説明

電気部品用ソケット

【課題】電気部品を位置決めしてその端子を上下から確実に挟持できる電気部品用ソケットを提供する。
【解決手段】ソケット本体14と、ソケット本体に斜め下方に下降可能に設けられ、ICパッケージ12を収容するフローティングプレート15と、ICパッケージ端子12bの下面に接触して接続される第1コンタクトピン16と、ソケット本体14に開閉自在に取り付けられ、収容されたICパッケージを押圧すると共に、フローティングプレートを下方に押圧するカバー部材19と、カバー部材の閉時に、フローティングプレートを案内するガイド部材32と、カバー部材に設けられ、カバー部材の閉時に、フローティングプレートが移動されたときに、ICパッケージの側壁に当接して位置決めすると共に、ICパッケージ端子の上面に接触して接続され、第1コンタクトピンと共にICパッケージ端子を挟持する第2コンタクトピン30とを有するICソケット11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線基板上に配設され、半導体装置(以下「ICパッケージ」という)等の電気部品の試験等を行うため、この電気部品を収容する電気部品用ソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の「電気部品用ソケット」としては、「電気部品」であるICパッケージを着脱自在に収容するICソケットがある。
【0003】
そのICパッケージとしては、例えば方形状のパッケージ本体(電気部品本体)を有し、このパッケージ本体の側方に端子が突出しているものがある。
【0004】
一方、そのICソケットは、ソケット本体にICパッケージが収容されるようになっていると共に、このソケット本体にカバー部材が開閉自在に設けられ、このカバー部材を閉じた状態で、ICパッケージが押圧されると共に、このICパッケージの端子がコンタクトピンに接触されるようになっており、このICパッケージ端子は、上下に設けられたコンタクトピンにより上下から挟持される、いわゆるケルビン接触されるように構成されたものがある。
【0005】
しかし、このICパッケージ端子をコンタクトピンにより上下から挟持するものにあっては、特に、その端子のパッケージ本体からの突出量が短い場合には、ICパッケージの成形誤差や、ICパッケージ端子とコンタクトピンとの位置ズレ等により、ICパッケージ端子を上下から挟持するのが難しいものであった。
【0006】
そのため、ICパッケージを所定の位置に位置決めする方法が考えられる。
【0007】
そこで、ICパッケージを位置決めする構造として特許文献1に記載されたようなものがある。
【0008】
この特許文献1の請求項1には、「ベース部材と、ヒンジ部を介して回転可能に前記ベース部材に取り付けられたカバー部材と、複数のコンタクトであって、各コンタクトは、前記ベース部材に固定され、かつ各コンタクトは、一端と他端の間に弾性変形部を有する、前記複数のコンタクトと、前記カバー部材の回転に連動して前記ベース部材上を移動可能な位置決め部材であって、前記カバー部材が前記ベース部材に対して開状態にあるとき、前記位置決め部材は第1のバネ部材により付勢された第1の位置にあり、前記カバー部材が前記ベース部材に対して閉状態にあるとき、前記位置決め部材は、第1のバネ部材に抗して第2の位置にある、前記位置決め部材とを有し、前記カバー部材が前記ベース部材に対して閉じられたとき、前記位置決め部材は、前記ベース部材上に載置された電子装置を位置決めする、ソケット」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−300303号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような特許文献1に記載のものにあっては、位置決めされる電子装置は、いわゆるBGAパッケージで、下面に、端子であるはんだボールを有しており、電気部品本体の側方に端子が突出しておらず、この端子をコンタクトピンで上下から挟持するものではないことから、かかる特許文献1の位置決め構造は適用できないものであった。
【0011】
そこで、この発明は、電気部品本体の側方に端子が突出し、この端子をコンタクトピンで上下から挟持するものにおいて、その電気部品を位置決めしてその端子を上下から確実に挟持できる電気部品用ソケットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を達成するために、この発明は、配線基板上に配設され、側方に複数の突出した端子を有する電気部品が収容される電気部品用ソケットであって、前記配線基板上に配設されるソケット本体と、該ソケット本体に上方に付勢された状態で、斜め下方に下降可能に設けられ、前記電気部品を収容するフローティングプレートと、前記ソケット本体に設けられ、前記電気部品端子の下面に接触して電気的に接続される第1コンタクトピンと、前記ソケット本体に開閉自在に取り付けられ、閉時に、前記収容された電気部品を押圧すると共に、前記フローティングプレートを下方に押圧するカバー部材と、該カバー部材の閉時に、前記フローティングプレートが斜め下方に移動するように案内するガイド部材と、前記カバー部材に設けられ、該カバー部材の閉時に、前記フローティングプレートが斜め下方に移動されたときに、前記電気部品の側壁に当接して位置決めすると共に、前記電気部品端子の上面に接触して電気的に接続され、前記第1コンタクトピンと共に前記電気部品端子を挟持する第2コンタクトピンとを有する電気部品用ソケットとしたことを特徴とする。
