電気泳動表示装置及びその駆動方法並びに電子機器
【課題】電気泳動表示装置において、低消費電力で高品位な画像を表示する。
【解決手段】電気泳動表示装置は、第1のデータ線(51)からの画像信号を、走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子(24a)と、第1のスイッチング素子からの画像信号を保持する第1のメモリ回路(27a)と、第1の制御線(94)からの第1の制御電位を、第1のメモリ回路に保持された画像信号に応じて、画素電極(21)に出力する第2のスイッチング素子(26a)と、第2のデータ線(52)からの反転画像信号を、走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子(24b)と、第3のスイッチング素子からの反転画像信号を保持する第2のメモリ回路(27b)と、第2の制御線(95)からの第2の制御電位を、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号に応じて、画素電極に出力する第4のスイッチング素子(26b)とを備える。
【解決手段】電気泳動表示装置は、第1のデータ線(51)からの画像信号を、走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子(24a)と、第1のスイッチング素子からの画像信号を保持する第1のメモリ回路(27a)と、第1の制御線(94)からの第1の制御電位を、第1のメモリ回路に保持された画像信号に応じて、画素電極(21)に出力する第2のスイッチング素子(26a)と、第2のデータ線(52)からの反転画像信号を、走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子(24b)と、第3のスイッチング素子からの反転画像信号を保持する第2のメモリ回路(27b)と、第2の制御線(95)からの第2の制御電位を、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号に応じて、画素電極に出力する第4のスイッチング素子(26b)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置及びその駆動方法並びに電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気泳動表示装置は、複数の画素によって次のように表示を行う表示部を有する。各画素では、画素スイッチング素子を介してメモリ回路に画像信号を書き込んだ後、書き込まれた画像信号に応じた電位により画素電極が駆動され、共通電極との間に電位差が生じる。これによって、画素電極及び共通電極間の電気泳動素子に含まれる電気泳動粒子を、画素電極側或いは共通電極側に移動させることにより表示を行う。例えば特許文献1には、このような画素について、メモリ回路としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)を含む構成やSRAM(Static Random Access Memory)を含む構成が開示されている。例えば特許文献2には、各画素に、2値表示信号を保持するメモリ素子と、メモリ素子に保持された信号により端子間をオンオフするスイッチ素子とを備えたアクティブマトリクス型表示装置が開示されている。
【0003】
一方、この種の電気泳動表示装置では、上述したように画素電極及び共通電極間に電位差を与えて電気泳動粒子を移動させることで表示を行うため、既に表示している画像(即ち、元画像)から次に表示する画像(即ち、新画像)に表示を切り替える際に、残像が発生し易い。そこで、この種の電気泳動表示装置では、元画像から新画像に表示を切り替える際、新画像を表示する前に、例えば全黒画像や全白画像、或いは反転画像などを表示部に短期間表示させる予備表示動作が行われる(例えば特許文献3参照)。このような予備表示動作によって、残像の発生を抑制することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−84314号公報
【特許文献2】特開平8−194205号公報
【特許文献3】特開2007−206471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された技術では、上述した予備表示動作を行う際(即ち、元画像から新画像に表示を切り替えるたびに)、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等に係る画像信号を各画素のメモリ回路に書き込む必要があるため、電気泳動表示装置の消費電力が高くなってしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減可能な電気泳動表示装置及びその駆動方法並びに該電気泳動表示装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気泳動表示装置は上記課題を解決するために、電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えた電気泳動表示装置であって、前記画素毎に形成された画素電極と、前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、走査信号を供給する走査線と、画像信号を供給する第1のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、第1の制御電位を供給する第1の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、第2の制御電位を供給する第2の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子とを備える。
【0008】
本発明の電気泳動表示装置によれば、その動作時には、一対の基板間に挟持された電気泳動素子に、画素毎に、一対の基板のうち例えば素子基板である一方の基板上に画素毎に形成された画素電極と、一対の基板のうち例えば対向基板である他方の基板上に例えばベタ状に設けられた例えば共通電極との間に画像信号に応じた電圧が印加されることにより、表示部に画像が表示される。
【0009】
より具体的には、例えばマイクロカプセルである電気泳動素子の内部には、電気泳動粒子として、例えば負に帯電された複数の白色粒子と正に帯電された複数の黒色粒子とが含まれている。電気泳動素子では、画素電極及び共通電極間に印加される電圧に応じて、負に帯電された複数の白色粒子及び正に帯電された複数の黒色粒子のうち一方が画素電極側に移動(即ち、泳動)し、他方が共通電極側に移動する。これにより、移動された電気泳動粒子に応じた画像が一対の基板のうち他方の基板側(即ち、共通電極側)に表示される。
【0010】
画像信号は、画素毎に、第1のデータ線によって供給される。また、第2のデータ線からは、画素毎に、画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号(言い換えれば、画像信号と相補関係にある信号、即ち、画像信号の電位を、異なる色調を表示させるための電位に反転させた信号、例えば、画像信号の電位がハイレベル(例えば15V)である場合には、ローレベル(例えば0V)の電位を有すると共に、画像信号の電位がローレベル(例えば0V)である場合には、ハイレベル(例えば15V)の電位を有する信号)が供給される。第1及び第2のデータ線は、例えば一対の基板のうち一方の基板上に、走査信号を供給する走査線と互いに交差するように設けられている。画素電極は、例えば第1及び第2のデータ線と走査線との交差に対応してマトリクス状に複数設けられている。
【0011】
本発明では特に、画素毎に、4つのスイッチング素子(即ち、第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子)と、2つのメモリ回路(即ち、第1及び第2のメモリ回路)とを備えている。第1のデータ線に供給される画像信号は、走査線に供給される走査信号のタイミングに応じて、例えばトランジスタからなる第1のスイッチング素子によって、例えば容量素子を含んでなる第1のメモリ回路に出力される。これにより、第1のメモリ回路に画像信号が保持される。第2のスイッチング素子は、第1のメモリ回路に保持された画像信号に応じて、第1の制御線から入力される第1の制御電位を画素電極に出力する。例えば、第1のメモリ回路に保持された画像信号の電位がハイレベルである場合には、第2のスイッチング素子はオン状態とされ、第1の制御線から例えばハイレベルの電位を有する第1の制御電位が第2のスイッチング素子を介して画素電極に供給され、第1のメモリ回路に保持された画像信号の電位がローレベルである場合には、第2のスイッチング素子はオフ状態とされ、第1の制御線と画素電極との間は第2のスイッチング素子によって電気的に切断される。一方、第2のデータ線に供給される反転画像信号は、走査線に供給される走査信号のタイミングに応じて、例えばトランジスタからなる第3のスイッチング素子によって、例えば容量素子を含んでなる第2のメモリ回路に出力される。これにより、第2のメモリ回路に反転画像信号が保持される。第4のスイッチング素子は、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号に応じて、第2の制御線から入力される第2の制御電位を画素電極に出力する。例えば、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号の電位がハイレベルである場合には、第4のスイッチング素子はオン状態とされ、第2の制御線から例えばローレベルの電位を有する第2の制御電位が第4のスイッチング素子を介して画素電極に供給され、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号の電位がローレベルである場合には、第4のスイッチング素子はオフ状態とされ、第2の制御線と画素電極との間は第4のスイッチング素子によって電気的に切断される。ここで、反転画像信号は画像信号を基準電位に対して極性反転させた信号であり、第2のスイッチング素子は第1のメモリ回路に保持された画像信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられ、第4のスイッチング素子は第2のメモリ回路に保持された反転画像信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられるので、第2のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とではオン状態及びオフ状態が互いに異なる。即ち、第2のスイッチング素子がオン状態の場合には、第4のスイッチング素子はオフ状態となり、第2のスイッチング素子がオフ状態の場合には、第4のスイッチング素子はオン状態となる。
【0012】
よって、例えばハイレベルの電位を有する第1の制御電位又は例えばローレベルの電位を有する第2の制御電位を、画像信号に応じて画素電極に供給することが可能となる。
【0013】
更に、第1の制御電位及び第2の制御電位を制御することにより、第1のメモリ回路に保持された画像信号及び第2のメモリ回路に保持された反転画像信号を書き換えることなく、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等の予備表示動作に係る画像が表示部に表示されるように、画素電極の電位を制御することができる。例えば、第1及び第2の制御電位のいずれもがハイレベルの電位を有するように制御されることで、表示部に例えば全黒画像を表示することができる。或いは、例えば、第1及び第2の制御電位のいずれもがローレベルの電位を有するように制御されることで、表示部に例えば全白画像を表示することができる。或いは、例えば、第1の制御電位がローレベルの電位を有するように制御されると共に第2の制御電位がハイレベルの電位を有するように制御されることで、表示部に例えば反転画像を表示することができる。よって、第1のメモリ回路に予備表示動作に係る画像信号を新たに書き込むことなく、或いは、第2のメモリ回路に予備表示動作に係る反転画像信号を新たに書き込むことなく、表示部に例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等を表示する予備表示動作を行うことが可能となる。従って、残像を低減できると共に、予備表示動作に係る消費電力を節約でき、電気泳動表示装置の消費電力を低減できる。
【0014】
以上説明したように、本発明の電気泳動表示装置によれば、残像が低減された高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減できる。
【0015】
本発明の電気泳動表示装置の一態様では、前記第1のスイッチング素子は、(i)前記第1のデータ線に電気的に接続された第1の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第1のゲート電極、及び(iii)第1の出力側端子を有する第1のトランジスタからなり、前記第1のメモリ回路は、前記第1の出力側端子に電気的に接続された第1の容量素子を含んでなり、前記第2のスイッチング素子は、(i)前記第1の制御線に電気的に接続された第2の入力側端子、(ii)前記第1の出力側端子及び前記第1の容量素子に電気的に接続された第2のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第2の出力側端子を有する第2のトランジスタからなり、前記第3のスイッチング素子は、(i)前記第2のデータ線に電気的に接続された第3の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第3のゲート電極、及び(iii)第3の出力側端子を有する第3のトランジスタからなり、前記第2のメモリ回路は、前記第3の出力側端子に電気的に接続された第2の容量素子を含んでなり、前記第4のスイッチング素子は、(i)前記第2の制御線に電気的に接続された第4の入力側端子、(ii)前記第3の出力側端子及び前記第2の容量素子に電気的に接続された第4のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第4の出力側端子を有する第4のトランジスタからなる。
【0016】
この態様によれば、表示部の各画素における構成を比較的簡易な構成とすることができ、実践上有利である。
【0017】
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Nチャネル型のトランジスタである。
【0018】
この態様によれば、第1、第2、第3及び第4のトランジスタを、アモルファス半導体を用いて容易に形成することが可能となる。よって、製造コストを低減できると共に、信頼性を向上させることができる。尚、アモルファス半導体を用いてPチャネル型のトランジスタを形成することは、アモルファス半導体を用いてNチャネル型のトランジスタを形成することと比較して困難である。
【0019】
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Nチャネル型のトランジスタである。
【0020】
この態様によれば、第1、第2、第3及び第4のトランジスタの全てをNチャネル型のトランジスタとして容易に形成することができるので、製造コストを低減できると共に、信頼性を向上させることができる。
【0021】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法は上記課題を解決するために、電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えており、前記画素毎に形成された画素電極と、前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、走査信号を供給する走査線と、画像信号を供給する第1のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、第1の制御電位を供給する第1の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、第2の制御電位を供給する第2の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子とを備える電気泳動表示装置を駆動する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記第1のデータ線から前記第1のスイッチング素子を介して前記第1のメモリ回路に前記画像信号を書き込むと共に、前記第2のデータ線から前記第3のスイッチング素子を介して前記第2のメモリ回路に前記反転画像信号を書き込む第1の工程と、(i)前記第1の制御線から前記第1の制御電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御線から前記第2の制御電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、前記共通電極に共通電位を供給することで、前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加することにより前記表示部に画像を表示する第2の工程とを含む。
【0022】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、上述した本発明に係る電気泳動表示装置を好適に駆動することができる。ここで特に、第2の工程において、第1の制御電位及び第2の制御電位を制御することにより、第1のメモリ回路に保持された画像信号及び第2のメモリ回路に保持された反転画像信号を書き換えることなく、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等の予備表示動作に係る画像が表示部に表示されるように、画素電極の電位を制御することができる。よって、残像を低減できると共に、予備表示動作に係る消費電力を節約できる。即ち、高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減できる。
【0023】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の一態様では、前記第2の工程において、(i)前記第1の制御電位として第1電位及び該第1電位より低い第2電位のいずれか一方の電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御電位として前記第1電位及び前記第2電位のいずれか一方の電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、前記共通電位として前記第1電位と前記第2電位とを所定の周期で繰り返すように供給する。
【0024】
この態様によれば、第2の工程において、画素電極及び共通電極間には、第1電位と第2電位との電位差が、所定の周期で繰り返して印加される。言い換えれば、第2の工程では、画素電極及び共通電極間に第1電位と第2電位との電位差が印加される期間と、画素電極及び共通電極間に電位差が印加されない期間とが繰り返される。ここで、本明細書では、共通電極に、共通電位として第1電位と第2電位とを繰り返すように供給することを「コモン振り駆動」と適宜称する。即ち、第2の工程では、コモン振り駆動を行う。よって、第2の工程において、画素電極及び共通電極間に第1電位と第2電位との電位差を印加することができ、電気泳動素子中の電気泳動粒子を確実に移動させることができる(言い換えれば、例えばマイクロカプセルである電気泳動素子の被膜に固着した電気泳動粒子を引き剥がすことができる)。更に、コモン振り駆動によれば、画素電極及び共通電極に印加する電位をハイレベルとローレベルとの2値により制御可能であるため、低電圧化が図れると共に、回路構成をシンプルにすることができる。加えて、各スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いた場合には、低電圧駆動によりTFTの信頼性を確保することができるというメリットがある。
【0025】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の他の態様では、前記第2の工程の後に、前記第1の制御線及び前記第2の制御線の一方に前記共通電位と異なる電位を供給することで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべき画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加すると共に、(i)前記第1の制御線及び前記第2の制御線の他方に前記共通電位と同一の電位を供給する、又は(ii)前記他方を電気的に切断されたハイインピーダンス状態とすることで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべきでない画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加しないことにより、前記表示部に表示された画像を部分的に書き換える第3の工程を含む。
【0026】
この態様によれば、第3の工程によって、表示部に表示された画像を部分的に書き換える(即ち、複数の画素のうち書き換えるべき画素のみにおける画素電極及び共通電極間に電圧を印加する)ので、消費電力を低減できる。
【0027】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気泳動表示装置を備える。
【0028】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気泳動表示装置を具備してなるので、消費電力が低減され、高品位な表示を行うことが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0029】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0031】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図10を参照して説明する。
【0032】
