説明

電気貯湯容器

【課題】 真空二重容器からなる内容器を備えた電気貯湯容器において、コンパクトな構造で効率的な強制冷却ができるようにする。
【解決手段】 底部に一重壁部3aを有する内容器3を備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部3aの下方に、該一重壁部3aに入口22aおよび出口22bを有し且つ循環用ポンプ23によって前記内容器3内のお湯を循環させる循環経路22を設けるとともに、該循環経路22に、循環経路22を循環するお湯を冷却するための冷却部(ヒートシンク24および冷却ファン25)を付設して、内容器3内で沸騰させたお湯を循環用ポンプ23の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク24および冷却ファン25)において強制冷却できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気貯湯容器に関し、さらに詳しくは、沸かしたお湯の温度を所定温度にまでできるだけ速く冷まし得るようにした電気貯湯容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電気貯湯容器としては、底部に一重壁部を有し且つ側面に真空二重壁部を有する内容器と、該内器内に収容された水を加熱する加熱手段と、前記内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えたものがあり、断熱性が高いところから、極めて保温性能よいものとなっている。
【0003】
ところで、一般的な電気貯湯容器においては、内容器内のお湯を95℃以上に保温するのが通常であるが、近年、お湯の保温温度を煎茶の抽出や、乳児用ミルクの溶解に適するように、複数段に設定できるようにしたものが提供されている。例えば、高温保温(95℃以上)、中温保温(85℃前後)および低温保温(60℃〜70℃)が選択できるようにしたものが提案されている。ところが、一旦沸騰させたお湯を中温や低温まで自然冷却により降温させる場合、相当の時間がかかってしまい、使い勝手が悪いという不具合があった。
【0004】
上記のような不具合を解消するために、電気保温ポットにおいて、ポット本体内部に、電動ポンプの動作で容器内の湯を循環流通させる循環パイプを設け、この循環パイプの途中に冷却部を形成して、容器内の湯を強制冷却するようにした既に提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平5−63420号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されている電気保温ポットの場合、お湯を保温する容器としては普通の容器が使用されており、循環パイプの出口(即ち、容器へ還流する出口)は、容器の側壁上部とされている。
【0007】
ところで、前述したお湯を貯湯する内容器として真空二重容器を用いた電気貯湯容器の場合、保温性が極めて高いところから、自然冷却によると、沸騰させたお湯を降温させるのに相当な時間がかかってしまう。例えば、沸騰したお湯を玉露を抽出するにてきした温度である60℃にまで自然冷却により降温させようとすると、10時間以上かかってしまう。しかも、真空二重容器の場合、側壁が真空二重となっているところから、お湯を冷却する構造にも工夫が必要となる。
【0008】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、真空二重容器からなる内容器を備えた電気貯湯容器において、コンパクトな構造で効率的な強制冷却ができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、底部に一重壁部を有する内容器と、該内容器内に収容された水を加熱する加熱手段と、前記内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部の下方に、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記内容器内のお湯を循環させる循環経路を設けるとともに、該循環経路に、循環経路を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設している。
【0010】
上記のように構成したことにより、内容器内で沸騰させたお湯が循環用ポンプの作動により循環経路を循環する過程において冷却部において強制冷却されることとなり、内容器内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。しかも、循環経路の出入口を内容器の底部を構成する一重壁部に形成したことにより、循環経路および冷却部を貯湯容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に配設することが可能となるところから、循環用ポンプの揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となる。
【0011】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記冷却部を強制冷却する冷却ファンを付設することもでき、そのように構成した場合、冷却ファンの作動による冷却風の冷却効果により冷却部でのお湯の冷却を効果的に促進することができることとなり、降温時間を大幅に短縮することができる。
【0012】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた電気貯湯容器において、前記内容器の側面を、真空二重壁部で構成することもでき、そのように構成した場合、内容器の保温性能が大幅に向上するところから、循環冷却による冷却効果がより効果的となる。
