説明

電気機器

【課題】防水性能の高い小型のコネクタ又はそれを備える電気機器を提供する。
【解決手段】本発明の電気機器は、筐体(50)内に収容された電気回路(140)と、前記筐体(50)の外側から前記電気回路(140)に電気的に接続される給電ケーブル(20)のコネクタ(100) と、を備える電気機器(200)であって、前記コネクタ(100)は、前記給電ケーブル(20)の先端に設けられた端子(21)と、締結方向が該給電ケーブル(20)の延出方向と異なるように配置されたねじ部品(40)と、を内蔵する弾性成型体(10)を備えており、前記ねじ部品(40)の締め付けにより、前記端子(21)が前記電気回路(140)に電気的に接続され且つ前記弾性成型体(10)が前記筐体(50)の外面に密着することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、より詳細には電気機器に接続される給電ケーブルのコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用する電気機器、例えば街路灯等に給電ケーブルを接続する場合、そのコネクタには高い防水性能が要求される。現在、このような防水コネクタとして、例えば特許文献1に記載されているように、雄端子を有するプラグと、この雄端子が差し込まれケーブルの導体に接合された雌端子を有するリセプタクルと、の対からなることを前提とするものが一般的に使用されている。また、コネクタを使用せず、ケーブルグランド(例えば特許文献2参照)を用いて、電気機器からケーブルを引き出したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−048473号公報
【特許文献2】特開平6−178430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような防水コネクタは、構造が複雑なためコネクタ自体が大きくなり、また結合方向に長尺な形状なので、電気機器の筐体から大きく突出する欠点がある。また、ケーブルグランドを使用する場合には、電気機器とケーブルが一体になって、電気機器が全体として大型化してしまう。
【0005】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、防水性能の高い小型のコネクタ又はそれを備える電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気機器は、筐体内に収容された電気回路と、前記筐体の外側から前記電気回路に電気的に接続される給電ケーブルのコネクタと、を備える電気機器であって、前記コネクタは、前記給電ケーブルの先端に設けられた端子と、締結方向が該給電ケーブルの延出方向と異なるように配置されたねじ部品と、を内蔵する弾性成型体を備えており、前記ねじ部品の締め付けにより、前記端子が前記電気回路に電気的に接続され且つ前記弾性成型体が前記筐体の外面に密着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型で、簡易な構成でありながら、防水性能の高いコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電気機器の外観を示す概略斜視図(a)と、それを分解して各構成を示す概略斜視図(b)である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る電気機器のコネクタの結合構造を拡大して示す概略断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るコネクタの上面を示す概略平面図(a)とそのA−A断面を示す概略断面図(d)及びB−B断面を示す概略断面図(e)と、同コネクタの下面を示す概略平面図(b)及びそのC−C断面を示す概略断面図(f)と、配線ケーブルの先端部を示す概略平面図(c)である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るコネクタの結合について説明する概略断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るコネクタの変形例の上面を示す概略平面図(a)とそのF−F断面を拡大して示す概略断面図(c)と、同コネクタの下面を示す概略平面図(b)とそのG−G断面を拡大して示す概略断面図(d)と、同コネクタの結合について説明する概略断面図(e)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明するコネクタ及び電気機器は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに限定しない。特に、以下に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また以下、電気機器は、主に発光装置をその一例として説明するが、この限りではない。