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0033】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【0034】
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、表示部3と、コントローラ10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、電源回路210と、共通電位供給回路220とを備えている。
【0035】
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本の第1データ線51(即ち、第1データ線X1a、X2a、…、Xna)及びn本の第2データ線52(即ち、第2データ線X1b、X2b、…、Xnb)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本の第1データ線51及び第2データ線52は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本の第1データ線51及び第2データ線52との交差に対応して画素20が配置されている。
【0036】
コントローラ10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70、電源回路210及び共通電位供給回路220の動作を制御する。具体的には、コントローラ10は、例えばクロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。尚、コントローラ10は、図2を参照して後述するスイッチ92s、93s、94s及び95sのオンオフ状態も制御する。
【0037】
走査線駆動回路60は、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
【0038】
データ線駆動回路70は、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、第1データ線X1a、X2a、…、Xnaに画像信号を供給する。画像信号は、ハイレベル(即ち、高電位レベル、例えば15V)又はローレベル(即ち、低電位レベル、例えば0V)の2値的なレベルをとる。データ線駆動回路70は更に、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、第2データ線X1b、X2b、…、Xnbに反転画像信号を供給する。反転画像信号は、画像信号の2値的なレベルを反転させた信号であり、例えば画像信号がハイレベルの場合は、反転画像信号はローレベルであり、画像信号がローレベルの場合は、反転画像信号はハイレベルである。即ち、反転画像信号もハイレベル又はローレベルの2値的なレベルをとる。例えば、画像信号が、ハイレベルとして15Vの電位をとり、ローレベルとして0Vの電位をとる場合には、反転画像信号は、7.5Vを基準電位として極性を反転させた信号である。
【0039】
電源回路210は、低電位電源線92に低電位電源電位Vssを供給し、第1の制御線94に第1の制御電位S1を供給し、第2の制御線95に第2の制御電位S2を供給する。尚、ここでは図示を省略するが、低電位電源線92、第1の制御線94及び第2の制御線95の各々は、電気的なスイッチ(即ち、図2を参照して後述するスイッチ92s、94s及び95s)を介して電源回路210に電気的に接続されている。
【0040】
共通電位供給回路220は、共通電位線93に共通電位Vcomを供給する。尚、ここでは図示を省略するが、共通電位線93は、電気的なスイッチ(即ち、図2を参照して後述するスイッチ93s)を介して共通電位供給回路220に電気的に接続されている。
【0041】
尚、コントローラ10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70、電源回路210及び共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
【0042】
図2は、画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0043】
図2において、画素20は、画素電極21と、画素電極21と互いに対向するように配置された共通電極22と、画素電極21及び共通電極22間に設けられた電気泳動素子23と、第1の選択用トランジスタ24aと、第2の選択用トランジスタ24bと、第1のキャパシタ27aと、第2のキャパシタ27bと、第1の制御用トランジスタ26aと、第2の制御用トランジスタ26bとを備えている。尚、第1の選択用トランジスタ24aは、本発明に係る「第1のスイッチング素子」の一例であり、第2の選択用トランジスタ24bは、本発明に係る「第3のスイッチング素子」の一例であり、第1のキャパシタ27aは、本発明に係る「第1のメモリ回路」の一例であり、第2のキャパシタ27bは、本発明に係る「第2のメモリ回路」の一例であり、第1の制御用トランジスタ26aは、本発明に係る「第2のスイッチング素子」の一例であり、第2の制御用トランジスタ26bは、本発明に係る「第4のスイッチング素子」の一例である。
【0044】
第1の選択用トランジスタ24aは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第1の選択用トランジスタ24aは、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースが第1データ線51に電気的に接続されており、そのドレインが第1のキャパシタ27aに電気的に接続されている。第1の選択用トランジスタ24aは、データ線駆動回路70(図1参照)から第1データ線51を介して供給される画像信号を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、第1のキャパシタ27aに入力する。これにより、第1のキャパシタ27aに画像信号が書き込まれる。
【0045】
第1のキャパシタ27aは、画像信号を保持するための容量素子である。第1のキャパシタ27aの一方の容量電極は、第1の選択用トランジスタ24aのドレイン及び第1の制御用トランジスタ26aのゲートに電気的に接続されている。第1のキャパシタ27aの他方の容量電極は、低電位電源線92に電気的に接続されている。
【0046】
低電位電源線92は、電源回路210(図1参照)から接地電位(或いはグランド電位、例えば0V)である低電位電源電位Vssが供給可能に構成されている。低電位電源線92は、スイッチ92sを介して電源回路210に電気的に接続されている。スイッチ92sは、コントローラ10(図1参照)によってオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されている。スイッチ92sがオン状態とされることで、低電位電源線92と電源回路210とが電気的に接続され、スイッチ92sがオフ状態とされることで、低電位電源線92は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。
【0047】
第1の制御用トランジスタ26aは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第1の制御用トランジスタ26aは、そのゲートが第1のキャパシタ27a及び第1の選択用トランジスタ24aのドレインに電気的に接続されており、そのソースが第1の制御線94に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21に電気的に接続されている。第1の制御用トランジスタ26aは、電源回路210(図1参照)から第1の制御線94を介して供給される第1の制御電位S1を、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号の電位に応じて、画素電極21に出力する。例えば、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号がハイレベルである場合には、第1の制御用トランジスタ26aはオン状態とされ、第1の制御線94から第1の制御電位S1が、オン状態とされた第1の制御用トランジスタ26aを介して画素電極21に供給される。一方、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号がローレベルである場合には、第1の制御用トランジスタ26aはオフ状態とされ、第1の制御線94と画素電極21との間はオフ状態とされた第1の制御用トランジスタ26aによって電気的に切断される。
【0048】
第2の選択用トランジスタ24bは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第2の選択用トランジスタ24bは、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースが第2データ線52に電気的に接続されており、そのドレインが第2のキャパシタ27bに電気的に接続されている。第2の選択用トランジスタ24bは、データ線駆動回路70(図1参照)から第2データ線52を介して供給される反転画像信号を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、第2のキャパシタ27bに入力する。これにより、第2のキャパシタ27bに画像信号が書き込まれる。
【0049】
第2のキャパシタ27bは、反転画像信号を保持するための容量素子である。第2のキャパシタ27bの一方の容量電極は、第2の選択用トランジスタ24bのドレイン及び第2の制御用トランジスタ26bのゲートに電気的に接続されている。第2のキャパシタ27bの他方の容量電極は、第1のキャパシタ27aの他方の容量電極と同様に、低電位電源線92に電気的に接続されている。
【0050】
第2の制御用トランジスタ26bは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第2の制御用トランジスタ26bは、そのゲートが第2のキャパシタ27b及び第2の選択用トランジスタ24bのドレインに電気的に接続されており、そのソースが第2の制御線95に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21に電気的に接続されている。第2の制御用トランジスタ24bは、電源回路210(図1参照)から第2の制御線95を介して供給される第2の制御電位S2を、第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号の電位に応じて、画素電極21に出力する。例えば、第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号がハイレベルである場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオン状態とされ、第2の制御線95から第2の制御電位S2が、オン状態とされた第2の制御用トランジスタ26bを介して画素電極21に供給される。一方、第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号がローレベルである場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオフ状態とされ、第2の制御線95と画素電極21との間はオフ状態とされた第2の制御用トランジスタ26bによって電気的に切断される。
【0051】
ここで、本実施形態では特に、上述したように、第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bの各々は、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。よって、第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bを、アモルファス半導体を用いて容易に形成することが可能である。よって、電気泳動表示装置1の製造コストを低減できると共に、電気泳動表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0052】
尚、このように本実施形態では、第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26b(以下、これらのトランジスタを「トランジスタ24a、24b、26a及び26a」と適宜称する)の各々が、Nチャネル型のトランジスタとして形成される例を挙げているが、本実施形態の変形例として、トランジスタ24a、24b、26a及び26bの各々は、Pチャネル型のトランジスタとして形成されてもよい。この場合には、トランジスタ24a、24b、26a及び26bの全てをPチャネル型のトランジスタとして容易に形成することができるので、製造コストを低減できると共に、信頼性を向上させることができる。
【0053】
また、トランジスタ24a、24b、26a及び26bの各々は、シリコン等の無機半導体材料を含んでなる無機トランジスタとして形成されてもよいし、有機半導体材料を含んでなる有機トランジスタとして形成されてもよい。
【0054】
トランジスタ24a、24b、26a及び26bを有機トランジスタとして形成する場合には、有機半導体材料としては、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)(PTV)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PFO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(BT)、フルオレン−トリアリルアミン共重合体、トリアリルアミン系ポリマー、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジチオフェン)(F8T2)のようなフルオレン−ビチオフェン共重合体等のポリマー有機半導体材料、またC60、あるいは、金属フタロシアニンあるいはそれらの置換誘導体、あるいは、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等のアセン分子材料、あるいは、α−オリゴチオフェン類、具体的にはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)、オクタチオフェンのような低分子系有機半導体のうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
また、これら有機半導体材料を成膜してトランジスタ24a、24b、26a及び26bの半導体部を形成する方法としては、蒸着法、CVD法、キャスト法、引き上げ法、ラングミュアブロジェット法、スプレー法、インクジェット法、シルクスクリーン法等の一般的な成膜方法を用いることができる。
【0056】
図2において、第1の制御線94及び第2の制御線95は、電源回路210からそれぞれ第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2が供給可能に構成されている。第1の制御線94は、スイッチ94sを介して電源回路210に電気的に接続されており、第2の制御線95は、スイッチ95sを介して電源回路210に電気的に接続されている。スイッチ94s及び95sは、コントローラ10によってオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されている。スイッチ94sがオン状態とされることで、第1の制御線94と電源回路210とが電気的に接続され、スイッチ94sがオフ状態とされることで、第1の制御線94は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。スイッチ95sがオン状態とされることで、第2の制御線95と電源回路210とが電気的に接続され、スイッチ95sがオフ状態とされることで、第2の制御線95は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。
【0057】
第1の制御用トランジスタ26aは第1のキャパシタ27aに保持された画像信号によってオン状態及びオフ状態が切り替えられ、第2の制御用トランジスタ26bは第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号(即ち、画像信号の2値的なレベルを反転させた信号)によってオン状態及びオフ状態が切り替えられるので、第1の制御用トランジスタ26aと第2の制御用トランジスタ26bとではオン状態及びオフ状態が互いに異なる。即ち、第1の制御用トランジスタ26aがオン状態の場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオフ状態となり、第1の制御用トランジスタ26aがオフ状態の場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオン状態となる。よって、複数の画素20の各々の画素電極21は、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号に応じて、第1の制御線94又は第2の制御線95に択一的に電気的に接続される。この際、複数の画素20の各々の画素電極21は、スイッチ94s又は95sのオンオフ状態に応じて、電源回路210から第1の制御電位S1又は第2の制御電位S2が供給される、或いはハイインピーダンス状態とされる。
【0058】
より具体的には、ハイレベルの画像信号が供給される(言い換えれば、ローレベルの反転画像信号が供給される)画素20については、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bのうち第1の制御用トランジスタ26aのみがオン状態となり、その画素20の画素電極21は、第1の制御線94に電気的に接続され、スイッチ94sのオンオフ状態に応じて電源回路210から第1の制御電位S1が供給され、又は、ハイインピーダンス状態とされる。一方、ローレベルの画像信号が供給される(言い換えれば、ハイレベルの反転画像信号が供給される)画素20については、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bのうち第2の制御用トランジスタ26bのみがオン状態となり、その画素20の画素電極21は、第2の制御線95に電気的に接続され、スイッチ95sのオンオフ状態に応じて電源回路210から第2の制御電位S2が供給され、又は、ハイインピーダンス状態とされる。
【0059】
画素電極21は、電気泳動素子23を介して共通電極22と互いに対向するように配置されている。
【0060】
共通電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。共通電位線93は、共通電位供給回路220(図1参照)から共通電位Vcomが供給可能に構成されている。共通電位線93は、スイッチ93sを介して共通電位供給回路220に電気的に接続されている。スイッチ93sは、コントローラ10によってオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されている。スイッチ93sがオン状態とされることで、共通電位線93と共通電位供給回路220とが電気的に接続され、スイッチ93sがオフ状態とされることで、共通電位線93は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。
【0061】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0062】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の具体的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。
【0063】
図3は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【0064】
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。尚、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0065】
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して上述した第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1のキャパシタ27a、第2のキャパシタ27b、第1の制御用トランジスタ26a、第2の制御用トランジスタ26b、走査線40、第1データ線51、第2データ線52、低電位電源線92、共通電位線93、第1の制御線94、第2の制御線95等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
【0066】
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極21と対向してベタ状に形成されている。共通電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0067】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されている。
【0068】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び共通電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0069】
図4は、マイクロカプセルの構成を示す模式図である。尚、図4では、マイクロカプセルの断面を模式的に示している。
【0070】
図4において、マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、電気泳動粒子である複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0071】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0072】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0073】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0074】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0075】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と共通電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0076】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0077】
