説明

電流センサ

【課題】被測定電流路の配置位置精度が低くても、測定精度が高い電流センサを提供することを目的とする。
【解決手段】被測定電流路の回りに発生する磁束を集束する磁気コアと、磁気を検出する磁気センサと、磁気センサが搭載される基板とを備えた電流センサであって、磁気コアが、軟磁性体から構成され、環状で一端と他端に挟まれる第1の隙間を有する第1の磁気コアと、環状で一端と他端に挟まれる第2の隙間を有する第2の磁気コアとを有し、第1の隙間と第2の隙間とが隣り合うように第1の磁気コアと第2の磁気コアとを配置しており、磁気センサが、磁気抵抗素子を有し、第1の隙間と第2の隙間との間に磁気センサを配置して、第1の磁気コアの一端と第2の磁気コアの一端とに磁気センサ又は基板の少なくとも一部が挟まれることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定電流路に流れる電流を検出する電流センサに関し、特に磁気センサによる電流を検出するための電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の制御や監視のために、被測定電流路(電線)に流れる電流を検出する電流センサが良く知られている。この種の電流センサとして、被測定電流路に流れる電流から生じる磁界を感知するコイルやホール素子を用いた磁気センサを用いることが知られている。
【0003】
上記従来技術として、特許文献1では、図11に示すような電流センサ700が提案されている。図11に示す従来例1の電流センサ700は、ほぼ矩形環状に構成され、環状部分の一部にギャップ702か形成されているコア本体701と、コア本体701の貫通孔706を貫通するように配置された導体707を流れる電流に応じて発生する磁界を検出するホールIC(ホール素子)705とから構成されている。電流センサのホールIC705は、ホールIC705の感度軸の方向KD7と磁界の方向MD7とが一致するように、コア本体701のギャップ702内に挟持されるようにして配設されている。
【0004】
しかしながら、従来例1のように感磁素子としてホール素子を用いると、素子の性能上、高精度の検出値を得ることが難しかった。そのため、ホール素子の代わりに磁気抵抗素子を用いることが行われ、磁気抵抗素子を用いた場合、高精度の検出値が得られることが知られている。
【0005】
磁気抵抗素子を用いた電流センサとして、特許文献2では、図12に示すような電流センサ800が提案されている。図12に示す従来例2の電流センサ800は、導体コイル810を流れる電流に応じて発生した磁界を集束する磁界集束手段としてのコア811と、磁界検出手段としての磁気抵抗素子812とを備えて構成されている。コア811は、環状に形成され、コア811の一部に導体コイル810が巻回され、対向する側にギャップ813が設けられており、集束した磁界はギャップ813間で強くなっている。磁気抵抗素子812は、従来例1のホールIC705と比較して、ホールIC705の感度軸の方向KD7と磁気抵抗素子812の感度軸の方向KD8が素子の厚み方向に対して90°違っている。そして、ギャップ813に発生した磁界の方向MD8と磁気抵抗素子812の感度軸の方向KD8とを一致させるためには、狭いギャップ813内に挟持されるように磁気抵抗素子812を配設できないので、図12に示すように、ギャップ813の近傍に配置させている。そして、この磁気抵抗素子812により、導体コイル810に流れる電流変化により生じる磁界変化を精度良く検出できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−14549号公報
【特許文献2】特開平6−130088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例2のような位置に磁気抵抗素子812を配置すると、外部磁場の影響を受けてしまい、測定精度が低下するという問題があった。そこで、従来例2のような磁気コアと磁気抵抗素子の構成を用いて、従来例1のような被測定電流路の電流の測定を行う場合、外部磁場の影響を抑制するために、図13に示すような電流センサ900が考えられる。図13に示す比較例の電流センサ900は、環状の磁気コア901と磁気抵抗素子903とから構成され、被測定電流路910を囲む位置に磁気コア901を配置し、磁気コア901のギャップ901gの近傍に磁気抵抗素子903を配置している。
【0008】
