説明

電気泳動表示装置およびその駆動方法、電子機器

【課題】本発明は、電気泳動粒子の移動を制御することによって、明度、彩度、色相の3つまたは少なくとも1つを制御することができ、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置およびその駆動方法、電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置は、第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入された粒子とを有する電気泳動層と、第1基板の電気泳動層側に画素ごとに島状に形成され、互いに独立に駆動される第1電極と、第2基板の電気泳動層側に形成され第1電極よりも広い面積の第2電極と、第1電極に接続されるトランジスタと、第1電極が存在しない第1のトランジスタのドレイン電極上の少なくとも一部に配置される第1制御電極と、を備え、第1制御電極には帯電した粒子をはじく電位が印加される構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置およびその駆動方法、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーなどの表示部として、電気泳動表示装置が用いられるようになっている。電気泳動表示装置は、液相分散媒(分散媒)に複数の電気泳動粒子が分散された電気泳動分散液を有する構成になっている。電気泳動表示装置は、電界を印加することで電気泳動粒子の分布状態が変化し、電気泳動分散液の光学特性が変化することを表示に利用した装置である。
このような電気泳動表示装置において、下記特許文献1〜3に記載されているような3粒子を用いたカラー電気泳動表示装置の概念が提案されている。これらには、電荷が正に帯電した粒子、負に帯電した粒子、無帯電の粒子の3粒子が3つの電極を用いて駆動されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−9092号公報
【特許文献2】特開2007−98382号公報
【特許文献3】特開2003−186065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献では、カラー電気泳動表示装置を実現するために1つのサブ画素における明度および彩度の制御性に課題があり、フルカラー表示を行うことが困難である。カラー電気泳動表示装置において、明度、彩度、色相の3つまたは少なくとも1つをアナログ的に制御する方法が提案されていない。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、電気泳動粒子の移動を制御することによって、明度、彩度、色相の3つまたは少なくとも1つを制御することができ、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置および電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、電気泳動粒子の移動を制御することによって、明度、彩度、色相の3つまたは少なくとも1つを制御することができ、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置およびその駆動方法、電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気泳動表示装置は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板と、前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入されたプラス又はマイナスに帯電した粒子とを有する電気泳動層と、前記第1基板の前記電気泳動層側に画素ごとに島状に形成され、互いに独立に駆動される第1電極と、前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極よりも広い面積の第2電極と、前記第1電極に接続されるトランジスタと、第1の前記トランジスタのドレイン電極上のうち前記第1電極が存在しない領域の少なくとも一部に配置される第1制御電極と、を備え、前記第1制御電極には前記粒子をはじく電位が印加されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1電極が存在しない第1のトランジスタのドレイン電極上のうち前記第1電極が存在しない領域の少なくとも一部に第1制御電極が配置されており、この第1制御電極には正負のいずれかに帯電した粒子をはじく(斥ける)電位が印加されることで、第1制御電極を設けて第1電極がない領域における電位が制御される。これにより、該領域に正負のいずれかに帯電した粒子が滞留することが防止されて安定した表示が行える。
【0009】
また、前記粒子をはじく電位が、前記第2電極の電位と同電位、前記第1電極の電位と同電位、又は前記第1電極の電位と前記第2電極の電位との間の電位であることが好ましい。
本発明によれば、前記粒子をはじく電位が、第2電極の電位と同電位、第1電極の電位と同電位、又は第1電極の電位と第2電極の電位との間の電位とされることにより、第1制御電極上の粒子を効率よくはじくことができる。
【0010】
また、前記第1制御電極が、前記第1電極が形成された層と第1の前記トランジスタのドレイン電極が形成された層との間に配置されていることが好ましい。
【0011】
第1電極と同じ層に第1制御電極が形成された場合は第1電極との短絡が心配されるが、本発明では第1電極とは異なる層に配置されていることから、ショート不良の発生を防止することができる。
【0012】
また、前記第1制御電極が、前記第1電極が形成された層と同じ層に形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、第1制御電極と第1電極とが同一層に形成されていることから、これら両電極を同じ材料を用いて同一工程にて形成することができる。これにより、第1制御電極を形成する工程を新たに追加することなく容易に製造することが可能となる。
【0014】
また、前記第1制御電極には前記第1電極と対向する位置に、前記第1電極の面積よりも大きい面積を有する開口が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、平面視において第1電極の周囲に第1制御電極を配置することが可能である。また、第1制御電極と第1電極とが同一層に形成された場合でもこれら第1制御電極と第1電極との絶縁性を確保され、ショート不良の発生を防止することができる。
【0015】
また、前記開口が前記第1電極の平面視における形状と相似形状を呈することが好ましい。
【0016】
本発明によれば、第1制御電極と第1電極との絶縁性を確保しつつ第1制御電極によってより多くのドレイン電極を覆うことが可能となる。これにより、ドレイン電極上が第1制御電極によってシールドされるため、データ電圧が電気泳動材料に直接印加されてその電圧により表示に影響が及ぶことが防止される。よって、良好な表示を安定して得られることになる。
【0017】
また、複数の前記第1電極どうしは、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された第1接続電極により相互に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、複数の前記第1電極どうしは、第1電極より第1基板側の層に形成された第1接続電極により相互に接続されていることから、複数の第1電極に一括して同電圧を印加することが可能となり、制御が容易になる。
【0018】
また、前記第1基板の前記電気泳動層側に前記画素ごとに形成され、前記第1電極とは独立に駆動される第3電極と、前記第3電極に接続される第2の前記トランジスタと、を有することが好ましい。
【0019】
本発明によれば、第1電極および第3電極に異なる電圧を印加ことにより、互いに異なる極性に帯電した粒子どうしや、正負のいずれかに帯電した粒子の第2電極上における2次元あるいは3次元の分布を制御することができる。
【0020】
また、第2の前記トランジスタのドレイン電極上のうち前記第3電極が存在しない領域の少なくとも一部に第2制御電極が配置されていることが好ましい。
【0021】
本発明によれば、第2の前記トランジスタのドレイン電極上のうち第3電極が存在しない領域の少なくとも一部に第2制御電極が配置されていることから、第1制御電極と第2制御電極とを独立に駆動できるため、1フレーム内で同時に2つの粒子を移動させることが可能となる。
【0022】
また、複数の前記第1電極どうしは、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された第1接続電極により相互に接続されており、複数の前記第3電極どうしは、前記第3電極より前記第1基板側の層に形成された第2接続電極により相互に接続されていることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、複数の第1電極あるいは複数の第3電極に対して同時に同じ電位を印加することができるので、制御が容易に行える。
【0024】
また、第1の走査線、第2の走査線、第1のデータ線、第2のデータ線を有し、前記画素には、前記第1の走査線、前記第1のデータ線に接続された第1の前記トランジスタと、前記第2の走査線、前記第2のデータ線に接続された第2の前記トランジスタとが配置され、前記第1制御電極は、前記第1のトランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成され、前記第2制御電極は、前記第2のトランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることが好ましい。
【0025】
本発明によれば、第1制御電極と第2制御電極とによって各トランジスタのドレイン電極上をシールドすることが可能となり、データ電圧が電気泳動層に直接印加されることが防止され、表示に影響が及ぶことが防止される。これにより、良好な表示を安定して得られることになる。
【0026】
また、前記分散媒中にプラスに帯電した第1の前記粒子とマイナスに帯電した、前記第1の粒子とは異なる色の第2の前記粒子とが混在されていることが好ましい。
【0027】
本発明によれば、分散媒と粒子の色の組み合わせによってフルカラー表示が行える。
【0028】
本発明の電気泳動表示装置の駆動方法は、第1基板および第2基板と、前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入されたプラス又はマイナスに帯電した粒子とを有する電気泳動層と、前記第1基板の前記電気泳動層側に画素ごとに島状に形成され、互いに独立に駆動される第1電極と、前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極よりも広い面積の第2電極と、前記第1電極に接続されるトランジスタと、を備え、第1の前記トランジスタのドレイン電極上のうち前記第1電極が存在しない領域の少なくとも一部に第1制御電極が配置されており、前記第2電極側から前記電気泳動層を見たときに視認される前記粒子の面積により階調を制御する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記第1電極および前記第2電極に対して前記粒子を前記第1電極側に引き寄せる第1の動作と、前記第1電極および前記第2電極に対して前記粒子を前記第2電極側に引き寄せる第2の動作と、を備え、
前記第1および前記第2の動作において、前記第1制御電極に帯電した前記粒子をはじく電位を印加することが好ましい。
【0029】
本発明によれば、正負のいずれかに帯電した粒子を移動させる際に、第1制御電極に帯電した粒子をはじく電位を印加することによって第1電極あるいは第2電極側に粒子をスムーズに移動させることができ、第1基板上に粒子が滞留するのを防止することが可能である。
【0030】
また、前記第1制御電極を前記第2電極の電位と同電位、前記第1電極の電位と同電位、又は前記第1電極の電位と前記第2電極の電位との間の電位にすることが好ましい。
【0031】
本発明によれば、第1制御電極を前記第2電極の電位と同電位、第1電極の電位と同電位、又は第1電極の電位と第2電極の電位との間の電位とされることにより、第1制御電極側に粒子が飛来することを防ぐことができ、正負のいずれかに帯電した粒子を第1制御電極上から効率よくはじくことができる。
【0032】
また、帯電した前記粒子の前記第2基板側における2次元あるいは3次元的な分布を前記第1電極、前記第2電極に印加する電圧の大きさおよび印加時間によって制御することが好ましい。
【0033】
本発明によれば、粒子の第2基板(第2電極)側における2次元あるいは3次元的な分布を各電極に印加する電圧の大きさおよび印加時間によって制御することによって、階調制御を行うことができ、任意の色の表示を実現することが可能となる。
【0034】
また、前記印加時間をパルス幅あるいはフレーム数によって制御することが好ましい。
【0035】
