説明

電池

【課題】サイクル特性を向上させることができる電池を提供する。
【解決手段】 正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層し、巻回した巻回電極体20を電池缶11の内部に備える。セパレータ23には電解液が含浸されている。溶媒には、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、ハロゲン原子を有する鎖式化合物との混合溶媒が用られる。これにより負極22における溶媒の分解反応が抑制され、サイクル特性が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極および負極と共に電解質を備え、特に電解反応物質としてリチウム(Li)などを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),デジタルスチルカメラ,携帯電話,携帯情報端末あるいはノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。それに伴い、電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。中でも、負極に炭素材料を用い、正極にリチウムと遷移金属との複合材料を用い、電解液に炭酸エステルを用いたリチウムイオン二次電池は、従来の鉛電池およびニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため広く実用化されている。
【0003】
また最近では、携帯用電子機器の高性能化に伴い、更なる容量の向上が求められており、負極活物質として炭素材料に代えてスズ(Sn)あるいはケイ素(Si)などを用いることが検討されている。スズの理論容量は994mAh/g、ケイ素の理論容量は4199mAh/gと、黒鉛の理論容量の372mAh/gに比べて格段に大きく、容量の向上を期待できるからである。特に、スズあるいはケイ素の薄膜を集電体上に形成した負極は、リチウムの吸蔵および離脱によっても、負極活物質が微粉化することなく、比較的大きな放電容量を保持できることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第WO01/031724号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リチウムを吸蔵したスズ合金あるいはケイ素合金は活性が高いので、電解質に、例えば、高誘電率溶媒である環状の炭酸エステルと、低粘度溶媒である鎖式炭酸エステルとを用いると、特に鎖式エステルが分解されてしまい、しかもリチウムが不活性化されてしまうという問題があった。よって、充放電を繰り返すと充放電効率が低下してしまい、十分なサイクル特性を得ることができなかった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を向上させることができる電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極材料を含有し、電解質は、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、化1から化8に示した鎖式化合物のうちの少なくとも1種とを含むものである。
【0007】
【化1】

(式中、R11,R12は、水素基、または炭素数1〜15のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数2〜15のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数7〜20のアルキル基の一部の水素をアリール基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数1〜15のアシル基を表す。R13は、水素基、またはハロゲン基、または炭素数1〜20のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数1〜20のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数7〜20のアリール基の少なくとも一部の水素をアルコキシル基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を他の置換基で置換した基,または炭素数1〜20のアシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基,または炭素数4〜20のヘテロシクリル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X11,X12は、ハロゲン基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表す。)
【0008】
【化2】

(式中、R21,R22,R23,R24は、水素基、または炭素数1〜15のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数2〜15のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数7〜20のアルキル基の一部の水素をアリール基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数1〜15のアシル基を表す。X21,X22はハロゲン基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表す。nは1〜4の整数を表す。)
【0009】
【化3】

(式中、R31,R32は、炭素数1〜5のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R31およびR32うちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0010】
【化4】

(式中、R41は、水素基,フッ素基,塩素基,臭素基,または炭素数1〜3のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X41は、水素基,フッ素基,塩素基あるいは臭素基を表す。R42,R43は、メチル基またはエチル基を表す。)
【0011】
【化5】

(式中、R51,R52は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X51, X52は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X51, X52のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0012】
【化6】

(式中、R61,R62は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X61,X62,X63,X64は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X61およびX62のうちの少なくとも一方、並びにX63およびX64のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0013】
【化7】

(式中、R71, R72は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R73は、酸素、硫黄、SO、SO2 、N−X(但し、Xは1価の置換基を表す),P−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)、または脂環,芳香環あるいは複素環を有する基、または炭素数1から4のアルキレン基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基、または炭素−炭素原子間に酸素,硫黄,SO,SO2 ,N−X(但し、Xは1価の置換基を表す)若しくはP−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)を有する炭素数1から4の基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基を表す。X71,X72,X73,X74は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X71およびX72のうちの少なくとも一方、並びにX73およびX74のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0014】
【化8】

(式中、R81, R82は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R83は、酸素、硫黄、SO、SO2 、N−X(但し、Xは1価の置換基を表す),P−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)、または脂環,芳香環あるいは複素環を有する基、または炭素数1から4のアルキレン基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基、または炭素−炭素原子間に酸素,硫黄,SO,SO2 ,N−X(但し、Xは1価の置換基を表す)若しくはP−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)を有する炭素数1から4の基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基を表す。X81,X82,X83,X84は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X81およびX82のうちの少なくとも一方、並びにX83およびX84のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の電池によれば、電解質にハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、化1から化8に示した鎖式化合物のうちの少なくとも1種とを含むようにしたので、負極における溶媒の分解反応を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができる。
【0016】
また、環状エステル誘導体として、環状カルボン酸エステル誘導体あるいは化9に示した環状炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、サイクル特性をより向上させることができる。
【0017】
【化9】

