説明

電池スタックの固定構造

【課題】電池スタックを固定するブラケットを小型化することを目的とする。
【解決手段】複数の単電池が配列された積層体と、前記積層体を挟む位置に配置されるエンドプレートと、を有する電池スタックの固定構造であって、前記電池スタックは、車両に組み付けられるキャリアケースに納められており、前記電池スタックを前記キャリアケースに固定するための固定ブラケットを、前記単電池の配列方向における前記電池スタックの端部に固定したことを特徴とする電池スタックの固定構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池が配列された積層体を含む電池スタックの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の電池として複数の単電池が配列された積層体と、前記積層体を挟む位置に配置されるエンドプレートと、を有する電池スタックが知られている。特許文献1は、側面に積層方向に沿って延びるブラケットを有する電池スタックを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−262645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、電池スタックの長手方向に沿ってブラケットを配置する必要があったため、ブラケットが大型化していた。
【0005】
そこで、本願発明は、電池スタックを固定するブラケットを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電池スタックの固定構造は、(1)複数の単電池が配列された積層体と、前記積層体を挟む位置に配置されるエンドプレートと、を有する電池スタックの固定構造であって、前記電池スタックは、車両に組み付けられるキャリアケースに納められており、前記電池スタックを前記キャリアケースに固定するための固定ブラケットを、前記単電池の配列方向における前記電池スタックの端部に固定したことを特徴とする。
【0007】
(2)上記(1)の構成において、前記固定ブラケットは、それぞれがフランジ側締結部材を介して前記キャリアケースに締結固定される第1のフランジ部及び第2のフランジ部を有し、前記第1のフランジ部は、前記固定ブラケットの前記配列方向の端面から前記配列方向に張り出しており、前記第2のフランジ部は、前記配列方向に直交する方向において前記電池スタックと隣り合う位置に形成することができる。(2)の構成によれば、電池スタック及びキャリアケースが前記配列方向において近接している場合に、キャリアケースとの干渉を避けた位置に第2のフランジ部を配置することができる。これにより、電池スタックをより確実に固定することができる。
【0008】
(3)上記(2)の構成において、前記固定ブラケットは、さらに、前記エンドプレートに締結固定され、該エンドプレートに沿って延びる固定平板部と、前記固定平板部と前記第2のフランジ部とを繋ぐ屈曲フランジ部と、を有し、前記第1のフランジ部及び前記屈曲フランジ部は前記固定平板部から延出している。
【0009】
(4)上記(3)の構成において、前記固定平板部及び前記エンドプレートは、少なくとも三つ以上の複数のプレート側締結部材により締結されており、前記配列方向視において、これらのプレート側締結部材を結ぶ第1の仮想線により描かれる多角形の内側を、前記第1及び第2のフランジ部にそれぞれ締結される前記フランジ側締結部材を互いに結んだ第2の仮想線が通過する。(4)の構成によれば、電池スタックの振動時に第1及び第2のフランジ部に働く応力、ねじれを抑制することができる。
【0010】
(5)上記(4)の構成において、前記第2の仮想線は、前記第1の仮想線により描かれる前記多角形の重心を通るのが好ましい。(5)の構成によれば、第1及び第2のフランジ部に働く応力、ねじれの低減効果を高めることができる。
【0011】
(6)上記(1)〜(5)の構成において、前記キャリアケースは、フロアパネルの車両外側の外面に吊り持ち支持されており、前記電池スタックは、前記配列方向が車幅方向に向いた状態で前記キャリアケースに収めることができる。
【0012】
