説明

電気調理器

【課題】電気炊飯器等の電気調理器における液晶パネル部分の消費電力の低減を図る。
【解決手段】消費電力の異なる複数の液晶パネルを組み合わせ、その時の表示用途に応じて使い分けることにより、電気炊飯器等電気調理器の調理メニューの設定情報表示時はもちろん、時計表示時、炊飯残時間表示時、保温経過時間表示時等の各種表示動作中の消費電力を節約することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液晶パネルを備えた電気炊飯器等の電気調理器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気調理器の一例としての、例えば電気炊飯器では、マイコン制御手段を備え、例えば白米、無洗米、早炊き、すしめし、炊き込み、玄米、おかゆ等の各種の炊飯メニュー(調理メニュー)の選択設定と、それらに対応した炊飯工程の制御並びに保温制御(調理工程等の制御)を行えるようにしたものが多くなっている。また、保温の場合にも、例えば標準保温やつやつや保温などの保温メニューに加え、高め、低め、標準等任意の保温温度の設定が可能となっている。
【0003】
そして、これら各種炊飯又は保温メニューの選択設定は、炊飯器本体の外ケース前面側又は蓋ユニットの上面側等に設置されている各種操作キーを備えた操作パネルに対応して設けられ、その操作設定状態を表示する液晶パネルを使用して行われるようになっており、操作キーにより必要な選択設定操作が行われると、その設定メニュー、設定内容が液晶パネルに表示され、それに対応した炊飯又は保温メニューのプログラムが上記マイコン制御手段側のメモリ部から自動的に読み出されて、適切な炊飯又は保温制御が実行されるようになっている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
これらの事情は、例えば電気圧力調理鍋その他の各種電気調理器の場合にも同様である。
【0005】
【特許文献1】特開平11−137421号公報(明細書第1−8頁、図1−11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の電気炊飯器等の電気調理器に使用されている液晶パネルは、非メモリ型(単安定型)のものであり、その駆動回路に常時駆動電圧を印加しておかなければ表示状態を維持することができない。したがって、常時駆動電力を必要とし、時刻表示や残時間表示、経過時間表示などの長時間に亘って表示される表示内容の場合には、省エネ性能向上の見地から何らかの解決を図るべき課題の一つとなっている。この問題は、表示情報量が多く、電気光学的な応答性が高い高機能の液晶パネルや表示面積が大きい液晶パネルほど顕著である。
【0007】
このような問題を解決する方法として、例えば電子ブックなどで使用されている低機能ではあるが消費電力の小さなメモリ型液晶を採用することも考えられる。
【0008】
しかし、このような低機能、低消費電力のメモリ型液晶は、通常の非メモリ型液晶に比べて表示容量が小さく、操作入力に対応した応答速度が遅い問題があり、表示情報の更新周期の長い時刻表示や残時間表示などには適しているが、調理メニュー設定時のように、表示すべき情報量が多く、操作入力に対してリアルタイムでの表示内容の変化が要求される場合には適さない問題がある。
【0009】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、消費電力の異なる複数の液晶パネルを組み合わせ、その時の表示用途に応じて適切に使い分けることにより、電気炊飯器等電気調理器の調理メニューの設定情報表示時はもちろん、時計表示時、調理残時間表示時、調理経過時間表示時等の各種表示動作中の消費電力を大きく節約することができるようにした電気調理器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0011】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気調理器は、調理メニューその他の調理に必要な情報を表示する液晶パネルを備え、該液晶表示パネルに調理に必要な情報を表示しながら所望の電気調理を行うように構成された電気調理器であって、上記液晶パネルは、消費電力の異なる複数の液晶パネルを組み合わせて構成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によると、例えば調理メニューの選択設定時などの表示すべき情報量は多いが、表示している時間が短かい操作キー操作時には、消費電力が大きいが、表示容量が多く、高機能で、操作入力に対する応答性に優れた液晶パネルを駆動して調理メニューの設定に必要な多くの情報をユーザーに分りやすく表示する。