このように構成された電流センサ900の場合、被測定電流路910が環状に形成された磁気コア901の中心に配置されているのが望まれる。しかしながら、必ずしも被測定電流路910を精度良く磁気コア901の中心に配置できる訳ではなく、被測定電流路910の配置位置が少しでもずれると、磁気抵抗素子903が検出する磁界の強さが変わってしまい、電流センサ900の測定精度が低下するという問題があった。また、測定する被測定電流路910には、色々な太さのタイプがあるため、簡単な機構を用いて被測定電流路910の配置位置精度を高めることは困難であった。このため、図13に示すような被測定電流路910の電流の測定を行う電流センサ900の場合、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子903を用いても電流センサ900の高精度化が困難であった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するもので、被測定電流路の配置位置精度が低くても、測定精度が高い電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明の電流センサは、被測定電流路を囲み前記被測定電流路の回りに発生する磁束を集束する磁気コアと、前記被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁気センサと、前記磁気センサが搭載される基板とを備えた電流センサであって、前記磁気コアが、軟磁性体から構成され環状で一端と他端に挟まれる第1の隙間を有する第1の磁気コアと、軟磁性体から構成され環状で一端と他端に挟まれる第2の隙間を有する第2の磁気コアとを有し、前記第1の隙間と前記第2の隙間とが隣り合うように前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コアとを配置しており、前記磁気センサが、磁気抵抗素子を有し、前記第1の隙間と前記第2の隙間との間に前記磁気センサを配置することにより、前記第1の磁気コアの一端と、前記第2の磁気コアの一端とに前記磁気センサ又は前記基板の少なくとも一部が挟まれることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、本発明の電流センサは、第1の磁気コアの第1の隙間と第2の磁気コアの第2の隙間との間に、第1の磁気コアの一端と第2の磁気コアの一端とに磁気センサ又は基板の少なくとも一部が挟まれるように磁気センサを配置したので、磁気センサが2つの磁気コアの間に挟まれるようになる。このため、電流センサの被測定電流路への取り付けの際に、被測定電流路の磁気コアに対する配置位置ずれが生じても、被測定電流路の配置位置ずれによる影響を低減できるとともに、隣接する他の電流路等からの外部磁場の影響を低減することもできる。このことにより、磁気抵抗素子の検出値が安定して得られるので、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子を用いた電流センサの高精度化が図られる。
【0012】
また、本発明の電流センサにおいては、前記第1の隙間と前記第2の隙間とが連なる方向が、前記被測定電流路の軸方向と平行であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、本発明の電流センサは、第1の隙間と第2の隙間とが連なる方向が、被測定電流路の軸方向と平行であるので、第1の磁気コアと第2の磁気コアとを重ね合わせて配置することができる。このことにより、電流センサの径方向のサイズを小さくすることができる。
【0014】
また、本発明の電流センサにおいては、前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コアとが同一形状であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、本発明の電流センサは、第1の磁気コアと第2の磁気コアとが同一形状であるので、第1の磁気コアと第2の磁気コアとを違う形状に作製する場合と比較して、電流センサの製造コストを低減することができる。しかも第1の磁気コアと第2の磁気コアとを重ね合わせて配置することもでき、電流センサの径方向のサイズを小さくすることもできる。
【0016】
また、本発明の電流センサにおいては、前記第1の磁気コアの内形より前記第2の磁気コアの外形が小さく、前記第1の磁気コアの内形内に前記第2の磁気コアを配置し、前記第1の隙間と前記第2の隙間とが連なる方向が、前記被測定電流路の軸方向と垂直であることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、本発明の電流センサは、第1の磁気コアの内形より第2の磁気コアの外形が小さく、第1の磁気コアの内形内に第2の磁気コアを配置したので、第1の磁気コアと第2の磁気コアとを並べて配置することができる。