説明

電流及び電力測定装置

【課題】電流波形精度の良い電流測定ができることに加え、電流波形を考慮した有効電力の測定ができる測定装置を提供する。
【解決手段】電流センサ1で検出された電流は、A/D変換器2によりデジタル信号に変換されてデータ取得レジスタ3にサンプル信号発生回路7からのサンプル信号により取り込まれる。レジスタ3に取り込まれたデータは、マイクロプロセッサ4に取り込まれて処理される。Vクロスタイミング検出回路5には、AC電源が入力され、AC電圧が基準電圧とクロスするタイミングを検出する。発信器6は、AC電源の周波数に対しステップダウンした値が共役数を持たないか、素数および素数の倍数の周波数を発生し、サンプル信号発生回路7はサンプル信号と電圧が負から正に変わるゼロクロスタイミング信号を送出する。マイクロプロセッサ4は高精度な実効電流を算出し、サンプル回数と位相角の関係を、活用して精確な有効電力と力率の算出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数十以上の多量に設置されたAC電流センサが検出して送ってくるダイナミックに変動するAC電流を、センサ毎に電流値を測定し、更に電流値と電圧との位相ズレを精度良く反映することにより、力率を考慮した精度の良い電力の計算を実現する電流及び電力測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、総電流(電力)測定で良かったが、地球温暖化対策として最近では、電力消費状況を詳細に把握する必要が生じてきた。今まで、数十個以上のAC電流センサが検出して送ってくるダイナミックに変動するAC電流を同時に処理して測定することは、非常に困難であり、その測定装置は高価なものになっていた。従来は、負荷電流が電圧に比例した正弦波電流であったが、近年、IT機器の電源方式は、必ずしも正弦波電流ではなくなって来ている。
【0003】
この様な波形の負荷電流のダイナミックに変動するAC電流に対し、複数の電流センサに対し計測する電流検出装置がある(特許文献1参照)。
この電流検出装置は、被測定で電源の周波数を検出し、その周波数に同期して細かくサンプルする方式である。しかし、この装置は、センサを選びながら演算及び判断処理を行うため、最初のセンサが選ばれたタイミングと最後に選ばれたセンサのタイミングがずれる問題がある。
【0004】
そのため、電圧と電流の位相差を検出できない欠点がある。同様に、多量なセンサに対し波形を認識し、低い周波数でサンプルして精度を高めた方式の電流測定装置がある(本願出願人による特願2007−271271)。
この出願の電流測定装置は、電流値測定は精確であるが、電力についてはセンサ毎の電圧と電流の位相差が分らないため、力率を「1」とした電力しか判明できない問題がある。
【特許文献1】特開平11−304852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した両特許文献では、ダイナミックに変動する正弦波電流とは限らない、負荷電流を正しく計測できなかった。また、正弦波電流とは限らない歪んだ電流波形に対応した電圧との積として有効電力を計測することができない問題点がある。この他、電流及び有効電力の測定が、比較的簡単な構成で、低コストで行うことが要望されている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、多量なセンサに対し、正弦波電流とは限らないダイナミックに変動する電流変化に対し、電流波形を認識し精度の良い電流測定ができることに加え、電圧に対し歪みのある電流波形を考慮した有効電力の測定ができる電流及び電力測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、請求項1に係る発明は、AC電源を入力しAC電圧が基準電圧をクロスするタイミングを検出するVクロスタイミング検出部と、AC電源の周波数に比較して十分高い周波数で、AC電源の周波数に対しステップダウンした値が共役数を持たないか、素数および素数の倍数の周波数を発生する発信部と、該発信部の信号とVクロスタイミング検出部の信号を入力し、発信部の信号でカウンタを働かせN倍にステップダウンした時間間隔でサンプル信号と電圧が負から正に変わるゼロクロスタイミング信号を送出するサンプル信号発生部と、1個又は複数のAC電流センサと、これらに対応して設けられた複数個のA/D変換部と、これらA/D変換部に対応して設けられ、前記A/D変換部の出力を、前記サンプル信号発生部からのサンプルタイミング信号で取り込むデータ取得レジスタと、該データ取得レジスタを選択し、データ取得レジスタの内容を取り込み、測定電流の周期に対し、共役数を持たないサンプル周期を用いて高精度な実効電流を算出し、該周期のサンプル回数と位相角の関係を活用して精確な有効電力と力率の算出を行うマイクロプロセッサとを具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多数の電流センサ(50センサ以上)に対して、1台の装置で、正弦波電流とは限らない電流計測を正確にでき、しかも低価格で装置を構成できる利点がある。
