電波受信用コンバータおよび衛星放送受信用アンテナ装置。
【課題】本体側の導波管とフィードホーン側の導波管との接続部の構造が簡単で、部品の生産性,組立て性に優れ、小型,軽量化が可能な電波受信用コンバータおよびそれを備えた衛星放送受信用アンテナ装置を提供する。
【解決手段】雄ねじ11を外周に持つ第1導波管31を有する本体部と、雄ねじ11に螺合する雌ねじ12を内周に持つ第2導波管32を有するフィードホーン2と、第1,第2導波管31,32の円周間隙を残した接続部を覆うように配置されて、第1導波管31の外周との間に第2導波管32の先端付近が入る溝部を形成するように、円周壁部と円環段部とを持つリング状部材14と、溝部b内に注入されたシール剤13とを備える。
【解決手段】雄ねじ11を外周に持つ第1導波管31を有する本体部と、雄ねじ11に螺合する雌ねじ12を内周に持つ第2導波管32を有するフィードホーン2と、第1,第2導波管31,32の円周間隙を残した接続部を覆うように配置されて、第1導波管31の外周との間に第2導波管32の先端付近が入る溝部を形成するように、円周壁部と円環段部とを持つリング状部材14と、溝部b内に注入されたシール剤13とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星放送受信用コンバータに関し、特に、LNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管部分において
分離構造を採用した、コンバータ(Low Noise Block Down Converter,以下「LNB」と記す)の固定、気密構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術について図を参照して説明する。図15はアンテナシステムを含めたLNBの概要状態である。パラボラアンテナ1より反射された電波はLNBの1次放射器2に入力される。
【0003】
図16,17は一般的なLNBの断面図である。これらの図に示すように、LNBは、本体部(以下説明)と導波管部3および1次放射器(フィードホーン)2が一体化しているケースが多く、性能面でも本構造が理想と考えられる。本体部は、シャーシ4およびフレーム5に回路基板6がビス7により固定されており1次放射器2より入力した電波は導波管3を経由し回路基板6に給電し、周波数変換後Fコネクター8より出力される。1次放射器2先端部には、キャップ9が固定されOリング10により気密を保持している。
【0004】
さて、近年の動向として、図18に示すような複数衛星受信のLNBが多くなってきており、例えば、3衛星受信に関しては従来LNB3台を並べる等により構成したものより一体化の傾向にある。この際課題となってくる項目の1つは、本体部分、導波管、1次放射器を構成している筐体部分の製造である。特に、アルミダイカストが主流の筐体においては、大型かつ複雑形状の安定した鋳造は非常に難しい。特にLNBにおいては、導波管、1次放射器および導波管部分と本体部分の鋳造バランスが難しく、歩留まり、寸法制度の低下、湯回り不良等が問題となる。さらに無理な鋳造条件による金型寿命の低下、金型構造を考慮した設計制約による、重量増加、外観性を損なうなど、結果的に筐体部分のコスト高になる可能性が高い。材料費に於いては、市場価格の高騰があり、いかに小型、軽量化をするかも、コスト、環境上必要不可欠となっている。
【0005】
その解決法としては、特に導波管を含む1次放射器部分を別パーツにすることが一般的であり、分離することでそれぞれの金型構造、鋳造性が容易になり、生産性、コストが低減できるのである。なお、分離することにより、主に、電気的、機械的性能面、気密面、組み立て性を考慮する必要がある。
【0006】
以下に、導波管3とフィードホーン2との接続部分の従来技術を、図19〜21に基づいて説明する。シャーシ側接続面は外周にダイス加工により、雄ねじ11を形成、1次放射器側にはタップ加工により雌ねじ12を形成している。ねじ込み、締め付けにより導波管3、1次放射器2側の接続面の電気的接触を十分確保し、また、機械的な引っ張りや、過酷な屋外での温度変化、アンテナ上の振動等によるずれや抜け等、機械的保持を十分なものにしている。そして、接合部の気密性能の保持は、組み立て時に螺合部へ接着剤(シール材)13を塗布し、さらに、1次放射器2先端部とキャップ9の内面との間に固定Oリング10を有することにより行なっている。
【0007】
従来のこの種の導波管とフィードホーンとの固定に関する技術を開示した先行文献として、下記の特許文献1〜3などがある。特許文献1では、気密方法として,シート材、ゴム成型品、およびOリングの複合によるものと、本体部分に溝部を形成してシール剤を保持するものが開示されている。
【0008】
特許文献2では、気密手段として、上記特許文献1に記載のものと同様、シート材とシールもしくは接着剤を介した構造を採用している。固定方法に関しては特に記載されていないが、機械的に完全固定する手法としては、前述のようなねじ込み方式、もしくはねじによる固定があげられる。
【0009】
一方、特許文献3には、ビスにより固定したフランジ部にOリングを介在させて気密を保持するという、最も一般的な気密保持構造が記載されている。
【特許文献1】特開2003−243901号公報
【特許文献2】特開2004−120348号公報
【特許文献3】特開平08−316701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図19〜21に示された上記従来例においては、気密保持として、ねじ部への接着剤(シール塗布)を実施しているが、組み立て時のワークの移動(たて、よこ、反転)が多い。また、ねじ部への接着剤の浸透ばらつきにより、気密ばらつきが生じ、検査、修正等必要となる場合がある。さらに、上記従来例では、接着剤のはみ出しが生じやすいためにボンドのふき取りが必要となり、また、ボンドたれを防ぐために硬化時の保持待機が必要となる等、生産性が悪いものになる。
【0011】
さらに、仕様上、塗装を実施する必要のある製品には、接着剤による塗装への影響も考慮する必要があり、洗浄の工程追加や接着剤の選定も、耐薬品、耐熱などを考慮して行なう必要がある。一方、上記従来例では、単品状態で塗装して組み立てを実施するが、塗装品を組み立てる際に、塗装部分の傷や剥離が発生し、また、接着剤のはみ出しやふき取り、硬化時の制約等、やはり生産性が悪いものである。
