説明

電流センサ

【課題】 電流センサにおいて、測定対象回路に対して検出回路を電気接続せずに電流検出が可能であると共に低コストで小型化を可能にすること。
【解決手段】 回路に接続される一対の電極部の一方に接続された第1の導電体13Aと該第1の導電体13Aに接合されていると共に電極部12の他方に接続され第1の導電体13Aよりも抵抗値の高い第2の導電体13Bとで構成された電流熱変換部14と、下側絶縁性フィルム11A上に互いに帯状にパターン形成されていると共に端部で接合されて電気的に直列接続された複数対の第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bを有するフィルム状熱電変換素子17と、を備え、該フィルム状熱電変換素子17が、第1の導電体13A上から第2の導電体13B上にわたって第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bを延在させて電流熱変換部14上に貼り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路に流れる電流を検出可能な電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の回路に流れる電流を測定する技術として、従来、シャント抵抗、カレントトランス(CT)、ホール素子等を用いたものが使用されている。上記シャント抵抗を用いた電流検出では、回路にシャント抵抗を接続し、電流を電圧に変換してシャント抵抗に接続した検出回路で電圧を測定して電流を検出している。このシャント抵抗を用いた電流検出では、直流及び交流の両方の電流計測が可能である。
【0003】
また、カレントトランスを用いた電流検出では、交流電流が流れる測定対象の回路を環状コアに巻回された1次側コイルに接続すると共に環状コアに巻回された2次側コイルに生じる電圧を検出回路で電流を検出している。
さらに、ホール素子を用いた電流検出では、例えば特許文献1に示すように、回路近傍にホール効果を利用した磁気センサであるホール素子を設置し、このホール素子によって回路の電流に応じて発生した磁界を捉えて電流を検出している。このホール素子では、測定対象の回路に非接触で電流を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、シャント抵抗を用いた電流検出では、検出回路もシャント抵抗を介して測定対象の回路に電気的に接続させる必要があった。しかしながら、高電圧電源の電流検出を行う場合や大電流によるインパルス雑音等に対応して、検出回路の安全性や信頼性を確保するため、このような用途に応じて検出回路を測定対象の回路に電気的に接続せずに電流を検出する方法が要望されている。このため、従来、図7に示すように、高電圧電源1からの回路ECに直接接続する場合、シャント抵抗2の電圧を検出する検出回路3にカレントトランス4を挿入して電気的に分離して電流検出を行っていた。しかしながら、カレントトランス4を挿入することで形状が大きくなると共に部品数が増え、コストの増大とセンサ形状の大型化とを招いてしまう不都合があった。また、ホール素子を用いた電流検出では、高価なホール素子(磁気センサ)を使用するため、やはり高コストになってしまう不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、測定対象の回路に対して検出回路を電気接続せずに電流検出が可能であると共に、低コストで小型化が可能な電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の電流センサは、回路に接続される一対の電極部と一対の前記電極部の一方に接続された第1の導電体と該第1の導電体に接合されていると共に一対の前記電極部の他方に接続され前記第1の導電体よりも抵抗値の高い第2の導電体とで構成された電流熱変換部と、絶縁性フィルム上に互いにp型熱電材料とn型熱電材料とで帯状にパターン形成されていると共に端部で接合されて電気的に直列接続された少なくとも一対の第1の熱電膜及び第2の熱電膜を有するフィルム状熱電変換素子と、を備え、該フィルム状熱電変換素子が、前記第1の導電体上から前記第2の導電体上にわたって前記第1の熱電膜及び前記第2の熱電膜を延在させて前記電流熱変換部上に貼り付けられていることを特徴とする。
【0008】
