説明

電気泳動装置

【課題】電気泳動装置の操作を自動化し、処理能力を高める。
【解決手段】この電気泳動装置は、載置された電気泳動プレートの温調制御が可能な2台のプラテン2a,2bと、泳動媒体を圧送する泳動媒体充填ユニット8と、泳動媒体充填ユニット8に接続された一対のノズル12a,12bを備えた泳動媒体充填ノズル機構10と、プラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口にサンプルを分注するピペッタ機構と、サンプルプレートを格納するスタッカ機構16と、泳動バッファ液供給機構20と、泳動バッファ液供給機構に接続された注入ノズルを備えた泳動バッファ液分注機構と、プラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートごとに電気泳動分離を行なわせる電源装置と、電気泳動プレートの各電気泳動流路を移動する成分を光学的に検出する検出器を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生化学、分子生物学、臨床などの分野において、例えばDNAシーケンシングなど、極微量のタンパク質や核酸、薬物などを高速かつ高分解能に分析する電気泳動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
極微量のタンパク質や核酸などを分析する場合には、従来から電気泳動装置が用いられている。その代表的なものとしてキャピラリー電気泳動装置があるが、キャピラリー電気泳動装置の取扱いが煩雑であるという欠点を補って分析の高速化、装置の小型化を目的として基板内部に流路をもつ電気泳動部材が提案されている。
【0003】
初期の電気泳動装置は電気泳動流路を1本のみ備えた電気泳動部材を使用していたが、その後処理能力を高めるために複数本の電気泳動流路を備えた電気泳動プレートが提案されている(特許文献1参照。)。
【0004】
そのような電気泳動プレートでは、2枚のガラス基板が接合されてその接合面に微細な電気泳動流路が複数個形成されている。
【特許文献1】特開2004−251680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのような電気泳動プレートを使用して、電気泳動流路への泳動媒体の充填、電気泳動流路の両端部への泳動バッファ液の分注、電気泳動流路の一端へのサンプル分注、電気泳動流路での電気泳動分離のための電圧印加といった一連の電気泳動分離のための操作を自動化するには多くの課題を克服しなければならず、処理能力の高い実用的な電気泳動装置はまだ実現していない。
本発明は、操作を自動化した処理能力の高い電気泳動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明で使用する電気泳動プレートは、複数の電気泳動流路を内部に備えた基板と、それらの電気泳動流路の両端部に配置されて泳動バッファ液を収容し、底部において泳動バッファ液を介して前記電気泳動流路の端部と電気的に導通する一対のリザーバとを備えたものであり、カソード側のリザーバ内には前記電気泳動流路の一端につながるサンプル分注用開口が配置され、アノード側のリザーバ内には前記電気泳動流路の他端とつながる泳動媒体充填溝が形成され、その泳動媒体充填溝の両端にはそのリザーバ内に開口したポートが形成されている。
【0007】
本発明の電気泳動装置は、そのような電気泳動プレートをそれぞれ載置することができ、載置された電気泳動プレートの温調制御が可能な2台のプラテンと、泳動媒体を圧送する泳動媒体充填ユニットと、泳動媒体充填ユニットに接続されて泳動媒体を電気泳動プレートに充填する泳動媒体充填ノズル機構と、電気泳動プレートにサンプルを分注するピペッタ機構と、サンプルを入れたサンプルプレートを格納するとともに、選択された1つのサンプルプレートをサンプル吸入位置に送り出すスタッカ機構と、泳動バッファ液を供給する泳動バッファ液供給機構と、泳動バッファ液供給機構に接続され、泳動バッファ液を電気泳動プレートに分注する泳動バッファ液分注機構と、プラテンに載置された電気泳動プレートごとに電気泳動流路に電圧を印加して電気泳動分離を行なわせる電源装置と、2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのアノード側に設定される検出位置において各電気泳動流路を移動する成分を光学的に検出する検出器とを備えている。
【0008】
泳動媒体充填ノズル機構は、プラテンに載置された電気泳動プレートの泳動媒体充填溝のポートに液密を保って挿入される一対のノズルを備え、これらのノズルを、2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのポート位置間で移動可能に支持している。
【0009】
ピペッタ機構は、プラテンに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口にサンプルを分注する複数のピペット、並びにこれらのピペットを2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口位置及びサンプルプレートからサンプルを吸入するサンプル吸入位置の間で移動させる移動機構を備えている。
【0010】
また、泳動バッファ液分注機構は、プラテンに載置された電気泳動プレートのリザーバに泳動バッファ液を注入する泳動バッファ液注入ノズルを備え、この泳動バッファ液注入ノズルを2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのリザーバ間で移動可能に支持している。
【0011】
電気泳動プレートのサンプル分注用開口の配置ピッチは使用されるサンプルプレートの試料収容ウエルのピッチの1/n(nは整数)であることが好ましい。
プラテンと電気泳動プレートには相互に位置決め用のマーク又は機構が設けられていることが好ましい。
【0012】
泳動媒体充填ユニットの好ましい一形態は、泳動媒体を保持したカートリッジが装着されるようになったものであり、そのカートリッジは泳動媒体充填ノズル機構のノズルに接続されるプランジャリッドを上部に有し、そのプランジャリッドがカートリッジ本体内に相対的に押し下げられることによりカートリッジ内の泳動媒体が圧送されるものであり、この泳動媒体充填ユニットはそのプランジャリッドを固定する機構と、プランジャリッドをカートリッジ本体内に相対的に押し下げるためにカートリッジ本体を押し上げる充填リフトアームを備えている。
充填リフトアームはカートリッジ本体側の当接部分にロードセルを有し、そのロードセルにより泳動媒体充填時の圧力を検出するようになっているものとすることができる。
【0013】
検出部の好ましい一形態は、プラテンに載置された電気泳動プレートの検出位置において各電気泳動流路に励起光を集光して投光するとともにその励起光により各電気泳動流路を移動する成分から発生する蛍光を受光する落射光学系を構成するレンズを有するスピナーヘッドと、そのスピナーヘッドを電気泳動プレートに平行な面内で、電気泳動流路を横切るように円弧に沿って往復移動させる走査機構と、励起光を発生する励起光学系と、蛍光を受光し、4種類の波長に分離して検出する受光光学系とを備え、スピナーヘッドを往復移動させる走査機構はその往復移動の駆動源として回転中心が空洞になった中空サーボモータを備えており、その中空サーボモータの空洞がスピナーヘッドと励起光学系及び受光光学系とを結ぶ光路となっているものである。
【0014】
励起光学系の光源として、例えばレーザを用いることができる。
