説明

電気集塵装置

【課題】粒子状物質を含む被浄化ガスの流路全体で、粒子状物質の補集を行って粒子状物質の補集効率を向上させるとともに、補集した粒子状物質を燃焼させることができる電気集塵装置を提供する。
【解決手段】粒子状物質を含む被浄化ガスを流すガス流路に、中心部に配置した放電電極26と、該放電電極の周囲に所定間隔を保って配置した内側電極15と、該内側電極の外側に所定距離を保って配置した誘電体23の内周面に支持された外側電極24とを有する集塵部を備え、前記放電電極26と前記誘電体23との間に直流電圧を印加し、静電流体力によって前記粒子状物質を前記外側電極24及び内側電極25に補集し、補集した粒子状物質を前記外側電極24及び前記誘電体23間に交流電圧を印加し,沿面放電によるプラズマによって燃焼させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン等の排ガス発生源から排出された排ガスや道路トンネル内に蓄積される排ガス等に含まれる微細な粒子状物質を取り除くと同時に燃焼除去を行うことのできるプラズマ電気集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気集塵装置として、例えば、浄化対象ガスが流れるガス流路に放電用の電界を形成して放電プラズマを生成し、浄化対象ガスに含まれる粒子状物質を前記放電プラズマの作用により荷電するするとともに、燃焼処理させる第1の電界形成手段と、電気的集塵機能により前記荷電された粒子状物質を補足するとともに前記放電プラズマを前記ガス流路に引き出すための電界を形成する第2の電界形成手段とを有するガス浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された従来例の具体的構成は、誘電体で形成される浄化対象ガスの流路に放電電極と集塵用対向電極とを対向配置し、放電電極と誘電体を挟んで流路の外側に放電用対向電極を配置する。そして、放電電極と放電用対向電極との間に交流電圧等の極性が変化する電圧を印加して放電電極の近傍に集中的に電界を形成し、誘電体に沿う沿面放電を発生させ、沿面放電に伴って放電プラズマを発生させる。
【0004】
一方、放電電極と集塵用対向電極との間に時間的に極性が変化しないような電圧例えば直流電圧を印加して、放電電極の近傍に発生した放電プラズマをガス流路内部に大きく引出し、浄化対象ガスに含まれる粒子状物質を荷電し、荷電した粒子状物質を放電電極近傍の誘電体に捕集させる。
一方、放電プラズマによって生じた高エネルギー電子が浄化対象ガスと衝突することにより、O、OH、O3等の酸化ラジカルが生成され、この酸化ラジカルの作用により誘電体に捕集された粒子状物質に含まれる炭素や炭化水素等の物質は逐次二酸化炭素等に変化し、燃焼処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−320895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、浄化対象ガスを通す誘電体で形成されるガス流路に放電電極と集塵用対向電極とを対向配置し、放電電極と誘電体を挟んで流路の外側に放電用対向電極を配置し、放電電極の近傍の誘電体に浄化対象ガスに含まれる粒子状物質を捕集するようにしているので、粒子状物質の捕集領域が放電電極の近傍の誘電体に限られてしまい広い補集領域を形成することができず、粒子状物質の補集効率を高めることができないとともに、粒子状物質の荷電を放電プラズマによって行うため、ガス流路を通過する浄化対象ガスに含まれる粒子状物質の全てを荷電するためには放電プラズマをガス流路全体に拡げる必要があるが、これはガス流路径が大きい場合には困難であり、補集効率には限界があるという未解決の課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、粒子状物質を含む被浄化ガスの流路全体で、低抵抗粒子状物質の補集を行って粒子状物質の静電流体場(EHD)を利用して補集効率を向上させるとともに、補集した粒子状物質を燃焼させることができるプラズマ電気集塵装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一の形態に係る電気集塵装置は、粒子状物質を含む被浄化ガスを流すガス流路に、中心部に配置した放電電極と、該放電電極の周囲に所定間隔を保って配置した内側電極と、該内側電極の外側に所定距離を保って配置した誘電体の内周面に支持された外側電極とを有する集塵部を備え、