【0010】
<実施の形態1>
図1(a)は、実施の形態1に係る電気機器の外観を示す概略斜視図であって、図1(b)は、それを分解して各構成を示す概略斜視図である。また、図2は、実施の形態1に係る電気機器のコネクタの結合構造を拡大して示す概略断面図である。図1,2に示すように、実施の形態1の電気機器200は、筐体50とその筐体内に収容され該機器の主要な機能を持つ電気回路140を備える機器本体150と、筐体50の外側から該電気回路140に電気的に接続される給電ケーブル20のコネクタ100と、を備えている。より詳細には、電気機器200は、その筐体50内に、回路基板60と、この回路基板上に実装される光源70と、による電気回路140を備えた発光装置である。筐体50の背面側には開口部が設けられており、その開口部に、電気回路140に電気的に接続され且つ筐体50の外側に突出する導電性部材30が設けられている。そして、コネクタ100は、内蔵するねじ部品40が該ねじ部品40と対を成す機器本体150側に設けられたねじ部品と結合されて機器本体150に締結され、導電性部材30に電気的に接続される。
【0011】
図3(a)及び(b)は、実施の形態1に係るコネクタの上面及び下面を各々示す概略平面図であり、図3(c)は、配線ケーブルの先端部を示す概略平面図である。また、図3(d)は、図3(a)のA−A断面を示す概略断面図であり、図3(e)は、図3(a)のB−B断面を拡大して示す概略断面図であって、図3(f)は、図3(b)のC−C断面を拡大して示す概略断面図である。図3に示すように、コネクタ100は、給電ケーブル20の先端部に設けられる弾性成型体10を備えている。この弾性成型体10は、給電ケーブル20の先端に設けられた端子21と、締結方向が該給電ケーブル20の延出方向と異なるように、最も好ましくは該延出方向に略垂直になるように配置されたねじ部品40と、を内蔵している。なお、弾性成型体10における筐体50の外面に対向する面を下面とし、その反対側の面を上面とする。また、給電ケーブル20の「延出方向」とは、給電ケーブル20が弾性成型体10から延出する方向を意味する。
【0012】
図4は、実施の形態1に係るコネクタの結合について説明する概略断面図である。図4に示すように、ねじ部品40を締め付けることにより、図中点線で示す領域Eにおいて、給電ケーブルの端子21が導電性部材30に当接し、電気回路140と給電ケーブル20が電気的に接続される。加えて、ねじ部品40による押圧力は、弾性成型体10の下面に伝達され、図中破線で示す領域Sにおいて、弾性成型体10は、筐体50の外面に押し付けられ、その弾性により撓んで筐体50の外面に密着する。このように、ねじ部品40の締め付けにより、電気回路140と給電ケーブル20との電気的接続と、コネクタ100内への水分の浸入抑制と、を同時に行うことができる。また、このコネクタ100は、給電ケーブルの端子21と電気回路140の電気的接続と、ねじ部品40による機器本体150への締結と、が離間して成される構造であってもよいが、本例のように略同一箇所でなされる構造であれば、その接続点と接続に要する部品点数を削減することができ、精度の良い電気的接続と高い防水性能を実現することができる。このようなコネクタ100は、簡易な構成でありながら高い防水性能を備え、従来のコネクタに比して小型に形成することができる。さらに、給電ケーブル20がねじ部品40の締結方向つまりねじ部品40の中心軸と異なる方向に引き出されるため、筐体50のどの面に接続されても、コネクタ100や給電ケーブル20の機器本体150からの突出量を小さくすることができる。なお、このとき、給電ケーブル20は、弾性成型体10の最上位点よりも上方に越えないように延出することが好ましく、具体例としては、弾性成型体10の側面から延出することが好ましい。
【0013】
以下、実施の形態1のコネクタ100の構造について、図3を参照して詳述する。
【0014】