本発明によれば、印加時間をパルス幅あるいはフレーム数によって制御することによって、容易に階調制御を行うことができ、任意の色の表示を確実に実現することが可能である。
【0036】
また、前記電気泳動表示装置は、前記第1基板の前記電気泳動層側に第3電極を有し、前記第1電極および前記第3電極に対して互いに異なる電圧を同時に印加することが好ましい。
【0037】
本発明によれば、互いに異なる極性に帯電した粒子どうしや、正負のいずれかに帯電した粒子の第2電極上における2次元あるいは3次元の分布を同時に制御することができる。
【0038】
また、前記電気泳動表示装置は、前記第1基板の前記電気泳動層側に第3電極を有し、前記第1電極および前記第3電極に対して互いに異なる電圧を順次印加することが好ましい。
【0039】
本発明によれば、互いに異なる極性に帯電した粒子どうしや、正負のいずれかに帯電した粒子の第2電極上における2次元あるいは3次元の分布を順次制御することができる。
【0040】
また、前記電気泳動表示装置は、前記第1基板の前記電気泳動層側に第3電極を有し、前記第1電極に、前記第2電極に対して正極性の電圧を印加し、前記第3電極に、前記第2電極に対して負極性の電圧を印加することにより、前記粒子を前記第1電極側および前記第3電極側に引き寄せる、第1のプリセット動作と、前記第1電極に、前記第2電極に対して負極性の電圧を印加し、前記第3電極に、前記第2電極に対して正極性の電圧を印加することにより、前記粒子を前記第1電極側および前記第3電極側に引き寄せる、第2のプリセット動作と、を有することが好ましい。
【0041】
本発明によれば、第1のプリセット動作と第2のプリセット動作とで、第1電極と第3電極に印加する電圧の極性を切り替えて表示を行なうことにより、第1電極、第2電極および第3電極間のDC成分が無くなり、それぞれが交流駆動されることになる。これにより、電気泳動材料の劣化や、電極の腐食等を防止することができる。
【0042】
また、前記第1のプリセット動作と前記第2のプリセット動作とを交互に行うことが好ましい。
【0043】
本発明によれば、第1のプリセット動作と前記第2のプリセット動作とを交互に行うことで、プリセット動作で一旦初期状態に戻してから表示を行える。これにより、連続して表示動作を実行するときよりも粒子の移動がスムーズになり、表示の切り替えを安定して行うことができる。
【0044】
また、前記第3電極に接続される第2の前記トランジスタを有し、前記第2のトランジスタのドレイン電極上のうち前記第3電極が存在しない領域の少なくとも一部に前記第1制御電極とは独立に駆動される第2制御電極が配置されていることが好ましい。
【0045】
本発明によれば、第2のトランジスタのドレイン電極上をシールドすることができ、データ電圧が電気泳動層に直接印加されることが防止され、表示に不具合が発生することが防止される。
【0046】
また、第1の色の前記粒子がマイナスに帯電し、第2の色の前記粒子がプラスに帯電していることが好ましい。
【0047】
本発明によれば、第1制御電極および第2制御電極に異なる極性の電圧を印加することによって、第1の色の粒子の移動および第2の色の粒子の移動をそれぞれ制御することができる。
【0048】
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、粒子の移動がスムーズに行われて安定したカラー表示が可能な表示部を備えていることから、表示画像の明度、再度、色相の少なくともいずれかを適宜制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)第1実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示す平面図、(b)電気泳動表示装置の全体構成を示す等価回路図。
【図2】電気泳動表示装置の画素構成を示す部分断面図。
【図3】電気泳動表示装置における駆動時における粒子の分布状態を示す説明図。
【図4】電気泳動表示装置におけるプリセット時における粒子の分布状態を示す説明図。
【図5】第1実施形態における具体的な構成例を示す等価回路図。
【図6】第1実施形態における素子基板側における1画素の具体的な構成例を示す平面図。
【図7】図6のB−B線に沿う断面図。
【図8】電気泳動表示装置の画素構成を示す部分断面図。
【図9】従来の電気泳動表示装置の概略構成を模式的に示す部分断面図。
【図10】第1実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を模式的に示す部分断面図。
【図11】第1実施形態の電気泳動表示装置における駆動方法を示す説明図。
【図12】第1実施形態の電気泳動表示装置における駆動方法を示す説明図。
【図13】第1実施形態の電気泳動表示装置における製造工程を説明するための部分断面図。
【図14】第1実施形態の電気泳動表示装置における製造工程を説明するための部分断面図。
【図15】第1実施形態の電気泳動表示装置における製造工程を説明するための部分断面図。
【図16】制御電極の変形例を示す平面図。
【図17】制御電極の変形例を示す平面図。
【図18】第2実施形態の電気泳動表示装置の画素構成について示す平面図。
【図19】第2実施形態における制御電極の変形例を示す平面図。
【図20】第3実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を示す部分断面図。
【図21】画素電極の変形例を示す平面図。
【図22】画素電極の変形例を示す平面図。
【図23】電気泳動層の他の実施例を示す断面図。
【図24】電気泳動層の他の実施例を示す断面図。
【図25】電気泳動層の他の実施例を示す断面図(1粒子系)。
【図26】画素電極の変形例を示す図。
【図27】画素電極の変形例を示す図。
【図28】画素電極の変形例を示す図。
【図29】電子機器の一例を示す図。
【図30】電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図。
【図31】電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図。
【図32】1画素におけるレイアウトの変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
本明細書では、赤色をRとも表記し、シアン、マゼンタ、イエローの各色をそれぞれC、M、Yとも表記する。
【0051】
[第1実施形態]
図1(a)は、電気泳動表示装置100の全体構成を示す平面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置100は、素子基板300が対向基板310よりも大きな平面寸法を有しており、対向基板310よりも外側に張り出した素子基板300上に2つの走査線駆動回路61と2つのデータ線駆動回路62とが外部機器と接続するためのフレキシブル基板201,202上にCOF(Chip On Film)実装(あるいはTAB(Tape Automated Bonding)実装)されている。そして、走査線駆動回路61が実装されたフレキシブル基板201が、素子基板300の一短辺に沿った辺縁部に形成された端子形成領域に、ACP(異方性導電ペースト)やACF(異方性導電フィルム)等を介して実装されている。ここで、素子基板300は、後述する第1基板30を基体として構成され、対向基板310は、後述する第2基板31を基体として構成されている。
【0052】
また、データ線駆動回路62が実装されたフレキシブル基板202が、素子基板300の一長辺に沿った辺縁部に形成された端子形成領域に、ACPやACF等を介して実装されている。各端子形成領域には、それぞれ複数の接続端子が形成されており、各々の接続端子に対して表示部5から延びる後述の走査線やデータ線が接続されている。
【0053】
また、素子基板300と対向基板310とが重なる領域に表示部5が形成されており、表示部5から延びる配線(走査線66やデータ線68)は、走査線駆動回路61及びデータ線駆動回路62が実装されている領域に延出され、当該実装領域に形成された接続端子に接続されている。そして、かかる接続端子に対してフレキシブル基板201,202がACPやACFを介して実装されている。
【0054】
図1(b)は、電気泳動表示装置の全体構成を示す等価回路図である。
図1(b)に示すように、電気泳動表示装置100の表示部5には、複数の画素40がマトリクス状に配列されている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路61およびデータ線駆動回路62が配置されている。走査線駆動回路61およびデータ線駆動回路62は、それぞれコントローラー(不図示)と接続されている。コントローラーは、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、走査線駆動回路61およびデータ線駆動回路62を総合的に制御する。
【0055】
表示部5には走査線駆動回路61から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。画素40には、2本の異なるデータ線(データ線68Aおよびデータ線68B)が接続されている。
【0056】
走査線駆動回路61は、複数の走査線66を介して各々の画素40に接続されており、コントローラーの制御のもと、各走査線66を順次選択し、画素40に設けられた選択トランジスタTR1,TR2(図5参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。データ線駆動回路62は、複数のデータ線68を介して各々の画素40に接続されており、コントローラーの制御のもと、画素40の各々に対応する画素データを規定する画像信号を画素40に供給する。
【0057】
図2は、電気泳動表示装置の1画素における構成を示す部分断面図である。
図2に示すように、電気泳動表示装置100は、素子基板300と対向基板310との間に電気泳動層32が挟持されている。素子基板300は第1基板30を有してなり、この第1基板30の電気泳動層32側の面には島状の複数の画素電極35A(第1電極)および複数の画素電極35B(第3電極)が形成され(図2においては1つずつ図示してある)ている。一方、対向基板310は第2基板31を有してなり、この第2基板31の電気泳動層32側の面には対向電極37(第2電極)が形成されている。対向電極37は平面視で画素電極35A,35Bを覆い、画素電極35A,35Bよりも平面視における面積が広く形成されており、ここでは、対向基板310の少なくとも表示に寄与する部分を覆う領域に形成されている。
【0058】
複数の画素電極35A,35Bと対向電極37との間に形成された電気泳動層32は、透明な分散媒21(T)中に、マイナス(負)に帯電した黒色の負帯電粒子26(Bk)と、プラス(正)に帯電した白色の正帯電粒子27(W)と、無帯電の赤色の無帯電粒子28(R)とが混在されてなる。正負に帯電した粒子26,27は電気泳動層32中において電気泳動粒子として振る舞う。
そして、画素電極35Aにプラスの電圧を印加すると負帯電粒子26(Bk)が画素電極35A上に集められ、画素電極35Bにマイナスの電圧を印加すると正帯電粒子27(W)が画素電極35B上に集められる。なお、対向電極37には共通電位としてグランド電位が印加される。
【0059】
ここで、画素電極35A,35Bのそれぞれに印加される電圧の極性および大きさによって、電気泳動粒子が対向電極37上でどのように分布するかを考える。画素電極35A,35Bのいずれか一方に印加される正の電圧のうち絶対値が最大となる電圧を電圧VH(以下、正の最大値とも称する)、他方に印加される負の電圧のうち絶対値が最大となる電圧を電圧VL(以下、負の最大値とも称する)とする。なお、「電極に電圧を印加する」とは、「電極に対して、グランド電位との間で当該電圧を生じさせるような電位を供給する」ことと同義である。
【0060】
図2に示すように、画素電極35Aに中程度の大きさのマイナス電圧Vl(|Vl|<|VL|)を印加すると、この電圧Vlに対応する電位と対向電極37のグランド電位との電位差(電圧)に起因する電界によってマイナスに帯電した粒子26(Bk)は対向電極37側に移動するが、電圧があまり大きくないため対向電極37側であまり広がらずに分布する。これは、以下の理由による。すなわち、粒子26(Bk)は斜め電界(画素電極35Aから、第1基板30の法線に対して傾いた方向に出る電気力線を有する電界)でも移動するが、もともとの電界が大きくないため斜め電界も大きくはならない。よって、粒子26(Bk)の第2基板31に平行な方向についての移動量が少なくなり、粒子が狭い範囲に集中してスポット的な分布を実現できる。また、移動する粒子数も少なくなる。
よって、ここでは小さい面積の黒表示が表現できる。
【0061】
これに対して、画素電極35Bに大きなプラス電圧VH(正の最大値)を印加すると、画素電極35Bと対向電極37との間の電位差(電圧)は画素電極35Aの場合より大きくなるため、画素電極35Bと対向電極37との間により大きな電界が生じる。このため、ほぼ全ての正帯電粒子27(W)が第2基板31側に移動する。また、電界が大きくなったことに伴って、画素電極35Bからの斜め電界も大きくなるため、正帯電粒子27(W)は当該斜め電界によって第2基板31に平行な方向についてもより広い範囲に分散し、平面視での分布範囲が広がることになる。よって、画素電極35B上では、画素電極35A上の黒表示よりも広い面積の白表示を表現することができる。
