すると共に、第一圧入部13の塑性変形にも寄与することができ、閉塞部材12の圧入時の抵抗を低減できる。
【0038】
特に上述のように、第一圧入部13は円環状に突出させて、閉塞部材12外面と連結穴11内面との接触を連続的に線上に形成することができ、円周に沿って隙間無く連結穴11の開口を閉塞できることから、閉塞効果を高めてユーザが無理矢理こじ開けることを困難にする。その一方で、第二圧入部14はこれと交差する方向に、連結穴11の深さ方向に延長させることで、閉塞部材12を連結穴11に挿入する際の抵抗を低減して、筒状本体16を中空状にすることと相まって、スムーズに挿入し易くでき、圧入作業を容易にできる。
【0039】
さらに、第一圧入部13の上端を、第二圧入部14の側面と同一平面としつつ、連続的に下方に向かって先細りとなるように、第一圧入部13をテーパ状に形成してもよい。このようにすれば、閉塞部材12と連結穴内面との接触面積を点状から面状に拡げ、密着性を高めて異物の侵入やこじ開けを一層確実に阻止できる。
(フック開口窓24)
【0040】
上ケーシング31Aには、図4等に示すようにフック開口窓24を開口しており、ここから係止フック37bが表出される。係止フック37bは、電池パック30を電池パック用充電器に装着した状態で抜け落ちないよう保持するロック機構である。また、同様に係止フック37bは、電池パック30を電気機器に装着した状態で抜け落ちないよう保持するロック機構としても機能できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る電気機器は、電動工具用電池パックや、アシスト自転車、電動バイク、携帯電話等の携帯機器用の電池パック、充電器、その他のケーシングにラベルを貼付したものとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
7…ラベル
8…ラベル貼付領域;8B…外周平滑面領域
9…溝部
10…連結構造
11…連結穴
12…閉塞部材
13…第一圧入部
14…第二圧入部
15…補強部
16…筒状本体
24…フック開口窓
30…電池パック
31…ケーシング;31A…上ケーシング;31B…下ケーシング
33…外部接続端子
37…保持凸部;37b…係止フック
38…縦溝
39…二次電池
56…シート部材
70…電池ホルダ
80…電池リード板
90…ラベル被着面
91…外周平滑面
92…中央凹凸面
97…ラベル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具等の電気機器に脱着自在に装着されて電力を供給する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電気機器は、充電可能な二次電池を内蔵している電池パックを電気機器本体に脱着自在に装着することで、コードレス方式として建築現場等において便利に使用できる。また、電気機器本体から電池パックを取り外し式とすることで、取り外した電池パックを充電器にセットして、充電して繰り返し使用できる。
【0003】
このような電池パックには、電池パックの定格や注意事項などの情報を記載したラベル7が貼付されている。ラベルはシール状に構成し、裏面に塗布された糊で電池パックのケーシング表面に設けられたラベル貼付領域に貼付されている。ラベルを綺麗に貼付するため、ラベル貼付領域は平坦面とする。ラベルを貼付する際に、気泡が入り込むとラベルが皺になり、ラベルに記載された文字が読み難くなったり、見栄えが悪くなったり、破れやすくなるといった問題がある。このため、この作業時には気泡が入らないように細心の注意を払う必要があり、また気泡が入り込んだ場合は貼り直し作業が必要となるなど、手間のかかる作業であった。一方で、ラベル貼付時に気泡が入らなくとも、あるいは入り込んだ気泡が目立たないほどに小さいものであっても、この電池パックを高温多湿の環境に放置した際は、ケーシングを構成する樹脂から発生した気体によってラベルが膨らむという問題もある。特に電池ケースの輸送時に高温環境に置かれた際、このような問題が発生することがあった。
【0004】
気泡の発生を排除するため、ラベル貼付領域の表面をシボ加工や梨地処理することも考えられるが、ラベル貼付領域の表面に凹凸が多数形成されることで、ラベルと接触する表面積が小さくなって接着力が弱まってしまう。
【0005】
