説明

電気的充電と酸化剤による化学的酸化の双方により再生可能なリチウムセミレドックスフロー電池。

【課題】
リチウムを負極活物質とする電池において、スケールアップが可能な大容量の電池を得ることを目的とし、また、放電後、速やかに再生可能な電池を得ることを目的とする。
【解決手段】
リチウム負極(1)/有機電解液を収容する負極側電解液室(2)/固体電解質分離膜(3)/イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)を含む水溶性電解液を収容する正極側電解液室(4)/正極集電体(5)から構成される電池本体と、当該水溶性電解液を収容する貯蔵タンク(6)と、電池本体の正極側電解液室と貯蔵タンクとを開閉自在のバルブを介して連結する循環路(7)とを有するリチウムセミレドックスフロー電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池の負極とレドックスフロー電池の正極とを組み合わせた、電気的充電と正極活物質への酸化剤の添加による化学的酸化の双方により再生可能なリチウムセミレドックスフロー電池に関する。
【背景技術】
【0002】
再生することのできないエネルギー源の枯渇並びに化石燃料の燃焼により発せられるCO2によって引きおこされた世界的な温暖化の憂慮すべき結果は、全世界の注目を環境に対し無害な代替エネルギー源の開発へと急転回させている。
Li−イオン電池は、酸−鉛、Ni−CdあるいはNi−MH型の電池と比べて、本質的により高い容量および重量エネルギー密度を有するため、小型の携帯機器からハイブリッド電気自動車のような大型のシステムにわたる広範な適用に対する電力源の選択肢と考えられている(非特許文献1〜3)。しかしながら、リチウムイオン電池は、将来の自動車などへの適用のニーズを満たすためにスケールアップするためには、充放電時のリチウムイオンの正極への入出が正極物質の構造により制約されるという課題を有している(非特許文献2〜5)。
このようなことを背景に、リチウム電池の技術における更なる発展を達成するために、代替的な化学を含む新たなリチウム電池の概念の展開や、様々な電極対の組み合わせ、新たな電解質などを利用する新たな電池の原型の設計等の各種の研究がなされている。
最近、高容量へのひときわ目立つ探求は、開放された電池構造を有し、空気からの酸素を正極活物質として使用するリチウム空気電池へと向けられてきた(非特許文献1、3)。PolyplusCo.によるリチウム金属に対する保護ガラスセラミック層の導入(LISICON、LiM2(PO4)3)(特許文献1)は、新規なタイプのリチウム電池を構築するもうひとつの途を開いた。LISICON層は水中でも非プロトン性電解質中でも安定である一方、選択的にLi+を伝導するので、2つの一見組み合わせることが不可能な電解質を組み合わせることができる可能性を作り出した。この可能性に注目し、我々は、LISICONをセパレーターとして使用するハイブリッド電解質系の概念をはじめ、Li−金属、Li−空気、Li−NiOOH、Li−AgOなどの一群の電池の原型を明らかにした(非特許文献6〜11)。
一方で、高容量の電池の形態の一つとして、レドックスフロー電池が挙げられる。レドックスフロー電池は、その高容量を利用して、主に発電所における余剰電力の貯蔵用に使用されている。しかしながら、レドックスフロー電池は、電解液に水溶性電解液のみを使っており、電池電圧が低いという欠点を有し、また、放電後の再生は比較的時間のかかる充電のみにより行われており、現状では電気自動車など将来の広範な適用に適したものとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7282295号(2007年)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Phys. Chem. Lett., 2010, 1, 2193-2203
【非特許文献2】J. Power Sources 2010, 195, 2419-2430
【非特許文献3】Adv. Energy Mater., 2011, 1, 34-50
【非特許文献4】Solid State Ionics 2008, 179, 752-760
【非特許文献5】Chem. Soc. Rev., 2009, 38, 2565-2575
【非特許文献6】Chem. Sus. Chem., 2010, 3, 1009-1019
【非特許文献7】Electrochem. Commun., 2009, 11, 1834-1837
【非特許文献8】J. Power Sources 2010, 195, 358-361
【非特許文献9】Electrochem. Commun., 2010, 12, 1686-1689