【0013】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気貯湯容器において、前記吐出通路に、前記内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記循環経路を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設することもでき、そのように構成した場合、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを循環用ポンプとして兼用できることとなり、さらなるコンパクト化が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の第1の手段によれば、底部に一重壁部を有する内容器と、該内容器内に収容された水を加熱する加熱手段と、前記内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器において、前記一重壁部の下方に、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記内容器内のお湯を循環させる循環経路を設けるとともに、該循環経路に、循環経路を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設して、内容器内で沸騰させたお湯を循環用ポンプの作動により循環経路を循環する過程において冷却部において強制冷却できるようにしたので、内容器内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができるという効果がある。しかも、循環経路の出入口を内容器の底部を構成する一重壁部に形成したことにより、循環経路および冷却部を内容器の一重壁部の下方に形成される余剰空間部に配設することができるところから、循環用ポンプの揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となるという効果もある。
【0015】
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記冷却部を強制冷却する冷却ファンを付設することもでき、そのように構成した場合、冷却ファンの作動による冷却風の冷却効果により冷却部でのお湯の冷却を効果的に促進することができることとなり、降温時間を大幅に短縮することができる。
【0016】
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1又は第2の手段を備えた電気貯湯容器において、前記内容器の側面を、真空二重壁部で構成することもでき、そのように構成した場合、内容器の保温性能が大幅に向上するところから、循環冷却による冷却効果がより効果的となる。
【0017】
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1、第2又は第3の手段を備えた電気貯湯容器において、前記吐出通路に、前記内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記循環経路を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設することもでき、そのように構成した場合、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを循環用ポンプとして兼用できることとなり、さらなるコンパクト化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本願発明を幾つかの好適な実施の形態について説明する。
【0019】
第1の実施の形態
図1ないし図6には、本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器が示されている。
【0020】
この電気貯湯容器は、図1に示すように、湯沸かし用の内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部開口を開閉する蓋体2と、前記内容器3の底部を加熱する加熱手段である電気ヒータ4と、前記内容器3内のお湯を外部へ吐出するための吐出通路5と、該吐出通路5の途中に設けられた吐出用ポンプ6とを備えて構成されている。
【0021】
前記容器本体1は、外側面を構成する金属製の外ケース7と、内周面を構成する前記内容器3と、前記外ケース7の上部と内容器3の上部とを結合する合成樹脂製の環状の肩部材8と、底面を構成する合成樹脂製の底板9とからなっている。
【0022】
前記内容器3は、ステンレス製の有底円筒形状の内筒10とステンレス製の略円筒形状の外筒11との間に真空空間12を形成してなる真空二重容器からなっており、底部に一重壁部3aを有し且つ側面に真空二重壁部3bを有して構成されている。なお、内容器3は、底部に一重壁部3aを有していればよく、内容器3の側面は、一重容器の外側に真空二重の断熱容器を配設したり、一重容器の外側に真空断熱材を巻き付けた構造とすることもできる。
【0023】
前記内容器3における底部(即ち、一重壁部3a)下面には、前記電気ヒータ4(例えば、雲母板に発熱体を保持させてなるマイカヒータ)が取り付けられている。符号13は内容器3の温度(換言すれば、湯温T)を検出する温度検出手段として作用する温度センサである。
【0024】
前記蓋体2は、合成樹脂製の上板14と該上板14に対して外周縁が嵌め合いにより結合された合成樹脂製の下板15とからなっており、前記肩部材8の後部に設けられたヒンジ受け16に対してヒンジピン17を介して開閉且つ着脱自在に支持されている。符号18は蒸気排出通路である。
【0025】
前記蓋体2における下板15には、金属製のカバー部材19が固定されており、該カバー部材19の外周縁には、蓋体2の閉蓋時において前記内容器3の給水口3cに圧接されるシールパッキン20が設けられている。
【0026】
前記内容器3における一重壁部3aの下方に形成される余剰空間21には、該一重壁部3aに入口22aおよび出口22bを有し且つ循環用ポンプ23によって前記内容器3内のお湯を循環させる循環経路22が設けられている(図2参照)。前記一重壁部3aには、電気ヒータ4が取り付けられているが、該電気ヒータ4が取り付けられていない部位Sが設けられており、前記循環経路22の入口22aおよび出口22bは、当該部位Sに形成されている(図3および図4参照)。
【0027】
前記循環経路22の途中には、該循環経路22を循環するお湯を冷却するための冷却部として作用するヒートシンク24が付設されている。また、該ヒートシンク24を強制冷却する冷却ファン25が付設されている(図1および図2参照)。符号26は容器本体1の底部を構成する底板9において前記冷却ファン25の吸込側に形成された冷却風取り入れ口である。
【0028】
ところで、本実施の形態においては、図2に示すように、前記循環経路22の入口22aは、前記吐出通路5の入口と兼用されており、該吐出通路5において前記吐出用ポンプ6の上流側から分岐して前記循環経路22の出口22bに至る分岐通路27が形成されている。従って、本実施の形態においては、前記循環経路22は、前記吐出通路5における吐出用ポンプ6の上流側の一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなっている。このようにすると、内容器3における一重壁部3aに形成される穴を少なくすることができることとなり、電気ヒータ4の占有面積を最大とすることができるとともに、加工工数も低減できる。
【0029】