(7)上記(6)の構成において、前記第1のフランジ部は前記キャリアケースにおける第1の領域に位置しており、前記複数のプレート側締結部材は前記キャリアケースにおける前記第1の領域よりも車両後方の第2の領域に位置しており、前記第2の領域に対応した前記キャリアケースの車幅方向の寸法は、前記第1の領域に対応した前記キャリアケースの車幅方向の寸法よりも小さい。車幅方向のスペースが小さい第2の領域において車幅方向に張り出すフランジ部を形成できない場合に、第2のフランジ部を用いて電池スタックを固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、電池スタックを固定するブラケットを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両の側面図である。
【図2】車両の平面図である。
【図3】第4の電池スタックの斜視図である。
【図4】第4の電池スタックを車幅方向から視た図である。
【図5】第4の電池スタックの固定構造部を車両UPR方向から視た平面図である。
【図6】第4の電池スタックを車幅方向から視た図である(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は車幅方向から車両を視たときの側面図である。図2は車両の平面図であり、一部の要素を透視して図示する。これらの図において、矢印Frは車両の進行方向(車両前進方向)、矢印Rrは車両の進行方向とは反対方向(車両後進方向)、矢印RHは車両のFr方向に向かって右側の方向、矢印LHは車両のFr方向に向かって左側の方向を示している。これらの方向の定義は、他の図面においても同様である。なお、車両RH方向及び車両LH方向を特に区別する必要がない場合には、これらを車幅方向と言い換えるものとする。
【0016】
車両1は、フロアパネル2、ダッシュパネル3及びバッテリパック4を備える。バッテリパック4は、バッテリ本体10と、バッテリ本体10を収容するキャリアケース20とを備える。キャリアケース20は、R側サイドメンバー1A及びL側サイドメンバー1Bに挟まれた領域に位置する。キャリアケース20は、フロアパネル2の下面、つまり、フロアパネル2の車両外側の外面に吊り持ち支持されている。キャリアケース20の固定手段には、ボルトなどを用いた締結手段を用いることができる。車両1は、バッテリ本体10の電力のみによって車輪を駆動する電気自動車、或いはバッテリ本体10の電力によってモータを駆動し、このモータの駆動力を用いて車輪を回転させる第1の駆動経路と、内燃機関で得られた駆動力を用いて車輪を回転させる第2の駆動経路とを動力源として兼用するハイブリッド自動車であってもよい。
【0017】
バッテリパック4の車両Fr方向の端部には、吸気管60が接続されている。吸気管60の途中には、ファン70が設けられている。ファン70は、シロッコ式のファン、クロスフロー型のファン、或いはプラペレ式のファンであってもよい。吸気管60におけるファン70の上流側には、エアクリーナ50が位置する。吸気管60の上流側端部には、吸気口40が位置する。
【0018】
バッテリパック4の車両Rr方向の端部には、排気管80が接続されている。排気管80の排気口81は、後部バンパ90の内部に位置する。
【0019】
ファン70が駆動されると、吸気口40を介して吸気管60の内部に空気が導入される。吸気管60に導入された空気は、エアクリーナ50を通過する際に洗浄され、埃などの異物が除去される。エアクリーナ50で洗浄された空気は、キャリアケース20内に流入して、バッテリ本体10を冷却する。バッテリ本体10の冷却に用いられた空気は、排気管80を通って排気口81から排気される。
【0020】
次に、図2乃至図5を参照しながら、バッテリパックについて詳細に説明する。図3は、第4の電池スタックの斜視図である。図4は、第4の電池スタックを車幅方向から視た図である。図5は、第4の電池スタックの固定構造部を車両UPR方向から視た平面図である。図2を参照して、キャリアケース20には、車両前方から後方に向かって、第1の電池スタック11、第2の電池スタック12、第3の電池スタック13及び第4の電池スタック14がこの順序で収められている。
【0021】