この電流センサでは、フィルム状熱電変換素子が、第1の導電体上から第2の導電体上にわたって第1の熱電膜及び第2の熱電膜を延在させて電流熱変換部上に貼り付けられているので、電流熱変換部に流れる電流に応じて第1の導電体と第2の導電体との間で温度差が生じると共にフィルム状熱電変換素子に起電力が発生することで、電流を検出することができる。
すなわち、測定対象の回路に接続された電流熱変換部に電流が流れると、第1の導電体よりも抵抗値の高い第2の導電体が第1の導電体よりも高いジュール熱で発熱し、電流に応じて第1の導電体と第2の導電体との間で温度差が生じる。この温度差により、第1の導電体から第2の導電体にわたって設置されたフィルム状熱電変換素子に起電力が生じる。このとき、電流熱変換部で生じるジュール熱による温度差は、通過する電流量に比例するため、上記起電力も電流量に比例することから、この起電力によって電流を検出することができる。特に、フィルム状の熱電変換素子を用いていることから、温度差が生じる部分間の断面積を小さくできるので、温接点から冷接点へ熱が伝わり難く、発熱による温度差が大きくなって検出感度が向上する。
このように、検出回路に接続されるフィルム状熱電変換素子を、測定対象の回路に接続された電流熱変換部に電気接続を行わずに、回路の電流検出が可能である。また、フィルム状熱電変換素子の起電力を測定することで電流を検出できるため、簡易な検出回路で済み、低コストで作製可能である。さらに、フィルム状熱電変換素子が簡易な構成で安価であるため、部材コストも安く、小型化及び薄型化も可能である。
また、プリント基板等の回路基板に実装した電流熱変換部に、フィルム状熱電変換素子を容易に貼り付けて実装することが可能であると共に、フィルム状であるため、熱容量が小さくて応答性も高い。
【0009】
また、本発明の電流センサは、複数対の前記第1の熱電膜及び前記第2の熱電膜が、互いに交互に接続されて折り返され全体として櫛歯状に配設されていることを特徴とする。
すなわち、この電流センサでは、複数対の第1の熱電膜及び第2の熱電膜が、互いに交互に接続されて折り返され全体として櫛歯状に配設されているので、小さいスペースでも折り返し構造によって熱電対部分を多数直列に接続することができ、高い起電力を得ることができる。
【0010】
また、本発明の電流センサは、前記電流熱変換部が、前記第1の導電体と前記第2の導電体との接合方向に長く形成されていることを特徴とする。
すなわち、この電流センサでは、電流熱変換部が、第1の導電体と第2の導電体との接合方向に長く形成されているので、細長い電流熱変換部によって第1の導電体と第2の導電体との間の熱伝導性を低下させて明確に温度差を生じさせることができ、より正確に電流を検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る電流センサによれば、フィルム状熱電変換素子が、第1の導電体上から第2の導電体上にわたって第1の熱電膜及び第2の熱電膜を延在させて電流熱変換部上に貼り付けられているので、電流熱変換部に流れる電流に応じて第1の導電体と第2の導電体との間で温度差が生じると共にフィルム状熱電変換素子に起電力が発生することで、電流を検出することができる。したがって、電流熱変換部に電気接続を行わずに、回路の電流検出が可能であると共に、フィルム状熱電変換素子が安価であり、検出回路も簡単であるため、低コスト化、小型化及び薄型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電流センサの一実施形態において、電流センサを示す平面図である。
【図2】本実施形態において、電流熱変換部を示す平面図である。
【図3】本実施形態において、フィルム状熱電変換素子を示す平面図及び側面図である。
【図4】本実施形態において、測定対象の回路に接続した電流センサの等価回路図である。
【図5】本実施形態において、第1の熱電膜と第2の熱電膜との接合を示す要部の拡大平面図である。
【図6】本実施形態において、フィルム状熱電変換素子の製造方法を工程順に示す要部(図5のA−A線)の断面図である。
【図7】本発明に係る従来例において、測定対象の回路に接続した電流検出回路の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る電流センサの一実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0014】
