説明

電池パック

【課題】電池パックの電池が不正規の電池と交換されて再使用されることを防止する。
【解決手段】電池パック10が分解されたとき、光センサ18が外光を感知し、これにより制御部16は内部のメモリ16aに分解信号を記憶する。この電池パックが使用される際には、セット側(ノートパソコンなど)は、通信端子17a、17bを介してメモリ16aの分解信号をチェックし、分解信号に応じて、この電池の使用可否を判断し、電池の充放電動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次電池を備える電池パックが不正規に改造された場合の危険を防止する技術に関わる。
【背景技術】
【0002】
携帯して使用するノート型のパーソナルコンピュータ(以下、「ノートパソコン」とも略記する)や携帯電話機などの携帯型の情報処理装置を含む電子機器には、外部電源から充電可能なリチウムイオン電池などの2次電池(以下、「電池」と記載する)を搭載している。
【0003】
この電池は、1個または複数の単セル電池をパッケージに収納したもので、通常電池パックと称される。パッケージ内部には電池を過酷な使用(過電流放電や過充電など)から保護するための半導体素子からなる電子回路を搭載したプリント配線基板を収納する。
【0004】
また、この種の電池は、電子機器(以下、「セット」とも記載する)に装着して使用されるため、セット側に充電装置を内蔵するか、専用の充電装置を付属品として備えたものが多い。
【0005】
電池は充放電を繰り返すと電池容量が漸次低下して通常数100回の充放電で使用不可となる。使用済みの電池はセットメーカや、もしくはセットメーカが指定するリサイクル業者により処理されるが、前述のプリント基板は性能の劣化がほとんどなく、廉価でもないことから再利用され、新品の電池と交換されて電池パックが再生される。
【0006】
しかしながら、セットメーカもしくはセットメーカが指定したリサイクル業者以外の事業者やセットの保有者において、前述の新品電池の交換が行われ、再生された電池パックをセットに装着して使用した場合には、交換した電池がセットメーカの指定外の電池や粗悪品であると、前述の電子回路やセット本体が適正に動作せずに、電池パックの発火や極端な場合には破裂が発生して、セットや使用者に多大な損傷を与える危険がある。
【0007】
このため、不正規な再生電池パックを使用できないようにした、例えば特許文献1に示すような提案がなされている。
【0008】
特許文献1に示すものは、パッケージが開封されたときに感応する光センサにより、遮断回路を遮断するようにしたものである。
【特許文献1】特開2008−204878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示す方法は、正規のリサイクル業者によって電池の交換を行う場合においても、外光を受光して遮断回路が遮断するので、暗所での電池交換作業を必要とし不便である。
【0010】
また、使用者側において開封することにより遮断回路が遮断した電池パックを、正規のリサイクル業者において電池の交換を行う場合に遮断回路を交換する必要がある。
【0011】
本発明は、以上のことに鑑みてなされたもので、不正規に電池交換された電池を利用できないようにした電池パックを簡単な構成で、従って安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の電池パックは、少なくとも1個の単セル電池をパッケージ内に収納し、電子機器に接続して電源を供給する電池パックであって、パッケージが開封されたときに、外光により作動する光センサと、電子機器と通信可能で内部に不揮発性メモリを搭載した制御部と、を備え、制御部は光センサの信号を受けて不揮発性メモリに所定の信号を記憶することを特徴とする。
【0013】
このような構成により、不正なリサイクル業者等が電池パックのパッケージを開封したことを確実に検出し、その情報をマイコン等の制御部の不揮発性メモリに記憶することができる。また、不揮発性メモリに記憶された情報を電子機器と通信することにより、不正規な電池パックの使用を禁止することが可能となる。
【0014】
また本発明の電池パックでは、制御部は、電子機器が接続されたときに、不揮発性メモリから所定の信号を読み出して電子機器に送信するようにしてもよい。
【0015】
このような構成により、不正規な電池パックが電子機器に装着されたときに、電子機器が制御部と通信して不揮発性メモリの情報を取得し、その電池の使用を禁止することで不正規な電池パックが電子機器に装着された際の事故を未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、不正規な電池が交換された電池パックを使用できないようすることで、電池パックの発火や破裂を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態)
本実施の形態における電池パック10について、まず図1と図2を用いて構成を説明する。図1は電池パック10の構造を示す分解斜視図、図2は電池パック10の電気的な構成を示すブロック図である。
【0019】
図1において、電池パック10は、樹脂ケース11、12の内部に4個の単セル電池13を収納する。4個の単セル電池13は、直列に接続され、両極は電池端子14aと電池端子14bに接続される。単セル電池13の上部にはプリント基板15を設ける。プリント基板15には単セル電池13群の両端の極から引き出したリード線が接続される。樹脂ケース11と樹脂ケース12とは、嵌合爪もしくはネジ止めなどで固定され、電池を交換する場合に両者を取り外すことができる構成である。