上記構成の電気貯湯容器においては、電気ヒータ4は、後述するように沸騰用ヒータ4Aと保温用ヒータ4Bとを備えており、保温用ヒータ4Bへの通電制御を行う通常の保温モード(換言すれば、設定保温温度制御モード)の他に、沸騰用ヒータ4Aおよび保温用ヒータ4Bへの通電を停止した状態(即ち、電源コードを取り外した状態)で保温する魔法瓶保温モードによる使用が可能となっている。
【0030】
図1において、符号28は蓋体2を容器本体1に対して閉止状態に保持するためのロック機構、29は後述する各種スイッチ類を備えた操作パネル部である。
【0031】
前記操作パネル部29には、図5に示すように、給湯スイッチ30、ロック解除スイッチ31、再沸騰スイッチ32、保温選択スイッチ33、タイマー設定用スイッチ34、冷却機能スイッチ35、液晶表示装置36、沸騰表示灯(沸騰LED)37、保温表示灯(保温LED)38が設けられている。前記液晶表示装置36には、温度、沸騰残時間および湯量が交互に7セグメント表示され且つ後述するスローリーク発生表示が文字表示されるとともに、設定保温温度(98℃、90℃、魔法瓶)が表示される。
【0032】
図6は、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態を示すブロック図である。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図6において、符号39はマイコン基板、40は交流電源、41は温度ヒューズ、42はトライアック、43はリレー、44は抵抗である。
【0034】
ついで、上記構成の電気貯湯容器における冷却機能制御について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0035】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ35がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS4において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において肯定判定された場合には、ステップS5において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS6において冷却ファン25がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて内容器3内に還流されることとなり、内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0036】
そして、内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS5,S6における循環用ポンプ23および冷却ファン25の制御は継続されるが、内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ35がOFFされる。従って、ステップS7において冷却機能スイッチ35のOFFが確認されると、ステップS8において循環用ポンプ23がOFFされるとともに、ステップS9において冷却ファン25がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0037】
上記したように、本実施の形態においては、内容器3内で沸騰させたお湯を循環用ポンプ23の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク24および冷却ファン25)によって強制冷却できるようにしたので、内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。ちなみに、100℃のお湯を60℃近辺にまで降温させるに要する時間を、従来の電気貯湯容器(循環なし)の場合(曲線Xで示す)と本実施の形態にかかる電気貯湯容器(循環あり)の場合(曲線Yで示す)とを比較して測定したところ、図8に示す結果が得られた。これによれば、本実施の形態にかかる電気貯湯容器の場合が、従来の電気貯湯容器の場合に比べて1/6に短縮されることが分かる。
【0038】
しかも、本実施の形態の場合、循環経路22の出入口22a,22bを内容器3の底部を構成する一重壁部3aに形成したことにより、構造が簡単になるとともに、穴あけ、バーリング、溶接とも加工し易くなり、コストダウンに寄与する。また、内容器3の保温性を損なうことがなくなるとともに、循環経路22および冷却部(ヒートシンク24および冷却ファン25)を内容器3の一重壁部3aの下方に形成される余剰空間部21に配設したことにより、循環用ポンプ23の揚水能力を低くすることが可能となり、騒音を少なくすることも可能となる。
【0039】
ところで、スピード冷却用のスイッチを別に設け、当該スイッチによりスピード冷却が選択された時にのみ冷却ファン25による強制冷却を行うが、スピード冷却が選択されなかった時には、冷却ファン25の作動を行わず、ヒートシンク24による循環だけの冷却とするようにしてもよい。
【0040】
また、保温設定温度の高低によって、冷却ファン25による強制冷却を選択するか、循環だけによる冷却を選択するかをマイコンに判断させるようにしてもよい。
【0041】
第2の実施の形態
図9ないし図11には、本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部が示されている。
【0042】
この場合、循環経路22を構成する分岐通路27は、吐出通路5における吐出用ポンプ6の下流側から分岐されており、この分岐部には、吐出通路5側へお湯が吐出され方向と分岐通路27側へお湯が流れる方向とにお湯の流れを切り換える通路切換弁45が介設されている。このようにすると、循環経路22は、前記吐出通路5における入口22aから吐出用ポンプ6の下流側の分岐部までの一部と前記分岐通路27とによって形成されることとなる。なお、前記通路切換弁45の切換作動は、手動あるいは自動で行うこととなっている。また、吐出用ポンプ6のポンプ能力は、吐出時>循環時とするのが望ましい。このようにすると、お湯を外部へ圧送する吐出用ポンプ6を循環用ポンプとして兼用できることとなり、さらなるコンパクト化が可能となる。
【0043】
本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態は、図11に示すブロック図の通りである。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