【非特許文献10】J. Am. Chem. Soc., 2009, 131, 15098-15099
【非特許文献11】Chem. Commun., 2010, 46, 2055-2057
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、リチウムを負極活物質とする電池において、スケールアップが可能な大容量の電池を得ることを目的とし、また、放電後、速やかに再生可能な電池を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、リチウムを負極活物質とする電池において、従来の電池のように固体の正極と液体の電解質を使用することに代えて、Mn+/M(n-1)+のレドックスカップルを含む水溶液を正極活物質と電解質の両方として用いる新しい型の電池を提供することにより、上記課題を解決した。
【0007】
以下、本発明によるリチウムレドックスフロー電池の代表的な一例を、図2を参照しながら、説明する。図2に示されるように、本発明によるリチウムレドックスフロー電池は、リチウム負極(1)/有機電解液を収容する負極側電解液室(2)/固体電解質分離膜(3)/イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)を含む水溶性電解液を収容する正極側電解液室(4)/正極集電体(5)から構成される電池本体と、当該水溶性電解液を収容する貯蔵タンク(6)と、電池本体の正極側電解液室と貯蔵タンクとを開閉自在のバルブを介して連結する循環路(7)とを有する。
【0008】
本発明の電池に用いられる上記リチウム負極の負極活物質としては、例えば、金属リチウムなど、リチウムイオン電池の負極に使用できる負極活物質を使用することができる。
本発明の電池に用いられる上記有機電解液としては、リチウムイオン電池の負極側電解液に使用できる有機電解液を使用することができる。
本発明の電池に用いられる上記固体電解質分離膜としては、例えばLISICONなどの、リチウムイオンを選択的に伝導する固体電解質からなるものが使用される。
本発明の電池に用いられる上記イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)としては、例えば、Cr3+/Cr2+,Fe3+/Fe2+,V3+/V2+,VO2+/VO2+などのイオン対、或いはFe(CN)63-/Fe(CN)64-などの、その錯体イオン対が挙げられる。図2では、(Mn+/M(n-1)+)としてFe3+/Fe2+を用いた例を記載している。
【0009】
当該電池においては、放電時には、負極側では:Li→Li++e-のLi+の溶出反応が、また、正極側では、:Mn+→M(n-1)++e-というイオン性活物質の還元反応が進行する。
放電後に、正極側電解液室、および、循環路のバルブを開放して正極側電解液室と貯蔵タンクの間で正極側電解液の循環を行っている場合には、貯蔵タンク内の正極側電解液中のイオン性活物質(Mn+)は還元されて、M(n-1)+になっている。
【0010】
放電時に生成したM(n-1)+をMn+に戻すには、電池を電気的に充電し、負極においてLi++e-→Liの反応を進行させるとともに、正極においてM(n-1)++e-→Mn+の反応を進行させれば良い。しかしながら、この充電による再生方法は、充電過程に時間がかかる。
【0011】
この点を解消するため、本発明者らは、より簡単で迅速な、酸化剤を用いる再生方法を開発した。この方法は、放電時に生成したM(n-1)+を含む水溶性電解液に酸化剤を添加して、短い時間でM(n-1)+を化学的に酸化し、Mn+に再生するものである。
酸化剤としては、例えば、固体粉状の(NH4)2S2O8或いは液状のH2O2を使用することができる。(NH4)2S2O8は、安価で強力な酸化剤であり、2Fe2++S2O82−→2Fe3++2SO42-の化学反応を介して、きわめて速く(10秒以内)、Fe2+を酸化してFe3+に戻すことができる。
電気的な充電によるMn+の再生は、電池の放電をいったん止めて行う必要があるが、化学的酸化によるMn+の再生は、電池の放電と併行して行うことができる。そのため、この方法を用いた場合は、本発明の電池は、負極の金属リチウムが残存する限り、連続してずっと放電することが可能である。
【0012】
本出願は、すなわち、以下の発明を提供するものである。
〈1〉リチウム負極/有機電解液を収容する負極側電解液室/固体電解質分離膜/イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)を含む水溶性電解液を収容する正極側電解液室/正極集電体から構成される電池本体と、当該水溶性電解液を収容する貯蔵タンクと、電池本体の正極側電解液室と貯蔵タンクとを開閉自在のバルブを介して連結する循環路とを有することを特徴とする、リチウムセミレドックスフロー電池。