なお、対向電極37に負帯電粒子26(Bk)および正帯電粒子27(W)を移動させない場合、つまり各画素電極35Aにプラス電圧VHを印加して、画素電極35Bにマイナス電圧VLを印加してすべての粒子26(Bk)を画素電極35A上に集めるとともに、すべての正帯電粒子27(W)を画素電極35B上に集めた場合には、赤色の無帯電粒子28(R)の色が第2基板31側から視認されるため、画素全体が赤表示になる。
【0062】
このように対向電極37に到達する負帯電粒子26(Bk),正帯電粒子27(W)の数と分布状態(分布領域)を制御することで黒表示、白表示、赤表示、あるいは暗い赤から淡い赤までの中間階調の表示を制御できる。また、これら画素電極35A,35Bを1つの画素内で島状に複数設けることにより、より制御性良く表示をコントロールできる。
【0063】
以下、詳細な制御について説明する。
図3は、電気泳動表示装置における駆動時における粒子の分布状態を示す説明図である。
図3(a)では、画素電極35Aにプラスの電圧VH(正の最大値)が印加され、画素電極35Bにマイナス電圧VL(負の最大値)が印加されている。この場合には、負帯電粒子26(Bk)が画素電極35A上に集められ、正帯電粒子27(W)が画素電極35B上に集められ、対向電極37側から見たときに視認されるのは赤色の無帯電粒子28(R)のみの色である。よってここでは赤表示となる。図中の矢印は入射光が散乱する様子を示しており、入射光は赤色の無帯電粒子28(R)において吸収される。
【0064】
図3(b)では、図3(a)に示した赤表示状態を基準として、各画素電極35A,35Bにマイナス電圧VL(負の最大値)が印加されている。この場合には、ほぼ全ての負帯電粒子26(Bk)が対向電極37側へと移動して対向電極37上において分布する。
負帯電粒子26(Bk)は対向電極37側において2次元あるいは3次元的な分布となり、対向電極37側から電気泳動層32を見たときに多くの負帯電粒子26(Bk)の色が視認される。よってここでは黒表示となっている。図中の矢印で示すように、入射光は、負帯電粒子26(Bk)において吸収されて黒表示となる。
【0065】
図3(c)では、図3(a)に示した赤表示状態を基準として、各画素電極35A,35Bにプラス電圧VH(正の最大値)が印加されている。この場合には、ほぼ全ての正帯電粒子27(W)が対向電極37側へと移動して対向電極37上において分布する。正帯電粒子27(W)は対向電極37側において2次元あるいは3次元的な分布となり、対向電極37側から電気泳動層32を見たときに多くの正帯電粒子27(W)の色が視認される。よってここでは白表示となっている。図中の矢印で示すように、入射光は、正帯電粒子27(W)により1回又は複数回散乱されて観察側に戻るため、上記のように白色を呈する。このように、正帯電粒子27(W)自体が透光性を有する粒子であっても、正帯電粒子27(W)によって入射光が観察側に散乱されることにより白表示が行われる。
【0066】
図3(d)では、図3(a)に示した赤表示状態を基準として、画素電極35Bにマイナスの電圧VLを印加し、画素電極35Aに黒表示の際(図3(b))に印加したマイナス電圧よりも絶対値の小さいマイナス電圧Vl(|Vl|<|VL|)を印加する。この状態においては、画素電極35A上に吸着していた黒色の負帯電粒子26(Bk)の一部が対向電極37側に移動する。対向電極37側に移動した黒色の負帯電粒子26(Bk)によって対向電極37上が部分的に覆われることになるので、対向電極37側から電気泳動層32を見たときに負帯電粒子26(Bk)と無帯電粒子28(R)の色がそれぞれ視認される。よってここでは暗い赤表示となる。
このように、印加する電圧の大きさによって対向電極37側への黒色の負帯電粒子26(B)の移動量を制御することによって明度の制御を行う。
【0067】
なお、図3(c)における負帯電粒子26(Bk)の移動量および分布範囲の制御は、画素電極35A,35B間の距離や画素電極35A,35Bの大きさ等の設計要因や印加電圧によって可能である。
また、図3の説明では各画素電極35A,35Bに印加する電圧の大きさで粒子26(Bk),27(W)の移動量および分布範囲を制御したが、電圧の印加時間の長短でも制御することが可能である。
【0068】
彩度の制御は粒子27(W)を対向電極37の外側から電気泳動層32を見たときに視認される粒子27(W)の面積あるいは無帯電粒子28(R)の面積により行なわれる。
粒子27(W)による白表示には、入射光が粒子により複数回散乱されることが必要なため、電気泳動層32内の3次元的な深さ方向の分布も必要になる。上記した視認される面積とは、粒子の2次元、3次元的分布を含めて実際に視認される実効的な面積をさす。
以上説明したように、負帯電粒子26(Bk),正帯電粒子27(W)の移動量および分布範囲を制御することによって、各画素における明度と彩度の制御が可能である。
【0069】
上述したが、図3の(b)、(c)、(d)間の移動は図3(a)の制御を介して行なう。すなわち、ある表示を行った後、表示を切り替えるときは画素電極35Aにプラス電圧VH、画素電極35Bにプラス電圧VHを印加して全ての負帯電粒子26(Bk)を画素電極35A上に集めるとともに、全ての正帯電粒子27(W)を画素電極35B上に集める(赤表示:プリセット状態)。
続いて、画素電極35A,35Bに所定の書き込み電圧をそれぞれ印加して、黒表示(図3(b))、白表示(図3(c))あるいは暗い赤表示(図3(d))を表示する。
【0070】
次に、プリセット状態について述べる。
図4に示す電気泳動表示装置は、赤色の無帯電粒子28(R)に代えて、マゼンタ色の無帯電粒子28(M)を保持した電気泳動層32を有している。
この電気泳動表示装置では、最初の画像を表示するプリセット状態と次の画像を表示するプリセット状態において各画素電極35A,35Bに印加する電圧の極性を反転させている。
【0071】
まず、最初の画像を表示するプリセット状態では、図4(a)に示すように、画素電極35Aにプラス電圧VHを印加し、画素電極35Bにマイナス電圧VLを印加する。これにより、画素電極35A上に負帯電粒子26(Bk)が集合するとともに画素電極35B上に正帯電粒子27(W)が集合し、対向電極37側から電気泳動層32を見たときに無帯電粒子28(M)の色が視認されてマゼンタ表示が行われる(第1プリセット状態)。
【0072】
次に、次の画像を表示するプリセット状態では、図4(b)に示すように、画素電極35Aにマイナス電圧VLを印加し、画素電極35Bにプラスの電圧VHを印加する。これにより、画素電極35A上に正帯電粒子27(W)が集合するとともに画素電極35B上に負帯電粒子26(Bk)が集合し、対向電極37側から電気泳動層32を見たときに無帯電粒子28(M)の色が視認されて先の第1プリセット状態と同じマゼンタ表示が行われる。
【0073】
図5は、第1実施形態における具体的な構成例を示す等価回路図である。
図5に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置100は、第1基板30上に複数の走査線66と複数のデータ線68A,68Bとが設けられている。ここで、本実施形態の走査線66は、表示領域内において2つに分岐された第1走査線66Aおよび第2走査線66Bを有する。
【0074】
1画素40内には、2つの選択トランジスタTR1(第1トランジスタ)、選択トランジスタTR2(第2トランジスタ)と、電気泳動材料としての電気泳動層32と、2つの画素電極35A,35Bと、対向電極37と、接続電極44A(第1接続電極)と、接続電極44B(第2接続電極)と、制御電極13とが備えられている。
【0075】
選択トランジスタTR1は、ゲートに第1走査線66Aが接続され、ソースにデータ線68Aが接続され、ドレインに画素電極35A(電気泳動層32)が接続されている。選択トランジスタTR2は、ゲートに第2走査線66Bが接続され、ソースにデータ線68Bが接続され、ドレインに画素電極35B(電気泳動層32)が接続されている。
【0076】
データ線68A,68Bの延在方向で隣り合う画素40A、画素40Bのうち画素40Aにおいては、選択トランジスタTR1,TR2のそれぞれのゲートにm行の走査線66が接続されている。そして、選択トランジスタTR1のソースにN(A)列のデータ線68Aが接続され、選択トランジスタTR2のソースにN(B)列のデータ線68Bが接続されている。
【0077】
ここで、選択トランジスタTR1,TR2のドレインと保持容量線(不図示)との間に保持容量が配置された構成とすることも可能である。保持容量線は、例えば走査線66と同時に走査線66と平行方向に形成される。また電気泳動層32に電圧を印加するための、保持容量以外の手段を具備しても良い。
【0078】
接続電極44Aは、選択トランジスタTR1のドレインに接続されるとともに画素電極35Aに接続され、接続電極44Bは、選択トランジスタTR2のドレインに接続されるとともに画素電極35Bに接続されている。
【0079】
制御電極13は、各画素電極35A,35Bどうしの間に存在し、対向電極37の電位とほぼ同電位の電圧が印加される。各画素電極35A,35Bのそれぞれに対応して制御電極13が設けられていてもよい。
【0080】
図6は、第1実施形態の素子基板側における1画素の具体的な構成例を示す平面図、図7は、図6のB−B線に沿う断面図である。
図6に示すように、第1基板30上には、画素40ごとに、選択トランジスタTR1,TR2と、接続電極44A,44Bと、画素電極35A,35Bと、制御電極13と、が設けられている。
画素電極35Aおよび画素電極35Bはそれぞれ複数ずつ設けられており、平面視円形状を呈する。複数の画素電極35Aどうしは、それぞれがコンタクトホールH1を介して接続される平面視櫛歯形状を呈する接続電極44Aにより相互に接続され、それぞれがコンタクトホールH2を介して接続される複数の画素電極35Bどうしは平面視櫛歯形状を呈する接続電極44Bにより相互に接続されている。
【0081】
選択トランジスタTR1のドレイン電極41dは接続電極44Aを介して複数の画素電極35Aに接続され、選択トランジスタTR2のドレイン電極41dは接続電極44Bを介して複数の画素電極35Bに接続されている。そして、複数の画素電極35Aには選択トランジスタTR1を介してデータ線68Aからのデータ電位が印加され、複数の画素電極35Bには選択トランジスタTR2を介してデータ線68Bからのデータ電位が印加されるようになっている。このように、複数の画素電極35Aと複数の画素電極35Bとを互いに独立に駆動可能な構成とされている。
【0082】
各接続電極44A,44Bは、上述したように平面視櫛歯形状を呈し、2方向(例えば、走査線66A,66Bあるいはデータ線68A,68Bの延在方向)に沿って延在する2辺からなり全体的にく字状を呈する幹部441と当該幹部441によって連結された複数の枝部442とを有してなる。複数の枝部442は、幹部441の延在方向とは異なる方向(ここでは、枝部442の各辺に対して約60°の方向。これに限らず、例えば45°の方向とすることもできる)に、互いに平行して延在しており、すべての枝部442の延在長さを異ならせてある。幹部441の角部(屈曲部分)付近から延出する枝部442が最も長く、該枝部442から遠ざかる枝部442ほど短い長さとなっている。
【0083】
平面視櫛歯形状を呈する接続電極44A,44Bは互いにかみ合うようにして画素40内に配置されている。つまり、接続電極44Aの枝部442aの両側に接続電極44Bの枝部442b,442bが存在する状態となっている。
接続電極44Aの各枝部442aは複数の画素電極35Aに対応し、接続電極44Bの各枝部442bは複数の画素電極35Bに対応している。これにより、複数の画素電極35Aは接続電極44Aによって相互に接続され、複数の画素電極35Bは接続電極44Bによって相互に接続されている。
【0084】
制御電極13は、選択トランジスタTR1,TR2上を覆うようにして画素領域のほぼ全体にベタ状に形成されており、画素電極35A,35Bに対応する位置に平面視円形状の複数の開口13A,13Bを有している。画素電極35A,35Bは平面視において開口13A,13Bの内側に存在する。開口13A,13Bの形状は画素電極35A,35Bの平面視の形状と揃えて円形とされており、画素電極の直径よりも大きい直径で、画素電極35A,35Bと制御電極13との間で短絡することのない寸法に設定されている。
【0085】
制御電極13は各画素40において共通であり、走査線66A,66Bやデータ線68A,68Bと交差する部分においては、制御電極13に付随する寄生容量を低減させる対策として、上記各配線と畳重する領域がなるべく狭くなるように細くなっている。これにより低消費電力に有効となる。また、表示部5の外部で制御電極13に電圧が印加される。
【0086】
図7に示すように、第1基板30は厚さ0.6mmのガラス基板からなり、その表面上に厚さ300nmのアルミニウム(Al)からなるゲート電極41e(走査線66A)が形成されている。そして、このゲート電極41eを覆うようにして第1基板30の表面全体に酸化シリコン膜からなる厚さ400nmのゲート絶縁膜41bが形成され、ゲート電極41eの直上に厚さ50nmのa−IGZO(In、Ga、Znの酸化物)からなる半導体層41aが形成されている。
