説明

電池と車両両の車載電力系統との切断および接続を行なうための装置の動作を診断する方法

本発明は、バイポーラ式の高電圧電池(12)と、車両両のバイポーラ式の車載電力系統(14)との切断および接続を行なうための装置(10)の作動状態を診断する方法に関する。前記装置(10)は、電池(12)の第1の端子(18)と電力系統(14)の第1の端子(20)との間に配置された第1の電力リレー(16)と、電池(12)の第2の端子(24)と電力系統(14)の第2の端子(26)との間に配置された第2の電力リレー(22)と、第1の電力リレー(16)と並列に接続される第3のプレチャージリレー(28)とプレチャージ抵抗器(30)との直列配置(28、30)とを含み、この方法は、切断/接続装置(10)における2つの電圧(V、V)を測定することと、測定された電圧(V、V)を、切断/接続装置(10)の故障を表す電圧の所定の値と比較することと、比較の結果に基づいてリレー(16、22、28)の故障を診断することとを含む。本発明によれば、測定される電圧は、電池(12)の第1の端子(18)と車載電力系統(14)側に配置された第2のリレー(22)との間の第1の電圧(V)と、車載電力系統(14)の第1の端子(20)と第2の端子(26)との間の第2の電圧(V)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両両の車載電力系統の供給の分野と、蓄電池とに関し、具体的には、車載電力系統と電池とのバイポーラ切断およびバイポーラ接続を行うリレーの作動状態の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両両またはハイブリッド車両両では、蓄電池は、車両の車載高電圧電力系統、すなわち電池で駆動される電力消費部品のすべてに、通常60V超の高電圧を供給する。電池によって供給される高電圧により、たとえば車両が駐車モードに切り替わる際の電池の切断は、バイポーラである必要がある、つまり、車載電力系統から電池の2つの端子を切断する必要がある。このような電池のバイポーラ切断によって、
・車載電力系統の部品を破損する可能性がある、または、車両のユーザーの安全に弊害を及ぼす可能性がある技術的な故障の場合に、高電圧電力系統を電池から自動的に隔離することと、
・駐車モードにおける、漏洩電流による電池の放電を回避することと、
・車載電力系統への高電圧の印加の継続時間を、電池の実使用可能期間のみに制限し、これにより、車載電力系統の部品の耐用年数を改善して、この切断を行う部品の単純な故障の場合も含め、高電圧および関連する電力需要の影響下に部品が置かれる時間を可能な限り短くすることと、
が可能となる。
【0003】
電池のバイポーラ切断は、切断を行う部品と車載電力系統の部品とを保護するために、特に接続と切断の遷移相に関しては、電気的制約をより良く満たす必要がある。具体的には、
・電流は、車載電力系統と電池との切断および接続の間は、車載電力系統の部品、たとえばキャパシタと、切断/接続部品自体とにストレスをかけないように、制限する必要があり、
・切断/接続部品、通常は電力リレーの作動状態を診断して、これにより、車載電力系統への故障の伝播を完全に回避する必要があり、
・切断/接続部品、通常は電力リレーの動作回数は、特にリレー接点の耐用年数を最適化するために、最小限にする必要があり、
・ゼロ電流の高電圧電池の電圧計測を可能にして、特に、電気車両またはハイブリッド車両の管理に必要な電池の充電状態の推測を行う必要がある。
【0004】
図1は、高電圧蓄電池12と車載高電圧電力系統14との間を切断したり、接続したりするための従来技術装置10の概略図であり、上に示した状態を満たすことを目的として設計されている。
【0005】
切断/接続装置10は、
・電池12の第1の端子18と、電力系統14の第1の端子20との間を接続する第1の電力リレー16と、
・電池の第2の端子24と、電力系統の第2の端子26との間を接続する第2の電力リレー22と、
・電池の第1の端子18と電力系統の第1の端子20との間で直列接続されている第3のリレー28および抵抗器30を含むプレチャージ線と、
・以下で説明するように、所定の手順に従ったリレー16、22、28の開閉を命令する制御モジュール32と、
を含む。
【0006】
図2は、制御モジュール32によって実現される、リレー16、22、28の開閉手順を示す流れ図であり、これによって、車両を駐車モード(電池12が車載電力系統14から切断される場合)から走行モード(電池12が車載電力系統14に接続される場合)に切り替えることができる。
【0007】
3つのリレー16、22、28が開いている駐車モード40から、第1のリレー16および第2のリレー22が閉じて、第3のリレー28が開く走行モード42に切り替えるためには、モジュール32が、まず、第3のリレー28を閉じるための命令を44で生成し、次いで第2のリレー22を閉じるよう46で命令する。次に、車載電力系統14のプレローディングを行うために、タイマが48で起動する。
【0008】
車載電力系統はプレローディングされると、モジュール32は50で第1のリレー16に閉じるよう命令し、次に、52でタイマが起動して車載電力系統14に電流が安定するまで待つ。このタイマは、第1のリレー16のバウンスの継続時間に比して著しく長い。車載電力系統で電流が安定すると、モジュール32は54で第3のリレー28を開けるための命令を生成し、次に、車両は走行モード42となる。
【0009】
走行モード42から駐車モード40に切り替えるためには、最初に、モジュール32は、第1のリレー16を開くための命令を56で送信し、次に、第2のリレー22を開けるための命令を58で送信する。
【0010】
一動作モードから別の動作モードに切り替えるための、上に記載した手順は、リレーの開閉動作の回数を最小限に抑えるものである。したがって、これらの手順は、実際、リレー16、22、28を保護するのに好適であって、耐用年数を最適化する。
【0011】
