説明

電気自動車用充電装置

【課題】災害発生時のような緊急時に生活機器に給電可能とする。
【解決手段】本実施形態の電気自動車用充電装置(充電スタンド)では、災害の原因となる現象(本実施形態では地震)が検出手段(感震センサ61)で検出されたときに制御部62が切換接点60Cを制御してコンセント20の出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせる。その結果、災害発生時のような緊急時に充電スタンドから生活機器に給電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に搭載される蓄電池を充電するための電気自動車用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、100ボルト又は200ボルトの商用交流電源から充電ケーブルを介して蓄電池が充電される電気自動車(プラグインハイブリッド自動車を含む。以下同じ。)が提供され始めている。そして、電気自動車の提供に併せて、住戸の車庫(駐車スペース)などに設置される電気自動車用充電装置も提供されている。例えば、特許文献1には、充電ケーブルのプラグに電圧選定キーが設けられ、電気自動車用充電装置(給電ステーション)においては、プラグ接続部に接続されるプラグの電圧選定キーに応じて充電ケーブルへの出力電圧が自動的に切り換えられるようにした電気自動車用充電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−284512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、家庭で使用される生活機器(例えば、照明器具や電気炊飯器、テレビ受像機、洗濯機など)の殆どは100ボルト(実効値)の交流電源が必要である。一方、電気自動車の充電には、通常、200ボルト(実効値)の交流電源が用いられることが多い。したがって、地震などの災害が発生した場合、生活機器の電源を電気自動車用充電装置から供給することは難しい状況にある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、災害発生時のような緊急時に生活機器に給電可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気自動車用充電装置は、充電装置本体と、当該充電装置本体内に収納されるコンセントと、当該コンセントの出力電圧を電気自動車用の電圧と生活機器用の電圧とに択一的に切り換える切換手段と、災害の原因となる現象を検出する検出手段と、当該検出手段で前記現象が検出されたときに前記切換手段を制御して前記コンセントの出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この電気自動車用充電装置において、前記検出手段は、地震を検出することが好ましい。
【0008】
この電気自動車用充電装置において、外部との通信を行う通信手段を備え、前記制御手段は、前記通信手段で制御コマンドを受信したときに前記切換手段を制御して前記コンセントの出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気自動車用充電装置は、災害発生時のような緊急時に生活機器に給電することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1を示す回路ブロック図である。
【図2】同上を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は背面図である。
【図3】同上におけるコンセントユニットを示し、扉が開いた状態の正面図である。
【図4】同上におけるコンセントユニットを示し、扉が開いた状態の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態2を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、地面に立設されるスタンド本体内にコンセントが収納される充電スタンドに本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。但し、本発明の技術思想は充電スタンド以外の電気自動車用充電装置にも適用可能であることは言うまでもない。
【0012】
(実施形態1)
本実施形態の電気自動車用充電装置(充電スタンド)は、図2〜図4に示すように電気自動車を駐車する地面に立設される充電装置本体(スタンド本体)1と、電気自動車を充電するための充電ケーブル100のプラグ110が差込口20Aに挿抜自在に差込接続されるコンセント20とを備えている。
【0013】
スタンド本体1は、長尺の矩形板状に形成された3枚の金属板(左側板2,右側板3,背板4)を組み立てることで前面並びに天面、底面がそれぞれ開口した角筒状に形成され、扁平な箱形のカバー5によって天面の開口が閉塞されている。左側板2並びに右側板3の内側面には背板4と並行するようにして取付板(図示せず)が取着されている。すなわち、スタンド本体1の内部が取付板によって前後に区分けされており、後述するコンセントユニット10が取付板の前方の空間に収納され、後述する漏電遮断器(リモコンブレーカ)200や給電用の電源ケーブル(図示せず)が取付板の後方の空間に収納(配線)される。なお、コンセントユニット10及びリモコンブレーカ200は取付板にねじ止めによって取り付けられる。
