説明

電池モジュール

【課題】排気ガスを効率良く電池モジュールの外に排出するためには、排気ダクトは大きな内部空間を有していることが好ましい。しかし、排気ダクトの内部空間が大きいと、電池モジュールのエネルギー密度の低下を招く。
【解決手段】ケース23は第1の電池室27Aと第2の電池室27Bと排気ダクト29とに区画されており、排気ダクト29は排気経路を排出方向に拡大可能な可動部材31により二分されている。第1の電池室27A内の素電池1からガスが排出されると、そのガスは可動部材31を押して可動部材31を排出方向に移動させる。これにより、第1の排気ダクト部29Aの内部空間が拡がる。素電池1からのガスは、内部空間が拡げられた第1の排気ダクト部29A内を通ってケース23の外へ排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の素電池が配列されて構成された電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源又は省エネルギーの観点から、繰り返し使用できる二次電池を携帯型電子機器又は移動体通信機器等の電源として使用している。また、化石燃料の使用量の削減又は二酸化炭素の排出量の削減等の観点から、このような二次電池を車両又は蓄熱等の電源として使用することが検討されている。
【0003】
具体的には、二次電池(素電池)を電気的に接続して電池モジュールを構成し、この電池モジュールを車両等の電源として使用することが検討されている。例えば特許文献1又は2に示された電池モジュールでは、排気ダクトが電池室から隔離しており、よって、高温なガスが素電池から排出された場合であってもその高温なガスが正常な素電池に接触することを回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−151025号公報
【特許文献2】特開2006−244981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
素電池から排出されたガス(以下では「排気ガス」又は「高温なガス」と記すことがある)を効率良く電池モジュールの外に排出するためには、排気ダクトは大きな内部空間を有していることが好ましい。しかし、排気ダクトの内部空間が大きいと、電池モジュールにおけるデッドスペース(素電池が設けられていない空間)の割合が高くなるため、電池モジュールのエネルギー密度の低下を招く。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エネルギー密度の低下が抑制された安全な電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電池モジュールでは、ケースは、第1の電池室と第2の電池室と排気ダクトとに区画されており、第1の電池室は、排気ダクトにより第2の電池室から離隔している。排気ダクトは、排出経路を排出方向に拡大可能な可動部材により第1の排気ダクト部と第2の排気ダクト部とに二分されている。なお、第1の排気ダクト部は、第1の電池室と可動部材との間に位置する排気ダクトであり、第2の排気ダクト部は、第2の電池室と可動部材との間に位置する排気ダクトである。
【0008】
例えば第1の電池室内の素電池からガスが排出された場合、可動部材は、排気ガスに押されてその排出方向に移動する。これにより、第1の排気ダクト部の内部空間が拡がる。排気ガスは、内部空間が拡がった排気ダクト部(以下では「拡大された排気ダクト部」と記す)内を通ってケースの外へ排出される。
【0009】
ここで、「排出方向」は、素電池からのガスが排気ダクトに排出される方向であり、素電池の排出口部からガスが排出される方向とは異なる場合がある。例えば素電池の排出口部が封口板の側面部に形成されている場合、素電池の排出口部から排出されたガスは、素電池の外側で進行方向を変えてから排気ダクトへ排出される。
【0010】
また、「排気経路」は、第1の電池室内の素電池からガスが排出された場合には第1の排気ダクト部であり、第2の電池室内の素電池からガスが排出された場合には第2の排気ダクト部である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電池モジュールでは、エネルギー密度の低下が抑制されており、また、安全性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における素電池の縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの内部構造を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの要部斜視図である。