前記放電電極と前記誘電体との間に直流電圧を印加し、静電流体力によって前記粒子状物質を前記外側電極及び内側電極に補集し、補集した粒子状物質を前記外側電極及び前記誘電体間に交流電圧を印加し,沿面放電によるプラズマによって燃焼させるようにしたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の他の形態に係る電気集塵装置は、前記内側電極及び前記外側電極は、軸方向に所定間隔を保って配設された円形リング状の帯状導体を備え、前記内側電極の帯状導体の軸方向ピッチを前記外側電極の帯状導体の軸方向ピッチに比較して大きく設定されていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電気集塵装置は、前記内側電極が円筒状のメッシュ状電極で構成され、前記外側電極が、軸方向に所定間隔を保って配設された円形リング状の帯状導体を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の他の形態に係る電気集塵装置は、前記直流電圧の印加と前記交流電圧の印加とを制御する電圧制御部を備えていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電気集塵装置は、前記電圧制御部は、前記直流電圧の印加と前記交流電圧の印加とを同時に行うように構成されていることを特徴としている。
また、本発明の他の形態に係る電気集塵装置は、前記電圧制御部は、該直流電圧の印加と前記交流電圧印加とを所定間隔で交互に行うように構成されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の一の形態に係る電気集塵装置は、粒子状物質を含む被浄化ガスを流すガス流路に、中心部に配置した放電電極と、該放電電極の周囲に所定間隔を保って配置した内側電極と、該内側電極の外側に所定距離を保って配置した誘電体の内周面に支持された外側電極とを有する集塵部を複数直列に備え、
隣接する集塵部で、一方の集塵部を前記放電電極と前記誘電体との間に直流電圧を印加し、静電流体力によって前記粒子状物質を前記外側電極及び内側電極に補集する粒子状物質補集状態とし、他方の集塵部を前記外側電極及び前記誘電体間に交流電圧を印加し,沿面放電によるプラズマによって燃焼させる粒子状物質燃焼状態とする制御形態と、該制御形態と逆の制御形態とを交互に繰り返すようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粒子状物質を含む被浄化ガスを流すガス流路の中心部に放電電極を配置し、この放電電極の周囲に筒状の内側電極を配置し、この内側電極の外周側に誘電体の内周面に支持された筒状の外側電極を配置し、前記放電電極と誘電体との間に極性が変化しない電圧を印加することにより、静電流体力を有効に利用して粒子状物質を外側電極及び内側電極に補集させ、外側電極及び前記誘電体間に極性が変化する電圧を印加することにより、沿面放電によるプラズマによって補集した粒子状物質を燃焼させるので、粒子状物質の補集領域がガス流路の全体を粒子状物質の補集領域とすることができとともに、静電流体力によって効率よく低抵抗粒子状物質を低電界領域に補集するので、再飛散を抑制し、粒子状物質の補集効率を向上させることができる。しかも、粒子状物質の補集と燃焼とを異なる電圧印加手段で行うので、粒子状物質の補集と燃焼とを同時に行ったり、交互に行ったりすることが選択可能となる。粒子状物質の補集と燃焼とを交互に行う場合には、集塵部を少なくとも2つ軸方向に連接し、一方の集塵部で粒子状物質の補集を行っているときに他方の集塵部で粒子状物質の補集を行うことにより、ガス流路を通る被浄化ガスに含まれる粒子状物質を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電気集塵装置の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の電極構造を示す斜視図である。
【図3】図1の電極構造を示す模式的拡大断面図である。
【図4】図3のA−A線上の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す電極構造の斜視図である。
【図6】第2の実施形態を示す電極構造の模式的拡大断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図8】第3の実施形態の電極構造の模式的拡大断面図である。
【図9】図8のB−B線上の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
