説明

電池駆動装置

【課題】 従来例に比べて負荷側電線に対する電池の接続が容易となる電池駆動装置を提供する。
【解決手段】 電池駆動装置1は、電池3が収納される電池収納凹部20が設けられたハウジング2と、電池収納凹部20を開閉する扉体5とを備える。電池3は電池収納凹部20内から引き出される2本の負荷側電線32に接続される。扉体5には、扉体5が閉じた状態でハウジング2との間に各負荷側電線32をそれぞれ挿通可能な隙間を生じさせる電線挿通溝54が設けられている。電池3を接続する際には、各負荷側電線32がそれぞれ上記の隙間に挿通された状態とする。これにより、各負荷側電線32がそれぞれ弾性復帰で電線収納凹部20内に収まってしまうことを防ぐことができるから、従来例に比べて各負荷側電線32に対する電池3の接続が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電池を電源として使用可能な電池駆動装置が提供されている。
【0003】
この種の電池駆動装置としては、例えば、消費電力を計測する電力計測装置のように、通常は電池ではなく外部の電源を使用し、停電時にのみ電池を電源とするものもある。
【0004】
また、電池駆動装置として、電池を電源とする負荷回路を収納するハウジングの外面に、電池が収納される電池収納凹部が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−188566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例として、電池収納凹部から引き出される電線(以下、「負荷側電線」と呼ぶ。)に電池が接続される電池駆動装置を想定する。このような従来例の場合、負荷側電線は電池が接続された後に電池とともに電池収納凹部内に押し込まれるから、負荷側電線は、電池収納凹部内に収まるような形状(例えばS字形状)に塑性変形してしまう可能性が高い。従って、負荷側電線に電池を接続する際に、負荷側電線から手を離すと、負荷側電線が弾性復帰により電線収納凹部内に収まってしまうことで、電池の接続が困難となることが考えられる。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来例に比べて負荷側電線に対する電池の接続が容易となる電池駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池駆動装置は、電池が収納される電池収納凹部が設けられたハウジングと、前記ハウジングに収納されて前記電池を電源とすることができる負荷回路と、前記電池収納凹部を開閉する扉体とを備え、前記電池は前記電池収納凹部内から引き出される負荷側電線を介して前記負荷回路に接続されるものであって、前記扉体には、前記扉体が閉じた状態で前記ハウジングとの間に前記負荷側電線を挿通可能な隙間を形成する電線挿通溝が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この電池駆動装置において、前記負荷側電線の先端には、前記電池に電気的に接続されたプラグが電気的且つ機械的に接続されるレセプタクルが設けられていて、前記隙間は前記レセプタクルを挿通不可能な寸法形状とされていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明において電池を負荷側電線に接続する際には、電池収納凹部から負荷側電線を引き出しつつ扉体を閉じ、扉体の電線挿通溝とハウジングとの間の隙間に負荷側電線が挿通された状態とすれば、従来例に比べ、負荷側電線が弾性復帰で電線収納凹部内に収まりにくくなるから、負荷側電線に対する電池の接続が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)(b)はそれぞれ本発明の実施形態を示す斜視図であり、(a)は電池が電池収納凹部外にあって扉体が閉じられた状態を示し、(b)は電池が電池収納凹部内に収納されて扉体が開かれた状態を示す。
【図2】同上を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1(a)(b)及び図2に、本実施形態の電池駆動装置1を示す。この電池駆動装置1は、電流・電圧の計測、計測された電流・電圧とを用いた電力の演算、並びに、計測された電流・電圧や演算された電力の記憶などを行う電力計測装置である。
【0014】
電池駆動装置1は、ドイツ連邦規格(DIN)に準拠していわゆるDINレール(図示せず)に着脱可能な構造のハウジング2を有する。以下、上下左右は図1(a)を基準とし、DINレールに向けられる面(図1(a)での右奥側に向けられている面)を後面と呼び、DINレールの反対側に向けられる面(図1(a)での左手前側の面)を前面と呼ぶ。なお、上記の方向は、説明の便宜上定義するものであって、実際の使用状態での方向とは必ずしも一致しない。
