説明

電池用包装容器および電池パッケージ

【課題】搬送中などにおける外部からの衝撃に対し、それ自体の損傷が抑制され、且つ、内部に収納した電池を確実に保護することができる電池用包装容器と電池パッケージを提供する。
【解決手段】ブリスターパック10では、トレイが、カップ状に形成された電池収納部と、当該電池収納部の外縁に設けられたフランジ状の縁部12bとを有する浅皿状をしている。一方、カバーは、トレイにおける電池収納部と縁部12bとを覆う状態に形成されている。カバーにおける角部分11dとトレイにおける電池収納部とを最短距離で結ぶ線上において、カバーとトレイとの間に間隙10aがあけられている。間隙10aは、外部からの衝撃に対する緩衝部として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用包装容器および電池用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やディジタルカメラなどのモバイル機器の普及に伴って、これらの電源として用いられる電池が多く用いられるようになってきている。
電池は、店頭での販売の際に購買者が電池を視認することができるように、透光性樹脂などで形成されたブリスターパックに収納され、この状態でパックごとフックに掛けられて販売されている。なお、電池の販売においては、単数での販売も行われることはあるが、使用実態や流通段階での利便性などを考慮して複数本の電池が一つのブリスターパック内に収納されることが多い。電池用のブリスターパックについては、例えば、特許文献1〜3などに提案されている。
【0003】
特許文献1〜3では、電池を収納するためのカップ部分を有する浅皿状のトレイ部と、トレイ部の開口を覆うカバー部とが係合または粘着テープなどでの張り合わせなどで組み合わされてなるブリスターパックが提案されている。そして、トレイ部においては、搬送中などに収納した電池が内部で移動しないようにするために、カップ部分が電池の外形に合わせて区切られている。
【特許文献1】特開2000−7024号公報
【特許文献2】特開2003−252370号公報
【特許文献3】特開2005−126103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜3で提案されているものをはじめとするブリスターパックでは、トレイ部とカバー部とが密着しているので、ブリスターパックを誤って落下させたような場合には、その衝撃がトレイ部の壁を伝わって内部に収納されている電池へと伝達されてしまう。
ここで、電池は、内部に収納された電極体と電池端子との間の接続が、帯状などをした金属箔であるタブなどでなされており、外部から強い衝撃が加わった場合には、タブが切断されてしまうこともある。また、電極体における正極板と負極板との間に介挿されているセパレータが衝撃により損傷してしまうことがある。このように電池は外部から強い衝撃を受けると使用できなくなるおそれがあるので、搬送中を含めて強い衝撃が加わらないようにする必要がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、搬送中などにおける外部からの衝撃に対し、それ自体の損傷が抑制され、且つ、内部に収納した電池を確実に保護することができる電池用包装容器と電池パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用する。
本発明に係る電池用包装容器は、トレイとカバーとの組み付けにより、内部に電池用の収納空間が形成される。そして、本発明に係る電池用包装容器では、トレイは、カップ状に形成された電池収納部と、当該電池収納部の外縁に設けられたフランジ状の縁部とを有する浅皿状をしており、カバーは、トレイにおける電池収納部と縁部とを覆う状態に形成されている。
【0007】
本発明に係る電池用包装容器では、カバーにおける縁部の外辺の少なくとも一部と、トレイにおける電池収納部とを最短距離で結ぶ線上に、外部からの衝撃を緩和する緩衝部が設けられている、ことを特徴とする。
なお、本発明に係る電池用包装容器においては、トレイとカバーとは一辺を共用して一続きに形成されていてもよいし、トレイとカバーとが別々の部品として形成されていてもよい。
【0008】