図3及び図4において、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極22側)に白色粒子82が集まることで、表示部3の表示面にこの白色粒子82の色(即ち、白色)を表示することができる。逆に、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子83が集まることで、表示部3の表示面にこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)を表示することができる。
【0078】
更に、画素電極21及び共通電極22間における白色粒子82及び黒色粒子83の分布状態によって、白色と黒色との中間階調である、ライトグレー、グレー、ダークグレー等の灰色を表示することも可能である。また、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等のカラー表示も可能となる。
【0079】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例について、図1及び図2に加えて図5及び図6を参照して説明する。
【0080】
図5は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を説明するためのフローチャートである。図6は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0081】
ここでは、表示動作の一例として、表示部3(図1参照)に表示すべき画像(以下、「正画像」と適宜称する)を表示させる際の動作について説明する。
【0082】
図5及び図6において、先ず、走査線駆動回路60、電源回路210、供給電位供給回路220等の各回路の電源がオンされる(ステップS10)。これにより、ハイインピーダンス状態(HiZ)であった走査線40や第1のキャパシタ27a、第2のキャパシタ27bに、期間T1においてローレベル(図中「Lo」として示す。例えば0V)の電圧が印加される。この際、スイッチ92sはコントローラ10によってオン状態とされている。尚、第2のキャパシタ27bの電圧については、図示を省略している。また、期間T1においては、スイッチ93s、94s及び95sは、コントローラ10によってオフ状態とされ、共通電位線93、第1の制御線94及び第2の制御線95の各々は、ハイインピーダンス状態とされている。尚、第2の制御線95の電圧については、図示を省略している。
【0083】
次に、第1のキャパシタ27aに画像信号を書き込むと共に、第2のキャパシタ27bに反転画像信号を書き込む(ステップS20)。即ち、期間T1に続く期間T2において、走査線駆動回路60からパルス状の走査信号が走査線Y1、Y2、…、Ymに順次に供給され、且つ、走査信号に応じて走査線Y1、Y2、…、Ymのうち一の走査線に対応する一行の画素20が選択される期間において、データ線駆動回路70から複数の第1データ線51(即ち、第1データ線X1a、X2a、…、Xna)に画像信号が供給されると共に複数の第2データ線52(即ち、第2データ線X1b、X2b、…、Xnb)に反転画像信号が供給される。これにより、各画素20では、第1の選択用トランジスタ24a及び第2の選択用トランジスタ24bが走査信号に応じてオン状態とされ、第1データ線51から第1の選択用トランジスタ24aを介して第1のキャパシタ27aに画像信号が書き込まれると共に、第2データ線52から第2の選択用トランジスタ24bを介して第2のキャパシタ27bに反転画像信号が書き込まれる。図6では、第1のキャパシタ27aにハイレベル(図中「Hi」として示す。例えば15V)の画像信号が書き込まれる画素20を例として示しており、期間T1にローレベルであった第1のキャパシタ27aの電圧は、期間T2においてハイレベルとなる。第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号が書き込まれる画素20では、第2のキャパシタ27bにはローレベルの反転画像信号が書き込まれる(即ち、第2のキャパシタ27bの電圧はローレベルとなる)。尚、第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号が書き込まれる(即ち、第1のキャパシタ27aの電圧がローレベルとなる)画素20では、第2のキャパシタ27bにはハイレベルの反転画像信号が書き込まれる(即ち、第2のキャパシタ27bの電圧はハイレベルとなる)。
【0084】
ここで、第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号が書き込まれると共に第2のキャパシタ27bにローレベルの反転画像信号が書き込まれると、第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号が保持されている期間(或いは第2のキャパシタ27bにローレベルの反転画像信号が保持されている期間)中は、第1の制御用トランジスタ26aはオン状態となり、且つ、第2の制御用トランジスタ26bはオフ状態となる。一方、第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号が書き込まれると共に第2のキャパシタ27bにハイレベルの反転画像信号が書き込まれると、第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号が保持されている期間(或いは第2のキャパシタ27bにハイレベルの反転画像信号が保持されている期間)中は、第1の制御用トランジスタ26aはオフ状態となり、且つ、第2の制御用トランジスタ26bはオン状態となる。
【0085】
即ち、各画素20では、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号(及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号)に応じて、第1の制御用トランジスタ27a及び第2の制御用トランジスタ27bのうち一方が択一的にオン状態となる。
【0086】
尚、期間T2においては、期間T1と同様に、スイッチ93s、94s及び95sは、コントローラ10によってオフ状態とされたままであり、共通電位線93、第1の制御線94及び第2の制御線95の各々は、ハイインピーダンス状態とされている。
【0087】
次に、第1の制御線95及び第2の制御線94に第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を夫々供給することにより、各画素20の画素電極21に第1の制御電位S1又は第2の制御電位S2を供給する(ステップS30)。即ち、期間T2に続く期間T3では、スイッチ94s及びスイッチ95sがコントローラ10によってオン状態とされ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2が供給される。これにより、第1の制御用トランジスタ27aがオン状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオフ状態とされた画素20では、画素電極21に第1の制御用トランジスタ27aから第1の制御電位S1が供給される。一方、第1の制御用トランジスタ27aがオフ状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオン状態とされた画素20では、画素電極21に第2の制御用トランジスタ27bから第2の制御電位S2が供給される。図6では、第1の制御電位S1としてハイレベル(例えば15V)で一定の電位が第1の制御線94に供給される場合を例として示している。また、この例では、第2の制御電位S2としてローレベル(例えば0V)で一定の電位が第2の制御線95に供給される。また、図6では、第1の制御用トランジスタ27aがオン状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオフ状態とされた画素20における画素電極21の電圧を示しており、期間T3において、第1の制御線94にハイレベルで一定の第1の制御電位S1が供給されると、画素電極21の電圧はハイレベルとなる。尚、第1の制御用トランジスタ27aがオフ状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオン状態とされた画素20では、画素電極21は第2の制御線95に電気的に接続されるので、第2の制御線95にローレベルで一定の第2の制御電位S2が供給されると、画素電極21の電圧はローレベルとなる。
【0088】
尚、期間T3においては、期間T1及びT2と同様に、スイッチ93sは、コントローラ10によってオフ状態とされたままであり、共通電位線93は、ハイインピーダンス状態とされている。
【0089】
次に、共通電極22に共通電位Vcomを供給する(ステップS40)。即ち、期間T3に続く期間T4では、スイッチ93sがコントローラ10によってオン状態とされ、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてハイレベル(例えば15V)の電位とローレベル(例えば0V)の電位とが所定の周期で繰り返すように供給される。つまり、コモン振り駆動が行われる。これにより、期間T4では、画素電極21及び共通電極22間に電圧(例えば15V)が印加される期間と、画素電極21及び共通電極22間に電圧が印加されない期間とが繰り返される。ここで、複数の画素20のうち、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、画素電極21には第1の制御電位S1(ハイレベル、例えば15V)が供給されている。一方、複数の画素のうち、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、画素電極21には第2の制御電位S2(ローレベル、例えば0V)が供給されている。従って、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、第1の制御電位S1(ハイレベル、例えば15V)が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがローレベル(例えば0V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示が行われる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、第2の制御電位S2(ローレベル、例えば0V)が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがハイレベル(例えば15V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示が行われる。これにより、表示部3には、画像信号に応じた表示すべき正画像が表示される。
【0090】
このように表示すべき正画像が表示部3に表示されると、走査線駆動回路60、電源回路210、供給電位供給回路220等の各回路の電源がオフされる(ステップS50)。これにより、期間T4に続く期間T5において、走査線40や第1のキャパシタ27a、第2のキャパシタ27b、共通電線93、第1の制御線94、第2の制御線95、画素電極21等の各種配線及び各種素子はハイインピーダンス状態(HiZ)とされる。これにより、画素電極21と共通電極22との間には電界が生じなくなるため、マイクロカプセル80内の粒子は、次に新たな電界が生じるまで移動しなくなる。従って、表示部3においては、正画像の表示が維持される。
【0091】
尚、期間T5の後には、表示部3に表示されている画像とは異なる他の画像を表示するために、ステップS10からS50に係る動作が行われてもよい。更に、正画像を表示する前に、図7を参照して後述する予備表示動作が行われてもよい。
【0092】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の予備表示動作について、図1及び図2に加えて、図7を参照して説明する。
【0093】
図7は、第1実施形態における、第1及び第2の制御電位の組み合わせと表示部における表示との関係を示す表である。
【0094】
図5及び図6を参照して上述したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1では、電源回路210から、第1の制御線94に第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されることで、表示部3に正画像が表示される。
【0095】
ここで、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像から新画像に表示を切り替える際の予備表示動作(即ち、例えば全黒画像や全白画像、或いは新画像の反転画像などを表示部に短期間表示させる動作)を行うことができる。予備表示動作は、例えば図6において第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)、新画像(正画像)を表示するための期間T3及びT4の前に行われる。
【0096】
図7に示すように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、図5及び図6を参照して上述した表示動作により第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)に、例えば、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてローレベル(例えば0V)で一定の電位が供給され、且つ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてハイレベル(Hi)の電位が供給されることで、表示部3に全黒画像を表示することができる。より具体的には、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ハイレベル(例えば15V)の第1の制御電位S1が供給される画素電極21と、ローレベル(例えば0V)の共通電位Vcomが供給される共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示を行うことができる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ハイレベル(例えば15V)の第2の制御電位S2が供給される画素電極21と、ローレベル(例えば0V)の共通電位Vcomが供給される共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示を行うことができる。
【0097】
更に、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、図5及び図6を参照して上述した表示動作により第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)に、例えば、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてハイレベル(例えば0V)で一定の電位が供給され、且つ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1としてローレベル(Lo)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されることで、表示部3に全白画像を表示することができる。より具体的には、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ローレベル(例えば0V)の第1の制御電位S1が供給される画素電極21と、ハイレベル(例えば15V)の共通電位Vcomが供給される共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示を行うことができる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ローレベル(例えば0V)の第2の制御電位S2が供給されている画素電極21と、ハイレベル(例えば15V)の共通電位Vcomが供給されている共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示を行うことができる。
【0098】
加えて、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)に、例えば、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてハイレベル(例えば15V)の電位とローレベル(例えば0V)の電位とが所定の周期で繰り返すように供給され、且つ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1としてローレベル(Lo)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてハイレベル(Hi)の電位が供給されることで、表示部3に反転画像(即ち、期間T3及びT4において表示されるべき新画像(正画像)における白黒を入れ替えた画像)を表示することができる。より具体的には、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ローレベル(例えば0V)の第1の制御電位S1が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがハイレベル(例えば15V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示を行うことができる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ハイレベル(例えば15V)の第2の制御電位S2が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがローレベル(例えば0V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示を行うことができる。これにより、表示部3に、正画像とは白黒が反転された反転画像を表示することができる。このように新画像(正画像)を表示する前に正画像の反転画像を表示することにより、新画像を表示する際の残像を生じ難くすることができる。
【0099】
尚、予備表示動作においては、上記の黒色表示、白色表示、反転画像表示のうちいずれかを実施してもよいし、当該3種類の表示のうち2つ又は3つを連続して実施してもよく、或いは任意の表示を任意の順序で繰り返し実施してもよい。一例としては、白色表示、黒色表示、反転画像表示からなる予備表示動作の後、正画像を表示する。
【0100】
図6における期間T1の開始時には、その前に実施された表示が維持された状態である。そこで、図6における期間T3及びT4において新画像が表示される前に上記の予備表示動作を行うことにより、マイクロカプセル80内の白色粒子82、黒色粒子83を移動又は攪拌させてマイクロカプセル80内から旧画像に基づく履歴を消去する(リセットする)ことができる。その後に期間T3及びT4において新画像を表示する際には、残像の少ない高品位な表示が行われる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号を書き換えることなく(即ち、図5を参照して上述したステップS20に係る動作時に必要とされるような、走査線駆動回路60から走査線40への走査信号の供給やデータ線駆動回路70から第1データ線51への画像信号の供給及び第2データ線52への反転画像信号の供給を行うことなく、つまり、各画素に全黒画像や全白画像或いは反転画像に係るデータを転送することなく)、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等の予備表示動作に係る画像を表示部3に表示することができる。よって、消費電力を抑制しつつ、予備表示動作を行うことができる。従って、消費電力を低減できると共に、残像を低減できる。また、このように、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、全黒画像、全白画像及び反転画像を、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号を書き換えることなく、表示部3に表示させることができるので、予備表示動作を行うために、全黒画像、全白画像或いは反転画像に係るデータを例えば外部のメモリに保持しておく必要がない。
【0102】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えについて、図1及び図2に加えて図8を参照して説明する。
【0103】
図8は、本実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えを説明するための表である。
【0104】
本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、書き換えるべき画素にハイレベルの画像信号を供給すると共に書き換えるべきでない画素にローレベルの画像信号を供給し、且つ、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像の一部を、例えば白色から黒色に(或いは黒色から白色に)書き換えることができる。
【0105】
ここでは、図5及び図6を参照して上述した表示動作により表示部3に表示された正画像の一部を書き換える場合を例として説明する。即ち、電源回路210から、第1の制御線94に第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されることで、表示部3に表示された画像を、その一部を書き換えるべき元画像として説明する。
