説明

電池及びその製造方法

【課題】電池ケースの貫通孔を気密に封止してなり、電池ケース内に金属異物が侵入することを防止した電池及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】電池1は、軸部63が電池ケース10の貫通孔12H内に挿通され、鍔部52が電池ケース10の外表面13のうち貫通孔12H周縁である周縁外表面13cを加締め、変形カシメ部64が電池ケース10の内表面14のうち貫通孔12H周縁である周縁内表面14cとの間を加締めて、貫通孔12Hを気密に封止してなる変形済みブラインドリベット60を備えている。また、樹脂からなり、電池ケース10の貫通孔12H内に配置された孔内周面保護部材71を有し、変形済みブラインドリベット60の軸部63と、電池ケース10とは、貫通孔内12Hにおいて、孔内周面保護部材71を介して、互いに離間している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースと、この電池ケース内に収容された電極体とを備え、電池ケースの貫通孔を気密に封止してなる電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電解液を注入するための注液孔などの貫通孔が設けられた電池ケースと、この電池ケース内に収容された電極体とを備え、電池ケースの貫通孔を気密に封止した電池が知られている。そして、この貫通孔を封止する封止構造として、種々の構造を用いた電池が提案されている。例えば特許文献1には、封止部材の係合鍔と注液孔(貫通孔)の周囲外面との間にシール材を介装し、また、封止部材としてブラインドリベットを用いる密閉型電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−229118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の密閉型電池では、封止部材であるブラインドリベットを変形させる際、このリベットが電池ケースの貫通孔内周面に接触して、金属異物(金属片や金属粉)を発生させるおそれがあった。このような金属異物が、電池ケース内の電極体に侵入した場合には、短絡等の不具合に繋がるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、金属からなり、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケースを備え、電池ケースの貫通孔を気密に封止してなり、電池ケース内への金属異物の侵入を抑制した電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その態様は、金属からなり、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケース、上記電池ケース内に収容された電極体、及び、筒状の軸部と上記軸部の基端側に連なり上記軸部より径大な鍔部と上記軸部の先端側に連なり上記軸部より径大な変形カシメ部とを含む変形済みリベット本体を有し、上記軸部が上記電池ケースの上記貫通孔内に挿通され、上記鍔部が上記電池ケースの外表面のうち上記貫通孔周縁である周縁外表面を加締め、上記変形カシメ部が上記電池ケースの内表面のうち上記貫通孔周縁である周縁内表面を加締めて、上記貫通孔を気密に封止してなる変形済みブラインドリベット、を備える電池であって、樹脂からなり、上記電池ケースの上記貫通孔内に配置された孔内周面保護部材を有し、上記変形済みブラインドリベットの上記軸部と、上記電池ケースとは、上記貫通孔内において、上記孔内周面保護部材を介して、互いに離間されてなる電池である。
【0007】
この電池では、金属からなる電池ケースの内外を連通する貫通孔内に、樹脂からなる孔内周面保護部材を有している。そして、貫通孔は、軸部がこの貫通孔内に挿通され、鍔部が電池ケースの外表面のうち貫通孔周縁である周縁外表面を加締め、変形カシメ部が電池ケースの内表面のうち貫通孔周縁である周縁内表面を加締めた変形済みブラインドリベットにより、気密に封止されている。
ここで、変形済みブラインドリベットの軸部と電池ケースとは、貫通孔内において、孔内周面保護部材を介して、互いに離間されている。
このため、未変形ブラインドリベットを変形させた際、このリベットが電池ケースの貫通孔内周面に接触して、金属異物(金属片や金属粉)を発生させるおそれがない。
従って、金属異物が電池ケース内に侵入することを抑制した電池が得られる。
【0008】
なお、孔内周面保護部材は、貫通孔内において、電池ケースと一体にされていても、電池ケースとは別体とされていても良い。また、孔内周面保護部材は、貫通孔の軸線方向(電池ケースの厚み方向)の全体に配置されていても良く、一部に配置されていても良い。また、孔内周面保護部材は、貫通孔内で周方向に分布した形状としても良いし、円筒状としても良い。円筒状とすると、貫通孔内を周方向全体にわたって確実に保護できてより好ましい。更に、孔内周面保護部材をなす樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂,PPS等の他、PFA,PTFE,ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)等のフッ素系樹脂が挙げられる。フッ素系樹脂は、電解液に対しても安定な上、耐熱性や電気絶縁性に優れて、摩擦係数も小さいので好ましい。
【0009】
更に、上述の電池であって、樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁外表面上に配置された外側保護部材を有し、前記変形済みブラインドリベットの前記鍔部は、上記外側保護部材を介して、上記電池ケースの上記周縁外表面を加締めてなる電池とすると良い。
【0010】
この電池では、電池ケースの周縁外表面上に外側保護部材が配置され、変形済みブラインドリベットの鍔部は、この外側保護部材を介して、電池ケースの周縁外表面を加締めている。従って、電池ケースの周縁外表面においても、変形済みブラインドリベットが電池ケースに直接接触することがない。このため、未変形ブラインドリベットを変形させる際、このリベットが電池ケースの周縁外表面に接触することによる、金属異物の発生をも低減できる。これにより、金属異物の電池ケース内への侵入をさらに抑制した電池が得られる。
【0011】
なお、孔内周面保護部材と外側保護部材とは、互いに一体とされていても別体とされていても良い。また、それぞれ電池ケースと一体にされていても、電池ケースとは別体とされていても良い。また、外側保護部材をなす樹脂としては、孔内周面保護部材と同様に、例えば、ポリアミド樹脂,PPS等の他、PFA,PTFE,ETFE等のフッ素系樹脂が挙げられる。
【0012】
更に、上述の電池であって、前記外側保護部材は、円環板状をなし、前記変形済みブラインドリベットの前記鍔部は、上記外側保護部材を介して、前記電池ケースの前記周縁外表面との間で、前記貫通孔を気密に封止してなる電池とするのが好ましい。
この電池では、外側保護部材を介して、変形済みブラインドリベットの鍔部と電池ケースの周縁外表面との間で、貫通孔を気密に封止している。このため、電池ケースの周縁外表面を変形済みブラインドリベットの鍔部で直接加締める場合に比して、変形済みブラインドリベットと電池ケースの周縁外表面との間における気密性を向上させることができる。これにより、気密性を高めた電池が得られる。
【0013】
更に、上述の電池であって、前記孔内周面保護部材及び前記外側保護部材を、前記電池ケースの前記貫通孔内及び前記周縁外表面上に一体成形してなる電池とするのが好ましい。
この電池では、孔内周面保護部材及び外側保護部材を、電池ケースの貫通孔内及び周縁外表面上に別途配置する必要もなく、これらを確実に配置した電池とすることができる。
【0014】
あるいは、前述の電池であって、前記孔内周面保護部材と、前記外側保護部材とは一体とされてなり、上記外側保護部材と一体とされた上記孔内周面保護部材を、前記電池ケースの前記貫通孔にケース外側から嵌め込んでなる電池とするのが好ましい。
この電池では、外側保護部材と一体の孔内周面保護部材を、電池ケースの貫通孔にケース外側から嵌め込めば足りるので、外側保護部材及び孔内周面保護部材を、電池ケースに一体に成形する場合に比して、製造容易で安価な電池となし得る。
【0015】