また、本発明に係る電池パッケージは、1または複数の電池が包装容器内に収納されてなるものであって、包装容器として上記本発明に係る電池用包装容器が用いられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように、本発明に係る電池用包装容器では、カバーにおける縁部の外辺の少なくとも一部と、トレイにおける電池収納部を最短距離で結ぶ線上に衝撃緩和のための緩衝部が設けられている。このため、本発明に係る電池用包装容器では、搬送中などに誤って電池が収納された状態の包装容器を落下させた場合にあっても、外部からの衝撃が伝達される経路中に緩衝部が設けられていることにより、内部の電池および包装容器が損傷するようなことがない。
【0010】
以上のように、本発明に係る電池用包装容器では、衝撃が伝達される経路中に緩衝部を設けることにより、電池を収納した状態の電池用包装容器を誤って落下させたような場合にあっても、電池への衝撃力の伝達を抑えることができ、また、包装容器の損傷を抑えることができる。
なお、緩衝部を設ける箇所については、電池の収納形態などに応じて、カバーおよびトレイにおける落下時に最も早く接地する確率の高い箇所、あるいはこれに準ずる箇所に応じて設けておくことが望ましい。
【0011】
本発明に係る電池パッケージは、上記本発明に係る電池用包装容器を構成として備えるので、上記同様の効果を得ることができる。
本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、次のようなバリエーションを一例として採用することができる。
上記本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、カバーにおける外辺の少なくとも一部がトレイにおける縁部の対応する部分よりも外方に突出しており、緩衝部が、カバーにおける突出部分とトレイにおける電池収納部とを最短距離で結ぶ線上に設けられている、という構成を採用することができる。これにより、落下時において、先にカバーが床や地面に当たることになり、電池の収納部を有するトレイに直に衝撃が伝わることがない。
【0012】
上記本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、トレイにおける電池収納部と縁部との境界部分に、縁部の主面から起立した壁面を構成しておき、一方、カバーにおけるトレイの起立壁面が形成された部分に対応する箇所に、互いの組み付け時に対向する起立壁面を形成しておく。このような構成を採用する場合において、カバーにおける突出部分と、トレイにおける電池収納部とを最短距離で結ぶ線上において、トレイの起立壁面とカバーにおける起立壁面との間に緩衝部としての間隙をあけておく、という構成を採用することができる。
【0013】
なお、上記本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、トレイとカバーとの組み付けが、互いの起立壁面に設けられた凹凸同士の嵌合によりなされるように構成しておくことができる。
本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、上記緩衝部として、スポンジなどを介挿させておくこともできるが、間隙を以って緩衝部を構成するようにすれば、コストおよび重量などの観点から、さらには装飾性などの観点から、スポンジなどを改装する場合に比べて優れる。
【0014】
また、上記本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、トレイおよびカバーを、これらを平面視する場合に、角部分にR(曲率)がついた矩形状を有するものとする。そして、この場合において、カバーにおける角部分の曲率半径が、トレイにおける角部分の曲率半径よりも小さく設定し、角部分同士の曲率半径の差をもってカバーの突出部分を構成する、という形態を採用することができる。このような形態でカバーの突出部分を構成するようにすれば、装飾性という観点から優れ、また、搬送中などにおける安全性の向上も図ることができる。
【0015】
また、上記本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、上記のように、カバーおよびトレイの角部分に曲率をもたせ(角部分にRをつけ)、上記のように角部分にカバーの突出部分を形成する場合においては、トレイおよびカバーの角部分とトレイの電池収納部とを最短距離で結ぶ線上に、緩衝部を設けておく、という構成を採用することができる。なお、角部分に突出部分を設けるのは、電池が収納された電池用包装容器を落下させた際に、容器の角部分が最初に接地し易い、という実験的・経験的な見地によるものである。
【0016】