【0020】
図2において、単セル電池13群の両端の極は、電池端子14aと電池端子14bに接続され、かつ、制御部16が接続されている。制御部16には通信端子17aと通信端子17bが接続される。
【0021】
また、制御部16には、光センサ18が接続されている。
【0022】
制御部16はマイコン(マイクロコンピュータ)で構成され、図示していないがCPU(中央処理装置)のほか処理プログラムを内蔵したROMやRAMの他、不揮発性メモリ16aを内蔵している。
【0023】
光センサ18は、ホトトランジスタやホトダイオードなどの光に感応してインピーダンスが変化する半導体であって、図1に示すように、プリント基板15の上面に取り付けられ、樹脂ケース11と樹脂ケース12とが外された状態では、外光(太陽光や照明の光)を感知する。
【0024】
電池パックは初期の組み立ての状態において、通信端子17a、17bと外部との通信により(図示していない)制御部16内の不揮発性メモリ16aの信号をクリアして出荷される。
【0025】
次に図1と図2を参照しながら図3と図4を用いて、不正規に電池が交換された場合の動作を説明する。
【0026】
図3は本実施の形態における電池パック10内の動作を示すフローチャートである。
【0027】
ステップS1において、電池パック10が分解されると、ステップS2において、光センサ18が外光に感応する。次にステップS3において、制御部16が制御部16の不揮発性メモリ16aに分解フラグ(”1”と”0”信号の“1”)として記憶する。
【0028】
このようにして電池交換された電池パック10がセット(ノートパソコン等)に装着された場合の動作を図4で説明する。なお、セットは図示していない。
【0029】
ステップS11において、セットは、電池パックに対して通信端子17a、17bを介して前述の分解フラグの有無を問い合わせる。次のステップS12において、制御部16は、不揮発性メモリ16aに分解フラグがあることを応答する。これを受けたセットは、ステップS13において、電池パック10からの放電と電池パック10への充電を禁止する。また、ステップS11の問い合わせに対してステップS14において、電池パック10がフラグ無しの応答をした場合は、ステップS15において、セットは、電池パック10からの放電と電池パックへの充電を実施可能にする。
【0030】
電池の交換が適正な部門で行われた場合にも、電池交換時において図3で説明した分解フラグが記憶されるが、適正な部門では、不揮発性メモリ16a内の分解フラグをリセット(消去)することができるので、セット側では電池パックの使用を正常に実施できる。
【0031】
以上説明したように、本発明の電池パック10は、パッケージが開封されたときに外光に感応する光センサ18により、電池が不正規に交換されたことを検出し、その検出結果(開封フラグ)を制御部(マイコン)16内の不揮発性メモリ16aに記憶する。そして不正規な電池パック10がセットに装着された場合に、セットが制御部16と通信して不揮発性メモリ16aの開封フラグを読み出し、この電池を利用できないようにしたものである。これにより、不正規な電池パック10がセットに装着された際の事故を未然に防ぐことができる。また、外光によって遮断回路を遮断する従来の方法と異なり、使用者や正規のリサイクル業者が電池の交換を行う場合に、遮断回路を遮断させないように暗所で作業をしたり、開封時に遮断した遮断回路を交換する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、携帯情報処理装置の他、電池を電源とする携帯型の装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態における電池パックの構造を示す分解斜視図
【図2】同電池パックの電気的な構成を示すブロック図
【図3】同電池パック内の動作を示すフローチャート
【図4】同電池パックがセットに装着されたときの動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0034】
10 電池パック
11,12 樹脂ケース
13 単セル電池
14a,14b 電池端子
15 プリント基板
16 制御部(μCPU)
16a 不揮発性メモリ
17a,17b 通信端子
18 光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の単セル電池をパッケージ内に収納し、電子機器に接続して電源を供給する電池パックであって、
前記パッケージが開封されたときに、外光により作動する光センサと、
前記電子機器と通信可能で内部に不揮発性メモリを搭載した制御部と、を備え、
前記制御部は前記光センサの信号を受けて前記不揮発性メモリに所定の信号を記憶することを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記制御部は、前記電子機器が接続されたときに、前記不揮発性メモリから前記所定の信号を読み出して前記電子機器に送信することを特徴とする請求項1に記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−218704(P2010−218704A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60503(P2009−60503)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】