【0013】
他の発明は、前記ガイド部材は、前記ソケット本体に設けられた板ばねであり、前記フローティングプレートの下降に伴って摺動して該フローティングプレートを斜め下方に案内するように構成されたことを特徴とする。
【0014】
他の発明は、前記カバー部材は、前記ソケット本体に開閉自在に取り付けられたカバー部材本体と、該カバー部材本体に可動するように設けられ、該カバー部材の閉時に前記電気部品を押圧する押圧部材と、該押圧部材を前記カバー部材の閉時に前記電気部品側に付勢する付勢部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電気部品の側方に突出する端子が短いようなものにあっても、フローティングプレートを斜め下方に移動させ、この動作に伴って、第2コンタクトピンをパッケージ本体の側壁に当接させて位置決めするようにしているため、第2コンタクトピンと第1コンタクトピンとで、電気部品端子を確実に挟持することができる。
【0016】
しかも、そのケルビン接触をさせるための、カバー部材に設けられた第2コンタクトピンで、電気部品の位置決めを行わせるようにしているため、部品点数の増加等を招くことなく、より効果的に位置決めを行うことができる。
【0017】
他の発明によれば、ガイド部材を板ばねとすることにより、フローティングプレート等の成形バラツキ等を吸収することができる。
【0018】
他の発明によれば、カバー部材の押圧部材は、カバー部材本体に対して、可動するように設けられているため、フローティングプレートの斜め下方への動きに追従して移動させることができることから、押圧部材で電気部品を良好に押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態に係るICソケットのカバー部材を開いた状態の平面図である。
【図2】同実施の形態に係るICソケットの断面図である。
【図3】同実施の形態に係る図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】同実施の形態に係るICソケットのソケット本体側に断面図である。
【図5】同実施の形態に係るICソケットの支持軸をねじの頭部で支持している状態を示す断面図である。
【図6】同実施の形態に係るICパッケージを示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図7】同実施の形態に係るICソケットのカバー部材を閉じて行く途中の状態を示す断面図である。
【図8】同実施の形態に係るICソケットのカバー部材を図7よりも更に閉じた状態を示す断面図である。
【図9】同実施の形態に係るICソケットのカバー部材を図8よりも更に閉じた状態を示す断面図である。
【図10】同実施の形態に係るICソケットのカバー部材を完全に閉じた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1乃至図10には、この発明の実施の形態を示す。
【0022】
まず構成を説明すると、図中符号11は、「電気部品用ソケット」としてのICソケットで、このICソケット11は、図示省略の配線基板上に配設されるようになっており、「電気部品」であるICパッケージ12等のバーンイン試験等を行うために、このICパッケージ12の端子12bとその配線基板との電気的接続を図るものである。
【0023】
このICパッケージ12は、図6に示すように、平面視で方形状のパッケージ本体12aを有し、このパッケージ本体12aの相対向する側壁から側方に複数の端子12b,12cが突出して形成されている。この端子12b,12cの突出量は、短く0.1mm程度である。
【0024】
これら一方の辺の端子12bは、計4個所、突出して形成され、又、反対側の他方の辺の端子12cは、計4個所形成されているが、図6(c)に示す底面図のように連結されている。勿論、それら端子12bの数は4つに限られるものではない。
【0025】
一方、ICソケット11は、図1,2,3,7に示すように、配線基板上に固定されるソケット本体14と、このソケット本体14に上方に付勢された状態で、斜め下方に下降可能に設けられ、ICパッケージ12を収容するフローティングプレート15と、そのソケット本体14に設けられ、ICパッケージ端子12bの下面に接触して電気的に接続される第1コンタクトピン16と、ICパッケージ端子12cの下面に接触して電気的に接続されるコンタクトピン17とを有している。
【0026】