図中、1は電気集塵装置であって、この電気集塵装置1は、例えば円筒状に形成され内部に粒子状物質を含む被浄化ガスのガス流路が形成された電気集塵装置本体2と、この電気集塵装置本体2の両端側に接続された接続端子導出部3a及び3bとを備えている。
【0015】
電気集塵装置本体2は、図2〜図4に示すように、例えばステンレス鋼で形成された円筒体21を有し、この円筒体21の両端の開放端面に外方に突出するフランジ部21a及び21bが形成されている。また、円筒体21のフランジ部21a及び21bの外側には、円筒体21の両端面を閉塞する例えばセラミックス等の絶縁材で形成された端面板22a及び22bが配置されている。これら端面板22a及び22bには中心部に被浄化ガスを挿通する挿通孔22cが形成されている。
【0016】
また、円筒体21の内周面には例えば石英などで形成された円筒状の誘電体23が配置され、この誘電体23の内周面側に円筒状に形成された外側電極24が固定配置されている。さらに、外側電極24の内周側に所定間隔(例えば5〜7mm程度)を保つように端面板22a及び22bに支持された内側電極25が外側電極24と同心的に固定配置されている。
【0017】
さらに、円筒体21の中心軸位置には断面円形の棒状の放電電極26が端面板22a及び22bに支持されて固定配置されている。この放電電極26には、図4に示すように、軸方向に所定間隔(例えば30〜40mm)を保って、外周面に多数の針状突起を形成した所定外径(例えば18mm程度)のディスク電極26aが配置されている。また、放電電極26は、端面板22a及び22bの挿通孔22cを貫通して接続端子導出部3a及び3bに突出され、図1に示すように、接続端子導出部3a側では直流電源端子3eに接続された電極棒3fによって支持され、接続端子導出部3b側では接続端子導出部3bに固定された外周面がセラミックスで覆われた支持棒3gによって支持されている。
【0018】
外側電極24は、図2及び図3に示すように、所定幅の円環状リング部24aを複数軸方向に連結部24bで連結された構成を有し、円環状リング部24aの軸方向ピッチが例えば放電電極26のディスク電極26aの軸方向ピッチの半分のピッチに設定されている。
同様に、内側電極25も、図2及び図3に示すように、所定幅の円環状リング部25aを複数軸方向に連結部25bで連結された構成を有し、円環状リング部25aの軸方向ピッチが例えば放電電極26のディスク電極26aの軸方向ピッチと等しく設定され、且つ円環状リング部25aが隣接するディスク電極26a間の中間位置となるように配置されている。
【0019】
このように、外側電極24の円環状リング部24a及び内側電極25の円環状リング部25aを配置することにより、放電電極27のディスク電極26aの外周縁に対して円環状リング部24a及び25aが略等距離となるように設定されている。
そして、図4に示すように、円筒体21と放電電極26との間に高電圧(例えば10〜15kV)の直流電圧を印加する直流電源制御部31が接続され、誘電体23を挟む外側電極24と円筒体21との間に高電圧(例えば十数kV)で高周波数(例えば10〜20kHz)の0を挟む正極側及び負極側で正弦波状となる交流電圧を印加する交流電源制御部32が接続されている。また、内側電極25は接地されている。
【0020】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、電気集塵装置本体2の内周面に形成されたガス流路に例えばディーゼルエンジン等の排ガスでなる低抵抗粒子状物質を含む被浄化ガスをガス導入口28aから導入して円筒体21の内周面を通ってガス排出口28bから排出させるものとする。
このとき、電気集塵装置本体2の中心部の放電電極26と円筒体21との間に直流電源制御部31から高電圧の直流電圧を印加すると、放電電極26のディスク電極26aと接地された外側電極24の円環状リング部24a及び接地状態の内側電極25の円環状リング部25aとの間の電界が零となる領域に向かう静電流体力(イオン風)を発生することができる。この静電流体力によって粒子状物質を外側電極24及び内側電極25に補集させる。
【0021】
一方、誘電体23を挟んで対向する外側電極24及び円筒体21間に高電圧且つ高周波数の交流電圧が交流電圧制御部32によって印加されるので、この交流電圧によって、外側電極24の周囲の誘電体に沿面放電が発生し、この沿面放電によって放電プラズマが外側電極24及び内側電極25を含む領域に発生し、この放電プラズマによって外側電極及び内側電極25を含む領域に常温以上のオゾンO3を発生させ、このオゾンO3によって粒子状物質を常温においても燃焼させることができる。
【0022】