〈2〉水溶性電解液を貯蔵するタンクに酸化剤を添加するための弁が設けられていることを特徴とする、〈1〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
〈3〉リチウム負極の活物質として、リチウムイオン電池の負極に使用できる負極活物質を使用することを特徴とする、〈1〉または〈2〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
〈4〉リチウムイオン電池の負極に使用できる負極活物質が金属リチウムであることを特徴とする、〈3〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
〈5〉イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)として、Cr3+/Cr2+,Fe3+/Fe2+,V3+/V2+,VO2+/VO2+のうちの1種類のイオン対、或いはその錯体イオン対を使用することを特徴とする、〈1〉〜〈4〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
〈6〉放電時に還元され、M(n-1)+になっているイオン性活物質を、Li++e-→Li,M(n-1)++e-→Mn+という電池の充電過程を用いて、Mn+に再生することを特徴とする、〈1〉〜〈5〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
〈7〉放電時に還元され、M(n-1)+になっているイオン性活物質を、水溶性電解液に酸化剤を添加し、酸化することにより、Mn+に再生することを特徴とする、〈1〉〜〈5〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
〈8〉放電時に還元され、M(n-1)+になっているイオン性活物質を、Li++e-→Li,M(n-1)++e-→Mn+という電池の充電過程を用いて、Mn+に再生する電気的充電方法と、水溶性電解液に酸化剤を添加し、酸化することにより、Mn+に再生する化学的酸化方法を組み合わせて、Mn+に再生することを特徴とする、〈1〉〜〈5〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
〈9〉酸化剤として、固体粉状の(NH4)2S2O8或いは液状のH2O2を使用することを特徴とする、〈7〉または〈8〉に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【発明の効果】
【0013】
本発明のリチウムセミレドックスフロー電池は、正極活物質としてレドックスカップル水溶液を用いることにより、従来のリチウムイオン電池におけるLiイオンの電極への層間挿入の際の遅い拡散過程を回避することができる。また、当該レドックスカップル水溶液を収容する貯蔵タンクを設け、ここから当該水溶液を電池本体の正極電解液室へ循環供給させることにより、電池容量を大きくすることができる。
本発明のレドックスカップル水溶液からなる液体正極は、放電後、比較的時間のかかる電気的充電によってのみならず、迅速な化学的酸化によっても再生することができる。
本発明の電池においては、これらの電気的充電と化学的酸化を組み合わせて、比較的少量の放電や間欠的な放電は充電により、また、大量の放電や連続的な放電の際は化学的酸化により液体正極を再生することもできる。
また、本発明のリチウムセミレドックスフロー電池は、目的とする用途によって、循環路の弁を閉鎖することにより、他のあらゆる閉鎖系電池と同様に静止モードで機能するばかりではなく、従来のレドックスフロー電池と同様にフローモードででも機能するように、容易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のレドックスフロー電池の構造図。
【図2】本発明の負極/有機電解液/固体電解質分離膜/イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)を含む水溶性電解液及びその外部貯蔵タンク/集電体(電極)とから構成されるリチウムセミレドックスフロー電池の説明図。
【図3】本発明のリチウムセミレドックスフロー電池の放電時の概念図。
【図4】本発明のリチウムセミレドックスフロー電池の静止モードでの電流密度0.5mA/cm2における放電プロファイル(実施例1)。
【図5】本発明のリチウムセミレドックスフロー電池の充電(電気充電)時の概念図。
