説明

電池モジュール

【課題】二次電池における冷却効率を向上させることにある。
【解決手段】二次電池の電池セル20は、膨張部71と非膨張部72に分けられるような構造の電池セルケース50で構成される。二次電池の電池モジュール10は、隣接する電池セル20の向かい合う面が非膨張部72、電池モジュール10外側が膨張部71となるような電池セル20の配置で構成される。電池セル20の内圧上昇時には、電池セル20間に設けた空間80が塞がれず、電池セル20の周りを空気が流れるため、効率の良い冷却が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却効率を向上させた電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池は大きく分けて、使い捨ての一次電池と繰り返し充放電可能な二次電池に分類される。そして繰り返し使用できるという利便性から、軽量かつ小型である小容量の二次電池は携帯電話やノートパソコンなどの小型電子機器に使われ、高出入力性能を持つ大容量の二次電池はハイブリッド自動車などに使われている。なお、これらに使用されている二次電池の多くは、高いエネルギー密度を持つリチウムイオン二次電池である。
【0003】
二次電池は、電解液中の正極と負極がセパレータを介して隔てられており、さらに導電線によって直接的に連結されている。そして、正負極間に抵抗や電源を介し、導電線を開閉することで、エネルギーの出し入れを行う。つまり、イオンの通る経路(電解液およびセパレータ)と電子の通る経路(導電線)を物理的に分けることによって、正負極間の電位差を利用してエネルギーを電気化学的に蓄え(充電)、電気化学反応を通してエネルギーを取り出す(放電)システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−40368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、二次電池の充放電を繰り返し行っていると、電極の膨張や電解液のガス化などの様々な原因によって電池セルが膨張する。複数個の電池セルを有する電池モジュールにおいて、電池セルの膨張により隣接する電池セル間に設けた空気の流れる空間が狭くなってしまう。よって、空気の流れが悪く、熱が逃げ難い状態となるので、二次電池の使用環境は高温で保持されることになる。
【0006】
二次電池には適正環境温度があり、その適正環境温度外の高温環境下あるいは低温環境下では二次電池の性能は低下する傾向にある。よって冷却効率の低下は、電池性能の低下などの原因と成り得る。
【0007】
特許文献1は、電池セルの内圧変化等により電池セルが著しく膨張した際、電池セル間に設置したヒューズが切断し、二次電池に流れる電気が遮断される機構である。
【0008】
なお、上記問題の対策として、電池セルの内圧により全く膨張しない剛性の高い材料あるいは板厚の厚い材料で電池セルケースの全ての面板を形成することが考えられる。しかし、重量が重くなる、あるいは板厚が厚くなる為、エネルギー密度(重量あるいは体積当たりのエネルギー)の著しい低下に繋がる。また、電池セルが膨張した際でも空気の流れを妨げない程度の空間を余分に確保することは、上記と同じくエネルギー密度の著しい低下に繋がる。これらのことは、二次電池に係る産業の視点から不利であり、利用価値は低い。
【0009】
上記のような問題を鑑み、本発明ではエネルギー密度の低下を最小限に抑え、冷却効率を向上させた電池モジュールを提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するための本発明の請求項1に係る電池モジュールは、電池モジュールケース内に複数の電池セルを配置した構成の電池モジュールにおいて、前記電池セルは、内圧の上昇時に少なくとも一部分が他の部分に比べ膨らみ易い膨張部が形成された電池セルケースを有し、前記膨張部が前記電池モジュールケースの外側に向かって配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る電池モジュールは、前記モジュールケースが、骨組み部材から成る中空部品であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る電池モジュールは、前記電池セルが、端子部を有し、前記電池セルケースには前記膨張部に比べ膨らみ難い非膨張部が形成され、複数の前記電池セルは、前記端子部に対する前記膨張部および前記非膨張部の相対的位置を同一とする単一種類であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る電池モジュールは、前記電池セルが、前記膨張部を含む膨張面と、前記膨張