図1を再度参照すると、従来は、たとえばリレーが開閉状態のいずれかに固着した状態になるといった切断/接続装置10の故障を診断するために、第1の電圧計60(図1)を電池12の端子18と24との間に設置し、第2の電圧計62を車載電力系統14の端子20と26との間に設置し、電圧計60、62をたとえば制御モジュール32に接続し、この制御モジュール32が、電圧計によって測定される電圧に基づいて診断手順を実行するする。
【0012】
測定電圧の処理は、いくつかの特定の故障を効果的に診断すること、たとえば、第1のリレー16を開けるための命令(電池の切断のための手順におけるステップ56)の後に、第1の電圧計60および第2の電圧計62による測定電圧が、電池12の端子間の電圧(車両が駐車モードである場合に、第1の電圧計60によって測定される)と等しい場合には、第1のリレー16が閉状態に固着していると診断することなどが可能であるが、他の故障を同時的に診断することはできない。具体的には、第2のリレー22が閉状態に固着している場合、この故障は車両が駐車モードから起動モードに切り替わる時にしか診断することができない。実際、この故障が検出される前には、電池12のバイポーラ切断を長時間(駐車モードに費やされる時間)行うことが出来ず、上に記載した理由により電池12と車載電力系統14とを破損しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、切断/接続装置のリレーの作動状態を診断するための方法を提供し、リレーの開閉手順を変更せずに、最小限の測定で、電池のバイポーラ切断に影響を及ぼす故障を判断することを可能にすることによって、上記の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明の一主題は、車両両のバイポーラ式の電力系統とバイポーラ式の高電圧蓄電池との切断/接続装置の作動状態を診断するための方法であって、この装置は、電池の第1の端子と電力系統の第1の端子との間に設置される第1の電力リレーと、電池の第2の端子と電力系統の第2の端子との間に設置される第2の電力リレーと、第1の電力リレーと並列に接続される第3のプレチャージリレーとプレチャージ抵抗器との直列接続とを含み、この方法は、
・切断/接続装置における2つの電圧の測定と、
・測定電圧と、切断/接続装置の故障を表す電圧の所定の値との比較と、
・比較の結果に基づくリレーの故障の診断と、
を含む。
【0015】
本発明によれば、測定電圧は、電池の第1の端子と、車載電力系統側に設置される第2のリレーの端子との間の第1の電圧と、車載電力系統の第1の端子と第2の端子との間の第2の電圧である。
【0016】
言い換えれば、これらの電圧は共に、車両を駐車モードに切り替えることなく電池のバイポーラ切断に影響を及ぼす故障を診断するために必要となる情報を含む。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、この方法は以下に記載する特徴の1または複数を含む。
【0018】
運転者による車両の使用中、
・車載電力系統への電池の接続は、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開くことからなり、
・車載電力系統からの電池の切断は、連続して、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、
第1のリレーを開くための命令の後に、第1の測定電圧および第2の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しい場合は、第1のリレーは継続的に閉状態であると診断される。
【0019】
運転者による車両の使用中、
・車載電力系統への電池の接続は、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開くことからなり、
・車載電力系統からの電池の切断は、連続して、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、
第2のリレーを開くための命令の後に、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が実質的にゼロである場合は、第2のリレーは継続的に閉状態であると診断される。
【0020】
運転者による車両の使用中、
・車載電力系統への電池の接続は、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開くことからなり、
・車載電力系統からの電池の切断は、連続して、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、
第1のリレーを開くための命令の後に、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が正かつ電池の開回路電圧未満の場合は、第3のリレーは継続的に閉状態であると診断される。
【0021】
運転者による車両の使用中、
・車載電力系統への電池の接続は、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開くことからなり、
・車載電力系統からの電池の切断は、連続して、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、
第3のリレーを開くための命令の後に、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が低下する場合は、第1のリレーは継続的に開状態であると診断される。
【0022】
運転者による車両の使用中、
・車載電力系統への電池の接続は、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開くことからなり、
・車載電力系統からの電池の切断は、連続して、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、
第2のリレーを開くための命令の後に、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が実質的にゼロである場合は、第3のリレーは継続的に開状態であると診断される。
【0023】
運転者による車両の使用中、
