説明

電池パックの無接点充電方法及び電池パック

【課題】電池パックを発熱から保護しつつも、充電時間を短縮化する。
【解決手段】二次電池セル2の温度が、所定の第一閾値温度TP1より低い場合は充電を行わず、該第一閾値温度TP1以上の場合に、充電電流の最大値である所定の第一充電流値で前記二次電池セル2への充電を開始し、前記二次電池セル2の温度が、前記第一閾値温度TP1より高い所定の第二閾値温度TP2までの間は充電を継続しつつ、該第二閾値温度TP2における充電電流を、前記第一充電電流値よりも低い所定の第二充電電流値とし、前記二次電池セル2の温度が、前記第二閾値温度TP2より高い所定の第三閾値温度TP3までの間は充電を継続しつつ、該第三閾値温度TP3における充電電流を、前記第二充電電流値よりも低い所定の第三充電電流値とし、前記二次電池セル2の温度が、前記第三閾値温度TP3より高い場合に、充電電流を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電台に載せられた電池パックの受電コイルと、充電台の送電コイルとを電磁結合し、送電コイルから受電コイルに磁気誘導作用で電力搬送して、電池パックの内蔵電池を充電する無接点充電方法及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯音楽プレーヤ等のモバイル機器に代表される電池駆動機器は、携帯に便利なように、充電できる電池により駆動されるものが多い。このような電池駆動機器は、電池を素電池の状態で、あるいは電池パックの状態で収納している。電池駆動機器は、電池を収納する状態で充電器に接点を接続して充電される。一方で、このように接点を接続することなく、電磁誘導の作用を利用して充電台に内蔵された送電コイルから、受電コイルに対して電力を搬送して、電池を充電する充電台が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
図12に示す特許文献1は、充電台910に、交流電源で励磁される送電コイル911を内蔵し、この送電コイル911に電磁結合される受電コイル921を電池パック930に設けて、受電コイル921に誘導される電力で電池パック930の電池931を充電する。電池駆動機器920に収納された電池パック930は、受電コイル921に誘導される交流を整流し、これを電池931に供給して充電する充電回路を内蔵している。この構造によると、充電台910の上に電池駆動機器920に収納された電池パック930を載せて、接点を接続することなく無接点な状態で電池931を充電できる。
【0004】
電池パックへの充電時には、二次電池セルや電池パックに組み込まれた充電回路等の電子部品が発熱する。熱によって二次電池セルや回路が劣化することを防ぐには、充電電流を小さくする必要がある。しかしながら、充電電流が小さいと、電池パックを満充電するまでに要する充電時間が長くなってしまうという問題があった。ユーザにおいては、充電の待ち時間を極力短くしたいという要望が強くあり、電池パックの保護との観点から、このような相反する要求を両立させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−141940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、電池パックを発熱から保護しつつも、充電時間を短縮化することが可能な電池パックの無接点充電方法及び電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の側面に係る電池パックの無接点充電方法は、充電台110に電池パック90を載せ、前記充電台110から前記電池パック90に電力を送出して、前記電池パック90に内蔵している受電コイル1を、前記充電台110の送電コイル113と電磁結合させて、内蔵される前記電池パック90の二次電池セル2を充電する無接点充電方法であって、前記検出された前記二次電池セル2の温度が、所定の第一閾値温度TP1より低い場合は充電を行わず、該第一閾値温度TP1以上の場合に、充電電流の最大値である所定の第一充電流値で前記二次電池セル2への充電を開始し、前記二次電池セル2の温度が、前記第一閾値温度TP1より高い所定の第二閾値温度TP2までの間は充電を継続しつつ、該第二閾値温度TP2における充電電流を、前記第一充電電流値よりも低い所定の第二充電電流値とし、前記二次電池セル2の温度が、前記第二閾値温度TP2より高い所定の第三閾値温度TP3までの間は充電を継続しつつ、該第三閾値温度TP3における充電電流を、前記第二充電電流値よりも低い所定の第三充電電流値とし、前記二次電池セル2の温度が、前記第三閾値温度TP3より高い場合に、充電電流を停止する。これにより、二次電池セルの温度が低い状態では、通常よりも大電流で通電して充電量を大きくし、充電時間の短縮化を図ることができ、さらに二次電池セルの温度が上昇すると充電量を小さく切り替えて、二次電池セルの保護を図ることが可能となる。さらに、第二充電電流が第一充電電流と略等しい状態とすることで、電池パックの二次電池セルの温度上昇を抑えることもでき、第三閾値温度以上に達した時は、充電電流を停止させ安全性を確保することができる。
【0008】
また第2の側面に係る電池パックの無接点充電方法によれば、前記第一充電電流値が、前記電池パック90をACアダプタに接続した際に充電を行う電流値と略等しくすることができる。これにより、無接点充電とACアダプタによる充電とが可能な電池パックの充電において、無接点充電時の充電電流の初期値を、ACアダプタによる充電時とほぼ等しくして、充電時間の長時間化を抑制し、無接点充電の充電電流を増加させつつ、ACアダプタによる充電時の充電電流と一致させることで充電回路を共通化できる。
【0009】
さらにまた第3の側面に係る電池パックの無接点充電方法によれば、前記二次電池セル2の温度と充電電流との相互関係を充電プロファイルとし、前記充電電流を前記二次電池セル2の温度に応じて低下させる充電プロファイルが、階段状に構成されてなる。これにより、電池パックは、第一閾値温度から第三閾値温度との間で、閾値設定温度を複数設けられるため、各閾値温度での上昇下降温度に対して充電電流を階段状に変更でき、安定した二次電池セルの温度コントロールを行うことができ、二次電池セルを保護することができる。