また、上記本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、トレイおよびカバーを、ともに樹脂材料から形成し、トレイおよびカバーの少なくとも一方が、光透過性を有するようにしておくことができる。このような構成を採用する場合には、電池が収納された電池用包装容器が店頭に陳列された場合において、購買者が収納された電池を容易に識別することができ、また、電池の表面などのデザインなどにより装飾性に優れる。
【0017】
また、上記本発明に係る電池用包装容器および電池パッケージでは、トレイおよびカバーにおける少なくとも外表面を抗菌処理しておく、という構成を採用することができる。このような構成を採用する場合には、搬送段階などで多くの人の手に触れた場合などにおいても、購買者が安心して電池パッケージを手にとることができる。
また、本発明に係る電池パッケージでは、内部に収納される電池の種類や形態などには限定はないが、ニッケル水素二次電池を収納する場合には、特に上記効果を得るうえで有効である。即ち、ニッケル水素二次電池は、マンガン一次電池やニッケルカドミウム二次電池、およびリチウム二次電池などに比べて、単に容積あたりの重量が大きく、パッケージが落下した際の衝撃力が重量に応じて大きくなるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、本発明を実施するための最良の形態について、一例を示して説明する。なお、以下の説明で用いる実施の形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例であって、 本発明は、その本質的部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[実施の形態1]
1.電池パッケージ1の構成
本実施の形態に係る電池パッケージ1について、図1を用い説明する。
【0019】
図1に示すように、電池パッケージ1は、包装容器としてのブリスターパック10と、その内方に収納される複数の電池20とから構成されている。この内、電池20は、円筒形の外観形状を有し、例えば、ニッケル水素二次電池である。
ブリスターパック10は、トレイ12とカバー11との組み合わせにより構成されている。トレイ12は、Z軸方向に深さを有するカップ状の電池収納部12aと、その外縁にフランジ状に設けられた縁部12bとが一体に構成されている。図1に示すように、トレイ12においては、電池収納部12aと縁部12bとの境界部分において、電池収納部12aの開口縁を取り囲む状態に尾根状に起立した部分が形成され、起立壁角部12cが曲率(R)を以って構成されている。
【0020】
なお、トレイ12における電池収納部12aの底面からは、収納した電池20の移動を抑制するためのホルダーとして機能する仕切りが設けられている。
一方、カバー11は、トレイ12に取り付けた際に、電池収納部12aに対向する部分が膨出しており(膨出部11a)、当該膨出部11aに対し、その外縁にフランジ状の縁部11bが一体に構成されている。膨出部11aにおける側壁となる起立壁においても、その起立壁角部11cが曲率(R)を以って構成されている。
【0021】
本実施の形態に係る電池パッケージ1のブリスターパック10は、トレイ12およびカバー11が、ともに光透過性を有する樹脂材料から構成されている。また、トレイ12およびカバー11は、少なくともその外表面が抗菌加工されている。
2.トレイ12およびカバー11の構成
ブリスターパック10を構成するトレイ12およびカバー11の構成について、図2を用い説明する。図2は、(a)がトレイ12の構成を示す平面図であり、(b)がそのA−A’断面を示す断面図であり、(c)がカバー11の構成を示す平面図であり、(d)がそのB−B’断面を示す断面図である。
【0022】
図2(a)に示すように、トレイ12は、平面視するとき、縁部12bの外辺における各縁角部12dが曲率(R)を以って構成されている。X軸方向下側の2箇所の縁角部12dの曲率半径Rは、例えば、13[mm]に設定されている。また、上述のように、起立壁角部12cについても、曲率(R)を以って構成されている。X軸方向下側の2箇所の起立壁角部12cの曲率半径Rは、例えば、12[mm]に設定されている。電池収納部12aは、X軸方向において、2列に分けられており、各列に6本の電池20が収納され、合計12本の電池20が収納されるようになっている。電池20は、本実施の形態においては、単3型電池である。
【0023】