【0106】
図8に示すように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、元画像の一部を白色から黒色に書き換える場合には、先ず、複数の画素20のうち白色から黒色へ書き換えるべき画素における第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号を書き込むと共に書き換えるべきでない画素における第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号を書き込む。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21は、オン状態とされた第1の制御用スイッチ26aを介して第1の制御線94と電気的に接続される。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21は、オン状態とされた第2の制御用スイッチ26bを介して第2の制御線95と電気的に接続される。
【0107】
次に、共通電位線93に共通電位供給回路220から共通電位Vcomを供給し、且つ、第1の制御線94に電源回路210から第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位を供給すると共に、第2の制御線95に電源回路210から第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位を供給する(又は、スイッチ95sをコントローラ10によってオフ状態にすることにより、第2の制御線95をハイインピーダンス状態(HiZ)にする)。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21に第1の制御電位S1としてハイレベルの電位が供給され、画素電極21と共通電極22との間の電位差に基づいて表示が白色から黒色に書き換えられる。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21に第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位が供給される(又は、画素電極21はハイインピーダンス状態とされる)ので、画素電極21と共通電極22との間に電位差が生じないため、表示は変化しない(即ち、書き換えるべきでない画素のうち、黒色を表示していた画素は黒色を表示し続け、白色を表示していた画素は白色を表示し続ける)。
【0108】
また、元画像の一部を黒色から白色に書き換える場合には、先ず、上述した元画像の一部を白色から黒色に書き換える場合と同様に、複数の画素20のうち黒色から白色へ書き換えるべき画素における第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号を書き込むと共に書き換えるべきでない画素における第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号を書き込む。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21は、オン状態とされた第1の制御用スイッチ26aを介して第1の制御線94と電気的に接続される。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21は、オン状態とされた第2の制御用スイッチ26bを介して第2の制御線95と電気的に接続される。
【0109】
次に、共通電位線93に共通電位供給回路220から共通電位Vcomを供給し、且つ、第1の制御線94に電源回路210から第1の制御電位S1としてローレベル(Lo)の電位を供給すると共に、第2の制御線95に電源回路210から第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位を供給する(又は、スイッチ95sをコントローラ10によってオフ状態にすることにより、第2の制御線95をハイインピーダンス状態にする)。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21に第1の制御電位S1としてローレベルの電位が供給され、画素電極21と共通電極22との間の電位差に基づいて表示が黒色から白色に書き換えられる。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21に第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位が供給される(又は、画素電極21はハイインピーダンス状態とされる)ので、画素電極21と共通電極22との間の電位差が生じないため、表示は変化しない(即ち、書き換えるべきでない画素のうち、黒色を表示していた画素は黒色を表示し続け、白色を表示していた画素は白色を表示し続ける)。
【0110】
このように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、書き換えるべき画素にハイレベルの画像信号を供給すると共に書き換えるべきでない画素にローレベルの画像信号を供給し、且つ、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像の一部を、例えば白色から黒色に(或いは黒色から白色に)書き換えることができる。
【0111】
尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、書き換えるべき画素にローレベルの画像信号を供給すると共に書き換えるべきでない画素にハイレベルの画像信号を供給し、且つ、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像の一部を、例えば白色から黒色に(或いは黒色から白色に)書き換えることもできる。この場合、共通電位線93に共通電位供給回路220から共通電位Vcomを供給し、且つ、第1の制御線94に電源回路210から第1の制御電位S1として共通電位Vcomと同一の電位を供給する(又は、スイッチ94sをコントローラ10によってオフ状態にすることにより、第1の制御線94をハイインピーダンス状態にする)と共に、第2の制御線95に電源回路210から第2の制御電位S2としてハイレベルの電位(或いはローレベルの電位)を供給する。
【0112】
このような本実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えによれば、書き換えるべき画素については画素電極21及び共通電極22間に電圧が印加され、書き換えるべきでない画素については画素電極21及び共通電極22間に電圧が印加されない。よって、消費電力を低減できると共に、各電極間に電圧が印加されることに起因する電気泳動素子23の劣化を低減できる。
【0113】
更に、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、電圧源がハイレベルとローレベルの2種類であっても上述した部分書き換えが可能であるので、電源回路210等の各回路を比較的シンプルな構成とすることができ、実践上大変有利である。
【0114】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置のリーク電流の低減効果について、図9及び図10を参照して説明する。
【0115】
図9は、本実施形態に係る電気泳動表示装置における互いに隣り合う画素を模式的に示す模式図である。図10は、比較例における、図9と同趣旨の模式図である。
【0116】
図9では、表示部3において互いに隣り合う画素20A及び20Bが示されている。尚、画素20A及び20Bの各々は、図2を参照して上述した画素20と同様に構成されており、添字「A」及び「B」は、互いに隣り合う画素を識別するために便宜的に付したものである。同様に、画素20Aの各構成要素に添字「A」を付し、画素20Bの各構成要素に添字「B」を付してある。
【0117】
図9において、画素20Aは、画素電極21Aと、第1の選択用トランジスタ24aAと、第2の選択用トランジスタ24bAと、第1のキャパシタ27aAと、第2のキャパシタ27bAと、第1の制御用トランジスタ26aAと、第2の制御用トランジスタ26bAとを備えている。画素20Bは、画素電極21Bと、第1の選択用トランジスタ24aBと、第2の選択用トランジスタ24bBと、第1のキャパシタ27aBと、第2のキャパシタ27bBと、第1の制御用トランジスタ26aBと、第2の制御用トランジスタ26bBとを備えている。
【0118】
図9において、互いに隣り合う画素20(即ち、画素20A及び20B)は、互いに異なる色を表示している。即ち、画素20Aは、黒色を表示しており、画素20Bは、白色を表示している。より詳細には、画素20Aの画素電極21Aは、第1のキャパシタ27aAに保持されたハイレベル(Hi)の画像信号によってオン状態(On)とされた第1の制御用トランジスタ26aAを介して第1の制御線95から第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されており、画素20Bの画素電極21Bは、第2のキャパシタ27bBに保持されたハイレベル(Hi)の反転画像信号によってオン状態(On)とされた第2の制御用トランジスタ26aBを介して第2の制御線94から第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されている。
【0119】
ここで、図10に示す比較例では、互いに隣り合う画素520(即ち、画素520A及び520B)は、互いに異なる色を表示している。画素520Aは、画素スイッチング素子524Aと、キャパシタ527Aと、画素電極521Aとを有している。画素520Aでは、キャパシタ527Aによって保持されたハイレベル(Hi)の画像信号によって画素電極521Aの電位がハイレベルに維持されている。画素520Bは、画素スイッチング素子524Bと、キャパシタ527Bと、画素電極521Bとを有している。画素520Bでは、キャパシタ527Bによって保持されたローレベル(Lo)の画像信号によって画素電極521Bの電位がローレベルに維持されている。このとき、互いに隣り合う画素電極521A及び521B間の電位差(言い換えれば、キャパシタ527A及び527B間の電位差)によって、画素電極521A及び521B間に、接着層31やバインダー30或いは電気泳動素子23を介して、キャパシタ527A及び527Bのリーク電流が発生してしまう(即ち、キャパシタ527A及び527Bが画像信号或いは反転画像信号として保持していた電荷が失われてしまう)おそれがある。即ち、図10に示す比較例に係る電気泳動表示装置によれば、互いに隣り合う画素520に互いに異なる色を表示する際、互いに隣り合う画素間で、キャパシタ527(即ち、キャパシタ527A及び527B)のリーク電流が発生してしまうおそれがある。このため、画素電極521及び共通電極22間に、適切な電圧を印加することができず、コントラストが低下してしまうおそれがある。
【0120】
しかるに、図9において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、画素電極21に第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bのいずれも電気的に接続されていない(即ち、画素電極21と第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bとの間は電気的に切断されている)ので、画素電極21A及び21B間に電位差が発生するときでも、第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bのリーク電流は殆ど或いは全く発生しない。よって、第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bに、画像信号及び反転画像信号を夫々供給しなおすリフレッシュ動作の回数が少なくて済む。従って、消費電力を低減できる。更に、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、画素電極21の電位は、第1の制御線94或いは第2の制御線95を介して電源回路210から第1の制御電位S1或いは第2の制御電位によって制御されるので、画素電極521及び共通電極22間に、適切な電圧を確実に印加することができ、コントラストを高めることができる。
【0121】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置によれば、高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減できる。
【0122】
<電子機器>
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図11及び図12を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0123】
図11は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0124】
図11に示すように、電子ペーパー1400は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0125】
図12は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0126】
図12に示すように、電子ノート1500は、図11で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0127】
上述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、消費電力が小さく、高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0128】
尚、これらの他に、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、上述した本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
【0129】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気泳動表示装置及び該電気泳動表示装置の駆動方法、並びに該電気泳動表示装置を備える電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の画素の構成を示す等価回路図である。
【図3】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【図4】マイクロカプセルの構成を示す模式図である。
【図5】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態における、第1及び第2の制御電位の組み合わせと表示部における表示との関係を示す表である。
【図8】第1実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えを説明するための表である。
【図9】第1実施形態に係る電気泳動表示装置における互いに隣り合う画素を模式的に示す模式図である。
【図10】比較例における、図9と同趣旨の模式図である。
【図11】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図12】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0131】
10…コントローラ、20…画素、21…画素電極、22…共通電極、23…電気泳動素子、24a…第1の選択用トランジスタ、24b…第2の選択用トランジスタ、26a…第1の制御用トランジスタ、26b…第2の制御用トランジスタ、27a…第1のキャパシタ、27b…第2のキャパシタ、28…素子基板、29…対向基板、30…バインダー、31…接着層、40…走査線、51…第1データ線、52…第2データ線、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、93…共通電位線、94…第1の制御線、95…第2の制御線、210…電源回路、220…共通電位供給回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置及びその駆動方法並びに電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気泳動表示装置は、複数の画素によって次のように表示を行う表示部を有する。各画素では、画素スイッチング素子を介してメモリ回路に画像信号を書き込んだ後、書き込まれた画像信号に応じた電位により画素電極が駆動され、共通電極との間に電位差が生じる。これによって、画素電極及び共通電極間の電気泳動素子に含まれる電気泳動粒子を、画素電極側或いは共通電極側に移動させることにより表示を行う。例えば特許文献1には、このような画素について、メモリ回路としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)を含む構成やSRAM(Static Random Access Memory)を含む構成が開示されている。例えば特許文献2には、各画素に、2値表示信号を保持するメモリ素子と、メモリ素子に保持された信号により端子間をオンオフするスイッチ素子とを備えたアクティブマトリクス型表示装置が開示されている。
【0003】
一方、この種の電気泳動表示装置では、上述したように画素電極及び共通電極間に電位差を与えて電気泳動粒子を移動させることで表示を行うため、既に表示している画像(即ち、元画像)から次に表示する画像(即ち、新画像)に表示を切り替える際に、残像が発生し易い。そこで、この種の電気泳動表示装置では、元画像から新画像に表示を切り替える際、新画像を表示する前に、例えば全黒画像や全白画像、或いは反転画像などを表示部に短期間表示させる予備表示動作が行われる(例えば特許文献3参照)。このような予備表示動作によって、残像の発生を抑制することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−84314号公報
【特許文献2】特開平8−194205号公報
【特許文献3】特開2007−206471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された技術では、上述した予備表示動作を行う際(即ち、元画像から新画像に表示を切り替えるたびに)、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等に係る画像信号を各画素のメモリ回路に書き込む必要があるため、電気泳動表示装置の消費電力が高くなってしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減可能な電気泳動表示装置及びその駆動方法並びに該電気泳動表示装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気泳動表示装置は上記課題を解決するために、電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えた電気泳動表示装置であって、前記画素毎に形成された画素電極と、前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、走査信号を供給する走査線と、画像信号を供給する第1のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、第1の制御電位を供給する第1の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、第2の制御電位を供給する第2の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子とを備える。
【0008】
本発明の電気泳動表示装置によれば、その動作時には、一対の基板間に挟持された電気泳動素子に、画素毎に、一対の基板のうち例えば素子基板である一方の基板上に画素毎に形成された画素電極と、一対の基板のうち例えば対向基板である他方の基板上に例えばベタ状に設けられた例えば共通電極との間に画像信号に応じた電圧が印加されることにより、表示部に画像が表示される。
【0009】
より具体的には、例えばマイクロカプセルである電気泳動素子の内部には、電気泳動粒子として、例えば負に帯電された複数の白色粒子と正に帯電された複数の黒色粒子とが含まれている。電気泳動素子では、画素電極及び共通電極間に印加される電圧に応じて、負に帯電された複数の白色粒子及び正に帯電された複数の黒色粒子のうち一方が画素電極側に移動(即ち、泳動)し、他方が共通電極側に移動する。これにより、移動された電気泳動粒子に応じた画像が一対の基板のうち他方の基板側(即ち、共通電極側)に表示される。
【0010】
画像信号は、画素毎に、第1のデータ線によって供給される。また、第2のデータ線からは、画素毎に、画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号(言い換えれば、画像信号と相補関係にある信号、即ち、画像信号の電位を、異なる色調を表示させるための電位に反転させた信号、例えば、画像信号の電位がハイレベル(例えば15V)である場合には、ローレベル(例えば0V)の電位を有すると共に、画像信号の電位がローレベル(例えば0V)である場合には、ハイレベル(例えば15V)の電位を有する信号)が供給される。第1及び第2のデータ線は、例えば一対の基板のうち一方の基板上に、走査信号を供給する走査線と互いに交差するように設けられている。画素電極は、例えば第1及び第2のデータ線と走査線との交差に対応してマトリクス状に複数設けられている。
【0011】
