電波吸収体及び電波暗室
【課題】 斜入射の場合であってもTE波とTM波の両方で優れた電波吸収特性を有する電波吸収体及びこれを用いた電波暗室を提供する。
【解決手段】 電波反射体1の前面に格子状に磁性損失体としての格子形フェライト5を配置した電波吸収体において、前記格子形フェライト5の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とが異なり、TE波の電界方向の巾寸法を大きく、あるいはTM波の磁界方向の巾寸法を大きくして、前記格子形フェライト5の縦方向と横方向の間隙率が異なるようにしている。このような電波吸収体を天井面及び側壁面に配置しすることで斜入射に対して優れた電波吸収特性を備えた電波暗室を実現できる。
【解決手段】 電波反射体1の前面に格子状に磁性損失体としての格子形フェライト5を配置した電波吸収体において、前記格子形フェライト5の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とが異なり、TE波の電界方向の巾寸法を大きく、あるいはTM波の磁界方向の巾寸法を大きくして、前記格子形フェライト5の縦方向と横方向の間隙率が異なるようにしている。このような電波吸収体を天井面及び側壁面に配置しすることで斜入射に対して優れた電波吸収特性を備えた電波暗室を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波吸収パネル等に用いられる電波吸収体及びこれを用いた電波暗室に係り、特に斜入射の電波に対する特性が良好な電波吸収体及び電波暗室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波暗室や電波吸収パネル等に用いられる電波吸収体としては、図4(A),(B),(C)に示すように、電波反射体1(金属等の導体板)の前面に磁性損失体としての平板状のフェライト2(以下、「平板形フェライト」という。)を配置したものが知られている。この電波吸収体は平板形フェライト2の材料特性(複素比透磁率、複素比誘電率)と厚さdにより電波吸収特性が決まる。前記材料特性を固定した場合、図5の反射減衰量の周波数特性からわかるように最大吸収量が得られる厚さ、即ち整合厚さが存在する。図5の例では、d=6mmがその整合厚さである。但し、図5は電波が平板形フェライト2に垂直入射した場合を示している。図4(C)に示すように電波吸収体の面への垂線を含む入射面において、前記垂線に対して入射角度θをなして電波が入射する斜入射の場合には、前記入射角度θと整合厚さとの関係を示す図6のように、TE波のときは整合厚さは大きくなる方向に変化し、TM波のときは整合厚さは小さくなる方向に変化する。ここで、図19(A)のようにTE波とは電波の電界方向が入射面に垂直の場合、同図(B)のようにTM波とは電波の磁界方向が入射面に垂直の場合である。
【0003】
また、下記特許文献1等には、図7(A),(B)のように、電波反射体1の前面に、一方向(入射電波の電界方向)に対して間隙を空けて、すのこ状のフェライト3(以下、「すのこ形フェライト」という。)を配置した電波吸収体が示されている。この電波吸収体は一偏波用であるが、施工性向上等のメリットがある。
【0004】
【特許文献1】特公昭55−49798号公報
【0005】
図7の電波吸収体の場合、すのこ形フェライト3の材料特性と厚さdの他、すのこ形フェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGによっても電波吸収特性が変わる。特に入射電波の波長に対しフェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGが十分小さい場合には、材料特性と厚さdと間隙率によって電波吸収特性が決まる。図7(A)において、電界方向の間隙率は、すのこ形フェライト3の巾寸法をtF、間隙寸法をtGとしたとき、
間隙率(%)={tG/(tF+tG)}×100
で表される。前記材料特性を固定した場合、間隙率と整合厚さ(但し垂直入射時)との関係は図8のようになり、間隙率が大きいと、整合厚さも大きくなる。適当な間隙率において、平板形フェライトより広帯域な特性が得られる。
【0006】
さらに、下記特許文献2では電波反射体の前面に、縦横両方向に間隙を空けた一定肉厚の格子状のフェライト(以下、「格子形フェライト」という。)を配置した電波吸収体を提案している。
【0007】
【特許文献2】特公平7−7886号公報
【0008】
この特許文献2の電波吸収体は、すのこ形フェライトを両偏波で機能するようにしたもので、図9(A),(B)のように電波反射体1の前面に縦横両方向に対して間隙を空けた一定肉厚の格子形フェライト4を配置したものであり、格子形フェライト4の縦及び横方向の巾寸法をtF、間隙寸法をtGとしたとき、間隙率は、
間隙率(%)={tG/(tF+tG)}×100
となる。この場合、格子形フェライト4の材料特性と厚さdの他、格子形フェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGによっても電波吸収特性が変わる。特に入射電波の波長に対しフェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGが十分小さい場合には、材料特性と厚さdと間隙率によって電波吸収特性が決まる。前記材料特性を固定した場合、前記間隙率と整合厚さ(但し垂直入射時)との関係は図10のようになり、間隙率が大きいと、整合厚さも大きくなる。適当な間隙率において、平板形フェライトより広帯域な特性が得られる。
