説明

電池の真贋判定システム、それを備えたカメラ及び電池の真贋判定方法

【課題】複数種類の電池が装填可能な電池収容ユニットが装着されたカメラにおける、電池の真贋をより適切に行う。
【解決手段】本発明の真贋判定システムは、第1電池31を第1電池用ホルダ30に載置した状態で、又は第2電池40を直接装填可能な装填部11を備えるとともに、被電力供給物100の電池収容ユニット1における該装填部11に対して、第1電池用ホルダ30又は第2電池40が装填されて電池収容ユニット1がカメラ100に装着された場合に、なにが装填されているかを判別する判別部201と、第1電池用ホルダ30が装着されていると判断された場合に、該第1電池用ホルダ30の出力部から出力される電圧を検出する電圧検出部202と、電圧が所定値以上の場合、又は判別部201により第2電池40が装着されていると判断された場合に、第1電池31又は第2電池40の真贋を判定する真贋判定部203と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の電池を装填可能な電池収容ユニットが装着された、例えばカメラ等の被電力供給物における電池の真贋判定システム、それを備えたカメラ及び電池の真贋判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池パック等の複数本の電池と制御ICとを一体構成とした電池が、カメラ等において使用されている。このような電池においては、模倣品等の非正規品が製造・販売されている。非正規品が使用されると、所望の電力が出力されなかったり、容量不足により使用可能時間が短かったりする可能性がある。このため、従来、カメラと電池との間で通信を行うことによって、電池が正規品か非正規品かを判断するシステムが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−114423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、複数種類の電池を装填可能な電池収容ユニットが装着された被電力供給物における、電池の真贋判定をより適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0005】
請求項1に記載の発明は、真贋判定可能な第1電池(31)を第1電池用ホルダ(30)に載置した状態で、又は真贋判定可能な第2電池(40)を直接、装填可能な装填部(11)を備えるとともに、被電力供給物(100)に装着される電池収容ユニット(1)における該装填部(11)に対して、前記第1電池用ホルダ(30)又は前記第2電池(40)が装填されて該電池収容ユニット(1)が前記被電力供給物(100)に装着された場合に、前記第1電池用ホルダ(30)又は前記第2電池(40)のいずれが装填されているかを判別する判別部(201)と、前記判別部(201)により前記第1電池用ホルダ(30)が装着されていると判断された場合に、該第1電池用ホルダ(30)の出力部から出力される電圧を検出する電圧検出部(202)と、該電圧検出部(202)により検出された前記電圧が所定値以上の場合、又は前記判別部(201)により前記第2電池(40)が装着されていると判断された場合に、前記第1電池(31)又は前記第2電池(40)の真贋を判定する真贋判定部(203)と、を備えることを特徴とする電池の真贋判定システム(200)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池の真贋判定システム(200)であって、前記第1電池(31)及び前記第2電池(40)が制御IC(36,46)を備え、前記真贋判定部(203)が、前記被電力供給物(100)と前記制御IC(36,46)との間において通信可能かどうかを判断することにより前記電池の真贋を判定することを特徴とする電池の真贋判定システム(200)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電池の真贋判定システム(200)であって、前記真贋判定部(203)において前記被電力供給物(100)と前記制御IC(36,46)との間が通信不能であると判断された場合に、前記被電力供給物(100)の動作の一部を動作不能にすることを特徴とする電池の真贋判定システム(200)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池の真贋判定システム(200)であって、前記判別部(201)は、第1電池用ホルダ(30)又は第2電池(40)と電池収容ユニット(1)との接触状態により、前記第1電池用ホルダ(30)又は前記第2電池(40)のいずれが装着されたかを判別することを特徴とする電池の真贋判定システム(200)である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電池の真贋判定システム(200)であって、前記電池収容ユニット(1)に設けられた複数の接片(13,14)を備え、
