説明

電池用フッ素化リチウムバナジウムポリアニオン粉末の製造方法

フルオロ燐酸リチウムバナジウムまたは炭素含有フルオロ燐酸リチウムバナジウムを生じさせる方法。この方法は、還元を受けてV3+になるV5+を有する前駆体が入っている懸濁溶液を生じさせることを包含する。その懸濁溶液を不活性環境下で加熱することでLiVPOFの合成を残留炭素形成物質もまた酸化されてLiVPOFの中および上に沈澱して炭素含有LiVPOFまたはCLVPFが生じるように推進させる。液体を固体から分離する結果として得た無水粉末をより高い2番目の温度に加熱することで生成物の結晶化を推進させる。その生成物は導電性用炭素を含有し、低コストの前駆体を用いることでも生じかつ前記生成物を小さくして電池で用いるに適した粒径にするための粉砕も他の加工も必要無しに小さい粒径を維持している。その上、この方法は、電池で用いるに必要な導電性を生じさせようとしてカーボンブラック、グラファイトまたは他の形態の炭素を添加することに頼るものでもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、米国仮出願番号61/139,342の利点を請求するものである。
【0002】
政府支援研究開発に関する供述
無し
【0003】
本発明は、リチウムイオン電池の正極で用いるに適した材料および前記材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
リチウムイオン電池は、効率、エネルギー密度が高く、電池電圧が高くかつ寿命が長いと認識かつ評価されていて、1990年代初頭から商業的に使用されてきている。しかしながら、いつものように、より良好な電池を低価格で製造することが必要とされている。数多くの技術的進展が成された1つの領域が陰極材料の領域である。陰極材料が示す化学的性質が様々であることによってリチウムイオン電池が示す数多くの重要な性能特徴の中の強みが異なることが示唆されている。とりわけ、特許文献1の中で提案されている1つの興味の持たれる化学物質はリチウムと金属のフルオロ燐酸塩である。リチウムと金属のフルオロ燐酸塩は約4.2ボルトの名目上の電極電位および約150mAh/gの理論的容量を有すると期待される点で興味が持たれている。そのような属性は他の金属とリチウムのポリアニオン化合物(LiFePOを包含)のそれよりも良好である。
【0005】
しかしながら、リチウムと金属のフルオロ燐酸塩の製造方法は困難であると認識されている。そのような興味の持たれる材料を商業化するには高品質で低コストの製造方法を開発することが重要である。上述したように、電池に関する如何なる改良も、性能が良くなるか、寿命が長くなるか或はコストが低くなるかに拘わらず、歓迎される好ましい改良である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,387,568号
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の説明を添付図と協力させて参照することで本発明に加えて本発明のさらなる利点が最良に理解されるであろう。
【図1】図1は、所望形態の金属とリチウムのフルオロ燐酸塩を製造するに適した本発明の方法を示すブロック図である。
【図2】図2は、金属とリチウムのフルオロ燐酸塩を製造するに適した本発明の方法の代替態様を示すブロック図である。
【図3】図3は、金属とリチウムのフルオロ燐酸塩を製造するに適した本発明の方法の2番目の代替態様を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の発明方法を用いて製造した粉末が示した電極電位プロファイルを示すチャートである。
【図5】図5は、本発明の方法を用いて製造した粉末が数多くのサイクルに渡って示した比容量を示すチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0008】
態様は、フルオロ燐酸リチウムバナジウムまたは炭素含有フルオロ燐酸リチウムバナジウムの製造方法に関する。この方法は、還元を受けてV3+になるV5+を有する前駆体が入っている懸濁溶液を生じさせることを包含する。その懸濁溶液を不活性環境下で加熱することでLiVPOFの合成を残留炭素形成物質もまた酸化されてLiVPOFの中および上に沈澱して炭素含有LiVPOFまたはCLVPFが生じるように推進させる。次に、液体を固体から分離する結果として得た無水粉末をより高い2番目の温度に加熱することで生成物の結晶化を推進させる。その生成物は導電性用炭素を含有し、低コストの前駆体を用いることでも生じかつ前記生成物を小さくして電池で用いるに適した粒径にするための粉砕も他の加工も必要無しに小さい粒径を維持している。その上、この方法は、電池で用いるに必要な導電性を生じさせようとしてカーボンブラック、グラファイトまたは他の形態の炭素を添加することに頼るものでもない。
【0009】