【0013】
他方、調理開始時から調理終了時に到る間の時刻表示時や残時間表示時、または調理完了後の保温経過時間表示時などの、表示時間が長く、表示すべき情報の量が少なく、表示情報の更新周期も長いような時には、必ずしも表示機能が高く、応答性に優れたものでなくても足りる。したがって、消費電力の小さな液晶パネルを使用して真に必要な情報のみを表示することにより、可及的に消費電力の低減を図る。
【0014】
この結果、この発明の構成によると、調理メニュー設定時等の調理情報表示の明確性、利便性と調理中、保温中等の長時間表示における省エネ性との両立を図ることができ、高機能の液晶パネル自体の長寿命化にも寄与し得る。
【0015】
また、停電時や販売店の店頭での陳列時などのバッテリ使用時のバッテリ寿命の延命化にもつながる。
【0016】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気調理器は、上記請求項1の発明の構成において、複数の液晶パネルは、非メモリ型液晶パネルとメモリ型液晶パネルよりなることを特徴としている。
【0017】
非メモリ型の液晶パネルは、消費電力は大きいが、高機能で、表示できる情報量も多く、設定操作に対する表示内容変化の応答性も高い。したがって、調理メニュー等選択設定時の調理メニュー情報の表示に適している。
【0018】
一方、メモリ型の液晶パネルは、メモリ機能を有し、電源がカットされても、それまでの表示状態を維持することができる。したがって、必要な消費電力は極めて小さい。そのため、調理開始後の時計表示、調理残時間表示、保温経過時間表示や停電時および販売店店頭におけるバッテリ使用による時計表示などに適している。
【0019】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気調理器は、上記請求項1又は2の発明の構成において、複数の液晶パネルは、異なる大きさのものを、部分的に重なる形で積層して構成されていることを特徴としている。
【0020】
以上の請求項1,2の発明における複数の液晶パネルの積層には、種々の積層パターンが考えられるが、複数の液晶パネルの各々が異なる大きさで相互に部分的に重なる状態で積層するようにすると、小さい方の液晶パネルの消費電力を、その大きさを小さくした分だけ、又はより一層小さくすることができる。
【0021】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気調理器は、上記請求項1又は2の発明の構成において、複数の液晶パネルは、同一の大きさのものを、全面が重なる形で積層して構成されていることを特徴としている。
【0022】
以上の請求項1,2の発明における複数の液晶パネルの積層には、種々の積層パターンが考えられるが、複数の液晶パネルの各々が同一の大きさで相互に全面が重なる状態で積層するようにすると、外観的に全く1枚の液晶パネルに見えるので、非常に見映えが良くなる。
【0023】
(5) 請求項5の発明
この発明の電気調理器は、上記請求項1,2,3又は4の発明の構成において、複数の液晶パネルは、表示パターンの表示形態が同一のものに構成されていることを特徴としている。
【0024】
このように複数の液晶パネルの表示パターンの表示形態を文字やマークを含めて同一の形態にすると、仮に請求項3の発明の構成のように相互に大きさを変えたものとした場合においても、外観的には全く1枚の液晶パネルに見えるので、非常に見映えが良くなる。
【発明の効果】
【0025】
以上の結果、本願発明によると、調理メニュー等設定時の調理情報表示の明確性、利便性と調理中、保温中等における省エネ性の両立を図ることができ、さらには液晶パネル自体の長寿命化にも寄与し得る。
【0026】
また、停電時や販売店の店頭での陳列時などのバッテリ使用時のバッテリ寿命の延命化にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気調理器である電気炊飯器本体の全体的な構成を示す断面図である。
【図2】同電気炊飯器本体の要部である液晶パネル部分の待機状態における表示構成を示す正面図である。
【図3】同電気炊飯器本体の要部である液晶パネル部分の調理中における表示構成を示す正面図である。
【図4】同電気炊飯器本体の要部である液晶パネル部分の調理中における他の表示構成を示す正面図である。
【図5】同電気炊飯器本体の要部である液晶パネル部分の調理中における、さらなる他の表示構成を示す正面図である。