このような問題を解消するため、特許文献1に示す樹脂成形品が提案されている。この樹脂成形品は、図13に示すように、ラベル被着面90の範囲内で、ラベル被着面90の外周は平滑な外周平滑面91、その内側の中央領域は細かい凹凸をもった中央凹凸面92とし、外周平滑面91でラベル97との強力な接着力を確保し、中央凹凸面92の凹凸でラベル97の接着力低減と樹脂から発生するガス吸収の働きをさせる構成を採用している。しかしながらこの構成でも、貼付面がラベル97の周囲に限定されるため、中央部分が浮きやすくなり、却って気泡が溜まりやすくなるという問題があった。
【0006】
また別の方法として、ラベルの裏面に塗布する糊を格子状のパターンとすることで、部分的にラベルを浮かせて気泡を排出する方法も考えられるが、この方法では、糊の格子状パターンがラベルの表面側に転写されてしまい、見栄えが悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−69566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ラベルの貼付作業に際して気泡の入り込みを生じ難くした電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る電気機器によれば、電子部品を収納するケーシング31と、前記ケーシングの表面に貼付されるラベル7と、を備える電気機器であって、前記ケーシングの表面に、前記ラベル7を貼付するラベル貼付領域8を設けると共に、前記ラベル貼付領域8は、略平坦面とし、かつ該平坦面に、複数の溝部9を、該平坦面の全体にわたってほぼ均一に、かつ少なくとも一部が交差するように形成することができる。これにより、ラベル貼付領域のほぼ全面にわたって、平坦面でもって接着力を維持すると共に、ほぼ均一に形成された溝部に空気を逃がすことで、気泡によるラベルの膨れや皺の発生を低減できる。
【0010】
また、第2の側面に係る電気機器によれば、前記複数の溝部9が、碁盤目状に、前記平坦面上に形成することができる。これにより、平坦面に溝部を容易に、均一に形成でき、全体にわたって均一な接着力を維持しつつ、気泡の発生を回避できる。
【0011】
さらに、第3の側面に係る電気機器によれば、前記複数の溝部9の少なくとも一部が、前記ラベル7の貼付位置から外部に表出させることができる。これにより、溝部をラベルで完全に埋めるのでなく、溝部の一部がラベルに重ならず外に張り出すこととなって、この表出した部分から気泡を排出でき、皺などの発生を効果的に阻止できる。
【0012】
さらにまた、第4の側面に係る電気機器によれば、前記ケーシングが、上ケーシングと下ケーシングに分割されており、前記上ケーシングと下ケーシングとを連結構造10により連結することで、前記ケーシングが構成されており、さらに前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとを連結する連結構造10を挿入するための連結穴11を開口してなると共に、前記連結穴11を閉塞する閉塞部材12を、該連結穴11に挿入可能にしており、前記閉塞部材12が、略円筒状の筒状本体16と、前記筒状本体16の側面から突出すると共に、該筒状本体16の中心軸に沿う方向に延長された複数条の第一圧入部13と、前記筒状本体16の側面から突出すると共に、該筒状本体16の円周方向に沿って前記第一圧入部13と交差するように形成された第二圧入部14と、を備えてなり、前記閉塞部材12を、前記連結穴11に挿入する際に、前記第一圧入部13及び前記第二圧入部14が、該連結穴11の内面に当接するよう構成できる。これにより、筋状の第一圧入部と、円環状の第二圧入部とで連結穴の内面を押圧する結果、閉塞部材が連結穴内部で傾くことが阻止され、一旦連結穴に挿入された閉塞部材をユーザが容易に抜き取ることが困難となり、電気機器の改竄防止に役立つ。
【0013】
さらにまた、第5の側面に係る電気機器によれば、前記第一圧入部13が、前記第二圧入部14の側面から連続的に延長させることができる。これにより、第一圧入部と第二圧入部の高さを少なくとも一部で揃えることができ、連結穴の内面を交差する方向から押圧できるため、抵抗力を高めて閉塞部材内面でのずれや傾きを抑制できる。
【0014】
さらにまた、第6の側面に係る電気機器によれば、前記筒状本体16が、前記連結穴11に挿入する先端側が細くなるようテーパ状とすることができる。
【0015】
さらにまた、第7の側面に係る電気機器によれば、前記筒状本体16が、前記第一圧入部13を設けた部位の内面において中空とすることができる。これにより、閉塞部材を樹脂成型する際のひけを抑制すると共に、連結穴に圧入し易くできる。