本発明は電池に関する様々なパラメーターおよび性質に関係していることから、本発明の考察および理解に役立つように、本発明の態様の材料を従来技術の材料または従来技術の方法で得られた材料と比較する目的でいくつかの定義を示す。
【0010】
下記の用語を本明細書で用いる場合、それらに当該技術分野に通常の意味を持たせ、特にそれらに下記の定義を包含させることを意図する。
【0011】
容量(mAh/g):ある特定の限定された電極電位窓の中で所定電極材料の中に貯蔵されかつそこから放出され得る単位重量当たりの電気量。
【0012】
クーロン効率(%):電極の充電を放電前の状態になるまで行う時に使用された電気量に対する電極材料から放電される電気量の比率。
【0013】
「残留炭素形成物質」(CRFM)は、600℃またはそれ以上の温度の炭化温度の不活性雰囲気中で熱分解を起こした時に実質的に炭素である残留物を形成する材料のいずれかである。本明細書で用いる如き「実質的に炭素である」は、その物質の炭素が少なくとも95重量%であることを示す。
【0014】
「炭化」は、残留炭素形成物質が「実質的に炭素である」と特徴づけられる物質に変化する過程である。
【0015】
ここに、本図を参照して、図1に本発明に従う工程流れ図を示す。この工程は下記の段階またはサブプロセスから成る:a)前駆体を混合し、b)粉末/溶媒混合物を穏やかな温度で反応させて固体粉末を生じさせ、c)前記固体粉末を液体から分離し、d)前記固体粉末を高温に加熱する。図2に代替工程図を示す。この工程では、炭素をもたらす炭化水素または残留炭素形成材料を反応溶液に前記炭素をもたらす炭化水素の一部が固体粒子上に沈澱または生成するように添加する。図3に示す別の代替配置では、粉末を加熱した後の固体粒子を炭素をもたらす炭化水素、例えば石油ピッチなどで覆った後にさらなる段階で加熱することで炭素を前記固体粒子の上にか或はそれと一緒に生じさせてもよい。本発明者らは、そのような炭素は一般に表面に存在するが、明瞭さの目的で、その粒子が炭素を含有するとして記述する方が好ましいと考える、と言うのは、炭素は前記粒子と1から10パーセント、より好適には1から3パーセントの範囲の少ない量で結合するからである。
【0016】
他の様々な陰極粉末には導電性が向上するように導電性粒子、例えばカーボンブラックおよびグラファイトなどが添加されていることが知られている。しかしながら、そのような陰極粉末を結合剤で金属製陰極箔に付着させるまでは、その導電性添加剤である炭素粒子を陰極粉末と結合させていない。そのような陰極粉末を製造する方法では、炭素を陰極粉末粒子と結合させるとその粉末の粒子全部または実質的に全部の中に導電性が生じる点で前記粉末がより良好になると信じられている。他の方式では、結合剤を用いて陰極粉末を金属製陰極箔に付着させることで、導電性添加剤である炭素粒子を単に陰極粉末の粒子と連結させている。
【0017】
この上に簡単に記述した段階の各々を以下により詳細に説明する。
【0018】
前駆体を混合
いくつかの態様における前駆体は下記を含有する:(a)バナジウム源としての五価の酸化バナジウム(V)またはアンモニウムバナジウムオキサイド(NHVO)(時にはまたメタバナジン酸アンモニウムとも呼ぶ)粉末、(b)リチウム源としての炭酸リチウム(LiCO)、水酸化リチウム(LiOH)またはフッ化リチウム、(c)燐酸源としての燐酸(HPO)、(d)フッ化物源としてのフッ化リチウム(LiF)またはフッ化水素酸(HF)、および(e)溶媒およびまた還元剤としてのN−メチルピロリジノン(NMP)。好適にはまた水(HO)も溶媒および還元剤として添加する。NMPおよび水を除き、他の前駆体を必要な化学量論的比率で添加する。NMPおよび水の量を結果としてもたらされるスラリーの粘度で決定する。固体状のV粒子がNMPの中に均一に分散しかつ他の前駆体の大部分がNMPに溶解するのが好ましい。
【0019】
当該混合物を溶媒混合物中で反応
この操作によって、五価のバナジウムが三価のバナジウムになる化学的還元を起こさせると同時にLiVPOFに近い化学量論的組成を有する固体粒子の沈澱を起こさせる。いくつかの態様では、この操作の温度を200℃から300℃の範囲にする。いくつかの態様では、この操作の圧力を500psig以下にする。
【0020】
この工程では、所望のLiVPOFが生じることに加えて、炭素をもたらす大型の炭化水素を包含する有用な副生成物も生じ、その副生成物は液体から析出するか或はそれに溶解したままであり得る。そのような炭素をもたらす炭化水素である副生成物は、固体粉末に熱処理を次の段階で受けさせる時に炭素源として非常に有用である。図2に示す如き代替工程では、炭素をもたらす炭化水素、例えば石油ピッチなどを2番目の段階または段階b)で当該溶液に反応前または反応後のいずれかで添加するが、その添加した炭化水素の中の一部は前記溶液から固体粒子の上に沈澱するであろう。その固体粒子を液体から蒸発で分離する場合、その添加した炭化水素および大型の炭化水素である副生成物の両方が最終的粉末の中の炭素源になる。図3に示す如き代替工程では、固体粒子を乾燥させた後にその炭素をもたらす炭化水素を加えて不活性環境中で熱処理する。これらのケースの全部において、固体粉末全体に入っている最終的炭素含有量が0.5から10%または1%から5%の範囲になるように調節するのが好ましい。