(式中、R1,R2,R3およびR4は、水素基、フッ素基、塩素基、臭素基、またはメチル基,エチル基あるいはそれの一部の水素をフッ素基,塩素基,臭素基で置換した基を表し、それらの少なくとも一つはハロゲンを有する基である。)
【0018】
更に、環状エステル誘導体と鎖式化合物との含有量を、溶媒全体に対して40体積%以上とすれば、高い効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
【0021】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0022】
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0023】
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aと、正極集電体21Aの両面あるいは片面に設けられた正極活物質層21Bとを有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料を含んで構成されている。
【0024】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、あるいはこれらを含む固溶体(Li(Nix Coy Mnz )O2 ))(x,yおよびzの値は0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1である。)、あるいはマンガンスピネル(LiMn2 4 )などのリチウム複合酸化物、またはリン酸鉄リチウム(LiFePO4 )などのオリビン構造を有するリン酸化合物が好ましい。高いエネルギー密度を得ることができるからである。また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン,酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物、二硫化鉄,二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。正極材料は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
正極活物質層21Bは、また、例えば導電剤を含んでおり、必要に応じて更に結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛,カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられる。例えば、図1に示したように正極21および負極22が巻回されている場合には、結着剤として柔軟性に富むスチレンブタジエン系ゴムあるいはフッ素系ゴムなどを用いることが好ましい。
【0026】
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aと、負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極活物質層22Bとを有している。
【0027】
負極集電体22Aは、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、負極活物質層22Bを支える能力が小さくなるからである。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル,チタン(Ti),鉄あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
【0028】
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料を含有している。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0029】
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成可能なマグネシウム(Mg),ホウ素(B),アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素,ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0030】
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
【0031】
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン(Ti),ゲルマニウム,ビスマス,アンチモン(Sb),およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0032】
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0033】
この負極活物質層22Bは、気相法,液相法あるいは焼成法により形成されたものでも、塗布により形成されたものでもよい。焼成法というのは、粒子状の負極活物質を必要に応じて結着剤あるいは溶剤と混合して成形したのち、例えば、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。このうち気相法,液相法あるいは焼成法による場合には、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22Aの構成元素が負極活物質層22Bに、または負極活物質の構成元素が負極集電体22Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層22Bの膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
【0034】
また、塗布による場合には、上述した負極材料に加えて、他の負極活物質、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤および導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。焼成法による場合も同様である。他の負極活物質としては、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などのリチウムを吸蔵および放出することが可能な炭素材料が挙げられる。このような炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、例えば上述した負極材料と共に用いるようにすればようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができ、更に導電剤としても機能するので好ましい。
【0035】
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多硬質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0036】
セパレータ23には、例えば液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液は、例えば、溶媒と、溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
【0037】
溶媒には、比誘電率が30以上の高誘電率溶媒と、粘度が1mPa・s以下の低粘度溶媒とが挙げられ、これらを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
【0038】
このような溶媒としては、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、ハロゲン原子を有する鎖式化合物とが挙げられ、これらを混合して用いることが好ましい。負極22における溶媒の分解反応が抑制されるからである。
【0039】
ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体としては、例えば、環状カルボン酸エステル誘導体、または化10に示した環状炭酸エステル誘導体が挙げられ、それらの1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0040】
【化10】

(式中、R1,R2,R3およびR4は、水素基、フッ素基、塩素基、臭素基、またはメチル基,エチル基あるいはそれの一部の水素をフッ素基,塩素基,臭素基で置換した基を表し、それらの少なくとも一つはハロゲンを有する基である。R1,R2,R3およびR4は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0041】
環状カルボン酸エステル誘導体について具体的に例を挙げれば、例えば、γ−ブチロラクトンあるいはγ−バレロラクトンの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したものが挙げられる。
【0042】
化10に示した環状炭酸エステル誘導体について具体的に例を挙げれば、化11の(1−1)〜(1−14),化12の(1−15)〜(1−21)に示した化合物などがある。
【0043】
【化11】

【0044】
【化12】

【0045】
ハロゲン原子を有する鎖式化合物としては、例えば、化13〜化20に示した化合物が挙げられ、それらの1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0046】
【化13】

(式中、R11,R12は、水素基、または炭素数1〜15のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数2〜15のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数7〜20のアルキル基の一部の水素をアリール基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数1〜15のアシル基を表す。R11,R12は、同一であっても異なっていてもよい。R13は、水素基、またはハロゲン基、または炭素数1〜20のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数1〜20のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数7〜20のアリール基の少なくとも一部の水素をアルコキシル基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を他の置換基で置換した基,または炭素数1〜20のアシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基,または炭素数4〜20のヘテロシクリル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X11,X12は、ハロゲン基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表す。X11,X12は同一であっても異なっていてもよい。)
【0047】
【化14】

(式中、R21,R22,R23,R24は、水素基、または炭素数1〜15のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数2〜15のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数7〜20のアルキル基の一部の水素をアリール基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数1〜15のアシル基を表す。R21,R22,R23,R24は、同一であっても異なっていてもよい。X21,X22はハロゲン基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表す。X21,X22は、同一であっても異なっていてもよい。nは1〜4の整数を表す。)
【0048】
【化15】

(式中、R31,R32は、炭素数1〜5のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R31,R32は、同一であっても異なっていてもよいが、それらのうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0049】
【化16】

(式中、R41は、水素基,フッ素基,塩素基,臭素基,または炭素数1〜3のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X41は、水素基,フッ素基,塩素基あるいは臭素基を表す。R42,R43は、メチル基またはエチル基を表す。R42,R43は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0050】
【化17】

(式中、R51,R52は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R51,R52は、同一であっても異なっていてもよい。X51, X52は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X51, X52は、同一であっても異なっていてもよいが、それらのうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0051】
【化18】

(式中、R61,R62は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R61,R62は、同一であっても異なっていてもよい。X61,X62,X63,X64は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X61,X62,X63,X64は、同一であっても異なっていてもよいが、X61およびX62のうちの少なくとも一方、並びにX63およびX64のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0052】
【化19】