実施の形態1のコネクタ100の弾性成型体10は、上面から下面まで貫通する貫通穴11を有している。この貫通穴11は、ねじ部品40を収容可能な第1の凹部12を上面側に含んでいる。この「ねじ部品40を収容可能」とは、ねじ部品40の少なくとも一部を収容可能であればよく、より詳細には、ねじ部品40が雄ねじ部品である場合にはその頭部を、ねじ部品40が雌ねじ部品である場合にはその雌ねじ部品を収容可能であればよい。貫通穴11の平面形状は、矩形や多角形でもよいが、円形であることが好ましい。また、弾性成型体10は、貫通穴11内に給電ケーブルの端子21を保持している。さらに、弾性成型体10は、第1の凹部12に嵌合する蓋16を有しており、この蓋16により第1の凹部12を上面側から密閉することができる。このような構成によれば、弾性成型体10の上面側つまり筐体50の外側からねじ部品40を用いてコネクタ100を機器本体150に接続でき、また着脱しやすいので、電気機器の設置作業性が良い。
【0015】
また、弾性成型体10の貫通穴11は、下面側に設けられた第2の凹部13を含んでもよい。これにより、貫通穴11は、第1の凹部12と第2の凹部13の間に、両凹部より径の小さい括れ部14を有することになる。言い換えれば、弾性成型体10は、第1の凹部12と第2の凹部13の間に、括れ部14を開口とする環状の突起15を有する。そして、弾性成型体10は、第2の凹部13に給電ケーブルの端子21を保持しており、筐体50の外側に突出する導電性部材30が第2の凹部13に挿入され端子21と電気的に接続される。したがって、給電ケーブルの端子21は、弾性成型体10の環状の突起15より内側(筐体50側)に位置しており、この環状の突起15が防壁となって、給電ケーブル20と導電性部材30の電気的接続領域に水分が浸入することを抑制しやすい。さらに、給電ケーブルの端子21が第2の凹部13に保持されることにより、第1の凹部12の底面にねじ部品40の座面を当接させ、括れ部14を第1の凹部12側から精度良く密閉することができるので、水分の浸入を抑制しやすい。なお、第2の凹部13の深さは、筐体50の外面からの導電性部材30の突出量と、端子21の厚さと、を加味して、端子21が導電性部材30に当接し且つ弾性成型体10が筐体50の外面に密着可能なように設計されることが好ましい。また、第1の凹部12の底面すなわち環状の突起15の上面は、括れ部14を囲む凸部を有してもよく、ねじ部品40の押圧力によって、この凸部が潰れることで、括れ部14をより精度良く密閉することができる。この凸部は、後述の弾性成型体10の下面に設けられる凸部17と同様の構成であってよい。
【0016】
なお、第2の凹部13の径Dは、第1の凹部12の径Dより小さいことが好ましい。これにより、ねじ部品40の座面から掛かる押圧力が括れ部14に集中せずに弾性成型体10の下面に効率良く伝達され、弾性成型体10を筐体50の外面に密着させやすい。さらに、両凹部12,13の中心軸が略一致しているとなお良い。なお、弾性成型体10の下面における貫通穴11の径又は第2の凹部13の径Dは、筐体50の開口部の径以上であることが好ましい。
【0017】
弾性成型体10は、第1の凹部12と第2の凹部13の間に、該弾性成型体10を構成する材料より硬度の高い材料で形成された補強部材18を保持していることが好ましい。第2の凹部13に保持される端子21は、弾性成型体10の環状の突起15を介してねじ部品40により押圧されるため、このような補強部材18を介することで、端子21に押圧力が効率良く伝達され、端子21を導電性部材30に当接させやすくすることができる。また、この補強部材18は、端子21及びねじ部品40に当接するように設けられた金属部材であることが好ましい。補強部材18が導電性を有する金属部材であることで、端子21は、この補強部材18やねじ部品40とも電気的に接続されるため、導電性部材30との電気的接続が安定し、電気抵抗を低減することができる。
【0018】
また、給電ケーブルの端子21が圧着端子である場合、弾性成型体10は、端子21の周縁部を被覆していることが好ましい。これにより、弾性成型体10内に張り出した端子21の周縁部が、ねじ部品40による押圧力の弾性成型体10の下面への伝達を補助し、弾性成型体10を筐体50の外面に密着させやすい。加えて、水分による端子21の腐食を抑制することができる。
【0019】