受光光学系の好ましい一形態は、励起光成分を除去する1枚のリジェクションフィルターと、4種類の波長に分離するための3枚のダイクロイックミラーとを備えたものである。
【0015】
ピペッタ機構の好ましい一形態は、各ピペットに使い捨て可能な分注チップを着脱可能に装着するようになっていて、分注チップをピペットから取り外す脱着機構を備えたものである。そして、このピペッタ機構の移動機構はピペットを分注チップが配置された位置及び分注チップを廃棄する位置にも移動できるように構成され、これにより分注チップが配置された位置ではピペットを分注チップに向かって下降させることによりピペットに分注チップを装着し、分注チップを廃棄する位置ではその脱着機構により分注チップをピペットから取り外すようにしたものである。
ピペッタ機構に装着された分注チップを洗浄するための自動給水式の洗浄ポートを備えていることが好ましい。
【0016】
スタッカ機構に格納されるサンプルプレートの好ましい一形態は、サンプルの蒸発防止のためのシール材で表面が覆われたものである。そして、好ましくは、スタッカ機構はサンプルプレートをサンプル吸入位置に移送する際にそのシール材に穴を開ける穴開機構を備えているものである。
【0017】
スタッカ機構に格納されるサンプルプレートはサンプルに関する情報を表示したバーコードが貼付されたものであることが好ましく、その場合、この電気泳動装置はそのバーコードを読み取るバーコード読取機構を備える。
泳動バッファ液供給機構における送液手段は特に限定されるものではないが、例えばペリスタポンプを使用することができる。
【0018】
泳動バッファ液分注機構は液面検知手段を備えていることが好ましい。その液面検知手段は特に限定されるものではないが、例えば2枚の誘電体の板材で構成された静電容量型液面センサとすることができる。
泳動バッファ液分注機構は泳動バッファ液を送液する流路の途中に加温温調機構を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電気泳動装置では、2台のプラテンにそれぞれ電気泳動プレートを搭載して交互に電気泳動分離を行なうことができる。電気泳動では、泳動媒体の充填、プレ泳動(サンプルを注入しないで行なう予備的な電気泳動)、サンプル注入するまでのいわゆる前処理と、電気泳動流路に電圧を印加してサンプルを電気泳動させて分離するプロセスはほぼ同等の時間を要する。そのため、この電気泳動装置では、一つの電気泳動プレートで電気泳動を行なっている間に他方の電気泳動プレートで前処理を行なうことにより、電気泳動動作を2つの電気泳動プレートで交互に、しかも連続的に実行できるようになる。その結果、1枚の電気泳動プレートしか載置できない装置に比べると処理能力がほぼ2倍に向上する。
【0020】
ピペッタ機構によりサンプルをサンプルプレートから電気泳動プレートに分注する際、電気泳動プレートのサンプル分注用開口の配置ピッチが使用されるサンプルプレートの試料収容ウエルのピッチの1/nとなっておれば、複数のピペットにより吸入したサンプルをそのまま電気泳動プレートのサンプル分注位置に搬送して注入することができるので、サンプル分注処理の処理能力が向上する。
【0021】
プラテンと電気泳動プレートに位置決め用のマーク又は機構が設けられておれば、電気泳動プレートをプラテンに搭載する際の位置決めが容易になる。
泳動媒体充填ユニットとして泳動媒体を保持したカートリッジを装着してカートリッジ内の泳動媒体を圧送するものとすれば、泳動媒体を充填するための操作性が向上する。
【0022】
カートリッジから出た泳動媒体が電気泳動プレートに注入されるまでの流路に異常があるかどうかを監視するために圧力を検出するのが一般的であるが、その際流路に圧力センサを設けるのに比べて、充填リフトアームにロードセルを設けるようにすれば、流路に圧力センサ取付け用の分岐を設ける必要がなく、構成が簡略化できるとともに、流路内の洗浄も容易になる。
【0023】
検出部として落射光学系を構成するレンズを有するスピナーヘッドを円弧に沿って往復移動させるものとすれば、円弧に沿って往復移動させる走査機構は、スピナーヘッドを回転機構に取りつけるだけですむので、直線上を往復移動する走査系に比べると機構の構造が簡単になるとともに、走査速度を高めるのも容易である。
【0024】
また、スピナーヘッドの移動に伴って励起光学系と受光光学系も移動するようにすれば検出部が大型化し高速動作が困難になるが、励起光学系と受光光学系を別の場所に配置し、走査機構の駆動源として中空サーボモータを用い、その中空サーボモータの空洞を光路としてスピナーヘッドと励起光学系及び受光光学系の間を結ぶようにすれば、検出部を小型化することができる。
【0025】
検出部の受光光学系が、励起光成分を除去する1枚のリジェクションフィルターと、4種類の波長に分離するための3枚のダイクロイックミラーとを備えたものとすれば、この電気泳動装置を用いて4種類の塩基を識別し、塩基配列を決定することができる。
【0026】
ピペッタ機構に分注チップをピペットから取り外す脱着機構を備えることにより、ピペッタ機構における分注チップの着脱操作を自動化することができる。
ピペッタ機構に装着された分注チップを洗浄するための自動給水式の洗浄ポートを備えれば、分注チップの自動洗浄を行なうことができる。
【0027】
サンプルの蒸発防止のためのシール材で表面が覆われたサンプルプレートを使用すれば、サンプルプレートにサンプルを収容した後、電気泳動プレートにサンプルを分注するまでに時間がかかってもサンプルの蒸発を抑えることができるので、サンプルを収容した複数のサンプルプレートを予め用意してスタッカ機構に格納しておくことができるので、複数のサンプルを連続して分析することができるようになり、処理能力が向上する。
サンプルプレートにサンプルに関する情報を表示したバーコードが貼付され、それをバーコード読取機構で読み取るようにすれば、データ処理能力が向上する。
【0028】
泳動バッファ液供給機構における送液手段として送液の精度は要求されないので、ペリスターポンプを使用すれば装置の小型化に寄与する。
泳動バッファ液分注機構が液面検知手段を備えておれば泳動バッファ液の無駄な供給を抑えることができる。その液面検知手段として静電容量型液面センサを使用すれば機構が簡単になる。
【0029】
泳動バッファ液分注機構が泳動バッファ液を送液する流路の途中に加温温調機構を備えていれば、電気泳動プレートに分注される泳動バッファ液の温度をプラテンの温調温度にあわせることができ、電気泳動を開始した際の電気泳動速度の乱れを防止することができ、より再現性の高い結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1と図2はこの電気泳動装置の全体を示したものであり、図1は上面図、図2は正面図である。
中央部には電気泳動プレートを載置するための2つのプラテン2a,2bが同一高さで互いに平行に設けられている。プラテン2a,2bの表面は黒色アルミニウム(アルミニウムに陽極酸化処理により黒色アルマイト層を形成したもの)により形成されており、電気泳動プレートを保持する平坦面となっている。
【0031】
プラテン2a,2bの下面側にはラバーヒータと温度センサとしての測温抵抗体が内蔵されており、泳動時の電気泳動プレートの温度を一定に保つための加温温調制御が可能になっている。
【0032】
プラテン2a,2bの表面にはプレートを載置する際の位置合わせ用のマーク4が設けられている。マーク4は各プラテン2a,2bに2個ずつ設けられ、電気泳動プレートにもこれらのマーク4に対応して位置合わせ用のマークが設けられている。目視により又は機器を用いてそれらのマークを合わすことにより電気泳動プレートをプラテン2a,2b上の正しい位置に載置することができる。