【図4】図3に示すIV−IV線における断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係る電池モジュールの要部斜視図である。
【図6】図5に示すVI−VI線における断面図である。
【図7】本発明のまた別の実施形態に係る電池モジュールの要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されない。
【0014】
本発明の実施形態に係る電池モジュールは、複数の素電池が配列されて構成されている。以下では、素電池及び電池モジュールの順に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における素電池の縦断面図である。
【0016】
本実施形態における素電池1は、例えばリチウムイオン二次電池であり、図1に示すように、電池ケース3の開口部がガスケット5を介して封口板7で封止されて構成されている。電池ケース3内には、非水電解質と共に電極群が収容されており、電極群は、正極板11と負極板13とがセパレータ15を介して捲回されて構成されている。正極板11は、正極リード11Lを介して封口板7に接続されており、負極板13は、負極リード13Lを介して電池ケース3に接続されている。
【0017】
封口板7には、排出口部7aが形成されている。排出口部7aは、素電池が異常状態に陥ったときに、高温なガスを電池ケース3の外へ排気するための開口部である。
【0018】
図2は、本実施形態に係る電池モジュール21の内部構造を示す平面図である。なお、図2において、V1は、第1の電池室27A内の素電池1からのガスが第1の排気ダクト部29Aに排出される方向(第1の排出方向)であり、V2は、第2の電池室27B内の素電池1からのガスが第2の排気ダクト部29Bに排出される方向(第2の排出方向)である。図3〜図7においても同様である。
【0019】
本実施形態に係る電池モジュール21は、複数の素電池1が配列されてケース23内に収容されて構成されている。ケース23は仕切り板25,25を介して第1の電池室27Aと第2の電池室27Bと排気ダクト29とに区画されており、第1の電池室27Aと第2の電池室27Bとは排気ダクト29を隔てて配置されている。
【0020】
第1の電池室27A及び第2の電池室27Bは、それぞれ、素電池1を収容している。素電池1の封口板7は仕切り板25側(排気ダクト29側)に配置されており、よって、第1の電池室27A内の素電池1の封口板7は各々第2の電池室27B内の素電池1の封口板7に対向している。各仕切り板25は素電池1の肩部4(図1参照)に当接しており、各仕切り板25には複数の貫通孔25aが互いに間隔を開けて形成されており、各貫通孔25aからは素電池1の封口板7が露出している。これにより、素電池1の排出口部7aが排気ダクト29に連通される。つまり、第1の電池室27A内の素電池1から排出されたガスだけでなく第2の電池室27B内の素電池1から排出されたガスも、排気ダクト29内を通って排出口部23aからケース23の外へ排出される。
【0021】
排気ダクト29は、可動部材31により排出方向に二分されている。可動部材31は、規制部材51(図3等参照)を介して排気ダクト29内に設けられており、規制部材51に規制されながら素電池1から排出されたガスに押されて排出方向に移動し、これにより排気経路を排出方向に拡大させる。例えば第1の電池室27A内の素電池1からガスが排出された場合、可動部材31は、第1の排出方向V1(図2等参照)に移動する。これにより、第1の排気ダクト部29Aの内部空間が拡がる。そして、排気ガスは、拡大された第1の排気ダクト部29A内を通って排出口部23aから排出される。
【0022】
このように、本実施形態に係る電池モジュール21では、素電池1からガスが排出されると、ガスが排出された側の排気ダクト部の内部空間が排出方向に拡大する。これにより、圧力損失等を伴うことなく排気ガスを電池モジュール21の外へ排出できる。よって、排気ガスの逆流を防止できるので、高温なガスが正常な素電池1に接触することを防止できる。また、排気ガスの排出時における電池モジュール21の破損等を防止できる。従って、安全性に優れた電池モジュール21を提供できる。