前記判別部(201)は、前記第1電池用ホルダ(30)又は第2電池(40)が前記装填部(11)に挿入されたときに、前記接片(13,14)のうちのいずれの接片(13,14)を押圧するかによって前記第1電池用ホルダ(30)又は第2電池(40)のいずれであるかを判別することを特徴とする電池の真贋判定システム(200)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池の真贋判定システムを備えるカメラ(200)である。
請求項7に記載の発明は、真贋判定可能な第1電池(31)を第1電池用ホルダ(30)に載置した状態で、又は真贋判定可能な第2電池(40)を直接、装填可能な装填部(11)を備えるとともに、被電力供給物(100)に装着される電池収容ユニット(1)における該装填部(11)に対して、前記第1電池用ホルダ(30)又は前記第2電池(40)が装填されて該電池収容ユニット(1)が前記被電力供給物(100)に装着された場合に、前記第1電池用ホルダ(30)又は前記第2電池(40)のいずれが装填されているかを判別し、
前記第1電池用ホルダ(30)が装着されていると判断された場合に、該第1電池用ホルダ(30)の出力部から出力される電圧を検出し、
前記電圧が所定値以上の場合、又は前記第2電池(40)が装着されていると判断された場合に、前記第1電池(31)又は前記第2電池(40)の真贋を判定することを特徴とする電池の真贋判定方法である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数種類の電池が装填可能な電池収容ユニットが装着された被電力供給物における、電池の真贋判断をより適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、xyz直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸Aを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ100の位置(以下、通常の撮影位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をxプラス方向とする。また、通常の撮影位置において上側に向かう方向をyプラス方向とする。さらに、通常の撮影位置において被写体に向かう方向をzプラス方向とする。そして図2〜図6のバッテリパック1においては、カメラ100に装填された場合におけるxyz方向を、図2〜図6においてもxyz方向とした。
【0008】
図1は、第1実施形態のバッテリパック1をカメラ100とともに示す斜視図である。第1実施形態のバッテリパック1は、カメラ100の下面101に装着されて使用される。なお、この図においてバッテリパック1は、後述する乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40が挿入された状態を示している。
【0009】
バッテリパック1は、上面カバー2と、本体3と、ボス5と、回転操作部6と、ねじ7と、信号通信部8と、電圧供給部9とを備える。
【0010】
上面カバー2は、カメラ100に対して装着されるときにカメラ100の下面101と接触する。ボス5は、上面カバー2のyプラス側に突出するように設けられている。ボス5は、カメラ100の下面101に設けられた、対応する凹部102と嵌合する。
【0011】
回転操作部6は、バッテリパック1をカメラ100に装着した状態で固定するときに操作する部材である。回転操作部6は、本体3からz方向のプラス及びマイナス側に僅かに突出した状態となっている。使用者は、この突出した部分より回転操作部6を回転させ、不図示のギヤを介してねじ7に回転力を伝えることができる。
【0012】
ねじ7は、上面カバーのyプラス方向に突出するように設けられている。ねじ7は、上述したように、回転操作部6を回転することにより回転する。カメラ100の下面101の対応位置に設けられた三脚ねじ穴103にねじ7を差し込み、そのねじ7を回転させることによりバッテリパック1をカメラ100に対して固定したり、固定を解除したりすることができる。
【0013】
信号通信部8は、上面カバー2上のxマイナス側であって且つzマイナス側に寄った位置から突出して設けられている。一方、カメラ100の下面101の信号通信部8と対応する位置(バッテリパック1がカメラ100に対して装着されるときに対応する位置)には、通信用接続部105が設けられている。
【0014】
電圧供給部9は、上面カバー2上のxマイナス側であって信号通信部8のxプラス側端部に近い位置から突出して設けられている。また、カメラ100の下面101の電圧供給部9と対応する位置には、電圧供給部9と接続される電圧用接続部106が設けられている。カメラ100の背面には、表示部108が設けられている。表示部108には、カメラを設定するためのメニュー項目や、カメラ100の設定状態(シャッター速度、絞り値、記録解像度など)等を表示可能である。本実施の形態では表示部108に電池残量および電池種別等も表示可能である。
【0015】