【0010】
さらにまた第4の側面に係る電池パックの無接点充電方法によれば、前記充電電流を前記二次電池セル2の温度に応じて低下させる充電プロファイルが、連続的に低下されてなる。これにより、二次電池セルの温度を連続的にフィードバックし、温度に反比例した充電プロファイルとすることもできるし、さらには二次曲線的に電流を低下する充電プロファイルとすることもできる。フィードバックされた電池情報は、応答速度を保ち連続的な二次電池セルの温度コントロールにより、急速充電を可能とすることができる。
【0011】
さらにまた第5の側面に係る電池パックの無接点充電方法によれば、該電池パック90を接続して駆動する電池駆動機器100に接続された状態か、電池パック90単体のいずれかを認識する工程を含んでいる。これにより、電池パック単体の温度は、電池駆動機器内での二次電池セルの温度と比較した場合に、熱が籠もりにくいため、更に急速充電を可能とすることができる。
【0012】
さらにまた第6の側面に係る電池パックの無接点充電方法によれば、前記認識結果に基づいて、二次電池セル2充電時の第一閾値温度TP1を変更する工程を含んでいる。これにより、電池駆動機器で使用される場合と、電池パックとして使用する場合とで、電池パック内の温度上昇が異なるため、第一閾値温度からの充電開始を変更することができる。
【0013】
さらにまた第7の側面に係る電池パックの無接点充電方法によれば、前記認識結果に基づいて、充電プロファイルを変更する工程を含んでいる。これにより、電池パックは、無接点充電時で電池駆動機器への内蔵であるか、電池パック単体であるかの判断認識により、充電プロファイル方法を変更することができ、環境条件にあった充電プロファイルを選択することができる。
【0014】
さらにまた第8の側面に係る電池パックによれば、二次電池セル2と、前記二次電池セル2の電圧を検出する電圧検出部と、前記二次電池セル2の充放電に伴う電流を検出する電流検出部と、前記二次電池セル2の温度を検出する温度検出部と、受電コイル1と、前記受電コイル1で受電した電力を、前記二次電池セル2を充電可能な充電電流に変換する充電回路と、を備え、電池パックを充電する充電台に載置された状態で、充電台に内蔵される送電コイルと前記受電コイル1とを電磁結合して、充電台から前記電池パック90に電力を送出して、前記二次電池セル2を充電する電池パック90であって、前記電池パック90はさらに、該電池パックが充電台に載置された状態で、電池パック90が駆動対象の電池駆動機器に接続された状態か、電池パック90単体のいずれであるかを認識する接続判別手段を備えており、前記充電回路は、前記温度検出部で検出された二次電池セル2の温度が、所定の第一閾値温度TP1より低い場合は充電を行わず、該第一閾値温度TP1以上の場合に、充電電流の最大値である所定の第一充電電流値で前記二次電池セル2への充電を開始し、前記二次電池セル2の温度が、前記第一閾値温度TP1より高い所定の第二閾値温度TP2までの間は充電を継続しつつ、該第二閾値温度TP2における充電電流を、前記第一充電電流値よりも低い所定の第二充電電流値とし、前記二次電池セル2の温度が、前記第二閾値温度TP2より高い所定の第三閾値温度TP3までの間は充電を継続しつつ、該第三閾値温度TP3における充電電流を、前記第二充電電流値よりも低い所定の第三充電電流値とし、前記二次電池セル2の温度が、前記第三閾値温度TP3よりも高い場合には、充電電流を停止するよう構成している。これにより、二次電池セルの温度が低い状態では、通常よりも大電流で通電して充電量を大きくし、充電時間の短縮化を図ることができ、さらに電池温度が上昇すると充電量を小さく切り替えて、二次電池セルの保護を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電池パックを内蔵する電池駆動機器を無接点の充電台にセットする状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す充電台に電池駆動機器をセットして電池パックを充電する状態を示す垂直断面図である。
【図3】図2に示す充電台に電池パックをセットして充電する状態を示す垂直断面図である。
【図4】リチウムイオン二次電池の充電電流及び充電電圧を示すグラフである。
【図5】本発明による実施例1の無接点充電における二次電池セルの温度と二次電池セルへの充電電流との対比を示すグラフである。
【図6】本発明による実施例2の無接点充電における二次電池セルの温度と二次電池セルへの充電電流との対比を示すグラフである。
【図7】図6の変形例1で無接点充電における二次電池セルの温度と二次電池セルへの充電電流との対比を示すグラフである。
【図8】図6の変形例2で無接点充電における二次電池セルの温度と二次電池セルへの充電電流との対比を示すグラフである。
【図9】図6の変形例3で無接点充電における二次電池セルの温度と二次電池セルへの充電電流との対比を示すグラフである。
【図10】図1および図2における電気回路のブロック図である。
【図11】図3における電気回路のブロック図である。
【図12】従来の無接点充電にて電池駆動機器を充電台にセットした状態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックの無接点充電方法及び電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックの無接点充電方法及び電池パックを以下のものに特定しない。さらに、本明細書においては、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0017】
以下、実施例として無接点充電における電池パックの実施形態を、図1から図3にて説明する。図1は電池パックを内蔵する電池駆動機器を無接点の充電台にセットする状態を示す斜視図、図2は充電台に電池駆動機器をセットして電池パックを充電する状態を示す垂直断面図、図3は充電台に電池パックをセットして充電する状態を示す垂直断面図をそれぞれ示している。
【0018】