【0023】
また、第1の電池室専用の排気ダクトと第2の電池室専用の排気ダクトとを電池モジュールに設ける場合(以下では「比較の場合」と記す)に比べて、電池モジュールのエネルギー密度の低下を防止できる。例えば、高温なガスを安全にモジュールの外へ排出するためには、内部空間の体積がV以上の排気ダクトを設ける必要があると仮定する。比較の場合には、第1の電池室専用の排気ダクト及び第2の電池室専用の排気ダクトのそれぞれの内部空間の体積をV以上としなければならないので、排気ダクトの内部空間の合計体積は2V以上となる。一方、本実施形態では、排気ダクト29の一部分(可動部材31が移動する部分の体積V)を第1の排気ダクト部29Aと第2の排気ダクト部29Bとで共有しているので、排気ダクト29の内部空間の体積を(2V−V)以上にすれば良い。このように、本実施形態では、排気ダクト29の内部空間の体積を比較の場合よりもV小さくできる。従って、本実施形態では、排気ダクト29を設けたことに起因する電池モジュール21のエネルギー密度の低下を防止できる。このような効果は、排気ダクト29の一部分を第1の排気ダクト部29Aと第2の排気ダクト部29Bとで共有しているから得られるのである。
【0024】
また、排気ダクト29は可動部材31により排出方向に二分されているので、一方の電池室(例えば第1の電池室27A)内の素電池1から排出された高温なガスが他方の電池室(例えば第2の電池室27B)内の素電池1に接触することを阻止できる。
【0025】
また、可動部材31は素電池1から排出されたガスに押されて排気ダクト29内を移動するので、可動部材31の駆動源を電池モジュール21に設けなくて良い。そのため、電池モジュール21の大型化及び重量化を防止できる。また、電池モジュール21からの出力電力の一部又は電池モジュール21への入力電力の一部を可動部材31の駆動力に使用する必要がないため、電池モジュール21のエネルギー効率の低下を防止できる。
【0026】
ここで、排気ダクトの横断面積について言及する。
【0027】
圧力損失等を伴うことなく排気ガスを電池モジュール21から排出するためには、拡大された排気ダクト部の横断面積は大きい方が好ましい。しかし、その横断面積が大きくなりすぎると、排気ダクト部の内壁に接触する排気ガスの割合が小さくなるため、排気ガスの温度が下がり難くなる恐れがある。これらを考慮すれば、拡大された排気ダクト部の横断面積は400mm以上500mm以下であることが好ましい。このことと電池モジュール21の大きさ等とを踏まえて、可動部材31の移動距離を決めれば良い。例えば、拡大された排気ダクト部の排出方向における長さとして10mm必要であるときには、可動部材31の移動距離は4mm〜5mm程度であれば良い。
【0028】
規制部材51に規制されながら可動部材31を排出方向に移動させるためには、可動部材31及び規制部材51は例えば以下の構成を備えていれば良い。可動部材31及び規制部材51の一方に、排出方向に延びる溝部が形成されており、可動部材31及び規制部材51の他方に、溝部に挿入される挿入部が形成されており、挿入部は、排出方向において溝部より短い。
【0029】
可動部材31に上記溝部が形成されている場合、可動部材31は、溝部の内面が規制部材51に形成された挿入部に当たるまで移動できる。一方、可動部材31に上記挿入部が形成されている場合、可動部材31は、挿入部が規制部材51に形成された溝部の内面に当たるまで移動できる。よって、可動部材31は、溝部の長さ分、排出方向に移動できる。
【0030】
なお、可動部材31及び規制部材51の一方には、上記溝部ではなく、排出方向に延びる貫通孔部が形成されていても良い。この場合であっても、同様の効果が得られる。
【0031】
また、可動部材31及び規制部材51の一方には、上記溝部の底面上にレールが形成されていても良い。この場合には、可動部材31及び規制部材51の他方には、レール上を摺動可能な車輪が形成されていることが好ましい。この場合であっても、同様の効果が得られる。
【0032】
では、可動部材及び規制部材の一例を以下に示す。図3及び図4には可動部材及び規制部材の第1例を示し、図5及び図6には可動部材及び規制部材の第2例を示し、図7には可動部材及び規制部材の第3例を示す。第1例では可動部材に溝部が形成されており、第2例では可動部材に貫通孔部が形成されており、第3例では可動部材に挿入部が形成されている。以下、順に説明する。