更に、上述の電池であって、樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁内表面上に配置された内側保護部材を有し、前記変形済みブラインドリベットの前記変形カシメ部は、上記内側保護部材を介して、上記電池ケースの上記周縁内表面を加締めてなる電池とすると良い。
【0016】
この電池では、電池ケースの周縁内表面上に内側保護部材が配置され、変形済みブラインドリベットの変形カシメ部は、この内側保護部材を介して、電池ケースの周縁内表面を加締めている。従って、電池ケースの周縁内表面においても、変形済みブラインドリベットが電池ケースに直接接触することがない。このため、未変形ブラインドリベットを変形させる際、このリベットが電池ケースの周縁内表面に接触することによる、金属異物の発生をも低減できる。これにより、金属異物の電池ケース内への侵入をさらに抑制した電池が得られる。
【0017】
なお、孔内周面保護部材と内側保護部材とは、互いに一体とされていても別体とされていても良い。また、それぞれ電池ケースと一体にされていても、電池ケースとは別体とされていても良い。また、内側保護部材をなす樹脂としては、孔内周面保護部材や外側保護部材と同様に、ポリアミド樹脂,PPS等の他、PFA,PTFE,ETFE等のフッ素系樹脂が挙げられる。
【0018】
更に、上述の電池であって、前記内側保護部材は、円環板状をなし、前記変形済みブラインドリベットの前記変形カシメ部は、上記内側保護部材を介して、前記電池ケースの前記周縁内表面との間で、前記貫通孔を気密に封止してなる電池とするのが好ましい。
この電池では、内側保護部材を介して、変形済みブラインドリベットの変形カシメ部と電池ケースの周縁内表面との間で、貫通孔を気密に封止している。このため、電池ケースの周縁内表面を変形済みブラインドリベットの変形カシメ部で直接加締める場合に比して、変形済みブラインドリベットと電池ケースの周縁内表面との間における気密性を向上させることができる。これにより、より気密性を高めた電池が得られる。
【0019】
更に、上述の電池であって、前記孔内周面保護部材及び前記内側保護部材を、前記電池ケースの前記貫通孔内及び前記周縁内表面上に一体成形してなる電池とするのが好ましい。
この電池では、孔内周面保護部材及び内側保護部材を、電池ケースの貫通孔内及び周縁内表面上に別途配置する必要もなく、これらを確実に配置した電池とすることができる。
【0020】
他の態様は、金属からなり、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケース、上記電池ケース内に収容された電極体、及び、筒状の軸部と上記軸部の基端側に連なり上記軸部より径大な鍔部と上記軸部の先端側に連なり上記軸部より径大な変形カシメ部とを含む変形済みリベット本体を有し、上記軸部が上記電池ケースの上記貫通孔内に挿通され、上記鍔部が上記電池ケースの外表面のうち上記貫通孔周縁である周縁外表面を加締め、上記変形カシメ部が上記電池ケースの内表面のうち上記貫通孔周縁である周縁内表面を加締めて、上記貫通孔を気密に封止してなる変形済みブラインドリベット、を備え、樹脂からなり、上記電池ケースの上記貫通孔内に配置された孔内周面保護部材を有し、上記変形済みブラインドリベットの上記軸部と、上記電池ケースとは、上記貫通孔内において、上記孔内周面保護部材を介して、互いに離間されてなる電池の製造方法であって、上記変形済みブラインドリベットを変形させる前の未変形ブラインドリベットは、上記鍔部と先端側が閉じた有底筒状で変形後に上記軸部及び上記変形カシメ部となる有底筒部とを含む未変形リベット本体を有し、上記貫通孔に挿通した上記未変形ブラインドリベットの上記有底筒部を、上記貫通孔内において、上記孔内周面保護部材を介して、上記電池ケースと互いに離間させた状態で、上記軸部及び上記変形カシメ部に変形させて、上記貫通孔を気密に封止する封止工程を備える電池の製造方法である。
【0021】
この電池の製造方法の封止工程では、未変形ブラインドリベットを変形させるにあたり、電池ケースの貫通孔内で、孔内周面保護部材を介して、電池ケースと互いに離間させた状態で未変形ブラインドリベットを変形させて、貫通孔を気密に封止する。このため、未変形ブラインドリベットを変形させる際に、このリベットが貫通孔内周面に接触することによる金属異物の発生を防止することができる。
これにより、金属異物が電池ケース内に侵入することを抑制した電池を製造することができる。
【0022】
更に、上述の電池の製造方法であって、前記封止工程に先立って、前記貫通孔内に配置した前記孔内周面保護部材により、前記電池ケースの貫通孔内周面との接触を防止しつつ、前記未変形ブラインドリベットの前記有底筒部を、上記電池ケースの外側から前記貫通孔に挿通する挿通工程を備える電池の製造方法とすると良い。
【0023】
この電池の製造方法の挿通工程では、未変形ブラインドリベットの有底筒部を、電池ケースの外側から貫通孔に挿通するにあたり、予め貫通孔内に配置した孔内周面保護部材により、電池ケースの貫通孔内周面との接触を防止する。このため、未変形ブラインドリベットが電池ケースの貫通孔内周面に接触することによる金属異物の発生をも低減することができる。
これにより、金属異物が電池ケース内に侵入するのをさらに抑制した電池を製造することができる。
【0024】
更に、上述の電池の製造方法であって、前記電池は、樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁外表面上に配置された外側保護部材を有し、前記封止工程は、上記周縁外表面上に配置した上記外側保護部材により、上記周縁外表面との接触を防止しつつ、前記未変形ブラインドリベットの前記有底筒部を変形させる電池の製造方法とすると良い。
【0025】
この電池の製造方法の封止工程では、周縁外表面上に配置した外側保護部材により、周縁外表面との接触を防止しつつ、未変形ブラインドリベットを変形させる。このため、未変形ブラインドリベットを変形させる際に、このリベットが電池ケースの周縁外表面に接触することによる、金属異物の発生をも低減できる。これにより、金属異物が電池ケース内に侵入することをさらに抑制した電池を製造することができる。
【0026】
更に、上述の電池の製造方法であって、前記外側保護部材は、円環板状をなし、前記封止工程は、前記変形済みブラインドリベットの前記鍔部により、上記外側保護部材を介して、前記電池ケースの前記周縁外表面との間で、前記貫通孔を気密に封止する電池の製造方法とするのが好ましい。
この電池の製造方法では、外側保護部材が、円環板状をなしており、封止工程では、外側保護部材を介して、変形済みブラインドリベットと電池ケースの周縁外表面との間で、貫通孔を気密に封止する。このため、電池ケースの周縁外表面を変形済みブラインドリベットで直接加締める場合に比して、変形済みブラインドリベットと電池ケースの周縁外表面との間における気密性を向上させることができる。これにより、気密性を高めた電池を製造することができる。
【0027】
更に、上述の電池の製造方法であって、前記封止工程に先立って、前記孔内周面保護部材及び前記外側保護部材を、前記電池ケースの前記貫通孔内及び前記周縁外表面上に一体成形する孔内外側保護部材成形工程を備える電池の製造方法とするのが好ましい。
この電池の製造方法では、孔内外側保護部材成形工程を備えるので、孔内周面保護部材及び外側保護部材を、電池ケースの貫通孔内及び周縁外表面上に別途配置する必要がない。かくして、確実に貫通孔内周面や周縁外表面とリベットとの接触を防止しつつ、電池を容易に製造することができる。
【0028】
あるいは、前述の電池の製造方法であって、前記孔内周面保護部材と、前記外側保護部材とは一体とされてなり、前記封止工程に先立って、上記外側保護部材と一体とされた上記孔内周面保護部材を、前記電池ケースの前記貫通孔にケース外側から嵌め込む保護部材嵌め込み工程を備える電池の製造方法とするのが好ましい。
この電池の製造方法では、保護部材嵌め込み工程で、予め成形された外側保護部材と一体の孔内周面保護部材を、電池ケースの貫通孔にケース外側から嵌め込む。このため、外側保護部材及び孔内周面保護部材を、電池ケースに一体に成形する場合に比して、電池を安価に製造することができる。
【0029】
更に、上述の電池の製造方法であって、前記電池は、樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁内表面上に配置された内側保護部材を有し、前記封止工程は、上記周縁内表面上に配置した上記内側保護部材により、上記周縁内表面との接触を防止しつつ、前記未変形ブラインドリベットの前記有底筒部を変形させる電池の製造方法とすると良い。