本発明では特に、画素毎に、4つのスイッチング素子(即ち、第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子)と、2つのメモリ回路(即ち、第1及び第2のメモリ回路)とを備えている。第1のデータ線に供給される画像信号は、走査線に供給される走査信号のタイミングに応じて、例えばトランジスタからなる第1のスイッチング素子によって、例えば容量素子を含んでなる第1のメモリ回路に出力される。これにより、第1のメモリ回路に画像信号が保持される。第2のスイッチング素子は、第1のメモリ回路に保持された画像信号に応じて、第1の制御線から入力される第1の制御電位を画素電極に出力する。例えば、第1のメモリ回路に保持された画像信号の電位がハイレベルである場合には、第2のスイッチング素子はオン状態とされ、第1の制御線から例えばハイレベルの電位を有する第1の制御電位が第2のスイッチング素子を介して画素電極に供給され、第1のメモリ回路に保持された画像信号の電位がローレベルである場合には、第2のスイッチング素子はオフ状態とされ、第1の制御線と画素電極との間は第2のスイッチング素子によって電気的に切断される。一方、第2のデータ線に供給される反転画像信号は、走査線に供給される走査信号のタイミングに応じて、例えばトランジスタからなる第3のスイッチング素子によって、例えば容量素子を含んでなる第2のメモリ回路に出力される。これにより、第2のメモリ回路に反転画像信号が保持される。第4のスイッチング素子は、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号に応じて、第2の制御線から入力される第2の制御電位を画素電極に出力する。例えば、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号の電位がハイレベルである場合には、第4のスイッチング素子はオン状態とされ、第2の制御線から例えばローレベルの電位を有する第2の制御電位が第4のスイッチング素子を介して画素電極に供給され、第2のメモリ回路に保持された反転画像信号の電位がローレベルである場合には、第4のスイッチング素子はオフ状態とされ、第2の制御線と画素電極との間は第4のスイッチング素子によって電気的に切断される。ここで、反転画像信号は画像信号を基準電位に対して極性反転させた信号であり、第2のスイッチング素子は第1のメモリ回路に保持された画像信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられ、第4のスイッチング素子は第2のメモリ回路に保持された反転画像信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられるので、第2のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とではオン状態及びオフ状態が互いに異なる。即ち、第2のスイッチング素子がオン状態の場合には、第4のスイッチング素子はオフ状態となり、第2のスイッチング素子がオフ状態の場合には、第4のスイッチング素子はオン状態となる。
【0012】
よって、例えばハイレベルの電位を有する第1の制御電位又は例えばローレベルの電位を有する第2の制御電位を、画像信号に応じて画素電極に供給することが可能となる。
【0013】
更に、第1の制御電位及び第2の制御電位を制御することにより、第1のメモリ回路に保持された画像信号及び第2のメモリ回路に保持された反転画像信号を書き換えることなく、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等の予備表示動作に係る画像が表示部に表示されるように、画素電極の電位を制御することができる。例えば、第1及び第2の制御電位のいずれもがハイレベルの電位を有するように制御されることで、表示部に例えば全黒画像を表示することができる。或いは、例えば、第1及び第2の制御電位のいずれもがローレベルの電位を有するように制御されることで、表示部に例えば全白画像を表示することができる。或いは、例えば、第1の制御電位がローレベルの電位を有するように制御されると共に第2の制御電位がハイレベルの電位を有するように制御されることで、表示部に例えば反転画像を表示することができる。よって、第1のメモリ回路に予備表示動作に係る画像信号を新たに書き込むことなく、或いは、第2のメモリ回路に予備表示動作に係る反転画像信号を新たに書き込むことなく、表示部に例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等を表示する予備表示動作を行うことが可能となる。従って、残像を低減できると共に、予備表示動作に係る消費電力を節約でき、電気泳動表示装置の消費電力を低減できる。
【0014】
以上説明したように、本発明の電気泳動表示装置によれば、残像が低減された高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減できる。
【0015】
本発明の電気泳動表示装置の一態様では、前記第1のスイッチング素子は、(i)前記第1のデータ線に電気的に接続された第1の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第1のゲート電極、及び(iii)第1の出力側端子を有する第1のトランジスタからなり、前記第1のメモリ回路は、前記第1の出力側端子に電気的に接続された第1の容量素子を含んでなり、前記第2のスイッチング素子は、(i)前記第1の制御線に電気的に接続された第2の入力側端子、(ii)前記第1の出力側端子及び前記第1の容量素子に電気的に接続された第2のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第2の出力側端子を有する第2のトランジスタからなり、前記第3のスイッチング素子は、(i)前記第2のデータ線に電気的に接続された第3の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第3のゲート電極、及び(iii)第3の出力側端子を有する第3のトランジスタからなり、前記第2のメモリ回路は、前記第3の出力側端子に電気的に接続された第2の容量素子を含んでなり、前記第4のスイッチング素子は、(i)前記第2の制御線に電気的に接続された第4の入力側端子、(ii)前記第3の出力側端子及び前記第2の容量素子に電気的に接続された第4のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第4の出力側端子を有する第4のトランジスタからなる。
【0016】
この態様によれば、表示部の各画素における構成を比較的簡易な構成とすることができ、実践上有利である。
【0017】
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Nチャネル型のトランジスタである。
【0018】
この態様によれば、第1、第2、第3及び第4のトランジスタを、アモルファス半導体を用いて容易に形成することが可能となる。よって、製造コストを低減できると共に、信頼性を向上させることができる。尚、アモルファス半導体を用いてPチャネル型のトランジスタを形成することは、アモルファス半導体を用いてNチャネル型のトランジスタを形成することと比較して困難である。
【0019】
本発明の電気泳動表示装置の他の態様では、前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Nチャネル型のトランジスタである。
【0020】
この態様によれば、第1、第2、第3及び第4のトランジスタの全てをNチャネル型のトランジスタとして容易に形成することができるので、製造コストを低減できると共に、信頼性を向上させることができる。
【0021】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法は上記課題を解決するために、電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えており、前記画素毎に形成された画素電極と、前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、走査信号を供給する走査線と、画像信号を供給する第1のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、第1の制御電位を供給する第1の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、第2の制御電位を供給する第2の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子とを備える電気泳動表示装置を駆動する電気泳動表示装置の駆動方法であって、前記第1のデータ線から前記第1のスイッチング素子を介して前記第1のメモリ回路に前記画像信号を書き込むと共に、前記第2のデータ線から前記第3のスイッチング素子を介して前記第2のメモリ回路に前記反転画像信号を書き込む第1の工程と、(i)前記第1の制御線から前記第1の制御電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御線から前記第2の制御電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、前記共通電極に共通電位を供給することで、前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加することにより前記表示部に画像を表示する第2の工程とを含む。
【0022】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法によれば、上述した本発明に係る電気泳動表示装置を好適に駆動することができる。ここで特に、第2の工程において、第1の制御電位及び第2の制御電位を制御することにより、第1のメモリ回路に保持された画像信号及び第2のメモリ回路に保持された反転画像信号を書き換えることなく、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等の予備表示動作に係る画像が表示部に表示されるように、画素電極の電位を制御することができる。よって、残像を低減できると共に、予備表示動作に係る消費電力を節約できる。即ち、高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減できる。
【0023】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の一態様では、前記第2の工程において、(i)前記第1の制御電位として第1電位及び該第1電位より低い第2電位のいずれか一方の電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御電位として前記第1電位及び前記第2電位のいずれか一方の電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、前記共通電位として前記第1電位と前記第2電位とを所定の周期で繰り返すように供給する。
【0024】
この態様によれば、第2の工程において、画素電極及び共通電極間には、第1電位と第2電位との電位差が、所定の周期で繰り返して印加される。言い換えれば、第2の工程では、画素電極及び共通電極間に第1電位と第2電位との電位差が印加される期間と、画素電極及び共通電極間に電位差が印加されない期間とが繰り返される。ここで、本明細書では、共通電極に、共通電位として第1電位と第2電位とを繰り返すように供給することを「コモン振り駆動」と適宜称する。即ち、第2の工程では、コモン振り駆動を行う。よって、第2の工程において、画素電極及び共通電極間に第1電位と第2電位との電位差を印加することができ、電気泳動素子中の電気泳動粒子を確実に移動させることができる(言い換えれば、例えばマイクロカプセルである電気泳動素子の被膜に固着した電気泳動粒子を引き剥がすことができる)。更に、コモン振り駆動によれば、画素電極及び共通電極に印加する電位をハイレベルとローレベルとの2値により制御可能であるため、低電圧化が図れると共に、回路構成をシンプルにすることができる。加えて、各スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いた場合には、低電圧駆動によりTFTの信頼性を確保することができるというメリットがある。
【0025】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の他の態様では、前記第2の工程の後に、前記第1の制御線及び前記第2の制御線の一方に前記共通電位と異なる電位を供給することで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべき画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加すると共に、(i)前記第1の制御線及び前記第2の制御線の他方に前記共通電位と同一の電位を供給する、又は(ii)前記他方を電気的に切断されたハイインピーダンス状態とすることで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべきでない画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加しないことにより、前記表示部に表示された画像を部分的に書き換える第3の工程を含む。
【0026】
この態様によれば、第3の工程によって、表示部に表示された画像を部分的に書き換える(即ち、複数の画素のうち書き換えるべき画素のみにおける画素電極及び共通電極間に電圧を印加する)ので、消費電力を低減できる。
【0027】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気泳動表示装置を備える。
【0028】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気泳動表示装置を具備してなるので、消費電力が低減され、高品位な表示を行うことが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0029】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0031】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図10を参照して説明する。
【0032】
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0033】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【0034】
図1において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、表示部3と、コントローラ10と、走査線駆動回路60と、データ線駆動回路70と、電源回路210と、共通電位供給回路220とを備えている。
【0035】
表示部3には、m行×n列分の画素20がマトリクス状(二次元平面的)に配列されている。また、表示部3には、m本の走査線40(即ち、走査線Y1、Y2、…、Ym)と、n本の第1データ線51(即ち、第1データ線X1a、X2a、…、Xna)及びn本の第2データ線52(即ち、第2データ線X1b、X2b、…、Xnb)とが互いに交差するように設けられている。具体的には、m本の走査線40は、行方向(即ち、X方向)に延在し、n本の第1データ線51及び第2データ線52は、列方向(即ち、Y方向)に延在している。m本の走査線40とn本の第1データ線51及び第2データ線52との交差に対応して画素20が配置されている。
【0036】
コントローラ10は、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70、電源回路210及び共通電位供給回路220の動作を制御する。具体的には、コントローラ10は、例えばクロック信号、スタートパルス等のタイミング信号を各回路に供給する。尚、コントローラ10は、図2を参照して後述するスイッチ92s、93s、94s及び95sのオンオフ状態も制御する。
【0037】
走査線駆動回路60は、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、走査線Y1、Y2、…、Ymの各々に走査信号をパルス的に順次供給する。
【0038】
データ線駆動回路70は、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、第1データ線X1a、X2a、…、Xnaに画像信号を供給する。画像信号は、ハイレベル(即ち、高電位レベル、例えば15V)又はローレベル(即ち、低電位レベル、例えば0V)の2値的なレベルをとる。データ線駆動回路70は更に、コントローラ10から供給されるタイミング信号に基づいて、第2データ線X1b、X2b、…、Xnbに反転画像信号を供給する。反転画像信号は、画像信号の2値的なレベルを反転させた信号であり、例えば画像信号がハイレベルの場合は、反転画像信号はローレベルであり、画像信号がローレベルの場合は、反転画像信号はハイレベルである。即ち、反転画像信号もハイレベル又はローレベルの2値的なレベルをとる。例えば、画像信号が、ハイレベルとして15Vの電位をとり、ローレベルとして0Vの電位をとる場合には、反転画像信号は、7.5Vを基準電位として極性を反転させた信号である。
【0039】
電源回路210は、低電位電源線92に低電位電源電位Vssを供給し、第1の制御線94に第1の制御電位S1を供給し、第2の制御線95に第2の制御電位S2を供給する。尚、ここでは図示を省略するが、低電位電源線92、第1の制御線94及び第2の制御線95の各々は、電気的なスイッチ(即ち、図2を参照して後述するスイッチ92s、94s及び95s)を介して電源回路210に電気的に接続されている。
【0040】
共通電位供給回路220は、共通電位線93に共通電位Vcomを供給する。尚、ここでは図示を省略するが、共通電位線93は、電気的なスイッチ(即ち、図2を参照して後述するスイッチ93s)を介して共通電位供給回路220に電気的に接続されている。
【0041】
尚、コントローラ10、走査線駆動回路60、データ線駆動回路70、電源回路210及び共通電位供給回路220には、各種の信号が入出力されるが、本実施形態と特に関係のないものについては説明を省略する。
【0042】
図2は、画素の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0043】
図2において、画素20は、画素電極21と、画素電極21と互いに対向するように配置された共通電極22と、画素電極21及び共通電極22間に設けられた電気泳動素子23と、第1の選択用トランジスタ24aと、第2の選択用トランジスタ24bと、第1のキャパシタ27aと、第2のキャパシタ27bと、第1の制御用トランジスタ26aと、第2の制御用トランジスタ26bとを備えている。尚、第1の選択用トランジスタ24aは、本発明に係る「第1のスイッチング素子」の一例であり、第2の選択用トランジスタ24bは、本発明に係る「第3のスイッチング素子」の一例であり、第1のキャパシタ27aは、本発明に係る「第1のメモリ回路」の一例であり、第2のキャパシタ27bは、本発明に係る「第2のメモリ回路」の一例であり、第1の制御用トランジスタ26aは、本発明に係る「第2のスイッチング素子」の一例であり、第2の制御用トランジスタ26bは、本発明に係る「第4のスイッチング素子」の一例である。
【0044】
第1の選択用トランジスタ24aは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第1の選択用トランジスタ24aは、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースが第1データ線51に電気的に接続されており、そのドレインが第1のキャパシタ27aに電気的に接続されている。第1の選択用トランジスタ24aは、データ線駆動回路70(図1参照)から第1データ線51を介して供給される画像信号を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、第1のキャパシタ27aに入力する。これにより、第1のキャパシタ27aに画像信号が書き込まれる。
【0045】
第1のキャパシタ27aは、画像信号を保持するための容量素子である。第1のキャパシタ27aの一方の容量電極は、第1の選択用トランジスタ24aのドレイン及び第1の制御用トランジスタ26aのゲートに電気的に接続されている。第1のキャパシタ27aの他方の容量電極は、低電位電源線92に電気的に接続されている。
【0046】
低電位電源線92は、電源回路210(図1参照)から接地電位(或いはグランド電位、例えば0V)である低電位電源電位Vssが供給可能に構成されている。低電位電源線92は、スイッチ92sを介して電源回路210に電気的に接続されている。スイッチ92sは、コントローラ10(図1参照)によってオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されている。スイッチ92sがオン状態とされることで、低電位電源線92と電源回路210とが電気的に接続され、スイッチ92sがオフ状態とされることで、低電位電源線92は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。
【0047】
第1の制御用トランジスタ26aは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第1の制御用トランジスタ26aは、そのゲートが第1のキャパシタ27a及び第1の選択用トランジスタ24aのドレインに電気的に接続されており、そのソースが第1の制御線94に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21に電気的に接続されている。第1の制御用トランジスタ26aは、電源回路210(図1参照)から第1の制御線94を介して供給される第1の制御電位S1を、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号の電位に応じて、画素電極21に出力する。例えば、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号がハイレベルである場合には、第1の制御用トランジスタ26aはオン状態とされ、第1の制御線94から第1の制御電位S1が、オン状態とされた第1の制御用トランジスタ26aを介して画素電極21に供給される。一方、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号がローレベルである場合には、第1の制御用トランジスタ26aはオフ状態とされ、第1の制御線94と画素電極21との間はオフ状態とされた第1の制御用トランジスタ26aによって電気的に切断される。