【図6】同電気炊飯器本体の要部であるマイコン制御ユニットを中心とする制御回路部分のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<実施の形態1>
図1〜図4は、本願発明の実施の形態1に係る電気調理器、特に、その一例としての電気炊飯器の全体および要部の構成と作用をそれぞれ示している。
【0029】
(炊飯器本体部の構成)
この実施の形態における電気調理器の一例である電気炊飯器の炊飯器本体1は、例えば図1に示すように、内鍋(飯器)2として電磁誘導の可能な磁性金属板よりなるものが採用されている一方、当該内鍋2に対する炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の内ケース3を介して当該内鍋2の底壁部2aから側壁部2bの略全体を包み込むように当該内鍋2の底壁部2aの中央部側と側部側に対応する第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられ、また同内鍋2の側壁部2bの全周に対応する内ケース3の外周面部分に保温ヒータH1が、さらに内鍋2の開口部2cの上部開口面に対応する蓋ユニット4内放熱板9の上面に蓋ヒータH2が設けられている。
【0030】
そして、それらの各々を、内鍋2に近い炊飯器本体1側の制御基板5A(制御基板カバー5aにより保持)と蓋ユニット4の操作パネル部20内側の操作基板5B(操作基板カバー5bにより保持)とによって、適切に駆動制御することによって、適切な炊飯/調理機能と保温機能とを実現できるようになっている。
【0031】
一方、それらの各機能に応じたタイマー予約や炊飯および保温メニュー、加熱調理メニューの選択、それら各メニューに対応した加熱量、加熱パターン、保温温度、保温時間などの選択設定操作は、例えば図2に示すように、当該電気炊飯器本体1の開口面上部にヒンジ部6を介して開閉可能に設けられた蓋ユニット4の上面側操作パネル部20に設けられた液晶パネル部21のパネル面に表示された調理メニュー設定情報を見ながら、各種操作スイッチ(炊飯、保温、予約、取消、時分メニューの各操作キー)22a〜22gを用いてユーザーにより行われ、その選択設定内容は上記マイコン制御ユニットのメモリ部にメモリされると同時に、上記操作パネル部20の液晶パネル部20のパネル面上に表示される。
【0032】
そして、同選択設定情報は、インターフェイス回路を介して上記操作基板5B部分に設けられているマイコン制御ユニット(図6の制御回路の符号10を参照)に供給され、その情報内容に応じて最終的に上記第1,第2のワークコイルC1,C2および保温ヒータH1、蓋ヒータH2が駆動制御される。
【0033】
上記液晶パネル部21は、同じく図2に示すように、炊飯、調理(例えばパン発酵/焼きなど)、保温等の各メニューの選択設定に必要な調理情報を示す第1の液晶パネル21Aと、現在時刻、タイマー炊飯予約時刻、炊飯完了(調理完了)までの残時間、設定された保温温度、設定された保温時間、保温開始後の保温経過時間などの時間の何れかを表示する第2の液晶パネル21Bとの2つの液晶パネルを組み合わせて、外観上1つの液晶表示面を形成するように構成されている。
【0034】
これら第1,第2の液晶パネル21A,21Bは、例えば第1の液晶パネル21Aが、上記操作パネル部20の液晶パネル部21の表示面全体に対応した大きさの表示面を有する大きな液晶パネルにより構成されていて、消費電力は大きいが、表示できる情報量も多く、上記操作スイッチ22a〜22gを使用した調理メニュー選択設定時の操作入力に対する新たな表示および表示内容変化の応答性も高い(速い)、高機能である非メモリ型の液晶パネルが採用されている一方、第2の液晶パネル21Bには、例えば現在時刻、炊飯完了残時間、設定保温時間、保温経過時間等の時計表示機能を中心とした表示機能を果たす、第1の液晶パネル21Aに比べて、表示部の大きさが遥かに小さくて、かつ消費電力も遥かに小さいメモリ型の液晶パネルが採用されている。
【0035】
そして、この実施の形態の場合、例えば調理メニューの選択設定時などの表示すべき情報量が多く、応答性の高さが要求されるが、表示している時間が短かい調理メニューの選択設定時には、例えば図2に示すように、消費電力が大きいが、表示容量が大きく、高機能で、操作入力に対する応答性に優れた第1の液晶パネル21Aを第2の液晶パネル21Bと共に駆動して調理メニューの設定に必要な多くの情報を、現在時刻と共に応答性良くユーザーに分りやすく表示する。
【0036】