まず図1から図3に示す充電台110は、電池パック90の受電コイル1に電磁結合される送電コイル113と、この送電コイル113に高周波電力を供給する高周波電源制御回路114を備えている。さらにこの高周波電源制御回路114は、AC/DCアダプタ(図示せず)からの接続プラグ141、USBケーブル142、または充電台用二次電池112のいずれかから直流電力が供給される。無接点の充電台110は、AC/DCアダプタからの接続プラグ141を接続するDC接続端子117Aと、USBケーブル142を接続するUSB端子117Bからなる直流入力端子117を外装ケース111に設けている。この直流入力端子117は、充電台用二次電池112への充電および直接高周波電源制御回路114へ供給される。また直流入力端子117への電力の供給がない場合には、充電台用二次電池112から高周波電源制御回路114への直流電力を供給することができる。これにより、この充電台110は、持ち運びが可能で、直流入力端子117への電力供給が無くても、充電台用二次電池112の直流電力を供給することで高周波電源制御回路114により高周波電力を発生させることができる。
【0019】
さらに充電台110の送電コイル113は、電力の送電と共に、電池パック90内二次電池セル2の、電圧、電流及び温度情報や接続判別等を無接点充電トランスミッターとして受電コイル1を利用しフィードバック情報を受けることができる。このフィードバック情報は、充電台110内部の送電制御基板115により処理され、高周波電源制御回路114へ伝達し、変更した高周波電力を送電コイル113へ供給することができる。これにより、充電台110は、電池パック90の電圧、電流及び温度情報や接続判別等を監視することができ、その情報源に基づいて送電コイル113への高周波電力を変更することができる。
(二次電池セル2)
【0020】
ここで電池パック90に内蔵される二次電池セル2は、各面を一体成型した外装缶を形成し、金属ケースとすることができる。たとえば、金属ケースは、アルミニウム等とすることができ、外因性の衝撃から保護することができ、さらに放熱性にも優れた効果を得ることができる。
【0021】
この実施例での二次電池セルは、体積エネルギー密度の大きいリチウムイオン二次電池又はリチウムポリマー電池を使用することで、全体を軽く、薄く、小さくして利便性を良く携帯駆動機器に利用できる特徴がある。ただこれに限るものではなく、二次電池セルは、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の充電できる全ての二次電池とすることもできる。
(充電プロファイル)
【0022】
ここで図4に、リチウムイオン二次電池の温度と充電電流及び充電電圧との関係の一例を示す。この図において、単電池温度の温度領域に関しては、温度閾値T1〜T2が低温度域、温度閾値T2〜T3が標準温度域、温度閾値T3〜T4が高温度域および温度閾値T5〜T6が推奨温度域である。さらに充電電圧は、温度閾値T2から温度閾値T3の間にある温度閾値T5から温度閾値T6間を安全領域(電圧)としている。充電においては、上限充電電圧を超えないことが重要となる。このため本願発明の電池パック90では、常に電池パック90内にて二次電池セル2の電圧を監視している。この電池パック90は、上限充電電圧を超えた場合には、二次電池セル2への充電電流を停止させる回路を備えており、充電台110からの電磁供給を停止することで、安全性を高めている。また、温度閾値T1〜T2の低温度域、温度閾値T3〜T4の高温度域においては、充電電流、充電電圧の一方または両方を満足することが望ましい。
【0023】
さらに、単電池温度と充電電流は、温度閾値T1は下限充電温度を示しており、また、温度閾値T4が上限充電温度を示している。さらに、温度閾値T2から温度閾値T3間が安全領域(電流)としている。ここで図5から図9では、無接点充電における二次電池セルの温度と二次電池セルへの充電電流との対比を示すグラフを示している。これに対する、電池パック90は、内蔵されている二次電池セル2の電池温度情報により、制御信号を充電台110へ送り、送電コイル113より適切な受電を受けている。このとき、二次電池セル2の温度が、所定の第一閾値温度TP1より低い場合は充電を行わず、第一閾値温度TP1以上の場合に、充電電流の最大値である所定の第一充電電流値で二次電池セル2への充電を開始しする。さらに、二次電池セル2の温度が、第一閾値温度TP1より高い所定の第二閾値温度TP2までの間は充電を継続しつつ、第二閾値温度TP2における充電電流を、第一充電電流値よりも低い所定の第二充電電流値としている。さらにまた、二次電池セル2の温度が、第二閾値温度TP2より高い所定の第三閾値温度TP3までの間は充電を継続しつつ、第三閾値温度TP3における充電電流を、第二充電電流値よりも低い所定の第三充電電流値としている。それ以上二次電池セル2の温度が、前記第三閾値温度TP3よりも高い場合には、充電電流を停止する。なお、「・・・までの間は充電を継続しつつ、」とは、充電電流を一定とする場合のみならず、変化させながら充電を継続することができることを示している。
【0024】
これを踏まえた形で、まず図5は、実施例1の無接点充電における二次電池セルの温度と二次電池セルへの充電電流とのグラフを示している。このフィードバックされた温度情報により充電台110の送電コイル113には、制御された高周波電力が供給される。その高周波電力は、送電コイル113と電磁結合した受電コイル1により受電される。さらに、受電コイル1が受電した誘導起電力は、後述する整流充電制御部96により整流し平滑された直流電流に変換される。変換された直流電流は、二次電池セル2へ第一閾値温度TP1を0度と、第二閾値温度TP2を40度と、さらに第三閾値温度TP3を45度としたグラフに示すような充電プロファイルを示している。ここで、第一閾値温度TP1は、電池工業会(BAJ)が提唱する温度閾値T2に相当する。さらに第二閾値温度TP2は、温度閾値T3に相当する。さらにまた、第三閾値温度TP3は、上限充電温度の温度閾値T4に相当する。
【0025】