【0087】
このゲート絶縁膜41b上には、厚さ300nmのAlからなるソース電極41c(データ線68)およびドレイン電極41dがゲート電極41eおよび半導体層41aと一部重なるようにそれぞれ設けられている。ソース電極41cとドレイン電極41dは半導体層41aに一部乗り上げるようにして形成されている。また、同じく厚さ300nmのアルミニウム(Al)からなる接続電極44A,44Bがゲート絶縁膜41b上に形成されている。これら接続電極44A,44Bはソース電極41cおよびドレイン電極41dと同時にパターン形成されるもので、接続電極44A(接続電極44B)は選択トランジスタTR1(選択トランジスタTR2:図6)のドレイン電極41dに接続されている。
【0088】
ここで、選択トランジスタTR1(TR2:図6)としては、一般的なa−SiTFT、ポリSiTFT、有機TFT、酸化物TFT等が使用可能である。構造もトップゲート、ボトムゲート構造共に可能である。
【0089】
選択トランジスタTR1(TR2:図6)および接続電極44A,44B上にはこれらを覆うようにして、厚さ300nmの酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜42と、厚さ1μmの感光性アクリルからなる層間絶縁膜43とが形成されている。層間絶縁膜43の材料としてはアクリルを用いているが、これ以外の材料を用いることも可能であり、シリコン酸化膜等の無機絶縁膜、有機絶縁膜も可能である。
この層間絶縁膜43は平坦化膜として機能する。なお、層間絶縁膜42に平坦化膜としての機能を付与できれば層間絶縁膜43は必ずしも必要ではなく、省略することができる。
そして、これら層間絶縁膜42,43に形成されたコンタクトホールH2(H1:図6)を介して50nmのITOからなる画素電極35B(35A:図6)が複数設けられている。制御電極13は、画素電極35Bと同層で、同じく厚さ50nmのITOで設けられている。
【0090】
このように、第1基板30から画素電極35B(35A:図6)までの要素により、素子基板300が構成される。
【0091】
図8は、電気泳動表示装置の1画素における概略構成を示す断面図である。
図8に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置100は、上述したような構成の素子基板300と対向基板310との間に電気泳動層32が挟持されてなり、該電気泳動層32には透明な分散媒21(T)中にマイナスに帯電した黒色の負帯電粒子26(B)と、プラスに帯電した白色の正帯電粒子27(W)と、赤色の無帯電粒子28(R)とが複数個ずつ保持されている。より詳しくは、第1基板30から画素電極35A、35Bまでを含む素子基板300と、第2基板31及び対向電極37を含む対向基板310との間に電気泳動層32が挟持されている。
【0092】
複数の画素電極35Aおよび複数の画素電極35Bに対向する対向電極37は、島状の画素電極35Aおよび画素電極35Bの面積の総和より広い面積を有し、少なくとも画素内の表示に寄与する領域において一繋がりの電極(ベタ電極)となっている。対向電極37には、必要に応じて、電極の無い切り欠き部を設けても良い。1画素内に配置された画素電極35Aおよび画素電極35Bは互いに独立に駆動されるようになっている。
【0093】
素子基板300と対向基板310との間には、平面視で表示部5(図1(a))の周囲全体を取り囲むように配置されたシール材16が形成されている。電気泳動層32は、素子基板300、対向基板310、及びシール材16によって封止されている。なお、平面視で各画素40囲むように、素子基板300と対向基板310との間にシール材を形成することもできる。
【0094】
また、図示していないが、より小さな領域に区画された電気泳動層32を用いることも可能である。例えば、画素電極35A,35Bと対向電極37との間にカプセルを配置し、カプセル内に分散媒及び帯電粒子を封入したカプセル型の電気泳動層を用いても良い。
また、素子基板300と対向基板310との間に設けられた隔壁によって分離された領域に分散媒及び帯電粒子を封入した構成でも良い。このように区画された電気泳動層においても、他の実施例同様の動作を行なうことができる。プラスとマイナスに帯電した色の異なる粒子をカプセル型、非カプセル型のいずれにおいても用いることができる。
【0095】
電気泳動層32は、無色透明な分散媒21(T)中に3種の粒子を複数ずつ保持してなる。3種の粒子としては、マイナスに帯電した黒色の負帯電粒子26(Bk)と、プラスに帯電した白色の正帯電粒子27(W)と、赤色の無帯電粒子28(R)である。
【0096】
対向電極37、画素電極35Aおよび画素電極35Bに用いる透明電極の構成材料としては、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリピロール、またはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド等のマトリックス樹脂中に、NaCl、LiClO、KCl、LiBr、LiNO、LiSCN等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープした錫酸化物(FTO)、錫酸化物(SnO)、インジウム酸化物(IO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0097】
なお、画素電極35A,35Bに用いる電極の材料としては、視認側とは反対側に位置するため透明である必要はなく、金属、シリサイド、銀などのペースト等を用いてもよい。
【0098】
分散媒21の材料としては、実質的に無色透明であることが好ましい。このような分散媒としては、比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。かかる分散媒としては、例えば各種類(蒸留水、純水、イオン交換水等)、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、流動パラフィンなどの鉱物油類、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の植物油類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系液体またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。分散媒21として気体や真空を用いても良い。
【0099】
また、分散媒21中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等カップリング剤の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0100】
分散媒21中に含まれる、帯電粒子、無帯電粒子および透明粒子は、それぞれいかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、染料粒子、顔料粒子、樹脂粒子、セラミックス粒子、金属粒子、金属酸化物粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
【0101】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫化亜鉛、亜鉛華等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料、フェロシアン化第二鉄等のシアン色顔料、あるいは無機酸化鉄等のマゼンタ色顔料等が挙げられる。無機顔料、有機顔料を用いることも出来る。
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0102】
上記顔料の代わりに染料を用いて染料粒子を構成できる。この場合は白色顔料に染料を混入させても良いし、着色の顔料と混ぜて用いても良い。例えばカルボニウム系のマゼンタ等の染料を用いることもできる。
【0103】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、スチレンとアクリロニトリルを共重合したAS樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0104】
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。また、分散媒21中に含まれる各種粒子としては、粒子の中心を空洞にした構造のものを用いても良い。このような構成によれば、粒子の表面で光を散乱させることに加えて、粒子内部の、空洞を構成する壁面においても光を散乱させることができ、光の散乱効率を向上させることが可能となる。よって、白、及びその他の色の発色性を向上させることができる。
【0105】
また、このような電気泳動粒子の分散媒21中における分散性を向上させることを目的に、各粒子の表面に、分散媒21と相溶性の高い高分子を物理的に吸着させたり、化学的に結合させたりすることができる。これらの中でも、電気泳動粒子の表面からの離脱着の問題から、高分子が化学的に結合しているものが特に好ましい。かかる構成とすれば、電気泳動粒子の見かけの比重が小さくなる方向に作用して、電気泳動粒子の分散媒21での親和性、すなわち分散性を向上させることができる。
【0106】
このような高分子としては、例えば、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基を有する高分子、電気泳動粒子と反応性を有する基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子、および、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子等が挙げられる。
【0107】
上述したような高分子において、電気泳動粒子と反応性を有する基としては、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、アルコキシシラン基、シラノール基、アルキルアミド基、アジリジン基、オキサゾン基、およびイソシアネート基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を選択して用いることができるが、用いる電気泳動粒子の種類等に応じて、選択するようにすればよい。
【0108】
電気泳動粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜10μm程度であるのが好ましく、0.02〜5μm程度であるのがより好ましい。
【0109】
第1基板30および第2基板31としては、PET基板以外の有機絶縁基板や薄ガラス等の無機ガラス基板、あるいは無機材料および有機材料からなる複合基板を用いてもよい。
【0110】
図9に従来の電気泳動表示装置の概略構成を模式的に示す部分断面図を示し、図10に本実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を模式的に示す部分断面図を示す。
【0111】
図9に示すように、一般的に、電気泳動表示装置のセルギャップ(対向基板310と素子基板300との距離)は40μm程度であり、素子基板300側の層間絶縁膜42の膜厚は0.3μm〜0.4μm、層間絶縁膜43の膜厚は1〜2μm程度である。
【0112】
このような従来の電気泳動表示装置では、接続電極44を介して接続された複数の画素電極35に対してそれぞれマイナス電圧VL(負の最大電圧)を印加すると、対向電極37側に分布していた帯電粒子27(W)は基板面に対して垂直に移動して素子基板300側に引き寄せられる。
【0113】
図9では対向電極37から画素電極35に向かって電気力線が延びているが、画素電極35,35どうしの間の位置に対応する対向電極37からの電気力線は素子基板300側に向かって垂直に伸び、素子基板300近傍で急に画素電極35,35の方向に曲がっている。
【0114】
正帯電粒子27(W)は、最初のうちは電気力線に沿って移動するが、素子基板300表面における急な曲がりについていけず、図9に示す領域Cに正帯電粒子27(W)が留まって、素子基板300上に吸着する現象が見うけられた。正帯電粒子27(W)を画素電極35,35上に移動させるためには、従来の印加電圧(±15V程度)の2倍以上の高電圧を印加する必要がある。しかし、それでも滞留した粒子を完全に移動させることはできず、制御できる正帯電粒子27(W)の数が減り、表示上の不具合が生じた。さらに領域Cに残っている正帯電粒子27(W)の数が画素領域内で不均一であるため、表示も不均一となった。
こうした現象が生じた原因は以下のように考えられる。
【0115】