第1の電池スタック11は、複数の単電池及びスペーサを車幅方向に交互に積層した積層体11Aと、この積層体11Aを挟む位置に配置される一対のエンドプレート11Bとを有する。一方のエンドプレート11Bには、車両RH方向に延びる平板ブラケット11Cが形成されており、他方のエンドプレート11Bには、車両LH方向に延びる平板ブラケット11Dが形成されている。これらの平板ブラケット11C、11Dは、キャリアケース20のケース底面200に沿って延びている。平板ブラケット11Cには、車両上下方向(車両UPR方向)に延びる締結孔部111Cが車両Fr方向に並んで形成されている。平板ブラケット11Dには、車両上下方向(車両UPR方向)に延びる締結孔部111Dが車両Fr方向に並んで形成されている。これらの締結孔部111C、111Dに図示しない締結ボルトを締結することにより、第1の電池スタック11は、ケース底面200に固定される。
【0022】
第2の電池スタック12は、複数の単電池及びスペーサを車幅方向に交互に積層した積層体12Aと、この積層体12Aを挟む位置に配置される一対のエンドプレート12Bとを有する。第1の電池スタック11及び第2の電池スタック12にそれぞれ含まれる単電池の個数は同じである。一方のエンドプレート12Bには、車両RH方向に延びる平板ブラケット12Cが形成されており、他方のエンドプレート12Bには、車両LH方向に延びる平板ブラケット12Dが形成されている。これらの平板ブラケット12C、12Dは、キャリアケース20のケース底面200に沿って延びている。平板ブラケット12Cには、車両上下方向(車両UPR方向)に延びる締結孔部121Cが車両Fr方向に並んで形成されている。平板ブラケット12Dには、車両上下方向(車両UPR方向)に延びる締結孔部121Dが車両Fr方向に並んで形成されている。これらの締結孔部121C、121Dに図示しない締結ボルトを締結することにより、第2の電池スタック12は、ケース底面200に固定される。
【0023】
第3の電池スタック13は、複数の単電池及びスペーサを車幅方向に交互に積層した積層体13Aと、この積層体13Aを挟む位置に配置される一対のエンドプレート13Bとを有する。第3の電池スタック13に含まれる単電池の個数は、第1の電池スタック11に含まれる単電池の個数よりも少ない。一方のエンドプレート13Bには、車両RH方向に延びる平板ブラケット13Cが形成されており、他方のエンドプレート13Bには、車両LH方向に延びる平板ブラケット13Dが形成されている。これらの平板ブラケット13C、13Dは、キャリアケース20のケース底面200に沿って延びている。平板ブラケット13Cには、車両上下方向(車両UPR方向)に延びる締結孔部131Cが車両Fr方向に並んで形成されている。平板ブラケット13Dには、車両上下方向(車両UPR方向)に延びる締結孔部131Dが車両Fr方向に並んで形成されている。これらの締結孔部131C、131Dに図示しない締結ボルトを締結することにより、第3の電池スタック13は、ケース底面200に固定される。
【0024】
ここで、キャリアケース20は、サイドメンバー1A、1Bなどの車両構造物に対する干渉を回避するために、第4の電池スタック14が位置する領域において、車幅方向の寸法が小さく設定されている。そのため、第4の電池スタック14及びキャリアケース20が車幅方向において近接し、第4の電池スタック14の車幅方向の端部に、第1の電池スタック11の固定手段に用いられる平板ブラケット11A(11B)を設けるスペースを確保することができない。そこで、本実施形態では、第4の電池スタック14を下記のように構成している。
【0025】
図3を参照して、第4の電池スタック14は、単電池141及びスペーサ142を交互に配列した積層体と、この積層体を挟む位置に配置される一対のエンドプレート143と、これら一対のエンドプレート143を接続する拘束バンド144とを有する。単電池141は、上面に車両Rr方向に並ぶ正極端子141A及び負極端子141Bを備える。これらの正極端子141A及び負極端子141Bは突状に形成されており、外面に図示しないネジ溝が形成されている。隣接する単電池141の正極端子141A及び負極端子141Bは互いに図示しないバスバーを介して電気的及び機械的に接続されている。単電池141は、リチウムイオン電池、或いはニッケル水素電池であってもよい。単電池141は、電池セル、或いは、複数の電池セルを接続した電池モジュールであってもよい。ここで、電池セルとは、充放電可能な最小単位の要素を意味する。
【0026】
拘束バンド144は、単電池141及びスペーサ142の積層方向に沿って延びており、両端部がそれぞれ下方に折れ曲がっている。拘束バンド144の曲げ部は、エンドプレート143に固定されている。固定手段は、締結部材を用いた締結手段であってもよい。これにより、単電池141及びスペーサ142からなる積層体を拘束することができる。