この図5に示す実施例1では、第一閾値温度TP1の0度時点より充電を開始し、第一閾値温度TP1の0度から第二閾値温度TP2の40度までを一定電流の約400mAとしている。この電流値は、BAJでの定格充電電流に相当する。さらに、第二閾値温度TP2の40度から第三閾値温度TP3の45度で約150mAまで温度に反比例して低下させている。さらにまた、第三閾値温度TP3の45度を超えた場合には、充電電流を停止するように、送電電流を停止させている。この実施例1での充電プロファイルは、第一閾値温度TP1から第三閾値温度TP3の充電電流変化を、充電プロファイル1としている。
【0026】
この充電プロファイル1により充電される電池パック90は、温度が上限充電温度を超えた場合に、熱暴走の可能性の回避のため、上限充電温度である第三閾値温度TP3で充電電流を自動的に停止させている。これにより、二次電池セル2への熱による熱暴走を回避し、破損の可能性を低減させることができる。ここで、第一閾値温度TP1、第二閾値温度TP2、第三閾値温度TP3並びに上限充電温度は、二次電池セルの仕様により異なるため、各温度の閾値設定を変更することができる。さらに同様に、各閾値温度での充電電流の値自体も異なる設定に変更することができる。
【0027】
実施例1における充電プロファイル1では、電池パック90の安全性を重視した無接点充電が可能であるが、充電時間を要する。これを短縮するため実施例2では、図6に示すように、第一閾値温度TP1の0度と第二閾値温度TP2の40度との中間温度で中間閾値を設け、第一閾値温度TP1の0度時点で、ACアダプタによる充電と同等で上限充電電流に近い約700mAとし、中間閾値の温度まで温度に反比例して充電電流を減少させ約500mAとしている。これにより、第一閾値温度TP1と中間閾値との間で安定温度となった場合には、二次電池セル2への供給電力を増加させることができ、二次電池セル2の充電量を増加させることができる。さらに中間温度を超える温度での充電電流は、中間閾値の温度から第二閾値温度TP2である40度までの間で、温度に反比例して約400mAまで減少させている。さらにまた実施例1と同様に第二閾値温度TP2から第三閾値温度TP3までは、温度に反比例して約150mAまで減少させ、第三閾値温度TP3を超えた時点で充電電流を停止している。この実施例2での充電プロファイルは、第一閾値温度TP1から第三閾値温度TP3の充電電流変化を、充電プロファイル2としている。これにより、充電プロファイル2により充電されるこの電池パック90は、低温時に充電電流を最大充電電流に近い値で充電でき、この間での急速充電を可能とし充電時間を短縮することができ、その後温度が上昇する毎に充電電流を低下させることで、電池パック90の安全性を向上させている。さらに、上限充電温度である第三閾値温度TP3の45度で充電電流を停止させることで、二次電池セルの熱による熱暴走等の悪影響を回避することができる。
【0028】
これらの電池パック90の温度上昇は、使用環境に大きく影響される。たとえば、図1及び図2の電池駆動機器100に内蔵された電池パック90は、電池パック単体の場合に比べて熱が電池駆動機器内で籠もり易くなり、温度が上昇する傾向にある。このような状況に応じて、充電プロファイル1か充電プロファイル2かを適切に選択する。例えば、夏場等の暑い時期は、電池駆動機器100も外気温に影響され、高温となるため、この時点では充電プロファイル1を選択することで、内部の電池パック90を保護できる。逆に、冬場では外気温が下がっているため、電池駆動機器100も低温となり、充電方法を充電プロファイル2に変更することにより、急速充電が可能となり充電時間の短縮を図ることができる。ここでは、充電時間の短縮化を図るため、充電プロファイル2を選択している。
【0029】
なお電池パック90は、内部の二次電池セル2の電圧、電流及び電池温度を監視し、その情報に基づいて送電コイル113への高周波電力を変更することもできる。これにより、無接点充電開始時の電池温度が、中間閾値の温度より低い場合には充電プロファイル2とし、中間閾値の温度より高い場合には充電プロファイル1へと、自動で選択させることもできる。
【0030】
また図3に示す電池パック90単体は、電池パック自体が外気に接触しているため、温度上昇が押さえられるため、充電電流を充電プロファイル2の方式で実施することで、急速充電が可能である。
【0031】
さらに、電池パックは、電池駆動機器100に内蔵される電池パック90か、単体の電池パック90であるか接続判別手段として後述する経路切替スイッチ93を有しているため、第一閾値温度TP1を変更することができる。たとえば、電池パック90は、電池駆動機器100内部に内蔵されるため、熱が籠もりやすく第一閾値温度TP1を上記0度とすることで、安全性を高めることができる。これに対し、単体で充電される電池パック90は、充電プロファイル2の第一閾値温度TP1を0度以上に変更することができ、たとえば約10度とすることもできる。これは、電池パック90は、外気に直接触れているため冷却効果が高く、第一閾値温度を約10度とした場合、充電電流を最大充電電流に近い状態で充電が可能で、急速充電を効率よく実施することができる。
【0032】
これらの充電プロファイル1及び充電プロファイル2は、充電開始から一定時間が経過後、電池セル1が第三閾値温度TP3以内で安定温度なった場合、その時点での電流値が維持され、二次電池セル2へ電流供給を続け満充電まで充電を行ことができる。これにより電池パック90は、安全で確実に満充電とすることができる。さらに、充電プロファイル2では、一定温度となる温度が低ければ低いほど、充電電流を高く設定され、急速充電が可能となり充電時間の短縮を図ることができる。
【0033】
さらに、図7から図9に、充電プロファイル2の変形例として、無接点充電における二次電池セル2の温度と二次電池セル2への充電電流とのグラフを示している。まず実施例2の充電プロファイル2で、第一閾値温度TP1から中間閾値温度までを温度に反比例して充電電流を低下させていたが、図7に示す変形例1では、階段状に充電電流を低下させている。この充電電流は、第一閾値温度TP1の0度時点で約700mAとし、5度上昇毎に10%減少させ、二次電池セル2の温度が約25度に達した時点からは、第二閾値温度TP2まで一定電流としている。さらに、充電電流は、第二閾値温度TP2から第三閾値温度TP3までは、実施例1同様温度に反比例して約150mAまで低下させ、第三閾値温度TP3を超えた時点で停止させている。これにより、二次電池セル2の温度が、約25度以下の低温域で安定した場合には、急速充電が可能となり、さらに安定温度が約25度を超えた場合は、約400mA程度の一定電流で充電となり、充電による温度上昇を抑制することができる。