電気泳動層32の分散媒21が作る容量が層間絶縁膜42,43の合成容量よりもはるかに小さいからである。小さい理由は、層間絶縁膜42,43と電気泳動層32との誘電率は2〜7程度で大差なく、電気泳動層32の層厚が40〜50μm、層間絶縁膜42の膜厚が300nm程度、層間絶縁膜43の膜厚が1.5μm程度であり、層間絶縁膜42,43と電気泳動層32とで1桁以上の膜厚差があるからである。このため、接続電極44(ドレイン電極)と対向電極37間の電圧はほとんど電気泳動層32の分散媒21に印加される。このため、あたかも2つの層間絶縁膜42,43は存在しないかのように振る舞う。しかし、これは対向電極37近傍の電気力線である。そのため対向基板310近傍の粒子は素子基板300に向かって垂直に移動する。
【0116】
ところが、移動した正帯電粒子27(W)が素子基板300に近づくと、正帯電粒子27(W)から見た電気泳動層32の膜厚が薄くなり、2つの層間絶縁膜42,43を無視できなくなる。これは2つの層間絶縁膜42,43に電圧が印加され、分散媒21中の垂直の電界が相対的に小さくなっていることを意味している。この時は分散媒21中にむき出しにされた画素電極35,35からの斜め方向の電界が相対的に強くなるため画素電極35,35に向かう電気力線が形成され、その方向に正帯電粒子27が移動する。しかし、この効果は上記の理由より、残りの分散媒21の膜厚が2つの層間絶縁膜42,43の膜厚と同程度になって初めて生じる。このため、先に説明したように画素電極35,35側に曲がりきれなかった正帯電粒子27が領域Cに取り残されることになる。
【0117】
このように、従来の構成では、正帯電粒子27の一部が画素電極35,35上に集合せず、画素電極35,35が存在しない領域Cに固着して動かなくなったりするなど、粒子27のコントロールが十分に行えないという問題があった。また、先の述べたように、固着した帯電粒子27を動かすには高電圧が必要であるということも分かった。
【0118】
そこで、図10に示す本実施形態の電気泳動表示装置では、上記課題を解決するために、画素電極35,35の周囲であって、正帯電粒子27が滞留しやすい領域Cに制御電極13を設けた。制御電極13を対向電極37と同じ電位にすることで、対向電極37近傍から画素電極35,35に向かう電気力線を形成することができる。すると、粒子27はこのような電気力線に従って対向電極37から各画素電極35,35側に向かって移動を開始する。素子基板300側に移動してきた帯電粒子27は、対向電極37と同一電位とされた制御電極13によって画素電極35,35側にはじかれる。
このように本実施形態の構成によれば、制御電極13を設けて領域Cにおける電位を制御することによって、正帯電粒子27の移動をスムーズにし、領域Cにおける帯電粒子27の滞留を防止することができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、着色粒子や着色分散媒などの組み合わせによってカラー表示を行うことが可能となっており、画素電極35A,35Bのそれぞれに印加される電圧の大きさや印加時間によって対向電極37上における負帯電粒子26および正帯電粒子27の2次元あるいは3次元的な分布を制御することができる。これによって、対向基板310側から見た表示色の階調を制御することが可能となっている。対向電極37上での各粒子26,27の分布範囲(ドットの大きさ)によって表示画像の階調を制御することで任意の色の表示を実現できる。
【0120】
[電気泳動表示装置の駆動方法]
図11および図12は、電気泳動表示装置の駆動方法の説明図である。ここでは白と黒の2粒子系を例に説明する。
本実施形態の電気泳動表示装置の駆動方法においては、第1プリセット期間T1と、画像表示期間T2と、第2プリセット期間T3と、を備え、第1プリセット期間T1と第2プリセット期間T3とにおいて各画素電極35A,35Bに印加する電圧の極性を反転させている。
図11(a)は図3(a)に対応するもので、ここでは書き換えのプリセット状態と呼ぶ。
【0121】
第1プリセット期間T1では、図11(a)に示すように、画素電極35Aにプラス電圧VH(正の最大値)を印加するとともに画素電極35Bにマイナス電圧VL(負の最大値)を印加して(第1のプリセット動作)、画素電極35A上に全ての負帯電粒子26(Bk)を集合させ、画素電極35B上に全ての正帯電粒子27(W)を集合させる。このとき、制御電極13をグランド電位にして対向電極37と同電位にすることで帯電粒子26,27が制御電極13上に引き寄せられないように(はじくように)してある。
【0122】
画像表示期間T2では、グレー表示を行う場合は図11(b)に示すように、画素電極35Aにマイナス電圧Vl(|Vl|<|VL|)を印加するとともに画素電極35Bにマイナス電圧VL(負の最大値)を印加して、対向電極37側に一部の負帯電粒子26(Bk)を移動させる。対向電極37上に一部の負帯電粒子26(Bk)を分布させ、画素電極35B上に全ての正帯電粒子27(W)を集合させる。このとき、制御電極13にもマイナス電圧を印加して、素子基板300上に滞留しそうな負帯電粒子26(Bk)をはじくことにより、該粒子26が確実に対向電極37上に到達するようにする。このとき、画素電極35B側にもマイナス電圧を印加するため、より効果的に負帯電粒子26(Bk)を対向電極37側に到達させることができる。
【0123】
次に、図12(a)に示すように、画素電極35Aにマイナス電圧Vl(|Vl|<|VL|)を印加したまま画素電極35Bにプラス電圧VH(Vh<VH)を印加して一部の正帯電粒子27(W)を対向電極37上に分布させる。このとき、制御電極13にプラス電圧を印加することにより、正帯電粒子27が制御電極13によってはじかれて、対向電極37側へスムーズに移動する。
このようにして、対向電極37上に一部の負帯電粒子26(Bk)と一部の正帯電粒子27(W)とを分布させることでグレー表示が得られる。また、この場合は先に説明したように、図11(b)と図12(a)の2回の動作をもって表示している。
【0124】
第2プリセット期間T3では、図12(b)に示すように、各画素電極35A,35Bに対して第1プリセット期間T1で印加した電圧とは逆極性の電圧を印加する(第2のプリセット動作)。つまり、画素電極35Aにマイナス電圧を印加するとともに画素電極35Bにプラス電圧を印加して、画素電極35A上に正帯電粒子27(W)を集め、画素電極35B上に負帯電粒子26(Bk)を集める。このとき、制御電極13をグラウンド電位にして対向電極37と同電位にしておくことで、対向電極37から画素電極35A,35Bに向かう図10に示したような電気力線が形成される。これにより、対向電極37上に分布していた粒子26,27が各画素電極35A,35B側に向かってスムーズに移動して、素子基板300上に滞留することなく対応する各画素電極35A,35B上に集合する。つまり、制御電極13上に移動してきた粒子26,27は画素電極35A,35Bに向かって横方向にはじかれる。このようにして、画素電極35A上には正帯電粒子27(W)が集合し、画素電極35B上には負帯電粒子26(Bk)が集合する。
【0125】
なお、対向電極37は0Vであり、画素電極35A,35Bに印加される電圧の最大の電圧を|VL|,VHとし、最小の電圧|Vl|、Vhとし、グランド電位を0Vとする。
ここで、図3(b)に示したような黒、白、赤の3粒子系で黒表示を行う場合は、図3(a)に示した状態基準にして、画素電極35A,35Bにそれぞれマイナス電圧VLを印加するとともに制御電極13にもマイナス電圧VLを印加する。
また、図3(c)に示したような白表示を行う場合は、画素電極35A,35Bにそれぞれプラス電圧VHを印加するとともに制御電極13にもプラス電圧VHを印加する。
また、図3(d)に示したような暗い赤表示を行う場合は、画素電極35Aにマイナス電圧Vl(Vl=VL)を印加し、画素電極35Bにマイナス電圧VLを印加する。また、同時に制御電極13にはグランド電位を印加する。
【0126】
本実施形態の駆動方法によれば、画素電極35A,35Bの周囲に設けた制御電極13に帯電粒子26,27をはじくような電圧を印加することにより、帯電粒子26,27が滞留しやすい領域(上記領域C)における電位を制御して、帯電粒子26,27の移動をスムーズにし、滞留を防止することができる。
【0127】
また、本実施形態では、図6に示したように画素電極35A,35Bと制御電極13との距離はどの点も一定であり、また、鋭角のような電界が集中するような点も存在しないため、帯電粒子26,27の制御をスムーズに行うことができる。
【0128】
また、画素電極35A,35B、対向電極37、制御電極13の4つの電極に交流が印加され、この結果、各電極35A,35B、37、13の腐食や電気泳動材料の劣化等を防止することができる。
【0129】
なお、制御電極13の電位は、必ずしも対向電極37と同電位やグランド電位であることに限らず、対向電極37や画素電極35A,35Bとの電位との関係から帯電粒子26,27をはじくことのできる電位であればよい。具体的には負帯電粒子26(Bk)、正帯電粒子27(W)を移動させる時に画素電極35A、35Bに印加する電圧、対向電極37に印加する電圧、又はそれらの間の電圧であることが望ましい。
【0130】
また、本実施形態のように、第1のプリセット動作と第2のプリセット動作とを交互に行うことで、一旦初期状態に戻してから新たな表示が行える。これにより、表示動作を連続して実行するときよりも粒子の移動がスムーズになり、表示の切り替えを安定して行うことができる。
【0131】
また、階調表示を行う場合、あるいは黒粒子や白粒子の一部を対向電極37側に移動させて、図3(d)に示した暗い赤表示の状態とする時は、データ電圧を変調させる。データ電圧を変調させるためには、画素電極35A,35Bに印加する電圧の大きさをVLとVHとの間の大きさにする方法と、画素電極35Aおよび画素電極35Bに対して電圧VL,VHを印加する際に印加時間を変化させる方法とが挙げられる。先の方法は液晶装置ではパルス高変調と呼ばれ、後の方法の場合はパルス幅変調と呼ばれる。これらは通常、マトリクス駆動の場合は1フレーム期間以内で行われるが、パルスは場変調は複数フレームにまたがって行っても良い。
【0132】
本実施形態では、対向電極37上での各粒子26,27の分布領域を対向基板310側から視認したときの実質的な面積で階調を制御し、明度と彩度の制御を行っている。
【0133】
また、Vl、Vhは、例えば一方の画素電極上の黒粒子、白粒子が動かずに、他方の画素電極上の粒子が対向電極37に所定の量、位置に移動するための電圧である。それが達成できれば極性、大きさは問わない。
上記画素電極35A,35Bに対する印加電圧の大小関係は一例である。なぜなら、これらの値の大小関係は画素電極35Aと画素電極35Bとの距離や、画素電極35A、35Bと対向電極37との距離や画素電極35A、35Bの電気泳動材料によっても変わるからである。
さらに、プリセット期間ごとに2つの画素電極35A、35Bに印加する電圧の極性の切り替えは1画面毎でなく、複数の画面毎でも良い。
【0134】
[電気泳動表示装置の製造方法]
以下に、電気泳動表示装置の製造方法について述べる。
図13〜図15は電気泳動表示装置の製造工程を説明するための部分断面図である。
なお、以下の説明において、図6および図7を適宜参照する。
【0135】
まず、図13(a)に示すように、0.6mm厚のガラス基板からなる素子基板300上にスパッタ法で300nmのアルミニウム(Al)を基板面全体に成膜し、フォトエッチング法でゲート電極41eを形成する。
【0136】
次に、図13(b)に示すように、厚さ300nmの酸化シリコン膜をプラズマCVD法で基板面全体に形成し、ゲート絶縁膜41bを形成する。その後、ゲート絶縁膜41b上に、スパッタ法によりa―IGZO(In、Ga、Znの酸化物)からなる厚さ50nmの半導体層41aを形成する。このとき、フォトエッチングプロセスでゲート電極41e上を部分的に残すように島状態に加工した。酸化物半導体のソース、ドレイン領域は特に不純物導入等を行なわなくても自然に形成されることが知られている。本実施形態においても不純物導入等は行っていない。また、半導体層41aの形成は、アモルファスシリコンのように、必ずしも真空中での連続成膜である必要はない。
【0137】
次に、図13(c)に示すように、ゲート絶縁膜41b上の全面にアルミニウム(Al)膜をスパッタ法により厚さ300nmで成膜し、該アルミニウム膜をフォトエッチング法でパターニングすることによって、半導体層41aに一部乗り上げるようにしてソース電極41cおよびドレイン電極41dを形成するとともに接続電極44A(44B)を形成する。このようにして、トランジスタTR1(TR2)と接続電極44A(44B)とを形成する。
【0138】
次に、図14(a)に示すように、ソース電極41c、ドレイン電極41d、接続電極44A(44B)を覆うようにして、厚さ300nmの酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜42をプラズマCVD法で形成した。
次に、図14(b)に示すように、層間絶縁膜42上に厚さ1umの感光性アクリルをスピンコート法で塗布することによって層間絶縁膜43を形成する。その後、層間絶縁膜43を部分的に露光、現像して開口し、さらに層間絶縁膜43をマスクとしてドライエッチングで層間絶縁膜42の一部を除去する。これによりドレイン電極41d上を一部露出させる貫通孔11bを複数形成する。
【0139】