【0027】
図3乃至図5を参照して、エンドプレート143の端面(単電池141及びスペーサ142の積層方向における端面)には、固定ブラケット100が固定されている。このように、単電池141の配列方向におけるエンドプレート143の端面に固定ブラケット100を固定することにより、固定ブラケットを電池スタックの側面に沿って固定した従来の構造よりも、固定ブラケット100を小型化することができる。これにより、コストを削減することができる。
【0028】
固定ブラケット100は、固定平板部101を備える。固定平板部101は、エンドプレート143に沿って延びており、車両LH方向(つまり、固定平板部101の板厚方向)に貫通する第1〜第3の平板側貫通穴部101A〜101Cを備える。エンドプレート143には、第1〜第3の平板側貫通穴部101A〜101Cに対応した位置に第1〜第3のプレート側穴部143A〜143Cが形成されている。第1の平板側貫通穴部101A及び第1のプレート側穴部143Aには、第1のプレート側締結ボルト151Aが締結されている。第2の平板側貫通穴部101B及び第2のプレート側穴部143Bには、第2のプレート側締結ボルト151Bが締結されている。第3の平板側貫通穴部101C及び第3のプレート側穴部143Cには、第3のプレート側締結ボルト151Cが締結されている。
【0029】
固定平板部101の車両Fr方向における端部側には、固定平板部101の端面(単電池141の配列方向の端面)から張り出す第1のフランジ部102が形成されている。第1のフランジ部102は、キャリアケース20のケース底面200に沿って延びている。ここで、図2に図示するように第4の電池スタック14とキャリアケース20との間に形成された車幅方向の隙間は、車両後方に近づくほど狭くなっている。すなわち、図5に図示するように、第1のフランジ部102が位置する領域を第1の領域、第1〜第3のプレート側締結ボルト151A〜151Cが位置する領域を第2の領域としたときに、第2の領域は、第1の領域よりも車幅方向の幅が小さくなっている。
【0030】
したがって、第2の領域には、車幅方向に張り出すフランジ部を形成することができない。そこで、本実施形態では、単電池141の配列方向に直交する方向における第4の電池スタック14と隣り合う位置に、第2のフランジ部104を配置することにより、第4の電池スタック14を固定している。
【0031】
より具体的には、固定平板部101の車両Rr方向における端部には、屈曲ブラケット103が形成されており、この屈曲ブラケット103は、固定平板部101及び第2のフランジ部104を繋いでいる。すなわち、屈曲ブラケット103は、車幅方向から第4の電池スタック14に向かって張り出すキャリアケース20を避けた位置に第2のフランジ部14を逃がしている。これにより、単電池141の個数の削減を抑制しながら、第4の電池スタック14を十分な強度で固定することができる。
【0032】
第1のフランジ部102には、車両UPR方向に貫通する締結孔部102Aが形成されており、この締結孔部102Aはキャリアケース20のケース底面200に形成された締結孔部(不図示)と重なる位置に位置する。これらの締結孔部に第1のフランジ側締結ボルト151Dを締結することにより、第1のフランジ部102をキャリアケース20に固定することができる。
【0033】
第2のフランジ部104には、車両UPR方向に貫通する締結孔部104Aが形成されており、この締結孔部104Aはキャリアケース20の壁部に形成された締結孔部(不図示)と重なる位置に位置する。これらの締結孔部に第2のフランジ側締結ボルト151Eを締結することにより、第2のフランジ部104をキャリアケース20に固定することができる。
【0034】
ここで、図4を参照して、第1のフランジ側締結ボルト151D及び第2のフランジ側締結ボルト151Eを結ぶ点線で示した第2の仮想線は、第1のプレート側締結ボルト151A、第2のプレート側締結ボルト151B及び第3のプレート側締結ボルト151Cを結ぶ点線で示した第1の仮想線により描かれる三角形Sの内側の領域を通過する。これらの条件を満足する位置に第1〜第3のプレート側締結ボルト151A〜151C及第1〜第2のフランジ側締結ボルト151D〜151Eを締結することによる効果について詳細に説明する。
【0035】