【0034】
さらにまた、変形例1では、二次電池セル2の温度が5度上昇時に、10%充電電流を減少させているが、これに限るものではなく、亜熱帯地域や寒冷地等の環境状況により、変更することは可能である。たとえば、亜熱帯地域などで使用される場合には、二次電池セル2の温度が2度上昇毎に、10%充電電流を減少させ充電電流を急激に下げ、早期に二次電池セル2を安定温度で動作させることも可能である。
【0035】
さらにまた、寒冷地等での利用の場合には、二次電池セル2へ外気温の低い影響を受けるため、実施例2の充電プロファイル2の変形例2として、図8に示すような充電プロファイルとすることもできる。この充電プロファイルは、第一閾値温度TP1から第二閾値温度TP2までを温度上昇に反比例して低下させている。これにより、二次電池セル2は、第二閾値温度TP2以下での安定温度の場合、充電電流を定格充電電流値より高い状態で維持することができ、充電時間が短くなる急速充電を可能としている。
【0036】
次に、図9に示す実施例2の充電プロファイル2の変形例3は、第一閾値温度TP1から第二閾値温度TP2まで、二次曲線的に充電電流を減少させる充電プロファイルとしている。これにより、変形例3の充電プロファイルは、第一閾値温度TP1の0度時点での充電電流を約700mAとし、温度上昇と共に放物曲線的に充電電流が減少し、第二閾値温度TP2で約400mAに到達する。さらに、第二閾値温度TP2から第三閾値温度TP3までは、実施例1同様温度に反比例して約150mAまで低下させ、第三閾値温度TP3を超えた時点で充電電流を停止させている。これにより、充電電流による二次電池セル2の温度上昇が急激な場合に、即座に充電電流を減少させることができ、二次電池セル2を熱暴走による破損から回避させることができる。さらに、この充電プロファイルの二次曲線は、仕様要件により充電電流の降下曲線を変更することもできる。
【0037】
ここで、実施例1,2および変形例1〜3の第二閾値温度TP2から第三閾値温度TP3の充電電流の低下を、温度に対して反比例としているが、これに限るものではなく、二次曲線的に急激に充電電流値を下げることもできる。また、第三閾値温度TP3での充電電流は、約150mAとしているが、これに限るものではなく、約150mA以下の電流値とすることができ、約0mAとすることもできる。
(充電台110)
【0038】
ここで、充電プロファイルを行うための回路の概略構成として、図10および図11に示している。ここで、図10では、図1及び図2に示す充電台110により、電池駆動機器100を充電するブロック図を示している。ここでは、充電台110と電池駆動機器100内部の電池パック90とを電磁結合させている。充電台110には、送電コイル113を有している。さらに、電池パック90には、受電コイル1を有している。電磁結合は、充電台110の送電コイル113に高周波電流を流すことにより、磁束が発生し、その磁束により受電コイル1に誘導起電力を発生させることができる。これにより、電池パック90の二次電池セル2は、受電コイル1からの誘導起電力を無接点充電回路95内の整流充電制御部96で整流し平滑された直流電力が送電されることで、充電することができる。
【0039】
さらに、充電台110内の高周波電源制御回路114は、AC/DCアダプタからのDC接続端子117AとUSB端子117Bとを有する直流入力端子117から、直流電力の供給を受けることができる。この直流電力は、充電台110の充電台用二次電池112への充電と共に、高周波電源制御回路114へ直流電力を供給し、直流電力を高周波電力に変換し送電コイル113へ供給することができる。ここで、高周波電源制御回路114には、受電可能な機器の有無を判別する機器検出回路119、および送信出力電力を制御する高周波制御回路120を有している。さらに、直流入力端子117への直流電力が供給されない場合は、充電台110の充電台用二次電池112より、高周波電源制御回路114へ直流電力を供給することができる。これにより、無接点充電を行う送信コイル113は、受電機器側にある受電コイル1と磁束により電磁結合ができ、受電コイル1に誘導起電力を供給することができる。
【0040】
さらにまた、高周波電源制御回路114への電力供給は、直流電力制御回路121により制御され、直流入力端子117および充電台用二次電池112の切り替えをスイッチSW1、SW2、SW3及びSW4のON/OFFにて行われている。ここで充電台用二次電池112への充電は、直流入力端子117から直流電力が入力されたことを、直流電力制御回路121にて認識し、スイッチSW1またはSW2及びSW3がONになり通電される。ここで通電された直流電力は、内部充電回路118にて、充電台用二次電池112が満充電か否かを検出し、充電可能であれば充電を開始し、満充電時は電力供給しないようにする。これにより、充電台110は、持ち運びが可能で、交流電源が無い場所又は、USB電源を得ることができない場所でも、内部電池112により高周波電源制御回路114への電力供給が可能である。
【0041】
機器検出回路119は、送電コイル113と電磁結合される受電コイル1が認識できる範囲にあるか否かを判断し、受電範囲内であれば電力を供給し、受電範囲外であれば電力供給を停止する。これにより、充電台110は、無駄な送電エネルギーを供給することなく、必要時のみ送電することで省エネ効果を得ることができる。
【0042】
高周波制御回路120は、送電コイル113へ供給する高周波電力の制御を行う。さらに、充電台110には、受電する電池パック90内部の電圧、電流及び温度情報や接続判別等の情報を受ける送電制御基板115を有している。この送電制御基板115には、電池パック90の情報を受けるために、高周波電源制御回路114で発生させた高周波を除去するための同相信号除去回路116を有している。電池パック90の情報を受けた送電制御基板115は、コントロール信号を高周波制御回路120へ伝達し、その情報に従って送電コイル113への高周波電力を調整する。これにより、電池パック90の情報を正確に送電制御基板115へ伝達することができ、さらに電池パック90への電磁結合による誘導起電力をコントロールすることができる。