図2は、図1で示すバッテリパック1の本体3から乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30及び3セル電池40を取り外した状態においてxプラス方向からみた図である。図示するように本体3は、xプラス方向端部が開口した筒状部11を備える。その筒状部11の内面におけるxマイナス側の端面12には、第1接片13及び第2接片14が設けられている。第1接片13は端面12における中央部よりもyプラス側且つzプラス側に設けられ、第2接片14は第1接片13よりもさらにyプラス側且つzマイナス側に配置されている。後述するが、2セル電池用ホルダ30が挿入されると、第1接片13のみが押圧され、3セル電池40が挿入されると、第1接片13及び第2接片14が押圧され、乾電池用ホルダ20が挿入されると、第2接片14のみが押圧される。
【0016】
端面12における第1接片13及び第2接片14よりもさらにyプラス側には、端面12におけるz方向の中心線から互いに等距離の位置に、プラス側接続部15とマイナス側接続部16が設けられている。プラス側接続部15とマイナス側接続部16は、乾電池用ホルダ20が筒状部11に差し込まれると、後述する乾電池用ホルダ20に設けられたプラス側端子21及びマイナス側端子22と接触する。
【0017】
端面12におけるzマイナス側のやや下方には、後述する2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40が差し込まれたときに、2セル電池用ホルダ30及び3セル電池40に設けられた接続部32,41に差し込まれる差込部17が設けられている。
【0018】
図3は本体3に挿入される乾電池用ホルダ20である。乾電池用ホルダ20に載置される乾電池は、単三形等の国際電気標準会議のIEC60085規格等に沿った汎用の電池である。図示するように乾電池用ホルダ20は、x側端部に設けられた蓋部24と、蓋部からxマイナス方向に伸びる電池保持部25と、電池保持部25のxマイナス側端部に設けられたU字部26を備える。
【0019】
蓋部24は、乾電池用ホルダ20がバッテリパック1の本体3に挿入されたときに、本体3とともにバッテリパック1の外壁を構成する部分である。その外壁側には操作レバー27(図1参照)が設けられている。この操作レバー27は、蓋部24の内側から上に突き出したロック部28(図2参照)と連動しており、操作レバー27を回転することで、ロック部28を回転させ、バッテリパック1の本体3内部に設けられた図示しないロック受け部とロック部28とを係合させ、乾電池用ホルダ20を本体3に対して挿入した状態を保つロック状態にし、又は取り外し可能なロック解除状態にすることができる。蓋部24における電池保持部25が延びる側には、その電池保持部25に載置される乾電池のプラス側と接触する正極用接片29aと、乾電池のマイナス側と接触する負極用接片29bとが設けられている。
【0020】
電池保持部25は、乾電池(図示せず)を、2本直線状に並べて載置することができる保持ライン25aをyプラス側に2列、yマイナス側に2列備え、合計で8本の乾電池を保持することができる。
【0021】
また、U字部26の上面には、乾電池用ホルダ20がバッテリパック1の筒状部11に挿入されたときに、乾電池用ホルダ20の端面12に設けられた上述のマイナス側接続部16と接触するマイナス側端子22、及び、乾電池用ホルダ20の端面12に設けられた上述のプラス側接続部15と接触するプラス側端子21とが設けられている。このマイナス側端子22は、電池保持部25に乾電池(図示せず)が載置されたときに、電池のマイナス側に電気的に接続され、また、プラス側端子21は、電池のプラス側と電気的に接続される。なお、乾電池用ホルダ20がバッテリパック1の筒状部11に挿入されると、U字部26により第2接片14のみが押圧される。
【0022】
図4は、制御ICが内蔵され、カメラ100と通信することで真贋判定可能な、例えば2セルLi−ionリチャージャブル電池(以下、2セル電池という)31を載置可能な2セル電池用ホルダ30の斜視図であって、2セル電池31が載置されていない状態を示す。図5は2セル電池用ホルダ30に2セル電池31が載置された状態を示した斜視図である。図示するように2セル電池用ホルダ30は、図3で示した乾電池用ホルダ20と同様に電池保持部35を備える。ただし2セル電池31は、乾電池用ホルダ20に載置される乾電池と異なり、電池保持部35の中央部に1つだけ載置される。
【0023】
電池保持部35のxプラス側端部には乾電池用ホルダ20と同様な蓋部34が設けられている。電池保持部35のxマイナス側端部には、バッテリパック1の端面に設けられた本体3の内面と接する接続部32が設けられている。この接続部32は、上述のようにバッテリパック1の端面12における差込部17と電気的に接続されて電力を供給し、また後述する通信を行う。なお、2セル電池用ホルダ30がバッテリパック1の筒状部11に挿入されると、端面36により第1接片13のみが押圧される。
【0024】
図6は制御ICを内蔵し、カメラ100と通信することで真贋判定可能な、例えば3セルLi−ioncリチャージャブル電池(以下、3セル電池という)40とそのカバー部材42である。3セル電池40の場合、ホルダは使用せず、3セル電池40をバッテリパック1の筒状部11に挿入し、さらにカバー部材42を押し込む構成になっている。
【0025】