【0012】
また、特許文献1に記載の上記従来例のように、シート材による気密とゴム成型品Oリンクの複合によるものは、ねじ込み固定時にどうしてもシート部材、接着剤に回転時のねじれが生じ、接着層の部分破壊や、シートのたわみが生じ、気密性および性能に支障をきたしてしまうという問題がある。また、性能上、導波管部には、何もないことが理想であることも考慮したい部分である。
【0013】
Oリングを使用する場合は、Oリングのちぎれや粗面部分の気密不良を防ぐには、接触面の精度や的確なつぶし率を管理する必要があり、その結果、部品精度の確保によるコスト増加が必要となる。また、ねじ込みによる圧縮では、必ずグリスなどの潤滑剤を併用しないとOリングの破損が発生しやすく、特に線径を細くする程、顕著に影響するという問題がある。
【0014】
一方、特許文献1では、溝部を形成しLNB本体部側の導波管と1次放射器(フィードホーン)を含む導波管部分との接続部に溝部を形成し、この溝部内にシール剤を保持する構造が記載されている。まず、同文献内の図4および6に示す構造では、フィードホーン側が本体導波管部分を覆うように伸び、本体根元部分で気密を保つ構造としている。根元部分にした理由としては、溝、外壁、部分を構成する必要上、導波管部分の肉厚が大きくなることが推測され、フィードホーン側を延長し固定したと推測される。
【0015】
しかしながら、フィードホーン側を伸ばすことで部品が大型化するとともに、金型スライド部分が長くなり、鋳造性、材料コスト面では不利になることは否めない。仮に延長部分を薄肉にした場合、湯周り不良、巣による気密不良、変形による勘合不具合が発生しやすくなるという問題点があり、その結果、部品の歩留まりの悪化が懸念される。仕様上導波管部分が長いほど不利になる構造である。一方、引用文献1内の図10における実施例では、先端部分に溝部、外壁を設ける構造としている。この場合金型の構造(抜き方向)より溝部、外壁部分の導波管肉厚が本体部分の根元まで増加されるという問題がある。その理由は、ダイカスト成型上、湯まわり、金型強度を考慮し肉厚は少なくとも0.8mm以上を取ることが望まれるからである。
【0016】
これを考慮すると、少なくとも外壁(0.8mm)+溝幅分(フィード挿入部肉厚0.8mm+左右クリアランス0.2×2)で、約2mmもの肉厚増加が予想される。材料費の増加に加え、特にダイカストでは偏肉(肉厚)により、かじりが発生しやすくなるのである。さらに途中工程のバリ取り工程による先端部の変形を防止し、ねじ切り機械加工時の特殊形状の刃物の使用を考慮すると、本来はさらに、大きく寸法をとることが理想である。
【0017】
特許文献2では、上記と同様に、気密手段としてシート材とシールもしくは接着剤を介した構造としている。固定方法に関しては特に記載されていないが機械的に完全固定する手法としては、前述のような、ねじ込み方式、もしくはねじによる固定が推測される。同様、ねじ込みの場合シート部材、接着剤に回転時のねじれが生じ、接着層の部分破壊や、シートのたわみが生じ、気密性および性能に支障をきたしてしまうという懸念がある。また、性能上、導波管部には、何もないことが理想である。
【0018】
一方、特許文献3のように、フランジ部をビスにより固定する方法もあるが、LNBを含む導波管の固定構造では、大型化、また、金型構造の複雑化が問題となる。また不レンジ部をビスで固定する時には、斜め締めをする必要があり、作業性も良くないという問題がある。
【0019】
本発明は上記課題を解決し、本体側の導波管とフィードホーン側の導波管との接続部の構造が簡単で、部品の生産性,組立て性に優れ、小型,軽量化が可能な電波受信用コンバータおよびそれを備えた衛星放送受信用アンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の電波受信用コンバータは、LNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の固定、気密構造に関し、その導波管と導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の接続部外周に、リング状の部材を配置したものである。
【0021】
すなわち、衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、第1ネジ部を外周に持つ第1導波管を有する本体部と、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を内周に持つ第2導波管を有するフィードホーンとを有する。リング状部材は、第1,第2導波管の円周間隙を残した接続部を覆うように配置されて、第1導波管の外周との間に第2導波管の先端付近が入る溝部を形成する。また、円周壁部と円環段部とを持ち、溝部内に注入されたシール材とを備えたものである。
【0022】
この構成によれば、組み立て後、もしくは組み立て前にシール材を注入することにより、簡単にかつ作業性よく、ばらつきの少ない気密部を確保することができる。
組み立て、接着剤塗布、乾燥放置と容易に実施でき生産性が向上する。
また、本リング状部材は特に板金や樹脂のような薄いもので作成することができ、
さらに薄い板金、樹脂などが持つ変形性を利用すれば、ほとんどクリアランスをなくした設計が可能となる。
【0023】
特許文献1のように肉厚による材料コスト高や生産性の課題を解決できより小型化、軽量化が可能となる。気密手段としてシート材とシールもしくは接着剤を介した構造ではなく、導波管内への介在物もなく性能的にも良好である。またフランジ部のような固定部分の形成も必要なく、金型の簡素化ができ、小型で生産性、外観性のよいLNBを提供することができる。
【0024】
本発明の電波受信用コンバータは、他の局面においては、LNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)の固定、気密構造に関し、1次放射器のコルゲートホーン溝部にビス固定穴を設け固定する構造である。すなわち、衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、導波管を有する本体部と、導波管と接続されるフィードホーンとを備える。このフィードホーンの円周溝部の底にはビス固定孔が設けられ、導波管の先端にネジ穴が設けられ、フィードホーンのビス固定孔を通して、ビスが導波管のネジ穴にねじ込み固定されている。