【0021】
固体粉末を液体から分離
この操作では如何なる通常の物理的方法も使用可能であるが、液体の蒸発および機械的濾過が2つの典型的な分離方法である。
【0022】
加熱処理
この段階は、前記粉末を不活性雰囲気中で300℃以上の温度に加熱することで固体粒子の所望結晶構造を生じさせかつ前記粒子の上または中に含まれている炭化水素を元素状
炭素に変化させることを伴う。いくつかの態様では、その温度を500から800℃または600から750℃の範囲にする。
【0023】
実施例
【実施例1】
【0024】
粉末(99.2%、Alfa Chemical)が16.0グラム、フッ化リチウム(99.98%、Aldrich)が4.7グラム、85.5%の燐酸(HPO)が20.0グラム、N−メチル−ピロリジノン(NMP)が150グラムおよび脱イオン水が5.2グラムであるように前駆体を計り取ってプラスチックボトルに入れて振とうすることで混合した。その結果として生じた溶液を600mlのステンレス鋼製圧力容器に移した後、その溶液を絶えず撹拌しながら250℃に3時間加熱した。次に、窒素ガスを前記容器の中に通すことで液体を完全に蒸発させた。熱を取り除いて前記容器を周囲温度に冷却した後、粉末を前記容器から注ぎ出した。
【0025】
その結果として得た粉末を炉の中に移した後、窒素ガス雰囲気下で550℃に12時間加熱した。次に、その炉を室温に冷却した後、その結果として得た粉末を前記炉から回収した。その結果として得た固体粉末に陰極材料としての評価を受けさせた。
【実施例2】
【0026】
この実施例2の調製を最終的熱処理条件を650℃で18時間にする以外は実施例1と同じ様式で実施した。
【実施例3】
【0027】
実施例3の調製もまた実施例1と同じ様式で実施したが、固体粉末を700℃に8時間加熱した。
【実施例4】
【0028】
実施例4の調製もまた実施例1と同じ様式で実施したが、最終的熱処理条件を750℃で18時間にした。
【実施例5】
【0029】
実施例5の調製を実施例5ではフッ化水素酸(HF)をフッ化物源として用いかつ炭酸リチウム(LiCO)をリチウム源として用いる点で実施例1とは異なる様式で実施した。バナジウム前駆体および燐酸前駆体は実施例1に示したそれらと同じであった。実施例1と同様に、前駆体を混合した後、圧力容器に入れて250℃に3時間加熱した。固体粉末を液体から分離する目的で液体を蒸発させる代わりに、標準的濾過を用いて固体粉末を液体から分離した。その後、その固体粉末を炉に移した後、窒素ガス中で加熱した。
【0030】
炭素含有量の分析
この上の実施例に示したサンプルに炭素含有量に関する分析を下記の様式で受けさせた。2グラムの量のサンプルを50mlの15重量%酸水溶液(HClが7重量%でHNOが5重量%でHSOが3%)に入れて周囲温度(〜22℃)で溶解させた。不溶な残留固体を濾過で分離し、脱イオン水で徹底的に洗浄した後、真空下100℃で少なくとも2時間乾燥させた。その酸に不溶な粉末は主に元素状炭素を含有していて、それを850℃の空気中で燃焼させることで灰含有量を得た。実施例2で生じさせた材料の炭素含有量は3.7%であることを確認した。
【0031】
電気化学的評価
この上の実施例で生じさせた粉末にリチウムイオン電池用陰極材料としての評価を下記
のようにして受けさせた。粉末を電極(a)に加工した後、以下に記述する如きコイン型電池(b)に入れて試験した。
【0032】
電極の調製
所望量の前記粉末をアセチレンカーボンブラック粉末、微細なグラファイト粉末(<8μm)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)溶液(溶媒としてNMP)と一緒に混合することでスラリーを生じさせた。そのスラリーを厚みが20μmのアルミ箔の上に流し込んだ。そのスラリーで覆われた箔をホットプレート上で乾燥させた。その乾燥させた固体状膜はカーボンブラックを2%、グラファイトを4%、PVDFを5%および固体粉末を89%含有していた。その膜から5cmの片を切り取った後、油圧ローリングプレスでプレスすることで固体状膜の密度を約2.0g/ccにした。その固体状膜の厚みまたは質量負荷が約6mg/cmになるように調節した。
【0033】
電気化学試験
前記プレスした膜から直径が1.41cmの盤を打ち抜いた後、リチウム金属が負極として備わっている標準的コイン型電池(サイズCR2025)に入れる正極として用いた。このコイン型電池に用いられている隔離板はガラスマット[Watman(商標)Glassミクロファイバーフィルター、GF/B]でありそして電解質は溶媒混合物(エチレンカーボネートが40%でメチルカーボネートが30%でジエチルカーボネートが30%)中1MのLiPFであった。試験方式は下記の通りであった。電池に充電を電池の電圧が4.4ボルトに到達するまで0.5mAの一定電流(〜50mA/g)下で受けさせた後、さらなる充電を4.4ボルトで1時間または電流が0.03mA未満に降下するまで受けさせた。次に、前記電池に放電を電池の電圧が3.0ボルトに到達するまで0.5mAの一定電流で受けさせた。充電/放電サイクルを繰り返すことでサイクル中の容量の安定性を測定した。その材料が示す容量の計算を放電中に通った電気量を基に行う一方、クーロン効率の計算を充電容量に対する放電容量の比率を基にして行った。あらゆる試験を電気化学試験ステーション(Arbin Model BT−2043)を用いて実施した。あらゆる実験を室温(〜22℃)で実施した。