(式中、R71, R72は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R71, R72は、同一であっても異なっていてもよい。R73は、酸素、硫黄、SO、SO2 、N−X(但し、Xは1価の置換基を表す),P−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)、または脂環,芳香環あるいは複素環を有する基、または炭素数1から4のアルキレン基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基、または炭素−炭素原子間に酸素,硫黄,SO,SO2 ,N−X(但し、Xは1価の置換基を表す)若しくはP−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)を有する炭素数1から4の基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基を表す。X71,X72,X73,X74は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X71,X72,X73,X74は、同一であっても異なっていてもよいが、X71およびX72のうちの少なくとも一方、並びにX73およびX74のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0053】
【化20】

(式中、R81, R82は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R81, R82は、同一であっても異なっていてもよい。R83は、酸素、硫黄、SO、SO2 、N−X(但し、Xは1価の置換基を表す),P−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)、または脂環,芳香環あるいは複素環を有する基、または炭素数1から4のアルキレン基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基、または炭素−炭素原子間に酸素,硫黄,SO,SO2 ,N−X(但し、Xは1価の置換基を表す)若しくはP−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)を有する炭素数1から4の基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基を表す。X81,X82,X83,X84は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X81,X82,X83,X84は、同一であっても異なっていてもよいが、X81およびX82のうちの少なくとも一方、並びにX83およびX84のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【0054】
化13のヘテロシクリル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基としては、例えば複素環内に炭素と炭素以外の1種から3種の元素を有するものが好ましく、1種または2種の元素を有するものがより好ましく、特に、硫黄,酸素および窒素のうちのいずれか1種と炭素とを有するものが望ましい。具体的に例を挙げれば、ピリジル基、フリル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、キノリル基、ピロリル基、あるいはイミダゾリル基などがある。
【0055】
化13に示した化合物について具体的に例を挙げれば、化21の(2−1)〜(2−14)に示した化合物、化22の(2−15)〜(2−22)に示した化合物などがある。
【0056】
【化21】