【0025】
この構成によれば、雄ねじ、雌ねじ加工の必要がないことで加工の低減が見込める、一方、特許文献3に記載のような固定用フランジのようなツバ部分を省略でき、小型で生産性、外観性の良い、LNBを提供することができる。
【0026】
また、解決手段では、以下の種々の実施態様を含む。1次放射器底面溝奥に凹または 凸形状を形成したものである。したがって、1次放射器(フィードホーン)を含む導波管のねじ込み、締め付け時に電動ドライバー等により自動締め付けが簡単にできるようなり、作業性向上が可能となる。また、外観部分ではないため、締め付け時の傷等の心配がない利点がある。
【0027】
導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の固定、気密構造において、その導波管と導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の接続部分をキャビネットで覆う構造とする。これによって、1次放射器の塗装を廃止し、かつ、内部のボンドはみだしや、傷等を考慮することなく生産性が向上する。特に形状の複雑なフィードホーン部分の塗装は、マスクキングや均一な塗装がコスト高になる要素が多く、部品の生産性、完成品の組み立て性を考慮した場合は利点がある。
【0028】
本発明では、少なくとも2つ以上の1次放射器(フィードホーン)を配置する必要のあるLNB本体部であって、それに接続される導波管と、該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の固定、気密構造にも適用される。
【0029】
リング状部材を金属または導電性樹脂で形成したとき、接合部分の電波漏れを抑える効果がある。また、シール材を導電性としたときも同様である。さらに、上記コンバータを備えたアンテナ装置も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、1次放射器(フィードホーン)を配置する必要のあるLNB本体部側の導波管と、1次放射器(フィードホーン)を含む導波管との接続部の固定、気密構造において、複数の複雑な形状の1次放射器をもつLNBであっても、部品の生産性、組立て性、さらには、小型、軽量で外観的にも良好なLNBを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1〜4は、本発明の一実施形態の電波受信用コンバータを示しており、LNB本体部に接続される導波管と、該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管との固定、気密構造に係るものである。
【0032】
図1〜4に示すように、第1ネジ部11を外周に持つ第1導波管31は、本体部シャーシ4から突設されている。第1ネジ部11に螺合する第2ネジ部12を内周に持つ第2導波管32は、フィードホーン2に一体形成される。フィードホーン2はコルゲートホーンであり、同心円状に複数の円周溝を持つ。第1,第2導波管31,32の円周間隙を残した接続部を覆うようにリング状部材14が配置される。この部材14は、第1導波管の外周との間に第2導波管の先端付近が入る溝部を形成するように、円周壁部14aと円環段部14bとを持つ。溝部内にシール材13が注入される。
【0033】
このように、シャーシ側導波管31の先端の外周にダイス加工により、雄ねじ11を形成し、1次放射器側にはタップ加工により雌ねじ12を形成している。先端部はダイス加工時雄ねじ12が切れぬように、段差aを設け細くしてある。これにより、1次放射器側の一般的なタップ加工時に発生する加工奥部の不完全雌ねじ(3山程度)部に対し、螺合不具合がなくなる。
【0034】
また、リング状部材14は、段差aにはめ込まれ、挿入されることにより、その位置が決まる。リング状部材14は、コスト、小型(薄形)を考慮し、プレス部品あるいは、成型品での作成が望ましく、図中では、成型品で構成している。なお、成型品の場合、金属粉やカーボン等導電材料にすれば、接合部からの電波漏れを低減することができる。
【0035】
その後シール材13を、リング状部材14の挿入によりできた溝部bに注入し、1次放射器2をねじ込み締め付ける。これにより導波管31と1次放射器2側導波管32の接続面の電気的接触を十分確保でき、機械的な引っ張りや、温度変化、振動等によるずれや抜け(引っ張り)等、機械的保持が十分なものとなる。また、シール剤はねじ込み後注入しても構わない。例えば、粘度の低い接着剤をディスペンサーで注入する。また導電性のシール剤を使用することでさらに電波漏れを低減することが可能となる。
【0036】
また、図5,6は、1次放射器のコルゲートホーン溝部2cに凹形状の穴2dを、図7,8は凸形状のリブ2dを、それぞれ設けた構造を示している。これらによって、フィードホーン2の第2ネジを第1ネジに締め付ける時、電動ドライバーの先端にかん合ジグ等を装着すれば、簡単迅速に締め付け固定が可能となる。
【0037】
さらに、図9,10に示す実施形態は、導波管31,32の接続部分をキャビネット15で覆う構造を有している。これにより、1次放射器の塗装を廃止でき、かつ、内部のボンドはみだしや、傷等を考慮する必要がないことから、生産性が向上する。特に、形状の複雑なフィードホーン部分の塗装は、マスクキングや均一な塗装がコスト高になる要素が多く、部品の生産性、完成品の組み立て性を考慮した場合に利点がある。
【0038】
キャビネット15は、フィードホーン2のほぼ外径に等しい外径を有する第1円筒部15aと、フィードホーンの小径部分と導波管接続部分を覆う第2円筒部15cと、これら両円筒部をつなぐ第1テーパ円筒部15bとを有する。そして、中心軸線を含む平面で2分割されてなり、分割部分で弾性変形する雌雄係合部材15e,15fで接合される。
【0039】
また、フィードホーンが導波管に接続されたとき、フィードホーン2の外周部分が当接して、第1導波管31側に弾性変形により押圧力を生じるような当たり片15gが、第1テーパ円筒部15bの内側に設けられている。したがって、キャビネット15が装着されれば、その端部(図示下方)は、第1導波管の下方に太くなるテーパ外面で位置決めされる。
【0040】
