説明

電池使用状態判定回路および電源判定回路

【課題】用いられる一次電池が、使用前の状態か使用後の状態かを判定する電池使用状態判定回路の提供、および用いられている電源の種類が、一次電池か外部電源かを判定する電源判定回路の提供を目的とする。
【解決手段】一次電池の使用状態を判定する電池使用状態判定回路10であって、インピーダンスを変更できるインピーダンス可変部22と一次電池21とを有する一次電池モジュール20と、インピーダンス可変部22のインピーダンスに基づいて一次電池21の使用状態を検知する使用状態検知部40と、インピーダンス可変部22のインピーダンスを変更させる駆動部50と、を備えたことを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池使用状態判定回路および電源判定回路に関し、特に、一次電池の使用状態および電源の種類を判定する回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学プラント、工場等において、圧力/差圧伝送器、各種流量計、温度計、バルブ・ポジショナ等のフィールド機器は、分散配置されて使用される。
【0003】
このようなフィールド機器は、2線式信号線等を介して上位に設置される制御コンピュータに接続され、4−20mAの電流信号を送受信することにより、内部電源を生成するとともに、収集した圧力などのプロセスデータを上位に送信する。
【0004】
近年になって、無線手段をフィールド機器に組み込んで、収集したデータを制御コンピュータへ送信するフィールド機器が使用されている。このような無線を使用したフィールド機器および通信システムは、特許文献1、2に開示されている。
【0005】
無線を使用したフィールド機器には、電源として電池を用いて動作する機器がある。電池を用いる場合、電池交換の手間を省くために長期間動作させる必要があり、このために、間欠動作等の省電力動作を行うとともに、自己放電が極めて少ない特性を有する塩化チオニルリチウム電池などの一次電池が使用される。
【0006】
また、既存設備の有効活用のために、無線フィールド機器には、電源として2線式信号線等からの電力供給で動作する機器もある。この場合、無線フィールド機器は、2線式信号線等を介して外部電源に接続される。
【0007】
そして、一次電池としてリチウム一次電池を使用した場合、ユーザー等は電池交換の時期を知るために、一次電池の寿命判定に関する方法が特許文献3に開示されている。
【0008】
これは、リチウム一次電池の出力電圧を測定し、基準電圧以下になったときに寿命と判定する方法であり、この方法について、図5の一次電池モジュールの構成図を用いて説明する。
【0009】
図5において、一次電池モジュール1は以下のように構成されている。一次電池2と抵抗RとトランジスタQとが直列に接続され、トランジスタQのゲート端子がCPU3に接続されている。
【0010】
CPU3は、トランジスタQのゲート端子に制御信号を送り、トランジスタQをオンさせることによって、一次電池2からの放電電流が、抵抗RとトランジスタQを介して流れる。
【0011】
この放電状態で、CPU3は、一次電池2の電池電圧Vbを測定し、測定電圧が基準電圧以下であるとき、一次電池2の寿命と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−134261号公報
【特許文献2】特開2003−134030号公報
【特許文献3】特開2007−280935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、リチウム一次電池は、その特性上電極材料が無くなるまでは一定の出力電圧を維持し、無くなった途端に約ゼロボルトになる場合がある。
【0014】
このような場合、図5で説明した寿命判定方法では、寿命と判定したときには、出力電圧はゼロボルトになっており、フィールド機器の動作は停止しているので、動作停止前に電池交換を行うことは困難、という問題がある。
【0015】
このような問題に対処するために、リチウム一次電池の電池容量と出力電流から、リチウム一次電池の寿命を演算する方法があり、これについて説明する。
【0016】
全く使用されていない状態(以下、「使用前の状態」という)のリチウム一次電池の電池容量は、メーカーの示す定格容量となる。使用前の状態のリチウム一次電池を用いた場合、寿命演算は、リチウム一次電池の出力電流によって減少する容量を定格容量から引いて、残存する電池容量を演算した後、残存電池容量が所定容量以下になったときに寿命と判定する。
【0017】
しかし、使用前の状態のリチウム一次電池を用いた後、暫くしてから一旦電池を取り外して再度装着して用いる場合がある。なお、以下において、このような状態の電池を、「使用後の状態」の電池という。
【0018】