従来の煤C燃焼技術は、燃料を用いて600℃以上で燃焼除去する方法、触媒を用いて300℃で燃焼させる方法があるが、オゾンを用いると常温以上でも効率よく燃焼できることが分かっており、時に低温排ガスへの応用にはオゾン燃焼が有効である。また、ディーゼルエンジン排ガスにはSOF分(Soluble Organic Fraction 揮発性有機成分)が多く含まれ、低温運転することによりSOF分も個体となり、気体では除去できない電気集塵装置においても除去することができ、排ガスのさらなる浄化が可能となる。気体SOF分はプラズマにおいても除去できるが、沿面放電によるプラズマ発生の負荷を低減できることから、SOF分固体化による除去が好ましい。
【0023】
また、ディーゼルエンジンの排気ガスでは、主成分がNO(90%程度)であり、このNOが酸素O又はオゾンO3によって酸化(燃焼)されて二酸化窒素となる。このNOの酸化によるNO2の生成によって排ガス温度250℃以上で燃焼させることができる。
この粒子状物質の燃焼プロセスは、
NO+O(O3)→NO2+O2(Tg>20℃)
C+2NO2→CO2+2 NO(Tg>250℃)
C+O3→CO2+1/2O2(Tg>20℃)
となる。ここで、Tgは排ガス温度である。
【0024】
排ガスに含まれる微粒子の99%を示す低抵抗(<103ohm−cm)の煤であるCは、二酸化窒素と反応して二酸化炭素CO2とNOとが生成される。このNOは上記と同様に酸素O又はオゾンO3と反応してNO2とO2とが生成される。
煤であるCはオゾンO3と反応して二酸化炭素CO2と酸素O2とが生成される。また、排ガスに存在するSOF分(Organic Soluble Fraction, 揮発性有機成分)もオゾンにより除去できる。
そして、CとオゾンO3との反応は1対1であるので、排ガス中に含まれる煤Cが多くなればプラズマ性能(オゾン濃度)や燃焼時間を調整させることにより、煤C全てを運転条件に合わせ燃焼させることができる。
【0025】
このとき、交流電源制御部32から供給される高電圧且つ高周波数の交流電圧が印加されていることから、補集した粒子状物質に誘導荷電(インダクションチャージ)による粒子剥離力が作用することになり粒子再飛散現象を生じることになるが、その前に粒子状物質は放電プラズマによって燃焼されるので、問題は生じない。
また、放電電極26を中心とした同軸上に内側電極25及び外側電極24を配置したので、円周方向の全面で粒子状物質を補集することができ、大きな補集面積を確保することができるので、粒子状物質の補集効率を向上させることができる。
【0026】
なお、上記第1の実施形態においては、交流電圧制御部32で発生する交流電圧が正極側及び負極側で正弦波となる交流電圧とした場合について説明したが、これに限定されるものではなくパルス状成分を含む波形でもよく、直流電源制御部31で負極側の直流電圧を出力する場合に、交流電源制御部32によって正極側で振動する正弦波状の交流電圧を出力するようにしてもよく、この場合には、静電流体力効果を増大させて粒子状物質の内側電極25及び外側電極24への移動速度を促進させることができる。ただし、電極間24と25の電界強度は零とならず、誘導荷電による粒子剥離力は電界強度と粒子径の二乗に比例するので、粒子剥離力が発生する可能性があり、状況により粒子状物質の補集と同時に燃焼させる必要がある。
【0027】
次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態における集塵部を2組軸方向に連接させたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図5に示すように、集塵部として2台の電気集塵装置1A及び1Bを軸方向に直列に配置した構成を有する。このため、各電気集塵装置1A及び1Bの構成は図1と同様の構成を有し、図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0028】
ここで、各電気集塵装置1A及び1Bでは、直流電源制御部31については前述した第1の実施形態と同様であるが、交流電源制御部32については、図6に示すように、構成されている。すなわち、円筒体21が2つの電磁遮断器41及び42の一方の端子にそれぞれ接続され、電磁遮断器41の他方の端子が接地され、電磁遮断器42の他方の端子が交流電源制御部32の一方の端子に接続されている。また、外側電極24も同様に、2つの電磁遮断器43及び44の一方の端子にそれぞれ接続され、電磁遮断器43の他方の端子が接地され、電磁遮断器44の他方の端子が交流電源制御部32の他方の端子に接続されている。そして、電磁接触器41、42及び43、44が切換制御回路45によってオン・オフ制御される。さらに、内側電極25が接地されている。