ついで、上記構成の電気貯湯容器における冷却機能制御について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0045】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ35がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS4において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において肯定判定された場合には、ステップS5において通路切換弁45が循環経路22側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS6において吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS7において冷却ファン25がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて内容器3内に還流されることとなり、内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0046】
そして、内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS5,S6,S7における通路切換弁45、吐出用ポンプ6および冷却ファン25の制御は継続されるが、内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ35がOFFされる。従って、ステップS8において冷却機能スイッチ35のOFFが確認されると、ステップS9において通路切換弁45が吐出通路5側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS10において吐出用ポンプ6がOFFされるとともに、ステップS11において冷却ファン25がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0047】
上記したように、本実施の形態においては、内容器3内で沸騰させたお湯を通路切換弁45の切換作動および吐出用ポンプ6の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク24および冷却ファン25)によって強制冷却できるようにしたので、内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0048】
その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0049】
第3の実施の形態
図13には、本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御のフローチャートが示されている。
【0050】
この場合、電気貯湯容器は、第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器と同様の構造を有している。
【0051】
ついで、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0052】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ35がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において魔法瓶保温が設定されているか否かの判定がなされる。ステップS4において肯定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において否定判定された場合には、ステップS5において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS5において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS5において肯定判定された場合には、ステップS6において循環用ポンプ23がON作動されるとともに、ステップS7において冷却ファン25がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて内容器3内に還流されることとなり、内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0053】
そして、内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS6,S7における循環用ポンプ23および冷却ファン25の制御は継続されるが、内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ35がOFFされる。従って、ステップS8において冷却機能スイッチ35のOFFが確認されると、ステップS9において循環用ポンプ23がOFFされるとともに、ステップS10において冷却ファン25がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0054】
上記したように、本実施の形態においては、内容器3内で沸騰させたお湯を循環用ポンプ23の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク24および冷却ファン25)によって強制冷却できるようにしたので、内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。しかも、沸騰用ヒータ4Aおよび保温用ヒータ4Bへの通電を停止した状態(即ち、電源コードを取り外した状態)で保温する魔法瓶保温が選択されている場合には、冷却機能スイッチ35のON/OFFにかかわらず、冷却機能が常時「無効」とされることとなっている。従って、魔法瓶保温を選択したことによる省エネおよび長時間の高温保持が可能となる。
【0055】
第4の実施の形態
図14には、本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御のフローチャートが示されている。
【0056】
この場合、電気貯湯容器は、第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器と同様の構造を有している。
【0057】
ついで、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御について、図14に示すフローチャートを参照して説明する。
【0058】