より詳しくは、そのフローティングプレート15は、図1,3に示すように、計4個所に設けられたスプリング24で上方に付勢された状態で、斜め下方(図2中右斜め下方)に移動可能に設けられている。そして、このフローティングレート15の上面部の中央部には、図4等に示すように下方に凹み、ICパッケージ12を収容する収容凹部15aが設けられ、この収容凹部15aの側壁は斜めに傾斜して、ICパッケージ12を所定の位置に案内する案内壁15bが形成されている。
【0027】
また、この収容凹部15aには、ICパッケージ12が収容される底面部15cが形成されている。そして、この底面部15cには、図7等に示すように、開口部15dが形成され、この開口部15dを介して各コンタクトピン16,17が挿通されることにより、各端子12b,12cの下面に当接されて電気的に接続されるようになっている。さらに、この底面部15cには、この第1コンタクトピン16の上側に、図7等に示すように、後述する第2コンタクトピン30との間に介在する介在部15eが設けられ、ICパッケージ12が収容されていない状態においては、その介在部15eにより、第1コンタクトピン16と第2コンタクトピン30とが直接接触しないようになっている。
【0028】
また、第1コンタクトピン16及びコンタクトピン17は、導電性及び弾力性を有する板材から形成され、ソケット本体14に圧入される圧入部16a,17aが形成され、これら圧入部16a,17aから下方に延長されたリード部16b,17bが形成され、このリード部16b,17bが図示省略の配線基板の挿通孔に挿通されて半田付けされて固定されるようになっている。
【0029】
さらに、その圧入部16a,17aから上方には、略水平方向に延びるバネ部16c,17cが形成され、これらバネ部16c,17cの先端部からは上方に延びる端子側接触部16d,17dが形成されている。これら端子側接触部16d,17dが、ICパッケージ12の各端子12b,12cの下面に接触されて電気的に接続されるようになっている。
【0030】
一方、このICソケット11には、図1,2,3,7等に示すように、ソケット本体14に開閉自在に取り付けられ、閉時に、収容されたICパッケージ12を押圧すると共に、フローティングプレート15を下方に押圧するカバー部材19が設けられている。
【0031】
このカバー部材19は、カバー部材本体20が回動軸21を介してソケット本体14に対して回動自在に設けられると共に、このカバー部材本体20の先端部には、図1,2等に示すように、ソケット本体14の被係止部14aに係脱されるフック部材22が回動自在に設けられている。
【0032】
また、このカバー部材19には、カバー部材本体20に可動するように設けられ、カバー部材19の閉時にICパッケージ12を押圧する押圧部材23が設けられている。
【0033】
この押圧部材23には、押圧凸部23aが設けられ、カバー部材19の閉時に、その押圧凸部23aがフローティングプレート15の収容凹部15aに挿入されて、ここに収容されたICパッケージ12の上面を押圧凸部23aにより押圧するようになっている。
【0034】
この押圧部材23には、図1,2,3,5,7等に示すように、水平方向に沿う支持軸26が挿通され、この支持軸26の両端部がカバー部材本体20の矩形の挿入溝20aに挿入され、この支持軸26の両端部が、カバー部材本体20に螺合されたねじ27の頭部27aにより、図1,3,5に示すように、その矩形の挿入溝20aからの抜け出しが阻止されて、支持軸26がカバー部材本体20に支持されるようになっている。詳細には、図5に示すように、その頭部27aの端と挿入溝20aの一側壁との隙間の間隔Hが、支持軸26の半径Rより大きく直径Dより小さくなっている。その結果、図5に示すように、この支持軸26の一部26aが、頭部27aの端と挿入溝20aの一側壁と隙間から落ち込むようになっている。
【0035】
また、この支持軸26が、図3に示すように、「付勢部材」としてのスプリング28により、下方に押圧されると共に、押圧部材23の先端部側が、図2に示すように、スプリング29により、下方に押圧されている。そのスプリング28,29により、押圧部材23をカバー部材19の閉時にICパッケージ12側に付勢するようになっている。
【0036】
さらに、このカバー部材19には、図2、7に示すように、第2コンタクトピン30が支持軸26より回動軸21寄りに配設されている。この第2コンタクトピン30は、導電性及び弾力性を有する板材から形成され、固定部30aによりカバー部材本体20に取り付けられると共に、この固定部30aからバネ部30bを介して端子側接触部30cが延長して設けられ、この端子側接触部30cがICパッケージ端子12bの上面に接触されて電気的に接続され、第1コンタクトピン16の端子側接触部16dとの間で、その端子12bを挟持するようになっている。
【0037】
また、この第2コンタクトピン30には、バネ部30dを介して接触部30eが形成され、この接触部30eがソケット本体14に配設された接続部材31に離接されるようになっている。この接続部材31は、導電性及び弾力性を有する板材から構成され、第2コンタクトピン30の接触部30eに接触されて電気的に接続される接触部31aが上端部に形成されると共に、リード部31bがソケット本体14から下方に延長されて図示省略の配線基板の挿通孔に挿通されて、半田付けされるようになっている。