【0014】
また、スタンド本体1前面における最上部及び最下部には矩形板状の上パネル7A及び下パネル7Bが取り付けられている。そして、スタンド本体1内において上パネル7Aの下端から下パネル7Bの上端までの前方空間に、コンセントユニット10をそれぞれ収納するための4つの収納空所が上下方向に並設されている。
【0015】
コンセントユニット10は、図3及び図4に示すように筐体11、コンセントブロック12、扉13、天井カバー14などを具備している。筐体11は、金属板により前面に開口窓11Aを有する箱形に形成されている。天井カバー14は下面が開口する箱形に形成され、筐体114の天面(上面)を覆うように筐体11に取り付けられる。扉13は扁平な矩形箱状に形成されており、開口窓11Aを塞ぐ閉位置と開口窓11Aを開放する開位置との間で水平方向(前後方向)に回動自在となるように、ヒンジ部13Aによって左側端部が筐体11の前面側左端部に軸支されている。また、扉13にはロック装置15が取着されており、閉位置にあるときにロック装置15によって扉13がロックされる。なお、扉13の下端部における右端には、充電ケーブル100が引き出される切り欠き(引出口)13Bが形成されている。
【0016】
コンセントブロック12は、前面に差込口20Aが設けられたコンセント20と、コンセント20を保持し且つコンセント20の前面を覆うコンセントプレート12Aと、コンセントプレート12Aの中央に開口するプラグ挿入口12Bを開閉自在に塞ぐコンセントカバー12Cとを有する。コンセントプレート12Aは、プラグ挿入口12Bが開口する中央部分が前方へ突出し、当該中央部の左右両端部にそれぞれねじ挿通孔12Dが形成されている。コンセントカバー12Cは略半円板状に形成され、直線部分においてコンセントプレート12Aの中央部分に回動自在に軸支される。つまり、コンセントカバー12Cは、コンセントプレート12Aのプラグ挿入口12Bを覆う閉位置と、プラグ挿入口12Bを開放する開位置との間で回動し、さらに図示しないねじりコイルばねのばね力によって開位置から閉位置に向かう向きに弾性付勢されている。但し、コンセントカバー12Cにはロック爪12Fが設けられており、閉位置においては、ロック爪12Fがコンセントプレート12Aに係合することでコンセントカバー12Cの回動が規制される。なお、コンセントプレート12Aの内側面には、充電ケーブル100の先端に設けられているプラグ110の被係合部(図示しない)と係合する係合部12Eが設けられており、コンセント20の差込口121に差込接続されたプラグ110が、係合部12Eと被係合部との係合によって抜け止めされる。
【0017】
コンセントブロック12は、筐体11内部における上部後方に配設されている取付板11Bに対して、左右両端部のねじ挿通孔12Dに挿通されるねじによってねじ止めされる。ここで、取付板11Bは、後方に向かって徐々に下方へ下がるように傾いて配設されている。そのため、コンセント20の差込口20Aも水平面(前後左右を含む平面)に対して下向きに傾いて配置されている。
【0018】
また、コンセントユニット10には、図1に示すようにインターロック装置16が設けられている。インターロック装置16は、扉13が閉位置にあるときに扉13の後面から後方へ突出する駆動片13Cによってオンとされ、扉13が閉位置にないときはオフされ、オンされている間だけコンセント20への給電路を閉成するものである。
【0019】
上述のように構成されるコンセントユニット10は、前面側からスタンド本体1内の収納空所内に収納され、取付板に対して筐体11がねじ止めされることでスタンド本体1に固定される。上述したようにスタンド本体1内には同一寸法の4つの収納空所が上下方向に並設されており、これら4つの収納空所の何れにもコンセントユニット10を収納することができる。但し、コンセントユニット10が収納されない収納空所の前面は平板状のカバー7Cで閉塞される。
【0020】
ところで、本実施形態の充電スタンドには、図1に示すようにコンセント20の出力電圧を電気自動車用の電圧(200ボルト)と生活機器用の電圧(100ボルト)とに択一的に切り換える切換部60と、災害の原因となる現象(地震)を検出する感震センサ61と、感震センサ61で地震が検出されたときに切換部60を制御してコンセント20の出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせる制御部62とを備える。
【0021】