カバー部材42は、乾電池用ホルダ20及び2セル電池用ホルダ30と同様の蓋部44を備え、その蓋部44からxマイナス側に延び且つ3セル電池40のzy断面と同形状のzy断面を有する延在部43を備える。また、3セル電池40は、2セル電池用ホルダ30と同様にxマイナス側端部に接続部45を備える。なお、3セル電池40がバッテリパック1の筒状部11に挿入されると、端面49により第1接片13および第2接片14が押圧される。
【0026】
次に、乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40をバッテリパック1に装填する装填方法について説明する。乾電池用ホルダ20の場合、電池保持部25に乾電池(図示せず)を載置し、その状態で乾電池用ホルダ20をバッテリパック1の筒状部11に挿入する。上述の2セル電池用ホルダ30をバッテリパック1に装填する場合、電池保持部35に2セル電池31を載置し、その状態で2セル電池用ホルダ30をバッテリパック1の筒状部11に挿入する。上述の3セル電池40をバッテリパック1に装填する場合、3セル電池40をバッテリパック1の筒状部11に挿入し、さらにカバー部材42を3セル電池40を押し込むようにして挿入する。
【0027】
そして、操作レバー27,37,47を回転することで、ロック部28,38,48を回転させ、バッテリパック1の本体3内部に設けられた図示しないロック受け部とロック部28,38,48とを係合させ、乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40を本体3に対してロックする。
【0028】
次に、バッテリパック1のカメラ100に対する取り付け方法について説明する。まず、ボス5とねじ7と信号通信部8と電圧供給部9とが、それぞれ、凹部102と三脚ねじ穴103と通信用接続部105と電圧用接続部106と略一致するようにバッテリパック1をカメラ100の下面101に近づける。そうすると、ボス5と凹部102とが嵌合し、バッテリパック1は、カメラ100に対してxz平面内の位置が規制されて位置決めされる。さらに、回転操作部6を回転させて、ねじ7を三脚ねじ穴103にねじ込み、バッテリパック1のカメラ100に対する装着が完了する。
【0029】
図7は本実施形態の真贋判定システム200のブロック図である。カメラ100内部のCPU107は、判別部201、電圧検出部202、真贋判定部203を備える。バッテリパック1のカメラ100に対する装着が完了すると、信号通信部8が通信用接続部105に接続される。これにより、第1接片13及び第2接片14の押圧情報が、信号通信部8及び通信用接続部105を介して判別部201に伝達される。
【0030】
また、バッテリパック1に装填された2セル電池31の制御IC36又は3セル電池40の制御IC46は、信号通信部8、通信用接続部105を介してカメラ100の真贋判定部203と通信が可能となる。
【0031】
さらに、電圧供給部9が電圧用接続部106に接続されることにより、2セル電池31の電力が、電圧供給部9、電圧用接続部106を介してカメラ100の電圧検出部202に伝達される。
【0032】
次に、本実施形態における電池の真贋判定方法について説明する。図8は本実施形態の真贋判定方法を説明するフローチャートである。まず、乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40のいずれかが本体3に挿入されたバッテリパック1をカメラ100に装着する。そうすると、図7に示すように、第1接片13及び第2接片14の押圧情報が判別部201に送られ、乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30、又は3セル電池40のいずれがバッテリパック1に装填されているかが判定される(S1)。
【0033】
ここで、第2接片14のみが押圧され、その信号が信号通信部8及び通信用接続部105を介してカメラ100側に送られると、カメラ100において乾電池用ホルダ20が差し込まれたと判断される(S1,乾電池用ホルダ)。
【0034】
第1接片13のみ押圧され、その信号が信号通信部8及び通信用接続部105を介してカメラ100側に送られると、カメラ100において2セル電池用ホルダ30が差し込まれたと判断される(S1,2セル電池ホルダ)。
【0035】
第1接片13及び第2接片14が押圧され、その信号が信号通信部8及び通信用接続部105を介してカメラ100側に送られると、カメラ100において3セル電池40が差し込まれたと判断される(S1,3セル電池)。
【0036】
乾電池用ホルダ20であると判断された場合は(S1,乾電池用ホルダ)、電圧検出部202により電池電圧を検出して電池残量を算出し、電池残量および電池種別(乾電池)を表示部108等に適宜表示する(S5)。なお、乾電池用ホルダ20に載置されるのは、汎用の乾電池又は充電池であるため、真贋判定は行われない。
【0037】