【0030】
この電池の製造方法の封止工程では、周縁内表面上に配置した内側保護部材により、周縁内表面との接触を防止しつつ、未変形ブラインドリベットを変形させる。このため、未変形ブラインドリベットを変形させる際に、このリベットが電池ケースの周縁内表面に接触することによる、金属異物の発生をも低減できる。これにより、金属異物が電池ケース内に侵入することをさらに抑制した電池を製造することができる。特に、周縁内表面からの金属異物の発生を抑制できるので、電池ケース内への金属異物の侵入抑制に有効である。
【0031】
更に、上述の電池の製造方法であって、前記内側保護部材は、円環板状をなし、前記封止工程は、前記変形済みブラインドリベットの前記変形カシメ部により、上記内側保護部材を介して、前記電池ケースの前記周縁内表面との間で、前記貫通孔を気密に封止する電池の製造方法とするのが好ましい。
この電池の製造方法では、内側保護部材が、円環板状をなしており、封止工程では、内側保護部材を介して、変形済みブラインドリベットと電池ケースの周縁内表面との間で、貫通孔を気密に封止する。このため、電池ケースの周縁内表面を変形済みブラインドリベットで直接加締める場合に比して、変形済みブラインドリベットと電池ケースの周縁内表面との間における気密性を向上させることができる。これにより、より気密性を高めた電池を製造することができる。
【0032】
更に、上述の電池の製造方法であって、前記封止工程に先立って、前記孔内周面保護部材及び前記内側保護部材を、前記電池ケースの前記貫通孔内及び前記周縁内表面上に一体成形する孔内内側保護部材成形工程を備える電池の製造方法とすると良い。
【0033】
この電池の製造方法では、孔内内側保護部材成形工程を備えるので、孔内周面保護部材及び内側保護部材を、電池ケースの貫通孔内及び周縁内表面上に別途配置する必要がない。かくして、確実に貫通孔内周面や周縁内表面とリベットとの接触を防止しつつ電池を容易に製造することができる。特に、内側保護部材を設けるにあたり、電池ケースに内側保護部材を一体成形することで、容易に内側保護部材を電池ケースの内側に配置しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態1に係るリチウムイオン二次電池を示す縦断面図である。
【図2】実施形態1に係り、電池ケースの貫通孔における(変形済みブラインドリベットによる)封止構造を示す縦断面図である。
【図3】実施形態1に係り、電池ケースの貫通孔に未変形ブラインドリベットを挿通した状態を示す縦断面図である。
【図4】実施形態1に係り、貫通孔内への未変形ブラインドリベット及び孔内周面保護部材の配置手法を示す縦断面図である。
【図5】変形形態1に係り、貫通孔内へ孔内周面保護部材を配置する他の置手法を示す縦断面図である。
【図6】変形形態2に係り、貫通孔内へ孔内周面保護部材を配置するさらに他の配置手法を示す縦断面図である。
【図7】実施形態2に係り、電池ケースの貫通孔の封止構造を示す縦断面図である。
【図8】実施形態2に係り、孔内周面保護部材及び外側保護部材の配置手法を示す縦断面図である。
【図9】変形形態3に係り、孔内周面保護部材及び外側保護部材を配置する他の配置手法を示す縦断面図である。
【図10】実施形態3に係り、電池ケースの貫通孔の封止構造を示す縦断面図である。
【図11】実施形態3に係り、外側保護部材と一体とされた孔内周面保護部材の配置手法を示す縦断面図である。
【図12】実施形態4に係り、電池ケースの貫通孔の封止構造を示す縦断面図である。
【図13】実施形態4に係り、孔内周面保護部材及び内側保護部材の配置手法を示す縦断面図である。
【図14】実施形態5に係るハイブリッド自動車を示す説明図である。
【図15】実施形態6に係るハンマードリルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態1に係るリチウムイオン二次電池(密閉型電池)1(以下、単に電池1とも言う)を示す。また、図2に、貫通孔12H(注液孔)の封止構造を示す。なお、本明細書では、図1及び図2における上方を電池1の上側UW、下方を電池1の下側DWとして説明する。
【0036】
この電池1は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両や、ハンマードリル等の電池使用機器に搭載される角型電池である。この電池1は、直方体形状の電池ケース10、この電池ケース10内に収容された捲回型の電極体20、電池ケース10に支持された正極端子40及び負極端子41等から構成されている(図1参照)。また、電池ケース10内には、非水系の電解液17が保持されている。
【0037】
このうち電池ケース10は、金属(本実施形態1ではアルミニウム)により形成されている。この電池ケース10は、上側UWのみが開口した直方体箱状のケース本体部材11と、このケース本体部材11の開口11Hを閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材12とから構成されている。ケース蓋部材12は、電池ケース10の外側を向く外表面13と、電池ケース10の内部を向く内表面14とを有する。
【0038】
ケース蓋部材12には、電池ケース10の内圧が所定圧力に達した際に破断する安全弁15が設けられている。また、このケース蓋部材12には、電池ケース10の内外を連通する貫通孔12H(注液孔)が設けられている。この貫通孔12Hは、変形済みブラインドリベット60により電池ケース10の外部から気密に封止されている。
【0039】
また、ケース蓋部材12には、それぞれ延出端子部材42とボルト43により構成される正極端子40及び負極端子41が、樹脂からなる絶縁部材44を介して固設されている。電池ケース10内において、正極端子40は電極体20の正極板21(その正極集電部21m)に接続され、負極端子41は電極体20の負極板31(その負極集電部31m)に接続されている。
【0040】
次に、電極体20について説明する。この電極体20は、絶縁フィルムを上側UWのみが開口した袋状に形成した絶縁フィルム包囲体16内に収容され、横倒しにした状態で電池ケース10内に収容されている。この電極体20は、帯状の正極板21と帯状の負極板31とを、帯状のセパレータ34を介して互いに重ねて捲回し、扁平状に圧縮したものである。
【0041】
正極板21は、芯材として、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔22を有する。この正極集電箔22の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上には、正極活物質層23が帯状に設けられている。この正極活物質層23は、正極活物質、導電剤及び結着剤から形成されている。また、正極集電箔22のうち、幅方向の片方の端部は、自身の厚み方向に正極活物質層23が存在しない正極集電部21mとなっており、この正極集電部21mは、前述の正極端子40と接続している。
【0042】
また、負極板31は、芯材として、帯状の銅箔からなる負極集電箔32を有する。この負極集電箔32の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上には、負極活物質層33が帯状に設けられている。この負極活物質層33は、負極活物質、結着剤及び増粘剤から形成されている。また、負極集電箔32のうち、幅方向の片方の端部は、自身の厚み方向に負極活物質層33が存在しない負極集電部31mとなっており、この負極集電部31mは、前述の負極端子41と接続している。
【0043】
また、セパレータ34は、樹脂、具体的にはポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)からなる多孔質膜であり、帯状をなす。
【0044】