面の対面に位置し、前記非膨張部を含む非膨張面とを備える角形から成り、前記電池モジュールにおいて二個の前記電池セルをそれぞれ前記膨張面が反対かつ前記電池モジュールケースの外側を向き、前記非膨張面が互いに向かい合うように配置し、二個の前記電池セルの前記膨張面および前記非膨張面の両端に前記非膨張面を向かい合わせて片側に一個ずつ前記電池セルを配置することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る電池モジュールは、前記電池セルケースの前記膨張部が、前記他の部分に使われている材料に比べ剛性の低い材料からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る電池モジュールによれば、電池セルケースに形成された膨張部が電池モジュールケースの外側に向かって配置されているので、電池セルの内圧が上昇し、電池セルが膨張しても、この膨張部のみが膨張するため、電池セル間の空間が狭くなることはなく、電池セル間を通る空気の流れを確保することができる。よって、電池セルの膨張による冷却効率の低下を防ぎ、電池性能の低下防止に繋がる。また、電池セル間に設ける空間を余分に確保した場合に比べ、体積エネルギー密度の低下を抑えることができる。
【0016】
請求項2に係る電池モジュールによれば、電池モジュールケースは電池セルの周りを空気が流れ易い構造となっているので、電池セルの冷却効率が向上し、電池性能の低下防止に繋がる。
【0017】
請求項3に係る電池モジュールによれば、端子部に対する膨張部および非膨張部の相対的位置を同一とする単一種類の電池セルで電池モジュールを構成するので、二次電池の製造段階において作業工程を増加させる必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
【0018】
請求項4に係る電池モジュールによれば、電池セルが角形から成り、少なくとも四個の電池セルを配置する場合においても、電池モジュール内に余分な空間なく電池セルが配置されているので、体積エネルギー密度の低下を抑えることができる。
【0019】
請求項5に係る電池モジュールによれば、電池セルケースの少なくとも一部を剛性の低い材料で形成しているので、単純に電池セルの膨張を抑止できる剛性の高い材料で全ての面板を形成した電池セルケースを使用した場合に比べ、エネルギー密度の低下および材料コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る電池モジュールの平面図である。
【図2】図1における電池セルの配置を変更した電池モジュールの平面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る電池モジュールの斜視図である。
【図4】同図(a)は電池セルの斜視図であり、同図(b)は電極部の概念図である。
【図5】本発明の実施例1に係る電池セルの概略図である。
【図6】図5における電池セルケースの面構成を変更した電池セルの概略図である。
【図7】本発明の実施例2に係る電池モジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例はリチウムイオン二次電池に適用したものである。また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1について、図1から図6を参照して説明する。
【0023】
本実施例の電池モジュール10は、図3に示すように電池セル20とバスバー12および電池モジュールケース11から成る。図1のように、電池モジュールケース11に設けられた仕切り板13に従って、複数の電池セル20が設置される。そして、隣接する電池セル20の正極端子31と負極端子32をバスバー12で繋げることによって、電池モジュール10内の複数の電池セル20は直列を成すように電気的に連結される。なお、電池モジュール10内の複数の電池セル20の正極端子31および負極端子32のうち各一個が電池モジュール10を外部と電気的に連結する出入力端子33となる。
【0024】
電池モジュールケース11は、枠状の骨組部材14内に仕切り板13を設けて形成される。骨組部材14は上下方向に離れて位置する長方形の上枠14aと下枠14bとを複数(本実施例では6個)の側方部材14cにより、上下方向に連結して構成されており、下枠14b内に前記仕切り板13が設けられている。仕切り板13は、骨組部材14とで電池セル20を分けて収容できるよう配置されている。
【0025】