このことにより、電流センサの厚み方向のサイズを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部磁場の影響が低減され、しかも被測定電流路の配置位置精度が低くても、測定精度が高い電流センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態の電流センサを説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の電流センサを説明する図であって、図2(a)は、図1に示すY2側から見た正面図であり、図2(b)は、図1に示すZ1側から見た平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の電流センサを説明する図であって、図3(a)は、図2(a)に示すP部分の拡大図であり、図3(b)は、図2(b)に示すQ部分の拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態の電流センサを説明する斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態の電流センサを説明する図であって、図5(a)は、図4に示すY2側から見た正面図であり、図5(b)は、図4に示すZ1側から見た平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の電流センサを説明する図であって、図6(a)は、図5(a)に示すR部分の拡大図であり、図6(b)は、図5(b)に示すS部分の拡大図である。
【図7】本発明の第1実施形態の電流センサの変形例を説明する図であって、図7(a)は、図2(a)と比較した変形例1の正面図であり、図7(b)は、図2(b)と比較した変形例2の平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の電流センサの変形例を説明する図であって、図3(a)と比較した変形例3の正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の電流センサの変形例を説明する図であって、図9(a)は、図5(a)と比較した変形例4の正面図であり、図9(b)は、図6(a)と比較した変形例5の正面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の電流センサの変形例を説明する図であって、図10(a)は、図5(b)と比較した変形例6の平面図であり、図10(b)は、図5(b)と比較した変形例7の平面図である。
【図11】従来例1における電流センサのコア本体及びホールICを説明する斜視図である。
【図12】従来例2における電流センサを説明する全体斜視図である。
【図13】比較例における電流センサを説明する図であって、被測定電流路の軸方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する図であって、図2(a)は、図1に示すY2側から見た正面図であり、図2(b)は、図1に示すZ1側から見た平面図である。図3は、本発明の第1実施形態の電流センサ101を説明する図であって、図3(a)は、図2(a)に示すP部分の拡大図であり、図3(b)は、図2(b)に示すQ部分の拡大図である。
【0022】
本発明の第1実施形態の電流センサ101は、図1及び図2に示すように、磁束を集束する磁気コア1と、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁気センサ3とを備えて構成される。
【0023】
磁気コア1は、軟磁性体、例えばパーマロイ(Fe−Ni合金)を用い、図1及び図2に示すように、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを有して構成されている。そして、被測定電流路CBを囲むように第1の磁気コア11と第2の磁気コア21が配置され、被測定電流路CBの回りに発生する磁束を集束している。なお、磁気コア1にパーマロイ(Fe−Ni合金)を用いたが、軟磁性材料であれば良く、他の鉄系材料であるセンダスト(Fe−Si−Al合金)や非鉄系のアモルファス磁性合金等でも良い。
【0024】
図1及び図2に示すように、第1の磁気コア11は、ほぼ矩形の環状に形成され、環状の一部分に一端と他端に挟まれる第1の隙間11gを有している。また、第2の磁気コア21も同様に、ほぼ矩形の環状に形成され、環状の一部分に一端と他端に挟まれる第2の隙間21gを有している。また、本発明の第1実施形態の電流センサ101は、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを同一形状にしている。このことにより、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを違う形状に作製する場合と比較して、電流センサ101の製造コストを低減することができる。
【0025】
また、図1ないし図3に示すように、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを第1の隙間11gと第2の隙間21gとが隣り合うように配置している。さらに、本発明の第1実施形態の電流センサ101が被測定電流路CBに取り付けられ、被測定電流路CBが磁気コア1(第1の磁気コア11及び第2の磁気コア21)の中心に配置された際、第1の隙間11gと第2の隙間21gとが連なる方向TD1と、被測定電流路CBの軸方向JDとが平行になるように構成されている。このことにより、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを重ね合わせて配置することができるので、電流センサ101の径方向のサイズを小さくすることができる。なお、本発明の第1実施形態の電流センサ101の被測定電流路CBへの取り付けは、図示はしていないが、電流センサ101を収容する筐体及び取付け機構によって行われる。