弾性成型体10は、その下面に貫通穴11を囲む凸部17を有することが好ましい。これにより、ねじ部品40の押圧力が凸部17に局所的に掛かり、この凸部17が潰れて筐体50の外面に密着することで、高い防水性能を確保することができる。凸部17の平面形状は、多角形の環状でもよいが、各部位に略均等に押圧力が掛かりやすい、円環状であることが好ましい。凸部17の断面形状は、筐体50の外面と線状に接しやすい、円弧状であることが好ましい。また、弾性成型体10の硬度(JIS規格K6253)は、成型性の観点で40°以上80°以下が好適であり、その硬度において、凸部17の潰ししろが弾性成型体10のねじ部品40の座面(本例では第1の凹部12の底面)と下面との間の肉厚の2%以上であることが好ましい。一方で、凸部17の突出量pや幅wが大きくなり過ぎると、凸部17が筐体50の外面と面状に接しやすくなって、凸部17に掛かる押圧力にムラを生じやすい。このため、凸部17の突出量pは0.2mm以上2mm以下であることが好ましく、凸部17の幅wは0.3mm以上3mm以下であることが好ましい。また、凸部17は、ねじ部品40による押圧力が掛かりやすい、貫通穴11の近傍、例えば貫通穴からの距離が0mm以上5mm以下に設けられることが好ましい。
【0020】
弾性成型体10は、給電ケーブル20の外被と同じ材料で形成されていることが好ましい。これにより、弾性成型体10と給電ケーブル20の外被が成型時に融合して、接合界面が生じにくく、コネクタ100の防水性能を高めることができる。
【0021】
給電ケーブル20は、通常、複数の電線を含んでおり、端子21はその各電線に対応して複数設けられ、さらに導電性部材30もそれに対応して複数設けられる。したがって、弾性成型体10の貫通穴11は、各端子21に対応して複数設けられることが好ましい。特に、貫通穴11は、少なくともその上面側が密閉された状態において互いに離間されるように設けられていることが好ましい。これにより、水分が万一貫通穴11内に浸入したとしても、電線同士が短絡することを抑制することができる。
【0022】
図5(a)及び(b)は、実施の形態1に係るコネクタの変形例の上面及び下面を各々示す概略平面図であり、図5(c)は、図5(a)のF−F断面を拡大して示す概略断面図であり、図5(d)は、図5(b)のG−G断面を拡大して示す概略断面図であり、図5(e)は、同コネクタの結合について説明する概略断面図である。図5に示す例のコネクタ110は、弾性成型体10に、貫通穴11及び蓋16を有しておらず、下面側から設けられた凹部(第3の凹部)111を有している。この凹部111は、上方に、ねじ部品40を収容可能な幅広の収容部112を有している。この収容部112の内面は、ねじ部品40と離間していてもよいが、ねじ部品40上に直接弾性成型体10を成型する等して、ねじ部品40に密着して設けられていると、ねじ部品40を締め付けやすく好ましい。このコネクタ110は、ねじ部品40と対を成すねじ部品を用いて、筐体50の内側からねじ部品40を締め付けることにより、機器本体150に接続される。また、給電ケーブルの端子21は、収容部112内のねじ部品40の下に保持されており、ねじ部品40が導電性を有する場合には、端子21と導電性部材30は、互いに当接せずともねじ部品40を介して電気的に接続可能である。このようなコネクタであれば、上面側が元々密閉されているため、水分の浸入経路が更に限定され、防水性能を高めることができる。なお、本例のコネクタ110において、筐体50の外側からねじ部品40を締め付け可能なように、弾性成型体の凹部111を上述の貫通穴11とし、蓋16を付設した構成とすることもできる。
【0023】
以下、本発明の電気機器の各構成要素について詳述する。
(弾性成型体)
弾性成型体10は、給電ケーブル20の先端部を被覆する、弾性を有する成型体である。弾性成型体10は、給電ケーブル20の先端に端子21が設けられた後、その上から給電ケーブル20の外被の一部を被覆するように成型される。或いは、給電ケーブル20の外被と同時に成型されてもよい。蓋16は、その際一体成型されることが好ましいが、別途作製されたものが付加されてもよい。弾性成型体10は、下記給電ケーブル20の外被と同様のゴムや樹脂で形成できる。弾性成型体10は、直方体状や円柱状、それらの側面が傾斜した錐台状など種々の形状であってよいが、下面は、筐体50の外面の形状に略沿っていることが好ましく、例えば平坦(凸部17は除く)であることが好ましい。
【0024】
(給電ケーブル)