一方、調理開始時から調理終了時に到る間の時刻表示時や残時間、保温設定時間、またその後の保温経過時間表示時などの、表示時間が長い一方、表示すべき情報の量が少なく、表示すべき情報の更新周期も長くて良いような時には、例えば図3に示すように(図3は、調理途中における残時間表示の例)、機能が高く、応答性に優れたものではないが、消費電力の小さな第2の液晶パネル21Bのみを駆動して(第1の液晶パネル21AをOFFにして)、最低限必要な情報のみを表示することにより、可及的に消費電力の低減を図るようにしている。
【0037】
なお、この場合、図3のように調理残時間(あと00:18分)の表示を行うに際して、上記第1の液晶パネル21AのOFF状態を継続させるのではなく、例えば図4に示すように5分または10分に1回程度現在設定されている調理メニュー「無洗米」と保温時間「36時間」等を1〜2秒間表示するように構成することもできる。
【0038】
もちろん、上記図3、図4のような残時間表示に変えて、図5のような時刻表示のみとすることもできる。
【0039】
なお、図2〜図5中の符号23a〜23cは、それぞれ対応する操作スイッチ22a〜22cの操作状態を示すLEDである。
【0040】
(炊飯器制御回路部分の構成)
次に、図6は、上述のように構成された電気炊飯器の炊飯および保温制御用のマイコン制御ユニットを中心とする制御回路部分の詳細な構成を示す。
【0041】
図6中、符号10が上述のような炊飯加熱制御手段、保温加熱制御手段、調理メニュー等調理情報表示手段、時計表示手段、炊飯残時間表示手段、保温時間表示手段に加え、内鍋温度判定手段等を備えた炊飯・保温・表示制御用のマイコン制御ユニット(CPU)であり、該マイコン制御ユニット10はマイクロコンピュータを中心として構成され、例えば内鍋2の温度検知回路部、ワークコイル駆動制御回路部、発振回路部、リセット回路部、保温ヒータおよび蓋ヒータ等駆動制御回路部、調理メニュー・時計・残時間・保温時間その他の表示を行う表示制御回路部、電源回路部等を各々併設して構成されている。
【0042】
そして、先ず上記内鍋2の底壁部2a側センタセンサ部の内鍋温度検知センサSに対応して設けられた温度検知回路11には、例えば上記内鍋温度検知センサSによる内鍋2の底壁部2aの温度検知信号が入力されるようになっている。
【0043】
また、上記ワークコイル駆動制御回路部は、例えばパルス幅変調回路12、同期トリガー回路13、IGBT駆動回路14、IGBT15、共振コンデンサ16によって形成されている。そして、上記マイコン制御ユニット10のワークコイル駆動制御回路部により、上記パルス幅変調回路12を制御することにより、例えば炊飯工程に応じて上記ワークコイルC(C1,C2)の出力値(%)および同出力値でのONデューティー比(n秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯加熱工程における内鍋2の加熱温度と加熱パターンを炊飯量を考慮して適切に可変コントロールし、均一な吸水作用と加熱ムラのない御飯の炊き上げを実現するための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0044】
また同マイコン制御ユニット10の保温ヒータ駆動制御回路部および蓋ヒータ駆動制御回路部により、それぞれ保温ヒータ駆動回路17および蓋ヒータ駆動回路18を制御することにより、例えば保温又は炊飯加熱工程に応じて上記保温ヒータH1、蓋ヒータH2の出力値(%)および同出力値でのONデューティー比(n秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、保温又は炊飯加熱工程の各工程における内鍋2の加熱温度と加熱パターンとを実際の炊飯量を考慮して適切に可変コントロールするための適切な出力制御が行われるようになっている。
【0045】
また、符号22a〜22gは上述した各種操作入力スイッチであり、同スイッチ22a〜22gの必要なものが適切に操作されると、上記マイコン制御ユニット32側の認識手段によってユーザーの指示内容が認識され、その認識内容に応じて所望の炊飯又は保温加熱パターンを設定して上記炊飯加熱制御手段および保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温を行うようになっている。
【0046】