【0048】
第2の選択用トランジスタ24bは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第2の選択用トランジスタ24bは、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースが第2データ線52に電気的に接続されており、そのドレインが第2のキャパシタ27bに電気的に接続されている。第2の選択用トランジスタ24bは、データ線駆動回路70(図1参照)から第2データ線52を介して供給される反転画像信号を、走査線駆動回路60(図1参照)から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、第2のキャパシタ27bに入力する。これにより、第2のキャパシタ27bに画像信号が書き込まれる。
【0049】
第2のキャパシタ27bは、反転画像信号を保持するための容量素子である。第2のキャパシタ27bの一方の容量電極は、第2の選択用トランジスタ24bのドレイン及び第2の制御用トランジスタ26bのゲートに電気的に接続されている。第2のキャパシタ27bの他方の容量電極は、第1のキャパシタ27aの他方の容量電極と同様に、低電位電源線92に電気的に接続されている。
【0050】
第2の制御用トランジスタ26bは、アモルファス半導体を用いて、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。第2の制御用トランジスタ26bは、そのゲートが第2のキャパシタ27b及び第2の選択用トランジスタ24bのドレインに電気的に接続されており、そのソースが第2の制御線95に電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21に電気的に接続されている。第2の制御用トランジスタ24bは、電源回路210(図1参照)から第2の制御線95を介して供給される第2の制御電位S2を、第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号の電位に応じて、画素電極21に出力する。例えば、第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号がハイレベルである場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオン状態とされ、第2の制御線95から第2の制御電位S2が、オン状態とされた第2の制御用トランジスタ26bを介して画素電極21に供給される。一方、第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号がローレベルである場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオフ状態とされ、第2の制御線95と画素電極21との間はオフ状態とされた第2の制御用トランジスタ26bによって電気的に切断される。
【0051】
ここで、本実施形態では特に、上述したように、第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bの各々は、Nチャネル型のトランジスタとして形成されている。よって、第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bを、アモルファス半導体を用いて容易に形成することが可能である。よって、電気泳動表示装置1の製造コストを低減できると共に、電気泳動表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0052】
尚、このように本実施形態では、第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26b(以下、これらのトランジスタを「トランジスタ24a、24b、26a及び26a」と適宜称する)の各々が、Nチャネル型のトランジスタとして形成される例を挙げているが、本実施形態の変形例として、トランジスタ24a、24b、26a及び26bの各々は、Pチャネル型のトランジスタとして形成されてもよい。この場合には、トランジスタ24a、24b、26a及び26bの全てをPチャネル型のトランジスタとして容易に形成することができるので、製造コストを低減できると共に、信頼性を向上させることができる。
【0053】
また、トランジスタ24a、24b、26a及び26bの各々は、シリコン等の無機半導体材料を含んでなる無機トランジスタとして形成されてもよいし、有機半導体材料を含んでなる有機トランジスタとして形成されてもよい。
【0054】
トランジスタ24a、24b、26a及び26bを有機トランジスタとして形成する場合には、有機半導体材料としては、例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)(PTV)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PFO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N’−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(BT)、フルオレン−トリアリルアミン共重合体、トリアリルアミン系ポリマー、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジチオフェン)(F8T2)のようなフルオレン−ビチオフェン共重合体等のポリマー有機半導体材料、またC60、あるいは、金属フタロシアニンあるいはそれらの置換誘導体、あるいは、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等のアセン分子材料、あるいは、α−オリゴチオフェン類、具体的にはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)、オクタチオフェンのような低分子系有機半導体のうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
また、これら有機半導体材料を成膜してトランジスタ24a、24b、26a及び26bの半導体部を形成する方法としては、蒸着法、CVD法、キャスト法、引き上げ法、ラングミュアブロジェット法、スプレー法、インクジェット法、シルクスクリーン法等の一般的な成膜方法を用いることができる。
【0056】
図2において、第1の制御線94及び第2の制御線95は、電源回路210からそれぞれ第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2が供給可能に構成されている。第1の制御線94は、スイッチ94sを介して電源回路210に電気的に接続されており、第2の制御線95は、スイッチ95sを介して電源回路210に電気的に接続されている。スイッチ94s及び95sは、コントローラ10によってオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されている。スイッチ94sがオン状態とされることで、第1の制御線94と電源回路210とが電気的に接続され、スイッチ94sがオフ状態とされることで、第1の制御線94は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。スイッチ95sがオン状態とされることで、第2の制御線95と電源回路210とが電気的に接続され、スイッチ95sがオフ状態とされることで、第2の制御線95は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。
【0057】
第1の制御用トランジスタ26aは第1のキャパシタ27aに保持された画像信号によってオン状態及びオフ状態が切り替えられ、第2の制御用トランジスタ26bは第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号(即ち、画像信号の2値的なレベルを反転させた信号)によってオン状態及びオフ状態が切り替えられるので、第1の制御用トランジスタ26aと第2の制御用トランジスタ26bとではオン状態及びオフ状態が互いに異なる。即ち、第1の制御用トランジスタ26aがオン状態の場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオフ状態となり、第1の制御用トランジスタ26aがオフ状態の場合には、第2の制御用トランジスタ26bはオン状態となる。よって、複数の画素20の各々の画素電極21は、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号に応じて、第1の制御線94又は第2の制御線95に択一的に電気的に接続される。この際、複数の画素20の各々の画素電極21は、スイッチ94s又は95sのオンオフ状態に応じて、電源回路210から第1の制御電位S1又は第2の制御電位S2が供給される、或いはハイインピーダンス状態とされる。
【0058】
より具体的には、ハイレベルの画像信号が供給される(言い換えれば、ローレベルの反転画像信号が供給される)画素20については、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bのうち第1の制御用トランジスタ26aのみがオン状態となり、その画素20の画素電極21は、第1の制御線94に電気的に接続され、スイッチ94sのオンオフ状態に応じて電源回路210から第1の制御電位S1が供給され、又は、ハイインピーダンス状態とされる。一方、ローレベルの画像信号が供給される(言い換えれば、ハイレベルの反転画像信号が供給される)画素20については、第1の制御用トランジスタ26a及び第2の制御用トランジスタ26bのうち第2の制御用トランジスタ26bのみがオン状態となり、その画素20の画素電極21は、第2の制御線95に電気的に接続され、スイッチ95sのオンオフ状態に応じて電源回路210から第2の制御電位S2が供給され、又は、ハイインピーダンス状態とされる。
【0059】
画素電極21は、電気泳動素子23を介して共通電極22と互いに対向するように配置されている。
【0060】
共通電極22は、共通電位Vcomが供給される共通電位線93に電気的に接続されている。共通電位線93は、共通電位供給回路220(図1参照)から共通電位Vcomが供給可能に構成されている。共通電位線93は、スイッチ93sを介して共通電位供給回路220に電気的に接続されている。スイッチ93sは、コントローラ10によってオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されている。スイッチ93sがオン状態とされることで、共通電位線93と共通電位供給回路220とが電気的に接続され、スイッチ93sがオフ状態とされることで、共通電位線93は電気的に切断されたハイインピーダンス状態とされる。
【0061】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0062】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の具体的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。
【0063】
図3は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【0064】
図3において、表示部3は、素子基板28と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。尚、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0065】
素子基板28は、例えばガラスやプラスチック等からなる基板である。素子基板28上には、ここでは図示を省略するが、図2を参照して上述した第1の選択用トランジスタ24a、第2の選択用トランジスタ24b、第1のキャパシタ27a、第2のキャパシタ27b、第1の制御用トランジスタ26a、第2の制御用トランジスタ26b、走査線40、第1データ線51、第2データ線52、低電位電源線92、共通電位線93、第1の制御線94、第2の制御線95等が作り込まれた積層構造が形成されている。この積層構造の上層側に複数の画素電極21がマトリクス状に設けられている。
【0066】
対向基板29は、例えばガラスやプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29における素子基板28との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極21と対向してベタ状に形成されている。共通電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0067】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によって素子基板28及び対向基板29間で固定されている。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極21等が形成された素子基板28側に接着層31によって接着されている。
【0068】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び共通電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0069】
図4は、マイクロカプセルの構成を示す模式図である。尚、図4では、マイクロカプセルの断面を模式的に示している。
【0070】
図4において、マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、電気泳動粒子である複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0071】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0072】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0073】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0074】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0075】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と共通電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0076】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0077】
図3及び図4において、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極22側)に白色粒子82が集まることで、表示部3の表示面にこの白色粒子82の色(即ち、白色)を表示することができる。逆に、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子83が集まることで、表示部3の表示面にこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)を表示することができる。
【0078】
更に、画素電極21及び共通電極22間における白色粒子82及び黒色粒子83の分布状態によって、白色と黒色との中間階調である、ライトグレー、グレー、ダークグレー等の灰色を表示することも可能である。また、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等のカラー表示も可能となる。
【0079】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例について、図1及び図2に加えて図5及び図6を参照して説明する。
【0080】
図5は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を説明するためのフローチャートである。図6は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0081】
ここでは、表示動作の一例として、表示部3(図1参照)に表示すべき画像(以下、「正画像」と適宜称する)を表示させる際の動作について説明する。
【0082】
図5及び図6において、先ず、走査線駆動回路60、電源回路210、供給電位供給回路220等の各回路の電源がオンされる(ステップS10)。これにより、ハイインピーダンス状態(HiZ)であった走査線40や第1のキャパシタ27a、第2のキャパシタ27bに、期間T1においてローレベル(図中「Lo」として示す。例えば0V)の電圧が印加される。この際、スイッチ92sはコントローラ10によってオン状態とされている。尚、第2のキャパシタ27bの電圧については、図示を省略している。また、期間T1においては、スイッチ93s、94s及び95sは、コントローラ10によってオフ状態とされ、共通電位線93、第1の制御線94及び第2の制御線95の各々は、ハイインピーダンス状態とされている。尚、第2の制御線95の電圧については、図示を省略している。
【0083】
次に、第1のキャパシタ27aに画像信号を書き込むと共に、第2のキャパシタ27bに反転画像信号を書き込む(ステップS20)。即ち、期間T1に続く期間T2において、走査線駆動回路60からパルス状の走査信号が走査線Y1、Y2、…、Ymに順次に供給され、且つ、走査信号に応じて走査線Y1、Y2、…、Ymのうち一の走査線に対応する一行の画素20が選択される期間において、データ線駆動回路70から複数の第1データ線51(即ち、第1データ線X1a、X2a、…、Xna)に画像信号が供給されると共に複数の第2データ線52(即ち、第2データ線X1b、X2b、…、Xnb)に反転画像信号が供給される。これにより、各画素20では、第1の選択用トランジスタ24a及び第2の選択用トランジスタ24bが走査信号に応じてオン状態とされ、第1データ線51から第1の選択用トランジスタ24aを介して第1のキャパシタ27aに画像信号が書き込まれると共に、第2データ線52から第2の選択用トランジスタ24bを介して第2のキャパシタ27bに反転画像信号が書き込まれる。図6では、第1のキャパシタ27aにハイレベル(図中「Hi」として示す。例えば15V)の画像信号が書き込まれる画素20を例として示しており、期間T1にローレベルであった第1のキャパシタ27aの電圧は、期間T2においてハイレベルとなる。第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号が書き込まれる画素20では、第2のキャパシタ27bにはローレベルの反転画像信号が書き込まれる(即ち、第2のキャパシタ27bの電圧はローレベルとなる)。尚、第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号が書き込まれる(即ち、第1のキャパシタ27aの電圧がローレベルとなる)画素20では、第2のキャパシタ27bにはハイレベルの反転画像信号が書き込まれる(即ち、第2のキャパシタ27bの電圧はハイレベルとなる)。
【0084】
ここで、第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号が書き込まれると共に第2のキャパシタ27bにローレベルの反転画像信号が書き込まれると、第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号が保持されている期間(或いは第2のキャパシタ27bにローレベルの反転画像信号が保持されている期間)中は、第1の制御用トランジスタ26aはオン状態となり、且つ、第2の制御用トランジスタ26bはオフ状態となる。一方、第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号が書き込まれると共に第2のキャパシタ27bにハイレベルの反転画像信号が書き込まれると、第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号が保持されている期間(或いは第2のキャパシタ27bにハイレベルの反転画像信号が保持されている期間)中は、第1の制御用トランジスタ26aはオフ状態となり、且つ、第2の制御用トランジスタ26bはオン状態となる。
【0085】
即ち、各画素20では、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号(及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号)に応じて、第1の制御用トランジスタ27a及び第2の制御用トランジスタ27bのうち一方が択一的にオン状態となる。
【0086】
尚、期間T2においては、期間T1と同様に、スイッチ93s、94s及び95sは、コントローラ10によってオフ状態とされたままであり、共通電位線93、第1の制御線94及び第2の制御線95の各々は、ハイインピーダンス状態とされている。
【0087】
次に、第1の制御線95及び第2の制御線94に第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を夫々供給することにより、各画素20の画素電極21に第1の制御電位S1又は第2の制御電位S2を供給する(ステップS30)。即ち、期間T2に続く期間T3では、スイッチ94s及びスイッチ95sがコントローラ10によってオン状態とされ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2が供給される。これにより、第1の制御用トランジスタ27aがオン状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオフ状態とされた画素20では、画素電極21に第1の制御用トランジスタ27aから第1の制御電位S1が供給される。一方、第1の制御用トランジスタ27aがオフ状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオン状態とされた画素20では、画素電極21に第2の制御用トランジスタ27bから第2の制御電位S2が供給される。図6では、第1の制御電位S1としてハイレベル(例えば15V)で一定の電位が第1の制御線94に供給される場合を例として示している。また、この例では、第2の制御電位S2としてローレベル(例えば0V)で一定の電位が第2の制御線95に供給される。また、図6では、第1の制御用トランジスタ27aがオン状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオフ状態とされた画素20における画素電極21の電圧を示しており、期間T3において、第1の制御線94にハイレベルで一定の第1の制御電位S1が供給されると、画素電極21の電圧はハイレベルとなる。尚、第1の制御用トランジスタ27aがオフ状態とされると共に第2の制御用トランジスタ27bがオン状態とされた画素20では、画素電極21は第2の制御線95に電気的に接続されるので、第2の制御線95にローレベルで一定の第2の制御電位S2が供給されると、画素電極21の電圧はローレベルとなる。