図11はキャビネットの位置決めをリング部材14でするものである。キャビネットの第2円筒部15cには、接続部のリング状部材14の外径よりも小径で張り出す円周凸条15hが内面に設けられる。
【0041】
図12,13はLNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)の固定おいて、1次放射器のコルゲートホーン溝部にビス固定穴16を設けビス17により固定している実施形態である。これにより、雄ねじ、雌ねじ加工の必要がなく、また固定用フランジのようなツバ部分がなく、小型化、生産性向上、コストダウンが可能となる。しかも、導波管中心部により近く溝を形成でき、ホーン性能がよくなる効果がある。
【0042】
この場合、キャビネット15の位置決めは、上記方法のほかに図14に示す次の方法もある。キャビネットの第2円筒部15cの端部に当接する円周凸条31aが導波管31の外周に設けられる。上記キャビネット15は2分割でなく、一体のものでもよい。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべて例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、電波受信用コンバータおよび衛星放送受信用アンテナ装置に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態の一部断面分解図である。
【図2】図1に示した実施形態の一部断面図である。
【図3】導波管部3にリング状部材14を取り付けた状態の拡大図である。
【図4】図2における、リング状部材14近傍の要部拡大図である。
【図5】本発明の実施例のフィードホーン溝部に凹凸穴を設けたものの平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】本発明の実施例のフィードホーン溝部にリブを設けたものの平面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の実施例のキャビネットを装着した状態の正面図である。
【図10】図9におけるキャビネット15の断面を取った断面図である。
【図11】本発明のキャビネットを装着した状態の他の実施形態の正面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態の分解図である。
【図13】図12に対応した実施例の部分断面正面図である。
【図14】図13の実施例にキャビネットを装着したものの正面図である。
【図15】従来のアンテナシステムを含めたLNBを示す側面図である。
【図16】従来のLNBの構成を示す断面図である。
【図17】図16に示した従来のLNBの右側面図である。
【図18】一体型複数受信型LNBの構成を示す図である。
【図19】従来例の詳細構成を示す部分断面分解図である。
【図20】図19に示した従来例での接続状態説明図である。
【図21】図19に示した従来例の組立図である。
【符号の説明】
【0046】
1 パラボラアンテナ、2 1次放射器(フィードホーン)、2c ホーン溝部、2d 凸もしくは凹形状の穴、2e リブ、3 導波管部、31 第1導波管、32 第2導波管、4 シャーシ、5 フレーム、6 回路基板、7 ビス、8 Fコネクタ、9 キャップ、10 Oリング、11 雄ねじ、12 雌ねじ、13 シール剤(接着剤)、14 リング状部材、14a 円周壁部、14b 円環段部、15 キャビネット、15a 第1円筒部、15b 第1テーパ円筒部、15c 第2円筒部、15d 第2テーパ円筒部、15e 雌係合部材、15f 雄係合部材、15g 円周突条、16 ビス固定穴、17 ビス、a 段差、b 溝部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星放送受信用コンバータに関し、特に、LNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管部分において
分離構造を採用した、コンバータ(Low Noise Block Down Converter,以下「LNB」と記す)の固定、気密構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術について図を参照して説明する。図15はアンテナシステムを含めたLNBの概要状態である。パラボラアンテナ1より反射された電波はLNBの1次放射器2に入力される。
【0003】
図16,17は一般的なLNBの断面図である。これらの図に示すように、LNBは、本体部(以下説明)と導波管部3および1次放射器(フィードホーン)2が一体化しているケースが多く、性能面でも本構造が理想と考えられる。本体部は、シャーシ4およびフレーム5に回路基板6がビス7により固定されており1次放射器2より入力した電波は導波管3を経由し回路基板6に給電し、周波数変換後Fコネクター8より出力される。1次放射器2先端部には、キャップ9が固定されOリング10により気密を保持している。
【0004】
さて、近年の動向として、図18に示すような複数衛星受信のLNBが多くなってきており、例えば、3衛星受信に関しては従来LNB3台を並べる等により構成したものより一体化の傾向にある。この際課題となってくる項目の1つは、本体部分、導波管、1次放射器を構成している筐体部分の製造である。特に、アルミダイカストが主流の筐体においては、大型かつ複雑形状の安定した鋳造は非常に難しい。特にLNBにおいては、導波管、1次放射器および導波管部分と本体部分の鋳造バランスが難しく、歩留まり、寸法制度の低下、湯回り不良等が問題となる。さらに無理な鋳造条件による金型寿命の低下、金型構造を考慮した設計制約による、重量増加、外観性を損なうなど、結果的に筐体部分のコスト高になる可能性が高い。材料費に於いては、市場価格の高騰があり、いかに小型、軽量化をするかも、コスト、環境上必要不可欠となっている。
【0005】
その解決法としては、特に導波管を含む1次放射器部分を別パーツにすることが一般的であり、分離することでそれぞれの金型構造、鋳造性が容易になり、生産性、コストが低減できるのである。なお、分離することにより、主に、電気的、機械的性能面、気密面、組み立て性を考慮する必要がある。
【0006】