【0026】
磁気センサ3は、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を検出する電流のセンサであって、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用いている。GMR素子は、例えば、反強磁性層がα−Fe層、ピン層がNiFe層、中間層がCu層、フリー層がNiFe層から形成されている。そして、この磁気センサ3は、GMR素子をシリコン基板上に作製し、切り出されたGMRチップを熱硬化性の合成樹脂でパッケージングしている。
【0027】
また、磁気センサ3は、図1ないし図3に示すように、プリント配線板(PCB(Printed Circuit Board))等の基板9に搭載され、第1の隙間11gと第2の隙間21gとの間に挟まれて配置されている。つまり、磁気センサ3は、図3(a)に示すように、第1の隙間11gの両端11s(言い換えると、第1の磁気コア11の一端と他端)と磁気センサ3が対向するとともに、第2の隙間21gの両端21s(言い換えると、第2の磁気コア21の一端と他端)と磁気センサ3が基板9を間に挟んで対向するように配置されている。このように配置された磁気抵抗素子は、基板9に対して平行な方向に感度軸(磁気を感知する軸)の方向KD1を有しているので、感度軸(磁気を感知する軸)の方向KD1と、第1の隙間11gと第2の隙間21gとが連なる方向TD1とが、垂直になっている。また、被測定電流路CBに電流が流れて発生した磁束が磁気コア1で集束された際に、第1の隙間11g及び第2の隙間21gの磁界の方向MD1と、感度軸の方向KD1とが、平行になっている。
【0028】
このようにして構成された本発明の第1実施形態の電流センサ101は、第1の磁気コア11の第1の隙間11gと第2の磁気コア21の第2の隙間21gとの間に、磁気センサ3を、第1の隙間11gの両端11sと第2の隙間21gの両端21sとに磁気センサ3が隣り合うように配置したので、磁気センサ3が2つの磁気コア1(第1の磁気コア11と第2の磁気コア21)の間に挟まれるようになる。このため、電流センサ101の被測定電流路CBへの取り付けの際に、被測定電流路CBの磁気コア1に対する配置位置ずれが生じても、被測定電流路CBの配置位置ずれによる影響を低減できるとともに、隣接する他の電流路等からの外部磁場の影響を低減することもできる。このことにより、磁気抵抗素子の検出値が安定して得られるので、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子を用いた電流センサ101の高精度化が図られる。したがって、外部磁場の影響が低減され、しかも被測定電流路CBの配置位置精度が低くても、測定精度が高い電流センサ101を提供することができる。
【0029】
また、第1の隙間11gと第2の隙間21gとが連なる方向TD1が、被測定電流路CBの軸方向JDと平行であるので、第1の隙間11gの両端11sと第2の隙間21gの両端21sとに隣り合う位置に配置された磁気センサ3の感度軸の方向KD1と被測定電流路CBに電流が流れて発生した磁界の方向MD1とが、平行になる。このため、平行でない場合と比較して、磁気センサ3が検出する磁気がより強いものとなっている。このことにより、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子を用いた電流センサ101の高精度化がより図られる。
【0030】
また、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とが同一形状で、しかも第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを第1の隙間11gと第2の隙間21gとが隣り合うように配置したので、第1の磁気コア11の第1の隙間11gと第2の磁気コア21の第2の隙間21gとの間の磁界が均等になっている。このことにより、第1の隙間11gと第2の隙間21gとに隣り合う位置に配置された磁気センサ3が安定して磁気を検出するので、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子を用いた電流センサ101の高精度化がより一層図られる。
【0031】