【0009】
ところで、図4の平板形フェライトを用いた電波吸収体においては、電波吸収体に電波が斜めに入射する場合、図6に示されるように、入射電波の入射角度や偏波面(TE波又はTM波)によってフェライトの整合厚さが変わる。すなわち、TE波の場合は、入射角度が大きくなるほどフェライトの整合厚さは厚くなり、TM波の場合は、入射角度が大きくなるほどフェライトの整合厚さは薄くなる。例えば、図6において、入射角度40°の場合、TE波に対するフェライトの整合厚さは約8mmであるのに対し、TM波に対するフェライトの整合厚さは約5mmであり、TE波に対するフェライトの整合厚さはTM波に対するフェライトの整合厚さより60%厚い。
【0010】
したがって、前記平板形フェライトを用いた電波吸収体では、入射角度が同じであってもTE波とTM波の整合厚さが異なるため、両偏波で最適な特性が得られないという問題がある。仮に、斜入射について考察したとしても、平板形フェライトの厚さを、斜入射のTE波又はTM波のどちらか一方に適したものにすることしかできない。
【0011】
また、図9の従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体についても同様の結果となる。例えば、図12は縦及び横方向の間隙率=67.5%のときの格子形フェライトを用いた例であるが、入射角度40°の場合、TE波に対するフェライトの整合厚さは約25mmであるのに対し、TM波に対するフェライトの整合厚さは約15mmであり、TE波に対するフェライトの整合厚さはTM波に対するフェライトの整合厚さより60%以上厚い。このように、図9に示した従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体は、垂直入射用の構成(斜入射については配慮されていない構成)であるため、前記平板形フェライトを用いた電波吸収体と同様に、両偏波で最適な特性が得られないという問題がある。
【0012】
また、図7に示したすのこ形フェライトを用いた電波吸収体の場合は、もともとTE波もしくはTM波の一方の偏波でしか機能しない。つまり、一偏波用であるため、両偏波への対応は考慮されていない。
【0013】
以下に、図9で説明した垂直入射用の格子形フェライトであって、縦方向と横方向の間隙率が同じものを用いた従来例では、両偏波で最適な特性が得られない点について詳述する。
【0014】
従来例1
従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体において、垂直入射用に設計した例を図11(A),(B)に示す。電波反射体1の前面に配置された格子形フェライト4の厚さd=19mm、格子形フェライト4の縦及び横方向の巾寸法tF、=6.5mm、間隙寸法tG=13.5mm、間隙率=67.5%(縦方向及び横方向共に同じ)とした。
【0015】
この場合の入射角度と整合厚さとの関係は図12のようになり、厚さd=19mmにおける垂直入射特性及び斜入射特性(入射角度40°)はそれぞれ図13(A),(B)のようになる。図13の結果からわかるように、垂直入射では最適な反射減衰特性が得られるが、斜入射ではTE波、TM波共に反射減衰量は低下して最適な特性は得られない。
【0016】
従来例2及び従来例3
次に、図11において、格子形フェライト4の厚さdをTE波で最適となるように厚さd=25mmに設定した場合(従来例2)、及びTM波で最適となるように厚さd=14mmに設定した場合(従来例3)の斜入射特性(入射角度40°)を図14(A),(B)にそれぞれ示す。但し、間隙率は従来例1と同じである。それぞれ一方の偏波では最適な反射減衰特性が得られるが、他方の偏波の特性が劣化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の点に鑑み、斜入射の場合であってもTE波とTM波の両方で優れた電波吸収特性を有する電波吸収体及びこれを用いた電波暗室を提供することを目的とする。
【0018】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、電波反射体の前面に格子状に磁性損失体を配置した電波吸収体において、前記磁性損失体の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とが異なり、前記磁性損失体の縦方向と横方向の間隙率が異なることを特徴としている。
【0020】
前記電波吸収体において、TE波の電界方向の巾寸法を大きくするとよい。
【0021】
また、TM波の磁界方向の巾寸法を大きくするとよい。
【0022】
前記電波吸収体の前面に、誘電性損失体又は磁性損失体を配置した構成としてもよい。
【0023】
本発明に係る電波暗室は、前記電波吸収体を天井面及び側壁面に配置したことを特徴としている。
【0024】
前記電波暗室において、前記磁性損失体の電波の放射源及び受信アンテナを結ぶ方向に略平行な方向の巾寸法を小さくするとよい。
【0025】