ステップS1において湯沸かし工程が実行され、ステップS2において保温表示灯(保温LED)38が点灯され、保温工程に移行した状態で、ステップS3において冷却機能スイッチ35がONされたか否かの判定がなされる。ステップ3において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS3において肯定判定された場合には、ステップS4において魔法瓶保温が設定されているか否かの判定がなされる。ステップS4において肯定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS4において否定判定された場合には、ステップS5において温度センサ13による検知温度が保温設定温度以上となっているか否かの判定がなされる。ステップS5において否定判定された場合にはステップS1にリターンするが、ステップS5において肯定判定された場合には、ステップS6において通路切換弁45が循環経路22側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS7において吐出用ポンプ6がON作動されるとともに、ステップS8において冷却ファン25がON作動され、循環経路22を循環するお湯が強制冷却される。このようにして、循環経路22によるお湯の循環の過程においてお湯が冷却されて内容器3内に還流されることとなり、内容器3内のお湯の温度が徐々に低下することとなる。
【0059】
そして、内容器3内のお湯の温度が所定の温度(例えば、玉露の抽出に適した温度である60℃)まで低下するまで、ステップS6,S7,S8における通路切換弁45、吐出用ポンプ6および冷却ファン25の制御は継続されるが、内容器3内のお湯の温度が所定の温度まで低下すると、冷却機能スイッチ35がOFFされる。従って、ステップS9において冷却機能スイッチ35のOFFが確認されると、ステップS10において通路切換弁45が吐出通路5側へのお湯の流通を許容する側に切り換えられ、ステップS11において吐出用ポンプ6がOFFされるとともに、ステップS12において冷却ファン25がOFFされ、その後ステップS1へリターンする。
【0060】
上記したように、本実施の形態においては、内容器3内で沸騰させたお湯を通路切換弁45の切換作動および吐出用ポンプ6の作動により循環経路22を循環する過程において冷却部(ヒートシンク24および冷却ファン25)によって強制冷却できるようにしたので、内容器3内のお湯を所定の温度に降温させるに要する時間を大幅に短縮することができる。しかも、沸騰用ヒータ4Aおよび保温用ヒータ4Bへの通電を停止した状態(即ち、電源コードを取り外した状態)で保温する魔法瓶保温が選択されている場合には、冷却機能スイッチ35のON/OFFにかかわらず、冷却機能が常時「無効」とされることとなっている。従って、魔法瓶保温を選択したことによる省エネおよび長時間の高温保持が可能となる。
【0061】
なお、上記各実施の形態において、ユーザの使用パターンを学習して加熱制御を変更するコースの選択時には、次の使用時間帯まで所定の時間(例えば、2時間)以上ある時は冷却機能を無効としたり、次の使用時間帯まで所定の時間未満の場合は冷却機能を有効とすることが望ましい。
【0062】
また、冷却機能の「有効/無効」を選択するスイッチを設けておき、停電時においても「有効/無効」をメモリしておき、停電復帰後においてはメモリの内容に従って制御するようにすると、使い勝手が向上する。
【0063】
本願発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器の縦断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器の要部を示す拡大断面図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の縦断面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の底面図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における操作パネル部の拡大平面図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図7】本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【図8】100℃のお湯を60℃近辺にまで降温させるに要する時間を、従来の電気貯湯容器(循環なし)の場合(曲線Xで示す)と本実施の形態にかかる電気貯湯容器(循環あり)の場合(曲線Yで示す)と比較して測定した特性図である。
【図9】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の縦断面図である。
【図10】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における内容器の底面図である。
【図11】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線図である。
【図12】本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【図13】本願発明の第3の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【図14】本願発明の第4の実施の形態にかかる電気貯湯容器における冷却機能制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
3は内容器
3aは一重壁部
3bは真空二重壁部
4は加熱手段(電気ヒータ)
5は吐出通路
6は吐出用ポンプ
22は循環経路
22aは入口
22bは出口
23は循環用ポンプ
24は冷却部(ヒートシンク)
25は冷却部(冷却ファン)
35は冷却機能スイッチ
45は通路切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に一重壁部を有する内容器と、該内容器内に収容された水を加熱する加熱手段と、前記内容器内のお湯を外部へ吐出する吐出通路とを備えた電気貯湯容器であって、前記一重壁部の下方には、該一重壁部に入口および出口を有し且つ循環用ポンプによって前記内容器内のお湯を循環させる循環経路を設けるとともに、該循環経路には、循環経路を循環するお湯を冷却するための冷却部を付設したことを特徴とする電気貯湯容器。
【請求項2】
前記冷却部を強制冷却する冷却ファンを付設したことを特徴とする請求項1記載の電気貯湯容器。
【請求項3】
前記内容器の側面を、真空二重壁部で構成したことを特徴とする請求項1および2のいずれか一項記載の電気貯湯容器。
【請求項4】
前記吐出通路には、前記内容器内のお湯を外部へ圧送する吐出用ポンプを介設し且つ該吐出用ポンプの吐出側から前記循環経路を分岐形成して該吐出用ポンプを前記循環用ポンプとして兼用し得るように構成するとともに、前記吐出通路と前記循環経路とにお湯を選択的に流通させるための通路切換弁を付設したことを特徴とする請求項1、2および3のいずれか一項記載の電気貯湯容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate