説明

電池モジュールの状態検出方法

【課題】電池モジュールの状態検出方法を提供する。
【解決手段】電池モジュール2は電池ユニット21、22、23を含み、負荷3に接続される。電池モジュール2の状態検出方法は、以下の工程を含む。まず、電池ユニット21、22、23の負荷時電圧値及び負荷3を流れる負荷電流値を計測する。次に、電池ユニット21、22、23の瞬間抵抗値を電池ユニット21、22、23の無負荷電圧値、負荷時電圧値、及び負荷電流値に基づいて計算する。最後に、電池ユニット21、22、23の動作状態を瞬間抵抗、及び内部抵抗と放電時間との関係に基づいて取得する。本発明により、使用者は電池モジュール2の残存エネルギーを正確にリアルタイムで計測し、電池モジュール2を過度に放電することにより発生する電気による危険を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールの状態検出方法に関し、より詳細には、通常の放電動作において、電池モジュールの電池ユニットの内部抵抗を測定して、電池モジュールの寿命及び品質を示す指標とする検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、理想的な電池に比べて、実際の電池は自己の内部抵抗を有する。電池の内部抵抗は、電解液内のイオン濃度、電極板の面積、密度、及び材料等の内部要因により決まる。電池が放電する際、上述の内部要因は順方向に変化するため、結果的に電池の内部抵抗は増大する。電池が充電される際は、上述の内部要因は逆方向に変化し、結果的に電池の内部抵抗は減少する。したがって、適切に機能している電池の寿命を通して、電池の残存エネルギー及び内部抵抗は正の相関関係にある。例えば、放電する電池の内部抵抗が、電池が初めて完全に充電された時の内部抵抗の1.24倍に増大した場合、電池の総容量は半分しか残っていないことを意味する。乗数は電池の種類によって異なる場合があるが、同じ種類の電池についてはほぼ同じ値となる。
【0003】
しかし、実際の適用においては、電池の充放電の度に、電解液のイオン濃度、電極板の面積、密度、及び材料は徐々に劣化し、順方向及び逆方向のどちらの工程であるかに関わらず、回復不可能である。この状況は、電池が製造されて以降、たとえ電池が充電されたとしても、上述のような内部要因を最良の状態に復元することは不可能であるという事実を反映している。その結果、充電の度に電池が完全に充電されたとしても、放充電の回数に比例して内部抵抗が増大する。例えば、充電された電池の内部抵抗値が、電池が初めて充電された時の内部抵抗値の2倍まで増大した場合、電池をこれ以上使用すべきでないことを意味する。
【0004】
電池の内部抵抗は上述したような変化特性を有するため、電池の内部抵抗をリアルタイムに計測する方法があれば、電池の耐用年数内での残存電流エネルギー及び残存寿命は予測可能である。一方、電池の内部抵抗は放電周期の終わり近くで急激に増大し、内部温度の急激な上昇を引き起こす。
【0005】
複数の電池ユニットからなる電池モジュールを考える。電池モジュールの電池ユニットのうち1個が、まだ適切に稼動しているその他の電池ユニットに先行して放電周期の終わりを迎えた場合、そのような不規則な動作状態を電池モジュール全体が示す動作状態から検出するのは非常に難しい。各電池ユニットの内部抵抗の変化をリアルタイムに計測できれば、異常な電池ユニットをリアルタイムに検出できる。これにより、電池モジュールにおいて電気的要因が原因で発火が発生する可能性のある場所を予測可能であり、即座に対応して発火の危険を防止することができる。
【0006】
電池の内部抵抗を従来の方法で測定するためには、直流をコンデンサにより絶縁した状態で、高い周波数を有する外部交流信号を電池に付加しなければならない。更に、ACメータを用いて各電池の電圧分割及び総交流電圧を計測し、これらを用いて、事前に計測した電池ユニットの内部抵抗を参照して、特定の電池ユニットの内部抵抗を計算する。この方法の欠点は、装置の動作及び組立が非常に複雑になるという点である。稼動中の電気自動車、もしくは移動中のその他の装置について上述の方法を適用して、電池モジュールの各電池ユニットの内部抵抗をリアルタイムに計測することはほぼ不可能である。その上、上述の方法を適用することにより危険な状況が発生する可能性がある。
【0007】
例えば、付加する外部交流電流は、電池ユニットを正もしくは負の周期でそれぞれ半周期ずつ充電もしくは放電する。したがって、電池ユニットの両側に検出装置を長期間接続すると、電池ユニットを高い周波数で交互に充放電することにより、電池ユニットに深刻な損傷を与える原因となり、その一方で負荷装置に電気的干渉を与える原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電池モジュールに適用される電池モジュールの状態検出方法を提供して、先行技術における問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態によれば、電池モジュールは電池ユニットを備え、負荷に電気的に接続される。電池モジュールの状態検出方法は、(1)前記電池ユニットの負荷時電圧値及び前記負荷の負荷電流値を測定する工程と、(2)前記電池ユニットの無負荷電圧値、前記負荷時電圧値、及び前記負荷電流に基づいて前記電池ユニットの瞬間内部抵抗値を計算する工程と、(3)前記瞬間内部抵抗値、及び内部抵抗と放電時間との関係に基づいて前記電池ユニットの動作状態を取得する工程とを備える。
【0010】
すなわち、例えば残存電流エネルギー値及び寿命等の電池ユニットの動作状態を、本発明に基づく方法により計測する内部抵抗の変化に基づいて決定できる。本方法によれば、高い周波数を有する外部交流電流を電池に付加する必要がないため、複雑な装置も必要ない。したがって、本方法は、電池モジュール及び配線の構成を単純化するだけではなく、高い周波数を有する交流電流により短時間の間に充放電を繰り返すことにより電池の寿命が減少するのを防止する。更に、本方法を適用しても電池及び回路の電力供給機能には干渉しないため、本方法を適用して、電池の動作中に電池の動作状態をリアルタイムに計測することにより、電池の利便性及び安全を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態による電池モジュールの状態検出装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態による電池ユニットの電圧及び内部抵抗と、放電時間との関係を示すグラフ
【図3】本発明の実施の形態による電池モジュールの状態検出方法のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態による保護機構を起動する手順のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、電池モジュール内の各電池ユニットの内部抵抗を計測して、電池ユニットの残存電流エネルギー値及び寿命を決定する電池モジュールの状態検出方法を供給する。更に、電池モジュール内で発火の危険の原因となる可能性のある場所を予測することも可能である。本発明の実施の形態を、以下の詳細な説明において説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態による電池モジュールの状態検出装置1の概略構成図である。図2は、本発明の実施の形態による電池ユニットにおける電圧及び内部抵抗と、放電時間との関係を示すグラフである。図3は、本発明の実施の形態による電池モジュールの状態検出方法のフローチャートである。図4は、本発明の実施の形態による保護機構を起動する手順のフローチャートである。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態による電池モジュール2を検出する電池モジュールの状態検出装置1を示す。前記電池モジュールの状態検出装置1は、制御ユニット10、検出ユニット11、及び分路12を備える。前記電池モジュール2は、相互に直列接続され、それぞれ正の電極及び負の電極を備える第一電池ユニット21、第二電池ユニット22、及び第三電池ユニット23を備える。前記分路12は、前記電池モジュール2及び負荷3間に直列接続され、前記負荷3を流れる負荷電流値を前記検出ユニット11と連動して検出する。前記検出ユニット11は複数の検査端子を備え、前記検査端子は前記電池ユニットの各々の正の電極及び負の電極にそれぞれ接続され、前記電池ユニットの各々の出力電圧値を測定する。なお、前記電池モジュール2は、異なる構成を有する回路内で直列もしくは並列に接続されて、前記電池モジュールの状態検出装置1における、各電池ユニットの内部抵抗及び残存エネルギー値を検出するための機能に干渉するしない電池ユニットを、上記の記載と異なる数だけ備えていてもよい。
【0015】
以下に、各電池ユニットの内部抵抗を検出する方法を、前記第二電池ユニット22を例にして説明する。前記第二電池ユニット22は、第2の正の電極221及び第2の負の電極222を備える。前記第2の正の電極221及び前記第2の負の電極222は、隣接する前記第一電池ユニット21の負の電極及び前記第三電池ユニット23の正の電極にそれぞれ接続されるが、更に、前記検出ユニット11にも接続される。この構成により、前記検出ユニット11は、前記電池モジュール2を電力供給回路から切断した状態で、前記第二電池ユニット22の無負荷電圧値を計測できる。更に、前記検出ユニット11は、前記電池モジュール2が前記負荷3に電力供給している状態で、前記第二電池ユニット22の負荷時電圧値を計測できる。すると、前記制御ユニット10は、前記第二電池ユニット22の内部抵抗値を前記第二電池ユニット22の無負荷電圧値及び負荷時電圧値、及び負荷電流値に基づいて計算する。より詳細には、前記第二電池ユニット22の内部抵抗値は、(V22)=(無負荷電圧値−負荷時電圧値)÷負荷電流値により得られる。
【0016】
前記第二電池ユニット22の残存電流エネルギー値及び残存寿命を前記第二電池ユニット22の内部抵抗を測定することにより予測するため、参考基準を設定する必要がある。したがって、前記第二電池ユニット22が製造され充電された直後の一番最初の放電周期中に前記第二電池ユニット22の放電データを計測及び記録する必要がある。
【0017】
図2は、前記第二電池ユニット22が製造後初めて放電する際の放電データを示す。本実施の形態において、前記第二電池ユニット22は、50Ahの容量及び3.34Vの電圧を有するリン酸鉄リチウム電池ユニットである。図2において、図示したデータは前記第二電池ユニット22の放電率1C下で得たものであり、すなわち、この場合においては50アンペアの電流が常時放電されていることになる。その場合、前記第二電池ユニット22は60分放電するとエネルギーが枯渇する。したがって、横軸上の目盛りはまた、別の観点からの前記第二電池ユニット22の残存エネルギー値の比率に相当する。
【0018】
図2における横方向の点線は、前記第二電池ユニット22の無負荷電圧値を示し、一定値をとる。図2における実線の曲線は、前記第二電池ユニット22が一定の電流を放電する際の負荷時電圧値を示し、放電時間が長くなるにつれて降下する。図2における一点鎖線は、前記第二電池ユニット22の内部抵抗と放電時間との関係を示し、前記第二電池ユニット22の無負荷電圧値から負荷時電圧値を減算し、次に負荷電流値(50A)で除算することにより求めることができる。
【0019】
図2における一点線上の点Aは、前記第二電池ユニット22が飽和状態から放電し始める瞬間に、3.68mΩの初期内部抵抗値を有することを示す。点Bは、前記第二電池ユニット22の内部抵抗値が、25分間の放電後に初期値の1.24倍に増大したことを示す。一点線の点C以降の部分は、前記第二電池ユニット22が放電周期の終わりに近づくと、内部抵抗が劇的に増大することを示している。点Dは、前記第二電池ユニット22の内部抵抗値が、点Aで示す内部抵抗値の4倍に増大することを示している。この時点において、前記第二電池ユニット22内部での発熱率は、ジュールの法則(Q=I×R×t)によると、その他の電池ユニットの発熱率の4倍となる。前記第二電池ユニット22はこの時点では残存エネルギーをいくらか有するものの、前記第二電池ユニット22が放電し続けると、内部温度は劇的に上昇する。この現象によって、前記第二電池ユニット22が発火及び安全に関する深刻な問題を発生させる可能性があることが予測できる。したがって、前記第二電池ユニット22の内部抵抗が点Cで示す値を超えて増大した場合、前記第二電池ユニット22の使用を中止し、充電することを考えなければならない。
【0020】
図2における二点鎖線は、前記第二電池ユニット22の品質基準値における変化を示す。より詳細には、前記品質基準値は、放電時間とともに変化する前記第二電池ユニット22の内部抵抗を、前記初期内部抵抗値で除算することにより計算する。したがって、この二点鎖線は、上述の一点鎖線で示す内部抵抗を前記初期内部抵抗で除算することにより得られる。したがって、前記品質基準値は、前記第二電池ユニット22が初めて放電し始める瞬間には初期値1を有する。図2を検証すると、前記第二電池ユニット22が42分間放電すると、その内部抵抗は点Cで示す値に到達し、急激に増大し始めることが分かる。その間、前記品質基準値は約2の値まで上昇する。したがって、品質基準値を用いて、前記第二電池ユニット22を動作させ続けることが適切か否かを迅速に決定するのは非常に好都合である。
【0021】
前記第二電池ユニット22の一番最初の放電に関する放電データを取得した後、当該放電データを利用して、引続き前記第二電池ユニット22の動作状態を決定する動作を行ってもよい。例えば、前記第二電池ユニット22が完全に再充電されると、前記電池モジュール2により前記負荷3に電力供給を開始してもよい。前記電池モジュール2が負荷3に電力供給を行う際、前記電池モジュールの状態検出装置1により前記第二電池ユニット22の瞬間内部抵抗値をリアルタイムに計測し、計測した瞬間内部抵抗値を事前に取得した内部抵抗と放電時間との関係と比較することにより、前記第二電池ユニット22の残存電流エネルギー値が決定できる。
【0022】
他の例においては、前記第二電池ユニット22のエネルギーがほぼ無くなりかけている時に、前記第二電池ユニット22を完全に再充電する。次に、前記電池モジュール2が前記負荷3に接続されて電力供給を開始する瞬間に、前記第二電池ユニット22の瞬間内部抵抗値を計測する。最後に、計測した瞬間内部抵抗値を内部抵抗と放電時間との関係と比較することにより、前記第二電池ユニットにおける、今回充電された後の利用可能なエネルギーの、前記第二電池ユニットが工場で製造された直後の利用可能なエネルギーに対する比率を決定できる。完全に充電されて放電開始する直前の前記第二電池ユニット22の瞬間内部抵抗値が前記初期内部抵抗値の約2倍の値を計測した場合、前記第二電池ユニット22をこれ以上使用することは不適切であり、破棄すべきであることを意味する。
【0023】
上述したような構成及び方法により、前記電池モジュールの状態検出装置1は前記電池モジュール2の電池ユニットの内部抵抗値を計測し、それぞれ対応する内部抵抗と放電時間との関係と比較することができる。前記電池モジュール2に電池ユニットに正常に機能しないものがある場合、非常に簡単に問題の場所を見つけることができる。更に、前記電池モジュールの状態検出装置は、保護機構を備えて前記電池モジュール2の動作安全性を更に向上してもよい。
【0024】
例えば、前記電池モジュールの状態検出装置1は、前記電池モジュール2の全電池ユニットの品質基準値を計測可能である。前記品質基準値のうち、所定の閾値より大きいものがある場合、前記電池モジュールの状態検出装置1は保護機構を起動して、使用者に異常な電池ユニットについて警告、もしくは前記電池モジュール2による前記負荷3への電力供給を遮断することができる。
【0025】
図3は本発明の実施の形態による電池モジュールの状態検出方法のフローチャートを示す。前記方法は上述の電池モジュールの状態検出装置1に適用できるため、前記方法の手順を前記電池モジュールの状態検出装置1を例にして説明する。図3に示すように、本発明による方法は2個の段階により実行する。第1の段階においては、前記第二電池ユニット22の内部抵抗と放電時間との関係を取得し、また、後に前記関係を参照して、前記電池モジュール2が前記負荷3に電力を供給する際の前記第二電池ユニット22の動作状態を獲得する。第2の段階、すなわち、前記電池モジュール2が前記負荷3に電力を供給する際においては、事前に取得した内部抵抗と放電時間との関係を示す曲線に基づいて、残存電流エネルギー値及び寿命を決定できる。本発明による方法の各工程を以下に詳細に説明する。
【0026】
前記第1の段階において、まず、前記第二電池ユニット22を飽和状態まで充電する(工程S51)。次に、前記第二電池ユニット22が動作していない状態で、前記第2の正の電極221及び前記第2の負の電極222間の無負荷電圧値を計測して(工程S52)、図2に示す無負荷電圧値の曲線を決定する。次に、前記第二電池ユニット22を所定の電流値で放電する(工程S53)。更に、前記電池ユニットを所定の電流値で放電する工程中に、前記第二電池ユニット22の複数の連続する放電電圧値を計測して(工程S54)、図2に示すような負荷時電圧値を示す曲線を得る。
【0027】
次に、前記無負荷電圧値、前記連続する放電電圧値、及び前記所定の電流値に基づいて計算することにより、前記第二電池ユニット22の内部抵抗と放電時間との関係を取得する(工程S55)。より詳細には、前記工程S55は、前記連続する放電電圧値から前記無負荷電圧値を減算し、更に減算結果を前記所定の電流値により除算して、対応する連続する内部抵抗値を取得するものである。図2に示すとおり、前記取得した連続する内部抵抗値は、内部抵抗と放電時間との関係を示す曲線として図示することができる。これにより、電池ユニットの残存電流エネルギー値及び残存寿命を、前記第二電池ユニット22の瞬間内部抵抗値に基づいて、内部抵抗と放電時間との関係を参照して決定することができる。
【0028】
前記第2の段階において、まず、前記電池モジュール2を前記負荷3に電気的に接続して、電池モジュール2から負荷3に電力を供給する。次に、前記第2の電池ユニット22の前記第2の正の電極221及び前記第2の負の電極222間の負荷時電圧値を、前記電池モジュールの状態検出装置1により計測し、また、前記分路12を用いて前記負荷3の負荷電流値を計測する(工程S61)。続いて、前記無負荷電圧値、前記第2の電池ユニット22の前記負荷時電圧値、及び前記負荷3の前記負荷電流値に基づいて、前記第2の電池ユニット22の瞬間内部抵抗値を計算する(工程S62)。最後に、前記瞬間内部抵抗値に基づいて、前記内部抵抗と放電時間との関係を参照して、前記第2の電池ユニット22の動作状態を取得する(工程S63)。より詳細には、前記工程S63において取得した動作状態は、前記第2の電池ユニット22の残存エネルギー値である。
【0029】
実際の適用においては、前記電池モジュールの状態検出装置1は、電池モジュール2全体の安全な残存エネルギー値を、前記第2の電池ユニット22の残存エネルギー値に基づいて決定できる。好ましくは、前記電池モジュールの状態検出装置1は、最も低い残存エネルギー値を有する電池ユニットをまず検出し、次に、前記電池モジュール2の安全な残存エネルギー値を前記最も低い残存エネルギー値に基づいて決定する。これにより、電池ユニットの過剰放電及び付随する危険を効果的に防止することができる。
【0030】
更に、上述の工程により、電池ユニットが完全に再充電された後の残存エネルギー値の、電池ユニットが製造後初めて充電された後の残存エネルギー値に対する比率を決定し、これにより、電池ユニットの残存寿命を評価してもよい。前記第2の電池ユニット22を例にとると、上記を目的として、前記工程S61における負荷時電圧値を測定する工程は、前記電池モジュール2が前記負荷3へ電力供給を開始する瞬間の、前記第2の電池ユニット22の初期電圧値を計測するものである。更に、前記負荷3の負荷電流値を測定する工程は、前記電池モジュール2が前記負荷3へ電力供給を開始する瞬間の初期電流値を計測するものである。続いて、前記工程S62の計算において、前記初期電圧値を前記負荷時電圧値に代入し、前記初期電流値を前記負荷電流値に代入する。すると、これにより得た瞬間内部抵抗値は、再充電された前記第2の電池ユニット22の回復内部抵抗値である。最後に、前記回復内部抵抗値を前記内部抵抗と放電時間との関係と比較することにより前記工程S63を実行して、前記第2の電池ユニット22の残存寿命を得る。より詳細には、前記工程S63は、前記回復内部抵抗値を前記初期内部抵抗値と比較するものである。
【0031】
図4は、前記電池モジュールの状態検出装置1の保護機構を起動する手順のフローチャートを示す。前記第2の電池ユニット22の一番最初の放電に関する放電データを前記電池モジュールの状態検出装置1により取得する工程(工程S55)において、前記第2の電池ユニット22の、異なる放電時間に対応する複数の内部抵抗値を計算できる。前記複数の内部抵抗値は、前記第2の電池ユニット22が放電開始する瞬間に対応する初期内部抵抗値を含む。保護機構を実行するため、前記電池モジュールの状態検出装置1は、前記電池モジュール2が引続き動作を行っている間に、前記瞬間内部抵抗及び前記初期内部抵抗値に基づいて品質基準値を計算する(工程S71)。より詳細には、前記品質基準値は、前記第2の電池ユニット22の瞬間内部抵抗値を前記初期内部抵抗値により除算して求める。
【0032】
続いて、前記電池モジュールの状態検出装置1は前記品質基準値を所定の閾値と比較する(工程S72)。前記品質基準値が前記所定の閾値より大きい場合、前記電池モジュールの状態検出装置1は前記保護機構を起動する(工程S73)。例えば、前記電池モジュールの状態検出装置1は、使用者に前記第2の電池ユニット22の異常な動作状態を警告、もしくは前記電池モジュール2により前記負荷3に供給される電力を遮断することができる。なお、前記第2の電池ユニット22を例にして前記保護機構を説明したが、前記保護機構の方法は、前記電池モジュール2のどの電池ユニットに適用してもよい。