【0033】
プラテン2a,2bは図1の手前側がアノード側、奥側がカソード側となっており、カソード側からアノード側に向かう方向が電気泳動方向となっている。アノード側にはアノードリザーバ3a,3bに内蔵されたアノード電極、カソード側にはサンプル分注用開口部の配置間隔と一致した間隔で電極が配置された剣山状のカソード電極6a,6bがそれぞれのプラテン2a,2bごとに配置されて電気泳動プレートに着脱可能に設けられており、両方のプラテン2a,2bで並行して電気泳動がなされるようになっている。
【0034】
アノードリザーバ3a,3bは、着脱可能な樹脂容器(例えば、アクリル樹脂製)で上部及び底部に開口部があり、底部開口部はその周囲にOリングが装着され、固定機構(5a,5b)により電気泳動プレートに押圧される。これにより、アノードリザーバ3a,3bはその底部開口部がOリングにより電気泳動プレートのアノード側開口部との間に液密を保った状態で接続される。
【0035】
中央部前方には泳動媒体(ゲル)を圧送する泳動媒体充填ユニット8が設けられている。泳動媒体充填ユニット8には泳動媒体を収容したカートリッジが2つ装着されるようになっている。カートリッジの詳細は後で図6により説明する。10は泳動媒体充填ユニット8に接続された泳動媒体充填ノズル機構であり、詳細は後で図7により説明するが、プラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートの泳動媒体充填溝のポートに液密を保って挿入される一対のノズル12a,12bを備え、これらのノズル12a,12bを、2台のプラテン2a,2bに載置された電気泳動プレート間で移動可能に支持している。
【0036】
プラテン2a,2bの上方にはピペッタ機構14が配置されている。ピペッタ機構14の詳細は後で図8により説明するが、プラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口にサンプルを分注する複数のピペットを備え、これらのピペットを2台のプラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口位置とサンプルプレートからサンプルを吸入するサンプル吸入位置の間で移動させる移動機構を備えている。
【0037】
プラテン2a,2bの側方にはスタッカ機構16が配置されている。スタッカ機構16はサンプルを収容したサンプルプレートを格納するとともに、選択された1つのサンプルプレートをサンプル吸入位置に送り出して位置決めする機構を備えている。
【0038】
スタッカ機構16に格納されるサンプルプレートはサンプルの蒸発防止のためのシール材で表面が覆われたものであり、スタッカ機構16はサンプルプレートをサンプル吸入位置に移送する際にそのシール材に穴を開ける穴開機構(図示略)を備えている。
スタッカ機構16に格納されるサンプルプレートはサンプルに関する情報を表示したバーコードが貼付されたものであり、この電気泳動装置にはサンプルプレートがスタッカ機構16からサンプル吸入位置に移送されるときにそのバーコードを読み取るバーコード読取機構(図示略)が設けられている。
【0039】
泳動バッファ液はバッファ液タンク54に収容され、ポンプ機構20内の泳動バッファ液供給機構としてのペリスターポンプによって送液される。
プラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートに泳動バッファ液を注入する泳動バッファ液分注機構として、泳動バッファ液供給機構のペリスターポンプに接続され、泳動媒体充填ノズル機構10に取りつけられた泳動バッファ液注入ノズル58aが設けられている。ノズル58aは泳動媒体充填ノズル機構10に取りつけられていることにより、2台のプラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートのリザーバ間で移動可能に支持されている。
【0040】
プラテン2a,2bのカソード側の上方にそれぞれ上下動可能に配置された電極を備えた電源装置(図示略)が設けられており、それらの電極はプラテン2a,2b上の電気泳動プレートのカソード側のリザーバに挿入される。アノード側はアノードリザーバ3a,3bに内蔵された電極により泳動バッファ液を介して電気泳動プレートの電気泳動流路と電気的に接続される。
【0041】
プラテン2a,2bのアノード側の下部には、検出部として、プラテン2a,2bにそれぞれ設けられた開口を介して光学的な検出を行なう光学的検出器がプラテン毎に配置されている。その光学的検出器は、後で図9により詳細に示すが、電気泳動プレートの検出位置に励起光を照射し、そこへ泳動してきたサンプルからの蛍光を検出するものである。22a,22bはそれぞれの検出器の走査機構を構成する中空サーボモータである。
【0042】
以下にこの電気泳動装置の各部及び使用される電気泳動プレートを詳細に説明する。
図3と図4はこの電気泳動装置で使用される電気泳動プレートの一例である。
図3(A)に概略的に示されるように、ガラス基板26内に複数の電気泳動流路24が互いに交差しないように配列され、ガラス基板26の表面には電気泳動流路24のカソード側の端部にリザーバ28が取りつけられ、アノード側の端部にリザーバ3(図2に記載したアノードリザーバ3aと3bを総称したもの。)が装置への載置時に装着されるようになっている。電気泳動流路24は、幅が90μm、深さが40μmで、ガラス基板26の長手方向に延び、カソード側からアノード側に向かって広がる放射状の領域に互いに交差しないように384本が配列されている。
【0043】
各リザーバ28,3は、上部が開口した容器を構成しており、泳動バッファ液を収容し、底部において泳動バッファ液を介して電気泳動流路24の端部と電気的に導通するようになっている。
【0044】
図3(B)に示されるように、カソード側のリザーバ28はその底部に電気泳動流路24の一端につながる384個の開口24aが配置されており、それらの開口24aがサンプル分注位置となっている。開口24aはここではサンプルプレートのサンプルを収容したウエルの配列と同じピッチで配列されているが、ウエルの配列ピッチの1/nであってもよい。リザーバ28は、その斜視図を表わす図3(C)に示されるように、全ての開口24aが配置されている領域を囲む1つの容器となっている。電気泳動流路24はリザーバ28内のバッファ液を介してリザーバ28に挿入される電極と電気的に接続される。
【0045】
図4はアノード側のリザーバ3を示している。図4(A)はリザーバ3の断面図であり、(B)はそのY−Y線位置での断面図、(C)は泳動媒体充填ラインが接続された状態を示す断面図である。ここでは簡略化のためにアノードリザーバと電気泳動プレートとを合わせてアノードリザーバ3として表現しているが、アノードリザーバ3は電気泳動プレート上に着脱可能に載置され、アノードリザーバ3の底部開口部がOリングにより電気泳動プレートのアノード側開口部に液密を保った状態で接続されている。リザーバ3はその底部に電気泳動流路24の他端とつながる流路からなる泳動媒体充填溝30を備えており、泳動媒体充填溝30の両端にリザーバ3内に開口したポート32a,32bが形成されている。それらのポート32a,32b内にはそれぞれノズル12a,12bを液密を保って挿入できるようにOリング33a,33bが設けられている。リザーバ3も全ての電気泳動流路24の他端側の開口が配置されている領域を囲む1つの容器となっている。電気泳動流路24はリザーバ3内に固定されている電極35とリザーバ3内のバッファ液を介して電源装置に電気的に接続されるようになっている。