以下に、導波管3とフィードホーン2との接続部分の従来技術を、図19〜21に基づいて説明する。シャーシ側接続面は外周にダイス加工により、雄ねじ11を形成、1次放射器側にはタップ加工により雌ねじ12を形成している。ねじ込み、締め付けにより導波管3、1次放射器2側の接続面の電気的接触を十分確保し、また、機械的な引っ張りや、過酷な屋外での温度変化、アンテナ上の振動等によるずれや抜け等、機械的保持を十分なものにしている。そして、接合部の気密性能の保持は、組み立て時に螺合部へ接着剤(シール材)13を塗布し、さらに、1次放射器2先端部とキャップ9の内面との間に固定Oリング10を有することにより行なっている。
【0007】
従来のこの種の導波管とフィードホーンとの固定に関する技術を開示した先行文献として、下記の特許文献1〜3などがある。特許文献1では、気密方法として,シート材、ゴム成型品、およびOリングの複合によるものと、本体部分に溝部を形成してシール剤を保持するものが開示されている。
【0008】
特許文献2では、気密手段として、上記特許文献1に記載のものと同様、シート材とシールもしくは接着剤を介した構造を採用している。固定方法に関しては特に記載されていないが、機械的に完全固定する手法としては、前述のようなねじ込み方式、もしくはねじによる固定があげられる。
【0009】
一方、特許文献3には、ビスにより固定したフランジ部にOリングを介在させて気密を保持するという、最も一般的な気密保持構造が記載されている。
【特許文献1】特開2003−243901号公報
【特許文献2】特開2004−120348号公報
【特許文献3】特開平08−316701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図19〜21に示された上記従来例においては、気密保持として、ねじ部への接着剤(シール塗布)を実施しているが、組み立て時のワークの移動(たて、よこ、反転)が多い。また、ねじ部への接着剤の浸透ばらつきにより、気密ばらつきが生じ、検査、修正等必要となる場合がある。さらに、上記従来例では、接着剤のはみ出しが生じやすいためにボンドのふき取りが必要となり、また、ボンドたれを防ぐために硬化時の保持待機が必要となる等、生産性が悪いものになる。
【0011】
さらに、仕様上、塗装を実施する必要のある製品には、接着剤による塗装への影響も考慮する必要があり、洗浄の工程追加や接着剤の選定も、耐薬品、耐熱などを考慮して行なう必要がある。一方、上記従来例では、単品状態で塗装して組み立てを実施するが、塗装品を組み立てる際に、塗装部分の傷や剥離が発生し、また、接着剤のはみ出しやふき取り、硬化時の制約等、やはり生産性が悪いものである。
【0012】
また、特許文献1に記載の上記従来例のように、シート材による気密とゴム成型品Oリンクの複合によるものは、ねじ込み固定時にどうしてもシート部材、接着剤に回転時のねじれが生じ、接着層の部分破壊や、シートのたわみが生じ、気密性および性能に支障をきたしてしまうという問題がある。また、性能上、導波管部には、何もないことが理想であることも考慮したい部分である。
【0013】
Oリングを使用する場合は、Oリングのちぎれや粗面部分の気密不良を防ぐには、接触面の精度や的確なつぶし率を管理する必要があり、その結果、部品精度の確保によるコスト増加が必要となる。また、ねじ込みによる圧縮では、必ずグリスなどの潤滑剤を併用しないとOリングの破損が発生しやすく、特に線径を細くする程、顕著に影響するという問題がある。
【0014】
一方、特許文献1では、溝部を形成しLNB本体部側の導波管と1次放射器(フィードホーン)を含む導波管部分との接続部に溝部を形成し、この溝部内にシール剤を保持する構造が記載されている。まず、同文献内の図4および6に示す構造では、フィードホーン側が本体導波管部分を覆うように伸び、本体根元部分で気密を保つ構造としている。根元部分にした理由としては、溝、外壁、部分を構成する必要上、導波管部分の肉厚が大きくなることが推測され、フィードホーン側を延長し固定したと推測される。
【0015】
しかしながら、フィードホーン側を伸ばすことで部品が大型化するとともに、金型スライド部分が長くなり、鋳造性、材料コスト面では不利になることは否めない。仮に延長部分を薄肉にした場合、湯周り不良、巣による気密不良、変形による勘合不具合が発生しやすくなるという問題点があり、その結果、部品の歩留まりの悪化が懸念される。仕様上導波管部分が長いほど不利になる構造である。一方、引用文献1内の図10における実施例では、先端部分に溝部、外壁を設ける構造としている。この場合金型の構造(抜き方向)より溝部、外壁部分の導波管肉厚が本体部分の根元まで増加されるという問題がある。その理由は、ダイカスト成型上、湯まわり、金型強度を考慮し肉厚は少なくとも0.8mm以上を取ることが望まれるからである。
【0016】
これを考慮すると、少なくとも外壁(0.8mm)+溝幅分(フィード挿入部肉厚0.8mm+左右クリアランス0.2×2)で、約2mmもの肉厚増加が予想される。材料費の増加に加え、特にダイカストでは偏肉(肉厚)により、かじりが発生しやすくなるのである。さらに途中工程のバリ取り工程による先端部の変形を防止し、ねじ切り機械加工時の特殊形状の刃物の使用を考慮すると、本来はさらに、大きく寸法をとることが理想である。
【0017】
特許文献2では、上記と同様に、気密手段としてシート材とシールもしくは接着剤を介した構造としている。固定方法に関しては特に記載されていないが機械的に完全固定する手法としては、前述のような、ねじ込み方式、もしくはねじによる固定が推測される。同様、ねじ込みの場合シート部材、接着剤に回転時のねじれが生じ、接着層の部分破壊や、シートのたわみが生じ、気密性および性能に支障をきたしてしまうという懸念がある。また、性能上、導波管部には、何もないことが理想である。
【0018】
一方、特許文献3のように、フランジ部をビスにより固定する方法もあるが、LNBを含む導波管の固定構造では、大型化、また、金型構造の複雑化が問題となる。また不レンジ部をビスで固定する時には、斜め締めをする必要があり、作業性も良くないという問題がある。
【0019】
本発明は上記課題を解決し、本体側の導波管とフィードホーン側の導波管との接続部の構造が簡単で、部品の生産性,組立て性に優れ、小型,軽量化が可能な電波受信用コンバータおよびそれを備えた衛星放送受信用アンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の電波受信用コンバータは、LNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の固定、気密構造に関し、その導波管と導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の接続部外周に、リング状の部材を配置したものである。