次に、貫通孔12H(注液孔)の封止構造について説明する。先に説明したように、ケース蓋部材12には、電池ケース10の内外を連通する貫通孔12H(注液孔)が設けられている。また、この貫通孔12H内には、樹脂(具体的には、フッ素系樹脂のPTFE)からなる円筒状の孔内周面保護部材71が配置されている。そして、貫通孔12Hを封止する変形済みブラインドリベット60は、概略有底筒状の変形済みリベット本体61とこれに囲まれた断面逆T字状の破断済みシャフト部65(後述する未変形ブラインドリベット50の拡径部56と芯軸部57)とからなる。このうち、変形済みリベット本体61は、軸部63と鍔部52と変形カシメ部64とを有する。そして、この変形済みリベット本体61のうち、軸部63は、円筒状で、貫通孔12H内に挿通され、電池ケース10とは、貫通孔12H内に配置された孔内周面保護部材71を介して、互いに離間している(図2参照)。ここで、図2における下方(電池1の下側DW)が、変形済みブラインドリベット60及び変形済みリベット本体61の先端側HSとなり、図2における上方(電池1の上側UW)が、変形済みブラインドリベット60及び変形済みリベット本体61の基端側HK(先端側HSの逆側)となる(以降の図面についても同様)。変形済みリベット本体61の鍔部52は、軸部63の基端側HKに連なり、電池ケース10(ケース蓋部材12)の外表面13のうち貫通孔12Hの周縁である周縁外表面13cに当接して、これを気密に加締めている。また、変形カシメ部64は、軸部63の先端側HSに連なり、軸部63よりも径大に変形され、電池ケース10(ケース蓋部材12)の内表面14のうち貫通孔12Hの周縁である周縁内表面14cに当接して、これを加締めている。かくして、電池ケース10の貫通孔12Hは、変形済みブラインドリベット60により、気密に封止されている。
【0045】
なお、変形済みブラインドリベット60は、後述する未変形ブラインドリベット50の一部を変形させて貫通孔12Hを封止に供したものである。
【0046】
次いで、本実施形態1に係る電池1の製造方法について説明する。まず、別途形成した帯状の正極板21及び負極板31を、帯状のセパレータ34を介して互いに重ね、巻き芯を用いて捲回する。その後、これを扁平状に圧縮して電極体20を形成する。
【0047】
一方、安全弁15及び貫通孔12H等を形成したケース蓋部材12と、延出端子部材42及びボルト43とを用意し、射出成形により絶縁部材44を形成して、ケース蓋部材12に正極端子40及び負極端子41を固設しておく。
【0048】
次に、正極端子40と電極体20の正極集電部21mとを接続(溶接)する。また、負極端子41と電極体20の負極集電部31mとを接続(溶接)する。その後、ケース本体部材11及び絶縁フィルム包囲体16を用意し、ケース本体部材11内に絶縁フィルム包囲体16を介して電極体20を収容すると共に、ケース本体部材11の開口11Hをケース蓋部材12で塞ぐ。そして、レーザ溶接により、ケース本体部材11とケース蓋部材12とを溶接して、電池ケース10を形成する。(図1参照)
また別途、電池ケース10の貫通孔12H内に配置する環状の孔内周面保護部材71を樹脂で成形しておく。
【0049】
次に、前述の電池を、真空チャンバ内に入れて、真空チャンバ内を減圧する。そして、注液用ノズルを貫通孔12H内に挿入して、注液用ノズルから電池ケース10内に電解液17を注液する。
【0050】
次に、減圧下で、未変形ブラインドリベット50を用いて貫通孔12Hの封止を行う。まず、本実施形態1で用いる未変形ブラインドリベット50の構成について説明する。
未変形ブラインドリベット50は、図3,図4に示すように、先端側HS(図3,図4中、下方)が有底筒状をなす未変形リベット本体51とこの未変形リベット本体51内に配置された棒状の(未変形)シャフト部55とを有する。
このうち、アルミニウム製の未変形リベット本体51は、先端側HSが閉じた有底円筒状をなし、貫通孔12H内に挿通される円筒部53と、この円筒部53の基端側HK(図3,図4中、上方)に連なり、円筒部53よりも径大で、電池ケース10の外表面13に係合する円環状の鍔部52とを有している。また、円筒部53のうち、先端側HSの筒先端部53sは、内径が基端側HKに比して径大(肉薄)に形成されている。このため、円筒部53内には、肉厚の変化による段部53dが形成されている。
【0051】
一方、未変形のシャフト部55は、ステンレススチール製であり、先端側HS(図3,図4中、下方)のシャフト先端部55sは、未変形リベット本体51の円筒部53内に配置されている。このシャフト先端部55sのうち先端部分は、円筒部53の筒先端部53s内で、段部53dに係合可能に径大とされた拡径部56を有する。更に、シャフト部55は、この拡径部56の他、この拡径部56から基端側HK(図3,図4中、上方)に向けて順に、芯軸部57、破断予定部58、操作棒部59を有する。芯軸部57は、円柱状で拡径部56よりも径小とされている。また、破断予定部58は、芯軸部57よりもさらに径小なくびれをなしている。操作棒部59は、芯軸部57と同径の円柱状で、未変形リベット本体51の外部まで延びている。
【0052】
ここで、別途成形しておいた孔内周面保護部材71に、未変形ブラインドリベット50の円筒部53を締まりばめ状態に挿通し、孔内周面保護部材71を保持させておく(図4参照)。
【0053】
そして、挿通工程において、予め孔内周面保護部材71を保持させた未変形ブラインドリベット50の円筒部53を、鍔部52が電池ケース10の外表面13の周縁外表面13cに当接するまで、電池ケース10の貫通孔12H内に挿通する。すると、孔内周面保護部材71が貫通孔12H内に配置されると共に、この孔内周面保護部材71により、その後の未変形ブラインドリベット50の円筒部53と電池ケース10の貫通孔内周面12cとの接触が防止される(図3参照)。
【0054】
続く封止工程では、貫通孔12Hに挿通した未変形ブラインドリベット50のうち、未変形リベット本体51の鍔部52を電池ケース10の外表面13に押し付けた状態で、シャフト部55の操作棒部59を基端側HK(図3において上側UW)に引き上げる。すると、シャフト部55の拡径部56が、未変形リベット本体51の円筒部53内に形成された段部53dに係合する。さらに操作棒部59を引き上げると、円筒部53のうち、段部53dより基端側HKで、且つ、貫通孔12Hより先端側HSの部位が座屈して、径方向外方に押し広げられるように塑性変形すると共に、電池ケース10の内表面14の周縁内表面14cに圧接する。これにより、円筒部53は、貫通孔12H内に挿通された筒状の軸部63と、軸部63の先端側HSに連なり、貫通孔12Hの周縁内表面14cに密着係合され軸部63より径大な変形カシメ部64とに変形する。これと共に、この変形カシメ部64で、電池ケース10の内表面14のうち貫通孔12Hの周縁である周縁内表面14cを加締める。一方、鍔部52は、変形はせず、電池ケース10の外表面13のうち貫通孔12Hの周縁である周縁外表面13cを加締める。かくして、未変形リベット本体51は、鍔部52と軸部63と変形カシメ部64とを含む変形済みリベット本体61となる。続いて、さらに操作棒部59を引き上げて、シャフト部55を、破断予定部58で破断させる。かくして、変形済みリベット本体61内に、拡径部56及び芯軸部57からなる破断済みシャフト部65のみが残される(操作棒部59は除去する)。以上により、未変形ブラインドリベット50が、図2のように、変形済みリベット本体61と破断済みシャフト部65とを有する変形済みブラインドリベット60となると共に、貫通孔12Hが気密に封止される。
【0055】
ところで、貫通孔12H内には、孔内周面保護部材71が配置されている。このため、貫通孔12H内に挿通した未変形ブラインドリベット50を変形する際に、電池ケース10の貫通孔内周面12cに接触することなく、変形済みブラインドリベット60へ変形できる。
【0056】
その後、真空チャンバ内を大気圧に戻して、真空チャンバから封止が完了した電池1を取り出す。これにより、電池1の電池ケース10は、内部が大気圧よりも減圧された状態に封止される。
【0057】
次に、コンディショニング工程(初期充放電工程)において、この電池1の初期充放電を行う。かくして、電池1が完成する。
【0058】
以上で説明したように、本実施形態1に係る電池1は、金属からなる電池ケース10の内外を連通する貫通孔12H内に、樹脂からなる孔内周面保護部材71を有している。そして、貫通孔12Hは、軸部63がこの貫通孔12H内に挿通され、鍔部52が電池ケース10の外表面13のうち貫通孔12Hの周縁である周縁外表面13cを加締め、変形カシメ部64が電池ケース10の内表面14のうち貫通孔12Hの周縁である周縁内表面14cを加締めた変形済みブラインドリベット60により、気密に封止されている。
ここで、変形済みブラインドリベット60の軸部63と電池ケース10とは、貫通孔12H内において、孔内周面保護部材71を介して、互いに離間されている。