【0046】
泳動媒体充填ラインのノズル12a,12bはそれぞれポート32a,32bに着脱可能に挿入され、泳動媒体が加圧されて供給されても漏れないように、図4(C)に示されるようにOリング33a,33bにより封止される。
【0047】
ガラス基板26の材質としては、石英ガラスやホウ珪酸系ガラスを用いることができ、また、ガラス基板26に替えて樹脂などの他の材質のものを用いることもできる。ここでは泳動分離された成分を光学的に検出するので透明材質のガラス基板26を選択するが、光学的検出器以外の検出手段を使用する場合は、ガラス基板26の材質は透明なものに限定されるものではない。
【0048】
ガラス基板26は2枚のガラス板を張り合わせたものとすることができる。電気泳動流路24は一方のガラス板の接合面にリソグラフィーとエッチング(ウエットエッチング又はドライエッチング)により形成することができる。また開口24aなどは他方のガラス板又は同じガラス板で電気泳動流路24の両端の位置にサンドブラストやレーザドリルなどの方法により貫通穴として形成することができる。
【0049】
図5は泳動媒体、泳動バッファ液及び洗浄水を供給し、余分な泳動バッファ液を排出するための流路系を示したものである。
泳動媒体は後述する図6に示されるようなカートリッジ34に収容されて泳動媒体充填ユニット8に装着される。泳動媒体充填ユニット8のラック36には2つのカートリッジ34が装着できるようになっている。それぞれのカートリッジ34は、ラック36により、下端を押し上げるアクチュエータ38の位置に移動される。
【0050】
アクチュエータ38の下部には充填リフトアーム40が設けられている。充填リフトアーム40はその上端にロードセル42が設けられ、ロードセル42がアクチュエータ38の下端と当接してロードセル42を介してアクチュエータ38を押し上げる。
ラック36は図で横方向にスライドして2つのカートリッジ34のいずれをもアクチュエータ38の位置に位置決めできるようになっている。
【0051】
アクチュエータ38の位置に位置決めされているカートリッジ34には、充填ラインコネクタ44が装着され、破線で示された充填ライン46を介してノズル機構10のノズル12aに導かれる。ノズル12aは、図4に示されているように、電気泳動プレートのアノード側に装着されているアノードリザーバ3a,3b内の泳動媒体充填溝の一方のポート32aに液密を保って挿入され、ノズル12bはその泳動媒体充填溝の他方のポート32bに液密を保って挿入されることにより、一対のノズル12aと12bはその泳動媒体充填溝30を介してつながることになる。
【0052】
図5に戻って説明を続けると、ノズル12bは泳動媒体排出ライン48を介してドレインボトル50に導かれている。ライン46にはライン内の泳動媒体又は水を検知するセンサS1,S2が設けられ、ライン48にはライン内の泳動媒体又は水を検知するセンサS3,S4及び6ポートバルブ52が設けられてライン48の開閉が制御される。
【0053】
泳動媒体充填ライン46と排出ライン48を洗浄するために、ラック36には充填ライン洗浄ポート74が設けられており、ラック36は洗浄ポート74もアクチュエータ38の上部位置に位置決めできるように移動範囲が設定されている。洗浄ポート74にはウォータータンク66の洗浄水がペリスターポンプ76により供給される。洗浄ポート74の下部には使用後に残った洗浄水を廃棄するために廃棄ライン78が設けられ、廃棄ライン78はライン内の水を検知するセンサS5及び6ポートバルブ80を介してバキュームタンク60に導かれている。
【0054】
泳動媒体充填ライン46と排出ライン48を洗浄するときは、図5の右側でノズル機構10の下方に符号86として図示している充填ライン洗浄ユニットに泳動媒体充填ノズル機構10を移動させ、充填ライン洗浄ユニット86の2つのポート86a、86bにノズル12a、12bを挿入する。ポート86a、86bは短絡ライン86cによって繋がっており、ノズル12a、12bを挿入することで、泳動充填ライン46と排出ライン48が短絡したことになる。一方、充填ラインコネクタ44はカートリッジ34のプランジャリッド43から外され、ラック36により移動させられた洗浄ポート74中に挿入される。挿入前には、ペリスタポンプ76により洗浄水が洗浄ポート74に注入されており、また、6ポートバルブ80はクローズされている。その後、泳動媒体を充填するときと同様に、アクチュエータ38及び充填リフトアーム40により洗浄ポート74が押し上げられることにより、ラインコネクタ44の先端外周に、洗浄ポート74内壁と液密を保つためのOリングが装着されているため、泳動媒体充填ライン46、短絡ライン86c、排出ライン48の中を通って、洗浄ポート76内の洗浄液がドレインボトル50へ導かれる。所定位置まで洗浄ポートの押し上げが達したら、6ポートバルブ80を開き、ダイアフラムポンプにより、ライン内の洗浄液がバキュームタンクへ回収される。排出ライン48の端部はドレインボトル50内部上方に位置し、かつ、ドレインボトルが大気に開放されているため、ライン内の洗浄液の回収終了後はドレインボトル50を介して、空気がライン内に導入され、ラインを乾燥させる。ラインの洗浄及び乾燥は、ポリマーカートリッジが交換される際にのみ実施される。ポリマーカートリッジの交換時期は、充填リフトアームの押し上げ位置により検知され、自動的に行われる。また、充填ライン洗浄ユニット86へは、ペリスターポンプ88により水が供給され、フロートスイッチ86dにより水位が一定に保たれている。泳動媒体の充填終了後の泳動媒体充填ノズル機構10は、ノズル12a、12bの先端が充填ライン洗浄ユニット86の水につかる位置に移動し、泳動媒体と空気の接触を避けることにより、泳動媒体の乾燥を防ぎ、ノズル及びラインの詰まりを防止している。
【0055】
電気泳動プレートのリザーバ28,3に泳動バッファ液を供給するための泳動バッファ供給機構として、泳動バッファ液を収容したバッファタンク54と、送液を行なうペリスターポンプ56a,56b,56cが設けられている。ペリスターポンプ56a,56b,56cはポンプ機構20内に設けられている。
【0056】
ポンプ56aにより泳動バッファ液を供給するラインはノズル機構10に設けられたノズル58aにつながり、ノズル58aがアノード側のリザーバ3に挿入されて泳動バッファ液がリザーバ3に供給される。リザーバ3にはノズル機構10に設けられた他方のノズル58bも挿入され、ノズル58bにつながるラインは電磁弁SV3を介してバキュームタンク60に導かれて吸引され、泳動バッファ液供給前に使用ずみの泳動バッファ液が廃棄される。泳動バッファ液供給ラインのノズル58a,58bはノズル機構10に設けられていることにより、両方のプラテン22a,22b上の電気泳動プレートのアノード側リザーバ3に共通に使用される。
61はバキュームタンク60内を減圧にして吸引するためのダイヤフラムポンプである。
【0057】
泳動バッファ液供給機構のポンプ56bにつながるラインはプレヒータ62を介して所定の温度に保温された状態で一方のプラテン22a上の電気泳動プレートのカソード側リザーバ28に導かれる。さらに他のポンプ56cにつながるラインはプレヒータ64を介して他方のプラテン22b上の電気泳動プレートのカソード側ザーバ28に導かれる。
【0058】
両プラテン22a,22b上の電気泳動プレートのカソード側リザーバ28,28を洗浄するために、ウォータータンク66からの洗浄水をペリスターポンプ68aを介して一方のプラテン22a上の電気泳動プレートのカソード側リザーバ28に洗浄水を導く流路及びノズル69aと、ペリスターポンプ68bを介して他方のプラテン22b上の電気泳動プレートのカソード側リザーバ28に洗浄水を導く流路及びノズル69bが設けられている。