【0009】
また、上位装置からの任意の問い合わせ期間(時間)に対し、その間の各センサのピーク電流値、実効電流値及び有効電力を上位装置に報知することができる。
【0010】
さらに、上位装置からの任意の問い合わせ期間(時間)に対し、その間の各センサの電圧と電流の位相ズレによる力率の値を上位装置に報知することができる。
この他、上記装置からの問い合わせに対し、直前の1サイクル分の電流波形データを上位装置に報知することができるとともに、海外対応として上位装置から指定した商用電源の周波数に対して、上記のようなことを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態を示すブロック構成図で、図1において、1〜nは、図示しない複数の被測定電流線路に設けられた例えば変流器からなるAC電流センサで、これらAC電流センサ1〜1nで検出された電流は、A/D変換器2〜2nによりデジタル信号に変換されてデータ取得レジスタ3〜3nに、後述するサンプル信号発生回路からのサンプルタイミング信号により取り込まれる。データ取得レジスタ3〜3nに取り込まれたデータは、マイクロプロセッサ4に取り込まれ、後述のように処理される。
【0012】
5はVクロスタイミング検出回路で、このVクロスタイミング検出回路5は、AC電源が入力され、AC電圧が基準電圧とクロスするタイミングを検出する。6は発信器で、この発信器6は、AC電源の周波数に比べて十分高い周波数(約千倍以上)でAC電源の周波数に対しステップダウンした値が共役数を持たないか、素数および素数の倍数の周波数を発生するものである。
【0013】
この発信器6からの信号と前記Vクロスタイミング検出回路5からの信号は、サンプル信号発生回路7に入力される。すると、サンプル信号発生回路7は、発信器6からの信号でカウンタ(図示省略)を働かせN倍にステップダウンした時間間隔でサンプル信号と電圧が負から正に変わるゼロクロスタイミング信号を送出する。
【0014】
このゼロクロスタイミング信号、サンプルタイミング信号およびVクロスタイミング検出回路5からVクロスタイミング信号は、マイクロプロセッサ4に与えられる。すると、マイクロプロセッサ4は、測定電流の周期に対し、共役数を持たないサンプル周期を用いて高精度な実効電流を算出し、該周期のサンプル回数と位相角の関係を、活用して精確な有効電力と力率の算出を行う。
【0015】
上記のように構成された本発明の実施の形態において、サンプル周波数に素数を選び1秒間に素数回数サンプルすることにより、その素数と商用AC電源周波数の積でサンプルしたことと同様になることを利用する。
【0016】
従って、素数として「359」を選び1秒間に359回サンプルすると,商用ACの電流波形の1サイクルの波形を1/359の等間隔でサンプル波形を入手することができる。もし、一般的に1サイクルを1/359等分した分解能でデータを取るためには、50HZであれば、359×50=17959HZ=17.95KHZでサンプルする必要がある。たとえ359回より多い500回サンプルしたとしても共役数が「50」であるため、波形を1/10等分した荒い波形となる。
【0017】
一方シャノンのサンプル定理によれば、ダイナミックに変わるAC電流の変化速度に対してその倍の周波数でサンプルすれば、波形が再現できる。50HZまたは60HZの商用電源に対し、電流が1サイクル毎に変化しても毎秒100回又は120回以上でサンプルすればよいため、毎秒359回は十分なサンプル回数と言える。
【0018】
最近のIT機器は、正弦波の電圧に対し電圧の高い部分のみで電流を扱うことが多いため、電流波形が正弦波の波形をしていない。このため、位相ズレ量と2つの正弦波の積として有効電力を算出することができない。有効電力を精確に算出するためには、波形を細分化して同じタイミングの電圧値と電流値を掛けた値の積算を行う必要がある。
【0019】
上記の説明で1サイクルを359等分に細分化できると記述したが、細分化の順番が360度/359ずつ増えるのではなく、360度/359の倍数の離散的な順である。しかし、1秒経過し359回のサンプルを行うと、359等分されたタイミングで電流のデータが取れる。
【0020】
一方、サンプル回数と角度の関係は計算式で求められるため、その角度に対応する電圧を掛け算することによって、電流波形に対応した有効電力が求められる。この有効電力を実効電流とピーク電圧/√2の積で割ることにより、歪波形に対しても力率が算出できる。
【0021】
以下、上述の実施の形態を、コンピュータを用いたプログラムで実現した実施例について図1と以下に示す表1〜表3を参照して述べる。表1はプログラムシーケンス制御及びセンサに共通なソフト処理におけるカウンタ、レジスタ、インジケータと変換テーブルである。又、表2は各センサに対応するレジスタ及びメモリであり、表3はコマンドに対応するカウンタである。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