【0088】
尚、期間T3においては、期間T1及びT2と同様に、スイッチ93sは、コントローラ10によってオフ状態とされたままであり、共通電位線93は、ハイインピーダンス状態とされている。
【0089】
次に、共通電極22に共通電位Vcomを供給する(ステップS40)。即ち、期間T3に続く期間T4では、スイッチ93sがコントローラ10によってオン状態とされ、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてハイレベル(例えば15V)の電位とローレベル(例えば0V)の電位とが所定の周期で繰り返すように供給される。つまり、コモン振り駆動が行われる。これにより、期間T4では、画素電極21及び共通電極22間に電圧(例えば15V)が印加される期間と、画素電極21及び共通電極22間に電圧が印加されない期間とが繰り返される。ここで、複数の画素20のうち、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、画素電極21には第1の制御電位S1(ハイレベル、例えば15V)が供給されている。一方、複数の画素のうち、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、画素電極21には第2の制御電位S2(ローレベル、例えば0V)が供給されている。従って、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、第1の制御電位S1(ハイレベル、例えば15V)が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがローレベル(例えば0V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示が行われる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、第2の制御電位S2(ローレベル、例えば0V)が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがハイレベル(例えば15V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示が行われる。これにより、表示部3には、画像信号に応じた表示すべき正画像が表示される。
【0090】
このように表示すべき正画像が表示部3に表示されると、走査線駆動回路60、電源回路210、供給電位供給回路220等の各回路の電源がオフされる(ステップS50)。これにより、期間T4に続く期間T5において、走査線40や第1のキャパシタ27a、第2のキャパシタ27b、共通電線93、第1の制御線94、第2の制御線95、画素電極21等の各種配線及び各種素子はハイインピーダンス状態(HiZ)とされる。これにより、画素電極21と共通電極22との間には電界が生じなくなるため、マイクロカプセル80内の粒子は、次に新たな電界が生じるまで移動しなくなる。従って、表示部3においては、正画像の表示が維持される。
【0091】
尚、期間T5の後には、表示部3に表示されている画像とは異なる他の画像を表示するために、ステップS10からS50に係る動作が行われてもよい。更に、正画像を表示する前に、図7を参照して後述する予備表示動作が行われてもよい。
【0092】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置の予備表示動作について、図1及び図2に加えて、図7を参照して説明する。
【0093】
図7は、第1実施形態における、第1及び第2の制御電位の組み合わせと表示部における表示との関係を示す表である。
【0094】
図5及び図6を参照して上述したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1では、電源回路210から、第1の制御線94に第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されることで、表示部3に正画像が表示される。
【0095】
ここで、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像から新画像に表示を切り替える際の予備表示動作(即ち、例えば全黒画像や全白画像、或いは新画像の反転画像などを表示部に短期間表示させる動作)を行うことができる。予備表示動作は、例えば図6において第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)、新画像(正画像)を表示するための期間T3及びT4の前に行われる。
【0096】
図7に示すように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、図5及び図6を参照して上述した表示動作により第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)に、例えば、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてローレベル(例えば0V)で一定の電位が供給され、且つ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてハイレベル(Hi)の電位が供給されることで、表示部3に全黒画像を表示することができる。より具体的には、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ハイレベル(例えば15V)の第1の制御電位S1が供給される画素電極21と、ローレベル(例えば0V)の共通電位Vcomが供給される共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示を行うことができる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ハイレベル(例えば15V)の第2の制御電位S2が供給される画素電極21と、ローレベル(例えば0V)の共通電位Vcomが供給される共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示を行うことができる。
【0097】
更に、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、図5及び図6を参照して上述した表示動作により第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)に、例えば、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてハイレベル(例えば0V)で一定の電位が供給され、且つ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1としてローレベル(Lo)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されることで、表示部3に全白画像を表示することができる。より具体的には、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ローレベル(例えば0V)の第1の制御電位S1が供給される画素電極21と、ハイレベル(例えば15V)の共通電位Vcomが供給される共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示を行うことができる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ローレベル(例えば0V)の第2の制御電位S2が供給されている画素電極21と、ハイレベル(例えば15V)の共通電位Vcomが供給されている共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示を行うことができる。
【0098】
加えて、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bにそれぞれ画像信号、反転画像信号が書き込まれた後(即ち期間T2の後)に、例えば、共通電位供給回路220から共通電位線93に共通電位Vcomとしてハイレベル(例えば15V)の電位とローレベル(例えば0V)の電位とが所定の周期で繰り返すように供給され、且つ、電源回路210から第1の制御線94に第1の制御電位S1としてローレベル(Lo)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてハイレベル(Hi)の電位が供給されることで、表示部3に反転画像(即ち、期間T3及びT4において表示されるべき新画像(正画像)における白黒を入れ替えた画像)を表示することができる。より具体的には、ハイレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ローレベル(例えば0V)の第1の制御電位S1が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがハイレベル(例えば15V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、白色表示を行うことができる。一方で、ローレベルの画像信号が第1のキャパシタ27aに保持されている画素20では、ハイレベル(例えば15V)の第2の制御電位S2が供給されている画素電極21と、共通電位線93から供給される共通電位Vcomがローレベル(例えば0V)のときにおける共通電極22との間の電位差に基づいて、黒色表示を行うことができる。これにより、表示部3に、正画像とは白黒が反転された反転画像を表示することができる。このように新画像(正画像)を表示する前に正画像の反転画像を表示することにより、新画像を表示する際の残像を生じ難くすることができる。
【0099】
尚、予備表示動作においては、上記の黒色表示、白色表示、反転画像表示のうちいずれかを実施してもよいし、当該3種類の表示のうち2つ又は3つを連続して実施してもよく、或いは任意の表示を任意の順序で繰り返し実施してもよい。一例としては、白色表示、黒色表示、反転画像表示からなる予備表示動作の後、正画像を表示する。
【0100】
図6における期間T1の開始時には、その前に実施された表示が維持された状態である。そこで、図6における期間T3及びT4において新画像が表示される前に上記の予備表示動作を行うことにより、マイクロカプセル80内の白色粒子82、黒色粒子83を移動又は攪拌させてマイクロカプセル80内から旧画像に基づく履歴を消去する(リセットする)ことができる。その後に期間T3及びT4において新画像を表示する際には、残像の少ない高品位な表示が行われる。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号を書き換えることなく(即ち、図5を参照して上述したステップS20に係る動作時に必要とされるような、走査線駆動回路60から走査線40への走査信号の供給やデータ線駆動回路70から第1データ線51への画像信号の供給及び第2データ線52への反転画像信号の供給を行うことなく、つまり、各画素に全黒画像や全白画像或いは反転画像に係るデータを転送することなく)、例えば全黒画像や全白画像或いは反転画像等の予備表示動作に係る画像を表示部3に表示することができる。よって、消費電力を抑制しつつ、予備表示動作を行うことができる。従って、消費電力を低減できると共に、残像を低減できる。また、このように、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、全黒画像、全白画像及び反転画像を、第1のキャパシタ27aに保持された画像信号及び第2のキャパシタ27bに保持された反転画像信号を書き換えることなく、表示部3に表示させることができるので、予備表示動作を行うために、全黒画像、全白画像或いは反転画像に係るデータを例えば外部のメモリに保持しておく必要がない。
【0102】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えについて、図1及び図2に加えて図8を参照して説明する。
【0103】
図8は、本実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えを説明するための表である。
【0104】
本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、書き換えるべき画素にハイレベルの画像信号を供給すると共に書き換えるべきでない画素にローレベルの画像信号を供給し、且つ、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像の一部を、例えば白色から黒色に(或いは黒色から白色に)書き換えることができる。
【0105】
ここでは、図5及び図6を参照して上述した表示動作により表示部3に表示された正画像の一部を書き換える場合を例として説明する。即ち、電源回路210から、第1の制御線94に第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されると共に第2の制御線95に第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されることで、表示部3に表示された画像を、その一部を書き換えるべき元画像として説明する。
【0106】
図8に示すように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、元画像の一部を白色から黒色に書き換える場合には、先ず、複数の画素20のうち白色から黒色へ書き換えるべき画素における第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号を書き込むと共に書き換えるべきでない画素における第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号を書き込む。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21は、オン状態とされた第1の制御用スイッチ26aを介して第1の制御線94と電気的に接続される。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21は、オン状態とされた第2の制御用スイッチ26bを介して第2の制御線95と電気的に接続される。
【0107】
次に、共通電位線93に共通電位供給回路220から共通電位Vcomを供給し、且つ、第1の制御線94に電源回路210から第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位を供給すると共に、第2の制御線95に電源回路210から第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位を供給する(又は、スイッチ95sをコントローラ10によってオフ状態にすることにより、第2の制御線95をハイインピーダンス状態(HiZ)にする)。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21に第1の制御電位S1としてハイレベルの電位が供給され、画素電極21と共通電極22との間の電位差に基づいて表示が白色から黒色に書き換えられる。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21に第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位が供給される(又は、画素電極21はハイインピーダンス状態とされる)ので、画素電極21と共通電極22との間に電位差が生じないため、表示は変化しない(即ち、書き換えるべきでない画素のうち、黒色を表示していた画素は黒色を表示し続け、白色を表示していた画素は白色を表示し続ける)。
【0108】
また、元画像の一部を黒色から白色に書き換える場合には、先ず、上述した元画像の一部を白色から黒色に書き換える場合と同様に、複数の画素20のうち黒色から白色へ書き換えるべき画素における第1のキャパシタ27aにハイレベルの画像信号を書き込むと共に書き換えるべきでない画素における第1のキャパシタ27aにローレベルの画像信号を書き込む。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21は、オン状態とされた第1の制御用スイッチ26aを介して第1の制御線94と電気的に接続される。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21は、オン状態とされた第2の制御用スイッチ26bを介して第2の制御線95と電気的に接続される。
【0109】
次に、共通電位線93に共通電位供給回路220から共通電位Vcomを供給し、且つ、第1の制御線94に電源回路210から第1の制御電位S1としてローレベル(Lo)の電位を供給すると共に、第2の制御線95に電源回路210から第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位を供給する(又は、スイッチ95sをコントローラ10によってオフ状態にすることにより、第2の制御線95をハイインピーダンス状態にする)。これにより、書き換えるべき画素では、画素電極21に第1の制御電位S1としてローレベルの電位が供給され、画素電極21と共通電極22との間の電位差に基づいて表示が黒色から白色に書き換えられる。一方、書き換えるべきでない画素では、画素電極21に第2の制御電位S2として共通電位Vcomと同一の電位が供給される(又は、画素電極21はハイインピーダンス状態とされる)ので、画素電極21と共通電極22との間の電位差が生じないため、表示は変化しない(即ち、書き換えるべきでない画素のうち、黒色を表示していた画素は黒色を表示し続け、白色を表示していた画素は白色を表示し続ける)。
【0110】
このように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、書き換えるべき画素にハイレベルの画像信号を供給すると共に書き換えるべきでない画素にローレベルの画像信号を供給し、且つ、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像の一部を、例えば白色から黒色に(或いは黒色から白色に)書き換えることができる。
【0111】
尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、書き換えるべき画素にローレベルの画像信号を供給すると共に書き換えるべきでない画素にハイレベルの画像信号を供給し、且つ、第1の制御電位S1及び第2の制御電位S2を制御することにより、元画像の一部を、例えば白色から黒色に(或いは黒色から白色に)書き換えることもできる。この場合、共通電位線93に共通電位供給回路220から共通電位Vcomを供給し、且つ、第1の制御線94に電源回路210から第1の制御電位S1として共通電位Vcomと同一の電位を供給する(又は、スイッチ94sをコントローラ10によってオフ状態にすることにより、第1の制御線94をハイインピーダンス状態にする)と共に、第2の制御線95に電源回路210から第2の制御電位S2としてハイレベルの電位(或いはローレベルの電位)を供給する。
【0112】
このような本実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えによれば、書き換えるべき画素については画素電極21及び共通電極22間に電圧が印加され、書き換えるべきでない画素については画素電極21及び共通電極22間に電圧が印加されない。よって、消費電力を低減できると共に、各電極間に電圧が印加されることに起因する電気泳動素子23の劣化を低減できる。
【0113】
更に、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、電圧源がハイレベルとローレベルの2種類であっても上述した部分書き換えが可能であるので、電源回路210等の各回路を比較的シンプルな構成とすることができ、実践上大変有利である。
【0114】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置のリーク電流の低減効果について、図9及び図10を参照して説明する。
【0115】
図9は、本実施形態に係る電気泳動表示装置における互いに隣り合う画素を模式的に示す模式図である。図10は、比較例における、図9と同趣旨の模式図である。
【0116】
図9では、表示部3において互いに隣り合う画素20A及び20Bが示されている。尚、画素20A及び20Bの各々は、図2を参照して上述した画素20と同様に構成されており、添字「A」及び「B」は、互いに隣り合う画素を識別するために便宜的に付したものである。同様に、画素20Aの各構成要素に添字「A」を付し、画素20Bの各構成要素に添字「B」を付してある。
【0117】
図9において、画素20Aは、画素電極21Aと、第1の選択用トランジスタ24aAと、第2の選択用トランジスタ24bAと、第1のキャパシタ27aAと、第2のキャパシタ27bAと、第1の制御用トランジスタ26aAと、第2の制御用トランジスタ26bAとを備えている。画素20Bは、画素電極21Bと、第1の選択用トランジスタ24aBと、第2の選択用トランジスタ24bBと、第1のキャパシタ27aBと、第2のキャパシタ27bBと、第1の制御用トランジスタ26aBと、第2の制御用トランジスタ26bBとを備えている。