次に、図14(c)に示すように、層間絶縁膜43の表面全体にスパッタ法で厚さ50nmのITO膜を成膜し、フォトエッチング法でパターニングすることで複数の画素電極35B(35A)および複数の制御電極13を形成した。画素電極35B(35A)と制御電極13は同一工程で形成される。コンタクトホールH2を介して画素電極35Bが接続電極44Aに接続され、コンタクトホールH2を介して画素電極35Bが接続電極44Bに接続される。
【0140】
次に、図15に示すように、素子基板300の最表面(層間絶縁膜43)上に高さ40μmの紫外線硬化型エポキシ樹脂からなるシール材16(図示せず)を形成し、該シール材16によって囲まれた領域内に電気泳動材料を塗布して電気泳動層32を形成した後、素子基板300上に対向基板310を貼り合わせる。このようにして本実施形態の電気泳動表示装置が完成する。
【0141】
本実施形態の電気泳動表示装置の製造方法によれば、複数の画素電極35A,35Bと同時に制御電極13を形成することができるので、制御電極13の形成工程を別途設ける必要がないため製造が容易である。
【0142】
<変形例>
以下、制御電極の変形例について述べる。
先に述べた第1実施形態の電気泳動表示装置100では、制御電極13の開口13Aの平面視における形状が円形状とされていたが、これに限られることはなく、例えば図16(a)に示すような四角形状の開口13Bとしてもよいし、これ以外にも楕円形状や三角形状などを採用してもよい。また、平面視四角形状の開口13Bとする場合には、図16(b)に示すように画素電極35A,35Bの平面視の形状も四角形状に揃え、その4辺が開口13Bの4辺に対向するように向きを一致させることが好ましい。これにより、接続電極44A,44B(ドレイン電極41d)上を制御電極13でできる限り覆うことができる。つまり、制御電極13によってドレイン電極41d上がシールドされるため、データ線68の電圧が電気泳動材料に直接印加されてその電圧により表示に影響が及ぶようなことが防止される。よって、良好な表示を安定して得られることとなる。
【0143】
また、先の第1実施形態では、制御電極13が画素40間を繋ぐ領域(走査線66A,66Bおよびデータ線68A,68Bと交差する部分)において部分的に細くなっていたが、図17(a)に示す制御電極14のように、第1基板30上の全ての画素において一繋がりのベタ状電極となっていてもよい。制御電極14には、画素電極35A,35Bと平面視で重なる領域とその周辺領域を部分的に露出させる開口14Aが画素電極35A,35Bの数に応じて複数形成されている
【0144】
この構成によれば、表示領域における走査線66A,66Bおよびデータ線68A,68B上が制御電極14に覆われることとなり、電気泳動材料への走査線66A,66Bおよびデータ線68A,68Bの電界を制御電極14によってほぼ完全に遮断することができる。これにより、クロストークなどの課題を解消することができる。
【0145】
また、図17(b)に示すようにスリット形状の開口を備えた制御電極23としても良い。制御電極23は、画素領域に沿う枠部231と、走査線66A,66Bおよびデータ線68A,68Bの延在方向に対して斜め方向に延在する複数の枝部232とを有してなり、各枝部232間にスリット状の開口23Aが形成されている。枝部232は、平面視櫛歯形状を呈する接続電極44A,44Bの枝部442と交差するように設けられている。
【0146】
この制御電極23は、選択トランジスタTR1,TR2上を覆うとともに、各トランジスタTR1,TR2のドレイン電極41d(接続電極44A,44B)の、開口23Aに対向するドレイン電極41dを除いたほとんどの部分を覆うように形成されている。
このような制御電極23を設けることによって上記した制御電極と同様の効果が得られることになる。
【0147】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電気泳動表示装置について述べる。
図18は、第2実施形態の電気泳動表示装置の画素構成について示す平面図である。また、図19は、第2実施形態における制御電極の変形例を示す平面図である。
図18に示すように、第1基板30上には、画素40ごとに、選択トランジスタTR1,TR2と、接続電極44A,44Bと、画素電極35A,35Bと、制御電極17(第1制御電極)および制御電極18(第2制御電極)と、が設けられている。
【0148】
先の実施形態では画素40ごとに1つの制御電極を備えていたが、本実施形態では画素40ごとに2つの制御電極17,18を備えている。それぞれの制御電極17,18は、それぞれの選択トランジスタTR1、接続電極44A、画素電極35Aと、選択トランジスタTR2、接続電極44B、画素電極35Bと対応するように設けられている。また2つの制御電極17,18は走査線66と平行になるように設けられており、その一部は走査線66を覆う。表示部5の外部でそれぞれの制御電極17,18に電圧が印加される。
【0149】
制御電極17,18は、平面視櫛歯形状を呈してなり、それぞれの制御枝部17a,18aが接続電極44A,44Bの各枝部442と平面視で重なるように延在している。また、複数の制御枝部17a,18aどうしを繋ぐ共通部17b,18bが選択トランジスタTR1,TR2上を覆うように形成されている。これによりドレイン電極41d(接続電極44A,44B)上が制御電極17,18によってシールドされる効果が得られる。
【0150】
制御枝部17a,18aには、各画素電極35A,35Bに対応してこれらを露出させるための開口17A,18Aが複数形成されている。図中においては開口17A,18Bの形状が平面視四角形状とされているが、図19に示すように、画素電極35A,35Bの形状に沿って平面視円形状としてもかまわない。
【0151】
本実施形態では、2つの画素電極35A,35Bに対して、独立の2つの制御電極17,18を設けている。先に述べた第1実施形態の構成では、制御電極が1つであったため、正帯電粒子27および負帯電粒子26を対向電極37側に移動させるためには2つのフレームが必要であったが、本実施形態の構成であれば、制御電極17,18を独立に駆動できるため、1回の動作で同時に2つの粒子を移動させることが可能となる。
【0152】
具体的には、プラス電圧を印加する画素電極に対応する(画素電極を囲う)制御電極にはプラス電圧を印加し、マイナス電圧を印加する画素電極に対応する制御電極にはマイナス電圧を印加する。このような制御電極17,18によって、正帯電粒子27および負帯電粒子26を同時に移動させる場合に各帯電粒子26,27がともにはじかれて、対向電極37側へとスムーズに移動する。
図18,19では、制御電極17,18が走査線66A、66Bに平行になるように設けられたが、データ線68A、68Bと平行になるように設けても良い。この時にその一部以上がデータ線68A、68Bを覆うように設けても良い。
【0153】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の電気泳動表示装置について述べる。
図20は、第3実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を示す部分断面図である。
図20に示すように、電気泳動表示装置は、第1基板30上に、ゲート電極41e、ゲート絶縁膜41b、半導体層41a、ソース電極41cおよびドレイン電極41dを有してなる選択トランジスタTR1と、接続電極44B(44A)とを備え、さらにこれらを覆うようにして第1基板30上に形成された層間絶縁膜42と、層間絶縁膜42上に形成された厚さ300nmのアルミニウムからなる制御電極18(17)と、制御電極18(17)を覆うようにして形成された厚さ300nmの窒化シリコン膜からなる層間絶縁膜45と、層間絶縁膜45上に形成された層間絶縁膜43とを有している。画素電極35B(35A)は、3つの層間絶縁膜42,45,43を貫通させて形成されたコンタクトホールHを介して接続電極44B(44A)と接続されている。
【0154】
先に述べた実施形態においては、制御電極17,18は画素電極35A,35Bと同じ層に設けられており、画素電極35A,35Bと同じ材料を用いて同一工程にて形成してあったが、本実施形態のように、選択トランジスタTR1(TR2)のドレイン電極41d(接続電極44A,44B)よりも上層であって、画素電極35B(35A)よりも下層側に制御電極17,18を配置させてある。
【0155】
第2実施形態で示したように、2つの制御電極18(17)を画素電極35B(35A)と同じ層に形成した場合、下記に示すような課題が生じる。
1つ目は、制御電極18(17)の配線抵抗が高くなることである。
画素電極35B(35A)は一般にITOが用いられているが、比抵抗が高いことから、第2実施形態で示すように細長い配線状にした場合には電位が一定に定まりにくい。これがクロストークの原因となる。
2つ目は、歩留まりの低下である。画素電極35B(35A)と2つの制御電極18(17)との距離が近く、かつ表示エリアの前面(第1基板30の最表層)に存在するためショート不良が生じやすい。
【0156】
そこで、本実施形態では、層間絶縁膜45を新たに設けて、ドレイン電極41d(接続電極44B(44A))と画素電極35B(35A)との間に制御電極18(17)を配置した。これら制御電極18(17)は厚さ300nmのアルミニウムからなり、ソース電極41cおよびドレイン電極41dと同様の方法で形成される。また、層間絶縁膜45は、厚さ300nmの窒化シリコン膜で層間絶縁膜42と同様の方法で形成される。
【0157】
ここで、ドレイン電極41dと画素電極35B(35A)との間であれば制御電極18(17)が配置される層は上記に限らない。
また、本実施形態の構成によれば、制御電極18(17)の形成材料としてITO以外の導電材料を用いることが可能となる。
【0158】
このように、制御電極17,18の層と画素電極35B(35A)の層との間に絶縁膜をはさむ構成とすることで、制御電極18(17)と画素電極35B(35A)との間のショート不良の発生を防止することが可能となる。
なお、画素電極35B(35A)は、帯電粒子26,27を制御するために第1基板30の最上層であることが望ましい。
【0159】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0160】
例えば、図21に示すように、1画素(画素40)内にストライプ状に配列された複数の画素電極85A,85Bとしてもよい。平面視矩形状を呈する画素電極85A,85Bは互いの延在方向を揃えてあり、短辺方向に所定の間隔をおいて交互に配置されている。
ここでは、画素電極85A,85B同士が等間隔に配置されている。そして、複数の画素電極85Aどうしおよび複数の画素電極85Bどうしを接続する接続電極84A、84Bはこれらよりも第1基板30側に配置される。接続電極84A,84Bは、画素電極85A,85Bの延在方向に対して垂直に延在する平面視矩形状を呈している。
【0161】
このような構成における制御電極83には、画素電極85A,85Bの形成面積よりも広い開口面積を有する平面視矩形状の開口13Dが画素電極85A,85Bの数に応じて複数形成されている。制御電極83は、画素電極85A,85Bとのショート不良を避けるためにこれら画素電極85A,85Bよりも下層側(第1基板30側)に形成されていることが好ましい。
なお、制御電極83と画素電極85A,85Bとが同じ層に形成されていてもよい。
【0162】
また、図22に示すように、1画素(画素40)内にストライプ状に配列された2つの制御電極93A,93Bを設けても良い。制御電極93A,93Bは、画素電極85A,85Bの延在方向に沿って延在する複数の制御枝部851と、これら複数の制御枝部851を連結する連結部852とを有してなり、各制御枝部851には各画素電極85A,85Bに対応した平面視矩形状の開口13Dがそれぞれ設けられている。
【0163】
このように、平面視矩形状の画素電極85A,85Bを設けることによって、先の実施形態において述べた円形状の画素電極よりも面積が広いため帯電粒子を効率よく集合させることができる。
【0164】
また、電気泳動層32における分散媒および粒子の色の組み合わせを変えてもよい。
例えば、図23(a)では、赤粒子の変わりにマゼンタ粒子を用いた。無色透明な分散媒21(T)中には、マイナスに帯電した黒色の負帯電粒子26(Bk)とプラスに帯電した白色の正帯電粒子27(W)とマゼンタ色の無帯電粒子28(M)が保持されている。この場合、画素電極35Aにプラスの電圧VHを印加するとともに画素電極35Bにマイナスの電圧VLを印加することで薄いマゼンタ表示が可能となる。
なお、帯電粒子としてさらにシアン、イエローを用い、シアン、マゼンタ、イエローのいずれかの帯電粒子を含むサブ画素を設けることにより色相の制御を行うことができ、カラー表示が可能となる。
【0165】
図23(b)では、赤色の分散媒21(R)中に黒色の負帯電粒子26(Bk)および白色の正帯電粒子27(W)が保持されている。この場合、画素電極35Aおよび画素電極35Bに所定の電圧を印加することで赤の明度、彩度の制御が可能である。
【0166】
図23(c)では、マゼンタ色の分散媒21(M)中に黒色の負帯電粒子26(Bk)および白色の正帯電粒子27(W)が保持されている。この場合も、図23(b)と同様にマゼンタの明度、彩度の制御が可能である。