【0057】
【化22】

【0058】
化14に示した化合物について具体的に例を挙げれば、化23の(3−1)〜(3−3)に示した化合物などがある。
【0059】
【化23】

【0060】
化15のR31,R32で表されるアルキル基の少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基としては、例えば、CF3 CH2 −,CF3 CF2 CH2 −,(CF3 2 CH−,CH2 FCH2 −,CHF2 CH2 −,CCl3 CH2 −,CCl3 CCl2 CH2 −,(CCl3 2 CH−,CH2 ClCH2 −,CHCl2 CH2 −,CBr3 CH2 −,CBr3 CBr2 CH2 −,(CBr3 2 CH−,CH2 BrCH2 −,あるいはCHBr2 CH2 −などが挙げられる。
【0061】
化15に示した化合物について具体的に例を挙げれば、CH2 FCH2 OCOOCH2 CH2 F,CHF2 CH2 OCOOCH2 CHF2 ,CH2 FCH2 OCOOCH3 ,CHF2 CH2 OCOOCH3 ,CF3 CH2 OCOOCH3 ,CF3 CH2 OCOOCH2 CF3 ,CH2 ClCH2 OCOOCH2 CH2 Cl,CHCl2 CH2 OCOOCH2 CHCl2 ,CH2 ClCH2 OCOOCH3 ,CHCl2 CH2 OCOOCH3 ,CCl3 CH2 OCOOCH3 ,CCl3 CH2 OCOOCH2 CCl3 ,CH2 BrCH2 OCOOCH2 CH2 Br,CHBr2 CH2 OCOOCH2 CHBr2 ,CH2 BrCH2 OCOOCH3 ,CHBr2 CH2 OCOOCH3 ,CBr3 CH2 OCOOCH3 あるいはCBr3 CH2 OCOOCH2 CBr3 などがある。
【0062】
化16に示した化合物としては、R41がフッ素,塩素あるいは臭素でX41が水素である化合物、X41がフッ素,塩素あるいは臭素でR41が水素またはアルキル基である化合物、あるいは、X41が水素でR41が水素またはアルキル基である化合物が好ましく、R41がフッ素でX41が水素である化合物、X41がフッ素でR41が水素またはアルキル基である化合物、あるいは、X41が水素でR41が水素またはアルキル基である化合物がより好ましい。カルボニル基のα位の炭素の電子密度が小さくなりすぎると、還元性が高くなり好ましくないからである。具体的には、CHF2 COON(CH3 2 ,CHF2 COON(C2 5 2 ,CH3 CF2 COON(CH3 2 ,CH3 CF2 COON(C2 5 2 ,CH3 CH2 CF2 COON(CH3 2 ,CH3 CH2 CF2 COON(C2 5 2 ,C3 7 CF2 COON(CH3 2 ,C3 7 CF2 COON(C2 5 2 ,CH2 FCOON(CH3 2 ,CH2 FCOON(C2 5 2 ,CH3 CHFCOON(CH3 2 ,CH3 CHFCOON(C2 5 2 ,CH3 CH2 CHFCOON(CH3 2 ,CH3 CH2 CHFCOON(C2 5 2 ,C3 7 CHFCOON(CH3 2 ,C3 7 CHFCOON(C2 5 2 ,CHCl2 COON(CH3 2 ,CHCl2 COON(C2 5 2 ,CH3 CCl2 COON(CH3 2 ,CH3 CCl2 COON(C2 5 2 ,CH3 CH2 CCl2 COON(CH3 2 ,CH3 CH2 CCl2 COON(C2 5 2 ,C3 7 CCl2 COON(CH3 2 ,C3 7 CCl2 COON(C2 5 2 ,CH2 ClCOON(CH3 2 ,CH2 ClCOON(C2 5 2 ,CH3 CHClCOON(CH3 2 ,CH3 CHClCOON(C2 5 2 ,CH3 CH2 CHClCOON(CH3 2 ,CH3 CH2 CHClCOON(C2 5 2 ,C3 7 CHClCOON(CH3 2 ,C3 7 CHClCOON(C2 5 2 ,CHBr2 COON(CH3 2 ,CHBr2 COON(C2 5 2 ,CH3 CBr2 COON(CH3 2 ,CH3 CBr2 COON(C2 5 2 ,CH3 CH2 CBr2 COON(CH3 2 ,CH3 CH2 CBr2 COON(C2 5 2 ,C3 7 CBr2 COON(CH3 2 ,C3 7 CBr2 COON(C2 5 2 ,CH2 BrCOON(CH3 2 ,CH2 BrCOON(C2 5 2 ,CH3 CHBrCOON(CH3 2 ,CH3 CHBrCOON(C2 5 2 ,CH3 CH2 CHBrCOON(CH3 2 ,CH3 CH2 CHBrCOON(C2 5 2 ,C3 7 CHBrCOON(CH3 2 あるいはC3 7 CHBrCOON(C2 5 2 などがある。
【0063】
化17,化18,化19,化20のR51,R52,R61,R62,R71,R72,R81,R82で表される基について具体的に例を挙げれば、CH3 −,C2 5 −,C3 7 −,C4 9 −,C5 11−,C6 13−,CH2 F−,CHF2 −,CF3 −,CH2 Cl−,CHCl2 −,CCl3 −,CH2 Br−,CHBr2 −,CBr3 −,CH2 I−,CHI2 −, CI3 −,C2 4 F−,C2 4 Cl−,CF3 CH2 −,C2 HF4 −,C2 5 −,C3 6 F−,C3 6 Cl−,C3 HF6 −,CF3 CF2 CH2 −,(CF3 2 CH−,C3 7 −, C4 8 F−,C4 8 Cl−,C3 7 CH2 −,C4 9 −などのアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、CH3 OCH2 −,C2 5 OCH2 −,C3 7 OCH2 −,CH3 OCH2 CH2 −,CH3 OCH2 