また、妻壁面には平板状の磁性損失体を配置してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電波吸収体によれば、電波反射体の前面に格子状に配置した磁性損失体の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とを異なる値に設定して、前記磁性損失体の縦方向と横方向の間隙率を異ならせることで、TE波とTM波の両方で優れた電波吸収特性を実現することが可能である。
【0027】
また、本発明に係る電波暗室によれば、前記電波吸収体を天井面及び側壁面に配置したことで、斜入射電波に対する電波吸収特性を改善し、ひいては電波暗室のサイトアッテネーション特性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、電波吸収体及び電波暗室の実施の形態を説明する。
【0029】
本発明に係る実施の形態では、図1(A),(B),(C)及び図2に示すように、電波反射体1の前面に格子状磁性損失体としての格子形フェライト5を配置するが、格子形フェライト5では間隙率が大きいほど整合厚さは厚くなることから、厚さは垂直入射で最適な条件としたままで、TE波の電界方向に対する間隙率が小さく、TM波の電界方向に対する間隙率が大きくなるように、格子形フェライト5における縦方向の巾寸法tF1と横方向の巾寸法tF2とを異なる寸法値に設定している。つまり、格子形フェライト5の格子状部分について、TE波の電界方向(TM波の磁界方向)の巾寸法tF1を、直交する格子状部分の巾寸法tF2よりも大きくしている。また、格子形フェライト5の各格子の隙間の形状は、縦方向の間隙寸法がtG1、横方向の間隙寸法がtG2の四角形であり、それらの寸法値は、格子形フェライト5の縦方向の間隙率が横方向の間隙率よりも小さくなるように設定している。なお、電波反射体1は亜鉛メッキ鋼板等の金属板であり、格子形フェライト5は、高周波用フェライト焼結体、例えばNi−Cu−Zn系フェライト等を好ましく使用できる。
【0030】
ここで、縦方向の間隙率と横方向の間隙率とは次式で示される。
縦方向の間隙率(%)={tG1/(tF1+tG1)}×100
横方向の間隙率(%)={tG2/(tF2+tG2)}×100
【0031】
図3は、本実施の形態において、前記格子形フェライト5の縦方向の巾寸法tF1=8mm、横方向の巾寸法tF2=5mmとし、縦方向の間隙寸法をtG1=12mm、横方向の間隙寸法をtG2=15mmとした場合(間隙率は縦方向が60%、横方向が75%)の斜入射40°(図2の斜視図参照)のときの電波吸収特性を表すグラフである。TE波とTM波の両方において、優れた電波吸収特性が実現されていることが分かる。
【0032】
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0033】
(1) 磁性損失体としての格子形フェライト5の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とを異なる値として、TE波の電界方向の間隙率を、TM波の電界方向の間隙率より小さくしたことで、TE波とTM波の両方で優れた電波吸収特性を得ることができる。
【0034】
(2) 格子形フェライト5の格子状部分の巾寸法を縦方向と横方向とで異なるものとすることで、間隙の形状の自由度を確保することができる。
【0035】
(3) 格子の隙間の形状が正方形に近いため、磁性損失体として有効となる周波数領域が狭まる(高い周波数領域に対して効果が低くなる)ことがない。なお、格子形フェライトの縦及び横方向の巾寸法を変えずに縦及び横方向の間隙率を変えようとすると、格子形フェライトの間隙形状は縦横比の大きな細長い長方形となり、間隙の長辺寸法が大きくなるため高い周波数領域に対して格子形フェライトを配置した効果が低くなる。従って、格子形フェライトの縦方向と横方向の巾寸法を異なる値として間隙率を変化させる本実施の形態の構成のほうが優れている。
【0036】
なお、電波吸収体の他の実施の形態として、前記格子形フェライトを有する電波吸収体の前面に(つまり格子形フェライトの前面に)、誘電性損失体又は磁性損失体を配置した構造とすることも可能である。
【0037】
前記誘電性損失体又は磁性損失体を付加することにより高周波における電波吸収特性を向上させることが出来る。誘電性損失体の例としては、発泡ポリスチロールや発泡ポリウレタン等の基材にカーボンやグラファイト等の導電材料を含有させたものが挙げられる。磁性損失体の例としては、樹脂や無機系の基材にフェライト粒子を含有させたものが挙げられる。
【0038】
図15乃至図18は本発明を電波暗室に適用した場合の実施の形態を示す。放射ノイズ測定用の電波暗室10には床面(金属面)を除く5面に電波吸収体が配置される。このような電波暗室の性能はサイトアッテネーションと呼ばれる特性を測定して理論値と比較することにより評価される。サイトアッテネーションは図15のように送信アンテナ(EUTを想定)11と受信アンテナ12を所定距離(10m又は3m)離して設置し、送信アンテナ高さを固定(1〜2m程度)し、受信アンテナ高さを1〜4mまで変化させて測定される。
【0039】
ここで、図16及び図17からわかるように天井面及び側壁面には電波の放射源としての送信アンテナ11から放射された電波は斜めに入射し、図18のように妻壁面には電波はほぼ垂直に入射する。