【0016】
さらにまた、第8の側面に係る電気機器によれば、前記電気機器に電池パックを利用できる。
【0017】
さらにまた、第9の側面に係る電気機器によれば、前記電気機器に充電器を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電池パックを示す斜視図である。
【図2】図1の電池パックを背面から見た斜視図である。
【図3】図1の電池パックの正面図である。
【図4】図1の電池パックの平面図である。
【図5】図1の電池パックを背面から見た斜視図である。
【図6】図5の電池パックのラベル貼付領域を示す分解斜視図である。
【図7】図1の電池パックの分解斜視図である。
【図8】図7の電池パックを背面から見た分解斜視図である。
【図9】図6のラベル貼付領域のIX−IX線における断面を示す斜視図及び拡大図である。
【図10】図5のラベル貼付領域のX−X線における断面を示す斜視図及び拡大図である。
【図11】図7の閉塞部材を示す斜視図である。
【図12】図11の閉塞部材を連結穴に挿入した状態を示す断面図である。
【図13】従来のラベルの貼付構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電気機器を例示するものであって、本発明は電気機器を以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0020】
図1〜図23に、本発明の一実施の形態に係る電気機器の一例として、電池パックを示す。これらの図において、図1は電池パック30を示す斜視図、図2は図1の電池パック30を背面から見た斜視図、図3は図1の電池パック30の正面図、図4は図1の電池パック30の平面図、図5は図1の電池パック30を背面から見た斜視図、図6は図5の電池パック30のラベル貼付領域8を示す分解斜視図、図7は図1の電池パック30の分解斜視図、図8は図7の電池パック30を背面から見た分解斜視図、図9は図6のラベル貼付領域8のIX−IX線における断面を示す斜視図及び拡大図、図10は図5のラベル貼付領域のX−X線における断面を示す斜視図及び拡大図、図11は図7の閉塞部材12を示す斜視図、図12は図11の閉塞部材12を連結穴11に挿入した状態を示す断面図を、それぞれ示している。この例では、電池パック30を装着する電気機器として、電動工具に適用した例を説明する。
【0021】
これらの図に示す電池パック30は、充電可能な複数の二次電池39を保持する電池ホルダ70と、二次電池39同士を端面で接続する電池リード板80と、電池ホルダ70を収納するケーシング31と、二次電池39と接続されると共に、ケーシング31の外部に表出される外部接続端子33と、ケーシング31の表面から突出され、電池パック用充電器に電池パック30を装着した状態で保持するための係止フック37bとを備える。
(ケーシング31)
【0022】
ケーシング31は、図1〜図4に示すように、外観を箱状に形成されており、隅部を面取りすると共に、表面に電気機器である電動工具や、電池パック用充電器の接続端子3と接続するための外部接続端子33を、縦溝38から表出させている。また電池パック30を電動工具や電池パック用充電器に装着する際に、装着状態を保持するための保持凸部37を備える。このケーシング31は、絶縁性と強度に優れた樹脂等により成型される。
(ラベル7)
【0023】
またケーシング31の裏面には、図5〜図8に示すようにラベル7が貼付される。ラベル7の表面には、電池パックの定格や注意事項などの情報を記載する。またラベル7の裏面には、ラベル7を貼付するための糊などの接着材が塗布される。一方ケーシング31の表面には、ラベル7を貼付するためのラベル貼付領域8が形成される。図6の例では、下ケーシング31Bの底面に、ラベル貼付領域8を設けている。
(ラベル貼付領域8)
【0024】
ラベル貼付領域8は、平面視4角形(矩形)であり、全体をほぼ平坦面としながら、この平坦面に複数の溝部9を形成している。溝部9は、平坦面に凹状に窪ませたスリット状で、少なくとも交差するように形成する。また溝部9は、平坦面の全体にほぼ均一に形成することが好ましい。図6の例では、溝部9を縦横に等間隔に形成することで、全体を碁盤目状に構成している。このように、ラベル貼付領域8に溝部9を細溝状に多数設けることで、ラベル7の貼付時に気泡などを噛み込んだとしても、空気が溝部9に入り込んで吸収され、ラベル7が盛り上がったり皺になったりすることを低減できる。また、図9の断面図に示すように、溝部9を細溝状とすることで、ラベル貼付領域8は殆どを平坦面とできるので、ラベル7とラベル貼付領域8との接触面積を広く確保でき、接着力を維持できる。また特許文献1のように、ラベルの周囲のみを接着する形態と異なり、ほぼ全面で均一に接着できるので、接着の信頼性も高く、ラベル中央部分での浮き上がりもなく、仕上がりも綺麗となる。