上述したように、第4の電池スタック14の車幅方向には、キャリアケース20が近接して位置する。このため、第4の電池スタック14の車幅方向の端部に固定用ブラケットを配置する場合、単電池141の個数を少なくして、第4の電池スタック14を小型化する必要がある。しかしながら、単電池141の個数が少なくなると、電池出力が低下する。バッテリ本体10の電力のみを用いて走行する電気自動車では、特に電池出力の低下を抑制する必要がある。
【0036】
一方、単電池141の個数を維持するためには、キャリアケース20の寸法を車幅方向に拡大する必要があるため、搭載条件が悪化する。本実施形態の構成によれば、第2のフランジ部104は、屈曲ブラケット103を介して、第4の電池スタック14の車両後方に位置するため、搭載条件の悪化を抑制しながら、単電池141の個数の削減を抑制することができる。
【0037】
また、第2の電池スタック12のように車幅方向の端部に平板ブラケット12C、12Dを配置した場合、車両の振動時(車両が障害物を乗り越える場合、或いは、車両衝突時が該当する)に平板ブラケット12C、12Dに加わる負荷が大きくなる。これに対して、第4の電池スタック14の固定に用いられる固定ブラケット100は、第1のフランジ側締結ボルト151D及び第2のフランジ側締結ボルト151Eを結ぶ第2の仮想線が、第1のプレート側締結ボルト151A、第2のプレート側締結ボルト151B及び第3のプレート側締結ボルト151Cを結ぶ第1の仮想線により描かれる三角形Sの内側の領域を通過するように構成されているため、第4の電池スタック14の振動時に固定ブラケット100に働く応力、ねじれを低減することができる。
【0038】
ここで、第1のフランジ側締結ボルト151D及び第2のフランジ側締結ボルト151Eを結ぶ第2の仮想線は、第1のプレート側締結ボルト151A、第2のプレート側締結ボルト151B及び第3のプレート側締結ボルト151Cを結ぶ第1の仮想線により描かれる三角形Sの重心を通過するのが好ましい。これにより、固定ブラケット100に働く応力、ねじれの低減効果を高めることができる。
【0039】
(変形例1)
上述の実施形態では、固定ブラケット100が第4の電池スタック14を固定するために用いられたが、本発明はこれに限られるものではなく、第1の電池スタック11を固定するために用いられてもよい。この場合、第2のフランジ部104は、第1の電池スタック11の車両Fr方向であって、かつ、第1の電池スタック11と隣り合う位置に位置するとともに、キャリアケース20の車両Fr方向の壁部に固定される。
【0040】
(変形例2)
上述の実施形態では、固定平板部101に締結されるプレート側締結ボルトの個数を三つとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、四つ以上であってもよい。図6は、第1のプレート側締結ボルト151A、第2のプレート側締結ボルト151B、第3のプレート側締結ボルト151C及び第4のプレート側締結ボルト151Fを、固定平板部101に締結した状態を図示しており、図4に対応している。
【0041】
図6を参照して、第1のフランジ側締結ボルト151D及び第2のフランジ側締結ボルト151Eを結ぶ第2の仮想線は、第1のプレート側締結ボルト151A、第2のプレート側締結ボルト151B、第3のプレート側締結ボルト151C及び第4のプレート側締結ボルト151Fを結ぶ第1の仮想線によって描かれる四角形の内部を通過している。これにより、第4の電池スタック14の振動時に固定ブラケット100に働く応力、ねじれを低減することができる。
【0042】
さらに、好ましくは、第1のフランジ側締結ボルト151D及び第2のフランジ側締結ボルト151Eを結ぶ第2の仮想線は、第1のプレート側締結ボルト151A、第2のプレート側締結ボルト151B、第3のプレート側締結ボルト151C及び第4のプレート側締結ボルト151Fを結ぶ第1の仮想線によって描かれる四角形の重心を通過する。これにより、固定ブラケット100に働く応力、ねじれの低減効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 車両 1A 1B サイドメンバー 2 フロアパネル
3 ダッシュパネル 4 バッテリパック 10 バッテリ本体
11 第1の電池スタック 11A 積層体 11B エンドプレート
11C 11D 平板ブラケット 12 第2の電池スタック
