説明

電気計器用自動結線装置

【課題】ボックスの一面から外方へ突出する電流端子および電圧端子を有する電力量計の性能試験を効率よく実施するための電気計器用自動結線装置を提供する。
【解決手段】電気計器用自動結線装置100は、ボックス51外方へ突出する電流端子52a〜52dと電圧端子53a〜53cとを有する電気計器50の性能試験を行なうものである。電気計器用自動結線装置100は、電流測定端子12a〜12dと電圧測定端子13a〜13cとを有する装置本体10と、装置本体10に対して移動自在に設けられ、係合位置と待機位置とをとる移動体30とを備えている。移動体30の一対のスプリング体32a〜32dは、係合位置において、対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26d外方に嵌め込まれ、待機位置において、対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26dから外れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスと、ボックスの一面から外方へ突出する電流端子および電圧端子とを有する電気計器が装着され、当該電気計器を試験装置に接続することにより性能試験を行なう電気計器用自動結線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、試験装置を用いて、電力量計が所定の規格を満たしているかを検査する性能試験が行なわれている。このような性能試験を行なう場合、測定する電力量計毎に、試験装置の電源側の接続導線と電力量計の各外部端子とを結線する必要がある。この場合、試験装置の電源側の接続導線と電力量計の各外部端子とは、例えば検定試験台に設けられた結線器を介して互いに接続される。
【0003】
また従来、例えば20Aまたは30A用の電力量計と試験装置との間の結線作業を自動で行なう自動結線器が実用化されている。すなわち、このような電力量計は、下面に設けられた複数の円筒形状の下方外部端子を有しており、自動結線器は、電力量計の下方外部端子と試験装置の電源側とを自動で結線するものである。しかしながら、ボックスと、ボックスの一面から外方へ突出する外部端子を有する電力量計と、試験装置の電源側とを自動で結線することが可能な自動結線器は現在のところ存在していない。
【特許文献1】特開2001−235527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ボックスと、ボックスの一面から外方へ突出する電流端子および電圧端子とを有する電力量計と、試験装置の電源側とを結線することができ、このような電力量計の性能試験を効率よく実施することが可能な電気計器用自動結線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ボックスと、ボックスの一面から外方へ突出する電流端子および電圧端子とを有する電気計器が装着され、当該電気計器を試験装置に接続することにより性能試験を行なう電気計器用自動結線装置において、各々が一対の端子板からなり、電流端子に接続される電流測定端子と、各々が一対の端子板からなり、電圧端子に接続される電圧測定端子とを有する装置本体と、装置本体に対して移動自在に設けられ、各電流測定端子の一対の端子板外方に嵌め込まれる一対のスプリング体を有する移動体とを備え、移動体は、装置本体に対して係合位置と待機位置とをとり、移動体の一対のスプリング体は、係合位置において、対応する電流測定端子の一対の端子板外方に嵌め込まれて一対の端子板を電気計器の電流端子に押圧し、移動体の一対のスプリング体は、待機位置において、対応する電流測定端子の一対の端子板から外れることを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【0006】
本発明は、装置本体は、性能試験を行なう際に電気計器が挿入される開口を有する前面板を有し、装置本体の各電流測定端子および各電圧測定端子は、前面板の開口内部で電気計器の挿入方向を向いて配置されていることを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【0007】
本発明は、装置本体は、前面板に対して垂直に連結された固定板と、固定板に固定され、移動体を昇降させる昇降手段とを有し、昇降手段は、移動体を上昇させることにより移動体を係合位置に移動し、移動体を下降させることにより移動体を待機位置に移動することを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【0008】
本発明は、移動体は、スプリング体を保持するスプリングホルダを有し、スプリング体は、両端がスプリングホルダに取り付けられた湾曲した板バネからなることを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【0009】