【0040】
電波暗室の天井面及び側壁面に本発明の各実施の形態で示した格子状磁性損失体(例えば格子形フェライト5)を有する電波吸収体を配置する場合、図16及び図17のように磁性損失体は、送信及び受信アンテナ11,12を結ぶ方向に略平行な方向(電波暗室の長手方向)の巾寸法を小さくする構成となる。
【0041】
電波暗室の天井面及び側壁面には電波は斜めに入射することから、本発明の電波吸収体を天井面及び側壁面に配置することにより電波暗室性能を向上させることが出来る。
【0042】
電波暗室の妻壁面には電波はほぼ垂直に入射することから、妻壁面には従来の平板状磁性損失体(例えば平板形フェライト等)を用いることにより、製造コストを抑えることが出来る。
【0043】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る電波吸収体の実施の形態であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図2】実施の形態であって、電波吸収体の面に電波が斜めに入射する斜入射の場合を説明する斜視図である。
【図3】実施の形態における、斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図である。
【図4】従来の平板形フェライトを用いた電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は電波吸収体の面に電波が斜めに入射する斜入射の場合を説明する斜視図である。
【図5】図4の電波吸収体の電波吸収特性であって、垂直入射のときの反射減衰量の周波数特性図である。
【図6】図4の電波吸収体における入射角度と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図7】従来のすのこ形フェライトを用いた電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図8】図7の電波吸収体における間隙率と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図9】従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図10】従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体であって、図9の電波吸収体における間隙率と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図11】従来の格子形フェライトを用いた垂直入射用に設計した電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図12】図11の電波吸収体における入射角度と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図13】図11の電波吸収体の電波吸収特性であって、(A)は垂直入射のときの反射減衰量の周波数特性図、(B)は斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図である。
【図14】図11の電波吸収体の電波吸収特性であって、(A)は格子形フェライトの厚さをTE波で最適となるようにしたときの斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図、(B)は格子形フェライトの厚さをTM波で最適となるようにしたときの斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図である。
【図15】本発明を電波暗室に適用した実施の形態であって、送信アンテナ及び受信アンテナ配置等を示す斜視図である。
【図16】前記電波暗室の天井面を本発明に係る電波吸収体で構成した場合を示す斜視図である。
【図17】前記電波暗室の側壁面を本発明に係る電波吸収体で構成した場合を示す斜視図である。
【図18】前記電波暗室の妻壁面には電波がほぼ垂直入射することを示す斜視図である。
【図19】TE波及びTM波の反射の様子を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 電波反射体
2,3,4,5 フェライト
10 電波暗室
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波吸収パネル等に用いられる電波吸収体及びこれを用いた電波暗室に係り、特に斜入射の電波に対する特性が良好な電波吸収体及び電波暗室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波暗室や電波吸収パネル等に用いられる電波吸収体としては、図4(A),(B),(C)に示すように、電波反射体1(金属等の導体板)の前面に磁性損失体としての平板状のフェライト2(以下、「平板形フェライト」という。)を配置したものが知られている。この電波吸収体は平板形フェライト2の材料特性(複素比透磁率、複素比誘電率)と厚さdにより電波吸収特性が決まる。前記材料特性を固定した場合、図5の反射減衰量の周波数特性からわかるように最大吸収量が得られる厚さ、即ち整合厚さが存在する。図5の例では、d=6mmがその整合厚さである。但し、図5は電波が平板形フェライト2に垂直入射した場合を示している。図4(C)に示すように電波吸収体の面への垂線を含む入射面において、前記垂線に対して入射角度θをなして電波が入射する斜入射の場合には、前記入射角度θと整合厚さとの関係を示す図6のように、TE波のときは整合厚さは大きくなる方向に変化し、TM波のときは整合厚さは小さくなる方向に変化する。ここで、図19(A)のようにTE波とは電波の電界方向が入射面に垂直の場合、同図(B)のようにTM波とは電波の磁界方向が入射面に垂直の場合である。