【0025】
なお本明細書において平坦面とは、溝部のような凹凸を有しないという意味であって、金型の鏡面仕上げのような、表面の完全な平滑化を意味するものでない。したがって、表面仕上げをしない程度のざらつきが残っている等、実用上ラベルの貼付に十分な程度の平坦さが得られておれば、本発明の目的を達成できる。このため平坦面とは、このような実用上問題のない程度の多少のざらつきを許容する意味で使用する。
【0026】
一方で、上述の通りラベル貼付時に気泡を噛み込んだとしても、図10の断面図に示すように、ラベル7とラベル貼付領域8との間に、一定間隔で溝部9が設けられることから、溝部9に気泡を逃がし易くできる。特に溝部9を格子状に交差させることで、縦横に溝部9を均一に走らせることから、気泡の吸収が容易となる結果、気泡によるラベル7の膨れや皺の発生を低減でき、ラベル7を綺麗に貼付できる利点が得られ、ラベル貼付作業を容易に行える利点も得られる。このような気泡は、貼付時に発生するだけでなく、周囲温度が高温になったときにもラベル7下に存在する空気が膨張して気泡が発生し易くなる。本構造においては、図6、図9、図10に開示されるように、ラベル貼付領域8の外周において、外周平滑面領域8Bを備えている。ラベル7の外周が外周平滑面領域8Bに貼り付けられて空気、気泡が閉じ込められることになるが、縦横の溝部9に空気、気泡が逃げるので、ラベル7下の気泡、気泡にともなうラベル7の膨れ、皺の発生を低減することができる。
【0027】
また、樹脂成型される下ケーシングの、樹脂硬化時のひけを用いて、気泡を集める空間に利用することもできる。例えばラベル貼付領域のほぼ中央に、ひけを意図的に生じさせるよう凹部を設け、かつこの凹部に溝部を連通させることで、この部分に気泡を集めて、目立たなくできる。
【0028】
あるいは、溝部の一部をラベルからはみ出させることで、この部分から気泡をラベル貼付領域とラベルとの間の空間から排出することもできる。すなわち、ラベル貼付領域とラベルとの間は通常閉塞された空間となるが、溝部が一部分でもラベルと重ならないようにすることで、この閉塞空間を外部に連通して気泡を排出できる。例えば、ラベル貼付領域から溝部を延長したり、あるいはラベル貼付領域よりもラベルを小さくすることで、ラベルをラベル貼付領域に貼付した後も、すべての溝部を完全にラベルで覆うことなく、溝部の一部がラベルからはみ出るように、いいかえると溝部が部分的に外部に表出するようにできる。この結果、溝部を交差するように設けることで、すべての溝部が連通されていることから、溝部が表出した部分から外部に連通されることとなり、ここから気泡を外部に排出できるようになる。この構成であれば、気泡の噛み込みをさらに意識することなくラベルを貼付できるので、ラベルの貼付作業が一層容易となる。
【0029】
またケーシング31は、図7及び図8の分解斜視図に示すように上ケーシング31Aと下ケーシング31Bに二分割されている。ケーシング31の内部には収納空間を構成しており、ここに電池ホルダ70と保持凸部37を収納する。
(シート部材56)
【0030】
以上の電池ホルダ70は、図7の分解斜視図に示すように、ケーシング31内に収納される。電池ホルダ70と下ケーシング31Bとの間には、好ましくはシート部材56を介在させる。このシート部材56は、絶縁性と断熱性に優れた材質(例えばシリコーンなど)で形成される。またシート部材56にクッション性を持たせることで、外部からの衝撃を吸収、緩和できる効果も得られる。また電池ホルダとケーシング底面とのクリアランスの削減にも寄与できる。
(連結構造10)
【0031】
上ケーシングと下ケーシングとは、連結構造10により連結される。連結構造10としては、ねじや嵌合などが利用できる。ここでは、ねじによる螺合を連結構造10として利用している。電池パック内部は、意図しない改竄による事故等を防止するため、容易に解体できない構造とすることが望ましい。または、分解されたことを認識できるようにすることで、改竄された可能性を把握することが可能となる。このため、連結構造10を配置する連結穴11を、閉塞部材12で閉塞することで、外部から連結構造10を視認させず、解体を困難とする。さらに、閉塞部材12は連結穴11に圧入式として、一旦連結穴11に圧入されると、容易にここから抜き取れないようにし、さらに無理矢理抜き取ろうとすると、閉塞部材12等が破損するようにして、分解が行われたことを把握できるようになる。