本発明は、移動体は、スプリング体を保持するスプリングホルダを有し、スプリング体は、一端がスプリングホルダに埋設されたスプリングプランジャからなることを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【0010】
本発明は、電流測定端子の各端子板は、それぞれ、係合位置において電気計器の電流端子に当接する内側金属板と、内側金属板の外方に設けられ、係合位置において対応するスプリング体に係合する外側金属板とを有することを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【0011】
本発明は、電流測定端子の各端子板は、それぞれ、係合位置において電気計器の電流端子に当接する内側金属板と、内側金属板の外方に設けられ、係合位置において対応するスプリング体に係合する外側金属板とを有することを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【0012】
本発明は、電気計器は、単相2線式、単相3線式、三相3線式、または三相4線式の電気計器からなることを特徴とする電気計器用自動結線装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボックスと、ボックスの一面から外方へ突出する電流端子および電圧端子とを有する電気計器の性能試験を行なう際、電気計器と試験装置の電源側とを自動で結線することができる。また電気計器を容易に掛け替えることができ、効率よく性能試験を実施することができる。
【0014】
また本発明によれば、移動体は、装置本体に対して係合位置と待機位置とをとり、移動体の一対のスプリング体は、係合位置において、対応する電流測定端子の一対の端子板外方に嵌め込まれて一対の端子板を電気計器の電流端子に押圧し、移動体の一対のスプリング体は、待機位置において、対応する電流測定端子の一対の端子板から外れるので、装置本体の電流測定端子と電気計器の電流端子とを確実に電気的に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図8を参照して説明する。
ここで、図1は、性能試験を行なう電気計器を背面側から見た斜視図であり、図2は、移動体が係合位置にある場合における、本実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す正面図である。図3は、本実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す側面図であり、図4は、本実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す水平断面図(図2のIV−IV線断面図)である。図5は、本実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す水平断面図(図2のV−V線断面図)であり、図6は、移動体が待機位置にある場合における、本実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す正面図である。また図7(a)(b)は、スプリング体および電流測定端子を示す拡大正面図であり、図8は、スプリング体の変形例を示す断面図(スプリングホルダの長手方向に沿った断面図)である。
【0016】
まず、図1により、本実施の形態による電気計器用自動結線装置を用いて性能試験を行なう電気計器の概略について説明する。
【0017】
図1に示す電気計器50は、例えば、電力を積算して計量する電力量計からなっている。この電気計器50は、略直方体形状のボックス51と、ボックス51の一面(背面)51aから外方へ突出する4本の電流端子52a〜52dと、ボックス51の背面51aから外方へ突出する3本の電圧端子53a〜53cとを有している。
【0018】
このうち4本の電流端子52a〜52dは、それぞれ、1S端子52a、3S端子52b、3L端子52c、および1L端子52dから構成されており、横方向に並んで配置されている。また3本の電圧端子53a〜53cは、それぞれ、P1端子53a、P2端子53b、およびP3端子53cから構成されており、電流端子52a〜52dより上方の位置において横方向に並んで配置されている。また、ボックス51の一側面51bには、接地端子54が設けられている。
【0019】
次に、図2乃至図6により、本実施の形態による電気計器用自動結線装置の概略について説明する。
図2乃至図6に示す電気計器用自動結線装置100は、上述した電気計器50が装着され、当該電気計器50を図示しない試験装置に接続することにより、電気計器50の性能試験を行なうものである。このような電気計器用自動結線装置100は、固定された装置本体10と、装置本体10に対して上下方向に移動自在に設けられた移動体30とを備えている。
【0020】