【0003】
また、下記特許文献1等には、図7(A),(B)のように、電波反射体1の前面に、一方向(入射電波の電界方向)に対して間隙を空けて、すのこ状のフェライト3(以下、「すのこ形フェライト」という。)を配置した電波吸収体が示されている。この電波吸収体は一偏波用であるが、施工性向上等のメリットがある。
【0004】
【特許文献1】特公昭55−49798号公報
【0005】
図7の電波吸収体の場合、すのこ形フェライト3の材料特性と厚さdの他、すのこ形フェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGによっても電波吸収特性が変わる。特に入射電波の波長に対しフェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGが十分小さい場合には、材料特性と厚さdと間隙率によって電波吸収特性が決まる。図7(A)において、電界方向の間隙率は、すのこ形フェライト3の巾寸法をtF、間隙寸法をtGとしたとき、
間隙率(%)={tG/(tF+tG)}×100
で表される。前記材料特性を固定した場合、間隙率と整合厚さ(但し垂直入射時)との関係は図8のようになり、間隙率が大きいと、整合厚さも大きくなる。適当な間隙率において、平板形フェライトより広帯域な特性が得られる。
【0006】
さらに、下記特許文献2では電波反射体の前面に、縦横両方向に間隙を空けた一定肉厚の格子状のフェライト(以下、「格子形フェライト」という。)を配置した電波吸収体を提案している。
【0007】
【特許文献2】特公平7−7886号公報
【0008】
この特許文献2の電波吸収体は、すのこ形フェライトを両偏波で機能するようにしたもので、図9(A),(B)のように電波反射体1の前面に縦横両方向に対して間隙を空けた一定肉厚の格子形フェライト4を配置したものであり、格子形フェライト4の縦及び横方向の巾寸法をtF、間隙寸法をtGとしたとき、間隙率は、
間隙率(%)={tG/(tF+tG)}×100
となる。この場合、格子形フェライト4の材料特性と厚さdの他、格子形フェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGによっても電波吸収特性が変わる。特に入射電波の波長に対しフェライトの巾寸法tFと間隙寸法tGが十分小さい場合には、材料特性と厚さdと間隙率によって電波吸収特性が決まる。前記材料特性を固定した場合、前記間隙率と整合厚さ(但し垂直入射時)との関係は図10のようになり、間隙率が大きいと、整合厚さも大きくなる。適当な間隙率において、平板形フェライトより広帯域な特性が得られる。
【0009】
ところで、図4の平板形フェライトを用いた電波吸収体においては、電波吸収体に電波が斜めに入射する場合、図6に示されるように、入射電波の入射角度や偏波面(TE波又はTM波)によってフェライトの整合厚さが変わる。すなわち、TE波の場合は、入射角度が大きくなるほどフェライトの整合厚さは厚くなり、TM波の場合は、入射角度が大きくなるほどフェライトの整合厚さは薄くなる。例えば、図6において、入射角度40°の場合、TE波に対するフェライトの整合厚さは約8mmであるのに対し、TM波に対するフェライトの整合厚さは約5mmであり、TE波に対するフェライトの整合厚さはTM波に対するフェライトの整合厚さより60%厚い。
【0010】
したがって、前記平板形フェライトを用いた電波吸収体では、入射角度が同じであってもTE波とTM波の整合厚さが異なるため、両偏波で最適な特性が得られないという問題がある。仮に、斜入射について考察したとしても、平板形フェライトの厚さを、斜入射のTE波又はTM波のどちらか一方に適したものにすることしかできない。
【0011】
また、図9の従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体についても同様の結果となる。例えば、図12は縦及び横方向の間隙率=67.5%のときの格子形フェライトを用いた例であるが、入射角度40°の場合、TE波に対するフェライトの整合厚さは約25mmであるのに対し、TM波に対するフェライトの整合厚さは約15mmであり、TE波に対するフェライトの整合厚さはTM波に対するフェライトの整合厚さより60%以上厚い。このように、図9に示した従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体は、垂直入射用の構成(斜入射については配慮されていない構成)であるため、前記平板形フェライトを用いた電波吸収体と同様に、両偏波で最適な特性が得られないという問題がある。
【0012】
また、図7に示したすのこ形フェライトを用いた電波吸収体の場合は、もともとTE波もしくはTM波の一方の偏波でしか機能しない。つまり、一偏波用であるため、両偏波への対応は考慮されていない。