【0021】
すなわち、衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、第1ネジ部を外周に持つ第1導波管を有する本体部と、第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を内周に持つ第2導波管を有するフィードホーンとを有する。リング状部材は、第1,第2導波管の円周間隙を残した接続部を覆うように配置されて、第1導波管の外周との間に第2導波管の先端付近が入る溝部を形成する。また、円周壁部と円環段部とを持ち、溝部内に注入されたシール材とを備えたものである。
【0022】
この構成によれば、組み立て後、もしくは組み立て前にシール材を注入することにより、簡単にかつ作業性よく、ばらつきの少ない気密部を確保することができる。
組み立て、接着剤塗布、乾燥放置と容易に実施でき生産性が向上する。
また、本リング状部材は特に板金や樹脂のような薄いもので作成することができ、
さらに薄い板金、樹脂などが持つ変形性を利用すれば、ほとんどクリアランスをなくした設計が可能となる。
【0023】
特許文献1のように肉厚による材料コスト高や生産性の課題を解決できより小型化、軽量化が可能となる。気密手段としてシート材とシールもしくは接着剤を介した構造ではなく、導波管内への介在物もなく性能的にも良好である。またフランジ部のような固定部分の形成も必要なく、金型の簡素化ができ、小型で生産性、外観性のよいLNBを提供することができる。
【0024】
本発明の電波受信用コンバータは、他の局面においては、LNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)の固定、気密構造に関し、1次放射器のコルゲートホーン溝部にビス固定穴を設け固定する構造である。すなわち、衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、導波管を有する本体部と、導波管と接続されるフィードホーンとを備える。このフィードホーンの円周溝部の底にはビス固定孔が設けられ、導波管の先端にネジ穴が設けられ、フィードホーンのビス固定孔を通して、ビスが導波管のネジ穴にねじ込み固定されている。
【0025】
この構成によれば、雄ねじ、雌ねじ加工の必要がないことで加工の低減が見込める、一方、特許文献3に記載のような固定用フランジのようなツバ部分を省略でき、小型で生産性、外観性の良い、LNBを提供することができる。
【0026】
また、解決手段では、以下の種々の実施態様を含む。1次放射器底面溝奥に凹または 凸形状を形成したものである。したがって、1次放射器(フィードホーン)を含む導波管のねじ込み、締め付け時に電動ドライバー等により自動締め付けが簡単にできるようなり、作業性向上が可能となる。また、外観部分ではないため、締め付け時の傷等の心配がない利点がある。
【0027】
導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の固定、気密構造において、その導波管と導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の接続部分をキャビネットで覆う構造とする。これによって、1次放射器の塗装を廃止し、かつ、内部のボンドはみだしや、傷等を考慮することなく生産性が向上する。特に形状の複雑なフィードホーン部分の塗装は、マスクキングや均一な塗装がコスト高になる要素が多く、部品の生産性、完成品の組み立て性を考慮した場合は利点がある。
【0028】
本発明では、少なくとも2つ以上の1次放射器(フィードホーン)を配置する必要のあるLNB本体部であって、それに接続される導波管と、該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管の固定、気密構造にも適用される。
【0029】
リング状部材を金属または導電性樹脂で形成したとき、接合部分の電波漏れを抑える効果がある。また、シール材を導電性としたときも同様である。さらに、上記コンバータを備えたアンテナ装置も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、1次放射器(フィードホーン)を配置する必要のあるLNB本体部側の導波管と、1次放射器(フィードホーン)を含む導波管との接続部の固定、気密構造において、複数の複雑な形状の1次放射器をもつLNBであっても、部品の生産性、組立て性、さらには、小型、軽量で外観的にも良好なLNBを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1〜4は、本発明の一実施形態の電波受信用コンバータを示しており、LNB本体部に接続される導波管と、該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)を含む導波管との固定、気密構造に係るものである。
【0032】
図1〜4に示すように、第1ネジ部11を外周に持つ第1導波管31は、本体部シャーシ4から突設されている。第1ネジ部11に螺合する第2ネジ部12を内周に持つ第2導波管32は、フィードホーン2に一体形成される。フィードホーン2はコルゲートホーンであり、同心円状に複数の円周溝を持つ。第1,第2導波管31,32の円周間隙を残した接続部を覆うようにリング状部材14が配置される。この部材14は、第1導波管の外周との間に第2導波管の先端付近が入る溝部を形成するように、円周壁部14aと円環段部14bとを持つ。溝部内にシール材13が注入される。
【0033】
このように、シャーシ側導波管31の先端の外周にダイス加工により、雄ねじ11を形成し、1次放射器側にはタップ加工により雌ねじ12を形成している。先端部はダイス加工時雄ねじ12が切れぬように、段差aを設け細くしてある。これにより、1次放射器側の一般的なタップ加工時に発生する加工奥部の不完全雌ねじ(3山程度)部に対し、螺合不具合がなくなる。
【0034】