【0059】
両プラテン22a,22b上の電気泳動プレートのカソード側リザーバ28に泳動バッファ液を導くためのノズル70a,70bと洗浄水を導くためのノズル69a,69bは、それぞれのカソード側リザーバ28用の電極6a,6bと一体的に設けられ、それぞれ電気泳動プレートの上方で上下方向に移動してそれぞれのリザーバ28,28に電極6a,6bとともに着脱可能に挿入されるようになっている。電極6a,6bはそれぞれの電気泳動プレートのリザーバ28,28の泳動バッファ液を介してそれぞれの電気泳動プレートの流路24に電気的に接続される。
【0060】
図5の左上方に図示されているように、電気泳動プレートのカソード側のリザーバ28内でサンプル分注用開口24aにたまった余分な泳動媒体を吸引して廃棄するために、プラテン2a,2bの上方に上下動可能にアスピレータ80が配置されている。アスピレータ80はサンプル分注用開口24aと同じピッチ又はn倍(nは整数)のピッチで配列されたノズルを備え、それらのノズルは電磁弁SV1を備えた吸引ラインを介してバキュームタンク60に導かれている。アスピレータ80は両プラテン2a,2b上の電気泳動プレートに共通に使用できるように水平方向にも移動可能に支持されている。
【0061】
図5でアスピレータ80の下方に符号82として図示されているのは、後で図8に詳細に示すピペッタ機構14の分注チップを洗浄するためのウォッシュポートである。ウォッシュポート82はピペッタ機構14のノズルと対応したピッチ又はn倍(nは整数)のピッチの穴をもち、それらの穴にはウォータータンク66からペリスターポンプ84を介して洗浄液が供給され、洗浄後の洗浄液はドレインボトル50へ排出されるようになっている。
ペリスターポンプ68a,68b,76,84,88もポンプ機構20内に設けられている。
【0062】
図6は泳動媒体を収容したカートリッジ34を詳細に示したものである。同図(A)に示されるように、カートリッジ34の本体は上部が開口した円筒状の容器であり、使用前のカートリッジ34には泳動媒体89が収容され、カートリッジ34の上端開口部にプランジャリッド43がOリングなどの封止部材43aにより液密を保って摺動可能に嵌め込まれている。プランジャリッド43の中心には貫通穴があけられ、上面にはその貫通穴に通じる取出し口92が設けられている。取出し口92は使用前はキャップ94で閉じられている。
【0063】
カートリッジ34は泳動媒体充填ユニット8のラック36に装着され、キャップ94が外される。泳動媒体充填ユニット8にはキャップ94を自動的に取り外す機構も設けられている。キャップ94が外された後の取出し口92には、同図(B)に示されるように、充填ラインコネクタ44が装着される。充填ラインコネクタ44には、洗浄ポート76に挿入時に液密を保って摺動できるように、Oリング45が嵌め込まれている。
【0064】
泳動媒体を供給するときは、取出し口92に充填ラインコネクタ44が装着され、プランジャリッド43がラック36に固定された状態で、同図(B)に示されるように、充填リフトアーム40によりアクチュエータ38を介してカートリッジ34が上方に押し上げられる。プランジャリッド43の位置が固定されていることにより、カートリッジが押し上げられるにつれてプランジャリッド43は相対的にカートリッジ34内に押し下げられて、泳動媒体89がプランジャリッド43の穴からコネクタ44を介して充填ラインへ供給される。
【0065】
図5に戻って説明すると、充填リフトアーム40はカートリッジ34を押し上げるアクチュエータ38との当接面にロードセル42を備えているので、カートリッジ34を押し上げるときの圧力がロードセル42により検出され、泳動媒体の充填圧力を制御したり、泳動媒体供給ライン46又は排出ライン48の詰りなどの異常をその検出圧力により監視したりすることができる。
【0066】
図7はノズル機構10を詳細に示したものである。ノズル機構10に取りつけられた一対のノズル12a,12bは泳動媒体充填ユニット8に接続され、プラテン2a,2bのそれぞれに載置された電気泳動プレートのアノードリザーバ3a,3b内の泳動媒体充填溝30のポート32a,32bに液密を保って挿入される。これらのノズル12a,12bは2台のプラテン2a,2bに載置されたそれぞれの電気泳動プレートのポート位置間で移動可能に支持されている。ノズル機構10には泳動バッファ液注入ノズル58a、泳動バッファ液回収ノズル58bも取りつけられ、ノズル58a,58bもノズル12a,12bとともに2台のプラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートのリザーバ3,3間で移動させられる。
【0067】
図8はプラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口24aにサンプルを分注するためのピペッタ機構14を詳細に示したものである。(A)は正面図、(B)はその側面断面図である。
ピペッタ機構14は先端部にサンプル分注用開口24aと同じ配列で配置された192本のピペット90を備えており、ピペット90は基端部がそれぞれのディスペンサプランジャ96に接続されて、サンプルの吸入と排出がなされる。各ピペット90には使い捨て可能な分注チップ92が着脱可能に装着されてサンプルの分注に使用される。
【0068】
ピペット90の配列はサンプルプレートのサンプル収容ウエルの配列とも一致しており、一度のサンプル吸入動作で192個のサンプルを同時に吸入することができる。電気泳動プレートのリザーバ28内には384個のサンプル分注用開口24aがピペット90と同じ配列で配置されているので、このピペッタ機構14による2度のサンプル分注動作により384個のサンプル分注用開口24aにサンプルを注入することができる。
【0069】
ピペッタ機構14はピペット90の基端部側に分注チップ92をピペット90から取り外す脱着機構としてチップリムーバプレート94を備えている。チップリムーバプレート94にはピペット90の基端部の外形よりは大きく、分注チップ92の基端部の外形よりは小さい大きさの穴がピペット90と同じ配列で設けられ、分注チップ92の基端部側でピペット90に嵌め込まれている。チップリムーバプレート94がピペット90の先端方向に押し出されることにより分注チップ92がピペット90から取り外されるようになっている。
【0070】
ピペッタ機構14の移動機構は上下方向の移動とともに、ピペット90を2台のプラテン2a,2bに載置されたそれぞれの電気泳動プレートのサンプル分注用開口24aの位置、サンプルプレートからサンプルを吸入するサンプル吸入位置、装着前の分注チップ92が配置された位置及び分注チップを廃棄する位置にも移動できるように構成されている。
【0071】
サンプル分注用開口24aの位置とサンプル吸入位置ではディスペンサプランジャ96によるサンプルの吸入と吐出によりサンプル分注を行なうことができる。また、分注チップ92が配置された位置ではピペット90を分注チップ92に向かって下降させることによりピペット90に分注チップ92を装着し、分注チップ92を廃棄する位置ではチップリムーバプレート94により分注チップ92をピペット90から取り外して廃棄することにより、ピペット90への分注チップ92の着脱を自動化することができる。
【0072】
図9は検出部を示したものであり、プラテン2a,2bそれぞれの下部に設けられている。2台の検出部があるが、同じ構成であるので、1台について説明を行なう。(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は(A)のX−X線位置での断面図である。