電池モジュールケース11は、図示しない冷却装置による電池セル20の冷却効率を向上させるため、電池モジュールケース11は面板を有していない。つまり、冷却装置から送られる冷却された空気が電池セル20の周りを流れ、電池モジュールケース11内に設置された電池セル20を効率よく冷却できる構造となっている。なお、電池モジュールケース11の形状は本実施例に制限されるものではなく、円筒形またはそれ以外の形状で形成されることもできる。
【0026】
電池セル20は、図4(a)に示すように電極部40、端子部30、電池セルケース50およびキャッププレート53から成る。電極部40は、平板形状の正極41と負極42がセパレータ43を介して一定距離離隔された状態で幾重にも巻かれた複数の層を成す構造であり(図4(b))、箱である電池セルケース50内に満たされた電解液44の中に浸漬されている。そして、電極部40を納めた電池セルケース50に蓋としてキャッププレート53が取り付けられている。キャッププレート53には、電池セル20を外部と電気的に連結するため、電極部40の正極41および負極42とそれぞれ電気的に連結された端子部30の正極端子31と負極端子32が設置されている。
【0027】
なお、本実施例の電池セル20を形成する電池セルケース50およびキャッププレート53は四角形から成り、その上面つまりキャッププレート53は短辺とその二倍である長辺から成る。もちろん、電池セル20の形状は本実施例に制限されるものではなく、円筒形またはそれ以外の形状で形成されることもできる。
【0028】
本実施例の電池セルケース50は四角形から成る箱であり、その面板は異なった板厚の材料を含む。ここで、電池セルケース50を形成する面板の板厚を相対的に比較した場合に、面板の薄い方を薄板61、面板の厚い方を厚板62とする。電池セルケース50は、電池セル20の正極端子31および負極端子32が設置されている面から見て、負極端子32から正極端子31に向かって左側面(以下、電池セル20の左側面という)のみが厚板62で形成され、その他の面は薄板61で形成されている(図5)。
【0029】
電池セル20の膨張の度合いは、電池セルケース50を形成している面の面積・形状・剛性や電池セル20の内圧などの要素によって決まる。電池セルケース50を薄板61と厚板62で形成することは、電池セルケース50の面あるいは部分において相対的な剛性の差を生じさせることであり、電池セル20における膨張し易い膨張部71と膨張し難い非膨張部72の相対的位置を自在に選定可能とする。本実施例の電池セルケース40においては、電池セル20の正極端子31および負極端子32が設置されている面から見て、負極端子32から正極端子31に向かって右側面(以下、電池セル20の右側面という)のみが膨張し易い膨張部71、その他の面は膨張し難い非膨張部72である(図5)。
【0030】
電池セルケース50を形成する薄板61部分と厚板62部分の範囲は、本実施例に制限されるものではない。よって、右側面のみを膨張部71とする本実施例の電池セルケース50において、たとえば膨張部71である右側面以外の全ての非膨張部72を厚板62で形成しても良いし、図6に示すように前記左右両側面以外の面を薄板61と厚板62で繋ぎ合せた面板によって形成しても良い。
【0031】
また、本実施例の電池セルケース50では一面のみを膨張部71としているが、複数の面を膨張部71としても良い。そして、電池セルケース50における面板の板厚は本実施例の薄板61と厚板62の二種類に制限されるものではないので、板厚の異なった二種類以上の材料で形成しても良い。
【0032】
もちろん、電池セルケース50において相対的な剛性の差を生じさせる方法も本実施例に制限されるものではない。たとえば電池セルケース50の面板を剛性の異なる二種類以上の材料で形成することで、材質の違いによる剛性の差を生じさせても良い。
【0033】
本実施例における電池モジュール10内の電池セル20の配列を図1に示す。二個の電池セル20をそれぞれ膨張部71(膨張面)が反対かつ電池モジュールケース11の外側を向き、膨張部71の対面である非膨張部72(非膨張面)が互いに向かい合うように配置し、電池セル20の膨張部71および非膨張部72の両端に膨張部71の対面である非膨張部72が向かい合うように片側に一個ずつ電池セル20を配置する。
【0034】
なお、電池モジュール10内の複数の電池セル20は互いに一定距離離隔して配置されている。これは、電池セル20の周りに空気の流れる空間80を作ることにより、電池セル20の環境温度を高温保持させない、つまりは電池セル20の冷却効率を向上するためである。
【0035】