・車載電力系統への電池の接続は、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開くことからなり、
・車載電力系統からの電池の切断は、連続して、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、
第2のリレーを閉じるための命令の後に、第1の測定電圧および第2の測定電圧が実質的にゼロである場合は、第2のリレーは継続的に開状態であると診断されるか、または、電池の端子が開回路と診断される。
【0024】
車両の保守手順は、第1、第2および第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開き、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、駐車モードにおいて、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が実質的にゼロである場合は、第2のリレーは継続的に閉状態であると診断される。
【0025】
車両の保守手順は、第1、第2および第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開き、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、第2のリレーを閉じるための命令の後に、第1の測定電圧および第2の測定電圧が実質的にゼロである場合は、第2のリレーは継続的に開状態であると診断されるか、または、電池の端子は開回路と診断される。
【0026】
この方法は、電池の端子または第2のリレーの端子どちらが開回路かを知るために、第2のリレーの端子間の電圧を測定することをさらに含む。
【0027】
車両の保守手順は、第1、第2および第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開き、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、第2のリレーを閉じるための命令の後に、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が電池の開回路電圧まで増大する場合は、第3のリレーは継続的に閉状態であると診断され、
【0028】
車両の保守手順は、第1、第2および第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開き、第1のリレーを開くことからなり、第3のリレーを閉じるための命令の後に、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が実質的にゼロである場合は、第3のリレーは継続的に開状態であると診断され、
【0029】
車両の保守手順は、第1、第2および第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、第2のリレーを閉じ、第3のリレーを閉じ、第1のリレーを閉じ、第3のリレーを開き、第1のリレーを開き、第2のリレーを開くことからなり、第3のリレーを開くための命令の後に、第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、第2の測定電圧が低下する場合は、第1のリレーは継続的に開状態であると診断される。
【0030】
本発明は、単なる例として、および、添付図面に関して提示される以下の記載を参照することによってさらによく理解され、同一の符号は同一または類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】電池を車両両の車載電力系統から切り離したり、この系統に接続したりするための、本明細書の背景技術に記載されている従来技術の装置の概略図である。
【図2】本明細書の背景技術に記載されている図1の装置の開閉手順の流れ図である。
【図3】本発明による電圧測定を示す概略図である。
【図4】本発明によって図3に示す電圧測定に応じて故障を診断するための表を伴った、リレーの開閉手順に関する流れ図である。
【図5】本発明によって図3に示す電圧測定に応じて故障を診断するための表を伴った、車両両のための保守開閉手順に関する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図3は、本発明に従って実施される電圧測定を示し、電池12と車載電力系統14との切断および接続を行なうための装置10は図1の装置と同一である。
【0033】
本発明によれば、第1の電圧測定は、電池12の第1の端子18と、車載電力系統の第2の端子26との間、言い換えれば、電池の第1の端子18と、車載電力系統14側に設置されている第2のリレー22の端子72との間の電圧計70によって行われる。さらに、第2の電圧測定は、車載電力系統の端子20と26との間の電圧計62によって行われる。最後に、任意に、第3の電圧測定は、第2のリレー22の端子間の電圧計74によって行われる。
【0034】
図4は、制御モジュール32によって実行され、車両を駐車モードから走行モードへ切り替えることを可能にする、リレー16、22、28の開閉手順を示す流れ図である。本発明によれば、この開閉手順は、図2に関して説明した開閉手順とは、第2のリレー22を閉じる44の命令と第3のリレー28を閉じる46の命令が逆になる点で異なる。さらに、電池12の開回路電圧V、言い換えれば、駐車モードの場合に、端子が開回路の場合の電池の端子18と24との間の電圧の測定のためのステップ80は、走行モードに遷移するためにリレーを閉じるための手順より前に実施される。
【0035】
図4は、制御モジュール32の各開閉命令後に、リレー16、22、28に故障がある場合、つまり、第1のリレー16が開位置に固着しているか、第2のリレー22が開位置に固着しているか、第3のリレー28が開位置に固着しているか、第1のリレー16が閉位置に固着しているか、第2のリレー22が閉位置に固着しているか、第3のリレー28が閉位置に固着している場合における、第1の電圧計70によって測定された電圧Vと、第2の電圧計62によって測定された電圧Vとによる値も示す。記号「↑」は電圧の増大を表し、記号「↓」は電圧の減少を表す。したがって、たとえば、表現「V↓V」は、電圧Vが値Vまで減少することを意味する。さらに、リレーの開閉が同じ状態であっても、電圧VおよびVは、さまざまな値を取る場合もあり、たとえばブロック90および91などの上下に配置される2つのブロックによって表される。