【0013】
以下に、図9で説明した垂直入射用の格子形フェライトであって、縦方向と横方向の間隙率が同じものを用いた従来例では、両偏波で最適な特性が得られない点について詳述する。
【0014】
従来例1
従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体において、垂直入射用に設計した例を図11(A),(B)に示す。電波反射体1の前面に配置された格子形フェライト4の厚さd=19mm、格子形フェライト4の縦及び横方向の巾寸法tF、=6.5mm、間隙寸法tG=13.5mm、間隙率=67.5%(縦方向及び横方向共に同じ)とした。
【0015】
この場合の入射角度と整合厚さとの関係は図12のようになり、厚さd=19mmにおける垂直入射特性及び斜入射特性(入射角度40°)はそれぞれ図13(A),(B)のようになる。図13の結果からわかるように、垂直入射では最適な反射減衰特性が得られるが、斜入射ではTE波、TM波共に反射減衰量は低下して最適な特性は得られない。
【0016】
従来例2及び従来例3
次に、図11において、格子形フェライト4の厚さdをTE波で最適となるように厚さd=25mmに設定した場合(従来例2)、及びTM波で最適となるように厚さd=14mmに設定した場合(従来例3)の斜入射特性(入射角度40°)を図14(A),(B)にそれぞれ示す。但し、間隙率は従来例1と同じである。それぞれ一方の偏波では最適な反射減衰特性が得られるが、他方の偏波の特性が劣化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の点に鑑み、斜入射の場合であってもTE波とTM波の両方で優れた電波吸収特性を有する電波吸収体及びこれを用いた電波暗室を提供することを目的とする。
【0018】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、電波反射体の前面に格子状に磁性損失体を配置した電波吸収体において、前記磁性損失体の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とが異なり、前記磁性損失体の縦方向と横方向の間隙率が異なることを特徴としている。
【0020】
前記電波吸収体において、TE波の電界方向の巾寸法を大きくするとよい。
【0021】
また、TM波の磁界方向の巾寸法を大きくするとよい。
【0022】
前記電波吸収体の前面に、誘電性損失体又は磁性損失体を配置した構成としてもよい。
【0023】
本発明に係る電波暗室は、前記電波吸収体を天井面及び側壁面に配置したことを特徴としている。
【0024】
前記電波暗室において、前記磁性損失体の電波の放射源及び受信アンテナを結ぶ方向に略平行な方向の巾寸法を小さくするとよい。
【0025】
また、妻壁面には平板状の磁性損失体を配置してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電波吸収体によれば、電波反射体の前面に格子状に配置した磁性損失体の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とを異なる値に設定して、前記磁性損失体の縦方向と横方向の間隙率を異ならせることで、TE波とTM波の両方で優れた電波吸収特性を実現することが可能である。
【0027】
また、本発明に係る電波暗室によれば、前記電波吸収体を天井面及び側壁面に配置したことで、斜入射電波に対する電波吸収特性を改善し、ひいては電波暗室のサイトアッテネーション特性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、電波吸収体及び電波暗室の実施の形態を説明する。
【0029】
本発明に係る実施の形態では、図1(A),(B),(C)及び図2に示すように、電波反射体1の前面に格子状磁性損失体としての格子形フェライト5を配置するが、格子形フェライト5では間隙率が大きいほど整合厚さは厚くなることから、厚さは垂直入射で最適な条件としたままで、TE波の電界方向に対する間隙率が小さく、TM波の電界方向に対する間隙率が大きくなるように、格子形フェライト5における縦方向の巾寸法tF1と横方向の巾寸法tF2とを異なる寸法値に設定している。つまり、格子形フェライト5の格子状部分について、TE波の電界方向(TM波の磁界方向)の巾寸法tF1を、直交する格子状部分の巾寸法tF2よりも大きくしている。また、格子形フェライト5の各格子の隙間の形状は、縦方向の間隙寸法がtG1、横方向の間隙寸法がtG2の四角形であり、それらの寸法値は、格子形フェライト5の縦方向の間隙率が横方向の間隙率よりも小さくなるように設定している。なお、電波反射体1は亜鉛メッキ鋼板等の金属板であり、格子形フェライト5は、高周波用フェライト焼結体、例えばNi−Cu−Zn系フェライト等を好ましく使用できる。
【0030】
ここで、縦方向の間隙率と横方向の間隙率とは次式で示される。
縦方向の間隙率(%)={tG1/(tF1+tG1)}×100
横方向の間隙率(%)={tG2/(tF2+tG2)}×100
【0031】