【0033】
図3は図2に示す電池モジュール21の要部斜視図であり、図4は図3に示すIV−IV線における断面図(図3における摺動部35を通る断面図)である。なお、図4では、実線の可動部材31は、素電池1からガスが排出される前の可動部材31の位置を示しており、仮想線の可動部材31は、素電池1から排出されたガスにより排出方向に押された後の可動部材31の位置を示している。以下の図6及び図7でも同様である。
【0034】
規制部材51の本体53は、平面視略U字状に成形されており、本体53の長尺部分52,52は、排気ダクト29の上側内面及び下側内面に固定されており、本体53の連結部分54は、排出口部23aとは反対側に位置する排気ダクト29の内面に固定されている。これにより、規制部材51が仕切り板25の貫通孔25a及びケース23の排出口部23aを塞ぐことを阻止できるので、素電池1から排出されたガスは圧力損失等を伴うことなく排気ダクト29に排出されてケース23の外へ排出される。
【0035】
各長尺部分52の内面上には、突起状の挿入部55がその長手方向(素電池の配列方向と略平行)に互いに間隔を開けて設けられている。本体53の内側には、可動部材31が嵌め込まれており、可動部材31は、平面視略矩形状の被衝突部33を有している。被衝突部33のうち挿入部55に対応する部分には、肉厚な摺動部35が設けられており、各摺動部35の厚み方向(排出方向と略平行)には、溝部35aが延びている。これにより、被衝突部33の厚みを厚くすることなく溝部35aの長さが稼げる。よって、排気ガスが被衝突部33に衝突した衝撃で可動部材31を排出方向に容易に移動させることができるとともに、可動部材31の移動距離を稼ぐことができる。
【0036】
このような電池モジュール21では、例えば第1の電池室27A内の素電池1からガスが排出されると、そのガスは可動部材31の被衝突部33に衝突する。この衝突により、摺動部35が本体53の内面上を摺動しながら可動部材31が第1の排出方向V1に移動する。そして、溝部53aの第1の電池室27A側の側面が挿入部55に当たると、可動部材31の移動は止まる。これにより、第1の排気ダクト部29Aの内部空間が排出方向に拡大する。
【0037】
なお、排気ガスのガス圧等に依っては、溝部53aの第1の電池室27A側の側面が挿入部55に当たる前に可動部材31の移動が止まることがある。このことは、図5に示す電池モジュールにおいても言え、また、図7に示す電池モジュール321においても言える。
【0038】
図5は可動部材231及び規制部材251の斜視図であり、図6は図5に示すV−V線における断面図(図5における貫通孔部235a及び挿入部255を通る断面図)である。
【0039】
規制部材251は、4本設けられており、各規制部材251の本体253は、素電池の配列方向に延びる柱状に形成されている。そのうち2本の規制部材251の本体253は、排気ダクト29の上側内面に固定されており、排出方向に互いに間隔を開けて設けられている。残りの2本の規制部材251の本体253は、排気ダクト29の下側内面に固定されており、排出方向に互いに間隔を開けて設けられている。
【0040】
本体253のうち排気ダクト29に固定された面とは反対側の面には、突起状の挿入部255がその長手方向(素電池の配列方向と略平行)に間隔を開けて設けられており、また、可動部材231の摺動部235が接触している。可動部材231は、被衝突部233と摺動部235,235とで構成されたI字状の横断面を有している。摺動部235には貫通孔部235aが形成されており、規制部材251の挿入部255は貫通孔部235a内に挿入されている。
【0041】
このような電池モジュールにおいて例えば第1の電池室27A内の素電池1からガスが排出されると、電池モジュール21における挙動と略同一の挙動を示す。
【0042】
図7は、電池モジュール321の内部構造を示す平面図である。
【0043】
規制部材351は、素電池の配列方向における端部に設けられている。規制部材351の本体353は、排出方向に延びて排気ダクト29の内面に固定されている。
【0044】
規制部材351の本体353には、素電池の配列方向外側に凹む溝部353aが形成されており、溝部353aには、可動部材331の挿入部335が挿入されている。挿入部335は、可動部材331の被衝突部333の両端に設けられており、排出方向において被衝突部333よりも分厚い。
【0045】