表1の波形格納メモリアドレス変換テーブル(s5)は、1サイクルの波形を1/359のピッチで描く場合、0度から360度/359ずつ角度が進む順に測定データを並び替えるものである。
【0026】
50HZに対しては、F(n)=An*50*360/359の演算をA1(1回目のサンプル)からA359(359回目のサンプル)に対して行い、そのF(An)の値を360でモジュロ計算(MOD(F(An),360))しての結果を角度の降順に並べてサンプル回数と位相角変換テーブル(s10)及びメモリアドレスの変換テーブルをつくる。
【0027】
60HZに対しては、F(An)=An*60*360/359の演算を用いる。
以上の計算で、例えばサンプル回数16回目までの位相角変換テーブル(s10)と波形格納メモリアドレスの変換テーブル(s5)は次の表4及び表4に連続する表5のようになる。
【0028】
【表4】

【0029】
【表5】

【0030】
電圧変換テーブル(s7)は、当該サンプル回数の電流に対応する電圧を求める為のものである。本テーブル(s7)では、電圧の最大値を「1」としている。従って、実際の電圧を求める場合は、ピーク電圧レジスタ(s8)の値を乗じて算出する。
【0031】
電圧変換テーブル(s7)は、50HZと60HZに対しそれぞれA相、B相、C相用がある。
50HZのA相に対しては、F(An)=An*50*2π/359の演算をA1(1回目のサンプル)からA359(359回目のサンプル)に対し行い、そのF(An)の値を2πの値でモジュロ計算(MOD(F(An),2π))しての結果のSINの値(SIN(MOD(F(An),2π)))を算出し、サンプル回数に対応するSINの値をテーブルにしたものである。
【0032】
50HZのB相に対しては、F(An)=An*50*2π/359−2π/3
50HZのC相に対しては、F(An)=An*50*2π/359−4π/3
そして、60HZに対しては、F(An)=An*60*2π/359の演算を用いる。
表2のメモリとあるのは、該メモリのアドレスに対応してデータ保持ができる。
表3のカウンタは、カウンタの機能としてレジスタを使う。
【0033】
図1において、50HZの商用電源でAC電流センサ数を50個、サンプル周波数を359HZの場合で以下説明する。
【0034】
サンプル信号発生回路7より送出されるゼロクロスタイミング信号は、マイクロプロセッサ4から指示を出した、直近のAC入力電源の負から正の電圧に変わる時のゼロクロス時に生じる。サンプリングタイミング信号は、ゼロクロスタイミングから1/359秒間隔で発生する。これは50HZ及び60HZに対しても同じである。以下、図1と表1〜表3及び図2に示す全体のフロー図を参照して処理動作について述べる。
【0035】
(a).ゼロクロスタイミング信号を検出すると共通に使われるサンプル回数カウンタ(s1)、センサアドレスレジスタ(s2)をクリアする。
【0036】
(b).サンプルタイミング信号を待ち検出するとサンプル回数カウンタ(s1)を1インクリメントする。
【0037】
(c).センサアドレスレジスタ(s2)の内容が示すアドレスのデータ取得レジスタ3からデータを読み込むデータレジスタ(s3)に保持する。
【0038】
(d).カレント波形格納メモリインジケータ(s4)をチェックし、カレント側の波形格納メモリ(t1)の中でセンサアドレスレジスタ(s2)の内容が示すアドレスに対応する波形格納メモリ(t1)エリアを選ぶ。
【0039】
(e).波形格納メモリアドレス変換テーブル(s5)を用いて、サンプル回数カウンタ(s1)の内容に対応する変換値を求め、上記で選ばれた波形格納メモリ(t1)エリアに前記変換値をメモリアドレスとして、上記データレジスタ(s3)の内容を書き込む。
【0040】
(f).センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応するピーク値レジスタ(t2)のデータを読み出しその値と上記データレジスタ(s3)の内容を比較する。
【0041】
(g).データレジスタ(s3)の内容が小さい場合は次に進む。もし、データレジスタ(s3)の内容が大きい場合は、上記ピーク値レジスタ(t2)にデータレジスタ(s3)の内容を書き込み、センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応するピーク時位相角レジスタ(t3)にサンプル回数カウンタ(s1)の内容であるサンプル回数に対応する位相角を位相角変換テーブル(s10)で変換してその値を書き込む。
【0042】
(h).センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する電流自乗累積レジスタ(t4)から読み出した内容に、上記データレジスタ(s3)の内容を自乗した値を加算して前記電流自乗累積レジスタ(t4)に書き込む。
【0043】
(i).センサアドレスレジスタ(s2)の内容で、センサ位相グループ管理テーブル(s6)からA,B,Cと位相グループ毎にあるどの電圧変換テーブル(s7)を使うかを決定する。