図3は、本実施の形態において、前記格子形フェライト5の縦方向の巾寸法tF1=8mm、横方向の巾寸法tF2=5mmとし、縦方向の間隙寸法をtG1=12mm、横方向の間隙寸法をtG2=15mmとした場合(間隙率は縦方向が60%、横方向が75%)の斜入射40°(図2の斜視図参照)のときの電波吸収特性を表すグラフである。TE波とTM波の両方において、優れた電波吸収特性が実現されていることが分かる。
【0032】
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0033】
(1) 磁性損失体としての格子形フェライト5の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とを異なる値として、TE波の電界方向の間隙率を、TM波の電界方向の間隙率より小さくしたことで、TE波とTM波の両方で優れた電波吸収特性を得ることができる。
【0034】
(2) 格子形フェライト5の格子状部分の巾寸法を縦方向と横方向とで異なるものとすることで、間隙の形状の自由度を確保することができる。
【0035】
(3) 格子の隙間の形状が正方形に近いため、磁性損失体として有効となる周波数領域が狭まる(高い周波数領域に対して効果が低くなる)ことがない。なお、格子形フェライトの縦及び横方向の巾寸法を変えずに縦及び横方向の間隙率を変えようとすると、格子形フェライトの間隙形状は縦横比の大きな細長い長方形となり、間隙の長辺寸法が大きくなるため高い周波数領域に対して格子形フェライトを配置した効果が低くなる。従って、格子形フェライトの縦方向と横方向の巾寸法を異なる値として間隙率を変化させる本実施の形態の構成のほうが優れている。
【0036】
なお、電波吸収体の他の実施の形態として、前記格子形フェライトを有する電波吸収体の前面に(つまり格子形フェライトの前面に)、誘電性損失体又は磁性損失体を配置した構造とすることも可能である。
【0037】
前記誘電性損失体又は磁性損失体を付加することにより高周波における電波吸収特性を向上させることが出来る。誘電性損失体の例としては、発泡ポリスチロールや発泡ポリウレタン等の基材にカーボンやグラファイト等の導電材料を含有させたものが挙げられる。磁性損失体の例としては、樹脂や無機系の基材にフェライト粒子を含有させたものが挙げられる。
【0038】
図15乃至図18は本発明を電波暗室に適用した場合の実施の形態を示す。放射ノイズ測定用の電波暗室10には床面(金属面)を除く5面に電波吸収体が配置される。このような電波暗室の性能はサイトアッテネーションと呼ばれる特性を測定して理論値と比較することにより評価される。サイトアッテネーションは図15のように送信アンテナ(EUTを想定)11と受信アンテナ12を所定距離(10m又は3m)離して設置し、送信アンテナ高さを固定(1〜2m程度)し、受信アンテナ高さを1〜4mまで変化させて測定される。
【0039】
ここで、図16及び図17からわかるように天井面及び側壁面には電波の放射源としての送信アンテナ11から放射された電波は斜めに入射し、図18のように妻壁面には電波はほぼ垂直に入射する。
【0040】
電波暗室の天井面及び側壁面に本発明の各実施の形態で示した格子状磁性損失体(例えば格子形フェライト5)を有する電波吸収体を配置する場合、図16及び図17のように磁性損失体は、送信及び受信アンテナ11,12を結ぶ方向に略平行な方向(電波暗室の長手方向)の巾寸法を小さくする構成となる。
【0041】
電波暗室の天井面及び側壁面には電波は斜めに入射することから、本発明の電波吸収体を天井面及び側壁面に配置することにより電波暗室性能を向上させることが出来る。
【0042】
電波暗室の妻壁面には電波はほぼ垂直に入射することから、妻壁面には従来の平板状磁性損失体(例えば平板形フェライト等)を用いることにより、製造コストを抑えることが出来る。
【0043】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る電波吸収体の実施の形態であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。
【図2】実施の形態であって、電波吸収体の面に電波が斜めに入射する斜入射の場合を説明する斜視図である。
【図3】実施の形態における、斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図である。
【図4】従来の平板形フェライトを用いた電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は電波吸収体の面に電波が斜めに入射する斜入射の場合を説明する斜視図である。
【図5】図4の電波吸収体の電波吸収特性であって、垂直入射のときの反射減衰量の周波数特性図である。
【図6】図4の電波吸収体における入射角度と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図7】従来のすのこ形フェライトを用いた電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図8】図7の電波吸収体における間隙率と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図9】従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図10】従来の格子形フェライトを用いた電波吸収体であって、図9の電波吸収体における間隙率と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図11】従来の格子形フェライトを用いた垂直入射用に設計した電波吸収体であって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図12】図11の電波吸収体における入射角度と整合厚さとの関係を示すグラフである。