【0043】
ここで、充電台110においては、受電する電池パック90内部の電圧、電流及び温度情報や接続判別等の情報を受ける送電制御基板115により、二次電池セル2に対して最大の電流値、最大の電圧値を規制した定電流・定電圧充電が行えるように、充電台110の出力を制御する。これにより、出力を制御された充電台110は、電池パック90の二次電池セル2を確実に定電流又は定電圧による充電を実現することができる。具体的には、電圧、電流等の電池情報により、例えば、二次電池セルを最大4.2Vに充電する場合4.2V以下のときは、最大の所定の定電流充電となるように充電台110の出力調整を行う。さらに、二次電池セルの電圧が4.2Vに達した場合は、最大の定電圧充電で4.2Vを維持できるように、充電台110の出力調整を行う。さらにまた、本実施例での充電プロファイルは、電池パック90内のパック制御部91に保存しており、電池温度情報に基づいて所定の定電流となるように、充電台110の出力調整を制御することができる。
(電池パック90)
【0044】
つぎに、電池パック90の受電回路は、受電コイル1、二次電池セル2、無接点充電回路95、FET等のスイッチとしての充電スイッチ98、無接点電流検出抵抗99、保護回路92、経路切替スイッチ93、温度検出部94およびパック制御部91等を有する。さらに無接点充電回路95には、受電コイル1からの誘導起電力を整流し平滑するための整流充電制御部96を有する。さらに、無接点充電回路95には、二次電池セル2の電圧、電流及び温度情報や接続判別等の情報を無接点充電トランスミッターとして受電コイル1を利用しフィードバック情報を、充電台110へ伝達する情報変調制御部97をも有する。
【0045】
受電コイル1は、充電台110の送信コイル113からの磁束を受け、誘導起電力に変換され、整流充電制御部96により、交流電力を整流し平滑を行い直流電力とし、二次電池セル2を充電可能とする。これにより、電池駆動機器100の電池パック90は、無接点充電が可能となり、接点充電時に起こる接触不良等のトラブルを避けることができる。
【0046】
ここで、パック制御部91は、二次電池セル2の電圧、電流及び温度情報や接続判別等の電池情報を収集し、無接点充電回路95内の情報変調制御部97へ伝達する。この伝達された情報を情報変調制御部97は、伝送する伝送タイミングと、伝送しない非伝送タイミングとを所定の周期で繰り返し、電池情報を受電コイル1を経由し、充電台110へ伝達する。この周期は、たとえば0.1sec〜5sec、好ましくは0.1sec〜1secに設定される。無接点充電している二次電池セル2は、残容量、電圧、電流、温度などが変化するので、これらの電池情報は、前述の周期で繰り返し伝送する。また、充電している電池の満充電の電池情報は、充電している電池が満充電となったタイミングにおいて伝送される。
【0047】
情報変調制御部97から受電コイル1への情報伝達方法としては、電池情報を示すデジタル信号で情報変調制御部97に内部構成されるスイッチング素子(図示せず)をON/OFFに切り換えて、すなわち周波数変調して電池情報を伝送する。たとえば、情報変調制御部97は、1000bpsのスピードでスイッチング素子をON/OFF制御して、電池情報を伝送する。ただし、情報変調制御部97は、500bps〜5000bpsで電池情報を伝送することもできる。伝送タイミングにおいて1000bpsで電池情報を伝送した後、非伝送タイミングにおいては電池情報の伝送を停止して二次電池セルを正常な状態で充電する。伝送タイミングにおいては、スイッチング素子がON/OFFに切り換えられる。これにより、電池情報は、充電台110側にある送電制御基板115に変調周波数として伝達され、高周波制御回路120にて制御され、高周波電源制御回路114の出力電力をコントロールすることができる。
【0048】
さらに、二次電池セル2は、整流された直流電力を充電スイッチ98により電圧を監視され、充電可能状態時に充電される。この電池降下変化素子98で監視された情報は、パック制御部91を経由し、情報変調制御部97へ伝達される。この実施例での充電スイッチ98は、図ではFETとしているが、電流通過制御可能なトランジスタ等の半導体素子での実現も可能である。好ましくは、電流通過時に電力損失が少ない半導体素子を選択されることで、省エネを実現することができる。
【0049】
ここで検出された二次電池セル2の電圧情報は、上限充電電圧に到達した場合にパック制御部91より停止制御を行い電池降下変化素子98をオープン状態にすると共に、充電台110の高周波電源制御回路114の出力電流を停止することができる。これにより、充電台110の送電エネルギーを削減でき、さらに二次電池セル2の安全性を向上させることができる。
【0050】
さらに無接点充電電流制御に関しては、無接点電流検出抵抗99間に生じる電圧降下をパック制御部91にて検出し、電池降下変化素子98にて制御すると共に、情報変調制御部97へ伝達され、充電台110の出力を制御することも可能である。さらに、保護回路92は、充電電流および放電電流における二次電池セル2の保護を行っている。これにより、電池パック90は、充電電流に関してフェールセーフ設計となり、より安全性を高めることができる。
【0051】
さらにまた、この二次電池セル2は、温度検出部94により温度を監視され、その情報をパック制御部91に送られ、無接点充電回路95内の情報変調制御部97にて、充電台110の供給電力を制御される。ここで用いられる温度検出部は、NTCサーミスタ、PTCサーミスタや温度ヒューズ等とすることができる。
【0052】