CH2 CH2 −,CH3 OCH2 CH(CH3 )−,C2 5 OCH2 CH2 −,C3 7 OCH2 CH2 −,C3 7 OCH2 CH2 CH2 −,CH2 FOCH2 −,CH2 ClOCH2 −,CH3 OCHF−,CF3 OCF2 −,CCl3 CH2 OCH2 −,CF3 CH2 OCH2 −,(CF3 2 CHOCH2 −,CHF2 CF2 OCH2 −,CF3 CH2 OCH2 CH2 −,CF3 CHFCF2 OCH2 −などのアルコキシアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、C6 5 −,CH3 6 4 −,CH3 CH2 6 4 −,(CH3 2 6 3 −,FC6 4 −,F2 6 3 −,F3 6 2 −,F4 6 H−,F5 6 −,ClC6 4 −,ClFC6 3 −,ClF2 6 2 −,Cl2 6 3 −,Cl2 3 6 −,BrC6 4 −,BrF2 6 2 −,IC6 4 −,F(CH3 )C6 3 −,F(CH3 2 6 2 −,CF3 6 4 −,(CF3 2 6 3 −,(CF3 3 6 2 −,(CF3 2 6 3 −などのアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、C6 5 CH2 −,C6 5 CH2 CH2 −,CH3 6 4 CH2 −,FC6 4 CH2 −,ClC6 4 CH2 −,BrC6 4 CH2 −,CF3 6 4 CH2 −,FC6 4 CH2 CH2 −などのアリール基を置換基として有するアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基などがある。
【0064】
化19,化20のR73あるいはR83で表される基について具体的に例を挙げれば、−CH2 −,−CH(CH3 )−,−S−,−SO−,−SO2 −,−N(CH3 )−,−P(C6 5 )−,−C(CH3 2 −,−CH2 CH2 −,−CH(CH3 )CH2 −,−C(CH3 2 CH2 −,−CH2 OCH2 −,−CH(CH3 )CH(CH3 )−,−CH2 CH2 CH2 −,−CH2 C(CH3 2 CH2 −,−CH2 CH2 CH2 CH2 −,−CH2 CH2 OCH2 CH2 −,−CH2 CH2 CH2 CH2 CH2 −,−CH2 N(CH3 )CH2 −,−CH2 SCH2 −,−CH2 SOCH2 −,−CH2 SO2 CH2 −,−CHF−,−CF2 −,−CH(CF3 )−,−CF(CF3 )−,−C(CF3 2 −,−CHCl−,−CCl2 −,−CHBr−,−CBr2 −,−CHI−,−CI2 −,−(CF2 2 −,−CH(CF3 )CH2 −,−(CCl2 2 −,−(CClF)2 −,−CH2 CF2 CH2 −,−CF2 OCF2 −,−CCl2 OCCl2 −,−CF2 OCH2 −,−CF2 C(CF3 2 CF2 −,−CH2 CF2 CF2 CH2 −,−CF2 CH2 CH2 CF2 −,−CF(CF3 )CF2 CF2 CF(CF3 )−,−CCl(CF3 )CF2 CF2 CCl(CF3 )−,−CH2 CF2 CF2 CF2 CH2 −,−(CF2 4 −,−(CF2 6 −,−(CF2 8 −,−(CF2 16−,−(CF2 20−,−(CF2 50−,−(CF2 4 O(CF2 4 −,−CF2 CF2 CF(CF3 )−,−CF2 N(CH3 )CF2 −,−CF2 SCF2 −,−CF2 SOCF2 −,−CF2 SO2 CF2 −,−C6 4 −,−C6 3 (CH3 )−,−C6 2 (CH3 2 −,−C4 6 −,−C6 10−,−C8 14−,−C5 6 (CF3 2 −,−C6 H(CH3 3 −,−C6 3 (C2 5 )−,−C6 2 (C2 5 2 −,−C6 3 (CF3 )−,−C6 2 (CF3 2 −,−C6 (CF3 4 −,−C6 2 (C2 5 2 −,−C6 3 (C4 9 )−,−C6 4 C(CF3 2 6 4 −,−C6 4 C(CH3 2 6 4 −,−C106 −,−C105 (CH3 )−,−C104 (CH3 2 −,−C6 4 OC6 4 −,−C6 4 SC6 4 −,−C6 4 SOC6 4 −,−C6 4 SO2 6 4 −,−C6 4 N(CH3 )C6 4 −,−C6 3 F−,−C6 3 Cl−,−C6 3 Br−,−C6 3 I−,−C6 2 2 −,−C6 2 Cl2 −,−C6 2 Br2 −,−C6 2 2 −,−C6 HF3 −,−C6 HCl3 −,−C6 HBr3 −,−C6 4 −,−C6 Cl4 −,−C6 3 (CF3 )−,−C6 2 (CF3 2 −,−C6 (CF3 4 −,−C6 2 (C2 5 2 −,−C6 3 (C4 9 )−,−C6 4 C(CF3 2 6 4 −,−C6 4 C(CH3 2 6 4 −,−C105 F−,−C105 Cl−,−C105 Br−,−C105 I−,−C104 2 −,−C104 Cl2 −,−C104 Br2 −,−C104 2 −,−C103 3 −,−C103 Cl3 −,−C102 4 −,−C102 Cl4 −,−C10HF5 −,−C10HCl5 −,−C106 −,−C10Cl6 −,−C6 4 C(CF3 2 6 4 −,−C6 4 OC6 4 −,−C6 4 SC6 4 −,−C6 4 SOC6 4 −,−C6 4 SO2 6 4 −,−C6 4 N(CH3 )C6 4 −,−C4 2 S−,−C5 8 O−,−C6 3 (CF2 COOCH3 )−などがある。
【0065】
化17に示した化合物について具体的に例を挙げれば、化24に示した化合物などがある。
【0066】
【化24】

【0067】
化18に示した化合物について具体的に例を挙げれば、化25の(4−1)〜(4−10)に示した化合物,化26の(4−11)〜(4−16)に示した化合物などがある。
【0068】
【化25】

【0069】
【化26】

【0070】
化19に示した化合物について具体的に例を挙げれば、化27の(5−1)〜(5−10)に示した化合物,化28の(5−11)〜(5−19)に示した化合物,化29の(5−20)〜(5−23)に示した化合物などがある。
【0071】
【化27】

【0072】
【化28】

【0073】
【化29】

【0074】
溶媒としては、これらの溶媒に加え、種々の電池特性を向上させる目的で、他の溶媒を混合して用いてもよい。他の溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、1,3−ジオキソール−2−オン、4−ビニル−1,3−ジオキソールー2ーオン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、燐酸トリメチルが挙げられる。中でも、優れた充放電容量特性および充放電サイクル特性を実現するためには、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、1,3−ジオキソール−2−オン、炭酸ジメチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。他の溶媒は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0075】
溶媒におけるハロゲン原子を有する環状エステル誘導体およびハロゲン原子を有する鎖式化合物の含有量は、溶媒全体に対して40体積%以上であることが好ましい。この範囲で負極22における溶媒の分解反応を抑制する効果が高いからである。
【0076】
電解質塩としては、例えば、LiB(C6 5 4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、LiAlCl4 、LiSiF6 、LiCl、LiBr、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiAsF6 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiN(C4 9 SO2 )(CF3 SO2 )、LiC(CF3 SO2 3 などのリチウム塩が挙げられる。
【0077】
なお、電解質塩としては、リチウム塩を用いることが好ましいが、リチウム塩でなくてもよい。充放電に寄与するリチウムイオンは、正極21などから供給されれば足りるからである。
【0078】
電解質塩の含有量(濃度)は、溶媒に対して、0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下の範囲内であることが好ましい。この範囲外ではイオン伝導度の極端な低下により十分な電池特性が得られなくなる虞があるからである。
【0079】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0080】
まず、例えば、正極集電体21Aに正極活物質層21Bを形成し正極21を作製する。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質の粉末と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製したのち、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとし、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。
【0081】
また、例えば、負極集電体22Aに負極活物質層22Bを形成し負極22を作製する。負極活物質層22Bは、例えば、気相法、液相法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。気相法、液相法または焼成法により形成する場合には、形成時に負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化することがあるが、更に、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。
【0082】
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法,反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が利用可能である。塗布の場合には、正極21と同様にして形成することができる。
【0083】
次いで、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。続いて、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
【0084】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。その際、電解液に、上述したようにハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、化13〜化20に示した鎖式エステルのうちの少なくとも1種とを含むようにしたので、負極22おける溶媒の分解反応が抑制される。
【0085】
図3は、本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
【0086】
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0087】
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0088】
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0089】
図4は、図3に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0090】
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bの側が正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A,正極活物質層33B,負極集電体34A,負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体21A,正極活物質層21B,負極集電体22A,負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
【0091】
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、図1に示した円筒型の二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物あるいはアクリレート系高分子化合物、またはポリフッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ化ビニリデンの重合体が挙げられ、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。特に、酸化還元安定性の観点からは、フッ化ビニリデンの重合体などのフッ素系高分子化合物を用いることが望ましい。
【0092】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0093】
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。そののち、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次いで、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
【0094】
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述したようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
【0095】
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次いで、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3に示した二次電池を組み立てる。
【0096】
このように本実施の形態に係る電池によれば、電解質にハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、化13〜化20に示した鎖式化合物のうちの少なくとも1種とを含むようにしたので、負極22における溶媒の分解反応を抑制することができ、サイクル特性を向上させることができる。
【0097】
また、環状エステル誘導体として、環状カルボン酸エステル誘導体あるいは化10に示した環状炭酸エステル誘導体を含むようにすれば、サイクル特性をより向上させることができる。
【0098】
更に、環状エステル誘導体と鎖式化合物との含有量を、溶媒全体に対して40体積%以上とすれば、高い効果を得ることができる。
【実施例】
【0099】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0100】
(実施例1−1〜1−7)
図5に示したコイン型の二次電池を作製した。この二次電池は、正極51と、負極52とを電解液を含浸させたセパレータ53を介して積層し、外装缶54と外装カップ55との間に挟み、ガスケット56を介してかしめたものである。まず、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )94質量部と、導電剤としてグラファイト3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合したのち、N−メチル−2−ピロリドンを添加し正極合剤スラリーを得た。次いで、得られた正極合剤スラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体51Aに均一に塗布し乾燥させて厚みが70μmの正極活物質層51Bを形成した。そののち、正極活物質層51Bが形成された正極集電体51Aを直径16mmの円形に打ち抜き、正極51を作製した。
【0101】
また、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aの上にスパッタ法により厚み5μmのケイ素よりなる負極活物質層52Bを形成した。そののち、負極活物質層52Bが形成された負極集電体52Aを直径16mmの円形に打ち抜き、負極52を作製した。
【0102】
次いで、正極51と負極52とを厚み25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムよりなるセパレータ53を介して積層したのち、セパレータ53に電解液0.1gを注液して、これらをステンレスよりなる外装カップ55と外装缶54との中に入れ、それらをかしめることにより、図5に示した二次電池を得た。電解液には、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、ハロゲン原子を有する鎖式化合物とを、50:50の体積比で混合した溶媒に、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を1mol/kgとなるように溶解させたものを用いた。その際、環状エステル誘導体は、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、鎖式化合物は、CF3 CON(CH3 2 ,CHF2 CON(CH3 2 ,CF3 CH2 OCOOCH3 ,CF3 CH2 OCOOCH2 CF3 ,CH3 OCOCF2 OCOCH3 ,CH3 OCO(CF2 2 OCOCH3 ,またはCH3 OCO(CF2 3 OCOCH3 とした。
【0103】
実施例1−1〜1−7に対する比較例1−1,1−2として、環状エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、炭酸ジメチルとを、50:50の体積比で混合した溶媒、または炭酸エチレンと、鎖式化合物であるCF3 CH2 OCOOCH3 とを、50:50の体積比で混合した溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製した。
【0104】
また、比較例1−3〜1−5として、環状エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、鎖式化合物であるCF3 CH2 OCOOCH3 とを50:50の体積比で混合した溶媒、または環状エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、炭酸ジメチルとを、50:50の体積比で混合した溶媒、または炭酸エチレンと、鎖式化合物であるCF3 CH2 OCOOCH3 とを、50:50の体積比で混合した溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−7と同様にして二次電池を作製した。その際、負極52は、負極活物質として黒鉛粉末を用意し、この黒鉛粉末97質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンを添加して厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体52Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層52Bを形成することにより作製した。
【0105】
得られた実施例1−1〜1−7および比較例1−1〜1−5の二次電池について、1.77mAで4.2Vを上限として12時間充電し、その後10分間休止して1.77mAで2.5Vに達するまで放電するという充放電を繰り返し、50サイクル目の放電容量維持率を求めた。50サイクル目の放電容量維持率は、(50サイクル目の放電容量/初回放電容量)×100として計算した。得られた結果を表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
表1から分かるように、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、ハロゲン原子を有する鎖式化合物とを混合した溶媒を用いた実施例1−1〜1−7によれば、ハロゲン原子を有する鎖式化合物を混合しなかった比較例1−1、あるいはハロゲン原子を有する環状エステル誘導体を混合しなかった比較例1−2よりも、放電容量維持率が向上した。また、負極活物質に黒鉛を用いた比較例1−3〜1−5によれば、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、ハロゲン原子を有する鎖式化合物とを混合した溶媒を用いても、放電容量維持率はほとんど向上しなかった。
【0108】
すなわち、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、ハロゲン原子を有する鎖式化合物とを混合した溶媒を用いるようにすれば、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素を含む負極材料を用いた場合に、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
【0109】
(実施例2−1〜2−3)
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンに代えて、他のハロゲン原子を有する環状エステル誘導体を用いたことを除き、他は実施例1−3と同様にして二次電池を作製した。その際、他のハロゲン原子を有する環状エステル誘導体は、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、またはフルオロ−γ−ブチロラクトンとした。
【0110】
得られた実施例2−1〜2−3の二次電池について、実施例1−1〜1−7と同様にしてサイクル特性を測定した。それらの結果を表2に示す。
【0111】
【表2】