以上により、本発明の電流センサ101は、第1の磁気コア11の第1の隙間11gと第2の磁気コア21の第2の隙間21gとの間に、磁気センサ3を、第1の隙間11gの両端11sと第2の隙間21gの両端21sとに磁気センサ3が隣り合うように配置したので、磁気センサ3が2つの磁気コア1(第1の磁気コア11と第2の磁気コア21)の間に挟まれるようになる。このため、電流センサ101の被測定電流路CBへの取り付けの際に、被測定電流路CBの磁気コア1に対する配置位置ずれが生じても、被測定電流路CBの配置位置ずれによる影響を低減できるとともに、隣接する他の電流路等からの外部磁場の影響を低減することもできる。このことにより、磁気抵抗素子の検出値が安定して得られるので、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子を用いた電流センサ101の高精度化が図られる。
【0032】
また、第1の隙間11gと第2の隙間21gとが連なる方向TD1が、被測定電流路CBの軸方向JDと平行であるので、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21を重ね合わせて配置することができる。このことにより、電流センサ101の径方向のサイズを小さくすることができる。
【0033】
また、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とが同一形状であるので、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを違う形状に作製する場合と比較して、電流センサ101の製造コストを低減することができる。しかも第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを重ね合わせて配置することもでき、電流センサ101の径方向のサイズを小さくすることもできる。
【0034】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する斜視図である。図5は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する図であって、図5(a)は、図4に示すY2側から見た正面図であり、図5(b)は、図4に示すZ1側から見た平面図である。図6は、本発明の第2実施形態の電流センサ102を説明する図であって、図6(a)は、図5(a)に示すR部分の拡大図であり、図6(b)は、図5(b)に示すS部分の拡大図である。
【0035】
本発明の第2実施形態の電流センサ102は、図4及び図5に示すように、磁束を集束する磁気コア5と、被測定電流路CBに電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁気センサ3とを備えて構成される。
【0036】
磁気コア5は、図4及び図5に示すように、第1の磁気コア15と第2の磁気コア25とを有して構成されており、被測定電流路CBを囲むように第1の磁気コア15と第2の磁気コア25が配置され、被測定電流路CBの回りに発生する磁束を集束している。また、磁気コア5は、粉末状の軟磁性体、例えばパーマロイ(Fe−Ni合金)粉体を用い、このパーマロイ(Fe−Ni合金)粉体を合成樹脂に練り込んで、成形型を用いて射出成形することにより形成している。なお、磁気コア5にパーマロイ(Fe−Ni合金)材料を用いたが、軟磁性材料であれば良く、他の鉄系材料であるセンダスト(Fe−Si−Al合金)や非鉄系のアモルファス磁性合金等でも良い。
【0037】
図4及び図5に示すように、第1の磁気コア15は、ほぼ矩形の環状に形成され、環状の一部分に第1の隙間15gを有している。また、第2の磁気コア25も同様に、ほぼ矩形の環状に形成され、第2の隙間25gを有している。また、本発明の第2実施形態の電流センサ102は、第1の磁気コア15の内形より第2の磁気コア25の外形が小さく形成され、第1の磁気コアの内形内に第2の磁気コア25を配置している。このことにより、第1の磁気コア15と第2の磁気コア25とを並べて配置することができるので、電流センサ102の厚み方向のサイズを小さくすることができる。
【0038】
また、図4ないし図6に示すように、本発明の第2実施形態の電流センサ102は、第1の磁気コア15と第2の磁気コア25とを、第1の隙間15gと第2の隙間25gとが隣り合うように配置している。さらに、本発明の第2実施形態の電流センサ102が被測定電流路CBに取り付けられ、被測定電流路CBが磁気コア5(第1の磁気コア15及び第2の磁気コア25)の中心に配置された際、第1の隙間15gと第2の隙間25gとが連なる方向TD2と、被測定電流路CBの軸方向JDとが垂直になるように構成されている。なお、本発明の第2実施形態の電流センサ102の被測定電流路CBへの取り付けは、図示はしていないが、電流センサ102を収容する筐体及び取付け機構によって行われる。
【0039】