このうち装置本体10は、性能試験を行なう際に電気計器50が挿入される開口14を有するとともに鉛直方向に延びる前面板11と、この前面板11の内側で前面板11に対して垂直に連結されるとともに水平方向に延びる固定板15とを有している。また前面板11の内側であって開口14の下方に、電気計器50を案内するガイド部材16が設けられ、さらに、ガイド部材16の内側端部に、電気計器50を係止して位置決めするストッパ17が設けられている。なお、ガイド部材16およびストッパ17は、それぞれ合成樹脂等の非導電性材料からなっている。
【0021】
また、固定板15の下面に、合成樹脂等の非導電性材料からなる端子用ブロック18が取り付けられている。さらに、固定板15の下面であって、端子用ブロック18の後方(すなわち前面板11の反対方向)の位置に、エアシリンダ等からなる昇降手段19が取り付けられている。
【0022】
ところで、装置本体10は、各々が一対の端子板26a〜26dからなり、電気計器50の電流端子52a〜52dにそれぞれ接続される電流測定端子12a〜12dと、各々が一対の端子板27a〜27cからなり、電気計器50の電圧端子53a〜53cに接続される電圧測定端子13a〜13cとを有している。各電流測定端子12a〜12dおよび各電圧測定端子13a〜13cは、それぞれ前面板11の開口14内部で電気計器50の挿入方向を向いて配置されている。
【0023】
電流測定端子12a〜12dは、電気計器50の1S端子52aに接続される1S用測定端子12a、3S端子52bに接続される3S用測定端子12b、3L端子52cに接続される3L用測定端子12c、および1L端子52dに接続される1L用測定端子12dからなっている。これら電流測定端子12a〜12dは、それぞれ対応する金属製の接点ベース21a〜21dに連結され、各接点ベース21a〜21dは、上述した端子用ブロック18の下面に連結されている。さらに接点ベース21a〜21dに、それぞれ折り曲げられた銅板からなる電流用接続部材22a〜22dが接続され、電流用接続部材22a〜22dに、それぞれ電流用接続導線23a〜23dが接続されている(図4参照)。そして各電流測定端子12a〜12dは、対応する接点ベース21a〜21d、電流用接続部材22a〜22d、および電流用接続導線23a〜23dを順次介して、図示しない試験装置に電気的に接続されている。
【0024】
他方、電圧測定端子13a〜13cは、電気計器50のP1端子53aに接続されるP1用測定端子13a、P2端子53bに接続されるP2用測定端子13b、およびP3端子53cに接続されるP3用測定端子13cからなっている。これら電圧測定端子13a〜13cは、それぞれ上述した端子用ブロック18の前面に取り付けられている。また、電圧測定端子13a〜13cに、それぞれ電圧用接続導線24a〜24cが接続されている(図5参照)。そして電圧測定端子13a〜13cは、電圧用接続導線24a〜24cを介して、図示しない試験装置に電気的に接続されている。
【0025】
ところで、移動体30は、上述した昇降手段19に連結されるとともに水平方向に延びる昇降板31と、昇降板31上に取り付けられたスプリングホルダ33a〜33gと、各スプリングホルダ33a〜33gに保持され、各電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26d外方にそれぞれ嵌め込まれる一対のスプリング体32a〜32dとを有している。なお、図2、図4、および図6に示すように、一対のスプリング体32a〜32dのうち、一対のスプリング体32aは、スプリングホルダ33a、33bにそれぞれ保持され、一対のスプリング体32bは、スプリングホルダ33c、33dにそれぞれ保持され、一対のスプリング体32cは、スプリングホルダ33d、33eにそれぞれ保持され、かつ、一対のスプリング体32dは、スプリングホルダ33f、33gにそれぞれ保持されている。
【0026】
また昇降板31上面には、鉛直方向に延びる複数のガイドバー34が取り付けられている。ガイドバー34は、昇降板31と一体となって昇降し、この際、端子用ブロック18を貫通して形成された貫通孔18a内を摺動するようになっている。
【0027】
移動体30は、昇降手段19の伸縮動作により一体となって昇降し、装置本体10に対して係合位置(図2参照)と待機位置(図6参照)とをとるようになっている。
【0028】
すなわち昇降手段19を縮退させた場合、移動体30が上昇し、移動体30が係合位置に移動する(図2)。この係合位置において、移動体30の一対のスプリング体32a〜32dは、対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26d外方に嵌め込まれ、この一対の端子板26a〜26dを電気計器50の電流端子52a〜52dに対して押圧する。これに対して、昇降手段19を伸長させた場合、移動体30が下降し、移動体30が待機位置に移動する(図6)。この待機位置において、移動体30の一対のスプリング体32a〜32dは、対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26dから外れる。