給電ケーブル20は、キャプタイヤーケーブルなど、導体と該導体を被覆する絶縁体からなる絶縁電線と、さらにそれを被覆する外被(シース)で構成されているものが好ましい。導体は、銅線が好ましい。絶縁体及び外被の材質は、エチレンプロピレンゴムが最も好ましいが、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等でもよい。端子21は、圧着端子(裸圧着端子)が好ましい。圧着端子は、丸形(R形)が好ましいが、先開形(Y形)でもよい。端子21の材質は、黄銅が好ましいが、銅(無酸素銅)や黄銅以外の銅合金でもよい。
【0025】
(導電性部材)
導電性部材30は、導電性を有し、電気回路140に電気的に接続され、コネクタ100,110と接続可能なように筐体50の開口部に露出されていればよく、その形状は柱状のほか板状やブロック状等でもよく、筐体外に突出せずに筐体50内に設けられてもよい。導電性部材30は、ねじ部品40と対を成すねじ穴(雌ねじ)や雄ねじを有するものが好ましく、ねじ部品そのものでもよい。導電性部材30は、樹脂やゴム等の絶縁性部材(本例では端子台35)を介して筐体50の開口部に固定されることが好ましい。導電性部材30の材質は、黄銅が好ましいが、銅(無酸素銅)や黄銅以外の銅合金、ステンレス鋼でもよい。端子21、導電性部材30及びねじ部品40の表面処理は、錫メッキが好ましいが、金メッキ,銀メッキ,ニッケルメッキでもよい。特に、端子21と導電性部材30の表面処理は、同じであることが好ましい。
【0026】
(ねじ部品)
ねじ部品40は、雄ねじ部品又は雌ねじ部品を用いることができる。雄ねじ部品は、頭部と、ねじ山が刻まれた円筒状の軸(雄ねじ)と、を有するものであればよい。頭部形状は、なべ(平)皿、丸皿、トラス、低頭のいずれでもよく、頭部頂面の穴は、十字穴、すりわり(マイナス)、六角穴のいずれでもよい。雌ねじ部品は、ねじ山が刻まれた開口部(雌ねじ)を中央に有するものであればよく、六角ナットのほか、回すための工具が挿入される穴や溝を有する丸ナットでもよい。ねじ部品40は、ステンレス鋼、ニッケルクロム鋼等の金属製が好ましいが、樹脂製でもよい。また適宜、平座金やばね座金を介してもよい。
【0027】
(筐体)
筐体50は、機器本体150の外装の少なくとも一部を構成し、電気回路140を収容する箱状の容器であればよい。筐体50は、熱伝導性に優れた材料により構成されることが好ましい。例えば金属板、より詳細にはアルミニウム合金やステンレス鋼、鉄、銅等の金属材料を板金加工したものや、アルミニウム合金を押し出し加工又は鋳造成型したものに塗装やアルマイト処理を施したもの等が挙げられる。樹脂製でもよい。また筐体50は、放熱性を高めるため、外面に多数の突起(フィン)が設けられてもよい。
【0028】
(回路基板)
回路基板60は、筐体50内に収容される電気回路140を構成する主要な要素であり、回路基板60だけで電気回路140が構成されてもよい。回路基板60は、抵抗器やコンデンサ等の電子部品とその部品間を接続する配線を有するものであればよく、その回路は電気機器の機能に応じて適宜設計される。回路基板60は、機械的強度及び熱伝導性が高く、熱変形の少ない材料で形成されることが好ましく、具体的にはアルミニウム合金、セラミック、ガラスエポキシ、ガラス等の基板が好適に利用できる。
【0029】
(光源)
光源70は、発光ダイオード(LED)素子やレーザダイオード素子等の半導体発光素子、有機EL素子などの発光素子をそのまま使用してもよいし、このような発光素子が樹脂やセラミックのパッケージ基体又はリードフレームに固定され樹脂やガラスで被覆された表面実装型(SMD)又は砲弾型(ランプタイプ)の発光装置でもよい。また、そのパッケージ基体や被覆部材は、波長変換部材(蛍光体)や光拡散部材を含有してもよい。さらに、発光色の異なる複数の発光素子を組み合わせてもよい。光源70は、Ag,Au,Sn等の導電性の接合部材により回路基板60の配線と電気的に接続される。このほか、光源70は、放電ランプや白熱電球でもよい。
【実施例】
【0030】
<実施例1>
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0031】