使用後の状態の電池を再装着した当初の電池容量は、すでに使用されているため、定格容量より小さくなり、差分(=定格容量−再装着当初の電池容量)を生じる。このため、上記の寿命演算で演算された残存電池容量は、実際の残存電池容量より上記差分だけ大きくなって、実際の残存電池容量が無くなっても寿命と判定しない、という問題がある。
【0019】
この問題は、用いられた電池が、使用前の状態か使用後の状態かを判別せず、いずれの状態でも、同じ寿命演算を行っていることに起因するものである。
【0020】
また、無線フィールド機器の電源として、一次電池、または2線式信号線等を介して接続される外部電源を用いることがある。一次電池を用いた場合、一次電池の寿命および交換間隔を極力長くするために間欠動作等の省電力動作を行い、外部電源を用いた場合、高速な演算を行うため、通常の電力での動作を行うのが好ましい。
【0021】
しかし、用いられている電源が、一次電池か外部電源かを判別していないため、電源の種類に適した動作をさせることができない、という問題がある。
【0022】
本発明は、用いられる一次電池が、使用前の状態か使用後の状態かを判定する電池使用状態判定回路の提供、および、用いられている電源の種類が、一次電池か外部電源かを判定する電源判定回路の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
このような目的を達成するために、請求項1の発明は、
一次電池の使用状態を判定する電池使用状態判定回路であって、
インピーダンスを変更できるインピーダンス可変部と前記一次電池とを有する一次電池モジュールと、
前記インピーダンス可変部のインピーダンスに基づいて前記一次電池の使用状態を検知する使用状態検知部と、
前記インピーダンス可変部のインピーダンスを変更させる駆動部と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記駆動部は、前記インピーダンス可変部に所定の電流を流すことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、
前記一次電池から負荷へ供給する供給電流と前記一次電池の電池容量とに基づいて前記一次電池の寿命を演算する電池寿命演算部を備える、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記電池寿命演算部は、前記使用状態検知部によって前記一次電池が使用前の状態であると検知された場合、前記寿命の初期化を実行した後に前記寿命を演算する、ことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記電池寿命演算部は、前記一次電池の電池容量に定格容量を設定して、前記寿命の初期化を実行することを特徴とする。
請求項6の発明は、
負荷に電力を供給する電源の種類を判定する電源判定回路であって、
前記電源として、インピーダンスを変更できるインピーダンス可変部と一次電池とを有する一次電池モジュール、またはインピーダンスを固定したインピーダンス固定部と外部電源とを有する外部電源モジュールが用いられ、
前記インピーダンス可変部のインピーダンスを変更させる駆動部と、
前記インピーダンス可変部または前記インピーダンス固定部のインピーダンスに基づいて前記電源の種類を検知する電源種類検知部と、
を備えたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記電源種類検知部によって検知された電源の種類に基づいて、前記負荷で実行される処理の動作モードを設定する動作モード設定部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、一次電池モジュール内のインピーダンス可変部のインピーダンスに基づいて、使用前の状態か使用後の状態かを検知することによって、用いられている一次電池が、使用前の状態か使用後の状態かを判定することができる。さらに、使用前の状態と検知された場合、インピーダンス可変部のインピーダンスを変更しておけば、この使用前の状態の電池を用いた後に、暫くしてから一旦電池を取り外して再度装着した後でも、インピーダンスが変更されていることによって、使用後の状態と正しく判定することができる。
【0025】
また、一次電池モジュール内のインピーダンス可変部のインピーダンスを変更しておけば、一次電池モジュール内のインピーダンス可変部または外部電源モジュール内のインピーダンス固定部のインピーダンスに基づいて、用いられている電源の種類が、一次電池か外部電源かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用した電池使用状態判定回路の構成図の例である。
【図2】電池使用状態判定回路のフローチャート図の例である。
【図3】本発明を適用した電源判定回路の構成図の例である。
【図4】電源判定回路のフローチャート図の例である。
【図5】背景技術で示した、一次電池モジュールの構成図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施例]