このため、未変形ブラインドリベット50を変形させた際、このリベット50が電池ケース10の貫通孔内周面12cに接触して、金属異物(金属片や金属粉)を発生させるおそれがない。
従って、金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制した電池1が得られる。
【0059】
また、本実施形態1に係る電池1の製造方法の封止工程では、未変形ブラインドリベット50を変形させるにあたり、電池ケース10の貫通孔12H内で、孔内周面保護部材71を介して、電池ケース10と互いに離間させた状態で未変形ブラインドリベット50を変形させて、貫通孔12Hを気密に封止する。このため、未変形ブラインドリベット50を変形させる際に、このリベット50が貫通孔内周面12cに接触することによる金属異物の発生を防止することができる。
これにより、金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制した電池1を製造することができる。
【0060】
更に、電池1の製造方法の挿通工程では、未変形ブラインドリベット50の円筒部53を、電池ケース10の外側から貫通孔12Hに挿通するにあたり、予め貫通孔12H内に配置した孔内周面保護部材71により、電池ケース10の貫通孔内周面12cとの接触を防止する。このため、未変形ブラインドリベット50が電池ケース10の貫通孔内周面12cに接触することによる金属異物の発生をも低減することができる。
これにより、金属異物が電池ケース10内に侵入することをさらに抑制した電池1を製造することができる。
【0061】
(変形形態1)
なお、本実施形態1では、孔内周面保護部材71に、予め未変形ブラインドリベット50の円筒部53を締まりばめ状態に挿通し、孔内周面保護部材71を保持させておき、この孔内周面保護部材71を保持させた未変形ブラインドリベット50を貫通孔12Hに挿通することで、孔内周面保護部材71を貫通孔12H内に配置した(図4参照)。
しかし、本実施形態1以外の方法を用いて、貫通孔12H内に孔内周面保護部材71を配置しても良い。例えば、孔内周面保護部材171として、樹脂からなる筒状で、外周面が上方ほど径大で上端付近で貫通孔12Hの径よりわずかに径大となるテーパ形状とされた部材を成形しておき、電池ケース10の貫通孔12H内に外から挿入することにより、貫通孔12H内に孔内周面保護部材171を固定しておくこともできる。そして、その後に、未変形ブラインドリベット50の円筒部53を挿通して、未変形ブラインドリベット60に変形させても良い(図5参照)。なお、孔内周面保護部材171は、未変形ブラインドリベット60の変形の際に、貫通孔12H内にその全体が押し込まれる。
【0062】
(変形形態2)
また、円筒状の孔内周面保護部材271を、電池ケース10の貫通孔12H内に予め一体成形しておいてから、未変形ブラインドリベット50の円筒部53を挿通して、変形済みブラインドリベット60に変形させても良い(図6参照)。
【0063】
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態について説明する。実施形態1では、電池ケース10(ケース蓋部材12)とは別体とした円筒状の孔内周面保護部材71を用いた。これに対し、本実施形態2に係るリチウムイオン二次電池(密閉型電池)2では、円筒状の孔内周面保護部材72と円環板状の外側保護部材82とが一体となった孔内外側保護部材92を用いる点、及びこれを電池ケース10(ケース蓋部材12)に一体成形してなる点で異なる。一方、それ以外の構成については、実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様な部位には、同じ番号を付し、説明も省略または簡略化する。
【0064】
本実施形態2に係る電池2は、金属からなる電池ケース10の内外を連通する貫通孔12H内に、樹脂(具体的には、PFA)からなる円筒状の孔内周面保護部材72を有している。加えて、孔内周面保護部材72と同じ樹脂からなり、電池ケース10の周縁外表面13c上に配置された円環板状の外側保護部材82をも有している。そして、これらは一体となって孔内外側保護部材92をなしており、電池ケース10の貫通孔12H内の貫通孔内周面12c及び周縁外表面13c上に一体成形されている(図8参照)。
【0065】
そして、変形済みブラインドリベット60のうち、概略有底筒状の変形済みリベット本体61の軸部63は、貫通孔12H内に挿通され、電池ケース10とは、貫通孔12H内に配置された孔内周面保護部材72を介して、互いに離間している。また、変形済みブラインドリベット60(変形済みリベット本体61)の鍔部52は、外側保護部材82に当接して、これを介して、電池ケース10の外表面13のうち貫通孔12Hの周縁である周縁外表面13c上を加締めている。一方、変形カシメ部64は、電池ケース10の内表面14のうち貫通孔12Hの周縁である周縁内表面14cに当接して、これを加締めている。これにより、電池ケース10の貫通孔12Hは、変形済みブラインドリベット60により、気密に封止されている(図7参照)。
【0066】
特に、この実施形態2では、変形済みブラインドリベット60(変形済みリベット本体61)の鍔部52と、電池ケース10の周縁外表面13cとの間に、樹脂からなる外側保護部材82が介在しているので、鍔部52と周縁外表面13cとの間を、従って、貫通孔12Hを、より確実に気密に封止できている。その他の構成については、実施形態1の電池1と同様である。
【0067】
次いで、本実施形態2に係る電池2の製造方法について説明する。ここでも、実施形態1に係る電池1の製造方法と同様な部分については、説明を省略または簡略化する。電池2の製造方法では、孔内外側保護部材成形工程において、樹脂からなる孔内外側保護部材92をケース蓋部材12に設けた貫通孔12H内の貫通孔内周面12c及び周縁外表面13c上に予め一体成形しておく(図8参照)。
そして、ケース本体部材11内に電極体20を収容した後、ケース本体部材11の開口11Hをケース蓋部材12で塞いで、レーザ溶接により両者を溶接して、電池ケース10を形成する。
【0068】
次に、真空チャンバ内の減圧下で、貫通孔12Hから電池ケース10内に電解液17を注液した後、挿通工程において、未変形ブラインドリベット50を、孔内外側保護部材92が一体成形された貫通孔12H内に挿通する。この際、孔内外側保護部材92のうち孔内周面保護部材72の存在により、未変形ブラインドリベット50の円筒部53と電池ケース10の貫通孔内周面12cとの接触が防止される。
【0069】
そして、封止工程において、貫通孔12Hに挿通した未変形ブラインドリベット50を変形させる。具体的には、未変形ブラインドリベット50の円筒部53を、貫通孔12H内において、孔内周面保護部材72を介して、電池ケース10と互いに離間させた状態とする。これと共に、電池ケース10の周縁外表面13cに配置された外側保護部材82により、鍔部52と周縁外表面13cとの接触を防止する。このようにしつつ、円筒部53を軸部63及び変形カシメ部64に変形させて、貫通孔12Hを気密に封止する。変形後は、変形済みブラインドリベット60の鍔部52と電池ケース10の周縁外表面13cとの間で、外側保護部材82を介して、貫通孔12Hが気密に封止される。その後は、真空チャンバから電池2を取り出して、コンディショニング工程の後、電池2が完成する。
【0070】
このように、本実施形態2に係る電池2でも、実施形態1と同様に、金属からなる電池ケース10の内外を連通する貫通孔12H内に、樹脂からなる孔内周面保護部材72を有し、変形済みブラインドリベット60の軸部63と電池ケース10とは、貫通孔12H内において、孔内周面保護部材72を介して、互いに離間されている。
従って、実施形態1と同様に、未変形ブラインドリベット50を変形させた際、このリベット50が電池ケース10の貫通孔内周面12cに接触して、金属異物を発生させるおそれがなく、金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制した電池2が得られる。その他、実施形態1と同様な部分は、実施形態1と同様な作用効果を奏する。
【0071】
また、本実施形態2に係る電池2の製造方法では、挿通工程で、未変形ブラインドリベット50の円筒部53を、電池ケース10の貫通孔12Hに挿通するにあたり、孔内周面保護部材72により、電池ケース10の貫通孔内周面12cとの接触を防止する。また、封止工程では、未変形ブラインドリベット50を変形させるにあたり、孔内周面保護部材74を介して、電池ケース10と互いに離間させた状態で未変形ブラインドリベット50を変形させて、貫通孔12Hを封止する。このため、未変形ブラインドリベット50の挿通時及び変形時において、電池ケースの貫通孔内周面12cに接触することによる金属異物の発生を防止することができる。
