説明

電池収納装置

【課題】振動状態においても瞬断及び接触不良を起こさず、電池の許容押さえ力を満たし組立作業性も良好であり、電池を誤挿入しても電池に過電流が発生せず電池の異常発熱や液洩れが生じない電池収納装置を実現する。
【解決手段】プラス端子とマイナス端子とを有し電池が収納される電池収納装置において、前記プラス端子に一端が接続され他端が前記電池のプラス極に接するプラス極コイルスプリングと、前記マイナス端子に一端が接続され他端が前記電池のマイナス極に接し前記電池のプラス極の凸部との誤接触を回避できるように前記凸部より大きな内径を有するマイナス極コイルスプリングとを具備したことを特徴とする電池収納装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池収納装置に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−199957号公報
【特許文献2】特開2007−329005号公報
【0004】
図6は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図、図7は図6の要部構成説明図で、図6の矢印A
より見た図である。
図において、電池収納ケース1は、ケース本体2とカバー3とを有する。
電池収納ケース1には、電池4,5が収納されている。
この場合は、単1電池が使用されている。
【0005】
電池4と電池5とが、端子6と円錐コイルばね端子7を経由して直列に接続され、プレート端子8と円錐コイルばね端子9を有する回路基板11を介してコネクタ部12,13より電力供給を行う。
電池4,5のプラス極側の端子が、ばね性のない固定端子6,8であり、電池4,5のマイナス極側の端子が円錐コイルばね7,9で構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような装置においては、以下の間題点がある。
電池4,5と端子間の瞬断時に、電気容量を確保するコンデンサを有することが防爆規格上許されない電池収納装置においては、振動のない静止状態では、電池4,5のマイナス極側の端子が円錐コイルばね7,9のため、ばね力により電池4,5と端子間の瞬断及び接触不良は起きない。
【0007】
しかし、振動状態では、電池4,5のプラス極側の端子が、ばね性のない固定端子6,8のため電池4,5と端子間の瞬断及び接触不良が振動加速度により発生し、振動状態での、例えば、無線通信機器等のエラーを引き起こしてしまう。
【0008】
図6において、振動状態での電池4,5と端子間の瞬断及び接触不良を解決するためには、電池単体質量約100(g)に対して、50倍のばね押さえ力50(N)が必要となるが、使用する電池の許容押さえ力は20(N)のため、その仕様を満たすことができない。また荷重が大きいためその組立作業性が問題となる。
【0009】
電池4,5を誤挿入(逆挿し)した状態で、たとえば、無線通信形差圧伝送器に使用すると、電池4,5のプラス極と端子のマイナス極7,9の接触(通電)と電池のマイナス極と端子のプラス極6,8の接触(通電)のため、電池に過電流が発生し、電池の異常発熱や液洩れが生じる故障を引き起こしてしまう。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、振動状態においても、瞬断及び接触不良を起こさない、電池収納装置を提供することにある。
また、電池の許容押さえ力を満たし、その組立作業性も良好な電池収納装置を提供することにある。
また、電池を誤挿入しても、電池に過電流が発生せず、電池の異常発熱や液洩れが生じない電池収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1の電池収納装置においては、
プラス端子とマイナス端子とを有し電池が収納される電池収納装置において、前記プラス端子に一端が接続され他端が前記電池のプラス極に接するプラス極コイルスプリングと、前記マイナス端子に一端が接続され他端が前記電池のマイナス極に接し前記電池のプラス極の凸部との誤接触を回避できるように前記凸部より大きな内径を有するマイナス極コイルスプリングとを具備したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2の電池収納装置においては、
プラス端子とマイナス端子とを有し電池が収納される電池収納装置において、
前記プラス端子に一端が接続され他端が前記電池のプラス極に接するプラス極板ばねと、前記マイナス端子に一端が接続され他端が前記電池のマイナス極に接するマイナス極板ばねと、このマイナス極板ばねに設けられ前記電池のプラス極の凸部との誤接触を回避できるように前記凸部より大きな直径を有する凸部回避穴とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果がある。
電池と端子間の瞬断時に電気容量を確保するコンデンサを有することが防爆規格上許されない電池収納装置において、電池両極側の端子をコイルばね端子にすることによって、静止状態だけでなく振動状態でも振動加速度で発生する電池の動きにコイルばね端子が追従し、常に接触を保つことができる。
したがって電池と端子間の瞬断及び接触不良を起こさず、振動状態での接触エラーを防止することができる電池収納装置が得られる。
【0014】
電池両極側の端子をコイルばね端子にすることによって、振動状態に対して大きな荷重で電池を押さえなくてもよいので、使用する電池の許容押さえ力の仕様を満たすことができる。
また、大きな荷重にはならないのでその組立作業性が改善される電池収納装置が得られる。
【0015】
製品に使用する電池を誤挿入(逆挿し)した場合、電池のプラス極は凸部箇所以外が電気絶縁されているおり、マイナス極の円筒コイルばね端子のばね頂部内径が、電池プラス極の凸部より大きいため、凸部に接触(通電)しない。
このため電池を誤挿入(逆挿し)した状態で無線通信機器等に使用した場合でも、電池に過電流が発生することはなく、電池の異常発熱や液洩れが生じる故障が起きない電池収納装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、図2は図1の要部構成説明図、図3は図1のケースの組立説明図である。
図において、図6と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図6との相違部分のみ説明する。
【0017】
図1において、電池4と電池5とがプラス極コイルスプリング21Aとマイナス極コイルスプリング22Aとを経由して直列に接続され、プラス極コイルスプリング21Bとマイナス極コイルスプリング22Bとを有する回路基板23を介してコネクタ部12,13より電力供給を行う。