【0034】
以下の表1に、前記実施例に示した材料が第一および第十サイクル時に示した比容量およびクーロン効率を示す。加熱処理の温度を550℃から750℃にまで高くするにつれて前記材料が示す比容量が上昇した後に低下した。好適な温度は550℃以上であるが、750℃未満である。実施例3に示した材料は118mAh/gの可逆的比容量を示した。このような材料はリチウムイオン電池用陰極材料として用いるに有用である。
【0035】
【表1】

【0036】
図4に、実施例3に示した材料が第一サイクルの時に示した電池電圧プロファイルと第
十サイクルの時に示した電池電圧プロファイルの間の比較を示し、この図の中の線41は第一サイクルの時の電池電圧プロファイルを示しそして線42は第十サイクルの時の電池電圧プロファイルを示している。この材料が示した電極電位には特徴的な高原部が下記の値の所に4個存在していた:3.56、3.65、4.06および4.25ボルト。平均電位は約3.96ボルトであった。図4に示すように、充電および放電時の電池電圧プロファイルはかなり対称的であり、このことは、充電過程と放電過程が非常に可逆的であることを示している。図5に、実施例3および4に示した材料の両方がいろいろなサイクル数の時示した比容量を示す。実施例3に示した材料が示した比容量はサイクル中非常に安定であったが、実施例4に示した材料が示した比容量は最初低下した後に上昇して安定な値に到達した。
【0037】
このように、本発明に従う方法を用いるとLiイオン電池用陰極材料として優れた電気化学特性を示す炭素含有フルオロ燐酸リチウムバナジウム固体粉末が得られることが例証された。この新規な方法は簡潔であり、入手可能な非常に安価な前駆体を用いかつ電極加工に適した容易に加工可能な粉末をもたらし、従ってこの方法は非常に有用である。
【0038】
従って、保護の範囲をこの上に示した説明で限定するものでなく、保護の範囲を限定するのは以下の請求項のみであり、その範囲には本請求項の主題事項の相当物の全部が含まれる。各々および全ての請求項が本発明の態様として本明細書に組み入れられる。すなわち、本請求項はさらなる記述でありかつ本発明の好適な態様としての補足である。本出願に示した参照文献とくに公開日付が本出願の優先日の後である参照文献についての考察は、いずれも、それが本発明の先行技術であることを承認するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
五酸化バナジウム(V)およびアンモニウムバナジウムオキサイド(NHVO)の中の少なくとも1種、リチウム含有化合物、燐酸含有化合物およびフッ素含有化合物を含有する前駆体を有機溶媒/還元剤に入れて分散させて溶解させることで懸濁溶液を生じさせ、
前記懸濁溶液を加熱して前記有機溶媒/還元剤によるバナジウムの還元を原子価が5+の状態から原子価が3+の状態になるように起こさせかつフルオロ燐酸リチウムバナジウム固体粒子の生成を起こさせ、そして
前記固体粒子を液体から分離することでフルオロ燐酸リチウムバナジウム陰極電池粉末を得る、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記リチウム含有化合物がリチウム塩である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記リチウム含有化合物が炭酸リチウム(LiCO)、水酸化リチウム(LiOH)およびフッ化リチウムの中の少なくとも1種である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記燐酸含有化合物が燐酸(HPO)および燐酸アンモニウム(NHPOの中の少なくとも1種である請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒/還元剤がN−メチル−ピロリドン(NMP)を含有して成る請求項1記載の方法。
【請求項6】
更に、前記固体粒子を前記液体から分離した後に残留炭素形成物質を選択的に沈澱させかつ前記固体粒子を不活性環境下で加熱してフルオロ燐酸リチウムバナジウムを結晶化させかつ前記残留炭素形成物質を炭化させることで炭素を前記固体粒子と結合させることも含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項7】