これにより、金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制した電池2を製造することができる。
【0072】
更に、電池2は、電池ケース10の周縁外表面13c上に外側保護部材82が配置されており、電池2の製造方法の封止工程では、この外側保護部材82により、周縁外表面13cとの接触を防止しつつ、未変形ブラインドリベット50を変形させる。このため、未変形ブラインドリベット50を変形させる際に、このリベット50が電池ケース10の周縁外表面13cに接触することによる、金属異物の発生をも低減できる。これにより、金属異物が電池ケース10内に侵入することをさらに抑制した電池2を製造することができる。
【0073】
更に、電池2は、外側保護部材82が、円環板状をなしており、電池2の製造方法の封止工程では、外側保護部材82を介して、変形済みブラインドリベット60と電池ケース10の周縁外表面13cとの間で、貫通孔12Hを気密に封止する。このため、電池ケース10の周縁外表面13cを変形済みブラインドリベット60で直接加締める場合に比して、変形済みブラインドリベット60と電池ケース10の周縁外表面13cとの間における気密性を向上させることができる。これにより、気密性を高めた電池2を製造することができる。
【0074】
更に、電池2の製造方法では、孔内外側保護部材成形工程を備えており、電池2は、孔内周面保護部材72及び外側保護部材82が、電池ケース10に一体成形されている。このため、孔内周面保護部材72及び外側保護部材82を、電池ケース10の貫通孔12H内の貫通孔内周面12c及び周縁外表面13c上に別途配置する必要がない。かくして、確実に貫通孔内周面12cや周縁外表面13cとリベット50との接触を防止しつつ、電池2を容易に製造することができる。
【0075】
(変形形態3)
なお、本実施形態2では、孔内周面保護部材72と外側保護部材82とが一体となった孔内外側保護部材92を電池ケース10に一体成形して用いた。しかし、それぞれを別体とした孔内周面保護部材172及び外側保護部材182を、電池ケース10に一体成形して用いても良い(図9参照)。
【0076】
(実施形態3)
次いで、第3の実施の形態について説明する。本実施形態3に係るリチウムイオン二次電池(密閉型電池)3では、実施形態2と同様に、円筒状の孔内周面保護部材73と円環板状の外側保護部材83とが一体となった孔内外側保護部材93を用いる。但し、実施形態2と異なり、この孔内外側保護部材93は、電池ケース10(ケース蓋部材12)とは別体に形成され、貫通孔12Hにケース外側から嵌め込んである。一方、それ以外の構成については、実施形態1,2と同様であるので、実施形態1,2と同様な部位には、同じ番号を付し、説明も省略または簡略化する。
【0077】
本実施形態3に係る電池3は、金属からなる電池ケース10の内外を連通する貫通孔13内に、樹脂(具体的には、PFA)からなる円筒状の孔内周面保護部材73を有している。加えて、孔内周面保護部材73と同じ樹脂からなり、電池ケース10の周縁外表面13c上に配置された円環板状の外側保護部材83をも有している。そして、これらは一体となって孔内外側保護部材93をなしており、電池ケース10の貫通孔12Hにケース外側から嵌め込んである(図11参照)。
【0078】
そして、変形済みブラインドリベット60のうち、概略有底筒状の変形済みリベット本体61の軸部63は、貫通孔12H内に挿通され、電池ケース10とは、貫通孔12H内に配置された孔内周面保護部材73を介して、互いに離間している。また、変形済みブラインドリベット60(変形済みリベット本体61)の鍔部52は、外側保護部材83に当接して、これを介して、電池ケース10の外表面13のうち貫通孔12Hの周縁である周縁外表面13c上を加締めている。一方、変形カシメ部64は、電池ケース10の内表面14のうち貫通孔12Hの周縁である周縁内表面14cに当接して、これを加締めている。これにより、電池ケース10の貫通孔12Hは、変形済みブラインドリベット60により、気密に封止されている(図10参照)。その他の構成については、実施形態2の電池2と同様である。
【0079】
次いで、本実施形態3に係る電池3の製造方法について説明する。ここでも、実施形態2に係る電池2の製造方法と同様な部分については、説明を省略または簡略化する。電池3の製造にあたって、予め円筒状の孔内周面保護部材73と円環板状の外側保護部材83とが一体となった孔内外側保護部材93を、電池ケース10のケース蓋部材12とは別体で、樹脂から成形しておく。そして、電池ケース10内に電極体20を収容し、減圧下で、貫通孔12Hから電池ケース10内に電解液17を注液した後、挿通工程及び封止工程に先立つ保護部材嵌め込み工程において、孔内外側保護部材93を、電池ケース10の貫通孔12Hに孔内周面保護部材73が挿入されるようにし、ケース外側から嵌め込む(図11参照)。その後の挿通工程、封止工程及び以降の工程は、実施形態2の電池2の製造方法と同様である。
【0080】
本実施形態3に係る電池3でも、実施形態2と同様に、電池ケース10の貫通孔12H内に、樹脂からなる孔内周面保護部材73を有しており、加えて、電池ケース10の周縁外表面13c上に配置された、同じ樹脂からなる外側保護部材83をも有している。従って、リベット50の変形の際に、貫通孔内周面12c及び周縁外表面13cで金属異物が発生し、この金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制した電池3が得られる。
【0081】
更に、電池3の製造方法では、保護部材嵌め込み工程を備えており、電池3は、予め成形された外側保護部材83と一体の孔内周面保護部材73を、電池ケース10の貫通孔12Hにケース外側から嵌め込んでなる。このため、外側保護部材83及び孔内周面保護部材73を、電池ケース10に一体に成形する場合に比して、電池3を安価に製造することができる。その他、実施形態1,2と同様な部分は、実施形態1,2と同様な作用効果を奏する。
【0082】
(実施形態4)
次いで、第4の実施の形態について説明する。実施形態1では、電池ケース10(ケース蓋部材12)とは別体とした円筒状の孔内周面保護部材71を用いた。これに対し、本実施形態4に係るリチウムイオン二次電池(密閉型電池)4では、円筒状の孔内周面保護部材74と円環板状の内側保護部材84とが一体となった孔内内側保護部材94を用いる点、及びこれを電池ケース10(ケース蓋部材12)に一体成形してなる点で異なる。一方、それ以外の構成については、実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様な部位には、同じ番号を付し、説明も省略または簡略化する。
【0083】
本実施形態4に係る電池4は、金属からなる電池ケース10の内外を連通する貫通孔13内に、樹脂(具体的には、PFA)からなる円筒状の孔内周面保護部材74を有している。加えて、孔内周面保護部材74と同じ樹脂からなり、電池ケース10の周縁内表面13d上に配置された円環板状の内側保護部材84をも有している。そして、これらは一体となって孔内内側保護部材94をなしており、電池ケース10の貫通孔12H内の貫通孔内周面12c及び周縁内表面14c上に一体成形されている(図13参照)。
【0084】
そして、変形済みブラインドリベット60のうち、概略有底筒状の変形済みリベット本体61の軸部63は、貫通孔12H内に挿通され、電池ケース10とは、貫通孔12H内に配置された孔内周面保護部材74を介して、互いに離間している。また、変形済みブラインドリベット60(変形済みリベット本体61)の鍔部52は、電池ケース10の外表面13のうち貫通孔12Hの周縁である周縁外表面13cに当接して、これを加締めている。一方、変形カシメ部64は、内側保護部材84に当接して、これを介して、電池ケース10の内表面14のうち貫通孔12Hの周縁である周縁内表面14cを加締めている。これにより、電池ケース10の貫通孔12Hは、変形済みブラインドリベット60により、気密に封止されている(図12参照)。
【0085】