図2(b)に示すように、トレイ12における電池収納部12aの底壁外面12gは、平面状になっており、縁部12bと略平行となるように形成されている。
図2(a)に戻って、トレイ12では、起立壁におけるX軸方向に延伸する部分において、各2箇所の係合凹部12eが形成されている。係合凹部12eは、Y軸方向において、起立壁の外面側から電池収納部12aの側に向けて凹入している。また、トレイ12には、X軸上部にフック用の孔(フック孔部12f)が設けられている。
【0024】
図2(c)に示すように、カバー11は、平面視するとき、膨出部11aの周りを取り囲むように、フランジ状の縁部11bが形成されている。そして、縁部11bの外辺における各縁角部11dは、曲率(R)を以って構成されており、X軸方向下側の2箇所の縁角部11dの曲率半径Rは、例えば、7[mm]に設定されている。
また、起立壁角部11cについても、上述のように、曲率(R)を以って構成されており、X軸方向下側の2箇所の曲率半径Rは、例えば、6[mm]に設定されている。
【0025】
図2(d)に示すように、膨出部11aは、Z軸方向に電池20をその径方向に逃がすように設けられており、その底壁外面11gは、平面状になっており、縁部11bと略平行となるように形成されている。
図2(c)に戻って、カバー11では、膨出部11aの周囲の起立壁に、上記トレイ12の係合凹部12eに対応する係合凸部11eが形成されている。係合凸部11eは、Y軸方向において、起立壁から膨出部11aの側に向けて突出形成されている。また、カバー11にも、X軸上部にフック用の孔(フック孔部11f)が設けられており、トレイ12へ係合させた際に、フック孔部12fと重なるようになっている。
【0026】
3.ブリスターパック10を備える電池パッケージ1の優位性
本実施の形態に係る電池パッケージ1が有する優位性について、図3を用い説明する。図3は、ブリスターパック10の一部を抜き出して示す平面図である。
図3に示すように、ブリスターパック10においては、カバー11の縁角部11dが、上記のように、曲率半径R(例えば、7[mm])を以って形成されている。これに対して、トレイ12の対応する縁角部12dは、曲率半径R(例えば、13[mm])を以って形成されている。ブリスターパック10では、(R<R)の関係を以ってカバー11およびトレイ12の各縁角部11d、12dが形成されており、これにより、図3に示すように、カバー11の縁角部11dが、トレイ12の縁角部12dに対して突出している。
【0027】
上記のようなカバー11の縁角部11dとトレイ12の縁角部12dとの関係を有するブリスターパック10では、誤って落下させてしまったような場合に、先ずカバー11に衝撃力Fが加わることになる。
上記のように、ブリスターパック10においては、カバー11の起立壁角部11cが、曲率半径R(例えば、6[mm])を以って形成されている。これに対して、トレイ12の対応する起立壁角部12cは、曲率半径R(例えば、12[mm])を以って形成されている。ブリスターパック10では、(R<R)の関係を以ってカバー11およびトレイ12の起立壁角部11c、12cが形成されており、これにより、カバー11とトレイ12との間に隙間(間隙10a)が設けられている。
【0028】
間隙10aは、ブリスターパック10を平面視するとき、カバー11の縁角部11dとトレイ12の電池収納部12aとを最短距離で結ぶ線上に形成されている。このため、上記のように電池20が収納されたブリスターパック10(電池パッケージ1)を誤って落下させた場合においても、カバー11の縁角部11dから入力された衝撃力が間隙10aにより弱められることになる。即ち、電池パッケージ1では、間隙10aが外部からの衝撃に対する緩衝部として機能する。
【0029】
以上より、電池パッケージ1では、誤って落下させてしまったような場合にあっても、衝撃力Fがカバー11の縁角部11dから入力された後、緩衝部としての間隙10aで弱められてからしか、トレイ12に伝達されない。このため、上記構成を有するブリスターパック10を備える電池パッケージ1では、搬送中などに受ける衝撃に対しても、確実に収納されている電池20を保護することが可能である。また、本実施の形態に係る電池パッケージ1では、間隙10aを設けることにより、落下時におけるブリスターパック10自体の損傷も抑制することができる。
【0030】
また、本実施の形態に係るブリスターパック10では、カバー11およびトレイ12を光透過性を有する樹脂材料から構成しているので、収納された電池20がブリスターパック10の外方からも視認することができ、商品の識別性、および装飾性という観点から優れている。