【0112】
表2から分かるように、実施例1−3と同様の結果が得られた。すなわち、他のハロゲン原子を有する環状エステル誘導体を用いても、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
【0113】
(実施例3−1〜3−4,4−1〜4−4,5−1,5−2,6−1,6−2)
実施例3−1〜3−4として、溶媒であるγ−ブチロラクトンを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量を変化させたことを除き、他は実施例1−3と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH3 :γ−ブチロラクトン(体積比)は、それぞれ30:30:40、20:20:60、20:10:70または10:10:80とした。すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量は、それぞれ60体積%、40体積%、30体積%または20体積%とした。
【0114】
実施例4−1〜4−4として、溶媒である炭酸プロピレンを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量を変化させたことを除き、他は実施例1−3と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH3 :炭酸プロピレン(体積比)は、それぞれ30:30:40、20:20:60、20:10:70または10:10:80とした。すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量は、それぞれ60体積%、40体積%、30体積%または20体積%とした。
【0115】
実施例5−1,5−2として、溶媒である炭酸ジメチルを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量を変化させたことを除き、他は実施例1−3と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH3 :炭酸ジメチル(体積比)は、それぞれ30:30:40、または20:20:60とした。すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量は、それぞれ60体積%、または40体積%とした。
【0116】
実施例6−1,6−2として、溶媒であるγ−ブチロラクトンまたは炭酸プロピレンを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH2 CF3 との含有量を60体積%としたことを除き、他は実施例1−4と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH2 CF3 :γ−ブチロラクトン(体積比)、および4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH2 CF3 :炭酸プロピレン(体積比)は、いずれも30:30:40とした。
【0117】
得られた実施例3−1〜3−4,4−1〜4−4,5−1,5−2,6−1,6−2の二次電池について、実施例1−1〜1−7と同様にしてサイクル特性を測定した。それらの結果を表3に示す。なお、表3に示した括弧内の数値は、各溶媒の含有量を体積%で表したものである。以下の表においても同じように示した。
【0118】
【表3】

【0119】
表3から分かるように、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量、あるいは4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH2 CF3 との含有量が、40体積%以上である実施例3−1,3−2,4−1,4−2,5−1,5−2,6−1,6−2において、高い放電容量維持率が得られた。
【0120】
すなわち、溶媒におけるハロゲン原子を有する環状エステル誘導体とハロゲン原子を有する鎖式化合物との含有量は、40体積%以上が好ましいことが分かった。
【0121】
(実施例7−1,7−2,8−1,8−2)
実施例7−1,7−2として、負極活物質にスズを用い、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aの上に真空蒸着法により厚み5μmのスズよりなる負極活物質層52Bを形成したことを除き、他は実施例1−3,1−4と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。すなわち、電解液における環状エステル誘導体は、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとし、鎖式化合物は、CF3 CH2 OCOOCH3 ,またはCF3 CH2 OCOOCH2 CF3 とした。
【0122】
実施例8−1,8−2として、負極活物質に質量比がスズ:コバルト=72:28であるスズ−コバルト合金を用い、このスズ−コバルト合金94質量部と、導電剤として黒鉛3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体52Aに均一に塗布し乾燥させることにより厚み70μmの負極活物質層52Bを形成したことを除き、他は実施例1−3, 1−4と同様にしてコイン型の二次電池を作製した。
【0123】
実施例7−1,7−2,8−1,8−2に対する比較例7−1,7−2,8−1,8−2として、環状エステル誘導体である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、炭酸ジメチルとを、50:50の体積比で混合した溶媒、または炭酸エチレンと、鎖式化合物であるCF3 CH2 OCOOCH3 とを、50:50の体積比で混合した溶媒を用いたことを除き、他は実施例7−1, 7−2,8−1,8−2と同様にして二次電池を作製した。
【0124】
得られた実施例7−1,7−2,8−1,8−2および比較例7−1,7−2,8−1,8−2の二次電池についても、実施例1−1〜1−7と同様にして50サイクル目の放電容量維持率を求めた。それらの結果を表4,5に示す。
【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
表4,5から分かるように、実施例1−1〜1−7と同様の結果が得られた。すなわちハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、ハロゲン原子を有する鎖式化合物とを混合した溶媒を用いるようにすれば、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素あるいは半金属元素を含む負極材料を用いた場合に、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
【0128】
(実施例9−1,9−2,10−1,10−2,11−1,11−2,12−1,12−2,13−1,13−2,14−1,14−2,15−1,15−2,16−1,16−2)
実施例9−1,9−2,13−1,13−2として、溶媒であるγ−ブチロラクトンを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量を変化させたことを除き、他は実施例7−1,8−1と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH3 :γ−ブチロラクトン(体積比)は、それぞれ30:30:40、または20:20:60とした。すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量は、それぞれ60体積%、または40体積%とした。
【0129】
実施例10−1,10−2,14−1,14−2として、溶媒である炭酸プロピレンを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量を変化させたことを除き、他は実施例7−1,8−1と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH3 :炭酸プロピレン(体積比)は、それぞれ30:30:40、または20:20:60とした。すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量は、それぞれ60体積%、または40体積%とした。
【0130】
実施例11−1,11−2,15−1,15−2として、溶媒である炭酸ジメチルを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量を変化させたことを除き、他は実施例7−1,8−1と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH3 :炭酸ジメチル(体積比)は、それぞれ30:30:40、または20:20:60とした。すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH3 との含有量は、それぞれ60体積%、または40体積%とした。
【0131】
実施例12−1,12−2,16−1,16−2として、溶媒であるγ−ブチロラクトンまたは炭酸プロピレンを更に加え、溶媒における4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとCF3 CH2 OCOOCH2 CF3 との含有量を60体積%としたことを除き、他は実施例7−2,8−2と同様にして二次電池を作製した。その際、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH2 CF3 :γ−ブチロラクトン(体積比)、および4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン:CF3 CH2 OCOOCH2 CF3 :炭酸プロピレン(体積比)は、いずれも30:30:40とした。
【0132】
得られた実施例9−1,9−2,10−1,10−2,11−1,11−2,12−1,12−2,13−1,13−2,14−1,14−2,15−1,15−2,16−1,16−2の二次電池についても、実施例1−1〜1−7と同様にして50サイクル目の放電容量維持率を求めた。それらの結果を表6,7に示す。
【0133】
【表6】