【図6】本発明のリチウムセミレドックスフロー電池の、フローモードでの、放電及び充電電流密度0.2mA/cm2、2時間充電/2時間放電おける充電・放電サイクル特性(実施例2)。
【図7】本発明のリチウムセミレドックスフロー電池をフローモードで正極溶液に適時に酸化剤を添加(化学充電)しながら連続放電させる際の概念図。
【図8】本発明のリチウムセミレドックスフロー電池のフローモードでの電流密度0.5mA/cm2における放電において、正極溶液中のFe3+がほとんどFe2+に還元された時点で、酸化剤(NH4)2S2O8を加えることにより、連続放電を行った際の放電プロファイル(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明する。
図3に、実験に用いた本発明の電池の構成を示す。負極室(2)と正極室(4)は、Li+の移動を選択的に許容する0.15mm厚のLISICON板(3)により隔てられている。負極室は、非プロトン性電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート中1MのLiClO4)により満たされており、負極(1)としてLi金属が取り付けられている。正極室は、電解質と正極活物質の両者の役割を果たすFeCl3の水溶液を収容しており、集電体(5)としてTiメッシュが挿入されている。正極室には、バルブ1及び2とポンプを介して貯蔵タンク(6)が取り付けられており、ポンプによりFeCl3の水溶液を正極室と貯蔵タンク間で循環供給することができるようにされている。
この電池は、バルブ1、2を閉じて静止モードで操作すると、閉鎖系の電池となり、一方、バルブ1、2を開き、ポンプを稼働させてフローモードで操作すると、開放系の電池となる。
以下の実験においては、静止モード、フローモードの両方を行った。いずれのモードでも操作可能であった。フローモードでは、使用した流速は、1mLmin-1であった。
Fe3+水溶液は、FeCl3・6H2Oを蒸留水中に溶解することにより調製された。
【0016】
実施例1
図3に示される装置において、正極用の電解液として、0.1MのFeCl3水溶液7mlを正極室に収容し、静止モードで0.5mAcm-2の電流密度で放電試験を行った。
放電の間、Li負極はLiとして溶出し、非プロトン電解質からLISCON板を介して正極室の水性電解液中へ拡散し、この間、Fe3+はFe2+に還元される。放電過程に含まれる化学反応は単純であり、以下のように記載される。
(1) 正極反応:Fe3++e-→Fe2+
(2) 負極反応:Li→Li++e-
(3) 電池全体:Fe3++Li→Fe2++Li+
図4に、得られた放電曲線を示す。長い放電期間の間に、電池電圧の漸次的な減少が観察された。
【0017】
実施例2
図3に示される装置において、正極用の電解液として、0.1MのFeCl3水溶液12mLを、1mLmin-1の流速で正極室と貯蔵タンクの間で循環させ、フローモードで、充放電試験を行った。
充電の際、図5に示すように、Fe2+は酸化されFe3+に戻され、Li+はLi金属として負極表面に再沈着する。このことは、先に述べた放電反応(1)-(3)の逆反応により表すことができる。
図6に、FeCl3水溶液(0.1M、12mL)をフローモードで操作したときの第1、第3、第5、第10および第20サイクル目における放電−充電曲線を示す。放電および充電の両過程は、それぞれ0.2mAcm-2の電流密度で1サイクルにつき2時間行われた。放電−充電曲線は、放電時3.31から3.4V、充電時3.93から4.18Vの範囲の、ほとんど平坦な電圧を示し、このことは、この系が比較的安定したサイクル特性を有することを示している。
【0018】
実施例3
図3に示される装置において、正極用の電解液として、0.1MのFeCl3水溶液20mLを、1mLmin-1の流速で正極室と貯蔵タンクの間で循環させ、フローモードで放電を行い、適時に酸化剤によるFeCl3の再生を行う試験を行った。
上記フローモードにより完全放電し、Fe3+がほとんどFe2+になった時点で、図7に示すように貯蔵タンクに酸化剤(NH4)2S2O8の粉を加えることにより、Fe2+を全部酸化し、Fe3+に戻すことができる(0.1MのFeCl320mLなら、完全放電後に、全部酸化されるために、228.2mgの(NH4)2S2O8を添加することが必要となる)。その後も、完全放電の度毎に、酸化剤(NH4)2S2O8の粉を加えることを繰り返すことにより、初期とほぼ同じ状態にFe3+を再生することが可能である。
図8に、FeCl3水溶液(0.1M、20mL)をフローモードで操作したときの放電曲線を示す。放電の間、正極溶液は、ペリスタポンプを介して系中を循環し、その酸性度は、貯蔵溶液にHCl溶液を滴下して加えることによりpH1.7に調節された。酸化剤は、Fe3+が十分にFe2+に転化された時点で、貯蔵タンクに(NH4)2S2O8をバッチ供給することにより、系に導入された。