本実施例を適用した電池使用状態判定回路について、図1を用いて説明する。図1は電池使用状態判定回路の構成図である。
【0028】
図1において、電池使用状態判定回路10は、一次電池21、インピーダンス可変部(ヒューズ)22、抵抗23を有する一次電池モジュール20と、コネクタ25と、DC/DC変換部30と、トランジスタ50(駆動部)と、抵抗80と、使用状態検知部40、駆動制御部51、電池寿命演算部60を有するCPU(セントラルプロセッシングユニット)70(負荷)を備えている。
【0029】
一次電池モジュール20は、コネクタ25の端子a−c間に一次電池21が接続される(端子aに一次電池21の正電圧、端子cに負電圧を接続)。コネクタ25の端子b−c間に、インピーダンス可変部22と抵抗23とが直列に接続される。
【0030】
一次電池21の正電圧は、コネクタ25の端子a、Aを介してDC/DC変換部30の入力に接続される。
【0031】
インピーダンス可変部22の一端は、コネクタ25の端子b、Bを介してトランジスタ50のエミッタ端子に接続される。一次電池21の負電圧と抵抗23の一端は、コネクタ25の端子c、Cを介して共通電圧COMに接続される。
【0032】
DC/DC変換部30の出力は、トランジスタ50のコレクタ端子に接続され、この接続点の電圧は、DC/DC変換部30によって安定化された内部電圧Vccとなる。このため、内部電圧VccはCPU70(負荷)に接続され、電力を供給する。
【0033】
トランジスタ50のベース端子は、駆動制御部51の出力OUTAに接続される。エミッタ端子は、コネクタ25の端子b、Bを介してインピーダンス可変部22の一端、および使用状態検知部40の入力INAに接続されるとともに、抵抗80を介して内部電圧Vccに接続される。
【0034】
つぎに、電池使用状態判定回路10の動作について、図2を用いて説明する。図2は、電池使用状態判定回路10のフローチャート図である。
【0035】
ここで、例えば、一次電池モジュール20内のインピーダンス可変部22はヒューズを用いる。使用前の状態の一次電池モジュール20のヒューズ22は導通しており、抵抗値(インピーダンス値)はほぼゼロオームである。一方、使用後の状態の一次電池モジュール20のヒューズ22は溶断しており、抵抗値は非常に大きい(無限大)ものとする。
【0036】
まず、使用前の状態の一次電池モジュール20を用いた場合について説明する。
【0037】
図2において、使用前の状態の一次電池モジュール20が装着され電源がオンされたとき、ステップS10において、駆動制御部51のOUTAの出力電圧によって、トランジスタ50のコレクタ−エミッタ端子間はオフされる(トランジスタ50を駆動しない)。
【0038】
ステップS20において、使用状態検知部40は、INAに入力された電圧の大きさを監視する。なお、抵抗80の抵抗値は抵抗23の抵抗値より大きく、ヒューズ22の抵抗値はほぼゼロオームなので、INAに入力された電圧は、共通電圧COMに近い低電圧(以下、「Lo電圧」という)となる。
【0039】
INAに入力された電圧はLo電圧なので(ステップS20の「N」)、ステップS30へ移行し、使用状態検知部40は、使用前の状態の一次電池モジュール20であると検知する。
【0040】
そして、使用状態検知部40での検知後、ステップS40において、駆動制御部51は、OUTAの出力電圧によって、トランジスタ50のコレクタ−エミッタ端子間をオンする(トランジスタ50を駆動する)。
【0041】
これによって、ヒューズ22を溶断する溶断電流(所定電流)が、内部電圧Vccから、トランジスタ50、ヒューズ22、抵抗23を介して共通電圧COMに流れ、ヒューズ22を溶断して、その抵抗値は無限大になる(変化する)。
【0042】
つぎに、一次電池21の寿命演算について説明する。電池寿命演算部60は、一次電池21が現時点で有する電池容量(mAh)から、CPU70(負荷)への供給電流によって減少する容量(=供給電流(mA)×供給時間(h))を減算して、残存電池容量を算出し、残存電池容量が所定容量以下になったときに寿命と判定する。
【0043】
使用前の状態の一次電池モジュール20が装着された場合、この一次電池21が現時点で有する電池容量は定格容量である。このため、電池寿命演算部60は、ステップS50において、寿命の初期化、すなわち、現時点で有する電池容量に定格容量を設定する。
【0044】
そして、寿命の初期化を実行した後、ステップS60において、電池寿命演算部60は、上述した寿命演算を行う。なお、ステップS60の寿命演算は定期的に繰り返し行われるため、算出された残存電池容量を現時点の電池容量として、不揮発性の記憶部(図示しない)に記憶し更新する。
【0045】
すなわち、CPU70は、繰り返し行われる寿命演算において、不揮発性の記憶部に記憶更新された残存電池容量を現時点の電池容量として読み出して、これを用いて上述した寿命演算を行う。また、CPU70は、圧力演算などの所定の処理を実行する。