【0134】
【表7】

【0135】
表6, 7から分かるように、実施例3−1〜3−4,4−1〜4−4,5−1,5−2,6−1,6−2と同様の結果が得られた。すなわち、溶媒におけるハロゲン原子を有する環状エステル誘導体とハロゲン原子を有する鎖式化合物との含有量は、40体積%以上が好ましいことが分かった。
【0136】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、コイン型の二次電池,および巻回構造の二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は、角型,シート型あるいはカード型、または正極および負極を複数積層した積層構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。また、本発明は、二次電池に限らず、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
【0137】
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの長周期型周期表における他の1族の元素、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの長周期型周期表における2族の元素、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、負極活物質には、上記実施の形態で説明したような負極材料を同様にして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図4】図3で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。
【図5】実施例で作製した二次電池の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
【0139】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構,15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17,56…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33,51…正極、21A,33A,51A…正極集電体、21B,33B,51B…正極活物質層、22,34,52…負極、22A,34A,52A…負極集電体、22B,34B,52B…負極活物質層、23,35,53…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、54…外装缶、55…外装カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能であり、構成元素として金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を含む負極材料を含有し、
前記電解質は、ハロゲン原子を有する環状エステル誘導体と、化1から化8に示した鎖式化合物のうちの少なくとも1種とを含む
ことを特徴とする電池。
【化1】

(式中、R11,R12は、水素基、または炭素数1〜15のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数2〜15のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数7〜20のアルキル基の一部の水素をアリール基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数1〜15のアシル基を表す。R13は、水素基、またはハロゲン基、または炭素数1〜20のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数1〜20のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数7〜20のアリール基の少なくとも一部の水素をアルコキシル基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を他の置換基で置換した基,または炭素数1〜20のアシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素を置換基で置換した基,または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基,または炭素数4〜20のヘテロシクリル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X11,X12は、ハロゲン基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表す。)
【化2】

(式中、R21,R22,R23,R24は、水素基、または炭素数1〜15のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数2〜15のアルコキシル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数6〜20のアリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数7〜20のアルキル基の一部の水素をアリール基で置換した基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基、または炭素数1〜15のアシル基を表す。X21,X22はハロゲン基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表す。nは1〜4の整数を表す。)
【化3】

(式中、R31,R32は、炭素数1〜5のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R31およびR32うちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【化4】

(式中、R41は、水素基,フッ素基,塩素基,臭素基,または炭素数1〜3のアルキル基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X41は、水素基,フッ素基,塩素基あるいは臭素基を表す。R42,R43は、メチル基またはエチル基を表す。)
【化5】

(式中、R51,R52は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X51, X52は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X51, X52のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【化6】

(式中、R61,R62は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。X61,X62,X63,X64は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X61およびX62のうちの少なくとも一方、並びにX63およびX64のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【化7】

(式中、R71, R72は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R73は、酸素、硫黄、SO、SO2 、N−X(但し、Xは1価の置換基を表す),P−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)、または脂環,芳香環あるいは複素環を有する基、または炭素数1から4のアルキレン基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基、または炭素−炭素原子間に酸素,硫黄,SO,SO2 ,N−X(但し、Xは1価の置換基を表す)若しくはP−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)を有する炭素数1から4の基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基を表す。X71,X72,X73,X74は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X71およびX72のうちの少なくとも一方、並びにX73およびX74のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【化8】

(式中、R81, R82は、炭素数1から3のアルキル基,アリール基あるいはそれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換した基を表す。R83は、酸素、硫黄、SO、SO2 、N−X(但し、Xは1価の置換基を表す),P−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)、または脂環,芳香環あるいは複素環を有する基、または炭素数1から4のアルキレン基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基、または炭素−炭素原子間に酸素,硫黄,SO,SO2 ,N−X(但し、Xは1価の置換基を表す)若しくはP−Z(但し、Zは1価の置換基を表す)を有する炭素数1から4の基、あるいはその少なくとも一部の水素をハロゲン若しくはトリフルオロメチル基で置換した基を表す。X81,X82,X83,X84は、水素基,ハロゲン基あるいはトリフルオロメチル基を表す。X81およびX82のうちの少なくとも一方、並びにX83およびX84のうちの少なくとも一方はハロゲンを有する基である。)
【請求項2】
前記環状エステル誘導体として、環状カルボン酸エステル誘導体および化9に示した環状炭酸エステル誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
【化9】

(式中、R1,R2,R3およびR4は、水素基、フッ素基、塩素基、臭素基、またはメチル基,エチル基あるいはそれの一部の水素をフッ素基,塩素基,臭素基で置換した基を表し、それらのうちの少なくとも一つはハロゲンを有する基である。)
【請求項3】
前記環状エステル誘導体および前記鎖式化合物の含有量は、溶媒全体に対して40体積%以上であることを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項4】
前記負極は、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料を含有することを特徴とする請求項1記載の電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−172811(P2006−172811A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361400(P2004−361400)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】