したがって、ユーザーは、上記各操作入力スイッチ22a〜22gを使って炊飯および保温、タイマー予約、予約時刻設定、白米、無洗米、早炊、玄米、おかゆ、炊き込み、おこわ等各種メニューの炊き分け、通常保温又は低温保温等、その他の各種の炊飯および保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット10内の上記認識手段を介して炊飯および保温加熱パターン設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御が所望の制御パターンで適切になされる。
【0047】
さらに、符号21は、上記第1,第2の液晶パネル21A,21Bよりなる液晶表示部である。上記液晶表示部21の第1の液晶パネル21Aには、例えば図2に示すように、上記操作スイッチ22a〜22gのON操作に対応して所望の調理メニュー設定情報が表示され、また第2の液晶パネル21Bには時計時刻や調理残時間が表示され(図2、図3、図4、図5参照)、以後設定された調理内容に応じた、時刻、残時間等の必要な表示がなされて行くようになっている。
【0048】
なお、図2は、AC電源ON状態における調理メニュー選択設定前の待機画面の一例であり、各種調理メニュー情報と共に時計表示(時刻表示)が行われる。
【0049】
時計表示の場合、例えば一旦メモリ型の液晶である第2の液晶パネル21Bの液晶駆動回路に駆動電圧を供給し、図示のように20:00の時刻表示を行ってから駆動電源をOFFにし、その後、例えばタイマーで1分(60秒)の経過をカウントし、同1分(60秒)が経過すると、再び液晶駆動回路に駆動電圧を供給し、20:01に時刻を更新(加算)して表示する。
【0050】
そして、同時計表示中は、この1分(60秒)毎の駆動電圧の供給を間欠的に行なって、1分間隔の時刻表示を行なって行く。したがって、略1分弱の間は、第2の液晶パネル21Bの液晶駆動回路の消費電力は不要となる。
【0051】
そして、調理メニューの選択設定時以外は、例えば図3のように、原則として上記第1の液晶パネル21AがOFFにされ、このメモリ型の液晶パネルよりなる第2の液晶パネル21Bのみの表示となる。
【0052】
なお、この場合において、図3のように、第2の液晶パネル21Bにより調理残時間(あと00:18分)の表示を行うに際しては、単に上記第1の液晶パネル21AのOFF状態を継続させるのではなく、例えば図4に示すように5分または10分に1回程度現在設定されている調理メニュー「無洗米」と保温時間「36時間」等を1〜2秒間表示するように構成することもできる。
【0053】
また、同図3、図4のような残時間表示に変えて、図5のような時刻表示のみとすることもできる。
【0054】
以上のように、この発明の実施の形態の電気調理器は、調理メニューその他の調理に必要な情報を表示する液晶パネル部21を備え、該液晶表示パネル部21に調理に必要な情報を表示しながら所望の電気調理を行うように構成された電気調理器において、その液晶パネル部21が、消費電力の異なる第1,第2の複数の液晶パネル21A,21Bよりなり、それらを組み合わせて構成されている。
【0055】
このような構成によると、例えば調理メニューの選択設定時などの表示すべき情報量は多いが、表示している時間が短かい時には、消費電力が大きいが、高機能で、操作入力に対する応答性に優れた第1の液晶パネル21Aを第2の液晶パネル21Bと共に駆動して調理メニューの設定に必要な多くの情報を現在時刻と共にユーザーに分りやすく表示することができる。
【0056】
一方、調理開始時から調理終了時に到る間の時刻表示時や残時間表示、経過時間表示時、また調理終了後の保温時間表示などの、表示時間が長くて、表示すべき情報の量が少なく、しかも情報の更新周期も長いような時には、機能が高く、応答性に優れたものでなくても足りる。そこで、そのような場合には、上記消費電力の小さな第2の液晶パネル21Bを使用して必要な情報を表示することにより、可及的に消費電力の低減を図る。
【0057】
この結果、調理情報表示の明確性、利便性と省エネ性の両立を図ることができ、液晶パネル自体の長寿命化にも寄与し得る。
【0058】
また、停電時や販売店の店頭での陳列時などのバッテリ使用時のバッテリ寿命の延命化にもつながる。
【0059】
そして、上記第1,第2の複数の液晶パネル21A,21Bは、例えば第1の液晶パネル21Aが非メモリ型液晶パネル、第2の液晶パネル21Bがメモリ型液晶パネルにより構成される。
【0060】
非メモリ型の液晶パネルは、消費電力は大きいが、高機能で、表示できる情報量も多く、設定操作に対する表示内容変化の応答性も高い。したがって、調理メニュー等選択設定時の調理メニュー情報の表示に適している。
【0061】