本実施形態の充電スタンドには、商用電力系統より単相3線の交流電力が供給されており、電気自動車用には200ボルト(実効値)の交流電圧がコンセント20から出力される。切換部60は、インターロック装置16を介してコンセント20の一方の端子に接続される共通接点60Aと、一方の電圧線L1に接続される第1切換接点60Bと、中性線Nに接続される第2切換接点60Cとを有する。そして、共通接点60Aが第1切換接点60Bに接続されているときは200ボルトの交流電圧がコンセント20に供給され、共通接点60Aが第2切換接点60Cに接続されているときは100ボルトの交流電圧がコンセント20に供給される。なお、通常時(災害未発生時)には、切換部60は、共通接点60Aを第1切換接点60Bに接続する状態を維持している。
【0022】
感震センサ61は、例えば、加速度センサを用いて地震の揺れを検出し、しきい値(例えば、震度5)以上の揺れを検出したときに検出信号を出力する。制御部62は、感震センサ61から検出信号が出力されると、切換部60を制御して共通接点60Aを第1切換接点60Bから第2切換接点60Cに切り換えさせる。その結果、コンセント20の出力電圧が電気自動車用の200ボルトの電圧から生活機器用の100ボルトの電圧に切り換えられる。但し、本実施形態では生活機器用の電源電圧として100ボルトの交流電圧、電気自動車用の電源電圧として200ボルトの交流電圧を例示したが、何れの電圧も一例にすぎず、設置される国や地域の定格電圧に合わせた電圧に設定されることは言うまでもない。また、生活機器や電気自動車に供給される電圧は必ずしも交流電圧であるとは限らず、直流入力に対応した生活機器及び電気自動車に対しては、それぞれの定格電圧に対応した直流電圧を供給することも可能である。
【0023】
上述のように本実施形態の充電スタンドでは、災害の原因となる現象(本実施形態では地震)が検出手段(感震センサ61)で検出されたときに制御部62が切換接点60Cを制御してコンセント20の出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせるので、災害発生時のような緊急時に生活機器に給電することができる。なお、本実施形態では、災害の原因となる現象を検出する検出手段として感震センサ61を例示したが、これに限定する趣旨ではなく、例えば、火災を検出する火災センサを検出手段としたり、感震センサ61と火災センサのように複数種類のセンサを検出手段として備えても構わない。
【0024】
(実施形態2)
本実施形態の充電スタンドは、図5に示すように外部との通信を行う通信部8を備える点に特徴があり、その他の構成は実施形態1と共通である。よって、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を適宜省略する。
【0025】
通信部8は、公衆電話回線や光ファイバ回線、あるいはCATVの同軸ケーブル回線などの通信媒体を利用してデータ通信を行う。通信部8では、遠隔地に設置されている管理センタから公衆電話回線網などやインターネットなどのネットワークを通じて伝送される通信信号を受信し、当該通信信号に含まれる制御コマンドを制御部62に渡す。なお、通信部8が無線通信を行っても構わない。
【0026】
制御部62は、通信部8から受け取った制御コマンドに従い、切換部60を制御してコンセント20の出力電圧を切り換える。
【0027】
上述のように本実施形態の充電スタンドでは、制御部62が、通信部8で制御コマンドを受信したときに切換部60を制御してコンセント20の出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせる。その結果、充電スタンドのコンセント20の出力電圧を、管理センタから遠隔操作で切り換えることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 スタンド本体(充電装置本体)
20 コンセント
60 切換部(切換手段)
61 感震センサ(検出手段)
62 制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置本体と、当該充電装置本体内に収納されるコンセントと、当該コンセントの出力電圧を電気自動車用の電圧と生活機器用の電圧とに択一的に切り換える切換手段と、災害の原因となる現象を検出する検出手段と、当該検出手段で前記現象が検出されたときに前記切換手段を制御して前記コンセントの出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせる制御手段とを備えることを特徴とする電気自動車用充電装置。
【請求項2】
前記検出手段は、地震を検出することを特徴とする請求項1記載の電気自動車用充電装置。
【請求項3】
外部との通信を行う通信手段を備え、前記制御手段は、前記通信手段で制御コマンドを受信したときに前記切換手段を制御して前記コンセントの出力電圧を生活機器用の電圧に切り換えさせることを特徴とする請求項1又は2記載の電気自動車用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−95496(P2012−95496A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242335(P2010−242335)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】