【0046】
つぎに、使用後の状態の一次電池モジュール20を用いた場合の動作について説明する。すなわち、使用前の状態の電池を用いた後に、暫くしてから一旦電池を取り外して再度装着した後の動作について説明する。
【0047】
再度装着した後、電源がオンされ、ステップS10を行い、ステップS20に移行する。
【0048】
上述したステップS40におけるヒューズ22の溶断によって、ヒューズ22の抵抗値は無限大となり、抵抗80より大きいので、INAに入力された電圧は、内部電圧Vccに近い高電圧(以下、「Hi電圧」という)となる。
【0049】
ステップS20において、INAに入力された電圧はHi電圧(>Lo電圧)なので(ステップS20の「Y」)、ステップ70へ移行し、使用状態検知部40は、使用後の状態の一次電池モジュール20であると検知する。
【0050】
すなわち、使用前の状態の一次電池モジュール20内のヒューズ22の抵抗値はほぼゼロオームである。一方、トランジスタ50(駆動部)のオンによってヒューズ22に溶断電流が流れるので(ステップS40)、使用後の状態の一次電池モジュール20内のヒューズ22の抵抗値は無限大になる(変化する)。
【0051】
このヒューズ22の抵抗値の変化(違い)によって、使用前の状態か使用後の状態かを検知することができる(ステップS30、S70)。
【0052】
ステップS70の実行後、ステップS60において寿命演算を行う。なお、使用前の状態の一次電池モジュール20の場合と異なり、電池寿命演算部60は、寿命の初期化を行う必要は無く、不揮発性の記憶部に記憶更新されている電池容量を読み出して、現時点の電池容量に設定して、上述した電池寿命演算を行う。
【0053】
そして、CPU70が、寿命演算を繰り返し行い、圧力演算などの所定の処理を実行することは、使用前の状態の一次電池モジュール20を用いた場合と同様である。
【0054】
このように、一次電池モジュール20が使用前の状態か使用後の状態かを検知し、使用前の状態では寿命の初期化を行い(ステップS50)、使用後の状態では寿命の初期化を行わないで、寿命演算を行う。これによって、いずれの状態においても、正確な寿命演算を行うことができる。
【0055】
また、インピーダンス可変部22にヒューズを用いるとともに、トランジスタ50によってヒューズ22に溶断電流を流し、ヒューズ22の抵抗値を変化させる例について説明したが、これによって、安価なヒューズおよびトランジスタを用いて、ヒューズ22の抵抗値を変化させることができる。
【0056】
なお、ヒューズの代わりに温度ヒューズを用いるとともに、トランジスタ50の代わりにヒーターを用いて温度上昇させて温度ヒューズを溶断することによっても実現することができる。
【0057】
[第2の実施例]
本実施例を適用した電源判定回路について、図3を用いて説明する。図3は電源判定回路の構成図である。
【0058】
図3において、電源判定回路100に接続され、CPU160(負荷)に電力を供給する電源の種類として、図1で示した一次電池モジュール20の他に、外部電源モジュール200が用いられる。
【0059】
なお、図3では、外部電源モジュール200が用いられている。外部電源モジュール200は、外部電源210と、インピーダンス固定部(固定抵抗)220と、ノイズフィルター230を備え、コネクタ240を介して電源判定回路100に接続される。
【0060】
電源判定回路100は、DC/DC変換部110と、トランジスタ120(駆動部)と、抵抗170と、駆動制御部121、電源種類検知部130、動作モード設定部140、電池寿命演算部150を有するCPU160(負荷)を備えている。
【0061】
外部電源モジュール200は、コネクタ240の端子a−c間に、ノイズフィルター230と外部電源210とが直列に接続される。コネクタ240の端子b−c間に、インピーダンス固定部220が接続される。なお、外部電源210には、AC/DC電圧変換装置、DC/DC電圧変換装置などを用いることができる。
【0062】
外部電源210の正電圧は、ノイズフィルター230、コネクタ240の端子a、Aを介してDC/DC変換部110の入力に接続される。
【0063】
インピーダンス固定部220の一端は、コネクタ240の端子b、Bを介してトランジスタ120のエミッタ端子に接続される。外部電源210の負電圧とインピーダンス固定部220の他端は、コネクタ240の端子c、Cを介して共通電圧COMに接続される。
【0064】
DC/DC変換部110の出力は、トランジスタ120のコレクタ端子に接続され、この接続点の電圧は、DC/DC変換部110によって安定化された内部電圧Vccとなる。このため、内部電圧VccはCPU160(負荷)に接続され、電力を供給する。
【0065】
トランジスタ120のベース端子は、駆動制御部121の出力OUTAに接続される。エミッタ端子は、コネクタ240の端子b、Bを介してインピーダンス固定部220の一端、および電源種類検知部130の入力INAに接続されるとともに、抵抗170を介して内部電圧Vccに接続される。