また、リング状部材14は、段差aにはめ込まれ、挿入されることにより、その位置が決まる。リング状部材14は、コスト、小型(薄形)を考慮し、プレス部品あるいは、成型品での作成が望ましく、図中では、成型品で構成している。なお、成型品の場合、金属粉やカーボン等導電材料にすれば、接合部からの電波漏れを低減することができる。
【0035】
その後シール材13を、リング状部材14の挿入によりできた溝部bに注入し、1次放射器2をねじ込み締め付ける。これにより導波管31と1次放射器2側導波管32の接続面の電気的接触を十分確保でき、機械的な引っ張りや、温度変化、振動等によるずれや抜け(引っ張り)等、機械的保持が十分なものとなる。また、シール剤はねじ込み後注入しても構わない。例えば、粘度の低い接着剤をディスペンサーで注入する。また導電性のシール剤を使用することでさらに電波漏れを低減することが可能となる。
【0036】
また、図5,6は、1次放射器のコルゲートホーン溝部2cに凹形状の穴2dを、図7,8は凸形状のリブ2dを、それぞれ設けた構造を示している。これらによって、フィードホーン2の第2ネジを第1ネジに締め付ける時、電動ドライバーの先端にかん合ジグ等を装着すれば、簡単迅速に締め付け固定が可能となる。
【0037】
さらに、図9,10に示す実施形態は、導波管31,32の接続部分をキャビネット15で覆う構造を有している。これにより、1次放射器の塗装を廃止でき、かつ、内部のボンドはみだしや、傷等を考慮する必要がないことから、生産性が向上する。特に、形状の複雑なフィードホーン部分の塗装は、マスクキングや均一な塗装がコスト高になる要素が多く、部品の生産性、完成品の組み立て性を考慮した場合に利点がある。
【0038】
キャビネット15は、フィードホーン2のほぼ外径に等しい外径を有する第1円筒部15aと、フィードホーンの小径部分と導波管接続部分を覆う第2円筒部15cと、これら両円筒部をつなぐ第1テーパ円筒部15bとを有する。そして、中心軸線を含む平面で2分割されてなり、分割部分で弾性変形する雌雄係合部材15e,15fで接合される。
【0039】
また、フィードホーンが導波管に接続されたとき、フィードホーン2の外周部分が当接して、第1導波管31側に弾性変形により押圧力を生じるような当たり片15gが、第1テーパ円筒部15bの内側に設けられている。したがって、キャビネット15が装着されれば、その端部(図示下方)は、第1導波管の下方に太くなるテーパ外面で位置決めされる。
【0040】
図11はキャビネットの位置決めをリング部材14でするものである。キャビネットの第2円筒部15cには、接続部のリング状部材14の外径よりも小径で張り出す円周凸条15hが内面に設けられる。
【0041】
図12,13はLNB本体部に接続される導波管と該導波管先端部に接続される1次放射器(フィードホーン)の固定おいて、1次放射器のコルゲートホーン溝部にビス固定穴16を設けビス17により固定している実施形態である。これにより、雄ねじ、雌ねじ加工の必要がなく、また固定用フランジのようなツバ部分がなく、小型化、生産性向上、コストダウンが可能となる。しかも、導波管中心部により近く溝を形成でき、ホーン性能がよくなる効果がある。
【0042】
この場合、キャビネット15の位置決めは、上記方法のほかに図14に示す次の方法もある。キャビネットの第2円筒部15cの端部に当接する円周凸条31aが導波管31の外周に設けられる。上記キャビネット15は2分割でなく、一体のものでもよい。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべて例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、電波受信用コンバータおよび衛星放送受信用アンテナ装置に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態の一部断面分解図である。
【図2】図1に示した実施形態の一部断面図である。
【図3】導波管部3にリング状部材14を取り付けた状態の拡大図である。
【図4】図2における、リング状部材14近傍の要部拡大図である。
【図5】本発明の実施例のフィードホーン溝部に凹凸穴を設けたものの平面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】本発明の実施例のフィードホーン溝部にリブを設けたものの平面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の実施例のキャビネットを装着した状態の正面図である。
【図10】図9におけるキャビネット15の断面を取った断面図である。
【図11】本発明のキャビネットを装着した状態の他の実施形態の正面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態の分解図である。
【図13】図12に対応した実施例の部分断面正面図である。
【図14】図13の実施例にキャビネットを装着したものの正面図である。
【図15】従来のアンテナシステムを含めたLNBを示す側面図である。
【図16】従来のLNBの構成を示す断面図である。
【図17】図16に示した従来のLNBの右側面図である。
【図18】一体型複数受信型LNBの構成を示す図である。
【図19】従来例の詳細構成を示す部分断面分解図である。
【図20】図19に示した従来例での接続状態説明図である。
【図21】図19に示した従来例の組立図である。
【符号の説明】
【0046】
1 パラボラアンテナ、2 1次放射器(フィードホーン)、2c ホーン溝部、2d 凸もしくは凹形状の穴、2e リブ、3 導波管部、31 第1導波管、32 第2導波管、4 シャーシ、5 フレーム、6 回路基板、7 ビス、8 Fコネクタ、9 キャップ、10 Oリング、11 雄ねじ、12 雌ねじ、13 シール剤(接着剤)、14 リング状部材、14a 円周壁部、14b 円環段部、15 キャビネット、15a 第1円筒部、15b 第1テーパ円筒部、15c 第2円筒部、15d 第2テーパ円筒部、15e 雌係合部材、15f 雄係合部材、15g 円周突条、16 ビス固定穴、17 ビス、a 段差、b 溝部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、
第1ネジ部を外周に持つ第1導波管を有する本体部と、