実施例1の電気機器は、実施の形態1に係る発光装置200の一例であって、例えば看板照明として利用されるものである。筐体50は、塗装処理されたアルミニウム合金(ADC12)製で、幅約346mm×高さ約58mm×奥行き約42mm、平均肉厚約2mmの前方が開口した箱状の鋳造品である。筐体50は、その背壁内面から延出する、略中心にM3のねじ穴付きの長さ約41.8mmの円柱状の突起を2つ有している。また、筐体50は、背壁から前方に向かって、その上壁が約8°外側に傾斜し、下壁及び左右側壁が約2°外側に傾斜している。さらに、筐体50の前方の開口の外周部には、カバー部材の一部と嵌合する凹部が設けられている。カバー部材は、透光性のアクリル樹脂製で、幅約340mm×高さ約52mm、厚さ約2.0mmの板状部と、その外周部に断面L字状の鍔部(奥行き約6mm、鍔突出量約1mm)と、を有している。また、カバー部材の前面には、筐体50の突起と一致する箇所に直径約3.5mmの貫通穴が設けられている。そして、カバー部材は、その鍔部が筐体50の凹部内に幅約5.2mm、厚さ約1.5mmの矩形枠体状(全幅約340mm×約53mm)のゴムパッキンを介して嵌め込まれ、貫通穴を通してねじで筐体50の突起に固定される。以上のようにして、機器本体150の外装が構成される。なお、筐体50の上壁の外面には、この機器本体150を外部に取り付けるため、筐体50と同じ材質で形成された、角度調整機構付きの取り付け部材が設けられている。
【0032】
筐体50内には、主として、光源70と、該光源が実装される回路基板60と、該回路基板上に設置される光反射体と、が収容されている。回路基板60は、幅約320mm×奥行き約28mm、厚さ約1.6mmのアルミ基板である。回路基板60の上面の配線には、6個の光源70が約53mm間隔で幅方向に配列され実装されている。この光源70は、窒化物半導体のLED素子が、樹脂パッケージ基体の凹部内に固定され、YAGの蛍光体を含有する樹脂で被覆された、白色発光可能な表面実装型LEDである。また、回路基板60の上面には、幅約160mm、高さ約34mm、厚さ約2mmの黒色のポリカーボネート樹脂の成型体である光反射体が幅方向に2つ設置されている。1つの光反射体は、各LED70の上方及び左右側方を覆う四半球状の反射鏡部を3つ有しており、この反射鏡部の内面にはアルミニウム合金の膜が蒸着されている。回路基板60は、その上面に、配線に接続されたコネクタを有し、このコネクタに、一端に圧着端子を有するケーブルハーネス(不図示)の他端のコネクタが結合されている。ケーブルハーネスの圧着端子は、端子台35に設けられた導電性部材30に平座金を介して雄ねじ部品で固定されている。この導電性部材30は、両端にM3のねじ穴を有する外径約5.2mm、長さ約13mmの黄銅製で錫メッキの表面処理が施された六角柱である。筐体50は、その背面に径が約7.6mmの開口部を有しており、この開口部に端子台35が嵌合し保持され、導電性部材30は筐体50から外側に約10mm突出している。
【0033】
給電ケーブル20は、エチレンプロピレンゴム製の外被の直径が約9mmで、銅線がエチレンプロピレンゴムで被覆された絶縁電線を2本含み、各絶縁電線の先端には、外径約11.6mm、開口径5.3mm、厚さ約0.5mm、黄銅製で錫メッキの表面処理が施された丸形の圧着端子である端子21が設けられている。この給電ケーブル20の先端部には、弾性成型体10を備えるコネクタ100が設けられている。この弾性成型体10は、エチレンプロピレンゴム製で、コネクタ100の本体となる、幅約30mm、長さ約53mm、厚さ20.5mm(凸部17は除く)の略直方体の部分を有し、さらにその側面から延出する給電ケーブル20を、最大厚約2mmから徐々に薄くなりながら25mm以上被覆している。弾性成型体10は、上面から下面まで貫通する、平面形状が略円形の貫通穴11を2つ有している。この貫通穴11は、上面側に直径約9mm、深さ約8mmの第1の凹部12と、下面側に直径約8mm、深さ約10.2mmの第2の凹部13を含んでいる。括れ部14は、直径約6.2mm、長さ約2mmで、その内側に肉厚約1mm、長さ約2mmの黄銅製で錫メッキの表面処理が施された円環状の補強部材18が保持されている。第2の凹部13の底面には、端子21が保持されており、端子21の周縁部(幅約1.85mm)は弾性成型体10に被覆されている。弾性成型体10の下面には、各貫通穴11を囲むように、表面の断面形状が円弧状で平面形状が円環状である、突出量pが約0.3mm、幅wが約1.5mmの凸部17が貫通穴11に略密接して設けられている。なお、第1の凹部12の底面にも、突出量約0.15mm、幅0.5mmの同様形状の凸部が設けられている。また、弾性成型体10には、外径約9mm、開口径約6mm、深さ4mm、厚さ約5.5mmの蓋16が一体成型されている。この蓋16の外側面には、第1の凹部12の内側面に形成された環状の溝と嵌合する、突出量0.3mm、幅1.5mmの凸部が設けられている。そして、第2の凹部13に導電性部材30の突出部が挿入され、該導電性部材30に第1の凹部12側からM3の雄ねじ部品40でコネクタ100が結合されることによって、弾性成型体10の凸部17が筐体50の外面に密着し、さらに第1の凹部12が蓋16により密閉されて、弾性成型体10内に端子21とねじ部品40が内蔵される。