【0029】
この第2の実施形態では、2台の電気集塵装置1A及び1Bを、一方の電気集塵装置1A(又は1B)が切換制御回路45によって電磁接触器41及び43をオン状態とし、電磁接触器42及び44をオフ状態とすることにより、放電電極26及び円筒体21との間に高電圧の直流電圧を印加して静電流体力によって外側電極24及び内側電極25に粒子状物質を補集させる粒子状物質補集状態に制御しているときに、他方の電気集塵装置1B(又は1A)を切換制御回路45によって電磁接触器41及び43をオフ状態とし、電磁接触器42及び44をオン状態とすることにより、外側電極24及び円筒体21間に高電圧且つ高周波数の交流電圧を印加して外側電極24及び内側電極25で補集した粒子状物質を放電プラズマで燃焼させる粒子状物質燃焼状態に制御する。
【0030】
そして、所定時間が経過した後に、切換制御回路46を切り換えて、電気集塵装置1B(又は1A)を粒子状物質燃焼状態に制御し、電気集塵装置1A(又は1B)を粒子状物質補集状態に制御する。
このように、電気集塵装置1A及び1Bを粒子状物質補集状態及び粒子状物質燃焼状態に交互に制御することにより、電気集塵装置1A及び1Bを通過する被浄化ガスは、粒子状物質補集状態に制御されている電気集塵機1A(又は1B)の外側電極24及び内側電極25に補集されることになる。
【0031】
この場合には、電気集塵装置1A及び1Bのそれぞれで粒子状物質補集状態と粒子状物質燃焼状態とが繰り返されるので、粒子状物質燃焼状態となる直前まで粒子状物質補集状態が継続されることにより、誘導荷電(インダクションチャージ)による粒子剥離力を抑制することができ、粒子状物質を確実に補集した状態で粒子状物質燃焼状態に移行することから、粒子状物質の燃焼を確実に行うことができる。
【0032】
また、電気集塵装置1A及び1Bのそれぞれについて、粒子状物質補集状態で、外側電極24及び内側電極25が接地されることにより、両電極24及び25間の電界を小さくすることができ、粒子状物質補集状態での粒子状物質の補集を誘導荷電(インダクションチャージ)による粒子剥離力を抑制することができ、粒子状物質の補集を確実に行うことができる。
なお、上記第2の実施形態においては、電気集塵装置を2台直列に接続した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、3台以上の電気集塵装置を直列に接続するようにしてもよい。
【0033】
次に、本発明の第3の実施形態を図7〜図9について説明する。
この第3の実施形態では、前述した第2の実施形態における内側電極をメッシュ電極に変更したものである。
すなわち、第3の実施形態では、電気集塵装置1A,1Bの内側電極25を、図7及び図8に示すように、比較的粗いメッシュ状の円筒形に形成し、放電電極26のディスク電極26aを省略して細い放電線としたことを除いては前述した第2の実施形態と同様の構成を有する。
【0034】
この第3の実施形態では、内側電極25をメッシュ状に形成することにより、静電流体力(イオン風)を有効利用することができ、集塵効果をより向上させることができるとともに、外側電極24及び内側電極25を接地して電界を零とする領域への補集により再飛散現象を抑制することができる。
また、放電電極26がディスク電極26aを省略して単純な放電線に形成されているので、ガス流路を流れる被浄化ガスがディスク電極26aで乱流となることを抑止し、安定した集塵効果を発揮することができる。
【0035】
なお、上記第1〜第3の実施形態においては、放電電極26がディスク電極26aを有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ディスク電極26aを外周部の針状突起を省略して円板状電極としたり、スキャロップ形式としたりすることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、外側電極24を円環状リング部24aと連接部24bとで構成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、円環状リング部24aに代えて螺旋状リング部を適用することもできる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、外側電極24が誘電体23の内周面に形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、誘電体23の内部に外側電極24を形成するようにしてもよい。