前記第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を内周に持つ第2導波管を有するフィードホーンと、
前記第1,第2導波管の円周間隙を残した接続部を覆うように配置されて、前記第1導波管の外周との間に第2導波管の先端付近が入る溝部を形成するように、円周壁部と円環段部とを持つリング状部材と、
前記溝部内に注入されたシール材と、
を備えた電波受信用コンバータ。
【請求項2】
衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、
導波管を有する本体部と、
前記導波管と接続されるフィードホーンとを備え、
前記フィードホーンの円周溝部の底にビス固定孔が設けられ、
前記導波管の先端にネジ穴が設けられ、
前記フィードホーンのビス固定孔を通して、ビスが前記導波管のネジ穴にねじ込み固定された、電波受信用コンバータ。
【請求項3】
前記フィードホーンのコルゲート溝部に凸または凹形状の穴またはリブを設けた、請求項1記載の電波受信用コンバータ。
【請求項4】
前記第1または第2導波管の接続部分がキャビネットで覆われた、請求項1または2記載の電波受信用コンバータ。
【請求項5】
前記リング状部材が金属または導電性樹脂で形成された、請求項1,3または4記載の電波受信用コンバータ。
【請求項6】
前記シール材を導電性シール材とした請求項1,3または4記載の電波受信用コンバータ。
【請求項7】
前記キャビネットは、前記フィードホーンのほぼ外径に等しい外径を有する第1円筒部と、前記フィードホーンの小径部分と前記導波管接続部分を覆う第2円筒部と、これら両円筒部をつなぐ第1テーパ円筒部とを有する、請求項4記載の電波受信用コンバータ。
【請求項8】
前記キャビネットは、前記フィードホーンのほぼ外径に等しい外径を有する第1円筒部と、前記フィードホーンの小径部分と前記導波管接続部分を覆う第2円筒部と、これら両円筒部をつなぐ第1テーパ円筒部とを有し、中心軸線を含む平面で2分割されてなり、分割部分で雌雄係合部材で接合された請求項7記載の電波受信用コンバータ。
【請求項9】
前記フィードホーンが前記導波管に接続されたとき、フィードホーンの外周部分が当接して第1導波管側に押圧力を生じるような当たり片が第1テーパ円筒部に設けられた請求項7または8記載の電波受信用コンバータ。
【請求項10】
前記キャビネットの第2円筒部には、前記接続部のリング部の外径よりも小径で張り出す円周凸条が内面に設けられた請求項7または8記載の電波受信用コンバータ。
【請求項11】
前記キャビネットの第2円筒部の端部に当接する円周凸条が前記導波管の外周に設けられた請求項7または8記載の電波受信用コンバータ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の電波用受信用コンバータを備えた、衛星放送受信用アンテナ装置。
【請求項1】
衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、
第1ネジ部を外周に持つ第1導波管を有する本体部と、
前記第1ネジ部に螺合する第2ネジ部を内周に持つ第2導波管を有するフィードホーンと、
前記第1,第2導波管の円周間隙を残した接続部を覆うように配置されて、前記第1導波管の外周との間に第2導波管の先端付近が入る溝部を形成するように、円周壁部と円環段部とを持つリング状部材と、
前記溝部内に注入されたシール材と、
を備えた電波受信用コンバータ。
【請求項2】
衛星放送を受信するための電波受信用コンバータであって、
導波管を有する本体部と、
前記導波管と接続されるフィードホーンとを備え、
前記フィードホーンの円周溝部の底にビス固定孔が設けられ、
前記導波管の先端にネジ穴が設けられ、
前記フィードホーンのビス固定孔を通して、ビスが前記導波管のネジ穴にねじ込み固定された、電波受信用コンバータ。
【請求項3】
前記フィードホーンのコルゲート溝部に凸または凹形状の穴またはリブを設けた、請求項1記載の電波受信用コンバータ。
【請求項4】
前記第1または第2導波管の接続部分がキャビネットで覆われた、請求項1または2記載の電波受信用コンバータ。
【請求項5】
前記リング状部材が金属または導電性樹脂で形成された、請求項1,3または4記載の電波受信用コンバータ。
【請求項6】
前記シール材を導電性シール材とした請求項1,3または4記載の電波受信用コンバータ。
【請求項7】
前記キャビネットは、前記フィードホーンのほぼ外径に等しい外径を有する第1円筒部と、前記フィードホーンの小径部分と前記導波管接続部分を覆う第2円筒部と、これら両円筒部をつなぐ第1テーパ円筒部とを有する、請求項4記載の電波受信用コンバータ。
【請求項8】
前記キャビネットは、前記フィードホーンのほぼ外径に等しい外径を有する第1円筒部と、前記フィードホーンの小径部分と前記導波管接続部分を覆う第2円筒部と、これら両円筒部をつなぐ第1テーパ円筒部とを有し、中心軸線を含む平面で2分割されてなり、分割部分で雌雄係合部材で接合された請求項7記載の電波受信用コンバータ。
【請求項9】
前記フィードホーンが前記導波管に接続されたとき、フィードホーンの外周部分が当接して第1導波管側に押圧力を生じるような当たり片が第1テーパ円筒部に設けられた請求項7または8記載の電波受信用コンバータ。
【請求項10】
前記キャビネットの第2円筒部には、前記接続部のリング部の外径よりも小径で張り出す円周凸条が内面に設けられた請求項7または8記載の電波受信用コンバータ。
【請求項11】
前記キャビネットの第2円筒部の端部に当接する円周凸条が前記導波管の外周に設けられた請求項7または8記載の電波受信用コンバータ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の電波用受信用コンバータを備えた、衛星放送受信用アンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−33352(P2009−33352A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193686(P2007−193686)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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