更に、前記固体粒子を前記液体から分離した後であるが前記炭素を前記固体粒子と結合させる前に前記固体粒子を加熱することで前記固体粒子の大きさおよび形状を安定化させることも含んで成る請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記液体を前記固体粒子から取り出して再循環させて戻すことで追加的量の前記前駆体を分散させて溶解させる請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記固体粒子を前記液体から分離することを機械的分離で達成する請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記固体粒子を前記液体から分離することを前記液体を前記固体粒子から蒸発させることで達成する請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記固体粒子を前記液体から分離することを機械的液体抽出に続く蒸発によって達成する請求項1記載の方法。
【請求項12】
方法であって、
リチウム含有化合物、燐酸含有化合物、フッ素含有化合物および五酸化バナジウム(V)を含有する前駆体を有機溶媒/還元剤に入れて分散させて溶解させることで懸濁溶液を生じさせ、
前記懸濁溶液を1番目の温度に加熱して前記有機溶媒/還元剤によるバナジウムの還元を原子価が5+の状態から原子価が3+の状態になるように起こさせかつフルオロ燐酸リチウムバナジウム固体粒子の生成を起こさせ、
前記固体粒子を液体から分離し、そして
前記固体粒子を前記1番目の温度より高い2番目の温度に加熱して前記フルオロ燐酸リチウムバナジウム固体粒子の中に結晶構造を形成させることでフルオロ燐酸リチウムバナジウム陰極電池粉末を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項13】
更に、N−メチル−ピロリドン(NMP)の酸化で生じた残留炭素形成物質が前記固体粒子を前記2番目の温度に加熱した時に炭化することで炭素含有量が固体粒子の1から10重量パーセントの範囲である前記固体粒子が生じることも含んで成る請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記炭素含有量が前記固体粒子の1から3重量パーセントの範囲である請求項13記載の方法。
【請求項15】
方法であって、
炭酸リチウム、フッ化水素酸、五酸化バナジウムおよび燐酸がN−メチル−ピロリドン(NMP)に入っている混合物を生じさせ、
前記混合物を加熱することでフルオロ燐酸リチウムバナジウムを生じさせ、
炭素と前記フルオロ燐酸リチウムバナジウムを含有する固体粒子を前記混合物の液体から回収し、そして
前記固体粒子を加熱することで前記固体粒子の結晶化および炭化を起こさせ、その固体粒子の結晶化および炭化によってフルオロ燐酸リチウムバナジウム陰極電池粉末を生じさせる、
ことを含んで成る方法。
【請求項16】
前記フルオロ燐酸リチウムバナジウムを生じさせることが前記混合物を200℃から300℃の範囲に加熱することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記固体粒子の結晶化および炭化を起こさせることが前記混合物を600℃から750℃の範囲に加熱することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記フルオロ燐酸リチウムバナジウムを生じさせることが前記混合物を200℃から300℃の範囲に加熱することを包含しかつ前記固体粒子の結晶化および炭化を起こさせることが前記混合物を600℃から750℃の範囲に加熱することを包含する請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記フルオロ燐酸リチウムバナジウムを生じさせている時に前記混合物を250℃に加熱しそして前記結晶化および炭化を起こさせている時に前記固体粒子を700℃に少なくとも8時間加熱する請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記フルオロ燐酸リチウムバナジウム陰極電池粉末が示す第一サイクル比容量が少なくとも117mAh/gでありかつ第一サイクルクーロン効率が少なくとも93%である請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−513097(P2012−513097A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542446(P2011−542446)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/068534
【国際公開番号】WO2010/080519
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(502259425)コノコフイリツプス・カンパニー (11)
【氏名又は名称原語表記】ConocoPhillips Company
【Fターム(参考)】