特に、この実施形態4では、変形済みブラインドリベット60(変形済みリベット本体61)の変形カシメ部64と、電池ケース10の周縁内表面14cとの間に、樹脂からなる内側保護部材84が介在しているので、変形カシメ部64と周縁内表面14cとの間を、従って、貫通孔12Hを、より確実に気密に封止できている。その他の構成については、実施形態1の電池1と同様である。
【0086】
次いで、本実施形態4に係る電池4の製造方法について説明する。ここでも、実施形態1に係る電池1の製造方法と同様な部分については、説明を省略または簡略化する。電池4の製造方法では、孔内内側保護部材成形工程において、樹脂からなる孔内内側保護部材94をケース蓋部材12に設けた貫通孔12H内の貫通孔内周面12c及び周縁内表面14c上に一体成形しておく(図13参照)。
そして、ケース本体部材11内に電極体20を収容した後、ケース本体部材11の開口11Hをケース蓋部材12で塞いで、レーザ溶接により両者を溶接して、電池ケース10を形成する。
【0087】
次に、真空チャンバ内の減圧下で、貫通孔12Hから電池ケース10内に電解液17を注液した後、挿通工程において、未変形ブラインドリベット50を、孔内内側保護部材94が一体成形された貫通孔12H内に挿通する。この際、孔内内側保護部材94のうち孔内周面保護部材74の存在により、未変形ブラインドリベット50の円筒部53と電池ケース10の貫通孔内周面12cとの接触が防止される。
【0088】
そして、封止工程において、貫通孔12Hに挿通した未変形ブラインドリベット50を変形させる。具体的には、未変形ブラインドリベット50のの円筒部53を、貫通孔12H内において、孔内周面保護部材74を介して、電池ケース10と互いに離間させた状態とする。これと共に、電池ケース10の周縁内表面14cに配置された内側保護部材84により、周縁内表面14cとの接触を防止する。このようにしつつ、円筒部53を軸部63及び変形カシメ部64に変形させて、貫通孔12Hを気密に封止する。変形後は、変形済みブラインドリベット60の変形カシメ部64と電池ケース10の周縁内表面14cとの間で、内側保護部材84を介して、貫通孔12Hが気密に封止される。その後は、真空チャンバから電池4を取り出して、コンディショニング工程の後、電池4が完成する。
【0089】
このように、本実施形態4に係る電池4でも、実施形態1と同様に、金属からなる電池ケース10の内外を連通する貫通孔12H内に、樹脂からなる孔内周面保護部材74を有し、変形済みブラインドリベット60の軸部63と電池ケース10とは、貫通孔12H内において、孔内周面保護部材74を介して、互いに離間されている。
従って、実施形態1と同様に、未変形ブラインドリベット50を変形させた際、このリベット50が電池ケース10の貫通孔内周面12cに接触して、金属異物を発生させるおそれがなく、金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制した電池4が得られる。その他、実施形態1と同様な部分は、実施形態1と同様な作用効果を奏する。
【0090】
また、本実施形態4に係る電池4の製造方法では、挿通工程で、未変形ブラインドリベット50の円筒部53を、電池ケース10の貫通孔12Hに挿通するにあたり、孔内周面保護部材74により、電池ケース10の貫通孔内周面12cとの接触を防止する。また、封止工程では、未変形ブラインドリベット50を変形させるにあたり、孔内周面保護部材74を介して、電池ケース10と互いに離間させた状態で未変形ブラインドリベット50を変形させて、貫通孔12Hを封止する。このため、未変形ブラインドリベット50の挿通時及び変形時において、電池ケースの貫通孔内周面12cに接触することによる金属異物の発生を防止することができる。
これにより、金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制した電池4を製造することができる。
【0091】
更に、電池4は、電池ケース10の周縁内表面14c上に内側保護部材84が配置されており、電池4の製造方法の封止工程では、この内側保護部材84により、周縁内表面14cとの接触を防止しつつ、未変形ブラインドリベット50を変形させる。このため、未変形ブラインドリベット50を変形させる際に、このリベット50が電池ケース10の周縁内表面14cに接触することによる、金属異物の発生をも低減できる。これにより、金属異物が電池ケース10内に侵入することをさらに抑制した電池4を製造することができる。特に、周縁内表面14cからの金属異物の発生を抑制できるので、電池ケース10内への金属異物の侵入抑制に有効である。
【0092】
更に、電池4は、内側保護部材84が、円環板状をなしており、電池4の製造方法の封止工程では、内側保護部材84を介して、変形済みブラインドリベット60と電池ケース10の周縁内表面14cとの間で、貫通孔12Hを気密に封止する。このため、電池ケース10の周縁内表面14cを変形済みブラインドリベット60で直接加締める場合に比して、変形済みブラインドリベット60と電池ケース10の周縁内表面14cとの間における気密性を向上させることができる。また、電池ケース10内側の気密性を向上させることにより、電池ケース10外側に外側保護部材82を有する場合に比しても、気密性を高くすることができる。これにより、より気密性を高めた電池4を製造することができる。
【0093】
更に、電池4の製造方法では、孔内内側保護部材成形工程を備えており、電池4は、孔内周面保護部材74及び内側保護部材84が、電池ケース10に一体成形されている。このため、孔内周面保護部材74及び内側保護部材84を、電池ケース10の貫通孔12H内の貫通孔内周面12c及び周縁内表面14c上に別途配置する必要がない。かくして、確実に貫通孔内周面12cや周縁内表面14cとリベット50との接触を防止しつつ電池4を容易に製造することができる。特に、内側保護部材84を設けるにあたり、電池ケース10に内側保護部材84を一体成形することで、容易に内側保護部材84を電池ケース10の内側に配置しておくことができる。
【0094】
(実施形態5)
次いで、第5の実施の形態について説明する。本実施形態5に係るハイブリッド自動車(車両)700(以下、単に自動車700とも言う)は、実施形態1に係る電池1を搭載し、この電池1に蓄えた電気エネルギーを、駆動源の駆動エネルギーの全部または一部として使用するものである(図14参照)。
【0095】
この自動車700は、電池1を複数組み合わせた組電池710を搭載し、エンジン740、フロントモータ720及びリアモータ730を併用して駆動するハイブリッド自動車である。具体的には、この自動車700は、その車体790に、エンジン740と、フロントモータ720及びリアモータ730と、組電池710(電池1)と、ケーブル750と、インバータ760とを搭載する。そして、この自動車700は、組電池710(電池1)に蓄えられた電気エネルギを用いて、フロントモータ720及びリアモータ730を駆動できるように構成されている。
【0096】
前述したように、電池1は、金属異物が電池ケース10内に侵入することを抑制しているので、この電池1を搭載する自動車700の信頼性を高くできる。なお、実施形態1に係る電池1に代えて、実施形態2〜4に係る電池2,3,4を搭載してもよい。
【0097】
(実施形態6)
次いで、第6の実施の形態について説明する。本実施形態6のハンマードリル800は、実施形態1に係る電池1を搭載した電池使用機器である(図15参照)。このハンマードリル800は、本体820の底部821に、電池1を含むバッテリパック810(電池1)が収容されており、このバッテリパック810を、ドリルを駆動するためのエネルギー源として利用している。
【0098】
前述したように、電池1は、金属異物が電池ケース10内のに侵入することを抑制しているので、この電池1を搭載するハンマードリル800の信頼性を高くできる。なお、実施形態1に係る電池1に代えて、実施形態2〜4に係る電池2,3,4を搭載してもよい。
【0099】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態1〜6に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
【0100】
例えば、実施形態1〜4では、電池ケースの内外を連通する貫通孔12Hを、電解液17を注入するための注液孔として利用した例を示したが、これに限られない。貫通孔としては、例えば、製造途中(初期充放電など)で発生した電池ケース内のガスを放出するための通気孔などが挙げられる。また、実施形態1〜4では、貫通孔12Hを、電池ケース10のうちケース蓋部材12に設けたが、貫通孔の形成位置はこれに限られない。貫通孔は、例えば、ケース本体部材11の側面や底面に設けてもよい。