【0032】
このような観点から、本発明者らは、閉塞部材を抜き取りにくくする構造を鋭意研究した結果、一旦連結穴に圧入された閉塞部材を抜き取ろうとする際の動作が、閉塞部材を連結穴の内部で傾けて、閉塞部材と連結穴との間に隙間を設け、ここにマイナスドライバのような平坦な部材を挿入して、てこの原理で閉塞部材を押し上げようとする動作であることを突き止めた。よって、このような動作を阻害するには、圧入された閉塞部材が連結穴の内部で容易に傾かないようにすれば効果的であることを見出し、そのような構成を備える閉塞部材の構造を開発したものである。
(閉塞部材12)
【0033】
以下、閉塞部材12を図11、図12に基づいて説明する。この例では、連結構造10を螺合とし、連結穴11に挿入する閉塞部材12を、ねじ穴に螺合したねじのねじ頭を被覆するキャップ状としている。この閉塞部材12は、ほぼ円筒状の筒状本体16と、その側面から突出する複数条の第一圧入部13と、筒状本体16の端面を構成する第二圧入部14とを備える。
【0034】
また閉塞部材12を圧入する連結穴11は円筒状とし、これに応じて閉塞部材12もほぼ円柱状に形成される。また閉塞部材12を連結穴11に圧入後、容易に抜け落ちないように、連結穴11は底面に向かって断面積が小さくなるテーパ状に形成される。そして第二圧入部14は、閉塞部材12が連結穴11に圧入された後、連結穴11から表出する蓋を構成するため、第二圧入部14は円盤状に形成され、さらに円盤状の第二圧入部14の外径は、閉塞部材12の圧入位置における連結穴11の内径とほぼ等しく構成する。
【0035】
この第二圧入部14は、円周方向に沿って鍔状に突出しており、一方複数条の第一圧入部13は、筒状本体16の中心軸に沿う方向に延長されている。このため第二圧入部14と第一圧入部13とは、交差する姿勢となる。また内面がテーパ状の連結穴11に挿入するため、図12に示すように第一圧入部13の突出高さは、第二圧入部14の突出高さよりも低く形成する。また、筒状本体自体を、連結穴11に挿入する先端側が細くなるようテーパ状に形成することもできる。この閉塞部材12は、樹脂などの可撓性を有する部材で一体成型により形成される。
【0036】
第一圧入部13は、円筒状本体の側面に沿ってほぼ等間隔で複数条、突出されており、連結穴11の内面に当接される。この結果、連結穴11に圧入された閉塞部材12は、図12に示すようにその上端を第二圧入部14の周囲で円環状に当接し、その下端を第一圧入部13の突出した下端でそれぞれ、複数箇所により当接することとなる。このため閉塞部材12は、上下の端縁で、円周方向に沿って確実に保持されて、連結穴11の内部で強固に固定され、容易に傾くことがない。このため、ユーザが閉塞部材12を連結穴11内部で斜めに傾けて抜き取ることが極めて困難となる。ユーザが無理矢理に閉塞部材12を抜き取ろうとしても、閉塞部材12を破損することとなるため、傷跡が残ることから、いずれにしても、ユーザによるケーシングの分解行為を判別し易くなり、改竄の有無を判定し易くできる。
【0037】
また第一圧入部13を確実に筒状本体16の周囲にて突出させるため、図11の例では、筒状本体16の側面であって、第二圧入部14側が円周方向に厚くなるよう補強部15を形成しており、この補強部15によって、各第一圧入部13がより強固に、筒状本体16の周囲から突出姿勢で固定される。一方で筒状本体16の下端面は、開口端として中空状に形成することで、樹脂製の閉塞部材12のひけを防止すると共に、第一圧入部13の塑性変形にも寄与することができ、閉塞部材12の圧入時の抵抗を低減できる。
【0038】
特に上述のように、第一圧入部13は円環状に突出させて、閉塞部材12外面と連結穴11内面との接触を連続的に線上に形成することができ、円周に沿って隙間無く連結穴11の開口を閉塞できることから、閉塞効果を高めてユーザが無理矢理こじ開けることを困難にする。その一方で、第二圧入部14はこれと交差する方向に、連結穴11の深さ方向に延長させることで、閉塞部材12を連結穴11に挿入する際の抵抗を低減して、筒状本体16を中空状にすることと相まって、スムーズに挿入し易くでき、圧入作業を容易にできる。