さらに、カバー11およびトレイ12は、その外表面が抗菌処理されているので、搬送中などに多数の人の手が触れられた電池パッケージ1であっても、購買者は安心してこれを手にすることができる。
[実施の形態2]
1.電池パッケージ2の構成
実施の形態2に係る電池パッケージ2の構成について、図4を用い説明する。なお、以下では、上記実施の形態1と相違する点を中心として説明を行い、同一構成部分については詳細な説明を省略する。
【0031】
図4に示すように、本実施の形態に係る電池パッケージ2では、カバー31とトレイ32との組み合わせからなるブリスターパック30に対して、その内方に合計8本の電池40が収納されてなる。このため、トレイ32およびカバー31は、上記実施の形態1のトレイ12およびカバー11に対して、Y軸方向に幅狭となっている。
トレイ32は、上記トレイ12と同様に、電池収納部32aと縁部32bとが一体に形成されてなる。また、カバー31は、Z軸方向に膨出した膨出部31aと縁部31bとが一体に形成されてなる。トレイ32およびカバー31は、ともに樹脂材料から構成されており、光透過性を有する。
【0032】
なお、本実施の形態では、電池40として単4型電池を採用している。
2.トレイ32およびカバー31の構成
トレイ32およびカバー31の各構成について、図5を用い説明する。図5(a)は、トレイ32の構成を示す平面図であり、図5(b)は、カバー31の構成を示す平面図である。
【0033】
図5(a)に示すように、トレイ32においても、上記トレイ12と同様に、縁角部32dが曲率(R)を以って構成され、また、起立壁角部32cも曲率(R)を以って構成されている。縁角部32dの内、X軸方向下側の2箇所の縁角部32dは、曲率半径R(例えば、13[mm])を以って構成されている。起立壁角部32cの内、X軸方向下側の2箇所の起立壁角部32cは、曲率半径R(例えば、12[mm])を以って構成されている。
【0034】
なた、トレイ32でも、起立壁に合計4箇所の係合凹部32eが形成されており、また、X軸方向上部にフック用の孔(フック孔部32f)が形成されている。
次に、図5(b)に示すように、カバー31は、上記カバー31と同様に、縁角部31dが曲率(R)を以って構成され、また、膨出部31aの周囲壁である起立壁の角部(起立壁角部)31cも、曲率(R)を以って構成されている。カバー31において、縁角部31dの内、X軸方向下側の2箇所の縁角部31dは、曲率半径R(例えば、7[mm])を以って構成されている。起立壁角部31cの内、X軸方向下側の2箇所の起立壁角部31cは、曲率半径R(例えば、6[mm])を以って構成されている。
【0035】
上記のように、ブリスターパック10では、上記実施の形態1と同様に、(R<R)の関係を以ってカバー31およびトレイ32の各縁角部31d、32dが形成されており、これにより、カバー31の縁角部31dが、トレイ32の縁角部32dに対して外方に突出することになる。よって、本実施の形態に係るブリスターパック30においても、電池40が収納された状態で誤って落下させてしまったような場合に、先ずカバー31の縁角部31dに衝撃力が加わることになる。
【0036】
また、ブリスターパック30でも、カバー31における起立壁角部31cの曲率半径Rと、トレイ32における起立壁角部32cの曲率半径Rとが、(R<R)の関係を以ってカバー31およびトレイ32が形成されているので、上記実施の形態1と同様に、カバー31とトレイ32との間に緩衝部としての間隙が設けられることになる。
なお、本実施の形態に係る電池パッケージ2においても、ブリスターパック30における緩衝部は、トレイ32に対してカバー31が突出した縁角部31dと、トレイ32の電池収納部32aとを最短距離で結ぶ線上に形成されている。
【0037】
3.ブリスターパック30を備える電池パッケージ2の優位性
本実施の形態に係るブリスターパック30についても、外部からの衝撃力に対する緩衝構造などにおいて、上記実施の形態1に係るブリスターパック10と同様の構成を有するので、上記同様の効果を奏することができる。即ち、電池パッケージ2でも、誤って落下させてしまったような場合に、衝撃力がカバー31の縁角部31dから入力された後、緩衝部としてのカバー31とトレイ32との間隙で弱められてから、トレイ32に伝達される。このため、上記構成を有するブリスターパック30を備える電池パッケージ2では、搬送中などに受ける衝撃に対しても、ブリスターパック30およびその中に収納されている電池40を保護することが可能である。