本実施形態の電流センサ10は、図1から図3に示すように、測定対象の回路ECに接続される一対の電極部12と一対の電極部12の一方に接続された第1の導電体13Aと該第1の導電体13Aに接合されていると共に一対の電極部12の他方に接続され第1の導電体13Aよりも抵抗値の高い第2の導電体13Bとで構成された電流熱変換部14と、下側絶縁性フィルム11A上に互いにp型熱電材料とn型熱電材料とで帯状にパターン形成されていると共に端部で接合されて電気的に直列接続された複数対の第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bを有するフィルム状熱電変換素子17と、を備えている。
【0015】
上記第1の導電体13Aは、銅でブロック状に形成されていると共に、上記第2の導電体13Bは、銅とニッケルとの合金でブロック状に形成されている。すなわち、銅で形成された第1の導電体13Aは、その抵抗値がほぼ0Ωであるのに対して、不純物としてニッケルが添加された第2の導電体13Bは、その抵抗値が約0.1mΩに設定されている。
【0016】
また、ブロック状の第1の導電体13Aと第2の導電体13Bとは、互いに端面で接合されている。すなわち、電流熱変換部14は、ブロック状の第1の導電体13Aと第2の導電体13Bとの接合方向に長くされた直方体形状に形成されている。ここで、上記接合方向は、第1の導電体13Aと第2の導電体13Bとの接合面に対して直交する方向である。なお、一対の電極部12は、電流熱変換部14の両端部に形成されている。
【0017】
上記直列接続された第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bの末端には、一対の電極端部18が接続されている。
また、上記第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bの表面は、上側絶縁性フィルム11Bで覆われている。すなわち、第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bは、図3の(b)に示すように、下側絶縁性フィルム11Aと上側絶縁性フィルム11Bとで挟まれている。
【0018】
下側絶縁性フィルム11Aと上側絶縁性フィルム11Bとは、柔軟性を有する樹脂フィルム等であって、例えばポリイミド製の樹脂フィルムである。
上記フィルム状熱電変換素子17は、第1の導電体13A上から第2の導電体13B上にわたって第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bを延在させて電流熱変換部14上に貼り付けられている。
【0019】
互いに端部で接合される上記第1の熱電膜16Aと第2の熱電膜16Bとは、図5に示すように、一方の熱電膜の端部がL字状に曲がって他方の熱電膜の端部に重なって接合部16aを形成している。
【0020】
すなわち、第1の熱電膜16Aと第2の熱電膜16Bとは、互いに端部の接合部16aで接続されて一対で一つの熱電対部を構成している。また、第1の熱電膜16Aと第2の熱電膜16Bとは、複数が交互に接続されて折り返すことで全体として櫛歯状に配設され、複数の熱電対部が繰り返し直列接続されて構成されている。この第1の熱電膜16Aと第2の熱電膜16Bとによる熱電対部のパターンの繰り返し数(第1の熱電膜16Aと第2の熱電膜16Bとの接続の数)を増やすことによってその感度を向上させることができる。
【0021】
これら第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bは、例えばp型熱電材料及びn型熱電材料の双方がFeSi系熱電材料で形成されている。例えば、FeSi系熱電材料以外には、既知のBi−Te系熱電材料、Mg―Si系熱電材料、Mn−Si系熱電材料、酸化物系熱電材料でもよい。
【0022】
次に、本実施形態の電流センサ10に用いるフィルム状熱電変換素子17の製造方法について、図6を参照して説明する。
【0023】
まず、図6の(a)に示す下側絶縁性フィルム11Aの表面全面に、図6の(b)に示すように、第1の熱電膜16Aとして例えばp型FeSi膜をスパッタリングにより所定の厚さに被着する。さらに、図6の(c)に示すように、この第1の熱電膜16A上に第1フォトレジスト膜21を被着、露光等することにより所定のパターンの第1フォトレジスト膜21を形成する。
【0024】