【0039】
さらに、第一圧入部13の上端を、第二圧入部14の側面と同一平面としつつ、連続的に下方に向かって先細りとなるように、第一圧入部13をテーパ状に形成してもよい。このようにすれば、閉塞部材12と連結穴内面との接触面積を点状から面状に拡げ、密着性を高めて異物の侵入やこじ開けを一層確実に阻止できる。
(フック開口窓24)
【0040】
上ケーシング31Aには、図4等に示すようにフック開口窓24を開口しており、ここから係止フック37bが表出される。係止フック37bは、電池パック30を電池パック用充電器に装着した状態で抜け落ちないよう保持するロック機構である。また、同様に係止フック37bは、電池パック30を電気機器に装着した状態で抜け落ちないよう保持するロック機構としても機能できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る電気機器は、電動工具用電池パックや、アシスト自転車、電動バイク、携帯電話等の携帯機器用の電池パック、充電器、その他のケーシングにラベルを貼付したものとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
7…ラベル
8…ラベル貼付領域;8B…外周平滑面領域
9…溝部
10…連結構造
11…連結穴
12…閉塞部材
13…第一圧入部
14…第二圧入部
15…補強部
16…筒状本体
24…フック開口窓
30…電池パック
31…ケーシング;31A…上ケーシング;31B…下ケーシング
33…外部接続端子
37…保持凸部;37b…係止フック
38…縦溝
39…二次電池
56…シート部材
70…電池ホルダ
80…電池リード板
90…ラベル被着面
91…外周平滑面
92…中央凹凸面
97…ラベル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納するケーシング(31)と、
前記ケーシングの表面に貼付されるラベル(7)と、
を備える電気機器であって、
前記ケーシングの表面に、前記ラベル(7)を貼付するラベル貼付領域(8)を設けると共に、
前記ラベル貼付領域(8)は、略平坦面とし、かつ該平坦面に、複数の溝部(9)を、該平坦面の全体にわたってほぼ均一に、かつ少なくとも一部が交差するように形成してなることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記複数の溝部(9)が、碁盤目状に、前記平坦面上に形成されてなることを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機器であって、
前記複数の溝部(9)の少なくとも一部が、前記ラベル(7)の貼付位置から外部に表出してなることを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記ケーシングが、上ケーシングと下ケーシングに分割されており、
前記上ケーシングと下ケーシングとを連結構造(10)により連結することで、前記ケーシングが構成されており、
さらに前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとを連結する連結構造(10)を挿入するための連結穴(11)を開口してなると共に、
前記連結穴(11)を閉塞する閉塞部材(12)を、該連結穴(11)に挿入可能にしており、
前記閉塞部材(12)が、
略円筒状の筒状本体(16)と、
前記筒状本体(16)の側面から突出すると共に、該筒状本体(16)の中心軸に沿う方向に延長された複数条の第一圧入部(13)と、
前記筒状本体(16)の側面から突出すると共に、該筒状本体(16)の円周方向に沿って前記第一圧入部(13)と交差するように形成された第二圧入部(14)と、
を備えてなり、
前記閉塞部材(12)を、前記連結穴(11)に挿入する際に、前記第一圧入部(13)及び前記第二圧入部(14)が、該連結穴(11)の内面に当接するよう構成してなることを特徴とする電気機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機器であって、
前記第一圧入部(13)が、前記第二圧入部(14)の側面から連続的に延長されてなることを特徴とする電気機器。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電気機器であって、