プラス極コイルスプリング21A,21Bは、この場合は、円錐コイルばねが使用され、ばね頂部が電池のプラス極の凸部4A、5Aと接触する。
【0018】
マイナス極コイルスプリング22A,22Bは、この場合は、円筒コイルばねが使用され、電池のプラス極の凸部4A、5Aに誤接触しないように、凸部4A、5Aより大きな内径を有し、電池のマイナス極と接触する。
そして、ケース本体2とカバー3とは、ねじ1Aとねじ1Bとにより固定されるので、電池両極側ともコイルバネ端子でも組立作業性に問題は生じない。
【0019】
この結果、
電池と端子間の瞬断時に電気容量を確保するコンデンサを有することが防爆規格上許されない電池収納装置において、電池両極側の端子をコイルばね端子21A,21B,22A,22Bにすることによって、静止状態だけでなく振動状態でも振動加速度で発生する電池の動きにコイルばね端子21A,21B,22A,22Bが追従し、常に接触を保つことができる。
したがって電池と端子間の瞬断及び接触不良を起こさず、振動状態での接触エラーを防止することができる電池収納装置が得られる。
【0020】
電池両極側の端子をコイルばね端子21A,21B,22A,22Bにすることによって、振動状態に対して大きな荷重で電池を押さえなくてもよいので、使用する電池の許容押さえ力の仕様を満たすことができる。
また、大きな荷重にはならないのでその組立作業性が改善される電池収納装置が得られる。
【0021】
製品に使用する電池を誤挿入(逆挿し)した場合、電池のプラス極は凸部箇所以外が電気絶縁されているおり、マイナス極の円筒コイルばね端子22A,22Bのばね頂部内径が、電池プラス極の凸部より大きいため、凸部に接触(通電)しない。
このため電池を誤挿入(逆挿し)した状態で無線通信機器等に使用した場合でも、電池に過電流が発生することはなく、電池の異常発熱や液洩れが生じる故障が起きない電池収納装置が得られる。
【0022】
図4は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図4において、電池4と電池5とがプラス極板ばね31Aとマイナス極板ばね32Aとを経由して直列に接続され、プラス極板ばね31Bとマイナス極板ばね32Bとを有する回路基板33を介してコネクタ部12,13より電力供給を行う。
【0023】
そして、凸部回避穴34A,34Bは、マイナス極板ばね32A,32Bに設けられ、電池4,5のプラス極の凸部との誤接触を回避できるように、凸部より大きな直径を有する。
この場合は、図5に示す如く、プラス極板ばね31Aとマイナス極板ばね32Aとは、一体的に構成されている。
【0024】
この結果、
電池と端子間の瞬断時に電気容量を確保するコンデンサを有することが防爆規格上許されない電池収納装置において、電池両極側の端子を板ばね31A,31B,32A,32Bにすることによって、静止状態だけでなく振動状態でも振動加速度で発生する電池の動きに板ばね31A,31B,32A,32Bが追従し、常に接触を保つことができる。
したがって電池と端子間の瞬断及び接触不良を起こさず、振動状態での接触エラーを防止することができる電池収納装置が得られる。
【0025】
電池両極側の端子を板ばね31A,31B,32A,32Bにすることによって、振動状態に対して大きな荷重で電池を押さえなくてもよいので、使用する電池の許容押さえ力の仕様を満たすことができる。
また、大きな荷重にはならないのでその組立作業性が改善される電池収納装置が得られる。
【0026】
製品に使用する電池を誤挿入(逆挿し)した場合、電池のプラス極は凸部箇所以外が電気絶縁されているおり、マイナス極の板ばね32A,32Bの凸部回避穴34A,34Bが、電池プラス極の凸部より大きいため、凸部に接触(通電)しない。
このため電池を誤挿入(逆挿し)した状態で無線通信機器等に使用した場合でも、電池に過電流が発生することはなく、電池の異常発熱や液洩れが生じる故障が起きない電池収納装置が得られる。
【0027】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の要部構成説明図である。
【図3】図1のケースの組立説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図5】図4の要部構成説明図である。
【図6】従来より一般に使用されている従来例の構成説明図である。
【図7】図6の要部構成説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 電池収納ケース
1A ねじ
1B ねじ
2 ケース本体
3 カバー
4 電池
4A 電池のプラス極の凸部
5 電池
5A 電池のプラス極の凸部
6 端子
7 円錐コイルばね端子
8 プレート端子
9 円錐コイルばね端子
11 回路基板
12 コネクタ部
13 コネクタ部
21A プラス極コイルスプリング
21B プラス極コイルスプリング
22A マイナス極コイルスプリング
22B マイナス極コイルスプリング
23 回路基板
31A プラス極板ばね
31B プラス極板ばね
32A マイナス極板ばね
32B マイナス極板ばね
33 回路基板
34A 凸部回避穴
34B 凸部回避穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラス端子とマイナス端子とを有し電池が収納される電池収納装置において、
前記プラス端子に一端が接続され他端が前記電池のプラス極に接するプラス極コイルスプリングと、
前記マイナス端子に一端が接続され他端が前記電池のマイナス極に接し前記電池のプラス極の凸部との誤接触を回避できるように前記凸部より大きな内径を有するマイナス極コイルスプリングと
を具備したことを特徴とする電池収納装置。
【請求項2】
プラス端子とマイナス端子とを有し電池が収納される電池収納装置において、
前記プラス端子に一端が接続され他端が前記電池のプラス極に接するプラス極板ばねと、
前記マイナス端子に一端が接続され他端が前記電池のマイナス極に接するマイナス極板ばねと、
このマイナス極板ばねに設けられ前記電池のプラス極の凸部との誤接触を回避できるように前記凸部より大きな直径を有する凸部回避穴と
を具備したことを特徴とする電池収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−277513(P2009−277513A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127872(P2008−127872)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】