ここで検出された二次電池セル2の温度情報は、電池パック90内のパック制御部91にプログラムされている充電プロファイルに従い、高周波制御回路120に指示を伝達し、高周波電源制御回路114の出力電流を制御することによりコントロールできる。この充電プロファイルは、複数プログラムすることが可能で、使用環境や使用状況に合わせて選択することができる。これにより、寒冷地では、上記記載の実施例2、変形例1,変形例2および変形例3などが選択でき、電池温度が第一閾値温度TP1であれば、最大充電電流に近い約700mAでの充電が可能で、温度上昇と共に各充電プロファイルの条件下で、高周波電源制御回路114の出力電流を下げることができ、短時間で充電することができる。さらに、二次電池セル2の温度が第一閾値温度TP1より低い場合および第三閾値温度TP3より高い場合には、高周波電源制御回路114の出力電流を停止させることができ、電池パック90の安全性を高めることができる。
【0053】
さらに、亜熱帯地域等で利用される電池駆動機器100は、この実施例でプログラムされている充電プロファイル1を選択することにより、二次電池セル2が第二閾値温度TP2以下の場合には常に定格充電電流である約400mAとしている。これにより、充電における受電コイル1および二次電池セル2の発熱を抑え、二次電池セル2の熱暴走を回避することができる。
【0054】
このように二次電池セル2の電圧、電流及び温度の電池情報は、いずれかのパラメータで二次電池セル2の異常を検出した場合、充電電流を停止するように動作することができ、電池パック90の保護を行っている。
【0055】
さらに、無接点充電時においては、この電池パック90は、駆動機器本体101と接続されていいるか否かを、無接点充電回路95の出力電圧を印加されたパック制御部91にて監視している。この実施例では、経路切替スイッチ93は、通常時オープン状態となっている。このため、電池パック90が駆動機器本体101と接続されている場合のパック制御部91には、二次電池セル2の電圧が印加される。これに対し電池パック90単体の場合のパック制御部91には、無接点充電回路95の整流後電圧が印加されることになる。例えば、電池パック90が駆動機器本体101に接続されている場合のパック制御部91には、二次電池セル2の電圧である約4.2V以下が印加される。これに対し、電池パック90単体の場合のパック制御部91には、無接点充電回路95の整流後電圧である約5Vが印加される。これにより、この電圧差をパック制御部91にて検出し、電池パック90と駆動機器本体101との接続判定を行っている。ただ、この経路切替スイッチ93は、電池パック90単体にて、上記の接続判定後、パック制御部91の制御により、無接点の充電器110に載置された場合クローズ状態になり、二次電池セル2への充電を開始することができる。これにより、電池パック90単体で充電台110に載置されてない場合には、経路切替スイッチ93がオープン状態であるため、保管時等による自然放電を減少させることができる。
(駆動機器本体101)
【0056】
ここで駆動機器本体101の回路構成の一例として、この実施例では、DC入力コネクタ152、アダプタ判定回路151、アダプタ充電回路153、システム電源154、残容量演算部155(FG−IC)および機器制御部150等を有している。ここで駆動機器本体101は、DC入力コネクタ152に直流電源が接続されている場合には、アダプタ判定回路151およびアダプタ充電回路153により検出される。DC入力コネクタ152からの直流電力を検出した場合にアダプタ充電回路153は、電池パック90の電池降下変化素子98をオープン状態にし、無接点充電ができない状態とする。さらに、アダプタ充電回路153は、システム電源154および電池パック90へ電力を供給するように動作する。これにより、電池パック90の二次電池セル2は、駆動機器本体101のDC入力コネクタ152からの直流電力により充電される。この時点で、電池パック90は、パック制御部91の情報により、充電台110へ電力供給停止命令を伝送している。
【0057】
無接点充電時の動作としては、駆動機器本体101からのDC入力コネクタ152の未接続情報により、電池パック90の充電スイッチ98がクローズ状態され、受電コイル1からの誘導起電力を整流充電制御部96にて整流し平滑された直流電力が二次電池セル2を充電する。
【0058】
つぎに図11のブロック図は、充電台110で無接点充電する単体の電池パック90を示している。充電台110は、上記記載の動作するものである。さらに、電池パック90は、充電台110に載置されたことを、無接点充電回路95にて検出し、その情報によりパック制御部91より経路切替スイッチ93をクローズ状態させ二次電池セル2の充電を行う。この二次電池セル2は、外気による冷却効果が高いため、充電プロファイルを急速充電が可能な充電プロファイル2を選択し、低温時には充電電流を増加させ急速充電することができる。なお、電池パック90が単体であっても、該電池パック90を接続して駆動する電池駆動機器100に接続された状態であっても、充電プロファイル2によって、急速に充電可能である。
【0059】
さらに、単体で無接点充電される電池パック90は、第一閾値温度TP1を上昇させることができ、たとえば第一閾値温度TP1を約10度とすることにより、さらに充電電流を高くすることができ、電池パック90の充電時間を短縮することができる。これは、電池パック90内の二次電池セル2が、外気温度の影響を受け、低温で二次電池セル2の温度が安定温度となることにより、充電電流が高い状態で維持され、急速充電を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る電池パックの無接点充電方法及び電池パックは、携帯電話、携帯型音楽プレーヤ用およびPDA等の電池パックとして、好適に利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1…受電コイル
2…二次電池セル
90…電池パック
91…パック制御部
92…保護回路
93…経路切替スイッチ
94…温度検出部
95…無接点充電回路
96…整流充電制御部
97…情報変調制御部
98…充電スイッチ
99…無接点電流検出抵抗
100…電池駆動機器
101…駆動機器本体
110…充電台
111…外装ケース
112…充電台用二次電池
113…送電コイル
114…高周波電源制御回路
115…送電制御基板
116…同相信号除去回路
117…直流入力端子
117A…DC接続端子
117B…USB端子
118…内部充電回路
119…機器検出回路
120…高周波制御回路
121…直流電力制御回路
141…接続プラグ