プラテン2a,2bに載置された電気泳動プレートでは、電気泳動流路4aのアノード側が検出位置とされ、それぞれの検出位置のプラテン2a,2bには下部に配置されたそれぞれの検出部による光学検出を行なうために窓が開けられている。
【0073】
この検出部は、プラテンに載置された電気泳動プレートの検出位置において電気泳動流路24aに励起光を集光して投光するとともにその励起光により各電気泳動流路を移動する成分から発生する蛍光を受光する落射光学系を構成するレンズを有するスピナーヘッド100を備え、スピナーヘッド100を電気泳動プレートに平行な面内で、電気泳動流路を横切るように円弧102に沿って往復移動させるために走査機構としてサーボモータ22を備えている。光学系を構成するために、励起光を発生する励起光学系と蛍光を受光し、4種類の波長に分離して検出する受光光学系とを備えているが、図9には図示されていない。
【0074】
スピナーヘッド100を往復移動させる駆動源となる走査機構のサーボモータ22は回転中心が空洞になった中空サーボモータであり、その中空サーボモータ22の空洞がスピナーヘッド100と励起光学系及び受光光学系とを結ぶ光路104となっている。同図(C)では中空サーボモータ22は図には現われていないが、下側に配置されており、その中空サーボモータ22の空洞を通る光路104は、サーボモータ22により駆動される中空部材内に配置されたミラー106,108により折り曲げられてスピナーヘッド100と励起光学系及び受光光学系とを結んでいる。
【0075】
励起光学系と受光光学系を図10に示す。励起光学系と受光光学系は図9(C)の下方で、光路104上に配置されている。励起光学系の光源は例えばレーザであり、励起光のレーザビーム110の光路上にはダイクロイックミラー112が配置されている。ダイクロイックミラー112の反射光路上には励起光カットフィルタ114とレンズ116を介してダイクロイックミラー118が配置され、ダイクロイックミラー118の透過光を受光する位置に光検出器124として光電子増倍管が配置されている。レンズ116は光検出器124及び後述の光検出器126,128,130の光電子増倍管の光電面に蛍光を集光させるためのものである。ダイクロイックミラー118の反射光路上にはダイクロイックミラー120が配置され、ダイクロイックミラー120の透過光を受光する位置に光検出器126として光電子増倍管が配置されている。ダイクロイックミラー120の反射光路上にはダイクロイックミラー122が配置され、ダイクロイックミラー122の透過光を受光する位置に光検出器130として光電子増倍管が配置されている。ダイクロイックミラー122の反射光を受光する位置に光検出器128として光電子増倍管が配置されている。
【0076】
励起光源、電気泳動されるサンプルの標識色素、各光学素子の光学特性の一例を示す。励起光源としてアルゴンレーザを使用してその488nmのレーザ光を励起光とする。標識色素として、dR110(発生する蛍光波長は530−535nm)、dR6G(発生する蛍光波長は560−565nm)、dTAMURA(発生する蛍光波長は590−595nm)及びdROX(発生する蛍光波長は615−620nm)の4種類の蛍光色素を使用する。
【0077】
ダイクロイックミラー112として520nmよりも短波長側の光を透過させ、それより長波長側の光を反射させるように調整されたものを使用すると、488nmの励起光を透過させ、使用されている標識色素からの蛍光を反射させる。カットフィルタ114として525nmよりも短波長側の光を遮蔽し、それより長波長側の光を透過させるものを使用すると、励起光成分を遮蔽し、蛍光を透過させる。
【0078】
ダイクロイックミラー118として600nmよりも長波長側の光を透過させ、それより短波長側の光を反射させるように調整されたものを使用すると、ダイクロイックミラー118を透過して光検出器124で検出される蛍光はdROXから発生した蛍光のみとなる。
【0079】
ダイクロイックミラー120として575nmよりも長波長側の光を透過させ、それより短波長側の光を反射させるように調整されたものを使用すると、ダイクロイックミラー120を透過して光検出器126で検出される蛍光は575−600nmの範囲のものであるので、dTAMURAから発生した蛍光のみとなる。
【0080】
ダイクロイックミラー122として545nmよりも長波長側の光を透過させ、それより短波長側の光を反射させるように調整されたものを使用すると、ダイクロイックミラー122を透過して光検出器130で検出される蛍光は545−575nmの範囲のものであるので、dR6Gから発生した蛍光のみとなる。
また、ダイクロイックミラー122で反射されて光検出器128で検出される蛍光は545nmより短波長のものであるので、dR110から発生した蛍光のみとなる。
【0081】
励起光源からの励起光はダイクロイックミラー112を透過して光路104に沿ってスピナーヘッド100へ導かれ、スピナーヘッド100からプラテンに載置された電気泳動プレートの検出位置に照射される。電気泳動プレートの検出位置で発生した蛍光は、スピナーヘッド100から光路104に沿ってダイクロイックミラー112へ戻され、ダイクロイックミラー112で反射され、カットフィルタ114で励起光成分が除去され、ダイクロイックミラー118,120,122によって4種類の標識色素からの蛍光に分離されてそれぞれの光検出器124,126,128,130により検出される。
【0082】
次に、この実施例による電気泳動分析の動作を説明する。
(電気泳動プレートの装着)
電気泳動プレートをプラテン2a,2b上に載置し、プラテン2a,2b上のマーク4に電気泳動プレートのマークを合わせて位置決めする。プラテン2a,2bの温調機構により電気泳動プレートが一定温度に保たれる。
【0083】
(泳動媒体充填)
泳動媒体充填ユニット8に泳動媒体を収容したカートリッジ34を装着し、カートリッジ43に充填ラインコネクタ44を接続する。ノズル機構10のノズル12a,12bが一方のプラテン2a又は2bに載置された電気泳動プレートのアノード側のリザーバ3内にある泳動媒体充填溝のポート32a,32bに挿入される。ここでは、まず、プラテン2a上の電気泳動プレートに泳動媒体が充填されるものとする。
【0084】
6ポートバルブ52により泳動媒体排出ライン48がドレインボトル50に導かれる状態にされて、充填リフトアーム40の上昇によりカートリッジ34中の泳動媒体が充填ライン46を介してノズル12aからポート32aを経て電気泳動プレートの泳動媒体充填溝30に導かれる。
【0085】
泳動媒体が泳動媒体充填溝30を通ってポート32bからノズル12bを経て泳動媒体排出ライン48へ溢れ出した後、6ポートバルブ52が閉じられる。泳動媒体の先端がライン中のどこに位置するかをセンサS1〜S3で検知し、ドレインバルブを切り換えるタイミングを計る。これにより、泳動媒体は泳動媒体充填溝30から電気泳動流路24に圧入される。
泳動媒体がカソード側のリザーバ28内のサンプル分注用開口24aに溢れ出した時点でカートリッジ34からの泳動媒体の供給が停止される。
【0086】
泳動媒体充填中に、アノードリザーバ3に残っている前回の泳動で使用した泳動バッファを電磁弁SV3を開き、ノズル58bを介してバキュームタンク60に回収する。その後、ポンプ56aによりノズル58aを介して、新しい泳動バッファが供給される。