【図13】図11の電波吸収体の電波吸収特性であって、(A)は垂直入射のときの反射減衰量の周波数特性図、(B)は斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図である。
【図14】図11の電波吸収体の電波吸収特性であって、(A)は格子形フェライトの厚さをTE波で最適となるようにしたときの斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図、(B)は格子形フェライトの厚さをTM波で最適となるようにしたときの斜入射(入射角度=40°)の場合のTE波及びTM波の反射減衰量の周波数特性図である。
【図15】本発明を電波暗室に適用した実施の形態であって、送信アンテナ及び受信アンテナ配置等を示す斜視図である。
【図16】前記電波暗室の天井面を本発明に係る電波吸収体で構成した場合を示す斜視図である。
【図17】前記電波暗室の側壁面を本発明に係る電波吸収体で構成した場合を示す斜視図である。
【図18】前記電波暗室の妻壁面には電波がほぼ垂直入射することを示す斜視図である。
【図19】TE波及びTM波の反射の様子を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1 電波反射体
2,3,4,5 フェライト
10 電波暗室
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波反射体の前面に格子状に磁性損失体を配置した電波吸収体において、前記磁性損失体の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とが異なり、前記磁性損失体の縦方向と横方向の間隙率が異なることを特徴とする電波吸収体。
【請求項2】
TE波の電界方向の巾寸法を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の電波吸収体。
【請求項3】
TM波の磁界方向の巾寸法を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の電波吸収体。
【請求項4】
請求項1,2又は3記載の電波吸収体の前面に、誘電性損失体又は磁性損失体を配置したことを特徴とする電波吸収体。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4記載の電波吸収体を天井面及び側壁面に配置したことを特徴とする電波暗室。
【請求項6】
前記磁性損失体の電波の放射源及び受信アンテナを結ぶ方向に略平行な方向の巾寸法を小さくしたことを特徴とする請求項5記載の電波暗室。
【請求項7】
妻壁面には平板状の磁性損失体を配置したことを特徴とする請求項5又は6記載の電波暗室。
【請求項1】
電波反射体の前面に格子状に磁性損失体を配置した電波吸収体において、前記磁性損失体の縦方向の巾寸法と横方向の巾寸法とが異なり、前記磁性損失体の縦方向と横方向の間隙率が異なることを特徴とする電波吸収体。
【請求項2】
TE波の電界方向の巾寸法を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の電波吸収体。
【請求項3】
TM波の磁界方向の巾寸法を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の電波吸収体。
【請求項4】
請求項1,2又は3記載の電波吸収体の前面に、誘電性損失体又は磁性損失体を配置したことを特徴とする電波吸収体。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4記載の電波吸収体を天井面及び側壁面に配置したことを特徴とする電波暗室。
【請求項6】
前記磁性損失体の電波の放射源及び受信アンテナを結ぶ方向に略平行な方向の巾寸法を小さくしたことを特徴とする請求項5記載の電波暗室。
【請求項7】
妻壁面には平板状の磁性損失体を配置したことを特徴とする請求項5又は6記載の電波暗室。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−294718(P2006−294718A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110485(P2005−110485)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(000225496)
【出願人】(505128865)株式会社イシカワ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【出願人】(000225496)
【出願人】(505128865)株式会社イシカワ (1)
【Fターム(参考)】
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