[その他の事項]
上記実施の形態1および実施の形態2は、本発明の構成を分かりやすく説明するために用いた一例である。よって、本発明は、その本質的な部分を除き、上記実施の形態1、2に何ら限定されるものではない。例えば、実施の形態1では、収納電池の本数を12本とし、実施の形態2では、8本としたが、電池の収納本数については、1本であってもよく、13本以上であってもよい。
【0038】
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、カバー11、31の4箇所の縁角部11d、31dの内、X軸方向下側2箇所の縁角部11d、31dが、これに対応する箇所のトレイ12、32の各縁角部12d、32dよりも外方に突出するようにしたが、4箇所すべてのカバー11、31の縁角部11d、31dにこの形態を適用することも可能である。
【0039】
また、カバー11、31の縁部11b、31bの外辺の全ての箇所が、トレイ12、32の縁部12b、32bの外辺よりも外方に突出することとしてもよいし、縁角部11d、31d以外の部分だけを突出する構成とすることもできる。カバー11、31における突出させる箇所については、電池20、40の収納形態などに応じ、電池パッケージの落下に係るモードを解析するなどして決定することができる。
【0040】
また、カバー11、31およびトレイ12、32における各縁角部11d、31d、12d、32dについて、必ずしも曲率を持たせる必要はなく、角がついたままやテーパーカットされた形態とすることもできる。また、上記実施の形態1および実施の形態2では、カバー11、31とトレイ12、32とを別々の部品としたが、カバーとトレイを一続きに形成しておいてもよい。具体的には、カバーとトレイとを互いの一辺を共用するように形成しておき、電池収納部に電池を収納した後に、前記一辺で折り返すようにしてトレイにカバーを重ね合わせる構成を採用することもできる。
【0041】
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、外部からの衝撃を緩和するための緩衝部として、カバー11、31とトレイ12、32との間に間隙10aを形成したが、緩衝部としてスポンジやゴムなどを挟みこむ構成を採用することもできる。ただし、コストの上昇を抑えるという観点からは、間隙により緩衝部を構成することが望ましい。
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、円筒形のニッケル水素二次電池を収納電池としたが、電池の形状および電池の種類については、これに限定されるものではない。例えば、角型やコイン型などの電池を収納してなる電池パッケージについて、本発明を適用することもできるし、マンガン一次電池やニッケルカドミウム電池、さらにはリチウムイオン電池などを収納する電池パッケージに対して本発明を適用することもできる。
【0042】
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、カバー11、31およびトレイ12、32の構成材料として樹脂材料を採用し、光透過性を有することとしたが、使用材料については上記以外にも、紙や金属材料等を用いることもでき、光透過性は必須の要件ではない。
さらに、上記実施の形態1および実施の形態2では、カバー11、31における縁部11b、31bの下側2箇所の縁角部11d、31dがトレイ12、32の対応する縁角部12d、32dよりも外側に突出する形態を採用したが、必ずしも、この構成については必須ではない。例えば、トレイ12、32における縁部12b、32bをアコーデオン状に加工することとしても、外部からの衝撃を緩和することができる。この場合には、アコーデオン状に加工されたトレイ12、32の縁部12b、32bの該当部分が緩衝部として機能する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、搬送中などに受ける衝撃などに対しても、確実に内部に収納される電池を保護することができる電池用包装容器と電池パッケージを実現するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施の形態1に係る電池パッケージ1の概略構成を示す展開斜視図である。
【図2】トレイ12の構成を示す平面図および断面図と、カバー11の構成を示す平面図および断面図である。
【図3】ブリスターパック10のコーナ部分におけるトレイ12とカバー11との相対位置関係を示す平面図である。