【0036】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、直流電源制御部31から直流電圧を出力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、パルスや矩形波形を持つ高電圧とすることもでき、要は極性が変化しない電圧であれば任意の電圧を適用することができる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、交流電源制御部32から交流電圧を出力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、パルス状電圧を適用することができる(0を挟まない正、負だけに変化する交流電圧もありうる)。要は極性が変化する電圧であれば任意の電圧を適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1,1A,1B…電気集塵装置、2…電気集塵装置本体、3a,3b…接続端子導出部、21…円筒体、22a,22b…端面板、23…誘電体、24…外側電極、24a…円環状リング部、24b…連結部、25…内側電極、25a…円形リング部、25b…連結部、26…放電電極、26a…ディスク電極、31…直流電源制御部、32…交流電源制御部、41〜44…電磁接触器、45…切換制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状物質を含む被浄化ガスを流すガス流路に、中心部に配置した放電電極と、該放電電極の周囲に所定間隔を保って配置した内側電極と、該内側電極の外側に所定距離を保って配置した誘電体の内周面に支持された外側電極とを有する集塵部を備え、
前記放電電極と前記誘電体との間に直流電圧を印加し、静電流体力によって前記粒子状物質を前記外側電極及び内側電極に補集し、補集した粒子状物質を前記外側電極及び前記誘電体間に交流電圧を印加し,沿面放電によるプラズマによって燃焼させるようにしたことを特徴とする電気集塵装置。
【請求項2】
前記内側電極及び前記外側電極は、軸方向に所定間隔を保って配設された円形リング状の帯状導体を備え、前記内側電極の帯状導体の軸方向ピッチを前記外側電極の帯状導体の軸方向ピッチに比較して大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電気集塵装置。
【請求項3】
前記内側電極が円筒状のメッシュ状電極で構成され、前記外側電極が、軸方向に所定間隔を保って配設された円形リング状の帯状導体を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気集塵装置。
【請求項4】
前記直流電圧の印加と前記交流電圧の印加とを制御する電圧制御部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電気集塵装置。
【請求項5】
前記電圧制御部は、前記直流電圧の印加と前記交流電圧の印加とを同時に行うように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電気集塵装置。
【請求項6】
前記電圧制御部は、該直流電圧の印加と前記交流電圧印加とを所定間隔で交互に行うように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電気集塵装置。
【請求項7】
粒子状物質を含む被浄化ガスを流すガス流路に、中心部に配置した放電電極と、該放電電極の周囲に所定間隔を保って配置した内側電極と、該内側電極の外側に所定距離を保って配置した誘電体の内周面に支持された外側電極とを有する集塵部を複数直列に備え、
隣接する集塵部で、一方の集塵部を前記放電電極と前記誘電体との間に直流電圧を印加し、静電流体力によって前記粒子状物質を前記外側電極及び内側電極に補集する粒子状物質補集状態とし、他方の集塵部を前記外側電極及び前記誘電体間に交流電圧を印加し,沿面放電によるプラズマによって燃焼させる粒子状物質燃焼状態とする制御形態と、該制御形態と逆の制御形態とを交互に繰り返すようにしたことを特徴とする電気集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−170869(P2012−170869A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34420(P2011−34420)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【出願人】(508278893)
【Fターム(参考)】