【0036】
測定電圧VおよびVを用い、これらの電圧を切断/接続装置のリレー16、22、28の所定の故障を表す値と比較して、制御モジュール32は故障を診断する。
【0037】
具体的には、
・46での第2のリレー22を閉じるための命令に続いて、電圧VおよびVが実質的にゼロである場合(ブロック90)、モジュール32は、第2のリレー22が開状態に固着していると診断するか、または、電池12の端子が開回路であると診断し、
・44での第3のリレー28を閉じるための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが実質的にゼロである場合(ブロック92)、モジュール32は、第3のリレー28が開状態に固着していると診断し、
・54での第3のリレー28を開くための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが低下する場合(ブロック94)、モジュール32は、第3のリレー28が開状態に固着していると診断し、
・56での第1のリレー16を開くための命令に続いて、電圧VおよびVが電圧Vと実質的に等しい場合(ブロック96)、モジュール32は、第1のリレー16が閉状態に固着していると診断し、
・56での第1のリレー16を開くための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが0〜Vである場合(ブロック98)、モジュール32は、第3のリレー28が閉状態に固着していると診断し、
・58での第2のリレー22を開くための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが実質的にゼロである場合(ブロック100)、モジュール32は、第2のリレー22が閉状態に固着していると診断する。
【0038】
図に示すように、リレーの故障は、車両が駐車モードに切り替わる前に、極めて早い時点で検出される。このように、たとえば車両を駐車モードに設定する開始手順中に、電圧VおよびVが実質的に等しい場合は、第1のリレー16は閉状態には固着されており、電圧VがVより小さい場合は、第3のリレー28は閉状態に固着されている。
【0039】
第2のリレー22が開状態であるのか、または、電池12の端子が開回路かを区別する必要がある場合(ブロック90)には、第3の電圧計74による電圧測定によってこの不確実性を取り除くことができる。
【0040】
さらに、故障の正確な原因がどのように特定されたかに関わらず、切断/接続装置10で故障が発生したことをさらに早い時点で判断することができる。
【0041】
具体的には、以下に示す場合に、この段階では電池および車載電力系統の部品の動作に対していかなる機能的な、つまり重大な影響を及ぼすことのない、モジュール10の故障が診断される。
・46での第2のリレー22を閉じるための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが実質的にゼロである場合(ブロック102)。
・44での第3のリレー28を閉じるための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが電圧Vまで増大する場合(ブロック104)。
・54での第3のリレー28を開くための命令に続いて、電圧Vおよび電圧Vが電圧Vと実質的に等しい場合(ブロック106)。
・56での第1のリレー16を開くための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが低下する場合(ブロック108)。
・56での第2のリレー22を開くための命令に続いて、電圧Vおよび電圧Vが実質的にゼロである場合(ブロック110)。
【0042】
切断/接続装置10の故障が診断された場合、車両の運転者は、たとえば車両のダッシュボードの表示灯の照明により故障の警告を受け、修理または交換を行うように促される。
【0043】
修理時には、運転者による車両の使用中に検出されたリレーの故障を再現し、この診断を確認し、修理が完了した後に故障が修復されたことを検査するために、「保守手順」と呼ばれるリレー16、22、28の開閉手順を実行することができる。
【0044】
このような保守手順は、リレー16、22、28の故障中に測定電圧VおよびVがとる値と関連して図5に示す。
【0045】
駐車モード40から開始して、120で第2のリレー22を閉じるための命令が、続いて122で第3のリレー28を閉じるための命令が生成される。124でプレローディングタイマが実行されると、保守手順は、126で第1のリレー126を閉じるための命令によって継続し、128で電気出力にスイッチが入り、電池12は、車両の電気牽引システムを動作させるために車載電力系統14に接続される。130で第3のリレー28を開くための命令が生成され、続いて132で第1のリレー16を開くための命令が生成され、134で第2のリレーを開くための命令が生成される。その後、車両は駐車モード40に戻る。
【0046】
制御モジュール32は以下に示す診断手順を実行する。
・駐車モード40で、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが実質的にゼロである場合(ブロック136)、モジュール32は、第3のリレー28が閉状態に固着していると診断する。
・120での第2のリレー22を閉じるための命令に続いて、電圧VおよびVが実質的にゼロである場合(ブロック138)、モジュール32は、第2のリレー22が開状態に固着していると診断するか、または、電池12の端子が開回路と診断し、故障の不確実性は電圧計74で第2のリレー22の端子間の電圧測定を任意に利用することによって取り除かれる。