【0066】
つぎに、電源判定回路100の動作について、図4を用いて説明する。図4は、電源判定回路100のフローチャート図である。
【0067】
まず、図3に示すように、外部電源モジュール200を用いた場合について説明する。例えば、外部電源モジュール200内のインピーダンス固定部220は固定抵抗を用いる。
【0068】
図4において、外部電源モジュール200の電源がオンされたとき、ステップS100において、駆動制御部121のOUTAの出力電圧によって、トランジスタ120のコレクタ−エミッタ端子間はオフされる(トランジスタ120を駆動しない)。
【0069】
ステップS110において、駆動制御部121は、OUTAの出力電圧によって、トランジスタ120のコレクタ−エミッタ端子間をオンする(トランジスタ120を駆動する)。
【0070】
これによって、内部電圧Vccから、トランジスタ120、インピーダンス固定部220を介して共通電圧COMに流れるが、インピーダンス固定部220は、固定抵抗なので、抵抗値(インピーダンス値)の変化は生じない。
【0071】
ステップS120において、電源種類検知部130は、INAに入力された電圧の大きさを監視する。なお、固定抵抗220の抵抗値は、抵抗170の抵抗値より小さいので、INAに入力された電圧はLo電圧となる。
【0072】
INAに入力された電圧はLo電圧なので(ステップS120の「N」)、ステップS130へ移行し、電源種類検知部130は、外部電源モジュール200が接続されていることを検知する。
【0073】
外部電源モジュール200であると検知された場合、ステップS140において、動作モード設定部140は、CPU160で実行される圧力演算などの処理の動作モードを設定する。
【0074】
すなわち、外部電源モジュール200を用いた場合、外部電源210からCPU160に電力を充分供給できる。このため、省電力動作モードでは無く、高速な演算を行うため、通常の電力での動作モードに設定して、圧力演算などの処理が実行される。
【0075】
つぎに、一次電池モジュール20を接続した場合の動作について説明する。図1の一次電池モジュール20が、コネクタ240の端子a−A、b−B、c−Cを介して、電源判定回路100に接続される。例えば、一次電池モジュール20内のインピーダンス可変部22は、第1の実施例と同様にヒューズを用いる。
【0076】
一次電池モジュール20の電源がオンされたとき、ステップS100を行い、ステップS110において、駆動制御部121は、OUTAの出力電圧によって、トランジスタ120のコレクタ−エミッタ端子間をオンする(トランジスタ120を駆動する)。
【0077】
使用前の状態の一次電池モジュール20であれば、これによって、ヒューズ22を溶断する溶断電流(所定電流)が、内部電圧Vccから、トランジスタ120、ヒューズ22、抵抗23を介して共通電圧COMに流れ、ヒューズ22の抵抗値は無限大になる(変化する)。
【0078】
一方、使用後の状態の一次電池モジュール20であれば、すでにヒューズ22は溶断されているので、ヒューズ22の抵抗値は無限大のままである。
【0079】
ヒューズ22の抵抗値は無限大であり、抵抗170の抵抗値より大きいので、INAに入力された電圧はHi電圧となる。
【0080】
ステップS120において、INAに入力された電圧はHi電圧なので(ステップS120の「Y」)、ステップ150へ移行し、電源種類検知部130は、一次電池モジュール20が接続されていることを検知する。
【0081】
すなわち、使用前の状態の一次電池モジュール20内のヒューズ22の抵抗値は、トランジスタ120(駆動部)のオンによってヒューズ22に溶断電流が流れるので(ステップS110)、ヒューズ22の抵抗値は無限大になる。また、使用後の状態の一次電池モジュール20内のヒューズ22の抵抗値は、上述したように無限大のままである。
【0082】
一方、固定抵抗220の抵抗値は、抵抗170の抵抗値より小さい。このように、ヒューズ22の抵抗値(無限大)と固定抵抗220の抵抗値との違いによって、用いられている電源の種類が、一次電池か外部電源かを判定することができる(ステップS130、S150)。
【0083】
ステップS150の実行後、使用前の状態の一次電池モジュール20の場合、電池寿命演算部150は、第1の実施例で説明した図2のステップS50と同様に、寿命の初期化を行い(ステップS160)、さらに、図2のステップS60と同様に、寿命演算を繰り返し行う(ステップS170)。
【0084】
一方、使用後の状態の一次電池モジュール20の場合には、ステップS160の寿命の初期化を行わず、ステップS170の寿命演算を繰り返し行う。
【0085】
このように、第1の実施例と同様に、使用前後いずれの状態においても、一次電池21の正確な寿命演算を行うことができる。
【0086】