なお、図23(c)では、図23(a)で表示可能なマゼンタ色よりも濃い色の表示が可能である。
また、帯電粒子、無帯電粒子および分散媒の色としてはCMY、RGBなどを用いてもよい。
図23(b)、(c)においてもサブ画素を用いることによりカラー表示が可能である。
【0167】
図24(a)では、無色透明な分散媒21(T)中に、マイナスに帯電したシアン色の負帯電粒子26(C)とプラスに帯電したイエロー色の正帯電粒子27(Y)と、マゼンタの無帯電粒子28(M)とが保持されている。この場合も、本発明の駆動方法を用いて画素電極35Aおよび画素電極35Bに所定の電圧を印加することによって薄いカラー表示が可能となる。この場合は、帯電粒子の分布を用いて明度、彩度だけでなく色相の制御も行なう。明度、彩度、色相の制御には帯電粒子の分布する面積も用いるが、粒子を混在させることによる混色も用いる。例えば、シアン粒子の近くにイエロー粒子が存在する領域では、両粒子で反射した光は両者の共通の透過光である緑色となり、緑色の光のみが観察側に反射する。このように、異なる色粒子で反射、散乱させることによって混色を得る。
このような帯電粒子の混在は、図23(a)の白色の正帯電粒子27(W)、黒色の負帯電粒子26(Bk)、マゼンタの無帯電粒子28(M)の各々をシアン、マゼンタ、イエローのいずれかの粒子に置き換えたような状態である。また、無帯電粒子と帯電粒子間でも混在すれば混色が可能である。
この方法ではサブ画素を用いないので、隔壁のようなサブ画素の分離手段も用いない。
【0168】
図24(b)では、図24(a)の無色透明の分散媒21(T)に代えてマゼンタ色の分散媒21(M)を用いた。また、マゼンタ色の無帯電粒子は用いていない。この場合、画素電極35Aにプラスの電圧VHを印加するとともに画素電極35Bにマイナスの電圧VLを印加することによって濃いマゼンタ表示が可能である。
【0169】
図24(c)では、無色透明な分散媒21(T)中に、マイナスに帯電したシアンの負帯電粒子26(C)と、プラスに帯電した赤色の正帯電粒子27(R)と、無帯電粒子である透明粒子29が保持されている。この場合、画素電極35Aにプラスの電圧VHを印加するとともに画素電極35Bにマイナスの電圧VLを印加することによって白表示が可能となる。対向電極37から入射した光は分散媒21(T)中に浮遊している透明粒子29によって乱反射されて表示面(対向電極37)側から放出される。これにより明るい白表示が得られる。
このように、透明粒子29を混在させておくことにより、分散媒21中において光を効果的に散乱させることができ、表示輝度を向上させることができる。その結果、高いコントラスト表示が可能となる。
【0170】
また、ここでは赤とその補色であるシアンとの組み合わせの例を示しており、画素電極35Aおよび画素電極35Bに印加する電圧の大きさを制御して、シアンの負帯電粒子26(C)および赤色の正帯電粒子27(R)の一部をそれぞれ対向電極37側へと移動させて各々を3次元的に混在(分布)させることで黒表示が可能である。
【0171】
なお、他の補色の組み合わせである青とイエロー、緑とマゼンタも可能である。これらのサブ画素を並置させ、1画素としてカラー表示を行うことも可能である。
本発明のように、着色分散媒と着色粒子とを任意に組み合わせることによりフルカラー表示が可能となる。
【0172】
また、図25に示すように1粒子系の電気泳動表示装置にすることもできる。
図25に示す電気泳動層32には、黒色の分散媒21(Bk)中にプラスに帯電した白色の正帯電粒子27(W)が保持されている。第1基板30上には複数の画素電極35とこの画素電極35の周囲に制御電極13とが形成されている。そして、ここでは、画素電極35にプラス電圧を印加すると、この電圧に対応する電位と対向電極37のグランド電位との電位差(電圧)に起因する電界によってプラスに帯電した正帯電粒子27(W)は対向電極37側に移動する。また、同時に制御電極13にもプラス電圧を印加することによって、正帯電粒子27(W)が制御電極13上へと引き寄せられることなく対向電極37側へと確実に移動する。
例えば、画素電極35A(図中左側)に中程度の大きさのプラス電圧Vh(Vh<VH)を印加すると、画素電極35Aに印加される電圧があまり大きくないため対向電極37側であまり広がらずに分布し、正帯電粒子27(W)が狭い範囲に集中してスポット的な分布を実現できる。また、移動する粒子数も少なくなる。よって、ここでは小さい面積の白表示が表現できる。
【0173】
これに対して、図中右側に示す画素電極35Bに大きなプラス電圧VH(正の最大値)を印加すると、画素電極35Bと対向電極37との間の電位差(電圧)は上記の場合より大きくなるため、画素電極35Aと対向電極37との間により大きな電界が生じる。このため、プラス電圧Vhを印加した画素電極35A側より多くの正帯電粒子27(W)が第2基板31上へと移動し、典型的にはほぼ全ての正帯電粒子27(W)が移動する。また、電界が大きくなったことに伴って、画素電極35Bからの斜め電界も大きくなるため、正帯電粒子27(W)は当該斜め電界によって第2基板31に平行な方向についてもより広い範囲に分散し、平面視での分布範囲が広がることになる。よって、画素電極35B上では画素電極35A上よりも広い面積の白表示を表現することができる。
【0174】
なお、対向電極37に正帯電粒子27(W)を移動させない場合、つまり各画素電極35にマイナスの電圧を印加してすべての正帯電粒子27(W)を画素電極35上に集めた場合には黒色の分散媒21(B)の色が第2基板31側から視認されるため、画素全体が黒表示になる。
【0175】
このように1粒子系の電気泳動表示装置にも対応することができ、この場合も、制御電極13に帯電粒子をはじくような電圧を印加することによって、第1基板30上の画素電極35がない領域に滞留させることなく粒子を移動させることが可能となる。これにより、視認性のよい安定した表示を行うことができる。
また、対向電極37に到達する正帯電粒子27(W)の数と分布状態(分布領域)を制御することで黒表示または白表示、あるいは黒から白までの中間階調の表示を制御できる。また、この画素電極35を1つの画素内で島状に複数設けることにより、より制御性良く表示をコントロールできる。
【0176】
また、図25においては、プラスに帯電した白色の正帯電粒子27(W)を用い、黒色の分散媒21(Bk)を用いたが、粒子の帯電の極性と色、分散媒の色は限定するものではなく、他の組み合わせを用いることも可能である。
図25の1粒子系では2つの画素電極35A、35Bを用いており、図示していないが、実施例1で説明したようにそれぞれの画素電極にトランジスタTR1、TR2が接続されている。平面視の構成は図6と同様である。また、駆動方法は図11、12で説明したものと基本的に同じである。ここでは図25に示したように2つの画素電極35A、35Bに同時に電圧を印加することができる。図11(b)と図12(a)の動作を1回で行なう。その時、制御電極13にはプラスの電圧が印加される。ただし図11のように順次印加をおこなうことも可能である。異極性の粒子が存在しないため図11(a)に相当する第1のプリセット動作のみ行い、第2のプリセット動作は行なわない。
また、1粒子系においては、1つのトランジスタTR1で1画素を構成することも可能である。この場合は図6のトランジスタTR2およびそれに接続された電極を除去した構成となる。駆動方法は図11、12で説明したものと基本的に同じである。画素電極35Bが存在しないため図12(a)、(b)を省略し、図11(a),(b)の粒子26(Bk)の極性をマイナスからプラスに変更したものとなり、その2つを交互に繰り返すものになる。
上記において帯電粒子の極性はプラスに限る必要は無い。
【0177】
また、画素電極の平面視における形状は、円形状以外に四角形状(正方形状)や長方形状であってもよく、図26(a),(b),図27(a),(b)に示すように、各画素電極35がコンタクトホールHを介して下層側の接続電極44と確実に接続されていればその他の形状であってもよい。例えば、図28に示すような平面視で略星型を呈する形状としてもよく、隣り合う画素電極35A,35Bに向かって部分的に突出する形状にすることで、隣り合う画素電極35A,35B側へ電界が向かいやすくなり、混色が生じやすくなるという効果が得られる。
【0178】
ここでは、画素電極35A,35Bの配置が平面視で六角形をなす配置であることから、6つの突出部を有した形状となっている。画素電極35A,35Bの配置が平面視で三角形をなす配置である場合は3つの突出部を有した形状とすることで同様の効果が得られるようになる。このように、画素電極の形状としては様々な形状を適用できる。
【0179】
また、図26(b)に示すように、コンタクトホールH内が画素電極35によって埋められた形状とし、粒子がコンタクトホール内に入り込むのをあらかじめ防止するような構成としてもよい。
また、各実施形態では液体の分散媒を用いているが、分散媒は気体でも良い。
また、分散媒21中に含まれる各種粒子としては、粒子の中心を空洞にした構造のものを用いても良い。このような構成によれば、粒子の表面で光を散乱させることに加えて、粒子内部の、空洞を構成する壁面においても光を散乱させることができ、光の散乱効率を向上させることが可能となる。よって、白、及びその他の色の発色性を向上させることができる。
【0180】
[電子機器]
次に、上記各実施形態の電気泳動表示装置を電子機器に適用した場合について説明する。
図29は、本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
図29(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。
【0181】
図29(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
【0182】
図29(c)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1202を備えている。
【0183】
例えば電子ブックや電子ペーパーなどは、白地の背景上に文字を繰り返し書き込む用途が想定されるため、消去時残像や経時的残像の解消が必要とされる。
なお、本発明の電気泳動表示装置を適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。
【0184】
以上の電子ブック1000、腕時計1100及び電子ペーパー1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置が採用されているので、カラー表示手段を備えた電子機器となる。
【0185】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【0186】
図30は、電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図である。
上記した図2では、画素電極35Aから対向電極37側に向かって負帯電粒子26(Bk)の一部が移動して、移動した大多数の帯電粒子が対向電極37に到達してその近傍に位置している。しかし実際には、図30に示すように、画素電極35Aに所定のマイナス電圧が印加されると、画素電極35Aを離れた帯電粒子のすべてが対向電極37に到達するのではなく、画素電極35Aと対向電極37との間の分散媒21(T)中に位置(浮遊)する負帯電粒子26(Bk)もいくつか存在する。この場合においても、透明な分散媒21(T)中に位置する黒色の負帯電粒子26(Bk)を含めた、対向電極37側から見た実効的な粒子の分布面積により階調や混色を表現する。
【0187】
図31(a),(b)は、電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図であって、(a)はプラス電圧印加時、(b)はマイナス電圧印加時の様子を示している。
全ての帯電粒子を画素電極35近傍、あるいは対向電極37近傍に移動させるためには、ある程度長い時間又は大きな電圧を印加する必要がある。
図31(a)に示すように、画素電極35Aに対するプラス電圧VHの印加時間が短い場合は、全ての負帯電粒子26(Bk)が画素電極35側へと移動しきらず、一部の負帯電粒子26(Bk)が分散媒21(T)中に位置することになる。また、図31(b)に示すように、画素電極35Aへのマイナス電圧VLの印加時間が短い場合には、全ての負帯電粒子26(Bk)が対向電極37側へと移動しきらず、一部の負帯電粒子26(Bk)が分散媒21(T)中に位置することになる。
この場合においても、分散媒21(T)中の負帯電粒子26(Bk)を含めた対向電極37側から見た実効的な粒子の分布面積により階調や混色を表現する。
【0188】
以上のように、一部の帯電粒子が分散媒中に位置していても、電気泳動表示装置の動作は可能である。これは、1画素中に互いに独立して駆動される2種の画素電極を用いた場合も同様である。
【0189】
図32は、1画素におけるレイアウトの変形例(図7に示す構成の変形例)を示す断面図である。
図32に示すように、ここでは、素子基板300の最上層に島状の画素電極35を用いない構成となっており、それ以外は先の実施形態と同様である。