磁気センサ3は、図4ないし図6に示すように、プリント配線板(PCB(Printed Circuit Board))等の基板9に搭載され、第1の隙間15gと第2の隙間25gとの間に挟まれて配置されている。つまり、磁気センサ3は、図6(b)に示すように、第1の隙間15gの両端15s(言い換えると、第1の磁気コア15の一端と他端)と磁気センサ3が対向するとともに、第2の隙間25gの両端25s(言い換えると、第2の磁気コア25の一端と他端)と磁気センサ3が基板9を間に挟んで対向するように配置されている。このように配置された磁気抵抗素子は、基板9に対して平行な方向に感度軸(磁気を感知する軸)の方向KD2を有しているので、感度軸(磁気を感知する軸)の方向KD2と、第1の隙間15gと第2の隙間25gとが連なる方向TD2とが、垂直になっている。また、被測定電流路CBに電流が流れて発生した磁束が磁気コア5で集束された際に、第1の隙間15g及び第2の隙間25gの磁界の方向MD2と、感度軸の方向KD2とが、平行になっている。
【0040】
このようにして構成された本発明の第2実施形態の電流センサ102は、第1の磁気コア15の第1の隙間15gと第2の磁気コア25の第2の隙間25gとの間に、磁気センサ3を、第1の隙間15gの両端15sと第2の隙間25gの両端25sとに磁気センサ3が隣り合うように配置したので、磁気センサ3が2つの磁気コア5(第1の磁気コア15と第2の磁気コア25)の間に挟まれるようになる。このため、電流センサ102の被測定電流路CBへの取り付けの際に、被測定電流路CBの磁気コア5に対する配置位置ずれが生じても、磁気センサ3と被測定電流路CBとの間に配置された第2の磁気コア25により、被測定電流路CBの配置位置ずれによる影響を低減できる。また、磁気センサ3の外側に配置された第1の磁気コア15により、隣接する他の電流路等からの外部磁場の影響を低減することができる。このことにより、磁気抵抗素子の検出値が安定して得られるので、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子を用いた電流センサ102の高精度化が図られる。したがって、外部磁場の影響が低減され、しかも被測定電流路CBの配置位置精度が低くても、測定精度が高い電流センサ102を提供することができる。
【0041】
以上により、本発明の電流センサ102は、第1の磁気コア15の第1の隙間15gと第2の磁気コア25の第2の隙間25gとの間に、磁気センサ3を、第1の隙間15gの両端15sと第2の隙間25gの両端25sとに磁気センサ3が隣り合うように配置したので、磁気センサ3が2つの磁気コア5(第1の磁気コア15と第2の磁気コア25)の間に挟まれるようになる。このため、電流センサ102の被測定電流路CBへの取り付けの際に、被測定電流路CBの磁気コア5に対する配置位置ずれが生じても、磁気センサ3と被測定電流路CBとの間に配置された第2の磁気コア25により、被測定電流路CBの配置位置ずれによる影響を低減できる。また、磁気センサ3の外側に配置された第1の磁気コア15により、隣接する他の電流路等からの外部磁場の影響を低減することができる。このことにより、磁気抵抗素子の検出値が安定して得られるので、高精度の検出値が得られる磁気抵抗素子を用いた電流センサ102の高精度化が図られる。
【0042】
また、第1の磁気コア15の内形より第2の磁気コア25の外形が小さく、第1の磁気コア15の内形内に第2の磁気コア25を配置したので、第1の磁気コア15と第2の磁気コア25とを並べて配置することができる。このことにより、電流センサ102の厚み方向のサイズを小さくすることができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0044】
図7は、本発明の第1実施形態の電流センサ101の変形例を説明する図であって、図7(a)は、図2(a)と比較した変形例1の正面図であり、図7(b)は、図2(b)と比較した変形例2の平面図である。図8は、本発明の第1実施形態の電流センサ101の変形例を説明する図であって、図3(a)と比較した変形例3の正面図である。図9は、本発明の第2実施形態の電流センサ102の変形例を説明する図であって、図9(a)は、図5(a)と比較した変形例4の正面図であり、図9(b)は、図6(a)と比較した変形例5の正面図である。図10は、本発明の第2実施形態の電流センサ102の変形例を説明する図であって、図10(a)は、図5(b)と比較した変形例6の平面図であり、図10(b)は、図5(b)と比較した変形例7の平面図である。
【0045】
<変形例1>
上記第1実施形態では、磁気センサ3が、第1の隙間11gの両端11sと第2の隙間21gの両端21sの両方とに挟まれるように構成したが、図7(a)に示すように、磁気センサC13が、第1の磁気コアC11の一端(第1の隙間C11gの両端C11sのいずれか)と第2の磁気コアC21の一端(第2の隙間C21gの両端C21sのいずれか)とに、少なくとも一部が挟まれるように構成しても良い。
【0046】
<変形例2>
上記第1実施形態では、第1の磁気コア11と第2の磁気コア21とを同一形状にして好適に構成にしたが、図7(b)に示すように、第1の磁気コア11と第2の磁気コアC22とが違う形状であっても良い。
【0047】
<変形例3>