【0044】
(j).センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する有効電力累積レジスタ(t5)から読み出した値に、上記データレジスタ(s3)の値と前記電圧変換テーブル(s7)のサンプル回数カウンタ(t1)の内容に対応するアドレスの値の積を加算して有効電力累積レジスタ(t5)に書き込む。
【0045】
(k).センサアドレスレジスタ(s2)の内容が「49」(センサの最大数)かチェックし、「49」でなければ、センサアドレスレジスタ(s2)の内容を1インクリメントして上記(c)の処理に戻る。「49」であれば、センサアドレスレジスタ(s2)の内容をクリアして、次のステップに行く。
【0046】
(l).サンプル回数カウンタ(s1)の内容が「359」かチェックし、「359」であれば、サンプル回数カウンタ(s1)の内容をクリアして次に進む。「359」でなければ、前記(b)に処理が戻る。
【0047】
(m).センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する1秒間ピーク値レジスタ(t6)の内容を読み出し、センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応するピーク値レジスタ(t2)の内容と比較しピーク値レジスタ(t2)の内容が大きければ、その内容を前記1秒間ピーク値メモリ(t6)に書き込む。その後ピーク時レジスタ(t2)の内容をクリアする。
【0048】
(n).センサアドレスレジスタ(s2)の内容の対応する電流自乗累積レジスタ(t4)の内容を「359」で割り、その結果の平方根の値“A”をセンサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する1秒間実効電流累積レジスタ(t8)の内容に加算して、該1秒間実効電流累積レジスタ(t8)に書き込む。また、前記平方根の値“A”を力率バッファAに記憶する。その後電流自乗累積レジスタ(t4)の内容をクリアする。
【0049】
(o).センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する有効電力累積レジスタ(t5)の内容を「359」で割ると、ピーク電圧レジスタ(s8)の内容との積“B”を1秒間有効電力レジスタ(t9)の内容に加算して該1秒間有効電力累積レジスタ(t9)に書き込む。前記の積“B”を力率バッファBに記憶する。その後有効電力累積レジスタ(t5)の内容をクリアする。
【0050】
(p).上記力率バッファBの値を上記力率バッファAの値と1/√2の積で割った値を、センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する1秒間力率累積レジスタ(t7)の内容に加算して該1秒間力率累積レジスタ(t7)に書き込む。
【0051】
(q).センサアドレスレジスタ(s2)の内容が「49」かチェックし、「49」でなければ、センサアドレスレジスタ(s2)の内容を1インクリメントして前記(m)の処理に戻る。「49」であれば、センサアドレスレジスタ(s2)の内容をクリアして次のA1に進む。
【0052】
A1.上位装置からピーク電流値の読み出しコマンドが来ているかをチェックする。来ていなければ、ピーク値読み出し秒カウンタ(u1)の内容を1インクリメントしA3に進む。
【0053】
A2.来ていれば、センサアドレスレジスタ(s2)の内容をクリアして、センサアドレス0から49までセンサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する1秒間ピーク値レジスタ(t6)の内容を上位装置におくり、該1秒間ピーク値レジスタ(t6)及びピーク値読み出し秒カウンタ(u1)の内容をクリアする。
【0054】
A3.上位装置から実効電流値の読み出しコマンドが来ているかをチェックする。来ていなければ、実効電流読み出し秒カウンタ(u2)の内容を1インクリメントしA5に進む。
【0055】
A4.来ていれば、センサアドレスレジスタ(s2)の内容をクリアして、センサアドレス0から49までセンサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する1秒間実効電流累積レジスタ(t8)の内容を実効電流読み出し秒カウンタ(u2)の内容で割った値を上位装置におくり、該1秒間実効電流累積レジスタ(t8)及び実効電流読み出し秒カウンタ(u2)の内容の内容をクリアする。
【0056】
A5.上位装置から有効電力の読み出しコマンドが来ているかをチェックする。来ていなければ、有効電力読み出し秒カウンタ(u3)の内容を1インクリメントしA7に進む。
【0057】