【0015】
また、電池駆動装置1は、操作入力を受け付ける操作部11と、各種の表示を行う表示部12と、家電などの負荷への給電路に設けられたカレントトランス(図示せず)に接続される電流入力部13と、電源電圧や計測されるべき電圧が入力される電圧入力部14と、計測されたデータの出力を行うためのデータ出力部15と、各部の制御を行う制御部16とを有する。
【0016】
操作部11は3個の押釦スイッチ(図示せず)を有しており、ハウジング2の前面には前方からの押力を1個ずつの押釦スイッチに伝達するように他の部位に対して前後に弾性的に変位可能な3個の押釦部111が設けられている。
【0017】
表示部12は、前方から見て露出する形でハウジング2に保持された液晶パネル121と、制御部16の制御に従って液晶パネル121を駆動する駆動回路(図示せず)とで構成することができる。
【0018】
電流入力部13は、例えば、一端が上記のカレントトランスに接続された電線の他端に設けられたプラグが挿入接続される周知のレセプタクル(図示せず)で構成することができる。
【0019】
電圧入力部14は、複数個のねじ端子(図示せず)で構成されている。これらのねじ端子のうち4個はハウジング2の上端部に左右に並べて設けられており、これら4個のねじ端子の前側には、使用者がねじ端子に誤って接触することを防ぐための端子カバー6が取り付けられている。端子カバー6とハウジング2との結合には、例えば嵌合や凹凸係合といった周知の手段を用いることができる。端子カバー6には、それぞれ円形状であって1個ずつのねじ端子のねじを前方に露出させる4個の操作穴61が設けられている。つまり、使用者は、操作穴61を通じてドライバーを挿入することで、端子カバー6を取り外すことなく上記のねじを締め付けることができる。
【0020】
データ出力部15としては、ハウジング2の前面に設けられたカードスロット151に挿入されたメモリカード(図示せず)への読み書きを行うリーダライタ装置(図示せず)と、ハウジング2の前面に設けられた通信用レセプタクル152に接続された外部機器との間での通信を行う通信装置(図示せず)とを有する。上記のリーダライタ装置と通信装置とはいずれも周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0021】
制御部16は、予め入力されたプログラムや外部からの入力に応じて、表示部12の制御や、データ出力部15の制御を行う。ここでいう外部からの入力としては、例えば、外部機器から通信用レセプタクル152に入力された電気信号や、操作部11に受け付けられた操作入力などがある。このような制御部16は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0022】
ここで、制御部16は、停電中であっても、電池3を電源として、記憶されたデータの保持や、計時などの動作の継続が可能となっている。つまり、制御部16が負荷回路である。そして、ハウジング2の上面には、上方と前方とにそれぞれ開放されて電池3が収納される電池収納凹部20が設けられている。電池3は円板形状であって、厚さ方向を上下方向に向けて電池収納凹部20に収納される。
【0023】
電池3にはプラグ41が2本の電線(以下、「電池側電線」と呼ぶ。)31を介して接続されている。また、電池駆動装置1は、電池収納凹部20内から引き出される2本の電線(以下、「負荷側電線」と呼ぶ。)32を介して制御部16に電気的に接続されたレセプタクル42を有する。このレセプタクル42は、上記のプラグ41とともにコネクタ4を構成する。すなわち、プラグ41とレセプタクル42とは例えば嵌合や凹凸係合によって相互に着脱自在に結合する構造を有しており、プラグ41がレセプタクル42に結合した状態では各電線31,32とコネクタ4とを介して電池3が制御部16に電気的に接続される。より具体的には、各負荷側電線32は、それぞれ、電池収納凹部20内に設けられた電線挿通穴(図示せず)を通じてハウジング2内に導入され、ハウジング2内において周知の速結端子や半田付けなどの適宜の手段を用いて制御部16に電気的に接続されている。また、制御部16は、電池3からの入力電圧を一定の電圧に変換する周知のレギュレータを有していてもよい。
【0024】