なお、一次電池モジュール20が使用前の状態か使用後の状態かの判定は、例えば、ステップS100とS110との間において、第1の実施例で説明した図2のステップS20と同様に、電源種類検知部130によって、INAに入力された電圧がLo電圧であれば使用前の状態である、Hi電圧であれば使用後の状態であると判定する。
【0087】
一次電池モジュール20であると検知された場合、ステップS180において、動作モード設定部140は、CPU160で実行される圧力演算などの処理の動作モードを設定する。
【0088】
すなわち、一次電池モジュール20を用いた場合、一次電池21の寿命および交換間隔を極力長くするため、省電力動作モードに設定して、圧力演算などの処理が実行される。
【0089】
このように、電源の種類に適した動作モードを設定することによって、外部電源の場合には高速演算を、一次電池の場合には省電力による電池寿命および交換間隔の長期化を実現することができる。
【0090】
なお、使用状態検知部40、駆動制御部51、121、電源種類検知部130、電池寿命演算部60、150および動作モード設定部140は、CPUなどのプロセッサによって所定のプログラムに従って実行する他、論理回路によって実現してもよい。
【0091】
例えば、本実施例では、電池使用状態判定回路10および電源判定回路100は、フィールド機器に用いる場合について説明したが、これに限らず、一次電池21または外部電源210から電力の供給を受けて動作する電気機器にも用いることができる。
【0092】
なお、本発明は、前述の実施例に限定されることなく、その本質を逸脱しない範囲で、さらに多くの変更および変形を含む。また、前述した各部の組み合わせ以外の組み合わせを含むことができる。
【符号の説明】
【0093】
10 電池使用状態判定回路
20 一次電池モジュール
21 一次電池
22 インピーダンス可変部(ヒューズ)
40 使用状態検知部
50、120 トランジスタ(駆動部)
51、121 駆動制御部
60、150 電池寿命演算部
70、160 CPU(負荷)
100 電源判定回路
130 電源種類検知部
140 動作モード設定部
200 外部電源モジュール
210 外部電源
220 インピーダンス固定部(固定抵抗)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次電池の使用状態を判定する電池使用状態判定回路であって、
インピーダンスを変更できるインピーダンス可変部と前記一次電池とを有する一次電池モジュールと、
前記インピーダンス可変部のインピーダンスに基づいて前記一次電池の使用状態を検知する使用状態検知部と、
前記インピーダンス可変部のインピーダンスを変更させる駆動部と、
を備えたことを特徴とする電池使用状態判定回路。
【請求項2】
前記駆動部は、前記インピーダンス可変部に所定の電流を流すことを特徴とする請求項1に記載の電池使用状態判定回路。
【請求項3】
前記一次電池から負荷へ供給する供給電流と前記一次電池の電池容量とに基づいて前記一次電池の寿命を演算する電池寿命演算部を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池使用状態判定回路。
【請求項4】
前記電池寿命演算部は、前記使用状態検知部によって前記一次電池が使用前の状態であると検知された場合、前記寿命の初期化を実行した後に前記寿命を演算する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電池使用状態判定回路。
【請求項5】
前記電池寿命演算部は、前記一次電池の電池容量に定格容量を設定して、前記寿命の初期化を実行することを特徴とする請求項4に記載の電池使用状態判定回路。
【請求項6】
負荷に電力を供給する電源の種類を判定する電源判定回路であって、
前記電源として、インピーダンスを変更できるインピーダンス可変部と一次電池とを有する一次電池モジュール、またはインピーダンスを固定したインピーダンス固定部と外部電源とを有する外部電源モジュールが用いられ、
前記インピーダンス可変部のインピーダンスを変更させる駆動部と、
前記インピーダンス可変部または前記インピーダンス固定部のインピーダンスに基づいて前記電源の種類を検知する電源種類検知部と、
を備えたことを特徴とする電源判定回路。
【請求項7】
前記電源種類検知部によって検知された電源の種類に基づいて、前記負荷で実行される処理の動作モードを設定する動作モード設定部を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電源判定回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−33384(P2011−33384A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177654(P2009−177654)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】