2セル電池用ホルダ30であると判断された場合は(S1,2セル電池用ホルダ)、2セル電池31の電圧が電圧検出部202に送られる(S2)。ここで、電圧が所定の閾値より小さい場合(S2,No)は、後述のステップ3の真贋の判定を行わない。上述の閾値は、2セル電池用ホルダ30に2セル電池31が搭載されていない、つまり電源端子間がオープン状態であることを示す電圧以下(例えばゼロ以下)とする。ステップ2によって否定された場合は、ステップS6で2セル電池用ホルダ30に電池が搭載されていないことを表示部108に表示する。なお、上述の閾値をカメラ100が動作不能となる電圧以下としてもよい。この場合であっても、ステップS2で否定判定された場合は、真贋判定を行わずとも装填された電池は使用されないからである。そして、ステップS6で電池残量がゼロであることを表示部108に表示する。
【0038】
2セル電池用ホルダ30の電圧が閾値以上の場合(S2,Yes)、また、ステップ1において3セル電池が装着されたと判断された場合(S1,3セル電池)、真贋判定部203において2セル電池又は3セル電池の制御IC36,46との通信可能(認証可能)かどうかを判断する(S3)。
【0039】
通信が可能の場合(S3,Yes)は、正規の2セル電池31又は3セル電池40が装填されているので、カメラ100のレリーズを禁止せず、ステップ7で、電池から電池残量を取得し、該電池残量および電池種別(2セル電池又は3セル電池)を表示部108に適宜表示する。通信ができない場合(S3,No)、カメラ100のレリーズができないようにして(S4)、判定を終了する。
ここで、2セル電池用ホルダ30に2セル電池31が搭載されていない状態で、本体3に挿入された場合を考える。もし、ステップ2の電圧判定無しに、ステップ3の真贋の判定のみを行った場合、真贋判定部203は、2セル電池31が無いため通信(認証判定)ができない。このため、贋電池と同様にステップ3にて否定判定を行い、ステップ4でレリーズを禁止する。しかし、ステップ2による電池電圧による判定を行うことにより2セル電池用ホルダ30に2セル電池31が搭載されていない状態で本体3に挿入された場合であっても、ステップ2で否定判定され電池無しとして判断されるため、誤ってレリーズが禁止されることが無い。
【0040】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)2セル電池用ホルダ30が2セル電池31が載置されていない状態で本体3に挿入された場合に、通信可能かどうかの判定を行い、電池がないために通信できず、その後につづくステップ4によりカメラ100のレリーズができないようにすると、カメラ100の電池はまだあるにもかかわらず、空の2セル電池用ホルダ30を装着しただけでレリーズが禁止になる。しかし、本実施形態によると、2セル電池用ホルダ30が2セル電池31が載置されていない状態で本体3に挿入された場合に、通信可能か否かの判定を行うまえに、電池用ホルダから供給される電力の電圧を測定する。ここで、電圧が所定値以下の場合には通信可能か否かの判定は行なわない。したがって空のホルダが装着された場合にレリーズができなくなることがない。
(2)本実施形態では、2セル電池と3セル電池とが制御ICを備えているため、カメラ100のCPU107と制御ICとの間で通信できるかどうかを判断することにより、2セル電池又は3セル電池が正規品であるかを容易に判断することができる。
(3)本実施形態では、カメラ100のCPU107と、2セル電池31又は3セル電池40とが通信不能であると判断された場合に、カメラ100のレリーズを不能にする。したがって非正規品の電池を使用することによる誤動作等を防止することができる。
(4)本実施形態では、バッテリパック1に乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40が装填されたときに、乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40とバッテリパック1の筒状部11の端面12に設けられた第1接片13及び第2接片14との接触状態により、乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30又は3セル電池40のいずれが装着されたかを判別する。したがって複雑な判別部を設ける必要がなく、簡単な構成で判別を行うことができる。
【0041】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、真贋判定可能な電池としてLi−ionリチャージャブル電池を例に説明したがこれに限定されず、真贋判定を行うことができれば他の電池であってもよい。
(2)本実施形態では、乾電池用ホルダ20を使用できる構成としたがこれに限定されず、ホルダに載置された状態で使用される真贋判定可能な電池と、ホルダに載置しない状態で使用される真贋判定可能な電池とが装填可能な真贋判定システムであれば、乾電池用ホルダは使用しないものであってもよい。
(3)本実施形態では、制御ICを備える電池において、通信可能か否かで真贋判定を行った。しかし、これに限定されず、真贋の判定が可能であれば他の構成であってもよい。
(4)本実施形態では、バッテリパック1に乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30、又は2セル電池40が装填されたときに、乾電池用ホルダ20、2セル電池用ホルダ30、又は2セル電池40と、バッテリパック1の第1接片13及び第2接片14とがどのように接触するかにより種別を判別した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば接片が押圧されて移動する距離の差等、他の方法で種別を判別してもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態のバッテリパックをカメラとともに示す斜視図である。