12A 積層体 12B エンドプレート 12C 12D 平板ブラケット
13 第3の電池スタック 13A 積層体 13B エンドプレート
13C 13D 平板ブラケット 14 第4の電池スタック
20 キャリアケース 40 吸気口 50 エアクリーナ 60 吸気管
70 ファン 80 排気管 81 排気口 90 後部バンパ
100 屈曲ブラケット 101 第1の固定平板部
101A 第1の平板側貫通穴部 101B 第2の平板側貫通穴部
101C 第3の平板側貫通穴部 102 第1のキャリア側固定板
102A 締結孔部 103 逃がし腕部 104 第2のフランジ部
104A 締結孔部 141 単電池 141A 正極端子
141B 負極端子 142 スペーサ 143 エンドプレート
143A 第1のプレート側穴部 143B 第2のプレート側穴部
143C 第3のプレート側穴部 144 拘束バンド
151A〜151C 第1〜第3のプレート側締結ボルト
151D〜151E 第1〜第2のフランジ側締結ボルト







【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池が配列された積層体と、前記積層体を挟む位置に配置されるエンドプレートと、を有する電池スタックの固定構造であって、
前記電池スタックは、車両に組み付けられるキャリアケースに納められており、
前記電池スタックを前記キャリアケースに固定するための固定ブラケットを、前記単電池の配列方向における前記電池スタックの端部に固定したことを特徴とする電池スタックの固定構造。
【請求項2】
前記固定ブラケットは、それぞれがフランジ側締結部材を介して前記キャリアケースに締結固定される第1のフランジ部及び第2のフランジ部を有し、
前記第1のフランジ部は、前記固定ブラケットの前記配列方向の端面から前記配列方向に張り出しており、
前記第2のフランジ部は、前記配列方向に直交する方向において前記電池スタックと隣り合う位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池スタックの固定構造。
【請求項3】
前記固定ブラケットは、さらに、前記エンドプレートに締結固定され、該エンドプレートに沿って延びる固定平板部と、前記固定平板部と前記第2のフランジ部とを繋ぐ屈曲フランジ部と、を有し、前記第1のフランジ部及び前記屈曲フランジ部は前記固定平板部から延出している特徴とする請求項2に記載の電池スタックの固定構造。
【請求項4】
前記固定平板部及び前記エンドプレートは、少なくとも三つ以上の複数のプレート側締結部材により締結されており、前記配列方向視において、これらのプレート側締結部材を結ぶ第1の仮想線により描かれる多角形の内側を、前記第1及び第2のフランジ部にそれぞれ締結される前記フランジ側締結部材を互いに結んだ第2の仮想線が通過することを特徴とする請求項3に記載の電池スタックの固定構造。
【請求項5】
前記第2の仮想線は、前記第1の仮想線により描かれる前記多角形の重心を通ることを特徴とする請求項4に記載の電池スタックの固定構造。
【請求項6】
前記キャリアケースは、フロアパネルの車両外側の外面に吊り持ち支持されており、前記電池スタックは、前記配列方向が車幅方向に向いた状態で前記キャリアケースに収められていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の電池スタックの固定構造。
【請求項7】
前記第1のフランジ部は前記キャリアケースにおける第1の領域に位置しており、前記複数のプレート側締結部材は前記キャリアケースにおける前記第1の領域よりも車両後方の第2の領域に位置しており、前記第2の領域に対応した前記キャリアケースの車幅方向の寸法は、前記第1の領域に対応した前記キャリアケースの車幅方向の寸法よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の電池スタックの固定構造。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−35384(P2013−35384A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172546(P2011−172546)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】