充填後、泳動媒体充填ノズル機構10のノズル12a、12bは、アノードリザーバ3のポート33a、33bから抜かれるが、その際、リザーバ内の泳動バッファがポート内に進入し、泳動媒体充填溝30内の泳動媒体と接触する。泳動媒体充填ノズル機構10は充填ライン洗浄ユニット86の水にノズル12a、12bの先端が漬かる位置に移動する。
【0087】
それと並行して、アスピレータ80がサンプル分注用開口24aに挿入され、開口24aに溢れ出した泳動媒体が吸引して除去される。これでプラテン2a上の電気泳動プレートへの泳動媒体の充填動作が完了する。
【0088】
泳動媒体が充填された電気泳動プレート(プラテン2a側)では、泳動バッファ液供給機構のポンプ56bにつながるラインがカソード側リザーバ28に導かれ、泳動バッファ液が供給される。カソード側では泳動バッファ液はプレヒータ62により所定の温度に保温された状態でリザーバ28に供給される。
【0089】
(プレ電気泳動)
泳動媒体中のイオン物質除去のためにプレ電気泳動を行なう。カソード側リザーバ28に電極が挿入されと、アノード側リザーバ3内の電極との間は泳動バッファを介して電気的に接続される。その後、カソード側リザーバ28に挿入された電極とアノード側リザーバ3内の電極との間に所定の泳動電圧を印加する。
【0090】
(サンプル注入)
電気泳動を行なおうとするサンプルを収容したサンプルプレートがスタッカ機構16からサンプル吸入位置に送り出されて位置決めされる。サンプルプレートがサンプル吸入位置に送り出される途中で穴開機構によりシール材に穴が開けられ、バーコード読取機構によりバーコードが読み取られる。
【0091】
ピペッタ機構14がサンプル吸入位置へ移動してピペッタ機構14のピペット90に装着された分注チップ92へサンプルプレートから所定量のサンプルを吸入した後、アスピレータ80がプラテン2a上の電気泳動プレートのサンプル分注用開口24aへ移動してその開口24a内の泳動バッファを除去した後、ピペッタ機構14がプラテン2a上の電気泳動プレートのサンプル分注用開口24aへ移動して分注チップ92から開口24aへサンプルを注入する。
【0092】
その後、ピペッタ機構14の分注チップ92がウォッシュポート82へ挿入されて洗浄され、次のサンプルの注入に備える。ここでは、ピペッタ機構14によるサンプル分注動作が2回繰り返されることにより、1つの電気泳動プレートへのサンプル分注が完了する。
【0093】
(サンプルインジェクション)
カソード電極6の384本の電極の先端をサンプル分注用開口24aに注入されているサンプルに浸す。アノードリザーバ3に内蔵されたアノード電極との間に所定の電圧を印加し、サンプルを泳動流路24内の泳動媒体に導入する。
【0094】
(サンプル除去)
サンプル分注用開口24a内に残留しているサンプルをアスピレータ80により吸引して除去した後、ピペッタ機構14により水を開口24a内で出し入れして洗浄する。その後、カソードリザーバ3内に泳動バッファがポンプ56bにより供給される。
【0095】
以上で一方のプラテン2a上の電気泳動プレートでの前処理が終了し、その電気泳動プレートでは続いて電気泳動分離が行なわれる。電気泳動分離では、その電気泳動プレートのカソード側リザーバ28に電極が挿入され、泳動バッファ液を介して電気泳動流路と電気的に接続される。それらの電極に電源装置から電源が供給されることにより電気泳動が開始される。
【0096】
一方のプラテン2a上の電気泳動プレートでの前処理の終了に伴ない、他方のプラテン2b上の電気泳動プレートでの前処理が始められる。そのプラテン2b上の電気泳動プレートでの前処理は、プラテン2a上の電気泳動プレートでの電気泳動動作の終了を待つことなく、開始される。プラテン2b上の電気泳動プレートでの前処理の動作は上に示したプラテン2a上の電気泳動プレートでの前処理動作と同じである。
【0097】
プラテン2b上の電気泳動プレートでの前処理は、プラテン2a上の電気泳動プレートでの電気泳動動作終了直前に完了し、その電気泳動動作終了後にプラテン2b上の電気泳動プレートでの電気泳動が開始される。このように、一方のプラテン上の電気泳動プレートでの電気泳動動作終了直前に他方のプラテン上の電気泳動プレートでの前処理が終了するように、前処理開始のタイミングがコンピュータによって管理されている。
【0098】
(検出)
プラテン2a,2b上の電気泳動プレートの検出位置では、それぞれの光学的検出器から励起光が照射され、そこへ泳動してきたサンプルからの蛍光が検出されて、塩基配列が決定されていく。
測定の終了した電気泳動プレートでは、使用後の泳動媒体は前処理動作が繰り返されることにより新たな泳動媒体で置換され、新たなサンプルの分析が繰り返される。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の電気泳動装置は、生化学、分子生物学、臨床などの分野において、極微量のタンパク質や核酸、薬物などを高速かつ高分解能に電気泳動分離するのに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】一実施例の全体を示す上面図である。
【図2】同実施例の全体を示す正面図である。
【図3】(A)は同実施例で使用される電気泳動プレートを示す平面図、(B)は同電気泳動プレートのカソード側リザーバ底部に配置された一部の開口を示す部分平面図、(C)は同カソード側リザーバを示す斜視図である。
【図4】(A)は泳動媒体充填ラインのノズルとともに示すアノード側のリザーバの断面図、(B)はそのY−Y線位置での断面図、(C)は同リザーバに泳動媒体充填ラインが接続された状態を示す断面図である。
【図5】泳動媒体、泳動バッファ液及び洗浄水のための流路図である。
【図6】泳動媒体を収容したカートリッジを示す断面図、(B)は泳動媒体を送り出している状態を示すカートリッジの断面図である。
【図7】ノズル機構10を詳細に示す正面図である。
【図8】ピペッタ機構を示したものであり、(A)は正面図、(B)は側面断面図である。
【図9】検出部を示したものであり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は(A)のX−X線位置での断面図である。
【図10】励起光学系と受光光学系を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0101】
2a,2b プラテン
3,28 リザーバ
4 マーク
8 泳動媒体充填ユニット
10 泳動媒体充填ノズル機構
12a,12b ノズル
14 ピペッタ機構
16 スタッカ機構
20 ポンプ機構
22a,22b 中空サーボモータ
24 電気泳動流路
24a 開口
26 電気泳動プレートのガラス基板
30 泳動媒体充填溝
32 泳動媒体充填溝のポート
34 カートリッジ
36 泳動媒体充填ユニットのラック
40 充填リフトアーム
42 ロードセル
43 プランジャリッド
44 充填ラインコネクタ
56 泳動バッファ液供給機構のポンプ
62,64 プレヒータ
70a,70b 電極
74 充填ライン洗浄ポート
80 アスピレータ
89 泳動媒体
90 ピペット
92 分注チップ
96 ディスペンサプランジャ
100 スピナーヘッド
104 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動プレートを使用して電気泳動を行なうための電気泳動装置であって、
前記電気泳動プレートは複数の電気泳動流路を内部に備えた基板と、それらの電気泳動流路の両端部に配置されて泳動バッファ液を収容し、底部において泳動バッファ液を介して前記電気泳動流路の端部と電気的に導通する一対のリザーバとを備えており、カソード側のリザーバ内には前記電気泳動流路の一端につながるサンプル分注用開口が配置され、アノード側のリザーバ内には前記電気泳動流路の他端とつながる泳動媒体充填溝が形成され、その泳動媒体充填溝の両端にはそのリザーバ内に開口したポートが形成されているものであり、