【0029】
次に、図7(a)(b)により、スプリング体および電流測定端子の構成について詳細に説明する。なお図7(a)は、待機位置におけるスプリング体および電流測定端子の関係を示す拡大正面図であり、図7(b)は、係合位置におけるスプリング体および電流測定端子の関係を示す拡大正面図である。以下、1S端子52aに対応するスプリング体32aおよび電流測定端子12aについて代表して説明するが、他のスプリング体32b〜32dおよび電流測定端子12b〜12dについてもその構成は同様である。
【0030】
図7(a)(b)に示すように、スプリング体32aは、湾曲したステンレス鋼等の板バネからなるとともに、その両端がそれぞれスプリングホルダ33a、33bの取付溝35内に取り付けられている。なおスプリングホルダ33a、33bは、合成樹脂などの非導電性材料からなっている。
【0031】
また電流測定端子12aの各端子板26aは、それぞれ、係合位置(図7(b))において電気計器50の電流端子52aに当接する内側金属板28aと、内側金属板28aの外方に設けられ、係合位置において対応するスプリング体32aに当接して係合する外側金属板28bとからなっている。すなわち、図7(b)に示す係合位置において、一対のスプリング体32aは、対応する電流測定端子12aの一対の端子板26aの外側金属板28b外方に嵌め込まれ、各外側金属板28bを介して各内側金属板28aを電流端子52aに対して押圧する。他方、図7(a)に示す待機位置において、一対の端子板26aの内側金属板28a同士の間隔は、係合位置における内側金属板28a同士の間隔より広がり、これにより電流端子52aと一対の端子板26aとは、互いにわずかに離間する。
【0032】
なお各端子板26aのうち、内側金属板28aは、高い導電性を有する金属、例えば銅からなっている。他方、外側金属板28bは、内側金属板28aと異なる材質からなり、例えば弾性を有するステンレス鋼等の金属からなっている。このように、電流測定端子12aの各端子板26aが内側金属板28aと外側金属板28bとからなっていることにより、スプリング体32aが上下に移動する場合に、スプリング体32aと内側金属板28aとが直接摺接することがない。したがって、スプリング体32aによって内側金属板28aが摩耗することを防止することができる。
【0033】
なお、スプリング体は、図8に示すように、一端がスプリングホルダ33a〜33gに埋設されたスプリングプランジャ36からなっていても良い。図8において、各スプリングプランジャ36は、先細の先端を有する筒体37と、筒体37の内部空間37aに沿って移動可能に設けられ、一部が筒体37の内部空間37aから露出するボール38と、筒体37内に設けられ、ボール38を筒体37先端側へ押圧するバネ39とを有している。そして各スプリングプランジャ36は、スプリングホルダ33a〜33gに形成された取付孔33s内に取り付けられ、この際ボール38の一部が電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26d側に突出するようになっている。なお図8に示すように、各スプリングホルダ33a〜33gは、それぞれ複数(図8では3つ)のスプリングプランジャ36を保持していることが好ましい。
【0034】
あるいは、スプリング体は、スプリングホルダ33a〜33gに取り付けられた多面接触子からなっていても良い。
【0035】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まず、予め図示しないスイッチを待機位置側に切り換えることにより、昇降手段19を伸長させ、移動体30を下降させて待機位置に移動しておく(図6)。次に、前面板11の開口14内に性能試験を行なう電気計器50を挿入し、ストッパ17に当接するまで電気計器50をガイド部材16に沿って奥側に押し込む。
【0036】
この際、電気計器50の各電流端子52a〜52dは、それぞれ対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26d間に配置される。この場合、電流端子52a〜52dと一対の端子板26a〜26dとは、それぞれ互いにわずかに離間しているので、電流端子52a〜52dと各一対の端子板26a〜26dとの間は、まだ電気的に接続されていない。これに対して、電気計器50の各電圧端子53a〜53cは、それぞれ対応する電圧測定端子13a〜13cの一対の端子板27a〜27c間にしっかりと挿入され、各電圧端子53a〜53cと各一対の端子板27a〜27cとが互いに電気的に接続される。
【0037】