【0118】
図9において、互いに隣り合う画素20(即ち、画素20A及び20B)は、互いに異なる色を表示している。即ち、画素20Aは、黒色を表示しており、画素20Bは、白色を表示している。より詳細には、画素20Aの画素電極21Aは、第1のキャパシタ27aAに保持されたハイレベル(Hi)の画像信号によってオン状態(On)とされた第1の制御用トランジスタ26aAを介して第1の制御線95から第1の制御電位S1としてハイレベル(Hi)の電位が供給されており、画素20Bの画素電極21Bは、第2のキャパシタ27bBに保持されたハイレベル(Hi)の反転画像信号によってオン状態(On)とされた第2の制御用トランジスタ26aBを介して第2の制御線94から第2の制御電位S2としてローレベル(Lo)の電位が供給されている。
【0119】
ここで、図10に示す比較例では、互いに隣り合う画素520(即ち、画素520A及び520B)は、互いに異なる色を表示している。画素520Aは、画素スイッチング素子524Aと、キャパシタ527Aと、画素電極521Aとを有している。画素520Aでは、キャパシタ527Aによって保持されたハイレベル(Hi)の画像信号によって画素電極521Aの電位がハイレベルに維持されている。画素520Bは、画素スイッチング素子524Bと、キャパシタ527Bと、画素電極521Bとを有している。画素520Bでは、キャパシタ527Bによって保持されたローレベル(Lo)の画像信号によって画素電極521Bの電位がローレベルに維持されている。このとき、互いに隣り合う画素電極521A及び521B間の電位差(言い換えれば、キャパシタ527A及び527B間の電位差)によって、画素電極521A及び521B間に、接着層31やバインダー30或いは電気泳動素子23を介して、キャパシタ527A及び527Bのリーク電流が発生してしまう(即ち、キャパシタ527A及び527Bが画像信号或いは反転画像信号として保持していた電荷が失われてしまう)おそれがある。即ち、図10に示す比較例に係る電気泳動表示装置によれば、互いに隣り合う画素520に互いに異なる色を表示する際、互いに隣り合う画素間で、キャパシタ527(即ち、キャパシタ527A及び527B)のリーク電流が発生してしまうおそれがある。このため、画素電極521及び共通電極22間に、適切な電圧を印加することができず、コントラストが低下してしまうおそれがある。
【0120】
しかるに、図9において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、画素電極21に第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bのいずれも電気的に接続されていない(即ち、画素電極21と第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bとの間は電気的に切断されている)ので、画素電極21A及び21B間に電位差が発生するときでも、第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bのリーク電流は殆ど或いは全く発生しない。よって、第1のキャパシタ27a及び第2のキャパシタ27bに、画像信号及び反転画像信号を夫々供給しなおすリフレッシュ動作の回数が少なくて済む。従って、消費電力を低減できる。更に、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、画素電極21の電位は、第1の制御線94或いは第2の制御線95を介して電源回路210から第1の制御電位S1或いは第2の制御電位によって制御されるので、画素電極521及び共通電極22間に、適切な電圧を確実に印加することができ、コントラストを高めることができる。
【0121】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置によれば、高品位な画像を表示できると共に、消費電力を低減できる。
【0122】
<電子機器>
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図11及び図12を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0123】
図11は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0124】
図11に示すように、電子ペーパー1400は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0125】
図12は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0126】
図12に示すように、電子ノート1500は、図11で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0127】
上述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、消費電力が小さく、高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0128】
尚、これらの他に、腕時計、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部に、上述した本実施形態に係る電気泳動表示装置を適用することができる。
【0129】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気泳動表示装置及び該電気泳動表示装置の駆動方法、並びに該電気泳動表示装置を備える電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の画素の構成を示す等価回路図である。
【図3】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示部の部分断面図である。
【図4】マイクロカプセルの構成を示す模式図である。
【図5】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態における、第1及び第2の制御電位の組み合わせと表示部における表示との関係を示す表である。
【図8】第1実施形態に係る電気泳動表示装置による画像の部分書き換えを説明するための表である。
【図9】第1実施形態に係る電気泳動表示装置における互いに隣り合う画素を模式的に示す模式図である。
【図10】比較例における、図9と同趣旨の模式図である。
【図11】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図12】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0131】
10…コントローラ、20…画素、21…画素電極、22…共通電極、23…電気泳動素子、24a…第1の選択用トランジスタ、24b…第2の選択用トランジスタ、26a…第1の制御用トランジスタ、26b…第2の制御用トランジスタ、27a…第1のキャパシタ、27b…第2のキャパシタ、28…素子基板、29…対向基板、30…バインダー、31…接着層、40…走査線、51…第1データ線、52…第2データ線、60…走査線駆動回路、70…データ線駆動回路、93…共通電位線、94…第1の制御線、95…第2の制御線、210…電源回路、220…共通電位供給回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えた電気泳動表示装置であって、
前記画素毎に形成された画素電極と、
前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、
走査信号を供給する走査線と、
画像信号を供給する第1のデータ線と、
前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、
第1の制御電位を供給する第1の制御線と、
前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、
前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、
前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、
前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、
第2の制御電位を供給する第2の制御線と、
前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子と
を備えることを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチング素子は、(i)前記第1のデータ線に電気的に接続された第1の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第1のゲート電極、及び(iii)第1の出力側端子を有する第1のトランジスタからなり、
前記第1のメモリ回路は、前記第1の出力側端子に電気的に接続された第1の容量素子を含んでなり、
前記第2のスイッチング素子は、(i)前記第1の制御線に電気的に接続された第2の入力側端子、(ii)前記第1の出力側端子及び前記第1の容量素子に電気的に接続された第2のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第2の出力側端子を有する第2のトランジスタからなり、
前記第3のスイッチング素子は、(i)前記第2のデータ線に電気的に接続された第3の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第3のゲート電極、及び(iii)第3の出力側端子を有する第3のトランジスタからなり、
前記第2のメモリ回路は、前記第3の出力側端子に電気的に接続された第2の容量素子を含んでなり、
前記第4のスイッチング素子は、(i)前記第2の制御線に電気的に接続された第4の入力側端子、(ii)前記第3の出力側端子及び前記第2の容量素子に電気的に接続された第4のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第4の出力側端子を有する第4のトランジスタからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Nチャネル型のトランジスタであることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動表示装置。
【請求項4】
前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Pチャネル型のトランジスタであることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動表示装置。
【請求項5】
電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えており、前記画素毎に形成された画素電極と、前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、走査信号を供給する走査線と、画像信号を供給する第1のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、第1の制御電位を供給する第1の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、第2の制御電位を供給する第2の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子とを備える電気泳動表示装置を駆動する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記第1のデータ線から前記第1のスイッチング素子を介して前記第1のメモリ回路に前記画像信号を書き込むと共に、前記第2のデータ線から前記第3のスイッチング素子を介して前記第2のメモリ回路に前記反転画像信号を書き込む第1の工程と、
(i)前記第1の制御線から前記第1の制御電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御線から前記第2の制御電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、前記共通電極に共通電位を供給することで、前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加することにより前記表示部に画像を表示する第2の工程と
を含むことを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記第2の工程において、
(i)前記第1の制御電位として第1電位及び該第1電位より低い第2電位のいずれか一方の電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御電位として前記第1電位及び前記第2電位のいずれか一方の電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、
前記共通電位として前記第1電位と前記第2電位とを所定の周期で繰り返すように供給する
ことを特徴とする請求項5に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記第2の工程の後に、
前記第1の制御線及び前記第2の制御線の一方に前記共通電位と異なる電位を供給することで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべき画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加すると共に、(i)前記第1の制御線及び前記第2の制御線の他方に前記共通電位と同一の電位を供給する、又は(ii)前記他方を電気的に切断されたハイインピーダンス状態とすることで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべきでない画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加しないことにより、前記表示部に表示された画像を部分的に書き換える第3の工程を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えた電気泳動表示装置であって、
前記画素毎に形成された画素電極と、
前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、
走査信号を供給する走査線と、
画像信号を供給する第1のデータ線と、
前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、
第1の制御電位を供給する第1の制御線と、
前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、
前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、
前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、
前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、
第2の制御電位を供給する第2の制御線と、
前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子と
を備えることを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチング素子は、(i)前記第1のデータ線に電気的に接続された第1の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第1のゲート電極、及び(iii)第1の出力側端子を有する第1のトランジスタからなり、
前記第1のメモリ回路は、前記第1の出力側端子に電気的に接続された第1の容量素子を含んでなり、
前記第2のスイッチング素子は、(i)前記第1の制御線に電気的に接続された第2の入力側端子、(ii)前記第1の出力側端子及び前記第1の容量素子に電気的に接続された第2のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第2の出力側端子を有する第2のトランジスタからなり、
前記第3のスイッチング素子は、(i)前記第2のデータ線に電気的に接続された第3の入力側端子、(ii)前記走査線に電気的に接続された第3のゲート電極、及び(iii)第3の出力側端子を有する第3のトランジスタからなり、
前記第2のメモリ回路は、前記第3の出力側端子に電気的に接続された第2の容量素子を含んでなり、
前記第4のスイッチング素子は、(i)前記第2の制御線に電気的に接続された第4の入力側端子、(ii)前記第3の出力側端子及び前記第2の容量素子に電気的に接続された第4のゲート電極、及び(iii)前記画素電極に電気的に接続された第4の出力側端子を有する第4のトランジスタからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Nチャネル型のトランジスタであることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動表示装置。
【請求項4】
前記第1、第2、第3及び第4のトランジスタの各々は、Pチャネル型のトランジスタであることを特徴とする請求項2に記載の電気泳動表示装置。
【請求項5】
電気泳動素子を一対の基板間に挟持してなり、複数の画素からなる表示部を備えており、前記画素毎に形成された画素電極と、前記画素電極に前記電気泳動素子を介して対向する共通電極と、走査信号を供給する走査線と、画像信号を供給する第1のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第1のデータ線から入力される前記画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子から出力される前記画像信号を保持する第1のメモリ回路と、第1の制御電位を供給する第1の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第1の制御線から入力される前記第1の制御電位を、前記第1のメモリ回路に保持された前記画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第2のスイッチング素子と、前記画像信号を基準電位に対して極性反転させた反転画像信号を供給する第2のデータ線と、前記画素毎に設けられ、前記第2のデータ線から入力される前記反転画像信号を、前記走査信号に応じて出力する第3のスイッチング素子と、前記第3のスイッチング素子から出力される前記反転画像信号を保持する第2のメモリ回路と、第2の制御電位を供給する第2の制御線と、前記画素毎に設けられ、前記第2の制御線から入力される前記第2の制御電位を、前記第2のメモリ回路に保持された前記反転画像信号に応じて、前記画素電極に出力する第4のスイッチング素子とを備える電気泳動表示装置を駆動する電気泳動表示装置の駆動方法であって、
前記第1のデータ線から前記第1のスイッチング素子を介して前記第1のメモリ回路に前記画像信号を書き込むと共に、前記第2のデータ線から前記第3のスイッチング素子を介して前記第2のメモリ回路に前記反転画像信号を書き込む第1の工程と、
(i)前記第1の制御線から前記第1の制御電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御線から前記第2の制御電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、前記共通電極に共通電位を供給することで、前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加することにより前記表示部に画像を表示する第2の工程と
を含むことを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記第2の工程において、
(i)前記第1の制御電位として第1電位及び該第1電位より低い第2電位のいずれか一方の電位を前記第2のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給する、又は(ii)前記第2の制御電位として前記第1電位及び前記第2電位のいずれか一方の電位を前記第4のスイッチング素子を介して前記画素電極に供給すると共に、
前記共通電位として前記第1電位と前記第2電位とを所定の周期で繰り返すように供給する
ことを特徴とする請求項5に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記第2の工程の後に、
前記第1の制御線及び前記第2の制御線の一方に前記共通電位と異なる電位を供給することで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべき画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加すると共に、(i)前記第1の制御線及び前記第2の制御線の他方に前記共通電位と同一の電位を供給する、又は(ii)前記他方を電気的に切断されたハイインピーダンス状態とすることで、前記複数の画素のうち階調を書き換えるべきでない画素における前記画素電極及び前記共通電極間に電圧を印加しないことにより、前記表示部に表示された画像を部分的に書き換える第3の工程を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の電気泳動表示装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−102299(P2010−102299A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117660(P2009−117660)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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