A6.来ていれば、センサアドレスレジスタ(s2)の内容をクリアして、センサアドレス0から49まで、センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する1秒間有効電力累積レジスタ(t9)の内容を有効電力読み出し秒カウンタ(u3)の内容で割った値を上位装置におくり、該1秒間有効電力累積レジスタ(t9)及び有効電力読み出し秒カウンタ(u3)の内容をクリアする。
【0058】
A7.上位装置から力率の読み出しコマンドが来ているかをチェックする。来ていなければ、力率読み出し秒カウンタ(u4)の内容を1インクリメントしA9に進む。
【0059】
A8.来ていれば、センサアドレスレジスタ(s2)の内容をクリアし、センサアドレス0から49まで、センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応する1秒間力率累積レジスタ(t7)の内容を力率読み出し秒カウンタ(u4)の内容で割った値を、上位装置におくり、該1秒間力率累積レジスタ(t7)及び力率読み出し秒カウンタ(u4)の内容をクリアする。
【0060】
A9.上位装置から電流波形の読み出しコマンドが来ているかをチェックする。来ていなければ、次のB1に進む。来ていれば、コマンドで規定される読み出すべきセンサのアドレスをセンサアドレスレジスタ(s2)にセットする。
【0061】
A10.センサアドレスレジスタ(s2)に対応するカレント波形格納メモリインジケータ(s4)をチェックし、カレント側で無い方の波形格納メモリ(t1)のデータを1番地から359番地まで順に上位装置に送り、センサアドレスレジスタ(s2)の内容をクリアする。
【0062】
B1.マイクロプロセッサ4は、Vクロスタイミング検出回路5からのVクロスタイミング信号の幅とVの値から入力電源のピーク電圧を算出し、ピーク電圧レジスタ(s8)にセットする。電流値と同様に入力電源の電圧をA/D変換で測定する方法でも良い。
B2.Vクロスタイミング信号の周期から商用電源の周波数を算出し周波数レジスタ(s9)にセットする。
【0063】
B3.マイクロプロセッサ4は、Vクロスタイミング検出回路5からのVクロスタイミング信号の幅と周期から入力電源電圧が負から正に切り換わるタイミングを算出し、ゼロクロスタイミングをサンプル信号発生器7に知らせる。入力電源の電圧を市販されているコンパレータに入力してゼロクロスタイミングを検出する方式でも良い。
【0064】
B4.センサアドレスレジスタ(s2)の内容を「0」から「49」までインクリメントし、センサアドレスレジスタ(s2)の内容に対応するピーク時位相角レジスタ(t3)の内容をチェックし、90度±58度のセンサをA相、210度±58度をB相、330度±58度(272度〜28度)をC相に分類し、センサ位相グループ管理テーブル(s6)を作る。Vクロスタイミング検出回路5に入力されている電源電圧がA相となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
多量なセンサに対し、正弦波電流とは限らないダイナミックに変動する電流変化に対し、電流波形を認識し精度の良い電流測定ができることに加え、電圧に対し歪みのある電流波形を考慮した有効電力の測定ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態を示すブロック構成図。
【図2】実施の形態の動作を説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【0067】
〜1n…AC電流センサ
〜2n…A/D変換器
〜3n…データ取得レジスタ
4…マイクロプロセッサ
5…Vクロスタイミング検出回路
6…発信器
7…サンプル信号発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC電源を入力しAC電圧が基準電圧をクロスするタイミングを検出するVクロスタイミング検出部と、
AC電源の周波数に比較して十分高い周波数で、AC電源の周波数に対しステップダウンした値が共役数を持たないか、素数および素数の倍数の周波数を発生する発信部と、
該発信部の信号とVクロスタイミング検出部の信号を入力し、発信部の信号でカウンタを働かせN倍にステップダウンした時間間隔でサンプル信号と電圧が負から正に変わるゼロクロスタイミング信号を送出するサンプル信号発生部と、
1個又は複数のAC電流センサと、
これらに対応して設けられた複数個のA/D変換部と、
これらA/D変換部に対応して設けられ、前記A/D変換部の出力を、前記サンプル信号発生部からのサンプルタイミング信号で取り込むデータ取得レジスタと、
該データ取得レジスタを選択し、データ取得レジスタの内容を取り込み、測定電流の周期に対し、共役数を持たないサンプル周期を用いて高精度な実効電流を算出し、該周期のサンプル回数と位相角の関係を活用して精確な有効電力と力率の算出を行うマイクロプロセッサとを具備したことを特徴とする電流及び電力測定装置。

【図1】
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【図2】
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