142…USBケーブル
150…機器制御部
151…アダプタ判定回路
152…DC入力コネクタ
153…アダプタ充電回路
154…システム電源
155…残容量演算部
910…充電台
911…送電コイル
920…電池駆動機器
921…受電コイル
930…電池パック
931…電池
SW1、SW2、SW3、SW4…スイッチ
T1、T2、T3、T4、T5、T6…温度閾値
TP1…第一閾値温度
TP2…第二閾値温度
TP3…第三閾値温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電台(110)に電池パック(90)を載せ、前記充電台(110)から前記電池パック(90)に電力を送出して、前記電池パック(90)に内蔵している受電コイル(1)を、前記充電台(110)の送電コイル(113)と電磁結合させて、内蔵される前記電池パック(90)の二次電池セル(2)を充電する無接点充電方法であって、
前記二次電池セル(2)の温度を検出し、
前記検出された前記二次電池セル(2)の温度が、所定の第一閾値温度(TP1)より低い場合は充電を行わず、該第一閾値温度(TP1)以上の場合に、充電電流の最大値である所定の第一充電流値で前記二次電池セル(2)への充電を開始し、
前記二次電池セル(2)の温度が、前記第一閾値温度(TP1)より高い所定の第二閾値温度(TP2)までの間は充電を継続しつつ、該第二閾値温度(TP2)における充電電流を、前記第一充電電流値よりも低い所定の第二充電電流値とし、
前記二次電池セル(2)の温度が、前記第二閾値温度(TP2)より高い所定の第三閾値温度(TP3)までの間は充電を継続しつつ、該第三閾値温度(TP3)における充電電流を、前記第二充電電流値よりも低い所定の第三充電電流値とし、
前記二次電池セル(2)の温度が、前記第三閾値温度(TP3)より高い場合に、充電電流を停止する
ことを特徴とする電池パックの無接点充電方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックの無接点充電方法であって、
前記第一充電電流値が、前記電池パック(90)をACアダプタに接続した際に充電を行う電流値と略等しいことを特徴とする電池パックの無接点充電方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池パックの無接点充電方法であって、
前記二次電池セル(2)の温度と充電電流との相互関係を充電プロファイルとし、
前記充電電流を前記二次電池セル(2)の温度に応じて低下させる充電プロファイルが、階段状に構成されてなることを特徴とする電池パックの無接点充電方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電池パックの無接点充電方法であって、
前記充電電流を前記二次電池セル(2)の温度に応じて低下させる充電プロファイルが、連続的に低下されてなることを特徴とする電池パックの無接点充電方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の電池パックの無接点充電方法であって、さらに、
該電池パック(90)を接続して駆動する電池駆動機器(100)に接続された状態か、電池パック(90)単体のいずれかを認識する工程を含むことを特徴とする電池パックの無接点充電方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電池パックの無接点充電方法であって、さらに、
前記認識結果に基づいて、二次電池セル(2)充電時の第一閾値温度(TP1)を変更する工程を含むことを特徴とする電池パックの無接点充電方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の電池パックの無接点充電方法であって、さらに、
前記認識結果に基づいて、充電プロファイルを変更する工程を含むことを特徴とする電池パックの無接点充電方法。
【請求項8】
二次電池セル(2)と、
前記二次電池セル(2)の電圧を検出する電圧検出部と、
前記二次電池セル(2)の充放電に伴う電流を検出する電流検出部と、
前記二次電池セル(2)の温度を検出する温度検出部と、
受電コイル(1)と、
前記受電コイル(1)で受電した電力を、前記二次電池セル(2)を充電可能な充電電流に変換する充電回路と、
を備え、
電池パックを充電する充電台に載置された状態で、充電台に内蔵される送電コイルと前記受電コイル(1)とを電磁結合して、充電台から前記電池パック(90)に電力を送出して、前記二次電池セル(2)を充電する電池パック(90)であって、
前記電池パック(90)はさらに、
該電池パックが充電台に載置された状態で、電池パック(90)が駆動対象の電池駆動機器に接続された状態か、電池パック(90)単体のいずれであるかを認識する接続判別手段を備えており、
前記充電回路は、
前記温度検出部で検出された二次電池セル(2)の温度が、所定の第一閾値温度(TP1)より低い場合は充電を行わず、該第一閾値温度(TP1)以上の場合に、充電電流の最大値である所定の第一充電電流値で前記二次電池セル(2)への充電を開始し、
前記二次電池セル(2)の温度が、前記第一閾値温度(TP1)より高い所定の第二閾値温度(TP2)までの間は充電を継続しつつ、該第二閾値温度(TP2)における充電電流を、前記第一充電電流値よりも低い所定の第二充電電流値とし、
前記二次電池セル(2)の温度が、前記第二閾値温度(TP2)より高い所定の第三閾値温度(TP3)までの間は充電を継続しつつ、該第三閾値温度(TP3)における充電電流を、前記第二充電電流値よりも低い所定の第三充電電流値とし、
前記二次電池セル(2)の温度が、前記第三閾値温度(TP3)よりも高い場合には、充電電流を停止する
よう構成してなることを特徴とする電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−31303(P2013−31303A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166097(P2011−166097)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】