【図4】実施の形態2に係る電池パッケージ2の概略構成を示す展開斜視図である。
【図5】トレイ32の構成を示す平面図および断面図と、カバー31の構成を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,2.電池パッケージ
10,30.ブリスターパック
11,31.カバー
12,32.トレイ
20,40.電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイとカバーとの組み付けにより、内部に電池用の収納空間が形成される電池用包装容器であって、
前記トレイは、カップ状に形成された電池収納部と、当該電池収納部の外縁に設けられたフランジ状の縁部とを有する浅皿状をしており、
前記カバーは、前記トレイにおける電池収納部と縁部とを覆う状態に形成されており、
前記カバーにおける縁部の外辺の少なくとも一部と、前記トレイにおける電池収納部とを最短距離で結ぶ線上には、外部からの衝撃を緩和する緩衝部が設けられている
ことを特徴とする電池用包装容器。
【請求項2】
前記カバーにおける外辺の少なくとも一部は、前記トレイにおける縁部の対応する部分よりも外方に突出しており、
前記緩衝部は、前記カバーにおける突出部分と、前記トレイにおける電池収納部とを最短距離で結ぶ線上に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電池用包装容器。
【請求項3】
前記トレイには、前記電池収納部と前記縁部との境界部分において、前記縁部の主面から起立した壁面が構成されており、
前記カバーには、前記トレイの起立壁面が形成された部分に対応する箇所において、互いの組み付け時に対向する起立壁面が形成されており、
前記カバーにおける突出部分と、前記トレイにおける電池収納部とを最短距離で結ぶ線上において、前記トレイの起立壁面と前記カバーにおける起立壁面との間には、前記緩衝部としての間隙があけられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電池用包装容器。
【請求項4】
前記トレイと前記カバーとは、互いの起立壁面に設けられた凹凸の嵌合により組み付けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の電池用包装容器。
【請求項5】
前記トレイおよび前記カバーは、これらを平面視するとき、ともに角部分にRがつけられてなる矩形状をしており、
前記カバーにおける前記角部分の曲率半径は、前記トレイにおける前記角部分の曲率半径よりも小さく設定されており、
前記カバーにおける前記角部分の曲率半径と、前記トレイにおける前記角部分の曲率半径の差をもって、前記カバーの突出部分が構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電池用包装容器。
【請求項6】
前記緩衝部は、前記トレイおよび前記カバーの角部分と前記電池収納部とを最短距離で結ぶ線上に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の電池用包装容器。
【請求項7】
前記トレイおよび前記カバーは、ともに樹脂材料から形成されており、
前記トレイおよび前記カバーの少なくとも一方は、光透過性を有する
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の電池用包装容器。
【請求項8】
前記トレイおよび前記カバーは、少なくともその外表面が抗菌処理されている
ことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の電池用包装容器。
【請求項9】
1または複数の電池が包装容器内に収納されてなる電池パッケージであって、
前記包装容器として、請求項1から8の何れかの電池用包装容器が用いられている
ことを特徴とする電池パッケージ。
【請求項10】
前記電池として、ニッケル水素二次電池が適用されている
ことを特徴とする請求項9に記載の電池パッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−92603(P2010−92603A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258366(P2008−258366)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】