一方、メモリ型の液晶パネルは、メモリ機能を有し、上述したように電源がカットされても、それまでの表示状態を維持することができる。したがって、必要な消費電力は極めて小さくて済む。そのため、調理開始後の時計表示、炊飯残時間表示、保温経過時間表示や販売店店頭でのバッテリによる時計表示などに適している。
【0062】
また、以上の構成では、上記第1,第2の複数の液晶パネル21A,21Bは、例えば第1の液晶パネル21Aの方が大きくて、第2の液晶パネル21Bの方が小さく、例えば図1〜図3のように、第1の液晶パネル21Aの上部に第2の液晶パネル21Bが部分的に重なる形で積層して構成されている。
【0063】
以上の第1,第2の複数の液晶パネル21A,21Bの組み合わせには、種々の積層パターンが考えられるが、第1,第2の複数の液晶パネル21A,21Bの各々が異なる大きさで、図1〜図3のように相互に部分的に重なる状態で積層するようにすると、本来消費電力が小さく、大きさも小さい方の第2の液晶パネル21Bの消費電力を、当該大きさを小さくした分だけ、さらに駆動時の電力をも小さくすることができる。したがって、本来消費電力の小さい第2の液晶パネル21Bの消費電力を、さらに小さくすることができる。
【0064】
しかも、その場合において、それら第1,第2の複数の液晶パネル21A,21Bは、表示パターンの表示形態が同一のものに構成されている。
【0065】
したがって、上記図1〜図3のように相互に大きさを変えて上下に積層した場合においても、外観的には全く1枚の液晶パネルに見えるので、非常に見映えが良くなる。
【0066】
<実施の形態2>
以上の実施の形態1の構成では、第1,第2の液晶パネル21A,21Bは、異なる大きさのものを、部分的に重なる形で積層するようにしたが、これら第1,第2の液晶パネル21A,21Bは、例えば同一の大きさのものを、上部側第2の液晶パネル21Bの不要部を透明にするなどの方法により、全面が重なる形で積層して構成することもできる。
【0067】
このように、第1,第2の液晶パネル21A,21Bの各々が同一の大きさで全体に重なる状態で積層するようにすると、外観的に全く1枚の液晶パネルに見えるので、非常に見映えが良くなる。
【0068】
<実施の形態3>
以上の実施の形態1の構成では、第1,第2の液晶パネル21A,21Bを上下に積層することにより組み合わせるようにした。
【0069】
しかし、これは、例えば第1の液晶パネル21Aの所定のエリアを部分的に切り欠き、同部分に第2の液晶パネル21Bを配置することにより、同一平面上に配置して組み合わせることも、もちろん可能である。
【0070】
このような構成の場合、上下方向の厚さが1/2で済み、蓋ユニット4の上面に設置する場合に有利となる。
【符号の説明】
【0071】
C1,C2,Cはワークコイル、H1は保温ヒータ、H2は蓋ヒータ、1は炊飯器本体、2は内鍋、3は内ケース、4は蓋ユニット、5Aは制御基板、5Bは操作基板、10はマイコン制御ユニット、20は操作パネル、21は液晶パネル部、21Aは第1の液晶パネル、21Bは第2の液晶パネルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理メニューその他の調理に必要な情報を表示する液晶パネルを備え、該液晶表示パネルに調理に必要な情報を表示しながら所望の電気調理を行うように構成された電気調理器であって、上記液晶パネルは、消費電力の異なる複数の液晶パネルを組み合わせて構成されていることを特徴とする電気調理器。
【請求項2】
複数の液晶パネルは、非メモリ型液晶パネルとメモリ型液晶パネルよりなることを特徴とする請求項1記載の電気調理器。
【請求項3】
複数の液晶パネルは、異なる大きさのものを、部分的に重なる形で積層して構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気調理器。
【請求項4】
複数の液晶パネルは、同一の大きさのものを、全面が重なる形で積層して構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気調理器。
【請求項5】
複数の液晶パネルは、表示パターンの表示形態が同一のものに構成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電気調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−139793(P2011−139793A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2105(P2010−2105)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】