【0033】
すなわち、本発明による電池モジュールの状態検出方法は、電池モジュールの各電池ユニットの負荷時電圧値及び負荷電流値を測定して、各電池ユニットの内部抵抗値における変化を取得することにより実行する。本発明による電池モジュールの状態検出方法を用いることにより、電池ユニットに外部交流電流を付加する必要がない。その結果、本発明は、回路構成を単純化するだけではなく、測定時の安全性を向上して、検出の際に発生する損傷により電池の寿命が短縮されるのを防止する。
【0034】
更に、本発明による方法によれば、各電池ユニットの内部抵抗値における変化を計測することにより、電流放電周期において、各電池ユニットの残存エネルギー値及び残存寿命を予測できる。これにより、使用者は各電池ユニットの動作状態を入手して、電池ユニットを充電もしくは変更するタイミングを決定することができる。
【0035】
上述の例及び説明により、本発明の特徴及び精神は十分に説明されたものとする。当業者は、本発明の教示から逸脱せずに、装置に様々な変形及び変更を加えてもよいことは容易に理解できる。したがって、上記の開示は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると理解されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ユニットを備え負荷に接続される電池モジュールの状態の検出方法であって、
(a)電池ユニットの負荷時の電圧値と負荷の電流値を測定する工程と、
(b)電池ユニットの無負荷の電圧値と、負荷時の電圧値と、負荷電流に基づいて電池ユニットの瞬間内部抵抗値を計算する工程と、
(c)瞬間内部抵抗値と、内部抵抗と放電時間との関係に基づいて電池ユニットの動作状態を取得する工程と、を有する
ことを特徴とする電池モジュールの状態検出方法。
【請求項2】
電池ユニットの動作状態を取得する工程が、
電池ユニットの残存エネルギー値を取得する工程と、その残存エネルギー値に基づいて、電池モジュールの安全な残存エネルギー値を決定する工程とを有する
請求項1に記載の電池モジュールの状態検出方法。
【請求項3】
電池ユニットを飽和状態まで充電する工程と、
電池ユニットの非動作時に無負荷電圧値を測定する工程と、
電池ユニットを所定の電流値で放電させる工程と、
電池ユニットを所定の電流値で放電させる工程において電池ユニットの複数の連続する放電電圧値を測定する工程と、
無負荷電圧値と、連続する放電電圧値と、所定の電流値に基づいて、電池ユニットの複数の連続する内部抵抗値を計算し、内部抵抗と放電時間との関係を取得する工程とを有する
請求項1に記載の電池モジュールの状態検出方法。
【請求項4】
内部抵抗と放電時間との関係が初期内部抵抗値に関連し、
瞬間内部抵抗値及び初期内部抵抗値に基づいて品質基準値を計算する工程と、
品質基準値を所定の閾値と比較する工程と、
品質基準値が所定の閾値より大きい場合、保護機構を起動して、電池ユニットの異常な動作状態を警告、または、電池モジュールの電力供給を停止する工程とを有する
請求項1に記載の電池モジュールの状態検出方法。
【請求項5】
品質基準値が、瞬間内部抵抗値を初期内部抵抗値により除算して計算される
請求項1に記載の電池モジュールの状態検出方法。
【請求項6】
電池ユニットを飽和状態まで充電する工程を有し、
前記工程(a)が、電池ユニットの初期電圧値及び負荷の初期電流値を測定することにより実行され、
前記工程(b)が、回復内部抵抗値を計算することにより実行され、
前記工程(c)が、回復内部抵抗値及び内部抵抗と放電時間との関係に基づいて電池ユニットの残存寿命を取得することにより実行される
請求項1に記載の電池モジュールの状態検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−220695(P2011−220695A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−86495(P2010−86495)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(504183322)国防部軍備局中山科学研究院 (24)
【Fターム(参考)】