【0038】
なお、この接続部材31を設けずに、第2コンタクトピン30から直接配線を延長して検査装置等に接続するようにしても良い。
【0039】
さらに、このソケット本体14には、カバー部材19の閉時に、前記フローティングプレート15を斜め下方に移動させるガイド部材32が設けられている。
【0040】
このガイド部材32は、金属製の板ばねであり、図1,2,3に示すように、計4個所に設けられ、下部32aがソケット本体14に取り付けられ、上部32bが湾曲されてフローティングプレート15に摺接している。
【0041】
このガイド部材32は、上部32bが、フローティングプレート15の下降に伴って摺動して、このフローティングプレート15が斜め下方(図7中右斜め下方)に案内されるように構成されている。
【0042】
そして、カバー部材19の閉時に、フローティングプレート15が斜め下方に移動されたときに、第2コンタクトピン30の端子側接触部30cが、パッケージ本体12aの側壁に当接して位置決めすると共に、ICパッケージ端子12bの上面側に接触して電気的に接続され、第1コンタクトピン16と共にICパッケージ端子12bを挟持するように構成されている(図10参照)。
【0043】
次に、かかるICソケット11の使用方法について説明する。
【0044】
まず、図1に示すように、ICソケット11のカバー部材19を開いた状態で、ICパッケージ12をフローティングプレート15の収容凹部15aに収容する。この収容時には、ICパッケージ12は、収容凹部15aの傾斜する案内壁15bに案内されて底面部15cに収容される。この収容状態では、ICパッケージ12が収容凹部15a内において多少移動するようになっている。
【0045】
この場合には、フローティングプレート15は、スプリング24により付勢されて、最上昇位置にある。
【0046】
この状態から、カバー部材19を閉じて行くと、まず、図7に示すように、押圧凸部23aがパッケージ本体12aの上面部に当接する。この状態では、まだ、フローティングプレート15は、下方に押圧されて移動していないため、第1コンタクトピン16とコンタクトピン17の端子側接触部16d,17dの下面とは、離間した状態にある。
【0047】
この状態から、更に、カバー部材19を閉じて行くと、図8に示すように、押圧部材23により、フローティングプレート15が下方に押圧され、この下方への移動時に、ガイド部材32の上部32bがフローティングプレート15を摺動することにより、このフローティングプレート15が図8中、右斜め下方に移動させられる。
【0048】
これにより、第2コンタクトピン30の端子側接触部30cが、図8に示すように、パッケージ本体12aの側壁に当接する。
【0049】
この状態から、更に、カバー部材19を閉じて行くと、図9に示すように、押圧部材23により、フローティングプレート15が下方に押圧され、この下方への移動時に、ガイド部材32の上部32bがフローティングプレート15を摺動することにより、このフローティングプレート15が図9中、更に、右斜め下方に移動させられる。
【0050】
これにより、第2コンタクトピン30の端子側接触部30cが、図9に示すように、パッケージ本体12aの側壁に当接した状態で、その端子側接触部30cがバネ部30bの弾性力により、ICパッケージ端子12bの上面に圧接される。さらに、第2コンタクトピン30の接触部30eが下降して、この接触部30eがソケット本体14の接続部材31の接触部31aに当接する。
【0051】
この状態で、各コンタクトピン16,17の端子側接触部16d,17dは、ICパッケージ端子12b,12cの下面に接触する。
【0052】
この状態から、更に、カバー部材19を閉じて行くと、図10に示すように、押圧部材23により、フローティングプレート15が下方に押圧され、この下方への移動時に、ガイド部材32の上部32bがフローティングプレート15を摺動することにより、このフローティングプレート15が図10中、更に、右斜め下方に移動させられ、このカバー部材19が完全に閉じられる。
【0053】
これにより、第2コンタクトピン30の端子側接触部30cが、図10に示すように、パッケージ本体12aの側壁に当接した状態で、その端子側接触部30cがバネ部30bの弾性力により、ICパッケージ端子12bの上面に図9に示す状態より更に強い力で圧接される。また、第1コンタクトピン16およびコンタクトピン17の端子側接触部16d,17dは、ICパッケージ端子12bの下面に図9に状態より更に強い力で当接する。第2コンタクトピン30の接触部30eも図9に示す状態より強い力で、ソケット本体14の接続部材31の接触部31aに当接する。
【0054】
このように、ICパッケージ12の一方側の端子12bは両コンタクトピン16,30の端子側接触部16d,30cにより上下から挟持(いわゆるケルビン接触)され、又、他方側の端子12cは下面にのみコンタクトピン17の端子側接触部17dが接触される。
【0055】
この状態で、ICパッケージ2に電流を流してバーンイン試験等を行う。