【0101】
また、実施形態1では、孔内周面保護部材71のみを有する電池1を、実施形態2〜3では、孔内周面保護部材72,73及び外側保護部材82,83を有する電池2,3を、実施形態4では、孔内周面保護部材74及び内側保護部材84を有する電池4を、それぞれ例示したが、孔内周面保護部材、外側保護部材及び内側保護部材の形態はこれに限られない。
例えば、孔内周面保護部材と外側保護部材と内側保護部材の3つを一体または別体として、電池ケース10のケース蓋部材12に一体成形してもよい。また、外側保護部材と貫通孔より長い円筒状をなした孔内周面保護部材とを一体にして、電池ケース10とは別体で成形しておき、これを電池ケース10の貫通孔12Hにケース外側から嵌め込む形態としてもよい。この場合は、未変形ブラインドリベット50を貫通孔12Hに挿通し、変形済みブラインドリベット60に変形させると、これの変形と共に、長い円筒状の孔内周面保護部材のうちの貫通孔12Hから飛び出した部位が、内側保護部材をなすように周縁内表面14c上に押し広げられる。従って、孔内周面保護部材、外側保護部材及び内側保護部材の三者を有する電池とすることができる。
【0102】
また、実施形態5では、本発明に係る電池1を搭載する車両として、ハイブリッド自動車700を例示したが、これに限られない。本発明に係る電池を搭載する車両としては、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータなどが挙げられる。
【0103】
また、実施形態6では、本発明に係る電池1を搭載する電池使用機器として、ハンマードリル800を例示したが、これに限られない。本発明に係る電池を搭載する電池使用機器としては、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電池駆動の電動工具、無停電電源装置など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。
【符号の説明】
【0104】
1,2,3,4 リチウムイオン二次電池(密閉型電池)
10 電池ケース
11 ケース本体部材
12 ケース蓋部材
13 (電池ケース(ケース蓋部材)の)外表面
14 (電池ケース(ケース蓋部材)の)内表面
12H 貫通孔(注液孔)
12c 貫通孔内周面
13c 周縁外表面
14c 周縁内表面
15 安全弁
20 電極体
40 正極端子
41 負極端子
50 未変形ブラインドリベット
51 未変形リベット本体
52 鍔部
53 円筒部(有底筒部)
60 変形済みブラインドリベット
61 変形済みリベット本体
63 軸部
64 変形カシメ部
71,72,73,74 孔内周面保護部材
82,83 外側保護部材
84 内側保護部材
92,93 孔内外側保護部材
94 孔内内側保護部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなり、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケース、
上記電池ケース内に収容された電極体、及び、
筒状の軸部と
上記軸部の基端側に連なり上記軸部より径大な鍔部と
上記軸部の先端側に連なり上記軸部より径大な変形カシメ部とを含む
変形済みリベット本体を有し、
上記軸部が上記電池ケースの上記貫通孔内に挿通され、
上記鍔部が上記電池ケースの外表面のうち上記貫通孔周縁である周縁外表面を加締め、
上記変形カシメ部が上記電池ケースの内表面のうち上記貫通孔周縁である周縁内表面を加締めて、
上記貫通孔を気密に封止してなる
変形済みブラインドリベット、を備える
電池であって、
樹脂からなり、上記電池ケースの上記貫通孔内に配置された孔内周面保護部材を有し、
上記変形済みブラインドリベットの上記軸部と、上記電池ケースとは、上記貫通孔内において、上記孔内周面保護部材を介して、互いに離間されてなる
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁外表面上に配置された外側保護部材を有し、
前記変形済みブラインドリベットの前記鍔部は、
上記外側保護部材を介して、上記電池ケースの上記周縁外表面を加締めてなる
電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池であって、
樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁内表面上に配置された内側保護部材を有し、
前記変形済みブラインドリベットの前記変形カシメ部は、
上記内側保護部材を介して、上記電池ケースの上記周縁内表面を加締めてなる
電池。
【請求項4】
金属からなり、自身の内外を連通する貫通孔を有する電池ケース、
上記電池ケース内に収容された電極体、及び、
筒状の軸部と
上記軸部の基端側に連なり上記軸部より径大な鍔部と
上記軸部の先端側に連なり上記軸部より径大な変形カシメ部とを含む
変形済みリベット本体を有し、
上記軸部が上記電池ケースの上記貫通孔内に挿通され、
上記鍔部が上記電池ケースの外表面のうち上記貫通孔周縁である周縁外表面を加締め、
上記変形カシメ部が上記電池ケースの内表面のうち上記貫通孔周縁である周縁内表面を加締めて、
上記貫通孔を気密に封止してなる
変形済みブラインドリベット、を備え、
樹脂からなり、上記電池ケースの上記貫通孔内に配置された孔内周面保護部材を有し、
上記変形済みブラインドリベットの上記軸部と、上記電池ケースとは、上記貫通孔内において、上記孔内周面保護部材を介して、互いに離間されてなる
電池の製造方法であって、
上記変形済みブラインドリベットを変形させる前の未変形ブラインドリベットは、
上記鍔部と
先端側が閉じた有底筒状で変形後に上記軸部及び上記変形カシメ部となる有底筒部とを含む
未変形リベット本体を有し、
上記貫通孔に挿通した上記未変形ブラインドリベットの上記有底筒部を、上記貫通孔内において、上記孔内周面保護部材を介して、上記電池ケースと互いに離間させた状態で、上記軸部及び上記変形カシメ部に変形させて、上記貫通孔を気密に封止する封止工程
を備える
電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電池の製造方法であって、
前記封止工程に先立って、
前記貫通孔内に配置した前記孔内周面保護部材により、前記電池ケースの貫通孔内周面との接触を防止しつつ、前記未変形ブラインドリベットの前記有底筒部を、上記電池ケースの外側から前記貫通孔に挿通する挿通工程を備える
電池の製造方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電池の製造方法であって、
前記電池は、
樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁外表面上に配置された外側保護部材を有し、
前記封止工程は、
上記周縁外表面上に配置した上記外側保護部材により、上記周縁外表面との接触を防止しつつ、前記未変形ブラインドリベットの前記有底筒部を変形させる
電池の製造方法。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の電池の製造方法であって、
前記電池は、
樹脂からなり、前記電池ケースの前記周縁内表面上に配置された内側保護部材を有し、
前記封止工程は、
上記周縁内表面上に配置した上記内側保護部材により、上記周縁内表面との接触を防止しつつ、前記未変形ブラインドリベットの前記有底筒部を変形させる
電池の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電池の製造方法であって、
前記封止工程に先立って、
前記孔内周面保護部材及び前記内側保護部材を、前記電池ケースの前記貫通孔内及び前記周縁内表面上に一体成形する孔内内側保護部材成形工程を備える
電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−20729(P2013−20729A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151125(P2011−151125)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】