・120での第2のリレー22を閉じるための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが電圧Vまで増大する場合(ブロック140)、モジュール32は、第3のリレー28が開状態に固着していると診断する。
・122での第3のリレー28を閉じるための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが実質的にゼロである場合(ブロック142)、モジュール32は、第3のリレー28が開状態に固着していると診断する。
・130での第3のリレー28を開くための命令に続いて、電圧Vが電圧Vと実質的に等しく、かつ、電圧Vが低下する場合(ブロック144)、モジュール32は、第1のリレー16が開状態に固着していると診断する。
【0047】
さらに、図4に関して記載したように、たとえば運転者による車両の使用中に、第1のリレー16が閉状態であると診断された場合、ステップ120〜134で構成される保守手順は禁止されるのが好ましい。これは、このような手順は、第1のリレー16が閉状態で固着していると、車載電力系統14の急速な充電を引き起こす可能性があり、車載電力系統14の他のリレーおよび部品を破損する危険性があることによる。同じ理由で、第2のリレー22が閉状態で固着している場合、ステップ126〜134で構成される手順は禁止される。
【0048】
禁止状態は、たとえば制御モジュール32によって管理され、この制御モジュールは、メモリに診断した故障を保存し、デフォルトでさまざまな部品やリレーに危険性のある手順を禁止する。
【0049】
本発明によれば、このようにして切断/接続装置の動作の診断方法が得られ、特に車両が駐車モードに切り替わる前に、極めて早い時点でこの装置を形成するリレーの故障を検出することが可能となる。さらに、この診断方法は、リレーの開閉のためのステップを追加しないため、リレーの耐用年数は維持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラ式の高電圧蓄電池(12)と車両両の電力系統(14)との切断および接続を行なう装置(10)の作動状態を診断する方法であって、前記装置(10)は、前記電池(12)の第1の端子(18)と前記電力系統(14)の第1の端子(20)との間に設置される第1の電力リレー(16)と、前記電池(12)の第2の端子(24)と前記電力系統(14)の第2の端子(26)との間に設置される第2の電力リレー(22)と、前記第1のリレー(16)と並列に接続される第3のプレチャージリレー(28)とプレチャージ抵抗器(30)との直列接続(28、30)とを含み、前記方法は、
前記切断/接続装置(10)における2つの電圧(V、V)を測定することと、
前記測定された電圧(V、V)を、前記切断/接続装置(10)の故障を表す電圧の所定の値と比較することと、
前記比較の結果に基づいてリレー(16、22、28)の故障を診断することと
を含み、
前記測定電圧が、前記電池(12)の前記第1の端子(18)と、前記車載電力系統側(14)に設置される前記第2のリレー(22)の前記端子との間の第1の電圧(V)および、前記車載電力系統(14)の前記第1の端子(20)と前記第2の端子(26)との間の第2の電圧(V)であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
運転者による前記車両の使用中に、
・前記電池の前記車載電力系統への接続が、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開くことからなり、
・前記電池の前記車載電力系統からの切断が、連続して、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、
前記第1のリレーを開くための命令の後に、前記第1の測定電圧および前記第2の測定電圧が、前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しい場合に、前記第1のリレーが継続的に閉状態であると診断することと
を特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
運転者による車両の使用中に、
・前記電池の前記車載電力系統への接続が、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開くことからなり、
・前記電池の前記車載電力系統からの切断が、連続して、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、
前記第2のリレーを開くための命令の後に、前記第1の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が実質的にゼロである場合に、前記第2のリレーが継続的に閉状態であると診断することと
を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
運転者による車両の使用中に、
・前記電池の前記車載電力系統への接続が、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開くことからなり、
・前記電池の前記車載電力系統からの切断が、連続して、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、
前記第1のリレーを開くための命令の後に、前記第1の測定電圧が電池の開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が正かつ前記電池の前記開回路電圧未満の場合に、第3のリレーが継続的に閉状態であると診断することと
を特徴とする、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
運転者による車両の使用中に、
・前記電池の前記車載電力系統への接続が、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開くことからなり、