本実施例では、第1基板30上に積層された層間絶縁膜42,43を共に貫通するようにして形成された貫通孔71内において、接続電極44(44A,44B)の一部が露出している。層間絶縁膜42,43には、接続電極44を部分的に露出させるための貫通孔71が多数形成されている。具体的には、トランジスタTR(TR1,TR2)のドレイン電極41dに接続された接続電極44(44A,44B)と重なるようにこれらの形状に倣って多数の貫通孔71が所定の間隔をおいて形成されており、各貫通孔71を介して接続電極44(44A,44B)が部分的に露出する構成となっている。これら多数の貫通孔71内で露出する接続電極44(44A,44B)の一部は、先の実施形態で用いた島状の画素電極35(35A,35B)と同様の機能を果たすものであり、電気泳動層32と接している。このような構成であっても、電気泳動表示装置としての動作は、先の実施形態と同様である。
【0190】
このような構成において、例えば、接続電極44にマイナス電圧VLを印加すると、図31に示すような正帯電粒子27(W)が貫通孔71内で露出している接続電極44に引き寄せられるようにして、貫通孔71内へ入り込むことになる。このため、接続電極44への電圧の印加をやめた場合でも多数の正帯電粒子27(W)が貫通孔51内に保持されるので、非電圧印加状態へ移行した際の粒子同士の広がりを防止することができる。
【0191】
ここで、接続電極44は、必ずしも絶縁膜から露出させなくてもよい。たとえば、図32では、層間絶縁膜42,43を共に貫通させて接続電極44を露出させる構成としたが、層間絶縁膜43のみを貫通させて、層間絶縁膜42を残しておく構成としても良い。この構成であっても、層間絶縁膜43が除去された部分はこれが存在する他の領域よりも層間絶縁42での電圧降下が少なく、より効率的に電気光学材料に電圧を印加することができる。このため、層間絶縁膜42のみに形成された貫通孔の直下に存在する接続電極44の一部が、実効的に画素電極として機能することになる。
また、図32に示したように画素電極35を別層で設けない場合は、少なくとも貫通孔71内の接続電極44の表面の材料を対向電極37と同一材料とする事が信頼性の点から好ましい。
【0192】
なお、上記した画素電極35A,35B、制御電極45を構成する材料は透明電極に限らない。金属等の他の無機、有機材料を用いてもよい。また、画素電極に反射性を持たせてもよい。
また、以上の説明は電気泳動を用いた表示装置について説明したが、現実にはその中に誘電泳動が含まれることもある。両者が混在する場合は厳密にそれらを分離することは困難である。その場合も本願の説明と同様の現象が発生する場合は本願の1事例と考える事が出来る。
また、粒子26,27等の移動により生じる分散媒21の移動により粒子の移動が補助され、移動しやすくなる事もあるが、この場合も上記と同様である。
【符号の説明】
【0193】
5 表示部、C 領域、13,14,17,18,23,83,93A 制御電極(第1制御電極)、13A,13B,13D, 14A,17A,23A 開口、17a 制御枝部、17b 共通部、21 分散媒、26 負帯電粒子、27 正帯電粒子、28 無帯電粒子、29 透明粒子、30 第1基板、31 第2基板、32 電気泳動層、35A 画素電極(第1電極)、35B 画素電極(第3電極)、37 対向電極(第2電極)、40,40A,40B 画素、41a 半導体層、41b ゲート絶縁膜、41c ソース電極、41d ドレイン電極、41e ゲート電極、42,43 層間絶縁膜、44A,44B 接続電極、45 層間絶縁膜、61 走査線駆動回路、62 データ線駆動回路、66 走査線、66A 第1走査線、66B 第2走査線、68A データ線、68B データ線、85A 画素電極、85B 画素電極、H1,H2 コンタクトホール、T1 第1プリセット期間、T2 画像表示期間、T3 第2プリセット期間、VH プラス電圧、VL,Vl マイナス電圧、100 電気泳動表示装置、300 素子基板、310 対向基板、TR1 選択トランジスタ、TR2 選択トランジスタ、1000 電子ブック(電子機器)、1100 腕時計(電子機器)、1200 電子ペーパー(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入されたプラス又はマイナスに帯電した粒子とを有する電気泳動層と、
前記第1基板の前記電気泳動層側に画素ごとに島状に形成され、互いに独立に駆動される第1電極と、
前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極よりも広い面積の第2電極と、
前記第1電極に接続されるトランジスタと、
第1の前記トランジスタのドレイン電極上のうち前記第1電極が存在しない領域の少なくとも一部に配置される第1制御電極と、を備え、
前記第1制御電極には前記粒子をはじく電位が印加されることを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記粒子をはじく電位が、前記第2電極の電位と同電位、前記第1電極の電位と同電位、又は前記第1電極の電位と前記第2電極の電位との間の電位であることを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
前記第1制御電極が、前記第1電極が形成された層と第1の前記トランジスタのドレイン電極が形成された層との間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の電気泳動表示装置。
【請求項4】
前記第1制御電極が、前記第1電極が形成された層と同じ層に形成されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項5】
前記第1制御電極には前記第1電極と対向する位置に、前記第1電極の面積よりも大きい面積を有する開口が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項6】
前記開口が前記第1電極の平面視における形状と相似形状を呈することを特徴とする請求項5記載の電気泳動表示装置。
【請求項7】
複数の前記第1電極どうしは、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された第1接続電極により相互に接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項8】
前記第1基板の前記電気泳動層側に前記画素ごとに形成され、前記第1電極とは独立に駆動される第3電極と、
前記第3電極に接続される第2の前記トランジスタと、を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項9】
第2の前記トランジスタのドレイン電極上のうち前記第3電極が存在しない領域の少なくとも一部に第2制御電極が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の電気泳動表示装置。
【請求項10】
複数の前記第1電極どうしは、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された第1接続電極により相互に接続されており、
複数の前記第3電極どうしは、前記第3電極より前記第1基板側の層に形成された第2接続電極により相互に接続されていることを特徴とする請求項8または9に記載の電気泳動表示装置。
【請求項11】
第1の走査線、第2の走査線、第1のデータ線、第2のデータ線を有し、
前記画素には、前記第1の走査線、前記第1のデータ線に接続された第1の前記トランジスタと、前記第2の走査線、前記第2のデータ線に接続された第2の前記トランジスタとが配置され、
前記第1制御電極は、前記第1のトランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成され、
前記第2制御電極は、前記第2のトランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の電気泳動表示装置。
【請求項12】
前記分散媒中にプラスに帯電した第1の前記粒子と、マイナスに帯電した、前記第1の粒子とは異なる色の第2の前記粒子とが混在されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項13】
第1基板および第2基板と、前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入されたプラス又はマイナスに帯電した粒子とを有する電気泳動層と、前記第1基板の前記電気泳動層側に画素ごとに島状に形成され、互いに独立に駆動される第1電極と、前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極よりも広い面積の第2電極と、前記第1電極に接続されるトランジスタと、を備え、第1の前記トランジスタのドレイン電極上のうち前記第1電極が存在しない領域の少なくとも一部に第1制御電極が配置されており、前記第2電極側から前記電気泳動層を見たときに視認される前記粒子の面積により階調を制御する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記第1電極および前記第2電極に対して前記粒子を前記第1電極側に引き寄せる第1の動作と、
前記第1電極および前記第2電極に対して前記粒子を前記第2電極側に引き寄せる第2の動作と、を備え、
前記第1および前記第2の動作において、前記第1制御電極に帯電した前記粒子をはじく電位を印加することを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項14】
前記第1制御電極を前記第2電極の電位と同電位、前記第1電極の電位と同電位、又は前記第1電極の電位と前記第2電極の電位との間の電位にすることを特徴とする請求項13記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項15】
帯電した前記粒子の前記第2基板側における2次元あるいは3次元的な分布を前記第1電極、前記第2電極に印加する電圧の大きさおよび印加時間によって制御することを特徴とする請求項13または14に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項16】
前記印加時間をパルス幅あるいはフレーム数によって制御することを特徴とする請求項15記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項17】
前記電気泳動表示装置は、前記第1基板の前記電気泳動層側に第3電極を有し、
前記第1電極および前記第3電極に対して互いに異なる電圧を同時に印加することを特徴とする請求項13から16のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項18】
前記電気泳動表示装置は、前記第1基板の前記電気泳動層側に第3電極を有し、
前記第1電極および前記第3電極に対して互いに異なる電圧を順次印加することを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項19】
前記電気泳動表示装置は、前記第1基板の前記電気泳動層側に第3電極を有し、
前記第1電極に、前記第2電極に対して正極性の電圧を印加し、前記第3電極に、前記第2電極に対して負極性の電圧を印加することにより、前記粒子を前記第1電極側および前記第3電極側に引き寄せる、第1のプリセット動作と、
前記第1電極に、前記第2電極に対して負極性の電圧を印加し、前記第3電極に、前記第2電極に対して正極性の電圧を印加することにより、前記粒子を前記第1電極側および前記第3電極側に引き寄せる、第2のプリセット動作と、を有することを特徴とする請求項13から18のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項20】
前記第1のプリセット動作と前記第2のプリセット動作とを交互に行うことを特徴とする請求項19記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項21】
前記第3電極に接続される第2の前記トランジスタを有し、
前記第2のトランジスタのドレイン電極上のうち前記第3電極が存在しない領域の少なくとも一部に前記第1制御電極とは独立に駆動される第2制御電極が配置されていることを特徴とする請求項17から20のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項22】
第1の色の前記粒子がマイナスに帯電し、第2の色の前記粒子がプラスに帯電していることを特徴とする請求項13から21のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項23】
請求項1から12のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−3231(P2012−3231A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56718(P2011−56718)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】