【図2】バッテリパックの本体からホルダ等を取り外した状態においてxプラス方向からみた図である。
【図3】バッテリパックの本体に挿入される乾電池用ホルダの斜視図である。
【図4】バッテリパックの本体に挿入される2セル電池用ホルダの斜視図である。
【図5】バッテリパックの本体に挿入される2セル電池用ホルダに2セル電池を載置した状態の乾電池用ホルダである。
【図6】バッテリパックの本体に挿入される3セル電池とそのカバー部材である。
【図7】真贋判定システムのブロック図である。
【図8】バッテリパックの本体に挿入される3セル電池及びカバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1:バッテリパック、11:筒状部、20:乾電池用ホルダ、30:2セル電池用ホルダ、31:2セル電池、40:3セル電池、100:カメラ、107:CPU、200:真贋判定システム201:判定部、202:電圧検出部202:真贋判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真贋判定可能な第1電池を第1電池用ホルダに載置した状態で、又は真贋判定可能な第2電池を直接、装填可能な装填部を備えるとともに、被電力供給物に装着される電池収容ユニットにおける該装填部に対して、前記第1電池用ホルダ又は前記第2電池が装填されて該電池収容ユニットが前記被電力供給物に装着された場合に、前記第1電池用ホルダ又は前記第2電池のいずれが装填されているかを判別する判別部と、
前記判別部により前記第1電池用ホルダが装着されていると判断された場合に、該第1電池用ホルダの出力部から出力される電圧を検出する電圧検出部と、
該電圧検出部により検出された前記電圧が所定値以上の場合、又は前記判別部により前記第2電池が装着されていると判断された場合に、前記第1電池又は前記第2電池の真贋を判定する真贋判定部と、
を備えることを特徴とする電池の真贋判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電池の真贋判定システムであって、
前記第1電池及び前記第2電池が制御ICを備え、
前記真贋判定部が、前記被電力供給物と前記制御ICとの間において通信可能かどうかを判断することにより前記電池の真贋を判定することを特徴とする電池の真贋判定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電池の真贋判定システムであって、
前記真贋判定部において前記被電力供給物と前記制御ICとの間が通信不能であると判断された場合に、前記被電力供給物の動作の一部を動作不能にすることを特徴とする電池の真贋判定システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池の真贋判定システムであって、
前記判別部は、第1電池用ホルダ又は第2電池と電池収容ユニットとの接触状態により、前記第1電池用ホルダ又は前記第2電池のいずれが装着されたかを判別することを特徴とする電池の真贋判定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電池の真贋判定システムであって、
前記電池収容ユニットに設けられた複数の接片を備え、
前記判別部は、前記第1電池用ホルダ又は第2電池が前記装填部に挿入されたときに、前記接片のうちのいずれの接片を押圧するかによって前記第1電池用ホルダ又は第2電池のいずれであるかを判別することを特徴とする電池の真贋判定システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池の真贋判定システムを備えるカメラ。
【請求項7】
真贋判定可能な第1電池を第1電池用ホルダに載置した状態で、又は真贋判定可能な第2電池を直接、装填可能な装填部を備えるとともに、被電力供給物に装着される電池収容ユニットにおける該装填部に対して、前記第1電池用ホルダ又は前記第2電池が装填されて該電池収容ユニットが前記被電力供給物に装着された場合に、前記第1電池用ホルダ又は前記第2電池のいずれが装填されているかを判別し、
前記第1電池用ホルダが装着されていると判断された場合に、該第1電池用ホルダの出力部から出力される電圧を検出し、
前記電圧が所定値以上の場合、又は前記第2電池が装着されていると判断された場合に、前記第1電池又は前記第2電池の真贋を判定することを特徴とする電池の真贋判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−43432(P2009−43432A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204163(P2007−204163)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】