図8に示された放電サイクルは、Fe3+がほとんど完全にFe2+に転化され、放電電圧が急速に下落し始めた時点で貯蔵タンクに(NH4)2S2O8の粉末をバッチ供給することにより得られたものである。
もしも当該電池が0.5mAcm-2の一定電流密度で放電したとすると、正極溶液中のFe3+の加水分解がHCLの添加により完全に抑制されたならば、正極溶液中のFe3+は、107.2時間で完全にFe2+に転化されるであろう。また、FeCl3水溶液(0.1M、20mL)から還元されたFe2+を完全に酸化するためには、228.2mgの(NH4)2S2O8粉末が必要であろう。図8において放電電圧が急落し始め、酸化剤を添加した時点の放電時間からみて、正極溶液中のFe3+は、各サイクルにおいてFe2+に完全に転化され、放電サイクルは、化学量論量の(NH4)2S2O8をバッチ供給することにより、ほとんど一定な状態で進行し続けさせることができることがわかる。なお、放電曲線上の小さな突起は、温度の変動によるものである。
この形態のレドックスフロー電池においては、実際は、FeCl3よりもむしろ(NH4)2S2O8が正極において燃料として消費されることに留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム負極/有機電解液を収容する負極側電解液室/固体電解質分離膜/イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)を含む水溶性電解液を収容する正極側電解液室/正極集電体から構成される電池本体と、当該水溶性電解液を収容する貯蔵タンクと、電池本体の正極側電解液室と貯蔵タンクとを開閉自在のバルブを介して連結する循環路とを有することを特徴とする、リチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項2】
水溶性電解液を貯蔵するタンクに酸化剤を添加するための弁が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項3】
リチウム負極の活物質として、リチウムイオン電池の負極に使用できる負極活物質を使用することを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項4】
リチウムイオン電池の負極に使用できる負極活物質が金属リチウムであることを特徴とする、請求項3に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項5】
イオン性活物質(Mn+/M(n-1)+)として、Cr3+/Cr2+,Fe3+/Fe2+,V3+/V2+,VO2+/VO2+のうちの1種類のイオン対、或いはその錯体イオン対を使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項6】
放電時に還元され、M(n-1)+になっているイオン性活物質を、Li++e-→Li,M(n-1)++e-→Mn+という電池の充電過程を用いて、Mn+に再生することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項7】
放電時に還元され、M(n-1)+になっているイオン性活物質を、水溶性電解液に酸化剤を添加し、酸化することにより、Mn+に再生することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項8】
放電時に還元され、M(n-1)+になっているイオン性活物質を、Li++e-→Li,M(n-1)++e-→Mn+という電池の充電過程を用いて、Mn+に再生する電気的充電方法と、水溶性電解液に酸化剤を添加し、酸化することにより、Mn+に再生する化学的酸化方法を組み合わせて、Mn+に再生することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。
【請求項9】
酸化剤として、固体粉状の(NH4)2S2O8或いは液状のH2O2を使用することを特徴とする、請求項7または8に記載のリチウムセミレドックスフロー電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−26142(P2013−26142A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162212(P2011−162212)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】