【0034】
以上のようにして、高い防水性能を備えた小型のコネクタにより、屋外においても設置しやすく安定した動作が可能な電気機器とすることができる。また、本実施例のように、光源にLEDを用いた発光装置は、従来の放電ランプ等を使用したものに比べて機器本体を小型に形成できるため、本発明のコネクタが特に好適となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のコネクタは、屋外に設置される電気機器、例えば看板照明、壁面照明、街路灯、防犯灯、道路灯、トンネル灯、屋外投光機、漁灯、航空障害灯、信号機等に好適に利用することができ、また自動車の電気系統の接続や配電盤など温度変化の激しい環境下で使用される電気機器の配線にも利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…弾性成型体(11…貫通穴(12…第1の凹部,13…第2の凹部,14…括れ部),15…環状の突起,16…蓋,17…凸部,111…凹部(第3の凹部),112…収容部)、18…補強部材、20…給電ケーブル(21…端子)、30…導電性部材、35…端子台、40…ねじ部品、50…筐体、60…回路基板、70…光源、100,110…コネクタ、140…電気回路、150…機器本体、200…電気機器(発光装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収容された電気回路と、前記筐体の外側から前記電気回路に電気的に接続される給電ケーブルのコネクタと、を備える電気機器であって、
前記コネクタは、前記給電ケーブルの先端に設けられた端子と、締結方向が該給電ケーブルの延出方向と異なるように配置されたねじ部品と、を内蔵する弾性成型体を備えており、
前記ねじ部品の締め付けにより、前記端子が前記電気回路に電気的に接続され且つ前記弾性成型体が前記筐体の外面に密着する電気機器。
【請求項2】
前記弾性成型体は、前記ねじ部品を収容可能な第1の凹部を上面側に含み下面まで貫通する貫通穴と、前記第1の凹部に嵌合する蓋と、を有し、前記貫通穴内に前記端子を保持している請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記電気機器は、前記電気回路に電気的に接続され前記筐体の外側に突出する導電性部材を備え、
前記貫通穴は、前記下面側に前記導電性部材が挿入される第2の凹部を含み、該第2の凹部に前記端子が保持されている請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記第2の凹部の径は、前記第1の凹部の径より小さい請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記弾性成型体は、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間に、該弾性成型体を構成する材料より硬度の高い材料で形成された補強部材を保持している請求項3又は4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記端子は、圧着端子であって、
前記弾性成型体は、前記端子の周縁部を被覆している請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記弾性成型体は、前記下面に前記貫通穴を囲む凸部を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項8】
前記弾性成型体は、前記給電ケーブルの外被と同じ材料で形成されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54022(P2012−54022A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194056(P2010−194056)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】