【0056】
このようなものにあっては、ICパッケージ端子12bの側方への突出量が短いようなものにあっても、フローティングプレート15を斜め下方に移動させ、この動作に伴って、第2コンタクトピン30の端子側接触部30cをパッケージ本体12aの側壁に当接させて位置決めするようにしているため、第2コンタクトピン30の端子側接触部30cと第1コンタクトピン16の端子側接触部16dとで、ICパッケージ端子12bを確実に挟持することができる。
【0057】
しかも、そのケルビン接触をさせるための、カバー部材19側に設けられた第2コンタクトピン30で、ICパッケージ12の位置決めを行わせるようにしているため、部品点数の増加等を招くことなく、より効果的に位置決めを行うことができる。
【0058】
また、ガイド部材32を板ばねとして弾性変形されるようにしているため、フローティングプレート15等の成形バラツキ等を吸収することができる。
【0059】
さらに、カバー部材19の押圧部材23は、カバー部材本体20に対して、可動するように設けられているため、フローティングプレート15の斜め下方への動きに追従して移動させることができることから、押圧部材23でICパッケージ12を良好に押圧することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、「電気部品用ソケット」としてICソケット11に、この発明を適用したが、これに限らず、他の装置にも適用できることは勿論である。また、この発明の「ガイド部材」は、上記実施の形態のようにソケット本体側に設けた板ばねに限らず、フローティングプレートを斜め下方に移動させる案内するものであれば他の構造のものでも良いことは勿論である。さらに、フローティングプレートを斜め下方に移動させることができれば、上記実施の形態のように図7中右斜め下方でなくても、左斜め下方でも良いし、又、他の方向でも良い。但し、この場合でも、フローティングプレートに収容された電気部品が移動したときに、その側壁に第2コンタクトピンが当接して位置決めする必要があることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
11 ICソケット(電気部品用ソケット)
12 ICパッケージ(電気部品)
12a パッケージ本体(電気部品本体)
12b 端子
14 ソケット本体
15 フローティングプレート
15a 収容凹部
16 第1コンタクトピン
16d 端子側接触部
19 カバー部材
23 押圧部材
28 スプリング(付勢部材)
30 第2コンタクトピン
30c 端子側接触部
32 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板上に配設され、側方に複数の突出した端子を有する電気部品が収容される電気部品用ソケットであって、
前記配線基板上に配設されるソケット本体と、
該ソケット本体に上方に付勢された状態で、斜め下方に下降可能に設けられ、前記電気部品を収容するフローティングプレートと、
前記ソケット本体に設けられ、前記電気部品端子の下面に接触して電気的に接続される第1コンタクトピンと、
前記ソケット本体に開閉自在に取り付けられ、閉時に、前記収容された電気部品を押圧すると共に、前記フローティングプレートを下方に押圧するカバー部材と、
該カバー部材の閉時に、前記フローティングプレートが斜め下方に移動するように案内するガイド部材と、
前記カバー部材に設けられ、該カバー部材の閉時に、前記フローティングプレートが斜め下方に移動されたときに、前記電気部品の側壁に当接して位置決めすると共に、前記電気部品端子の上面に接触して電気的に接続され、前記第1コンタクトピンと共に前記電気部品端子を挟持する第2コンタクトピンとを有することを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記ソケット本体に設けられた板ばねであり、前記フローティングプレートの下降に伴って摺動して該フローティングプレートを斜め下方に案内するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電気部品用ソケット。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記ソケット本体に開閉自在に取り付けられたカバー部材本体と、該カバー部材本体に可動するように設けられ、該カバー部材の閉時に前記電気部品を押圧する押圧部材と、該押圧部材を前記カバー部材の閉時に前記電気部品側に付勢する付勢部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気部品用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−38537(P2012−38537A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176957(P2010−176957)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】