このような電池モジュール321では、例えば第1の電池室27A内の素電池1からガスが排出されると、そのガスは可動部材331の被衝突部333に衝突する。この衝突により、挿入部335が本体353の溝部353aの内面上を摺動しながら可動部材331が第1の排出方向V1に移動する。そして、挿入部353の第2の電池室27B側の側面が溝部353aの内面に当たると、可動部材331の移動は止まる。これにより、第1の排気ダクト部29Aの内部空間が排出方向に拡大する。
【0046】
なお、電池モジュール321では、ケース23の排出口部は、規制部材351の本体353に形成されていても良いし、ケース23の上面又は下面に形成されていても良い。
【0047】
本実施形態は、以下に示す構成を有していても良い。
【0048】
規制部材は、ケースの内壁の一部分であっても良い。別の言い方をすると、ケースの内面に溝部又は貫通孔部が形成されていても良い、又は、ケースの内面に挿入部が設けられていても良い。
【0049】
可動部材及び規制部材の材料は特に限定されない。しかし、被衝突部は、例えば鉄、ステンレス(Stainless Used Steel)又はアルミニウムからなることが好ましい。被衝突部が鉄からなれば、排気ガスの熱を被衝突部に逃がすことができるので、排出口部から排出されるガスの温度を低くできる。よって、電池モジュールの安全性を更に高めることができる。また、被衝突部がアルミニウムからなれば、被衝突部の軽量化が図られるので、排気ガスが被衝突部に衝突した衝撃で可動部材を排出方向に容易に移動させることができる。また、可動部材を排出方向に容易に移動させるという観点では、被衝突部は例えば5mm以下の厚みを有していることが好ましい。
【0050】
溝部及び挿入部の各形状は、図4〜図7に示す形状に限定されない。溝部の個数及び位置は図3、図5及び図7に示す個数及び位置に限定されず、挿入部の個数及び位置は図3、図5及び図7に示す個数及び位置に限定されない。溝部は排出方向に延びて形成されていれば良く、挿入部は排出方向において溝部よりも短ければ良い。
【0051】
ケースの材料は、鉄に限定されず、樹脂であっても良い。しかし、ケースが熱伝導性に優れた材料(鉄又は銅等の金属材料)からなれば、排気ガスの熱の一部をケースに逃がすことができる。よって、ケースは、熱伝導性に優れた材料からなることが好ましい。
【0052】
複数の素電池は、熱伝導性に優れた材料(例えばアルミニウム)からなるホルダーに保持されて、ケース内に収容されていても良い。これにより、素電池の熱をホルダーに逃がすことができるため、電池パックの安全性が更に向上する。
【0053】
複数の素電池は、ケース内において、一列に配置されていても良いし、二次元的に配置されていても良い。例えば、複数の素電池を千鳥格子状に配置すれば、素電池の個数が増加したことに起因する電池モジュールの体積増加を抑制できる。
【0054】
ケース内における素電池の排出口部の位置は、図2に示す位置に限定されない。例えば、素電池の排出口部は、ケースの壁面側(排気ダクトとは反対側)に位置していても良い。この場合、素電池の排出口部が連結管等を介して排気ダクトに連通されていれば、上記実施形態において得られる効果と略同一の効果が得られる。しかし、素電池の排出口部が図2に示す位置に位置していれば、電池モジュールの構成部品数の増加を招くことなく安全な電池モジュールを提供できる。
【0055】
電池モジュールを構成する素電池の個数は、図2に示す個数に限定されない。
【0056】
また、複数の素電池は、ケース内において、直列接続されていても良いし、並列接続されていても良い。また、複数の素電池を互いに電気的に接続するための構成は、特に限定されない。例えば、仕切り板が、正極バスバー、負極バスバー又は両極のバスバーを兼ねていても良い。
【0057】
仕切り板には、電池室内に収容された素電池の個数以上の貫通孔が形成されていても良い。
【0058】
素電池は、角型電池であっても良い。
【0059】
正極板と負極板とはセパレータを介して積層されて電極群を構成していても良い。
【0060】
正極リードの代わりに正極集電板が用いられていても良いし、負極リードの代わりに負極集電板が用いられていても良い。これにより、素電池における集電抵抗が低減する。
【0061】