次に、図示しないスイッチを係合位置側に切り換えることにより、昇降手段19を縮退させ、移動体30を上昇させて係合位置に移動する(図2)。これにより、移動体30のスプリングホルダ33a〜33gおよび一対のスプリング体32a〜32dが、装置本体10に対して上昇する。この際、一対のスプリング体32a〜32dは、対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26dに摺接しながら上昇する。その後、一対のスプリング体32a〜32dは、各一対の端子板26a〜26d外方にしっかりと嵌め込まれ、かつ一対の端子板26a〜26dを電流端子52a〜52dに対して挟んだ状態で押圧する。これにより、一対の端子板26a〜26dと対応する電流端子52a〜52dとが確実に接続される。
【0038】
このようにして、電気計器用自動結線装置100を介して電気計器50と図示しない試験装置の電源側とが結線された後、試験装置から電流測定端子12a〜12dおよび電圧測定端子13a〜13cを介して電気計器50に電流を流すことにより、電気計器50の性能試験を行なう。
【0039】
電気計器50の性能試験が終了した後、図示しないスイッチを待機位置側に切り換える。これにより、昇降手段19を伸長させ、移動体30が下降する。次に、前面板11の開口14内から電気計器50を抜き取る。その後、性能試験を行なう他の電気計器50を、上述した方法と同様にして前面板11の開口14内に挿入し(電気計器50を掛け替える)、性能試験を行なう。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、ボックス51と、ボックス51の背面51aから外方へ突出する電流端子52a〜52dおよび電圧端子53a〜53cとを有する電気計器50の性能試験を行なう際、複数の電気計器50を順番に容易に掛け替えることができ、効率よく性能試験を実施することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、移動体30は、装置本体10に対して係合位置と待機位置とをとり、移動体30の一対のスプリング体32a〜32dは、係合位置において、対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26d外方に嵌め込まれて一対の端子板26a〜26dを電気計器50の電流端子52a〜52dに押圧する。また、移動体30の一対のスプリング体32a〜32dは、待機位置において、対応する電流測定端子12a〜12dの一対の端子板26a〜26dから外れる。
【0042】
このことにより、電気計器50を掛け替える際には、移動体30を待機位置とし、一対の端子板26a〜26d同士を広げることにより、電気計器50の各電流端子52a〜52dを一対の端子板26a〜26d間に容易に挿入し、また各電流端子52a〜52dを一対の端子板26a〜26d間から容易に取り外すことができる。したがって、電気計器50の掛け替え作業が容易となる。これに対して、電気計器50の性能試験を行なう際には、移動体30を係合位置とし、各一対の端子板26a〜26dを電気計器50の各電流端子52a〜52dに対して押圧する。このようにして、各一対の端子板26a〜26dと各電流端子52a〜52dとを確実に接続することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態によれば、一対の端子板26a〜26dにより電気計器50の各電流端子52a〜52dを両側から挟み込む構造であるため、性能試験中に電気計器50に対して負荷が加わることがない。また、前面板11の開口14内に電気計器50を挿入した際、電気計器用自動結線装置100の部品が前面板11から前方にはみ出すことがないので、性能試験の作業を行ないやすい。
【0044】
なお、電気計器50は、図1に示すような三相3線式の電力量計の他、単相2線式、単相3線式、または三相4線式の電力量計であっても良い。すなわち電気計器50は、2本、4本、または6本の電流端子を有するとともに、2本、3本、または4本の電圧端子を有していてもよい。これに対応して、装置本体10は、各電流端子に接続される2本、4本、または6本の電流測定端子と、各電圧端子に接続される2本、3本、または4本の電圧測定端子とを有していても良い。
【0045】
ところで、一般に、電気計器50の電圧測定端子13a〜13cを流れる電流は、電気計器50の電流測定端子12a〜12dを流れる電流と比べて小さい。このため、上述したように各電圧測定端子13a〜13cの一対の端子板27a〜27c間に各電圧端子53a〜53cを差し込むだけで、各電圧測定端子13a〜13cと各電圧端子53a〜53cとを十分に電気的に接続することができる。しかしながら、これに限らず、電圧測定端子13a〜13cの構成を電流測定端子12a〜12dの構成と同様にしても良い。すなわち、移動体30に電圧測定端子13a〜13c用の一対のスプリング体を設け、この一対のスプリング体は、係合位置において、対応する電圧測定端子13a〜13cの一対の端子板27a〜27c外方に嵌め込まれて一対の端子板27a〜27cを電気計器の電圧端子53a〜53cに押圧し、また待機位置において、対応する電圧測定端子13a〜13cの一対の端子板27a〜27cから外れるようになっていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】性能試験を行なう電気計器を背面側から見た斜視図。