さらに、電池駆動装置1は、電池収納凹部20を開閉する扉体5を有する。扉体5は、閉じたときに上方から見て電池収納凹部20を覆う本体部51と、本体部51の一端(閉じた状態での前端)に連結されて閉じたときに前方から見て電池収納凹部20を覆う前壁部52と、それぞれ本体部51の他端(閉じた状態での後端)に連結されてハウジング2に軸支される2個の軸部53とを有する。各軸部53はそれぞれ軸方向を左右方向に向けた円柱形状であり、ハウジング2は、1個ずつの軸部53が嵌合する2個の軸受け部21を有する。各軸受け部21は、それぞれ、軸部53が上方から嵌め込まれる第1の軸受け突起と、軸部53が前方から嵌め込まれる第2の軸受け突起との、2個の軸受け突起からなる。
【0025】
すなわち、扉体5は、ハウジング2に対して軸部53の中心軸周りに回転することで、図1(a)に示すように前壁部52を電池収納凹部20の前方においてハウジング2に当接させて電池収納凹部20を閉じる閉位置と、図1(b)に示すように前壁部52を上方に向けて電池収納凹部20を開く開位置との間で、ハウジング2に対して変位自在となっている。なお、軸受け部21の構造や、軸部53及び軸受け部21の個数は、それぞれ適宜変更可能である。
【0026】
また、扉体5の前壁部52において、扉体5が閉じた状態で下側となる縁には、電線挿通溝54が設けられている。扉体5が閉じた状態(上記の閉位置)では、電線挿通溝54の内面とハウジングの上面との間に、2本の負荷側電線32を挿通可能な隙間が形成される。電線挿通溝54の寸法形状は、扉体5が閉じた状態で形成される上記の隙間においてレセプタクル42を挿通不可能な程度に小さくされている。つまり、扉体5が閉じられた状態では、電池収納凹部20に対する電池3やコネクタ4の出し入れが不可能となる。
【0027】
電池3を接続する際には、使用者は、図1(a)に示すように、電池収納凹部20から負荷側電線42を引き出しつつ扉体5を閉じて各負荷側電線42がそれぞれ上記の隙間に挿通された状態とする。これにより、各負荷側電線42がそれぞれ弾性復帰で電線収納凹部20内に収まってしまうことが防止されるから、従来例に比べ、各負荷側電線42に対する電池3の接続(すなわち、レセプタクル42へのプラグ41の接続)が容易となる。なお、上記のようなコネクタ4が使用されず、各負荷側電線32がそれぞれ電池3の端子に半田付けされるような場合であっても、上記の状態とすれば、従来例に比べ、各負荷側電線42がそれぞれ弾性復帰で電線収納凹部20内に収まりにくくなるから、やはり各負荷側電線32に対する電池3の接続が容易となる。
【0028】
使用者は、レセプタクル42にプラグ41を接続した後は、図1(b)に示すように再び扉体5を開いて電池3と各電線31,32とコネクタ4とをそれぞれ電池収納凹部20に収納し、その後、扉体5を閉じればよい。すると、扉体5により電池3やコネクタ4が覆われ、見栄えが改善される。
【0029】
なお、上記のように、前方に開放された電池収納凹部20の近傍に1個以上のねじ端子が設けられている場合、扉体5は、開いた状態で前方から見て上記のねじ端子を全て覆う(本実施形態の場合には、扉体5の後側の端子カバー6の全ての操作穴61を覆う)ような寸法形状とされることが望ましい。この構成を採用すれば、扉体5が開いた状態で前方から見てねじ端子が露出する場合に比べ、使用者が電池3を前方から電池収納凹部20内に挿入する際に使用者がねじ端子に接触してしまう可能性が低くなるから、安全性が改善される。
【符号の説明】
【0030】
1 電池駆動装置
2 ハウジング
3 電池
5 扉体
16 制御部(負荷回路)
20 電池収納凹部
32 負荷側電線
41 プラグ
42 レセプタクル
54 電線挿通溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が収納される電池収納凹部が設けられたハウジングと、前記ハウジングに収納されて前記電池を電源とすることができる負荷回路と、前記電池収納凹部を開閉する扉体とを備え、
前記電池は前記電池収納凹部内から引き出される負荷側電線を介して前記負荷回路に接続されるものであって、
前記扉体には、前記扉体が閉じた状態で前記ハウジングとの間に前記負荷側電線を挿通可能な隙間を形成する電線挿通溝が設けられていることを特徴とする電池駆動装置。
【請求項2】
前記負荷側電線の先端には、前記電池に電気的に接続されたプラグが電気的且つ機械的に接続されるレセプタクルが設けられていて、前記隙間は前記レセプタクルを挿通不可能な寸法形状とされていることを特徴とする請求項1記載の電池駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−174602(P2012−174602A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37402(P2011−37402)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(592070649)パナソニック電工SUNX竜野株式会社 (61)
【Fターム(参考)】