・前記電池の前記車載電力系統からの切断が、連続して、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、
前記第3のリレーを開くための命令の後に、前記第1の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が低下する場合に、前記第1のリレーが継続的に開状態であると診断することと
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
運転者による車両の使用中に、
・前記電池の前記車載電力系統への接続が、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開くことからなり、
・前記電池の前記車載電力系統からの切断が、連続して、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、
前記第2のリレーを閉じるための命令の後に、前記第1の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が実質的にゼロである場合に、第3のリレーが継続的に開状態であると診断することと
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
運転者による車両の使用中に、
・前記電池の前記車載電力系統への接続が、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開くことからなり、
・前記電池の前記車載電力系統からの切断が、連続して、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、
前記第2のリレーを閉じるための命令の後に、前記第1の測定電圧および前記第2の測定電圧が実質的にゼロである場合に、前記第2のリレーが継続的に開状態であると診断するか、または、前記電池の前記端子が開回路であると診断することと
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記車両の保守手順が、前記第1、前記第2および前記第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開き、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、駐車モードで、前記第1の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が実質的にゼロである場合に、前記第2のリレーが継続的に閉状態であると診断することとを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記車両の保守手順が、前記第1、前記第2および前記第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開き、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、前記第2のリレーを閉じるための命令の後に、前記第1の測定電圧および前記第2の測定電圧が実質的にゼロである場合に、前記第2のリレーが継続的に開状態であると診断するか、または、前記電池の前記端子が開回路であると診断することとを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記電池の前記端子または前記第2のリレーの前記端子のどちらが開回路かを知るために、前記第2のリレーの端子間の電圧を測定することをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記車両の保守手順が、前記第1、前記第2および前記第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開き、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、前記第2のリレーを閉じるための命令の後に、前記第1の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧まで増大する場合に、前記第3のリレーが継続的に閉状態であると診断することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記車両の保守手順が、前記第1、前記第2および前記第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開き、前記第1のリレーを開くことからなることと、前記第3のリレーを閉じるための命令の後に、前記第1の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が実質的にゼロである場合に、前記第3のリレーが継続的に開状態であると診断することとを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記車両の保守手順が、前記第1、前記第2および前記第3のリレーがすべて開いている駐車モードから開始して、連続して、前記第2のリレーを閉じ、前記第3のリレーを閉じ、前記第1のリレーを閉じ、前記第3のリレーを開き、前記第1のリレーを開き、前記第2のリレーを開くことからなることと、前記第3のリレーを開くための命令の後に、前記第1の測定電圧が前記電池の前記開回路電圧と実質的に等しく、かつ、前記第2の測定電圧が低下する場合に、前記第1のリレーが継続的に開状態であると診断することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−500548(P2013−500548A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521070(P2012−521070)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051110
【国際公開番号】WO2011/010026
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】