次に、図6の(d)に示すように、HF+HNO系またはHF+HSO系等のエッチング液で選択的にエッチングして第1フォトレジスト膜21の下地以外の部分の第1の熱電膜16Aを除去する。図6の(e)に示すように、さらに、第1フォトレジスト膜21を除去して第1の熱電膜16Aのパターンを下側絶縁性フィルム11A上に形成する。
【0025】
次に、図6の(f)に示すように、この第1の熱電膜16Aを第2フォトレジスト膜22で覆い、露光、エッチングしてこの第1の熱電膜16A上の一部に所定パターンの第2フォトレジスト膜22を残す。さらに、図6の(g)に示すように、この下側絶縁性フィルム11A、第1の熱電膜16Aおよび第2フォトレジスト膜22の全体を覆うように絶縁層24としてZrO膜を被着する。そして、図6の(h)に示すように、リフトオフ法によりこの第2フォトレジスト膜22を絶縁層24の一部とともに剥離することにより、第1の熱電膜16Aのパターンの一部を露出部16bとして露出させる。
【0026】
次に、図6の(i)に示すように、第1の熱電膜16Aの露出部16b及び絶縁層24の全体を覆うように第2の熱電膜16Bを、スパッタリング等で被着する。さらに、図6の(j)に示すように、この第2の熱電膜16B上に所定パターンの第3フォトレジスト膜23を被着する。そして、図6の(k)に示すように、HF+HNO系等のエッチング液で第3フォトレジスト膜23の下地以外の第2の熱電膜16Bを選択的にエッチングする。さらに、図6の(l)に示すように、第3フォトレジスト膜23を除去する。この結果、第1の熱電膜16Aの一部(露出部16b)と第2の熱電膜16Bの一部とは接合されて接合部16aとなる。
【0027】
次いで、第1の熱電膜16Aと第2の熱電膜16Bとを結晶化させるために高温でアニールを行う。このアニールは、熱起電力を高めるものである。
そして、接続された第1の熱電膜16Aと第2の熱電膜16Bとの末端上に電極端部18を銅やアルミニウム等の金属膜でパターン形成する。
さらに、第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bを挟むようにして上側絶縁性フィルム11Bを下側絶縁性フィルム11A上に密着させて接着することで、フィルム状熱電変換素子17が作製される。
【0028】
このように作製されたフィルム状熱電変換素子17を、電流熱変換部14の第1の導電体13A上から第2の導電体13B上にわたって第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bを延在させて電流熱変換部14上に貼り付けることで、電流センサ10が作製される。
【0029】
この電流センサ10により測定対象の回路ECの電流を検出する場合、図4に示すように、高電圧電源1に接続された回路ECに電流熱変換部14を接続する。すなわち、この電流熱変換部14は、従来のシャント抵抗と同様に測定対象の回路ECに接続される。さらに、この電流熱変換部14に取り付けられたフィルム状熱電変換素子17の一対の電極部12に検出回路43を接続する。なお、図4に示す符号19は、回路EC中の負荷部である。
【0030】
測定対象の回路ECに接続された電流熱変換部14に電流が流れると第1の導電体13Aよりも抵抗値の高い第2の導電体13Bが第1の導電体13Aよりも高いジュール熱で発熱し、電流に応じて第1の導電体13Aと第2の導電体13Bとの間で温度差が生じる。この温度差により、第1の導電体13Aから第2の導電体13Bにわたって設置されたフィルム状熱電変換素子17に起電力が生じる。このとき、電流熱変換部14で生じるジュール熱による温度差は、通過する電流量に比例するため、上記起電力も電流量に比例することから、この起電力によって電流を検出することができる。
【0031】
このように本実施形態の電流センサ10では、フィルム状熱電変換素子17が、第1の導電体13A上から第2の導電体13B上にわたって第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bを延在させて電流熱変換部14上に貼り付けられているので、電流熱変換部14に流れる電流に応じて第1の導電体13Aと第2の導電体13Bとの間で温度差が生じると共にフィルム状熱電変換素子17に起電力が発生することで、電流を検出することができる。特に、フィルム状の熱電変換素子を用いていることから、温度差が生じる部分間の断面積を小さくできるので、温接点から冷接点へ熱が伝わり難く、発熱による温度差が大きくなって検出感度が向上する。