上記第1実施形態では、磁気センサ3が、第1の隙間11gの両端11sと第2の隙間21gの両端21sの両方とに挟まれるように構成したが、図8に示すように、磁気センサC33が、第1の隙間11g或いは第2の隙間21gより小さい幅の場合は、基板C39の少なくとも一部が、第1の隙間11gの両端11s(言い換えると、第1の磁気コア11の一端と他端)と第2の隙間21gの両端21s(言い換えると、第2の磁気コア21の一端と他端)とに対向するように構成される。
【0048】
<変形例4>
上記第2実施形態では、磁気センサ3を第1の磁気コア15及び第2の磁気コア25の厚み内に収まるように、好適に構成したが、図9(a)に示すように、磁気センサ3が第1の磁気コアC15及び第2の磁気コアC25の厚みより大きくなるように構成しても良い。
【0049】
<変形例5>
上記第2実施形態では、磁気センサ3が第1の隙間15gの両端15sと第2の隙間25gの両端25sの両方とに挟まれるように構成したが、図9(b)に示すように、磁気センサC53が第1の隙間15g或いは第2の隙間25gより小さい幅の場合は、基板C59の少なくとも一部が、第1の隙間15gの両端15s(言い換えると、第1の磁気コア15の一端と他端)と第2の隙間25gの両端25s(言い換えると、第2の磁気コア25の一端と他端)とに対向するように構成される。
【0050】
<変形例6>
上記第2実施形態では、第1の磁気コア15及び第2の磁気コア25をほぼ矩形の環状に形成して構成したが、図10(a)に示すように、第1の磁気コアC35及び第2の磁気コアC45をほぼ円形の環状に形成して構成しても良い。
【0051】
<変形例7>
上記第2実施形態では、磁気センサ3を第1の隙間15gと対向させ、第2の隙間25gと基板9を間に挟んで対向するように配置して構成したが、図10(b)に示すように、磁気センサ3を第2の隙間25gと対向させ、第1の隙間15gと基板9を間に挟んで対向するように配置して構成しても良い。
【0052】
<変形例8>
上記実施形態では、磁気センサ3が、磁気抵抗素子として、巨大磁気抵抗効果を用いたGMR素子を好適に用いたが、同じ磁気の方向を検知できる感度軸の方向を有する磁気抵抗素子であれば良く、MR(Magneto Resistive)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)素子、TMR(Tunnel Magneto Resistive)素子であっても良い。
【0053】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1、5 磁気コア
11、15、C11、C15、C35 第1の磁気コア
11g、15g、C11g 第1の隙間
21、25、C21、C22、C25、C45 第2の磁気コア
21g、25g、C21g 第2の隙間
11s、15s、21s、25s、C11s、C21s 両端
3、C13、C33、C53 磁気センサ
9、C39、C59 基板
CB 被測定電流路
TD1、TD2 連なる方向
JD 軸方向
101、102 電流センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電流路を囲み前記被測定電流路の回りに発生する磁束を集束する磁気コアと、前記被測定電流路に電流が流れたときに発生する磁気を検出する磁気センサと、前記磁気センサが搭載される基板とを備えた電流センサであって、
前記磁気コアは、軟磁性体から構成され環状で一端と他端に挟まれる第1の隙間を有する第1の磁気コアと、軟磁性体から構成され環状で一端と他端に挟まれる第2の隙間を有する第2の磁気コアとを有し、
前記第1の隙間と前記第2の隙間とが隣り合うように前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コアとを配置しており、
前記磁気センサは、磁気抵抗素子を有し、
前記第1の隙間と前記第2の隙間との間に前記磁気センサを配置することにより、前記第1の磁気コアの一端と、前記第2の磁気コアの一端とに前記磁気センサ又は前記基板の少なくとも一部が挟まれることを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記第1の隙間と前記第2の隙間とが連なる方向が、前記被測定電流路の軸方向と平行であること特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記第1の磁気コアと前記第2の磁気コアとが同一形状であることを特徴とする請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記第1の磁気コアの内形より前記第2の磁気コアの外形が小さく、前記第1の磁気コアの内形内に前記第2の磁気コアを配置し、
前記第1の隙間と前記第2の隙間とが連なる方向が、前記被測定電流路の軸方向と垂直であること特徴とする請求項1に記載の電流センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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