もちろん電池モジュール10内の電池セル20の配列は本実施例に制限されるものではなく、電池モジュール10内で隣接する電池セル20の向かい合う全ての面が膨張部71ではなく非膨張部72であればよい。たとえば図2に示すように、二個の電池セル20をそれぞれ膨張部71が反対かつ電池モジュールケース11の外側を向き、膨張部71の対面である非膨張部72が互いに向かい合うように配置し、膨張部71が反対かつ電池モジュールケース11の外側を向き、膨張部71の対面である非膨張部72が互いに向かい合う二個の電池セル20を膨張部71および非膨張部72の端面の非膨張部72が互いに向かい合うように配置した電池モジュール70の構成でも良い。なお、図1および図2で示すそれぞれの構成における4個の電池セルは、正極端子31および負極端子32に対する膨張部71および非膨張部72の相対的位置を同一とする単一種類である。
【0036】
なお、電池モジュール10を構成する電池セル20の数量は、本実施例に制限されない。電池モジュール10内に設置される電池セル20の数量が二個以上であれば、本発明に係る電池モジュール10を構成するに十分である。
【0037】
電池モジュール10においては、二次電池の充放電が繰り返される。すると次第に内部ガス発生などによって電池セル20の内圧が上昇し、電池セルケース50に設けた膨張部71のみが膨張する。電池モジュール10内で隣接する電池セル20の向かい合う面は非膨張部72であるから、電池セル20間に設けた空気の流れる空間80が狭くなることはない。よって、電池セル20の周りを流れる空気の流量は変わらず、電池モジュール10内の温度、つまり二次電池の環境温度が高温保持されない。
【0038】
本実施例によれば、電池セル20の膨張による冷却効率の低下を防ぐことができる。よって、二次電池の環境を電池反応に適切な温度に保つことができるので、高い電池性能を維持することができる。
【0039】
なお、本発明に係る電池モジュール10では少なくとも一部分が他の部分に比べ剛性の低い材料あるいは板厚の薄い材料で形成した電池セルケース50を用いるため、電池セル20の内圧により膨張しない程度に剛性の高い材料あるいは板厚の厚い材料で全ての面板を形成した電池セルケース50を用いた電池モジュール10に比べ、エネルギー密度の著しい低下および材料コストの増加を抑えることができる。また、電池セル20が膨張した際でも空気の流れを妨げない程度の空間を余分に確保した電池モジュール10に比べ、本発明に係る電池モジュール10はエネルギー密度の低下を抑えることができる。
【0040】
また本実施例によれば、電池モジュール10は端子部30に対する膨張部71および非膨張部72の相対的位置を同一とする単一種類の電池セル20で構成されているため、二次電池の製造段階において作業工程を増加させる必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
【0041】
もちろん、複数の本発明の電池モジュール10が直列を成すように電気的に連結された電池パックとして使用しても良いし、二次電池の環境を適正温度に保つための冷却装置等を設けて使用しても良いことは言うまでもない。
【0042】
また本発明は、特に車両の駆動用バッテリに好適である。駆動用バッテリは、高出力が要求されるため大容量の二次電池が用いられるが、容量が大きい分、一旦温度が上昇すると熱が逃げにくく、電池セルの膨張時に冷却効率の悪化を招きやすい。よって、本実施例のように電池セルの周りに空気の流れる空間を確保する構成とすることで、より効果的に冷却効率を向上でき、電池性能の低下を防ぐことができる。ただし、本発明はこれに限られるものではなく、携帯電話やノートパソコンなどの小型電子機器に用いられる二次電池など、各種産業用の二次電池に適用可能である。
【実施例2】
【0043】
本発明の実施例2について、図7を参照して説明する。
【0044】
本実施例の電池モジュール10は、図7に示すように第一の電池セル21および第二の電池セル22を有する。第一の電池セル21は電極部40、端子部30、第一の電池セルケース51およびキャッププレート53から成り、第二の電池セル22は電極部40、端子部30、第二の電池セルケース52およびキャッププレート53から成る。
【0045】
なお、本実施例の第一の電池セル21および第二の電池セル22は、第一の電池セルケース51および第二の電池セルケース52における膨張部71および非膨張部72の相対的位置が変更されていることを除いて、実施例1の電池セル20と同様な構造を有するので、同様な構造に対する重複説明は省略する。もちろん、電池モジュール10を構成する電池セル20の種類は、本実施例に制限されることはない。よって、電池モジュール10は二以上の複数の種類の電池セル20で構成されても良い。
【0046】
第一の電池セルケース51は、第一の電池セル21の正極端子31および負極端子32が設置されている面から見て、負極端子32から正極端子31に向かって左側面のみが厚板62で形成され、その他の面は薄板61で形成されている。そして、第一の電池セル21の正極端子31および負極端子32が設置されている面から見て、負極端子32から正極端子31に向かって右側面のみが膨張し易い膨張部71、その他の面は膨張し難い非膨張部72である。