【0032】
したがって、検出回路43に接続されるフィルム状熱電変換素子17を、測定対象の回路ECに接続された電流熱変換部14に電気接続を行わずに、回路ECの電流検出が可能である。また、フィルム状熱電変換素子17の起電力を測定することで電流を検出できるため、簡易な検出回路43で済み、低コストで作製可能である。さらに、フィルム状熱電変換素子17が簡易な構成で安価であるため、部材コストも安く、小型化及び薄型化も可能である。
【0033】
また、プリント基板等の回路基板に実装した電流熱変換部14に、フィルム状熱電変換素子17を容易に貼り付けて実装することが可能であると共に、フィルム状であるため、熱容量が小さくて応答性も高い。
さらに、複数対の第1の熱電膜16A及び第2の熱電膜16Bが、互いに交互に接続されて折り返され全体として櫛歯状に配設されているので、小さいスペースでも折り返し構造によって熱電対部分を多数直列に接続することができ、高い起電力を得ることができる。
【0034】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態では、第1の導電膜及び第2の導電膜が一層形成されているが、第1の導電膜及び第2の導電膜を、絶縁層を介してそれぞれ複数積層しても構わない。すなわち、上記リソグラフィプロセスのうち図6の(f)〜(l)で示す工程を、各層毎に繰り返し、第1の熱電膜と第2の導電体とを交互にパターン形成しつつ接合部を除いて絶縁層を挟むことで、電気的に直列接続された複数の熱電対部を有する層を複数積層する。
【0036】
この場合、第1の導電膜及び第2の導電膜が、絶縁層を介してそれぞれ複数積層されているので、小さいスペースでも多層構造によって熱電対部分を多数直列に接続することができ、さらに高い起電力を得ることができる。特に、絶縁層をZrO膜等の熱伝導性の低い材料で形成することで、より明確な温度差を得ることが可能になる。
【0037】
また、上記実施形態では、ブロック状の電流熱変換部を採用しているが、基板上に膜状の第1の導電体及び第2の導電体をパターン形成した薄板状の電流熱変換部を採用しても構わない。この場合、薄板状の電流熱変換部にフィルム状熱電変換素子を貼り付けるため、さらに薄型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0038】
10…電流センサ、11A…下側絶縁性フィルム(絶縁性フィルム)、11B…上側絶縁性フィルム、12…電極部、13A…第1の導電体、13B…第2の導電体、14…電流熱変換部、15…絶縁膜、16A…第1の熱電膜、16B…第2の熱電膜、17…フィルム状熱電変換素子、EC…測定対象の回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路に接続される一対の電極部と一対の前記電極部の一方に接続された第1の導電体と該第1の導電体に接合されていると共に一対の前記電極部の他方に接続され前記第1の導電体よりも抵抗値の高い第2の導電体とで構成された電流熱変換部と、
絶縁性フィルム上に互いにp型熱電材料とn型熱電材料とで帯状にパターン形成されていると共に端部で接合されて電気的に直列接続された少なくとも一対の第1の熱電膜及び第2の熱電膜を有するフィルム状熱電変換素子と、を備え、
該フィルム状熱電変換素子が、前記第1の導電体上から前記第2の導電体上にわたって前記第1の熱電膜及び前記第2の熱電膜を延在させて前記電流熱変換部上に貼り付けられていることを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の電流センサにおいて、
複数対の前記第1の熱電膜及び前記第2の熱電膜が、互いに交互に接続されて折り返され全体として櫛歯状に配設されていることを特徴とする電流センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電流センサにおいて、
前記電流熱変換部が、前記第1の導電体と前記第2の導電体との接合方向に長く形成されていることを特徴とする電流センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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