前記筒状本体(16)が、前記連結穴(11)に挿入する先端側が細くなるようテーパ状としてなることを特徴とする電気機器。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記筒状本体(16)が、前記第一圧入部(13)を設けた部位の内面において中空であることを特徴とする電気機器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記電気機器が電池パックであることを特徴とする電気機器。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記電気機器が充電器であることを特徴とする電気機器。
【請求項1】
電子部品を収納するケーシング(31)と、
前記ケーシングの表面に貼付されるラベル(7)と、
を備える電気機器であって、
前記ケーシングの表面に、前記ラベル(7)を貼付するラベル貼付領域(8)を設けると共に、
前記ラベル貼付領域(8)は、略平坦面とし、かつ該平坦面に、複数の溝部(9)を、該平坦面の全体にわたってほぼ均一に、かつ少なくとも一部が交差するように形成してなることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記複数の溝部(9)が、碁盤目状に、前記平坦面上に形成されてなることを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機器であって、
前記複数の溝部(9)の少なくとも一部が、前記ラベル(7)の貼付位置から外部に表出してなることを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記ケーシングが、上ケーシングと下ケーシングに分割されており、
前記上ケーシングと下ケーシングとを連結構造(10)により連結することで、前記ケーシングが構成されており、
さらに前記ケーシングは、上ケーシングと下ケーシングとを連結する連結構造(10)を挿入するための連結穴(11)を開口してなると共に、
前記連結穴(11)を閉塞する閉塞部材(12)を、該連結穴(11)に挿入可能にしており、
前記閉塞部材(12)が、
略円筒状の筒状本体(16)と、
前記筒状本体(16)の側面から突出すると共に、該筒状本体(16)の中心軸に沿う方向に延長された複数条の第一圧入部(13)と、
前記筒状本体(16)の側面から突出すると共に、該筒状本体(16)の円周方向に沿って前記第一圧入部(13)と交差するように形成された第二圧入部(14)と、
を備えてなり、
前記閉塞部材(12)を、前記連結穴(11)に挿入する際に、前記第一圧入部(13)及び前記第二圧入部(14)が、該連結穴(11)の内面に当接するよう構成してなることを特徴とする電気機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機器であって、
前記第一圧入部(13)が、前記第二圧入部(14)の側面から連続的に延長されてなることを特徴とする電気機器。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電気機器であって、
前記筒状本体(16)が、前記連結穴(11)に挿入する先端側が細くなるようテーパ状としてなることを特徴とする電気機器。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記筒状本体(16)が、前記第一圧入部(13)を設けた部位の内面において中空であることを特徴とする電気機器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記電気機器が電池パックであることを特徴とする電気機器。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一に記載の電気機器であって、
前記電気機器が充電器であることを特徴とする電気機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−43685(P2012−43685A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184810(P2010−184810)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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