【0047】
第二の電池セルケース52は、第二の電池セル22の正極端子31および負極端子32が設置されている面から見て、負極端子32から正極端子31に向かって右側面のみが厚板62で形成され、その他の面は薄板61で形成されている。そして、第二の電池セル22の正極端子31および負極端子32が設置されている面から見て、負極端子32から正極端子31に向かって左側面のみが膨張し易い膨張部71、その他の面は膨張し難い非膨張部72である。
【0048】
本実施例の電池モジュール10は、第一の電池セル21と第二の電池セル22各一個をそれぞれ膨張部71が反対かつ電池モジュール10外側を向き、膨張部71の対面である非膨張部72が向かい合うように配置し、第一の電池セル21および第二の電池セル22における膨張部71および非膨張部72の両端に膨張部71の対面である非膨張部72が向かい合うように第一の電池セル21および第二の電池セル22を配置している。
【0049】
本実施例によれば、実施例1の電池モジュール10と同様な冷却効率の向上による効果に加え、端子部30に対する膨張部71の相対的位置を異とする複数の種類の電池セル20を組み合わせて配置した電池モジュール10とすることで、電池モジュール10における出入力端子33とする正極端子31および負極端子32の選択自由度が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、電池モジュール内の温度、つまり二次電池の環境温度が高温保持されない。よって、二次電池の環境温度を電池反応に適切な温度に保つことができるので、電池性能を低下させずに高い電池性能を維持できる。また、エネルギー密度の低下や製造コストの増加を最小限に抑えることができる。よって、二次電池に係る産業において極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 電池モジュール
11 電池モジュールケース
12 バスバー
13 仕切り板
14 骨組み部材
14a上枠
14b下枠
14c側方部材
20 電池セル
21 第一の電池セル
22 第二の電池セル
30 端子部
31 正極端子
32 負極端子
33 出入力端子
40 電極部
41 正極
42 負極
43 セパレータ
44 電解液
50 電池セルケース
51 第一の電池セルケース
52 第二の電池セルケース
53 キャッププレート
61 薄板
62 厚板
71 膨張部
72 非膨張部
80 電池セル間に設ける空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールケース内に複数の電池セルを配置した構成の電池モジュールにおいて、前記電池セルは、内圧の上昇時に少なくとも一部分が他の部分に比べ膨らみ易い膨張部が形成された電池セルケースを有し、前記膨張部が、前記電池モジュールケースの外側に向かって配置されることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記モジュールケースが、骨組み部材から成る中空部品であることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池セルは、端子部を有し、前記電池セルケースには前記膨張部に比べ膨らみ難い非膨張部が形成され、複数の前記電池セルは、前記端子部に対する前記膨張部および前記非膨張部の相対的位置を同一とする単一種類であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池セルは、前記膨張部を含む膨張面と、前記膨張面の対面に位置し、前記非膨張部を含む非膨張面とを備える角形から成り、二個の前記電池セルをそれぞれ前記膨張面が反対かつ前記電池モジュールケースの外側を向き、前記非膨張面が互いに向かい合うように配置し、二個の前記電池セルの前記膨張面および前記非膨張面の両端に前記非膨張面を向かい合わせて片側に一個ずつ前記電池セルを配置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記電池セルケースの前記膨張部が、前記他の部分に使われている材料に比べ剛性の低い材料から成ることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89438(P2013−89438A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228520(P2011−228520)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】