【図2】移動体が係合位置にある場合における、本発明の一実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す正面図。
【図3】本発明の一実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す側面図。
【図4】本発明の一実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す水平断面図。
【図5】本発明の一実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す水平断面図。
【図6】移動体が待機位置にある場合における、本発明の一実施の形態による電気計器用自動結線装置を示す正面図。
【図7】スプリング体および電流測定端子を示す拡大正面図。
【図8】スプリング体の変形例を示す断面図。
【符号の説明】
【0047】
10 装置本体
11 前面板
12a〜12d 電流測定端子
13a〜13c 電圧測定端子
14 開口
15 固定板
16 ガイド部材
17 ストッパ
18 端子用ブロック
19 昇降手段(エアシリンダ)
21a〜21d 接点ベース
22a〜22d 電流用接続部材
23a〜23d 電流用接続導線
24a〜24c 電圧用接続導線
26a〜26d 一対の端子板
27a〜27c 一対の端子板
28a 内側金属板
28b 外側金属板
30 移動体
31 昇降板
32a〜32d スプリング体
33a〜33g スプリングホルダ
34 ガイドバー
50 電気計器
51 ボックス
52a〜52d 電流端子
53a〜53c 電圧端子
100 電気計器用自動結線装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックスと、ボックスの一面から外方へ突出する電流端子および電圧端子とを有する電気計器が装着され、当該電気計器を試験装置に接続することにより性能試験を行なう電気計器用自動結線装置において、
各々が一対の端子板からなり、電流端子に接続される電流測定端子と、各々が一対の端子板からなり、電圧端子に接続される電圧測定端子とを有する装置本体と、
装置本体に対して移動自在に設けられ、各電流測定端子の一対の端子板外方に嵌め込まれる一対のスプリング体を有する移動体とを備え、
移動体は、装置本体に対して係合位置と待機位置とをとり、移動体の一対のスプリング体は、係合位置において、対応する電流測定端子の一対の端子板外方に嵌め込まれて一対の端子板を電気計器の電流端子に押圧し、移動体の一対のスプリング体は、待機位置において、対応する電流測定端子の一対の端子板から外れることを特徴とする電気計器用自動結線装置。
【請求項2】
装置本体は、性能試験を行なう際に電気計器が挿入される開口を有する前面板を有し、
装置本体の各電流測定端子および各電圧測定端子は、前面板の開口内部で電気計器の挿入方向を向いて配置されていることを特徴とする請求項1記載の電気計器用自動結線装置。
【請求項3】
装置本体は、前面板に対して垂直に連結された固定板と、固定板に固定され、移動体を昇降させる昇降手段とを有し、
昇降手段は、移動体を上昇させることにより移動体を係合位置に移動し、移動体を下降させることにより移動体を待機位置に移動することを特徴とする請求項1または2記載の電気計器用自動結線装置。
【請求項4】
移動体は、スプリング体を保持するスプリングホルダを有し、
スプリング体は、両端がスプリングホルダに取り付けられた湾曲した板バネからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の電気計器用自動結線装置。
【請求項5】
移動体は、スプリング体を保持するスプリングホルダを有し、
スプリング体は、一端がスプリングホルダに埋設されたスプリングプランジャからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の電気計器用自動結線装置。
【請求項6】
電流測定端子の各端子板は、それぞれ、係合位置において電気計器の電流端子に当接する内側金属板と、内側金属板の外方に設けられ、係合位置において対応するスプリング体に係合する外側金属板とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の電気計器用自動結線装置。
【請求項7】
電気計器は、単相2線式、単相3線式、三相3線式、または三相4線式の電気計器からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気計器用自動結線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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