正極板及び負極板の構成は、それぞれ、二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)の正極板及び負極板の構成として公知の構成であれば良い。また、電池ケース、ガスケット、封口板、正極リード及び負極リードの材料は、それぞれ、二次電池の電池ケース、ガスケット、封口板、正極リード及び負極リードの材料として公知の材料であれば良い。
【0062】
排出口部は、封口板の側面部に形成されていても良い。この場合であっても、図2等に示す電池モジュールを構成でき、素電池から排出されたガスを排気ダクトへ逃がすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は、例えば車両用電源又は蓄熱用電源等に有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 素電池
7a 排出口部
21 電池モジュール
23 ケース
27A 第1の電池室
27B 第2の電池室
29 排気ダクト
29A 第1の排気ダクト部
29B 第2の排気ダクト部
31 可動部材
35a 溝部
51 規制部材
55 挿入部
231 可動部材
235a 貫通孔部
251 規制部材
255 挿入部
321 電池モジュール
331 可動部材
335 挿入部
351 規制部材
353a 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素電池が配列されてケース内に収容されて構成された電池モジュールであって、
前記ケースは、前記素電池が収容される第1の電池室及び第2の電池室と、前記素電池の排出口部から排出されたガスを前記ケースの外へ排出する排気ダクトとに区画されており、
前記第1の電池室は、前記排気ダクトにより、前記第2の電池室から離隔しており、
前記素電池の前記排出口部は、前記排気ダクトに連通しており、
前記排気ダクトは、前記素電池からのガスが前記ケースの外へ排出される経路を当該ガスが前記排気ダクトに排出される排出方向に拡大可能な可動部材により、前記排出方向において前記第1の電池室側に位置する第1の排気ダクト部と前記排出方向において前記第2の電池室側に位置する第2の排気ダクト部とに分けられ、
前記第1の電池室内に収容された素電池から排出されたガスは、前記可動部材を押して前記第1の排気ダクト部の内部空間を拡げ、内部空間が拡げられた第1の排気ダクト部内を通って前記ケースの外へ排出される電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュールであって、
前記排気ダクトの内壁には、前記可動部材の移動を規制する規制部材が設けられており、
前記可動部材は、前記規制部材に接触しながら前記排出方向に移動する電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の電池モジュールであって、
前記可動部材及び前記規制部材の一方には、前記排出方向に延びる溝部が形成されており、
前記可動部材及び前記規制部材の他方には、前記排出方向において前記溝部よりも短く且つ前記溝部に挿入される挿入部が設けられている電池モジュール。
【請求項4】
請求項2に記載の電池モジュールであって、
前記可動部材及び前記規制部材の一方には、前記排出方向に延びる貫通孔部が形成されており、
前記可動部材及び前記規制部材の他方には、前記排出方向において前記貫通孔部よりも短く且つ前記貫通孔部に挿入される挿入部が設けられている電池モジュール。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電池モジュールであって、
前記挿入部は、突起である電池モジュール。
【請求項6】
請求項2に記載の電池モジュールであって、
前記規制部材は、前記素電池の配列方向における端部に設けられており、前記排出方向に延びており、
前記挿入部は、前記素電池の配列方向における前記可動部材の端部に設けられている電池モジュール。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1つの電池モジュールであって、
前記素電池の前記排出口部は、前記排気ダクト側に位置している電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−119138(P2012−119138A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267212(P2010−267212)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】