この電気泳動装置は、前記電気泳動プレートをそれぞれ載置することができ、載置された電気泳動プレートの温調制御が可能な2台のプラテンと、
泳動媒体を圧送する泳動媒体充填ユニットと、
前記泳動媒体充填ユニットに接続された一対のノズルを備え、これらのノズルを前記プラテンに載置された電気泳動プレートの泳動媒体充填溝のポートに液密を保って挿入するとともに、これらのノズルを前記2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのポート位置間で移動可能に支持している泳動媒体充填ノズル機構と、
前記プラテンに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口にサンプルを分注する複数のピペット、並びにこれらのピペットを前記2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのサンプル分注用開口位置及びサンプルプレートからサンプルを吸入するサンプル吸入位置の間で移動させる移動機構を備えたピペッタ機構と、
サンプルを入れたサンプルプレートを格納するとともに、選択された1つのサンプルプレートを前記サンプル吸入位置に送り出すスタッカ機構と、
泳動バッファ液を供給する泳動バッファ液供給機構と、
前記2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのリザーバに泳動バッファ液を注入するために、前記泳動バッファ液供給機構に接続された泳動バッファ液注入ノズルを備え、この泳動バッファ液注入ノズルを前記2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのリザーバに移動可能に支持している泳動バッファ液分注機構と、
前記プラテンに載置された電気泳動プレートごとに電気泳動流路に電圧を印加して電気泳動分離を行なわせる電源装置と、
前記2台のプラテンに載置された電気泳動プレートのアノード側に設定される検出位置において各電気泳動流路を移動する成分を光学的に検出する検出器と、
を備えている電気泳動装置。
【請求項2】
前記電気泳動プレートのサンプル分注用開口の配置ピッチは使用されるサンプルプレートの試料収容ウエルのピッチの1/n(nは整数)である請求項1に記載の電気泳動装置。
【請求項3】
前記プラテンと電気泳動プレートには相互に位置決め用のマーク又は機構が設けられている請求項1又は2に記載の電気泳動装置。
【請求項4】
前記泳動媒体充填ユニットには泳動媒体を保持したカートリッジが装着されるようになっており、
前記カートリッジは前記泳動媒体充填ノズル機構のノズルに接続されるプランジャリッドを上部に有し、そのプランジャリッドがカートリッジ本体内に相対的に押し下げられることによりカートリッジ内の泳動媒体が圧送されるものであり、
この泳動媒体充填ユニットは前記プランジャリッドを固定する機構と、プランジャリッドをカートリッジ本体内に相対的に押し下げるためにカートリッジ本体を押し上げる充填リフトアームを備えている請求項1から3のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項5】
前記充填リフトアームはカートリッジ本体側の当接部分にロードセルを有し、そのロードセルにより泳動媒体充填時の圧力を検出する請求項4に記載の電気泳動装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記プラテンに載置された電気泳動プレートの検出位置において各電気泳動流路に励起光を集光して投光するとともにその励起光により各電気泳動流路を移動する成分から発生する蛍光を受光する落射光学系を構成するレンズを有するスピナーヘッドと、
前記スピナーヘッドを前記電気泳動プレートに平行な面内で、前記電気泳動流路を横切るように円弧に沿って往復移動させる走査機構と、
前記励起光を発生する励起光学系と、
前記蛍光を受光し、4種類の波長に分離して検出する受光光学系と、
を備え、
前記走査機構は前記往復移動の駆動源として回転中心が空洞になった中空サーボモータを備えており、その中空サーボモータの前記空洞が前記スピナーヘッドと前記励起光学系及び前記受光光学系とを結ぶ光路となっている請求項1から5のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項7】
前記励起光学系の光源はレーザであり、
前記受光光学系は励起光成分を除去する1枚のリジェクションフィルターと、4種類の波長に分離するための3枚のダイクロイックミラーとを備えている請求項6に記載の電気泳動装置。
【請求項8】
前記ピペッタ機構は各ピペットに使い捨て可能な分注チップを着脱可能に装着するようになっており、かつ分注チップをピペットから取り外す脱着機構を備え、
このピペッタ機構の前記移動機構はピペットを分注チップが配置された位置及び分注チップを廃棄する位置にも移動できるように構成され、
これにより分注チップが配置された位置ではピペットを分注チップに向かって下降させることによりピペットに分注チップを装着し、分注チップを廃棄する位置では前記脱着機構により分注チップをピペットから取り外すようにした請求項1から7のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項9】
前記ピペッタ機構に装着された分注チップを洗浄するための自動給水式の洗浄ポートを備えている請求項8に記載の電気泳動装置。
【請求項10】
前記スタッカ機構に格納されるサンプルプレートはサンプルの蒸発防止のためのシール材で表面が覆われたものであり、
前記スタッカ機構はサンプルプレートを前記サンプル吸入位置に移送する際にそのシール材に穴を開ける穴開機構を備えている請求項1から9のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項11】
前記スタッカ機構に格納されるサンプルプレートはサンプルに関する情報を表示したバーコードが貼付されたものであり、この電気泳動装置はサンプル分注前にそのバーコードを読み取るバーコード読取機構を備えている請求項1から10のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項12】
前記泳動バッファ液供給機構における送液手段はペリスタポンプである請求項1から11のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項13】
前記泳動バッファ液分注機構は液面検知手段を備えており、その液面検知手段は2枚の誘電体の板材で構成された静電容量型液面センサである請求項1から12のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項14】
前記泳動バッファ液分注機構は泳動バッファ液を送液する流路の途中に加温温調機構を備えている請求項1から13のいずれか1項に記載の電気泳動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−89440(P2008−89440A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271397(P2006−271397)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】